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【発明の名称】 ポリアミド樹脂、ポリアミド樹脂組成物、およびその成形品、ならびにそれらを用いた電子部品付基板の製造方法
【発明者】 【氏名】沢 田 雅 博

【要約】 【課題】

【解決手段】(i)1,9-ジアミノノナンから誘導される1,9-ジアミノノナン単位と、直鎖状の炭素数6〜12の脂肪族ジアミンおよび/または側鎖を有する炭素数6〜12の脂肪族ジアミンから誘導される1,9-ジアミノノナン単位以外の脂肪族ジアミン単位とからなり、1,9-ジアミノノナン単位を85〜100モル%含むジアミン成分(a)と、(ii)テレフタル酸単位60〜100モル%と、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸単位0〜40モル%、および/または炭素原子数4〜20の脂肪族ジカルボン酸単位0〜40モル%とからなるジカルボン酸成分(b)とからなることを特徴とする鉛フリーはんだ加工用ポリアミド樹脂。
【特許請求の範囲】
【請求項1】(i)1,9-ジアミノノナンから誘導される1,9-ジアミノノナン単位と、直鎖状の炭素数6〜12の脂肪族ジアミンおよび/または側鎖を有する炭素数6〜12の脂肪族ジアミンから誘導される1,9-ジアミノノナン単位以外の脂肪族ジアミン単位とからなり、1,9-ジアミノノナン単位を85〜100モル%含むジアミン成分(a)と、(ii)テレフタル酸単位60〜100モル%と、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸単位0〜40モル%、および/または炭素原子数4〜20の脂肪族ジカルボン酸単位0〜40モル%とからなるジカルボン酸成分(b)とからなることを特徴とする鉛フリーはんだ加工用ポリアミド樹脂。
【請求項2】(i)1,9-ジアミノノナンから誘導される1,9-ジアミノノナン単位と、2-メチル-1,8-ジアミノオクタンから誘導される2-メチル-1,8-ジアミノオクタン単位とからなり、1,9-ジアミノノナン単位を85〜100モル%含むジアミン成分(a)と、(ii)テレフタル酸単位60〜100モル%と、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸単位0〜40モル%、および/または炭素原子数4〜20の脂肪族ジカルボン酸単位0〜40モル%とからなるジカルボン酸成分(b)とからなることを特徴とする鉛フリーはんだ加工用ポリアミド樹脂。
【請求項3】25℃の96.5%硫酸中で測定した極限粘度が、0.5〜3.0dl/gの範囲内にあり、DSCで測定した融点が280℃以上、330℃未満であるポリアミド樹脂であって、前記ポリアミド樹脂より形成される成形品のX線回折で測定した結晶化度が15%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の鉛フリーはんだ加工用ポリアミド樹脂。
【請求項4】請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド樹脂および充填剤を含み、前記充填剤の配合量が、ポリアミド樹脂100重量部に対して、0.1〜200重量部の範囲であることを特徴とする鉛フリーはんだ加工用ポリアミド樹脂組成物。
【請求項5】請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド樹脂または請求項4に記載のポリアミド樹脂組成物から形成され、リフローはんだ加工時のリフロー温度プロファイルの最大温度が245〜280℃の範囲にある場合に、形状および表面状態に実質的な変化が生じることがないことを特徴とする成形品。
【請求項6】リフローはんだ加工時のリフロー温度プロファイルの最大温度が245〜280℃の範囲にある場合に、リフロー温度を[最大温度−20℃]〜[最大温度]の範囲で15〜20秒間保持しても、成形品の形状および表面状態に実質的な変化が生じることがないことを特徴とする請求項5に記載の成形品。
【請求項7】前記のリフローはんだ加工前に、40℃、相対湿度95%の条件下で96時間放置していても、成形品の形状および表面状態に実質的な変化が生じることがないことを特徴とする請求項5または6に記載の成形品。
【請求項8】(i)1,9-ジアミノノナンから誘導される1,9-ジアミノノナン単位と、直鎖状の炭素数6〜12の脂肪族ジアミンおよび/または側鎖を有する炭素数6〜12の脂肪族ジアミンから誘導される1,9-ジアミノノナン単位以外の脂肪族ジアミン単位とからなり、1,9-ジアミノノナン単位を85〜100モル%含むジアミン成分(a)と、(ii)テレフタル酸単位60〜100モル%と、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸単位0〜40モル%、および/または炭素原子数4〜20の脂肪族ジカルボン酸単位0〜40モル%とからなるジカルボン酸成分(b)とからなるポリアミド樹脂または当該ポリアミド樹脂を含むポリアミド樹脂組成物から形成される基板上で、リフロー温度プロファイルの最大温度が245〜280℃の範囲となる条件下で、電子部品間のリフローはんだ付けを行うことを特徴とする電子部品付基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の技術分野】本発明は、ポリアミド樹脂、ポリアミド樹脂組成物、その成形品、および電子部品付基板の製造方法に関し、さらに詳しくは、特に電気・電子用部品、自動車部品の成形品材料に好適に用いられ、高結晶性、低吸水性であり、耐熱性に優れるポリアミド樹脂、ポリアミド樹脂組成物、およびその成形品、ならびに前記ポリアミド樹脂およびポリアミド樹脂組成物を用いた電子部品付基板の製造方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】ポリアミドとしては6ナイロン、66ナイロンなどが従来より広く知られている。