| 【発明の名称】 |
アルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂、その製造法、エポキシ樹脂組成物およびその硬化物 |
| 【発明者】 |
【氏名】合田 秀樹
【氏名】土屋 薫
|
| 【要約】 |
【課題】耐熱性に優れ、しかもボイド、クラック等を生じない硬化物を収得しうるシラン変性エポキシ樹脂、その製造法、当該エポキシ樹脂組成物、ならびに当該組成物から得られる硬化物を提供する。
【解決手段】水酸基含有エポキシ樹脂(1)、1分子中に1つの水酸基を持つエポキシ化合物(2)およびアルコキシシラン部分縮合物(3)を脱アルコール縮合反応させて得られることを特徴とするアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂;当該シラン変性エポキシ樹脂の製造法;当該シラン変性エポキシ樹脂とエポキシ樹脂用硬化剤を含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物;当該エポキシ樹脂組成物を硬化反応させることを特徴とするエポキシ樹脂−シリカハイブリッド硬化物。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 水酸基含有エポキシ樹脂(1)、1分子中に1つの水酸基を持つエポキシ化合物(2)およびアルコキシシラン部分縮合物(3)を脱アルコール縮合反応させて得られることを特徴とするアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂。 【請求項2】 水酸基含有エポキシ樹脂(1)がビスフェノール型エポキシ樹脂である請求項1記載のアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂。 【請求項3】 ビスフェノール型エポキシ樹脂がビスフェノールA型エポキシ樹脂である請求項2記載のアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂。 【請求項4】 1分子中に1つの水酸基を持つエポキシ化合物(2)がグリシドールである請求項1〜3のいずれかに記載のアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂。 【請求項5】 アルコキシシラン部分縮合物(3)がメチルトリメトキシシランの部分縮合物またはテトラメトキシシランの部分縮合物である請求項1〜4のいずれかに記載のシラン変性エポキシ樹脂。 【請求項6】 水酸基含有エポキシ樹脂(1)の水酸基と1分子中に1つの水酸基を持つエポキシ化合物(2)の水酸基との合計当量/アルコキシシシラン部分縮合物(3)のアルコキシ基の当量(当量比)が、0.1〜0.6である請求項1〜5のいずれかに記載のアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂。 【請求項7】 水酸基含有エポキシ樹脂(1)、1分子中に1つの水酸基を持つエポキシ化合物(2)およびアルコキシシラン部分縮合物(3)を脱アルコール縮合反応させることを特徴とするアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂の製造法。 【請求項8】 請求項1〜6のいずれかに記載のアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂を含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。 【請求項9】 エポキシ樹脂硬化剤を含有することを特徴とする請求項8に記載のエポキシ樹脂組成物。 【請求項10】 エポキシ樹脂用硬化剤がフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ジシアンジアミド、イミダゾール類および酸無水物類からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項9記載のエポキシ樹脂組成物。 【請求項11】 請求項8〜10のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を硬化反応させてなることを特徴とするエポキシ樹脂−シリカハイブリッド硬化物。 【請求項12】 エポキシ樹脂組成物を40〜150℃でゾル−ゲル硬化させてなる請求項11記載のエポキシ樹脂−シリカハイブリッド硬化物。 【請求項13】 エポキシ樹脂組成物を室温〜250℃で完全硬化させてなる請求項11記載のエポキシ樹脂−シリカハイブリッド硬化物。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、アルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂、その製造法、エポキシ樹脂組成物およびその硬化物に関する。 【0002】 【従来の技術】従来より、エポキシ樹脂は、一般に、硬化剤と組み合わせた組成物として使用されており、電気・電子材料関係の分野においても、該組成物が賞用されてきた。しかしながら、近年の電気・電子材料分野の発展に伴い、エポキシ樹脂組成物の硬化物に対してより高性能が要求されるようになっており、特に耐熱性の向上が望まれている。 【0003】エポキシ樹脂組成物の硬化物の耐熱性を向上させるため、例えば、エポキシ樹脂および硬化剤に加え、ガラス繊維、ガラス粒子、マイカ等のフィラーを混合した組成物を用いる方法が行われている。しかし、この方法でも十分な耐熱性は得られない。また、この方法では得られる硬化物の透明性が失われ、しかもフィラーとエポキシ樹脂との界面の接着性が劣るため、伸長率等の機械的特性も不十分である。 【0004】また、エポキシ樹脂組成物の硬化物の耐熱性を向上させる方法として、エポキシ樹脂とシリカとの複合体を用いる方法が提案されている(特開平8−100107号公報)。当該複合体は、エポキシ樹脂の部分硬化物の溶液に、加水分解性アルコキシシランを加え、該硬化物を更に硬化すると共に、該アルコキシシランを加水分解してゾル化し、更に重縮合してゲル化することにより得られる。しかし、かかる複合体から得られる硬化物は、エポキシ樹脂単独の硬化物に比して、ある程度耐熱性は向上するものの、複合体中の水や硬化時に生じる水、アルコールに起因して、硬化物中にボイド(気泡)が発生する。また、耐熱性を一層向上させる目的でアルコキシシラン量を増やすと、ゾル−ゲル硬化反応により生成するシリカが凝集して得られる硬化物の透明性が失われて白化するうえ、多量のアルコキシシランをゾル化するために多量の水が必要となり、その結果として硬化物のそり、クラック等を招く。 