| 【発明の名称】 |
一液湿気硬化型エポキシ樹脂組成物 |
| 【発明者】 |
【氏名】遠藤 剛
【氏名】三田 文雄
【氏名】鈴木 堅大郎
【氏名】堀井 久一
【氏名】松浦 信輝
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| 【要約】 |
【課題】貯蔵安定性に優れ、これと相反する性能である初期接着強さおよび機械的強度の立ち上がりの格段に速い速硬化性に優れた、常温硬化できる一液湿気硬化型エポキシ樹脂組成物を提供する。
【解決手段】化学式1に示されるカルボニル化合物と1級アミノ基を有するアミン化合物とを反応させて得られる化学式2に示されるケチミン化合物とエポキシ樹脂とを含有する一液湿気硬化型エポキシ樹脂組成物。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 下記化学式(1)に示されるカルボニル化合物と1級アミノ基を有するアミン化合物とを反応させて得られる下記化学式(2)に示されるケチミン化合物とエポキシ樹脂とを含有する一液湿気硬化型エポキシ樹脂組成物。 【化1】
ただし、R1、R2は炭素数2〜6のアルキル基からなる群から選ばれるいずれか1つのアルキル基であり、R1、R2は同じかまたは異なるアルキル基である。 【化2】
ただし、R3はアミン化合物の1級アミノ基を除く残基であり、R4、R5は炭素数2〜6のアルキル基からなる群から選ばれるいずれか1つのアルキル基であり、R4、R5は同じかまたは異なるアルキル基である。nは、1以上の整数である。 【請求項2】 前記カルボニル化合物が、α位の炭素原子がメチレン構造である請求項1に記載の一液湿気硬化型エポキシ樹脂組成物。 【請求項3】 前記カルボニル化合物が、エチル基またはプロピル基から選ばれる、同一のまたは異なるアルキル基を有する請求項1または2に記載の一液湿気硬化型エポキシ樹脂組成物。 【請求項4】 前記カルボニル化合物が、2個のエチル基を有する請求項1に記載の一液湿気硬化型エポキシ樹脂組成物 |
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】優れた硬化特性と良好な貯蔵安定性を両立させた一液湿気硬化型エポキシ樹脂組成物に関し、特に、一液常温硬化型硬質エポキシ系接着剤に関する。 【0002】 【従来の技術】エポキシ樹脂組成物は、物理的強度や接着性に優れ、接着剤、パテ材、塗料やコーティング材として広く利用されてきた。従来のエポキシ樹脂組成物は、反応性の高いアミン化合物を硬化剤として使用しているために、エポキシ樹脂と硬化剤成分を使用する直前に混合する二液型であった。しかし、二液型エポキシ樹脂組成物は、計量や混合などの作業が必要となり、このため作業性に劣るものであり、その煩雑さから計量ミスや混合不良といった諸問題も抱えていた。二液型のものは混合することで化学反応が始まるので、使用できる時間が限られるという欠点もあった。 【0003】このため、一液化したエポキシ樹脂組成物の検討は種々なされており、ケチミン化合物を中心とする湿気分解型潜在性硬化剤を用いた一液型エポキシ樹脂組成物についての技術は多数知られている。中でも工業的見地から、カルボニル化合物としてメチルイソブチルケトンから得られるケチミン化合物を用いた一液型エポキシ樹脂組成物について、種々の技術が開示されている。 【0004】ケチミン化合物は、エポキシ樹脂、イソシアネート末端のウレタンプレポリマーの潜在性硬化剤として、よく知られている。ケチミン化合物とエポキシ樹脂を配合した組成物の反応機構について説明する。ケチミン化合物は空気中の湿気と反応し、分解して活性水素を有するアミン化合物を生成する。この生成された活性水素を有するアミン化合物は、エポキシ樹脂と反応し、この機構によりエポキシ樹脂組成物は硬化する。すなわち、ケチミン化合物とエポキシ樹脂を配合した組成物において、もっとも重要なことは、■ケチミン化合物の加水分解速度が速いほど速硬化性が得られることである。さらに、■加水分解により生じたアミン化合物の反応性が高いほど、速硬化で高度な物性が得られやすい。ここで、加水分解速度が速いケチミン化合物は、貯蔵安定性が乏しいとの二律相反する難点があった。よく知られたメチルイソブチルケトンから得られるケチミン化合物を含有する一液型エポキシ樹脂組成物は、貯蔵安定性は良い反面、初期接着強さや機械的強度の立ち上がりなどの硬化特性は遅いとの難点がある。従って貯蔵安定性を配慮するが故、エポキシ樹脂に対し反応性の高いアミン化合物から得られるケチミン化合物を用いる手段に頼らざるを得ないことが従来技術の限界であった。