これらの脂肪族ポリアミドは、優れた成形性を有するため、自動車部品、電気・電子部品、機械等に広く用いられている。一般に、高耐熱ポリアミド樹脂の開発が盛んであり、6ナイロンなどを含む高耐熱樹脂組成物などが実用化されているが、これらは、耐熱変形温度が充分とはいえなかった。また一方で、高耐熱ポリアミドとしてナイロン46が知られているが、その耐熱変形温度従来のポリアミドより高いものの、吸水率が高いという問題があった。
【0003】このような状況下、本願出願人は、特開平3-281532号公報において、(a)ジカルボン酸成分単位が、テレフタル酸成分単位52〜58モル%および脂肪族ジカルボン酸成分単位48〜42モル%からなり、(b)ジアミン成分単位が、脂肪族アルキレンジアミン成分単位および/または脂環族アルキレンジアミン成分単位からなり、かつ、濃硫酸中25℃で測定した極限粘度[η]が0.5〜3.0dl/gの範囲にある芳香族ポリアミドと、繊維状充填剤とを含有するポリアミド樹脂組成物を提案している。該ポリアミド樹脂組成物は耐熱性、耐水性、機械的強度、耐衝撃性等に比較的優れているため、自動車部品、電気・電子部品などの成形材料に広く使用されている。
【0004】ところで、近年、環境保護問題の観点から、電気製品用のはんだとして、鉛を使用しない「鉛フリーはんだ」が使用されつつある。この「鉛フリーはんだ」は、表面実装工程におけるリフロー温度が、従来広く使用されていた鉛と錫の共晶はんだと比較して高い傾向にある。このため、プリント配線板上の電気・電子部品の接続に「鉛フリーはんだ」を用いる場合には、電気・電子部品に使用されるポリアミド樹脂は、従来のポリアミド樹脂と比較して、より耐熱性の高いものが必要とされている。
【0005】また、表面実装用の電気・電子部分では、部品に用いられるポリアミド樹脂の吸水率が高いとリフロー工程時において、部分表面に膨れが生ずる場合がある。したがって、吸水率の低いことも必要とされている。しかしながら、上記のようなポリアミド樹脂組成物は、耐熱性は比較的高いものの、吸水率が高いため、このような表面実装用の電気・電子部品に使用した場合、リフロー工程時において、部品表面に膨れが生じることがあるという問題があった。より具体的には、上記のような従来のポリアミド樹脂組成物から製造される樹脂基板に表面実装工程で鉛フリーはんだを用いて電気・電子部品を接続する場合、当該樹脂基板を、鉛フリーはんだをリフローするために必要な高温に一定時間(たとえば20秒間)保持する必要があるが、この場合に、ポリアミド樹脂基板に膨れが生じるという問題があった。
【0006】このような事情から、表面実装用の電気・電子部品においても好適に用いることができるようなポリアミド樹脂を開発するため、耐熱性の改善に加え、さらに、吸水性を抑えるための検討が行われてきた。ところで、一般に、ポリアミドの吸水性は、非晶部の方が結晶部より高いことが知られている。したがって、吸水性を抑えるために、結晶性の高いポリアミド樹脂の開発が望まれていた。しかしながら、ある程度結晶性の高いポリアミド樹脂においても、成形後に充分に結晶化されていない場合には、アニール処理、もしくは上記のようなリフロー工程時に変形が生じることがある。
【0007】したがって、耐熱性に優れ、耐水性が高く(低吸水性)、高結晶状態の成形品を提供し得る樹脂の出現が望まれていた。また、吸水率の低いポリアミドとして、ジアミン成分の主成分に1,9-ノナンジアミンを使用しているものが知られている(特開平7-228689号公報、特開2000-204239号公報)。しかしながら、これらのポリアミドは側鎖を含むジアミンを多く含有しているため、結晶化阻害が起こり、上記のような変形を引き起こす場合があった。また、結晶化度を高くするために射出成形時の冷却時間を長くする方法があるが、この場合、成形時間の増加などが問題となる。さらに、これらの文献中にはDSCでの結晶化に由来するピークから判断した、結晶化が速いポリアミド樹脂の記載もなされているが、到達する結晶化度の具体的な記載は無く、成形後の結晶化度が低い恐れがある。
【0008】
【発明の目的】本発明は、上記のような問題点を解決しようとするものであって、電気・電子用部品、および自動車部品などの成形材料に好適に用いられ、高結晶性、低吸水性であり、さらに耐熱性にも優れたポリアミド樹脂、ポリアミド樹脂組成物、およびその成形品を提供することを目的としている。また、本発明はさらに、このようなポリアミド樹脂またはポリアミド樹脂組成物を用いた電子部品付基板の製造方法を提供することを目的としている。
【0009】