【0005】また、エポキシ樹脂にシリコーン化合物を反応させたシラン変性エポキシ樹脂と、硬化剤であるフェノールノボラック樹脂とを組み合わせた組成物(特開平3−201466号公報)や、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラビスブロモビスフェノールAおよびメトキシ基含有シリコーン中間体を反応させたシラン変性エポキシ樹脂と、硬化剤であるフェノールノボラック樹脂とを組み合わせた組成物(特開昭61−272243号公報、特開昭61−272244号公報など)も提案されている。しかし、これらのエポキシ樹脂組成物の硬化物は、シリコーン化合物やメトキシ基含有シリコーン中間体の主構成単位がジオルガノポリシロキサン単位であってシリカを生成できないため、いずれも耐熱性が不十分である。 【0006】更にビスフェノール型エポキシ樹脂とアルコキシシラン部分縮合物とを脱アルコール反応させてなるアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂を、硬化してなる硬化物は、ガラス転移点を消失し、高耐熱性材料となることが報告されている。しかしながら、この方法によれば、ビスフェノール型エポキシ樹脂としてエポキシ当量300以下の液状エポキシ樹脂を使用した場合には、得られる硬化物は高ガラス転移点を有するものの、ガラス転移点を消失するには至らない。また、エポキシ当量が800以上の固形エポキシ樹脂を使用すると、得られるエポキシ樹脂組成物の保存安定性が低下する。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、耐熱性に優れ、しかもボイド、クラック等を生じない硬化物を収得しうるシラン変性エポキシ樹脂、その製造法、当該エポキシ樹脂組成物、ならびに当該組成物から得られる硬化物を提供することを目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明者は前記課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、特定のエポキシ樹脂と特定のアルコキシシラン部分縮合物からなるアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂、およびエポキシ樹脂用硬化剤からなる組成物により、前記目的に合致したエポキシ樹脂−シリカハイブリッド硬化物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。 【0009】すなわち本発明は、水酸基含有エポキシ樹脂(1)、1分子中に1つの水酸基を持つエポキシ化合物(2)およびアルコキシシラン部分縮合物(3)を脱アルコール縮合反応させて得られることを特徴とするアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂;当該シラン変性エポキシ樹脂の製造法;当該シラン変性エポキシ樹脂を含有することを特徴とするエポキシ樹脂組成物;当該エポキシ樹脂組成物を硬化反応させることを特徴とするエポキシ樹脂−シリカハイブリッド硬化物に関する。 【0010】 【発明の実施の形態】本発明のアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂の原料である、水酸基含有エポキシ樹脂(1)(以下、単にエポキシ樹脂(1)という)は、アルコキシシラン部分縮合物(3)と脱アルコール反応しうる水酸基を含有するエポキシ樹脂であれば、特に限定されないが、ビスフェノール類とエピクロルヒドリンまたはβ−メチルエピクロルヒドリン等のハロエポキシドとの反応により得られたビスフェノール型エポキシ樹脂が機械的性質、化学的性質、電気的性質、汎用性などを考慮して好適である。ビスフェノール類としてはフェノールとホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、アセトフェノン、シクロヘキサノン、ベンゾフェノン等のアルデヒド類もしくはケトン類との反応の他、ジヒドロキシフェニルスルフィドの過酸による酸化、ハイドロキノン同士のエーテル化反応等により得られるものがあげられる。また当該エポキシ樹脂(1)としては、2,6−ジハロフェノールなどハロゲン化フェノールから誘導されたハロゲン化ビスフェノール型エポキシ樹脂、リン化合物を化学反応させたリン変性ビスフェノール型エポキシ樹脂など、難燃性に特徴があるものを使用することもできる。ビスフェノール類以外のエポキシ樹脂としては、例えば上記ビスフェノール型エポキシ樹脂を水添して得られる脂環式エポキシ樹脂の他、下記のような公知エポキシ樹脂(a)中のエポキシ基の一部に酸、アミン、フェノール類を反応させ当該エポキシ基を開環してなる水酸基含有エポキシ樹脂が挙げられる。このようなエポキシ樹脂(a)としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂にハロエポキシドを反応させて得られるノボラック型エポキシ樹脂;フタル酸、ダイマー酸などの多塩基酸類およびエピクロロヒドリンを反応させて得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸などのポリアミン類とエピクロロヒドリンを反応させて得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂;オレフィン結合を過酢酸などの過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂および脂環式エポキシ樹脂、ビフェノール類とエピクロロヒドリンを反応させて得られるビフェニル型エポキシ樹脂などがあげられる。 【0011】エポキシ樹脂(1)は、アルコキシシラン部分縮合物(3)との脱アルコール縮合反応により、珪酸エステルを形成しうる水酸基を有するものである。当該水酸基は、エポキシ樹脂(1)を構成する全ての分子に含まれている必要はなく、これら樹脂として、水酸基を有していればよい。上記のようなエポキシ樹脂(1)のなかでも、汎用性を考えるとビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましく、特に、ビスフェノール類としてビスフェノールAを用いたビスフェノールA型エポキシ樹脂が、低価格であり好ましい。 【0012】ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、一般式(a):【0013】 【化1】