このように、速硬化性の向上を図れば、貯蔵安定性を損なうとのジレンマが存在するため、ケチミン化合物とエポキシ樹脂を配合した組成物において、速硬化性を与え、貯蔵安定性を両立させる技術は全く見出されていないのが現状である。 【0005】最近では、国際公開WO98/31722公報で、立体障害のあるカルボニル化合物から得られる特定のケチミン化合物を用いることで貯蔵安定性をあげる技術が開示されている。ここでのケチミン化合物は、その立体構造から加水分解性を示す部位に水分が接触しにくくなり、加水分解性は遅いものであった。そのため、貯蔵安定性は良いが、速硬化性などの硬化特性が劣るという従来からの難点を備えていた。すなわち、ここでのケチミン化合物を用いた場合、エポキシ樹脂組成物の硬化は進行しにくく、初期接着強さや機械的強度の立ち上がりが鈍いという問題点を持っていた。使用に耐えうる物性が得られるまでに長時間の養生が必要であり、実用的には不十分であった。従って、この技術においても実用的な硬化特性と貯蔵安定性が両立する技術をなし得るものではない。すなわち、従来技術の延長線上の技術手段であった。 【0006】かくして、ケチミン化合物とエポキシ樹脂を配合した組成物において、速硬化性を与え、貯蔵安定性を両立させる組成物が見出されれば、これらを利用した接着剤、パテ材、塗料、コーティング材、ポッティング材などの基本技術となるため、産業上の有用性ははるかに向上する。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、貯蔵安定性が優れ、速硬化性を示すため、初期接着強さや機械的強度の立ち上がりを格段に速くするという、相反する性能を両立させた、常温硬化できる一液湿気硬化型エポキシ樹脂組成物を提供することにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定のカルボニル化合物と1級アミノ基を有するアミン化合物とを反応させて得られるケチミン化合物が、格段に速い加水分解性を示すことを見いだした。そして、これまでにない加水分解性の速さに着眼し、貯蔵安定性を確認したところ、充分実用的な性能を有することを確認した。すなわち、この出願の発明は、ケチミン化合物の原料となるカルボニル化合物の構造がごく限られた範囲の化合物に限り、エポキシ樹脂との配合において、容器中などの湿気遮断の状態では全く不活性であり、一旦容器から取り出された際には空気中の湿気で容易に加水分解することから、格段に速い、接着性や機械的強度の立ち上がりを示す機能に基づくものである。この機能こそ、所期の目的である実用的な硬化特性と貯蔵安定性が両立する技術である。本発明者らはこの知見をもとに、このような特性を有する化合物の範囲、エポキシ樹脂との配合量、合成技術を広く研究した。その結果、初期接着強さ、接着強度、機械的強度の立ち上がりが格段に速く、長期保管しても問題なく使用できる一液湿気硬化型エポキシ樹脂組成物を開発することに成功し、本発明を完成させるに至った。 【0009】以下に前記課題を解決するための本発明の手段について説明する。請求項1の発明では、下記化学式(1)に示されるカルボニル化合物と1級アミノ基を有するアミン化合物とを反応させて得られる下記化学式(2)に示されるケチミン化合物とエポキシ樹脂とを含有する一液湿気硬化型エポキシ樹脂組成物である。 【0010】 【化3】
ただし、R1、R2は炭素数2〜6のアルキル基からなる群から選ばれるいずれか1つのアルキル基であり、R1、R2は同じかまたは異なるアルキル基である。 【0011】 【化4】
ただし、R3はアミン化合物の1級アミノ基を除く残基であり、R4、R5は炭素数2〜6のアルキル基からなる群から選ばれるいずれか1つのアルキル基であり、R4、R5は同じかまたは異なるアルキル基である。nは、1以上の整数である。 【0012】請求項2の発明では、前記カルボニル化合物が、α位の炭素原子がメチレン構造である請求項1の手段における一液湿気硬化型エポキシ樹脂組成物である。 【0013】請求項3の発明では、前記カルボニル化合物が、エチル基またはプロピル基から選ばれる、同一のまたは異なるアルキル基を有する請求項1または2の手段の一液湿気硬化型エポキシ樹脂組成物である。 【0014】請求項4の発明では、前記カルボニル化合物が、2個のエチル基を有する請求項1の手段の一液湿気硬化型エポキシ樹脂組成物である。 【0015】本発明の上記手段の作用について以下に説明する。本発明において用いる特定のケチミン化合物とは、下記の化学式(2)で表される加水分解性のC原子とN原子間の二重結合を有する化合物をいう。この部位は、N原子との二重結合を持つC原子に、炭素数2〜6のアルキル基からなる群から選ばれる、同一のまたは異なるアルキル基を有することで容易に水と反応して、1級アミノ基を有するアミン化合物と前記アルキル基を有するカルボニル化合物に加水分解される。 【0016】 【化5】