【発明の概要】本発明者らは、上記のような問題点を解決するために、ポリアミド樹脂を構成する成分について更に詳しく検討した結果、高結晶状態の成形品を提供することができ、低吸水性であり、さらに耐熱性に優れる樹脂を見出して、本発明を完成するに至ったものである。
【0010】本発明は以下の通りである。すなわち、本発明のポリアミド樹脂は、(i)1,9-ジアミノノナンから誘導される1,9-ジアミノノナン単位と、直鎖状の炭素数6〜12の脂肪族ジアミンおよび/または側鎖を有する炭素数6〜12の脂肪族ジアミンから誘導される1,9-ジアミノノナン単位以外の脂肪族ジアミン単位とからなり、1,9-ジアミノノナン単位を85〜100モル%含むジアミン成分(a)と、(ii)テレフタル酸単位60〜100モル%と、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸単位0〜40モル%、および/または炭素原子数4〜20の脂肪族ジカルボン酸単位0〜40モル%とからなるジカルボン酸成分(b)とからなることを特徴としており、鉛フリーはんだ加工に好適に使用される。
【0011】本発明の鉛フリーはんだ加工用ポリアミド樹脂は、(i)1,9-ジアミノノナンから誘導される1,9-ジアミノノナン単位と、2-メチル-1,8-ジアミノオクタンから誘導される2-メチル-1,8-ジアミノオクタン単位とからなり、1,9-ジアミノノナン単位を85〜100モル%含むジアミン成分(a)と、(ii)テレフタル酸単位60〜100モル%と、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸単位0〜40モル%、および/または炭素原子数4〜20の脂肪族ジカルボン酸単位0〜40モル%とからなるジカルボン酸成分(b)とからなることが好ましい。
【0012】上記ポリアミド樹脂は、25℃の96.5%硫酸中で測定した極限粘度が、0.5〜3.0dl/gの範囲内にあり、DSCで測定した融点が280℃以上、330℃未満であることが好ましく、前記ポリアミド樹脂より形成される成形品は、X線回折で測定した結晶化度が15%以上であることが好ましい。本発明の鉛フリーはんだ加工用ポリアミド樹脂組成物は、上記ポリアミド樹脂と充填剤とを含み、前記充填剤の配合量が、ポリアミド樹脂100重量部に対して、0.1〜200重量部の範囲であることを特徴としている。
【0013】本発明の成形品は、上記ポリアミド樹脂またはポリアミド樹脂組成物から形成され、リフローはんだ加工時のリフロー温度プロファイルの最大温度が245〜280℃の範囲にある場合に、成形品の形状および表面状態に実質的な変化が生じることがないことを特徴としている。
【0014】また、本発明の成形品は、リフローはんだ加工時のリフロー温度プロファイルの最大温度が上記範囲にある場合に、リフロー温度を[最大温度−20℃]〜[最大温度]の範囲で15〜20秒間保持しても、成形品の形状および表面状態に実質的な変化が生じないことが好ましい。さらに、本発明の成形品は、前記のリフローはんだ加工前に、40℃、相対湿度95%の条件下で96時間放置していても、成形品の形状および表面状態に実質的な変化が生じることがないことが好ましい。すなわち、40℃、相対湿度95%の条件下で96時間放置した後に、前記のような条件で行われるリフローはんだ加工を行った場合であっても、成形品の形状および表面状態に実質的な変化が生じないことが好ましい。
【0015】本発明の電子部品付基板の製造方法は、(i)1,9-ジアミノノナンから誘導される1,9-ジアミノノナン単位と、直鎖状の炭素数6〜12の脂肪族ジアミンおよび/または側鎖を有する炭素数6〜12の脂肪族ジアミンから誘導される1,9-ジアミノノナン単位以外の脂肪族ジアミン単位とからなり、1,9-ジアミノノナン単位を85〜100モル%含むジアミン成分(a)と、(ii)テレフタル酸単位60〜100モル%と、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸単位0〜40モル%、および/または炭素原子数4〜20の脂肪族ジカルボン酸単位0〜40モル%とからなるジカルボン酸成分(b)とからなるポリアミド樹脂または当該ポリアミド樹脂を含むポリアミド樹脂組成物から形成される基板上で、リフロー温度プロファイルの最大温度が245〜280℃の範囲となる条件下で、電子部品間のリフローはんだ付けを行うことを特徴としている。
【0016】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係るポリアミド樹脂、ポリアミド樹脂組成物、その成形品、およびこれらを用いた電子部品付基板の製造方法について具体的に説明する。
[ポリアミド樹脂]本発明のポリアミド樹脂(A)は、ジアミン成分(a)とジカルボン酸成分(b)とからなる。
【0017】本発明のポリアミド樹脂(A)を構成するジアミン成分(a)は、1,9-ジアミノノナンから誘導される1,9-ジアミノノナン単位と、直鎖状の炭素数6〜12の脂肪族ジアミンおよび/または側鎖を有する炭素数6〜12の脂肪族ジアミンから誘導される1,9-ジアミノノナン単位以外の脂肪族ジアミン単位とからなり、この成分(a)は、1,9-ジアミノノナン単位を85〜100モル%、好ましくは90〜100モル%含有することが好ましい。