【0014】で表される化合物である。 【0015】なお、本発明において、エポキシ樹脂(1)のエポキシ当量は、特に限定されず、エポキシ樹脂(1)の構造により、用途に応じたものを適宜に選択して使用できる。しかしながら、本発明のアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂を無溶剤下に製造する場合や、アルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂硬化剤からなるエポキシ樹脂組成物を用いて半硬化物を製造する場合には、エポキシ樹脂(1)として、1種類以上のエポキシ樹脂を用いて、全体としてのエポキシ当量を200〜400g/eqとなる様に調整するのが好ましい。すなわち、無溶剤下にアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂を製造する場合には、溶剤系で反応させる場合よりも反応系内の粘度が上昇するため、当該粘度を調整する観点からエポキシ樹脂(1)の種類を選択するものである。また、半硬化物の製造を目的とする場合には、半硬化物は、後述するように、半硬化フィルムや成形用中間材料に使用される硬化物の態様であり、ある程度の柔軟性が要求されるため、エポキシ樹脂(1)の種類を選択するものである。なお、当該半硬化物とは、本願発明のエポキシ樹脂組成物をゾル−ゲル硬化反応させた状態の硬化物をいう。エポキシ樹脂(1)の当量が400g/eqを超えると、脱アルコール縮合反応途中で高粘度化する傾向が高くなり、また当該エポキシ当量が200g/eq未満の場合には反応生成物であるアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂中に残存するアルコキシシラン部分縮合物(3)の量が増えたり、半硬化物が脆くなり好ましくない。 【0016】本発明において、エポキシ樹脂(1)と1分子中に1つの水酸基を持つエポキシ化合物(2)(以下、単にエポキシ化合物(2)という)はいずれも、アルコキシシラン部分縮合物(3)と脱アルコール縮合反応して、アルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂を与える。そのため、エポキシ樹脂(1)中には、水酸基が存在しなければならないが、例えば、一般式(a)のビスフェノールA型エポキシ樹脂の場合には、水酸基を持たない分子(一般式(a)におけるm=0の分子)も存在する。水酸基を持たないエポキシ樹脂分子はアルコキシシラン部分縮合物(3)とは反応しないため、未反応のままアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂中に存在している。当該分子は、エポキシ樹脂−シリカハイブリッド形成時にエポキシ樹脂硬化剤を介してシラン変性されたビスフェノール型エポキシ樹脂分子と化学結合することになるが、エポキシ樹脂(1)中に水酸基を持たない分子が多く含まれる場合には、最終的に得られるエポキシ樹脂−シリカハイブリッドが十分な耐熱性を発現しない。 【0017】本発明では、水酸基を持たないエポキシ樹脂分子が多く存在するエポキシ樹脂(1)を使用した場合であっても、得られるエポキシ樹脂−シリカハイブリッドに十分な耐熱性を付与するために、エポキシ化合物(2)を必須構成成分としたものである。すなわち、エポキシ化合物(2)は、エポキシ樹脂−シリカハイブリッドの耐熱性の低下を防止する作用効果を有する。アルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂の製造に際して、エポキシ化合物(2)の使用量は特に限定されず、エポキシ樹脂(1)中の水酸基を持たない分子の含有量に応じて適宜に決定すればよい。エポキシ樹脂−シリカハイブリッドの耐熱性の観点から、エポキシ樹脂(1)のエポキシ当量が200g/eq未満の場合には、エポキシ化合物(2)の重量/エポキシ樹脂(1)の重量=0.05以上であり、当該エポキシ当量が200〜300g/eqの場合には該重量比が0.03以上であり、当該エポキシ当量が300g/eqを超える場合は該重量比が0.01以上であるのが好ましい。なお、エポキシ化合物(2)は、多少の毒性を有するものも多いため、アルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂中のエポキシ化合物(2)残存量を極力少なくするのがよい。上記重量比が0.3を超える場合には、未反応エポキシ化合物(2)を低減させるためにアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂の製造時間が長くなり、製造効率が低下する。 【0018】エポキシ化合物(2)としては、1分子中に水酸基を1つもつエポキシ化合物であれば、エポキシ基の数は特に限定されない。また、エポキシ化合物(2)としては、分子量が小さいもの程、エポキシ樹脂(1)やアルコキシシラン部分縮合物(3)に対する相溶性がよく、耐熱性付与効果が高いことから、炭素数が15以下のものが好適である。その具体例としては、エピクロロヒドリンと、水、2価アルコールまたはフェノール類とを反応させて得られる分子末端に1つの水酸基を有するモノグリシジルエーテル類;エピクロロヒドリンとグリセリンやペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコールとを反応させて得られる分子末端に1つの水酸基を有するポリグリシジルエーテル類;エピクロロヒドリンとアミノモノアルコールとを反応させて得られる分子末端に1つの水酸基を有するエポキシ化合物;分子中に1つの水酸基を有する脂環式炭化水素モノエポキシド(例えば、エポキシ化テトラヒドロベンジルアルコール)などが例示できる。これらのエポキシ化合物の中でも、グリシドールが耐熱性付与効果の点で最も優れており、またアルコキシシラン部分縮合物(3)との反応性も高いため、最適である。 【0019】また、本発明のアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂を構成するアルコキシシラン部分縮合物(3)としては、酸又は塩基触媒の存在下、下記アルコキシシラン化合物および水を加え、部分的に加水分解、縮合したものを用いることができる。 【0020】当該アルコキシシラン化合物としては、例えば、一般式(b):R1pSi(OR2)4−p(式中、pは0または1を示す。R1は、炭素原子に直結した官能基を持っていてもよい低級アルキル基、アリール基または不飽和脂肪族残基を示す。R2はメチル基またはエチル基を示し、R2同士はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)で表される化合物を例示できる。 【0021】アルコキシシラン部分縮合物(3)の構成原料である上記アルコキシシランの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等があげられる。 【0022】上記アルコキシシラン部分縮合物(3)としては、当該構成原料であるアルコキシシラン化合物のうちのメトキシシラン類から得られるものが、エポキシ樹脂(1)やエポキシ化合物(2)との反応性に富み、比較的低温でエポキシ樹脂−シリカハイブリッド硬化物を調製できるため好ましく、特に汎用性を考慮するとテトラメチトキシシラン、メチルトリメトキシシランが更に好ましい。 【0023】アルコキシシラン部分縮合物(3)は、例えば次の一般式(c)または(d)で示される。一般式(c):【0024】 【化2】