ただし、R3はアミン化合物の1級アミノ基を除く残基であり、R4、R5は炭素数2〜6のアルキル基からなる群から選ばれるいずれか1つのアルキル基であり、R4、R5は同じかまたは異なるアルキル基である。nは、1以上の整数である。 【0017】一液型エポキシ樹脂組成物においては、アミン化合物が生成されてからエポキシ樹脂と反応し、硬化する。すなわち、ケチミン化合物の加水分解速度は、エポキシ樹脂組成物の硬化性を左右する。前記ケチミン化合物を含有する一液型エポキシ樹脂組成物は、その加水分解性の速さから格段に速い硬化性であった。ここでの硬化性とは、接着強さや機械的強度などの立ち上がりをいっており、使用に耐えうる、実用的な物性が得られるのに長時間の養生を必要としないこと示している。 【0018】本発明に用いるケチミン化合物は、下記の化学式(1)で表される、カルボニル基のC原子に、炭素数2〜6のアルキル基からなる群から選ばれる、同一のまたは異なるアルキル基を有するカルボニル化合物と1級アミノ基を有するアミン化合物とを反応させて得られるものであればどのようなものでもよい。 【0019】 【化6】
ただし、R1、R2は炭素数2〜6のアルキル基からなる群から選ばれるいずれか1つのアルキル基であり、R1、R2は同じかまたは異なるアルキル基である。 【0020】水分子との接触を妨げる立体障害を近隣に持つ、C原子とN原子間の二重結合の場合、加水分解性を低下させる。前記カルボニル化合物のα位の炭素原子はメチレン構造であることが、C原子とN原子間の二重結合の近隣に立体障害となる構造を持たないために加水分解性が阻害されないので、好ましい。炭素数2または3の、同一のまたは異なるアルキル基を有するカルボニル化合物が、これらのカルボニル化合物の中でも高い加水分解性を有するため、さらに好ましい。この中でも、炭素数2の同一のアルキル基を有するジエチルケトンが、最も高い加水分解性を示すため、エポキシ樹脂に配合した場合、もっとも速硬化性を与えるので、特に好ましい。 【0021】 【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。本発明において用いる特定のケチミン化合物とは、下記の化学式(2)で表される加水分解性の、C原子とN原子間の二重結合を有する化合物をいう。このケチミン化合物は、カルボニル基のC原子に、炭素数2〜6のアルキル基からなる群から選ばれる、同一のまたは異なるアルキル基を有するカルボニル化合物と1級アミノ基を有するアミン化合物を反応させて得られる化合物である。化学式(2)の構造のものであれば、どのようなものでもよいが、例えば下記の化学式(3)で表されるN,N’−ジ(1−エチルプロピリデン)−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、下記の化学式(4)で表されるN,N’−ジ(1−エチルプロピリデン)−メタキシリレンジアミンなどが挙げられる。それらは、各々1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンとジエチルケトンとの脱水縮合物、メタキシリレンジアミンとジエチルケトンとの脱水縮合物である。 【0022】 【化7】
ただし、R3はアミン化合物の1級アミノ基を除く残基であり、R4、R5は炭素数2〜6のアルキル基からなる群から選ばれるいずれか1つのアルキル基であり、R4、R5は同じかまたは異なるアルキル基である。nは1以上の整数である。 【0023】 【化8】
【0024】 【化9】
【0025】本発明に用いるケチミン化合物の原料となるカルボニル化合物は、下記の化学式(1)で表される、カルボニル基のC原子に、炭素数2〜6のアルキル基からなる群から選ばれる、同一のまたは異なるアルキル基を有するカルボニル化合物であればどのようなものでもよい。カルボニル化合物の具体例としては、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジブチルケトン、エチルプロピルケトン、エチルブチルケトンなどが挙げられる。 【0026】 【化10】