【0018】ジアミン成分(a)を構成する1,9-ジアミノノナン単位以外の炭素原子数6〜12の直鎖状の脂肪族ジアミン単位は、たとえば1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,10−ジアミノデカン、1,11-ジアミノウンデカン、および1,12−ジアミノドデカンから誘導される。これらのなかでは、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、および1,10−ジアミノデカンから誘導されることが特に好ましい。
【0019】ジアミン成分(a)を構成する側鎖を有する炭素原子数6〜12の脂肪族ジアミン単位は、特に制限はないが、たとえば2−メチル−1,5−ジアミノペンタン、2−メチル−1,6−ジアミノヘキサン、2−メチル−1,7−ジアミノヘプタン、2−メチル−1,8−ジアミノオクタン、2−メチル−1,9−ジアミノノナン、2−メチル−1,10−ジアミノデカン、2−メチル−1,11−ジアミノウンデカン等から誘導される。これらのなかでは、2−メチル−1,7−ジアミノヘプタン、2−メチル−1,8−ジアミノオクタン、2−メチル−1,9−ジアミノノナンから誘導されることが好ましく、特に、2-メチル-1,8-ジアミノオクタンから誘導されることが好ましい。
【0020】1,9-ジアミノノナン単位以外の脂肪族ジアミン単位においては、直鎖脂肪族ジアミン単位と側鎖アルキル基を有する脂肪族ジアミン単位の割合は任意であるが、直鎖脂肪族ジアミン単位、もしくは側鎖アルキル基を有する脂肪族ジアミン単位を単独で使用することが好ましく、特に側鎖アルキル基を有する脂肪族ジアミン単位を用いることが好ましい。
【0021】本発明のポリアミド樹脂(A)を構成するジカルボン酸成分(b)は、テレフタル酸単位60〜100モル%と、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸単位0〜40モル%および/または炭素原子数4〜20の脂肪族ジカルボン酸単位0〜40モル%とからなることが好ましい。このうちテレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸単位は、たとえばイソフタル酸、2-メチルテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸およびこれらの組み合わせなどから誘導されることが好ましい。
【0022】また、脂肪族ジカルボン酸単位は、その炭素数を特に制限するものではないが、好ましくは4〜20、さらに好ましくは6〜12の脂肪族ジカルボン酸から誘導される。このような脂肪族ジカルボン酸の例としては、たとえば、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸およびドデカンジカルボン酸等が挙げられる。これらの中でも、アジピン酸が特に好ましい。
【0023】本発明においては、ジカルボン酸成分(b)を構成するジカルボン酸単位の全量を100モル%とするとき、テレフタル酸単位は、60〜100モル%、好ましくは80〜100モル%の量で含有される。また、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸単位は0〜40モル%、好ましくは0〜20モル%の量で含有され、炭素原子数4〜20、好ましくは4〜12の脂肪族ジカルボン酸単位は0〜40モル%、好ましくは0〜20モル%の量で含有されていることが好ましい。
【0024】また、本発明においては、ジカルボン酸成分(b)として、上記のようなテレフタル酸単位、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸単位および/または脂肪族ジカルボン酸単位とともに、少量、たとえば、10モル%以下程度の量の多価カルボン酸単位が含まれていてもよい。このような多価カルボン酸単位は、具体的には、トリメリット酸およびピロメリット酸等のような三塩基酸および多塩基酸から誘導される。
【0025】本発明のポリアミド樹脂(A)を製造するためには、上記のようなジアミンとジカルボン酸とを加えて、触媒の存在下に加熱することにより製造することができる。またこの反応において、ジアミンの全モル数が、ジカルボン酸の全モル数より多く配合されることが好ましく、特に好ましくは全ジカルボン酸を100モルとしたとき、全ジアミンは100〜120モルであることが望ましい。この反応は、通常は不活性ガス雰囲気下で行なわれ、一般には反応容器内を窒素ガスなどの不活性ガスで置換する。また、ポリアミドの重縮合反応を制御するために、水を予め封入しておくことが望ましく、水に可溶な有機溶媒、たとえばメタノール、エタノールなどのアルコール類が含有されていても良い。
【0026】本発明のポリアミド樹脂(A)を製造する際に用いられる触媒としては、リン酸、その塩およびリン酸エステル化合物;亜リン酸、その塩およびエステル化合物;並びに、次亜リン酸、その塩およびエステル化合物を使用することができる。これらの中でも、リン酸ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸ナトリウム等が好ましい。