【0025】(式中、R1は、炭素原子に直結した官能基を持っていてもよい低級アルキル基、アリール基又は不飽和脂肪族残基を示す。R2はメチル基またはエチル基を示し、R2同士はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。) 【0026】一般式(d):【0027】 【化3】
【0028】(一般式(d)中、R2は一般式(c)中のR2と同じ。) 【0029】当該アルコキシシラン部分縮合物(3)の数平均分子量は230〜2000程度、一般式(c)および(d)において、平均繰り返し単位数nは2〜11が好ましい。nの値が11を超えると、溶解性が悪くなり、反応温度において、ビスフェノールエポキシ樹脂(1)との相溶性が著しく低下し、ビスフェノールエポキシ樹脂(1)やエポキシ化合物(2)との反応性が落ちる傾向があるため好ましくない。nが2未満であると反応途中に反応系外にアルコールと一緒に留去されてしまい好ましくない。 【0030】本発明のアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂(1)、エポキシ化合物(2)およびアルコキシシラン部分縮合物(3)を、溶剤の存在下または無溶剤下に脱アルコール縮合反応させることにより得られる。エポキシ樹脂(1)およびエポキシ化合物(2)と、アルコキシシラン部分縮合物(3)との使用重量比は、アルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂(A)中にアルコキシ基が実質的に残存するような割合であれば特に制限はされないが、エポキシ樹脂(1)の水酸基とエポキシ化合物(2)の水酸基との合計当量/加水分解性アルコキシシシラン部分縮合物(3)のアルコキシ基の当量(当量比)=0.1〜0.6であることが好ましい。更に好ましくは0.13〜0.5である。上記当量比が0.1未満であると未反応アルコキシシラン部分縮合物(3)が増え、0.6を超えると十分な耐熱性が得られず好ましくない。 【0031】なお、エポキシ樹脂(1)として平均エポキシ当量400以上の高分子量のものやアルコキシシラン部分縮合物(3)として前記一般式(C)の平均繰り返し単位数n>7を使用原料とする場合には、エポキシ樹脂(1)の水酸基が完全に消失するまで、脱アルコール縮合反応を行うと高粘度化、ゲル化する傾向が見られる場合がある。このような場合には、脱アルコール反応を反応途中で、停止させたり、エポキシ化合物(2)/エポキシ樹脂(1)(水酸基当量比)が0.33を超えるような条件を選択するなどの方法により高粘度化、ゲル化を防ぐことが可能である。たとえば、反応を途中で停止させる方法としては、高粘度化してきた時点で、反応系を還流系にして、反応系からメタノールの留去量を調整したり、反応系を冷却し反応を終了させる方法等を採用できる。 【0032】アルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂の製造は、前記のように、溶剤存在下または無溶剤下で行うことができる。本発明における脱アルコール縮合反応では、反応温度は50〜130℃程度、好ましくは70〜110℃であり、全反応時間は1〜15時間程度である。この反応は、アルコキシシラン部分縮合物(3)自体の重縮合反応を防止するため、実質的に無水条件下で行うのが好ましい。またアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂の製造は、反応時間を短くするため、エポキシ化合物(2)が蒸発しない範囲で、減圧下で行うこともできる。 【0033】また、上記の脱アルコール縮合反応に際しては、反応促進のために従来公知の触媒の内、エポキシ環を開環しないものを使用することができる。該触媒としては、たとえば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、亜鉛、アルミニウム、チタン、コバルト、ゲルマニウム、錫、鉛、アンチモン、砒素、セリウム、硼素、カドミウム、マンガンのような金属;これら金属の酸化物、有機酸塩、ハロゲン化物、アルコキシド等があげられる。これらのなかでも、特に有機錫、有機酸錫が好ましく、具体的には、ジブチル錫ジラウレート、オクチル酸錫等が有効である。 【0034】また、上記の脱アルコール縮合反応は、溶剤存在下または無溶剤下で行うことができる。しかしながら、エポキシ樹脂(1)やアルコキシシラン部分縮合物(3)の分子量が大きい時には、反応温度において、反応系が不均一となる場合が見られ反応が進行しにくくなるため、溶剤を使用するのが好ましい。溶剤としては、エポキシ樹脂(1)およびアルコキシシラン部分縮合物(3)を溶解し、且つこれらに対し非活性である有機溶剤であれば特に制限はない。このような有機溶剤としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトンなどの非プロトン性極性溶媒が例示できる。 【0035】こうして得られた本発明のアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂は、アルコキシシラン部分縮合物のアルコキシ基が、ビスフェノール型エポキシ樹脂残基やグリシジル基で置換されたものを主成分とするが、当該樹脂中には未反応のエポキシ樹脂(1)、エポキシ化合物(2)、アルコキシシラン部分縮合物(3)が含有されていてもよい。なお、未反応のアルコキシシラン部分縮合物(3)は、加水分解、重縮合によりシリカとすることができる。 【0036】本発明のアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂は、その分子中にアルコキシシラン部分縮合物(3)に由来するアルコキシ基を有している。当該アルコキシ基の含有量は、特に限定はされないが、このアルコキシ基は溶剤の蒸発や加熱処理により、又は水分(湿気)との反応により、ゾル−ゲル反応や脱アルコール縮合して、相互に結合した硬化物を形成するために必要となるため、アルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂は通常、反応原料となるアルコキシシラン部分縮合物(3)のアルコキシ基の30〜95モル%、好ましくは40〜80モル%を未反応のままで保持しておくのが良い。かかる硬化物は、ゲル化した微細なシリカ部位(シロキサン結合の高次網目構造)を有するものである。 【0037】本発明のエポキシ樹脂組成物においては、前記のように、アルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂に加えて、各種のエポキシ樹脂、エポキシ樹脂用硬化剤、硬化促進剤、エポキシ重合触媒などを併用できる。本発明のエポキシ樹脂組成物を、各種用途へ適用するにあたっては、用途に応じて各種のエポキシ樹脂を併用することもできる。