ただし、R1、R2は炭素数2〜6のアルキル基からなる群から選ばれるいずれか1つのアルキル基であり、R1、R2は同じかまたは異なるアルキル基である。 【0027】水分子との接触を妨げる立体障害を近隣に持つ、C原子とN原子間の二重結合の場合、加水分解性を低下させる。前記カルボニル化合物のα位の炭素原子はメチレン構造であることが、C原子とN原子間の二重結合の近隣に立体障害となる構造を持たないために加水分解性が阻害されないので、好ましい。炭素数2または3の、同一のまたは異なるアルキル基を有するカルボニル化合物が、これらのカルボニル化合物の中でも高い加水分解性を有するため、さらに好ましい。この中でも、炭素数2の同一のアルキル基を有するジエチルケトンが、最も高い加水分解性を示すため、エポキシ樹脂に配合した場合、もっとも速硬化性を与えるので、特に好ましい。 【0028】本発明に用いるケチミン化合物の原料となるアミン化合物としては、1級のアミノ基を有する化合物であればどのようなものでもよく、具体例としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ノルボルナンジアミン、メタキシリレンジアミン、イソフォロンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ポリオキシレン骨格を有するポリアミン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられるが、これに限定されない。1分子中に1級アミノ基を2個以上持つものが、優れた機械的強度が得られるため、好ましい。 【0029】以上から、炭素数2の同一のアルキル基を有するジエチルケトンと1分子中に1級アミノ基を2個以上持つアミン化合物から得られたケチミン化合物を、エポキシ樹脂に配合した場合、もっとも速硬化性、および、優れた機械的強度を与えるため、もっとも好ましい組成物である。 【0030】ケチミン化合物の製造は、どのような製造方法であってもよく、例えば、前記カルボニル化合物と前記アミン化合物とを無溶剤下、または非極性溶剤(ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、ベンゼンなど)存在下で混合し、加熱環流し、生成する水を共沸により除去し得られる。使用されるカルボニル化合物および/またはアミン化合物は、2種類以上の化合物を原料として使用してもよい。また、一液型エポキシ樹脂組成物は、前記ケチミン化合物を2種類以上使用してもよいことはいうまでもなく、硬化性と貯蔵安定性を損なわない範囲であれば、通常のカルボニル化合物やアルデヒド化合物から合成されたケチミン化合物やアルジミン化合物などの他の潜在性硬化剤を併用してもよい。 【0031】エポキシ樹脂は、ケチミン化合物が使用時に加水分解して得られるアミン化合物と反応し得るエポキシ基を有するものであれば、どのようなものでもよい。例えば、ビフェニル、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールSなどとエピクロルヒドリンを反応させて得られるビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂などやこれらを水添化あるいは臭素化したエポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ウレタン結合を有するウレタン変性エポキシ樹脂、メタキシレンジアミンやヒダントインなどをエポキシ化した含窒素エポキシ樹脂、ポリブタジエンあるいはNBRを含有するゴム変性エポキシ樹脂などが挙げられる。これらに限定されるものではなく、2種類以上のエポキシ樹脂を組み合わせて使用してよい。 【0032】本発明のケチミン化合物とエポキシ樹脂との配合割合は、ケチミン化合物が加水分解して発生するアミン化合物の活性水素の当量と、エポキシ樹脂のエポキシ基の当量とで決定すればよい。すなわち、ケチミン化合物が加水分解して発生するアミン化合物の活性水素の当量が、エポキシ基の当量に比べて、0.5〜2.0倍であることが好ましい。この配合割合より低い場合には、エポキシ樹脂が過剰となり、硬化物において満足な架橋が進まず、実用的な機械的強度が得られない。高い場合には、加水分解して発生するアミン化合物が過剰となり、この場合にも同様の理由で、実用的な機械的強度が得られない。この配合割合の中であれば、実用的な機械的強度が得られる架橋構造となるので好ましく、配合割合が0.8〜1.2倍であることが、理想的な架橋構造となり、接着剤組成物としてのさらに優れた機械的強度となるのでさらに好ましい。 【0033】本発明においては、前記のケチミン化合物、エポキシ樹脂の各成分の他に、更に脱水剤を使用することが好ましい。