【0027】これらのリン酸化合物は、単独であるいは組み合わせて使用することができる。このようなリン系化合物は、上記のようなジカルボン酸1モルに対して、通常は0.001〜5モル、好ましくは0.002〜2モルの割合で用いられる。また本発明のポリアミド樹脂(A)を製造するためには、末端封止剤を使用することが好ましい。この末端封止剤としては、安息香酸、安息香酸のアルカリ金属塩、酢酸等を使用することができる。このような末端封止剤は、ジカルボン酸1モルに対して、通常は0.001〜5モル、好ましくは0.01〜2モルの範囲内の量で使用される。この末端封止剤の使用量を調整することにより、得られる重縮合物の極限粘度[η]を制御することができる。
【0028】このような重縮合物を調製する際の反応温度は通常200〜290℃、好ましくは220〜280℃であり、反応時間は通常0.5〜5時間、好ましくは1〜3時間である。さらにこの反応は常圧から加圧のいずれの条件においても行うことができるが、特に加圧条件で反応を行うことが好ましく、反応圧は、通常20〜60kg/cm2、好ましくは25〜50kg/cm2の範囲内に設定される。そして、このようにして重縮合反応を行うことにより、25℃の96.5%硫酸中で測定した極限粘度[η]が、通常は0.05〜0.6dl/g、好ましくは0.08〜0.3dl/gの範囲内にある低次縮合物を得ることができる。こうして水性媒体中に生成したポリアミド低次縮合物は、反応液と分離される。このポリアミド低次縮合物と反応液との分離には、例えば濾過、遠心分離等の方法を採用することもできるが、生成した半芳香族ポリアミド低次縮合物を含有する反応液を、ノズルを介して大気中にフラッシュすることにより、固液分離する方法が効率的である。
【0029】本発明では上記のようにして得られたポリアミド低次縮合物を用いて後重合を行う。この後重合は、上記ポリアミド低次縮合物を乾燥した後に加熱して、溶融状態にし、この溶融物に剪断応力を付与しながら行うことが好ましい。この反応に際しては、乾燥ポリアミド低次縮合物が少なくとも溶融する温度に加熱する。一般には、乾燥ポリアミド低次縮合物の融点以上の温度、好ましくはこの融点よりも10〜60℃高い温度に加熱される。剪断応力は、例えばベント付き二軸押出機、ニーダー等を用いることにより溶融物に付与することができる。こうして溶融物に剪断応力を付与することにより、溶融状態にある乾燥ポリアミド低次縮合物が相互に重縮合すると共に、縮合物の重縮合反応も進行するものと考えられる。
【0030】本発明のポリアミド樹脂の製造に関する他の方法として、上記ポリアミド低次縮合物を一般公知の方法にて固相重合させて、極限粘度[η]が0.5〜2.0dl/gの範囲のポリアミドを調製することができる。本発明のポリアミド樹脂は、また、上記ポリアミド低次縮合物を一般公知の方法にて固相重合させて、極限粘度[η]が0.5〜1.5dl/gの範囲のポリアミド前駆体を調製し、さらにこの前駆体を溶融重合させて、極限粘度[η]を0.8〜3.0dl/gの範囲にすることによって製造できる。
【0031】また本発明のポリアミド樹脂(A)は、このポリアミドの融点以上、分解温度未満に加熱して、通常の成形装置を使用して所望の形状に成形することができる。特に射出成形によって、電気・電子部品および自動車部品を効率よく成形することができる。このようなポリアミド樹脂(A)は、優れた成形性、低吸水性、および耐熱性を有する。
【0032】本発明で用いられるポリアミド樹脂は、25℃の96.5%硫酸中で測定した極限粘度が、0.5〜3.0dl/g、好ましくは0.5〜2.5dl/g、特に0.6〜2.0dl/gであることが好ましい。極限粘度がこのような範囲にある場合、成形性や成形品の強度特性等に優れる。また、本発明のポリアミド樹脂は、DSCで測定した融点が280℃以上、330℃未満、特に290℃〜320℃の範囲内にあることが好ましい。このような範囲にあるポリアミド樹脂は、特に優れた耐熱性を有する。
【0033】融点測定は、DSCを用いて一旦330℃で5分間保持し、次いで10℃/分の速度で23℃まで降温せしめた後、10℃/分で昇温して行った。このときの融解に基づく吸熱ピークを融点(Tm)とした。本発明のポリアミド樹脂は、該ポリアミド樹脂から成形した成形品のX線回折法で測定した結晶化度が15%以上、特に20%以上あることが好ましい。結晶化度がこのような範囲内にあるポリアミド樹脂は、成形品の形状安定性に優れる。
【0034】結晶化度の測定はX線回折法にて行い、非晶樹脂、および成形品のX線散乱曲線のピーク積分値を各々A1、A2とし、以下の式により算出した。なお、非晶樹脂は溶融樹脂を液体窒素で急冷することにより調製した。
結晶化度(%)=(A2−A1)/A2 ×100A1:非晶樹脂のX線散乱曲線のピーク積分値A2:結晶樹脂のX線散乱曲線のピーク積分値本発明のポリアミド樹脂は、上記のような種々の優れた特性を有するため、鉛フリーはんだを用いたはんだ付けプロセスを経て製造されるような成形品の材料として特に有用である。すなわち、本発明のポリアミド樹脂は、鉛フリーはんだ加工用として特に有用である。
【0035】[ポリアミド樹脂組成物]本発明のポリアミド樹脂組成物は、上記のようなポリアミド樹脂と、充填剤とを含んでなる。充填剤としては、目的、用途に応じて以下の充填剤を、本発明の効果を損なわない範囲で配合することができ、たとえば、ポリアミド樹脂(A)100重量部に対し、0.1〜200重量部、好ましくは20〜180重量部の割合で配合することができる。