当該併用しうるエポキシ樹脂としては、本発明の構成成分として記載した前記エポキシ樹脂(1)、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;フタル酸、ダイマー酸などの多塩基酸類およびエピクロロヒドリンを反応させて得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸などのポリアミン類とエピクロロヒドリンを反応させて得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂;オレフィン結合を過酢酸などの過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂および脂環式エポキシ樹脂などがあげられる。 【0038】また、エポキシ樹脂用硬化剤としては、通常、エポキシ樹脂の硬化剤として使用されている、フェノール樹脂系硬化剤、ポリアミン系硬化剤、ポリカルボン酸系硬化剤、イミダゾール系硬化剤等を特に制限なく使用できる。具体的には、フェノール樹脂系のものとしては、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールノボラック樹脂、ポリp−ビニルフェノール等があげられ、ポリアミン系硬化剤としてはジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジシアンジアミド、ポリアミドアミン(ポリアミド樹脂)、ケチミン化合物、イソホロンジアミン、m−キシレンジアミン、m−フェニレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、N−アミノエチルピペラジン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノ−3,3′―ジエチルジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン、ジシアンジアミド等があげられ、ポリカルボン酸系硬化剤としては、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサクロルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチル−3,6−エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸があげられ、またイミダゾール系硬化剤としては、2−メチルイミダゾール、2−エチルへキシルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウム・トリメリテート、2−フェニルイミダゾリウム・イソシアヌレート等があげられる。上記エポキシ樹脂用硬化剤は、エポキシ環と反応して開環硬化させるだけではなく、アルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂中のアルコキシシリル部位やアルコキシ基が互いにシロキサン縮合していく反応の触媒ともなる。 【0039】エポキシ樹脂用硬化剤の使用割合は、通常、アルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂中のエポキシ基1当量に対し、硬化剤中の活性水素を有する官能基が0.2〜1.5当量程度となるような割合で配合して調製される。 【0040】また、前記エポキシ樹脂組成物には、エポキシ樹脂と硬化剤との硬化反応を促進するための硬化促進剤を含有することができる。例えば、1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの三級アミン類;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾールなどのイミダゾール類;トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィンなどの有機ホスフィン類;テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボレートなどのテトラフェニルボロン塩などをあげることができる。 【0041】また本発明の電気絶縁用樹脂組成物においては、アルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂中のエポキシ基はエポキシ重合触媒が存在する限り、硬化反応が進行するため、必ずしもエポキシ樹脂硬化剤を必要ではない。このようなエポキシ重合触媒としては、ルイス酸とそのトリアルキルオキソニウム塩、カルボニウム塩やアンモニウム塩などのカチオン重合触媒や3級アミンなどアニオン重合触媒が挙げられる。特にアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂に対する溶解性やポットライフを考慮すると、アンモニウムテトラフルオロボレートなどルイス酸のアンモニウム塩やトリエチルアミンなど脂肪族3級アミンが好適である。前記の硬化促進剤やエポキシ重合触媒はエポキシ樹脂の100重量部に対し、それぞれ0.1〜5重量部の割合で使用するのが好ましい。また、アルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂中のアルコキシシリル部位やアルコキシ基のシロキサン縮合の促進には、従来公知の酸又は塩基性触媒、金属系触媒などのゾル−ゲル硬化触媒を配合することが出来る。これらのなかでも、オクチル酸錫やジブチル錫ジラウレート、テトラプロポキシチタンなど金属系触媒が、活性が高く好ましい。 【0042】また、前記エポキシ樹脂組成物は、溶剤により適宜に濃度を調整できる。溶剤としては、アルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂(A)の製造に用いたものと同様のものを使用できる。その他、前記エポキシ樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、充填剤、離型剤、表面処理剤、難燃剤、粘度調節剤、可塑剤、抗菌剤、防黴剤、レベリング剤、消泡剤、着色剤、安定剤、カップリング剤等を配合してもよい。 【0043】当該エポキシ樹脂組成物から直接、ハイブリッド硬化物を得るには、上記エポキシ樹脂組成物を室温〜250℃で硬化させる。硬化温度は、エポキシ樹脂用硬化剤の種類によって適宜決定される。当該硬化剤として、フェノール樹脂系硬化剤やポリカルボン酸系硬化剤を用いる場合には、当該硬化剤以外にゾル−ゲル硬化触媒を0.1%以上併用して、150〜250℃で硬化させるのが好ましい。ポリアミン系硬化剤を用いると室温〜100℃の低温硬化が可能であるが、オクチル酸錫など活性の高いゾル−ゲル硬化触媒を0.3%以上併用して硬化させるのが好ましい。