脱水剤は、主にケチミンが水によって分解し、エポキシ樹脂と反応してしまうことを未然に防止するために使用され、このような脱水作用のあるものが広く有効に使用されるが、通常ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどのビニルシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランのようなアクリルシラン、テトラメトキシシランやトリメトキシメチルシラン、ジメトキシジメチルシランなどのメチルシリケート、テトラエトキシシランやトリエトキシメチルシラン、ジエトキシジメチルシランなどのエチルシリケート、アセチルアセトン、オルソギ酸エステル等が好ましいものとして使用され、その使用量はエポキシ樹脂100質量部に対し、1〜10質量部程度である。 【0034】本発明の組成物は、前記化合物の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、炭酸カルシウム、酸化チタンなどの充填剤、エポキシシランやビニルシランなどのカップリング剤、可塑剤、チクソトロピー付与剤、顔料、染料、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、接着付与剤、分散剤、溶剤などを配合してもよい。この場合、上記配合成分の水分の影響を可能な限り除去することが、貯蔵安定性に好結果を与える。 【0035】本発明の組成物の製造方法は特に限定されないが、好ましくは窒素雰囲気下または減圧下で混合ミキサーなどの攪拌機を用いて充分混練させて組成物とするのがよい。一例を挙げれば、以下のとおりである。攪拌機、コンデンサー、加熱装置、減圧脱水装置、窒素気流装置を備えた密閉式加工釜を用い、釜中にエポキシ樹脂を仕込む。窒素気流装置を用い、窒素還流下で、所望により改質剤或いは添加剤を配合し均質混合する。この後、最終的にケチミン化合物を配合し、均質混合して、1液湿気硬化型接着剤組成物を得る。そして、窒素置換を施した密閉容器にこの1液湿気硬化型接着剤組成物を収納すれば、最終製品となる。なお、改質剤或いは添加剤に水分が含まれている場合には、貯蔵中に硬化しやすくなり貯蔵安定性が低下するので、改質剤或いは添加剤の水分を脱水除去しておくのが好ましい。水分の脱水は、改質剤或いは添加剤を配合する前に行ってもよいし、エポキシ樹脂にこれらを配合したあとに、加熱や減圧などの手段で脱水してもよい。 【0036】 【実施例】以下、実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。 【0037】[ケチミン化合物の合成] (合成例1)1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン(三菱ガス化学製、商品名1,3−BAC)142gと、3倍mol等量のジエチルケトン258g、およびトルエン200gをフラスコに入れ生成する水を共沸により除きながら、トルエンとジエチルケトンとが還流する温度(120〜150℃)で20時間反応を続けた。そして、過剰のジエチルケトンとトルエンを蒸留して取り除き、ケチミン化合物Aを得た。 【0038】(合成例2)アミン化合物にメタキシリレンジアミン(三菱ガス化学製、商品名MXDA)136gを用いた以外は、合成例1と同様に行い、ケチミン化合物Bを得た。 【0039】(合成例3)アミン化合物にノルボルナンジアミン(三井化学製、商品名NBDA)154gを用いた以外は、合成例1と同様に行い、ケチミン化合物Cを得た。 【0040】(合成例4)カルボニル化合物にエチルブチルケトン340gを用いた以外は、合成例2と同様に行い、ケチミン化合物Dを得た。 【0041】(合成例5)カルボニル化合物にジプロピルケトン342gを用いた以外は、合成例2と同様に行い、ケチミン化合物Eを得た。 【0042】(合成例6)カルボニル化合物にメチルイソブチルケトン300gを用いた以外は、合成例1と同様に行い、ケチミン化合物Fを得た。 【0043】(合成例7)カルボニル化合物にメチルイソプロピルケトン258gを用いた以外は、合成例1と同様に行い、ケチミン化合物Gを得た。 【0044】(実施例1)エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ製、商品名エピコート828)100質量部、重質炭酸カルシウム(日東粉化製、商品名NS100)40質量部、表面処理炭酸カルシウム(丸尾カルシウム製、商品名MS700)80質量部を、100℃で15トールおよび2時間の条件で減圧・加熱し、均一になるまで撹拌混合する。均一になれば室温まで冷却し、そこへエポキシ樹脂用硬化剤としてケチミン化合物A40質量部、ビニルシランカップリング剤(信越化学工業製、商品名KBM1003)5質量部、エポキシシランカップリング剤(信越化学工業製、KBM403)2質量部を加え、減圧撹拌して1液湿気硬化型接着剤組成物を得た。 【0045】(実施例2)エポキシ樹脂用硬化剤としてケチミン化合物Bを用いる以外は、実施例1と同様にして、1液湿気硬化型接着剤組成物を得た。 