【0036】本発明で用いられる充填剤としては、たとえば、繊維状の充填材(特にガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維等)、粉末状、粒状、板状、針状の充填材(特にシリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、二酸化チタン、タルク、ウォラストナイト、ケイソウ土、クレー、カオリン、球状ガラス、マイカ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸カリウム、ウイスカ等)、難燃剤(臭素化ポリスチレン、ポリ臭素化スチレン、臭素化ポリカーボネート、臭素化フェノールの縮合物、赤リン、酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛などの金属ホウ酸塩等)、酸化防止剤や耐熱安定剤(酸化マグネシウム、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト類、リン化合物、ヒンダートフェノール類、ハイドロキノン類、ハロゲン化銅、ヨウ素化合物等)、他の重合体(オレフィン類、変性ポリオレフィン類、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1-ブテン共重合体、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1-ブテン共重合体等のオレフィン共重合体、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリスルフォン、ポリフェニレンオキシド、弗素樹脂、シリコーン樹脂、脂肪族ポリアミド等)、可塑剤、増粘剤、帯電防止剤、離型剤、顔料、染料、核剤等、種々公知の配合剤が挙げられる。
【0037】本発明に係るポリアミド樹脂組成物は、上述した各成分を、種々公知の方法、たとえばヘンシェルミキサー、V-ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダーなどで混合する方法、あるいは混合後、一軸押出機、多軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどで溶融混練した後、造粒あるいは粉砕する方法を用いることで調製することができる。
【0038】具体的には、上記ポリアミド樹脂(A)を溶融状態、たとえば280〜360℃に加熱・維持しながら、必要により上記繊維状充填剤、粉末状充填剤、各種添加剤を配合して混練するなどの方法により調製することができる。この際、押出し機、ニーダー等の通常の混練装置を用いることができる。
[成形品]上記のポリアミド樹脂または上記のようにして調製された本発明のポリアミド樹脂組成物は、粉末、ペレット状その他の形状とされ、圧縮成形法、射出成形法、押出し成形法などにより、電気・電子部品、または自動車部品などの各種成形品にすることができる。
【0039】本発明に係るポリアミド樹脂またはポリアミド樹脂組成物は、結晶化度が高く、低吸水性、耐熱性、成形性、機械的諸強度などの特性にも優れており、また高結晶状態の成形品を提供し得るため、特に、電気・電子部品、自動車部品の成形材料として好適に用いられ、なかでも電子部品が実装された電子部品付基板の成形材料として特に好適に用いられる。
【0040】このようなポリアミド樹脂またはポリアミド樹脂組成物より得られた成形品は、吸水率が低く、また、リフローはんだ工程時、特に融点の高い鉛フリーはんだ工程時などのかなりの高温条件下に晒される場合においても、成形品の形状、および、膨れなどの表面状態における実質的な変化が生じることもなく、耐熱性にも優れている。
【0041】本発明の成形品は、上記のような優れた特性を有するポリアミド樹脂またはポリアミド樹脂組成物から形成されるので、リフローはんだ加工時のリフロー温度プロファイルの最大温度(ピーク温度)が245〜280℃、好ましくは250〜280℃、さらに好ましくは255℃〜280℃の範囲にある場合にも、成形品の形状および表面状態に実質的な変化が生じることがない。本発明の成形品は、リフローはんだ加工(リフローはんだ付け)を行う際に、たとえばリフローはんだ装置のリフロー炉の最大温度が、上記温度範囲内にあるいずれかの温度となった場合においても、成形品の形状および表面状態に実質的な変化(たとえば膨れ)が生じることがないので、リフローはんだ加工用、特に鉛フリーはんだを用いたリフローはんだ加工用に好適に用いられる。なお、本発明の成形品は、上記温度範囲に含まれるすべての温度において、"成形品の形状および表面状態に実質的な変化が生じることがない"という条件を満たす必要はなく、上記温度範囲内のいずれかの温度において、形状等の実質的変化が生じなければよい。
【0042】また、本発明の成形品には、最大温度が上記温度範囲内にある場合に、さらに、リフローはんだ加工時のリフロー温度を[最大温度−20℃]〜[最大温度]、好ましくは[最大温度−10℃]〜[最大温度]の範囲で15〜20秒間、特に20秒間保持した場合にも、形状および表面状態に実質的な変化を生じることがないものも含まれる。