なぜなら、アルコキシシリル部位のゾル−ゲル硬化反応ではアルコールが発生するため、アルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂(A)中のエポキシ基とエポキシ樹脂用硬化剤とのエポキシ基の開環・架橋反応による硬化が進行した後に、当該アルコールが発生した場合には、発泡やクラックを生じる。そのため、触媒を適宜に選択することによってゾル−ゲル硬化反応速度を調整する必要がある。また、エポキシ硬化剤を用いず、エポキシ重合触媒を使用する場合には、ルイス酸系で80〜200℃、3級アミンでは70〜150℃で硬化させうるが、この場合でも100℃以下で硬化させる場合には、ゾル−ゲル硬化反応を促進するため、オクチル酸錫など活性の高いゾル−ゲル硬化触媒を0.3%以上併用するのが好ましい。 【0044】エポキシ樹脂組成物から半硬化フィルムや成形用中間材料を得るには、上記エポキシ樹脂組成物のエポキシ硬化剤として、フェノール樹脂系硬化剤、ポリカルボン酸系硬化剤、イミダゾール類、ケチミン類等の潜在性硬化剤を用い、錫系のゾル−ゲル硬化触媒を配合することが好ましい。エポキシ樹脂組成物を用いて半硬化フィルムや成形用中間材料を作製するには、好ましくは40〜150℃以下で加熱することにより、エポキシ樹脂組成物中にゾル−ゲル硬化によるシロキサン結合を70%以上、好ましくは90%以上、生成させるようゾル−ゲル硬化反応を進行させる必要がある。なぜなら、アルコキシシリル部位のゾル−ゲル硬化反応ではアルコールが発生するため、半硬化物作製時のゾル−ゲル硬化の進行が少ないと、これに引き続く完全硬化反応において硬化収縮やクラック、発泡が生じる可能性があるためである。 【0045】更にこのような半硬化物は、熱成形や熱圧着の後、通常160℃以上250℃以下の温度で完全硬化させて、エポキシ樹脂−シリカハイブリッド硬化物へと導かれる。 【0046】 【発明の効果】本発明によれば、耐熱性に優れ、しかもボイド(気泡)等を生じないエポキシ樹脂硬化物を提供することができる。 【0047】 【実施例】以下、実施例および比較例をあげて本発明を具体的に説明する。なお、各例中、%は特記なし限り重量基準である。 【0048】実施例1(アルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂の製造) 攪拌機、分水器、温度計、窒素吹き込み口を備えた反応装置に、固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂(東都化成(株)製、商品名「エポトートYD−011」、エポキシ当量475g/eq、m=2.2)180g、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(東都化成(株)製、商品名「エポトートYD−127」、エポキシ当量190g/eq、m=0.1)455.6g、およびグリシドール(日本油脂(株)製、商品名「エピオールOH」)48gを加え、80℃で溶融混合させた。更にポリ(メチルトリメトキシシラン)(多摩化学(株)製、商品名「MTMS-A」、平均繰り返し単位数3.2)348g、および触媒としてジブチル錫ジラウレート1.0gを加え、窒素気流下にて、100℃で8時間、脱メタノール反応させた。更に60℃に冷却後、13kPaに減圧して、溶存するメタノールを完全に除去することにより、有効成分(硬化後)が94%のアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂を得た。なお仕込み時の、エポキシ樹脂(1)の当量は267g/eq、エポキシ樹脂(1)の水酸基とエポキシ化合物(2)の水酸基との合計当量/アルコキシシシラン部分縮合物(3)のアルコキシ基の当量(当量比)は0.22、エポキシ化合物(2)の重量/エポキシ樹脂(1)の重量=0.08であった。本樹脂の1H-NMR(CDCl3溶液)からエポキシ環のメチンピーク(3.3ppm付近)が100%保持されていること、及びエポキシ樹脂中の水酸基のピーク(3.85ppm付近)が消失していることを確認できた。得られたアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂のエポキシ当量は274g/eqであった。 【0049】実施例2(アルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂の製造) 実施例1と同様の反応装置に、エポトートYD−011を180g、エポトートYD−127を455.6g、およびグリシドール80.2gを加え、80℃で溶融混合させた。更にMTMS-Aを348.0g、およびジブチル錫ジラウレートを1.0g加え、窒素気流下にて、100℃で8時間、脱メタノール反応させた。更に60℃に冷却後、13kPaに減圧して、溶存するメタノールを完全に除去することにより、有効成分(硬化後)が94%のアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂を得た。なお仕込み時の、エポキシ樹脂(1)の当量は267g/eq、エポキシ樹脂(1)の水酸基とエポキシ化合物(2)の水酸基との合計当量/アルコキシシシラン部分縮合物(3)のアルコキシ基の当量(当量比)は0.30、エポキシ化合物(2)の重量/エポキシ樹脂(1)の重量=0.13であった。本樹脂の1H-NMR(CDCl3溶液)からエポキシ環のメチンピーク(3.3ppm付近)が100%保持されていること、及びエポキシ樹脂中の水酸基のピーク(3.85ppm付近)が消失していることを確認できた。得られたアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂のエポキシ当量は274g/eqであった。 【0050】実施例3(アルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂の製造) 実施例1と同様の反応装置に、半固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)製、商品名「エピコート834」、エポキシ当量250g/eq、m=0.6)300g、およびグリシドール55.9gを加え、80℃で溶融混合させた。更にMTMS-Aを160.2g、およびジブチル錫ジラウレートを0.5g加え、窒素気流下にて、100℃で8時間、脱メタノール反応させた。更に60℃に冷却後、13kPaに減圧して、溶存するメタノールを完全に除去することにより、有効成分(硬化後)が97%のアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂を得た。なお仕込み時の、エポキシ樹脂(1)の当量は250g/eq、エポキシ樹脂(1)の水酸基とエポキシ化合物(2)の水酸基との合計当量/アルコキシシシラン部分縮合物(3)のアルコキシ基の当量(当量比)は0.44、エポキシ化合物(2)の重量/エポキシ樹脂(1)の重量=0.19であった。