【0046】(実施例3)エポキシ樹脂用硬化剤としてケチミン化合物Cを用いる以外は、実施例1と同様にして、1液湿気硬化型接着剤組成物を得た。 【0047】(実施例4)エポキシ樹脂用硬化剤としてケチミン化合物Dを用いる以外は、実施例1と同様にして、1液湿気硬化型接着剤組成物を得た。 【0048】(実施例5)エポキシ樹脂用硬化剤としてケチミン化合物Eを用いる以外は、実施例1と同様にして、1液湿気硬化型接着剤組成物を得た。 【0049】(実施例6)接着性付与剤としてのエポキシシランカップリング剤を除く以外は、実施例1と同様にして、1液湿気硬化型接着剤組成物を得た。 【0050】(実施例7)脱水剤としてのビニルシランカップリング剤の代わりに、エチルシリケート(GE東芝シリコーン社製、商品名TSL8124)5質量部を用いる以外は、実施例6と同様にして、1液湿気硬化型接着剤組成物を得た。 【0051】(実施例8)脱水剤としてのビニルシランカップリング剤を除き、エポキシシランカップリング剤を7質量部に増量する以外は、実施例1と同様にして、1液湿気硬化型接着剤組成物を得た。 【0052】(比較例1)エポキシ樹脂用硬化剤としてケチミン化合物Fを用いる以外は、実施例1と同様にして、1液湿気硬化型接着剤組成物を得た。 【0053】(比較例2)エポキシ樹脂用硬化剤としてケチミン化合物Gを用いる以外は、実施例1と同様にして、1液湿気硬化型接着剤組成物を得た。 【0054】〔接着性〕実施例1〜5、比較例1および比較例2に係る接着剤組成物を用いて、以下の試験を行った。そして、その結果を表1および表2に示した。 【0055】 【表1】
【0056】 【表2】
【0057】JIS A6024(建築補修用注入エポキシ樹脂)における接着強さ試験の標準条件(23℃で7日の養生)に準拠して行った。接着剤組成物の速硬化性を評価するために、特に接着性の立ち上がりを、養生時が23℃で1日および23℃で2日、23℃で3日の各条件で、前記接着強さ試験を行った。単位は、N/mm2であり、そのときの破壊状態を示した。 【0058】〔安定性〕1液湿気硬化型接着剤組成物を、カートリッジに充填密封して、23℃で2ヶ月間放置した後、粘度の測定を行った。そして、安定性を配合直後の粘度と比較し、以下の3段階で評価した。粘度測定は、23℃で、BH型粘度計の10r/min.で行った。 ○… (23℃で2ヶ月間放置後の粘度)/(配合直後の粘度)<2△…2≦(23℃で2ヶ月間放置後の粘度)/(配合直後の粘度)<3×…3≦(23℃で2ヶ月間放置後の粘度)/(配合直後の粘度) 【0059】実施例1〜5、比較例1および比較例2を対比すれば明らかなとおり、実施例に係る1液湿気硬化型接着剤組成物は、比較例に係る1液湿気硬化型接着剤組成物に比べて、各養生条件での接着強さの値が大きく、破壊状態も優れている。特に、23℃で1日養生後の接着性では、結果に著しく顕著な差がでてきており、実施例に係る1液湿気硬化型接着剤組成物が、比較例に係る1液湿気硬化型接着剤組成物に比べて、優れた硬化性を示していることが分かる。 【0060】 【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る一液湿気硬化型エポキシ樹脂組成物は、貯蔵安定性を損なうことなく、初期接着強さや機械的強度の立ち上がりを格段に速くするという、相反する性能を両立させた、常温硬化できる接着剤組成物として用いられる一液湿気硬化型エポキシ樹脂組成物である。従って、本発明に係る一液湿気硬化型エポキシ樹脂組成物では、これらを利用した接着剤、パテ材、塗料、コーティング材、ポッティング材などに有効に使用され得る。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000105648 【氏名又は名称】コニシ株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年12月14日(2001.12.14) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100101085 【弁理士】 【氏名又は名称】横井 健至
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| 【公開番号】 |
特開2002−249544(P2002−249544A) |
| 【公開日】 |
平成14年9月6日(2002.9.6) |
| 【出願番号】 |
特願2001−381908(P2001−381908) |
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