【0043】さらに、本発明の成形品には、リフローはんだ加工前に、リフローはんだ加工前の成形品を40℃、相対湿度95%の条件下で96時間放置し、上記のような条件ではんだリフローを行った場合においても、上記のいずれの条件でも、成形品の形状および表面状態に実質的な変化が生じることがないものも含まれる。図1に、標準的なリフロー温度プロファイルを示す。図1は、約150℃で50秒間余熱を行い、その後一気に加熱して、リフロー温度を240℃〜250℃(最大温度は、この場合250℃である)に20秒間保持した後、冷却を行った場合のリフロー温度プロファイルである。
【0044】なお、本発明において、リフロー温度とは、はんだをリフローする際の温度であって、たとえば、図1に示した温度プロファイル中の範囲Aにおける温度をいう。このような成形品は、たとえば電気・電子部品または自動車用部品などであってもよく、電子部品付基板のような実装品であってもよい。
[電子部品付基板の製造方法]本発明の電子部品付基板の製造方法では、上記ポリアミド樹脂または当該ポリアミド樹脂を含むポリアミド樹脂組成物から形成される基板上で、リフロー温度プロファイルの最大温度が245〜280℃となる条件下で、電子部品間、すなわち、電子部品の端子間のリフローはんだ付けをすることにより表面実装がなされる。
【0045】本発明の製造方法は、主に鉛を含まない鉛フリーはんだを用いたリフローはんだ付けに使用される。以下、本発明の電子部品付基板の製造方法についてより具体的に説明する。上記電子部品付基板は、たとえば、本発明のポリアミド樹脂またはポリアミド樹脂組成物から製造される基板に、電気・電子部品等を表面実装することにより製造される。
【0046】表面実装時に行われるリフローはんだ付けは、リフローはんだ装置において、リフロー温度プロファイルの最大温度が245〜280℃、好ましくは250〜280℃、さらに好ましくは255℃〜280℃の範囲となるように行われる。このような高温でリフローはんだ付けを行っても、本発明のポリアミド樹脂またはポリアミド樹脂組成物より製造される電子部品付基板の表面状態は実施的に変化せず(膨れは生じず)、また、その形状も実質的に変化することはない。
【0047】本発明の電子部品付基板の製造方法においては、リフローはんだ付けに用いられるはんだの種類は特に限定されないが、本発明の製造方法は、特に、融点の高い、鉛を含まない鉛フリーはんだによるリフローはんだ付けに好適に用いられる。なお、従来より広く用いられている鉛系のはんだにも用いることができる。
【0048】
【発明の効果】本発明に係るポリアミド樹脂およびポリアミド樹脂組成物は、上記のような単位を上記のような特定の割合で含む特定のポリアミド樹脂を含有しているので、特に高結晶性、低吸水性であり、耐熱性、成形性、強度特性にも優れており、また、高結晶状態の成形品を提供し得るため、電気・電子部品、自動車部品などの成形材料、特に電子部品付基板の材料として好適である。
【0049】また、上記ポリアミド樹脂およびポリアミド樹脂組成物を用いて形成された本発明に係る成形品は、吸水性が低く、しかも、高温条件下でのリフロー工程においても耐熱性に優れ、たとえば、従来用いられていた鉛と錫の共晶はんだより、融点の高い鉛フリーはんだを用いたリフロー工程に用いても、成形品に実質的形状の変化が生じない。
【0050】本発明の電子部品付基板の製造方法では、上記のような優れた特性を有するポリアミド樹脂またはポリアミド樹脂組成物が基板として用いられるため、高温でのリフローはんだ付け処理を必要とする鉛フリーはんだプロセスを採用することができる。
【0051】
【実施例】次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。なお、実施例および比較例中の極限粘度[η]、融点、結晶化度、吸水率、リフロー時に膨れが生じる温度は、以下の方法に従って測定した。
【0052】極限粘度[η]:ポリアミド樹脂0.5gを96.5%硫酸溶液50mlに溶解し、ウベローデ粘度計を使用し、25.0±0.05℃の条件下で試料溶液の流下秒数を測定し、以下の式に基づき算出した。
[η]=ηSP/[C(1+0.205ηSP)]ηSP=(t-t0)/t0[η]:極限粘度(dl/g)
ηSP:比粘度C :試料濃度(g/dl)
t :試料溶液の流下秒数(秒)
t0 :ブランク硫酸の流下秒数(秒)
融点(Tm):PERKIN ELMER社製DSC7型を用いて、一旦330℃で5分間保持し、次いで10℃/分の速度で23℃まで降温せしめた後、10℃/分で昇温して行った。このときの融解に基づく吸熱ピークを融点とした。
【0053】結晶化度:ポリアミド樹脂を、射出圧力1000kg/cm2、シリンダー温度を樹脂の融点より10℃高い温度に設定し、金型温度120℃にて長さ64mm、幅6mm、厚さ0.8mmの試験片を射出成形した。この試験片について、結晶化度をX線回折により測定した。理学機器(株)製Ru300を用いて、Cuターゲット、50kv、300mA、ポイントフォーカス、試料回転透過法にて測定した。非晶樹脂、および成形品のX線散乱曲線のピーク積分値を各々A1、A2とし、以下の式により算出した。なお、非晶樹脂は溶融樹脂を液体窒素で急冷することにより調製した。