本樹脂の1H-NMR(CDCl3溶液)からエポキシ環のメチンピーク(3.3ppm付近)が100%保持されていること、及びエポキシ樹脂中の水酸基のピーク(3.85ppm付近)が消失していることを確認できた。得られたアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂のエポキシ当量は235g/eqであった。 【0051】実施例4(アルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂の製造) 実施例1と同様の反応装置に、エポトートYD−011を300g、エピコート834を275.7g、グリシドール51.4g、およびメチルエチルケトン600gを加え、80℃で溶解させた。更にMTMS-Aを371.9g、およびジブチル錫ジラウレートを1.5g加え、窒素気流下にて、80℃で6時間、生成するメタノールと共に脱溶剤反応をさせ、有効成分(硬化後)が69%のアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂を得た。なお仕込み時の、エポキシ樹脂(1)の当量は367g/eq、エポキシ樹脂(1)の水酸基とエポキシ化合物(2)の水酸基との合計当量/アルコキシシシラン部分縮合物(3)のアルコキシ基の当量(当量比)は0.30、エポキシ化合物(2)の重量/エポキシ樹脂(1)の重量=0.09であった。本樹脂の1H-NMR(CDCl3溶液)からエポキシ環のメチンピーク(3.3ppm付近)が100%保持されていること、及びエポキシ樹脂中の水酸基のピーク(3.85ppm付近)が消失していることを確認できた。得られたアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂のエポキシ当量は510g/eqであった。 【0052】実施例5(アルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂の製造) 実施例1と同様の反応装置に、エポトートYD−011を300g、エポトートYD−127を1004.8g、グリシドール130.5gを加え、80℃で溶融混合させた。更にポリ(テトラメトキシシラン)(多摩化学(株)製、商品名「メチルシリケート51」、平均繰り返し単位数4.0)643.6g、およびジブチル錫ジラウレートを2.0g加え、窒素気流下にて、100℃で8時間、脱メタノール反応させた。更に60℃に冷却後、13kPaに減圧して、溶存するメタノールを完全に除去することにより、有効成分(硬化後)が88%のアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂を得た。なお仕込み時の、エポキシ樹脂(1)の当量は252g/eq、エポキシ樹脂(1)の水酸基とエポキシ化合物(2)の水酸基との合計当量/アルコキシシシラン部分縮合物(3)のアルコキシ基の当量(当量比)は0.20、エポキシ化合物(2)の重量/エポキシ樹脂(1)の重量=0.10であった。本樹脂の1H-NMR(CDCl3溶液)からエポキシ環のメチンピーク(3.3ppm付近)が100%保持されていること、及びエポキシ樹脂中の水酸基のピーク(3.85ppm付近)が消失していることを確認できた。得られたアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂のエポキシ当量は250g/eqであった。 【0053】比較例1エポトートYD−127をそのまま用いた。 【0054】比較例2実施例1と同様の反応装置に、エポトートYD−127を775g加え、80℃で溶解させた。MTMS-Aを296g、およびジブチル錫ジラウレートを1.0g加え、窒素気流下にて、90℃で8時間、脱メタノール反応させた。更に60℃に冷却後、13kPaに減圧して、溶存するメタノールを完全に除去することにより、有効成分(硬化後)が93%のアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂を得た。なお仕込み時の、エポキシ樹脂(1)の当量は185g/eq、エポキシ樹脂(1)の水酸基とエポキシ化合物(2)の水酸基との合計当量/アルコキシシシラン部分縮合物(3)のアルコキシ基の当量(当量比)は0.05であった。本樹脂の1H-NMR(CDCl3溶液)からエポキシ環のメチンピーク(3.3ppm付近)が100%保持されていること、及びエポキシ樹脂中の水酸基のピーク(3.85ppm付近)が消失していることを確認できた。得られたアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂のエポキシ当量は250g/eqであった。 【0055】比較例3実施例1と同様の反応装置に、エポトートYD−011を300.0g、エポトートYD−127を1250g加え、80℃で溶解させた。更にMTMS-Aを581.4g、およびジブチル錫ジラウレートを1.0g加え、窒素気流下にて、100℃で8時間、脱メタノール反応させた。更に60℃に冷却後、13kPaに減圧して、溶存するメタノールを完全に除去することにより、有効成分(硬化後)が94%のアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂を得た。なお仕込み時の、エポキシ樹脂(1)の当量は241g/eq、エポキシ樹脂(1)の水酸基とエポキシ化合物(2)の水酸基との合計当量/アルコキシシシラン部分縮合物(3)のアルコキシ基の当量(当量比)は0.11、エポキシ化合物(2)の重量/エポキシ樹脂(1)の重量=0であった。本樹脂の1H-NMR(CDCl3溶液)からエポキシ環のメチンピーク(3.3ppm付近)が100%保持されていること、及びエポキシ樹脂中の水酸基のピーク(3.85ppm付近)が消失していることを確認できた。得られたアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂のエポキシ当量は280g/eqであった。 【0056】実施例6〜10(エポキシ樹脂組成物の調製) 実施例1〜5で得られた各樹脂をメチルエチルケトンで希釈し、ジシアンジアミドのジメチルホルムアミド15%溶液を、ジシアンジアミドのアミノ基の当量/樹脂溶液中のエポキシ基の当量=1.0になるように加え、各エポキシ樹脂組成物を調製した。 【0057】実施例11実施例1で得られた樹脂をメチルエチルケトンで希釈し、フェノール樹脂(荒川化学工業(株)製、商品名「タマノル759」、フェノール当量106g/eq)のメチルエチルケトン50%溶液をフェノール樹脂の水酸基の当量/樹脂溶液中のエポキシ基の当量=1.0になるように加え、エポキシ樹脂組成物を調製した。 【0058】比較例4〜6比較例1〜3で得られた各樹脂溶液に、ジシアンジアミドのジメチルホルムアミド15%溶液を、ジシアンジアミドのアミノ基の当量/樹脂溶液中のエポキシ基の当量=1.0になるように加え、各エポキシ樹脂組成物を調製した。 【0059】実施例及び比較例で得られた各樹脂組成物を、アルミ製の容器(縦×横×深さ=10cm×10cm×1.5cm)に注ぎ、100℃で1時間、210℃で2時間、硬化を行った。得られた硬化物の状態(気泡、収縮の度合い、外観)を以下の基準で評価した。結果を表1に示す。 【0060】(気泡の評価) ○:硬化物中に気泡がない。 △:硬化物中に気泡が5つ以上存在する。 ×:硬化物中に気泡が5つ以上存在する。 【0061】(収縮評価) ○:硬化物にクラックがない。 △:硬化物にクラックが存在する。 ×:硬化物に多数の割れがある。 【0062】(外観評価) ○:透明。 △:曇りがある。 ×:白化している。 【0063】 【表1】