【0054】結晶化度(%)=(A2−A1)/A2 ×100A1:非晶樹脂のX線散乱曲線のピーク積分値A2:試料のX線散乱曲線のピーク積分値吸水率:ポリアミド樹脂組成物を、射出圧力1000kg/cm2、シリンダー温度を樹脂の融点より10℃高い温度に設定し、金型温度120℃にて射出成形し、長さ64mm、幅6mm、厚さ0.8mmの試験片を得た。この試験片を40℃、相対湿度95%の恒温恒湿室に保管して吸水させた。96時間吸水させた後、試験片重量を精密天秤で測定した。吸水率(重量%)は、次の式で求めた。
【0055】M=(M2−M1)/M1 ×100M:吸水率(重量%)
1:試験片の絶乾重量(g)M2:吸水後の試験片重量(g)リフロー時に膨れが生じない最大温度:上記吸水率測定に使用した試験片と同様に試験片を作成した。この試験片を40℃、相対湿度95%の恒温恒湿室で96時間放置した(前処理)。前処理を行った試験片を、赤外線及び熱風併用型リフローはんだ装置(日本アントム工業(株)製、SOLSYS-2001R)を用いて、図1に示したような所定の温度プロファイルでリフローを行った。この温度プロファイルで、リフロー温度を種々に変化させた以外は同じ条件でリフローを行い、リフロー時に膨れが生じない最大温度を測定した。なお、図1には、リフロー温度を240℃以上(最大温度250℃)で20秒間保持した場合の温度プロファイルを示している。すなわち、本試験においては、図1中の範囲Aに相当する温度(20秒間保持する温度)の下限値は、最大温度から10℃低くなるように設定した。
【0056】
【実施例1】テレフタル酸46.5kg(280モル)、1,9−ジアミノノナンを44.7kg(283モル)、安息香酸0.43kg(3.5モル)、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.06kg(0.6モル)および蒸留水27.4kgをオートクレーブに入れ、反応釜内部を十分に窒素置換した。攪拌しながら内部温度を4時間かけて250℃に昇温した。そのまま1時間反応を続け、ポリアミド低次縮合物を得た。このポリアミド低次縮合物を真空下190℃で、12時間固相重合した。その後、スクリュー径37mm、L/D=36の二軸押出機にて、ポリアミドの融点より30℃高いバレル設定温度でスクリュー回転数300rpm、10kg/hの樹脂供給速度で溶融重合して、ポリアミド樹脂を得た。このポリアミド樹脂の極限粘度[η]、融点(Tm)、結晶化度を下記の表1に示す。当該ポリアミド樹脂40重量部に対し、ガラス繊維(旭ファイバーグラス製;CS03JAFT2A)30重量部、難燃剤(ポリジブロモポリスチレン;グレートレイクスケミカル製;PDBS-80)25重量部、難燃助剤(アンチモン酸ソーダ;日産化学(株)製;サンエポックNA-1070L)4重量部、核剤(タルク;松村産業(株)製;ハイフィラー)1重量部を加え、二軸押出機にてポリアミド樹脂の融点より10〜30℃高い温度にて溶融混練してポリアミド樹脂組成物を得た。このポリアミド樹脂組成物を射出成形し、吸水率およびリフロー時に膨れが生じる温度を測定した。
【0057】その結果を表1に示す。
【0058】
【実施例2〜4】下記表1に示すジアミン成分、およびジカルボン酸成分を下記表1に記載したモル比にて用いた以外は、実施例1と同様の方法によって重合し、ポリアミド樹脂を得た。次いで、得られたポリアミド樹脂を用いて、実施例1と同様にポリアミド樹脂組成物を製造した。これらを実施例1と同様に評価した。
【0059】その結果を表1に示す。
【0060】
【実施例5】下記表1に示すジアミン成分、およびジカルボン酸成分を下記表1に記載したモル比によって用いた以外は、実施例1と同様の方法にて重合し、ポリアミド樹脂を得た。次いで、得られたポリアミド樹脂を用いて、核剤を添加しない以外は実施例1と同様にポリアミド樹脂組成物を製造した。これらを実施例1と同様に評価した。
【0061】その結果を表1に示す。なお、当該ポリアミド樹脂は高結晶性を有するため、核剤を添加しない場合においても、低吸水性、および耐熱性を有する。
【0062】
【比較例1、2】下記表1に示すジアミン成分、およびジカルボン酸成分を下記表1に記載したモル比にて用いた以外は、実施例1と同様の方法によって重合し、ポリアミド樹脂を得た。次いで、得られたポリアミド樹脂を用いて、実施例1と同様に溶融混練してポリアミド樹脂組成物を得た。これらを実施例1と同様に評価した。
【0063】これらの結果を表1に示す。
【0064】
【比較例3】実施例1において、ジアミンの種類を1,9−ジアミノノナンに代えて、1,6−ジアミノヘキサンとし、ジアミン成分およびジカルボン酸成分の配合量(モル比)を表1に記載したモル比とした以外は、実施例1と同様の方法によってポリアミド樹脂、およびポリアミド樹脂組成物を製造した。これらを実施例1と同様に評価した。
【0065】これらの結果を表1に示す。
【0066】
【表1】

【出願人】 【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
【出願日】 平成13年11月28日(2001.11.28)
【代理人】 【識別番号】100081994
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 俊一郎 (外1名)
【公開番号】 特開2002−234942(P2002−234942A)
【公開日】 平成14年8月23日(2002.8.23)
【出願番号】 特願2001−363157(P2001−363157)