【0064】表1から、各実施例のエポキシ樹脂組成物は、いずれも透明な硬化フィルム(膜厚約0.4mm)を作成することができたが、比較例5のエポキシ樹脂組成物では、エポキシ樹脂とシリカの相分離によって白化しており、非常に脆いものであった。 【0065】(耐熱性)実施例6〜10および比較例4、6で得られた硬化フィルムを6mm×25mmにカットし、粘弾性測定器(レオロジ社製、商品名「DVE−V4」、測定条件振幅1μm、振動数10Hz、スロープ3℃/分)を用いて動的貯蔵弾性率E’、Tanδを測定して、耐熱性を評価した。測定結果を図1〜図4に示す。 【0066】図1から明らかなように、比較例4では、硬化フィルム(エポキシ樹脂硬化物)は90℃付近で貯蔵弾性率が大幅に低下している。比較例6では改善は見られるものの十分ではない。実施例6〜8では、硬化フィルムの貯蔵弾性率が急激には低下せず、耐熱性に優れていると認められる。 【0067】また図3から明らかなように、実施例9〜11は、高温で高い弾性率を保っており、耐熱性に優れていると認められる。 【0068】図2および4から明らかなように、比較例4では、硬化フィルム(エポキシ樹脂硬化物)のガラス転移点が認められ、また比較例6ではガラス転移点が上昇することが認められるが十分ではない。実施例6〜10のいずれも、Tanδ値から判断して、ガラス転移点は高く、消失傾向にあり、耐熱性に優れていると認められる。 【0069】(熱重量損失)実施例6、10および比較例4〜6で得られた硬化フィルムを用いて、示差熱・熱重量同時測定装置(セイコーインスツルメンス(株)製、商品名「TG/DTA220」、測定条件:スロープ10℃/分)で熱重量損失を測定した。結果を表2に示す。 【0070】 【表2】
【0071】表2から明らかなように、実施例6、10は比較例4〜6に比べて10%重量損失時の温度が十分に高く、耐熱分解性に優れていると認められる。 【0072】実施例12実施例1で得た樹脂に、ノボラック型フェノール樹脂(荒川化学工業(株)製、商品名 タマノル759)を50%にメチルエチルケトンで希釈した溶液を、エポキシ当量/フェノール当量が1/1となる割合で加え、室温で30分攪拌した後、オクチル酸錫を固形分当り1%加え、エポキシ樹脂組成物とした。このエポキシ樹脂組成物を、フッ素樹脂コーティングされた容器(縦×横×深さ=10cm×10cm×1.5cm)に注ぎ、80℃で30分および130℃で30分放置することによりゾル−ゲル硬化させ、膜厚300μmのゴム状の半硬化シートを得た。得られた半硬化シートは、柔軟(最大伸張率が約30%)であり、また50℃以上で成形加工することができた。上記と同様にしてえられた半硬化物を200℃、1×107Paでプレス成形し、エポキシ樹脂−シリカハイブリッド成形物を得た。このエポキシ樹脂−シリカハイブリッドは実施例11の硬化物と同様の耐熱性を示した。 【0073】実施例13実施例1で得た樹脂に、ジシアンジアミドのジメチルホルムアミド溶液(濃度10%)を、エポキシ当量/アミン当量が1/1となる割合で加え、室温で30分攪拌した後、オクチル酸錫を固形分当り1%加え、エポキシ樹脂組成物とした。このエポキシ樹脂組成物を、フッ素樹脂コーティングされた容器(縦×横×深さ=10cm×10cm×1.5cm)に注ぎ、80℃で30分および110℃で30分放置することによりゾル−ゲル硬化させ、膜厚100μmの表面タックの無い半硬化シートを得た。得られた半硬化シートは、最大伸張率が約25%であった。上記と同様にしてえられた半硬化物を200℃、1×107Paでプレス成形し、エポキシ樹脂−シリカハイブリッド成形物を得た。このエポキシ樹脂−シリカハイブリッドは実施例6の硬化物と同様の耐熱性を示した。 【0074】実施例14(アルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂組成物の製造) 実施例1と同様の反応装置に、エポトートYD−011を180g、エポトートYD−127を456.7g、エポキシ化テトラヒドロベンジルアルコール(ダイセル化学工業(株)製、商品名「ETHB」)83.2gを加え、80℃で溶融混合させた。更に。更にMTMS-Aを348.0g、およびジブチル錫ジラウレートを1.0g加え、窒素気流下にて、100℃で8時間、脱メタノール反応させた。更に60℃に冷却後、13kPaに減圧して、溶存するメタノールを完全に除去することにより、有効成分(硬化後)が94%のアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂を得た。なお仕込み時の、エポキシ樹脂(1)の当量は267g/eq、エポキシ樹脂(1)の水酸基とエポキシ化合物(2)の水酸基との合計当量/アルコキシシシラン部分縮合物(3)のアルコキシ基の当量(当量比)は0.23、エポキシ化合物(2)の重量/エポキシ樹脂(1)の重量=0.13であった。本樹脂の1H-NMR(CDCl3溶液)からエポキシ環のメチンピーク(3.3ppm付近)が100%保持されていること、及びエポキシ樹脂中の水酸基のピーク(3.85ppm付近)が消失していることを確認できた。得られたアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂のエポキシ当量は290g/eqであった。このアルコキシ基含有シラン変性エポキシ樹脂をメチルエチルケトンで希釈し、ジシアンジアミドのジメチルホルムアミド15%溶液を、ジシアンジアミドのアミノ基の当量/樹脂溶液中のエポキシ基の当量=1.0になるように加え、各エポキシ樹脂組成物を調製した。本エポキシ樹脂組成物から得られた硬化物は実施例6と全く同様の耐熱性を示した。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000168414 【氏名又は名称】荒川化学工業株式会社
|
| 【出願日】 |
平成13年1月12日(2001.1.12) |
| 【代理人】 |
|
| 【公開番号】 |
特開2002−249539(P2002−249539A) |
| 【公開日】 |
平成14年9月6日(2002.9.6) |
| 【出願番号】 |
特願2001−4472(P2001−4472) |
|