| 【発明の名称】 |
水系ポリウレタン樹脂組成物及びそれを用いたプラスチックフィルム用コーティング剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】桐生 やまお
【氏名】片山 充祥
【氏名】佐藤 一雄
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| 【要約】 |
【課題】幅広い種類のプラスチックフィルムに優れた密着性を示し、優れた耐水性ならびに耐ブロッキング性を有し、塗膜硬度も高く、環境及び毒性の問題のない水系ポリウレタン樹脂組成物を提供することにある。
【解決手段】芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸と分岐グリコールとを構成成分とするポリエステルグリコール(A)を35以上70重量%未満と、水酸基数が3個以上のポリオール(B)と、有機ジイソシアネート(C)と、遊離のカルボキシル基を有する鎖伸長剤(D)又は三級アミノ基を有する鎖伸長剤(D′)とを構成成分とする末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを、前記遊離のカルボキシル基を有する鎖伸長剤(D)又は三級アミノ基を有する鎖伸長剤(D′)に対して0.4〜0.8モル量の中和剤(E)の存在下、水で架橋させた酸価又はアミン価12.5〜81.0(KOHmg/g)の水系ポリウレタン樹脂組成物。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸と分岐グリコールとを構成成分とするポリエステルグリコール(A)を35以上70重量%未満と、水酸基数が3個以上のポリオール(B)と、有機ジイソシアネート(C)と、遊離のカルボキシル基を有する鎖伸長剤(D)とを構成成分とする末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを、前記遊離のカルボキシル基を有する鎖伸長剤(D)に対して0.4〜0.8モル量の中和剤(E)の存在下、水で架橋させた酸価12.5〜81.0(KOHmg/g)の水系ポリウレタン樹脂組成物。 【請求項2】 芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸と分岐グリコールとを構成成分とするポリエステルグリコール(A)を35以上70重量%未満と、水酸基数が3個以上のポリオール(B)と、有機ジイソシアネート(C)と、三級アミノ基を有する鎖伸長剤(D′)とを構成成分とする末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを、前記三級アミノ基を有する鎖伸長剤(D′)に対して0.4〜0.8モル量の中和剤(E)の存在下、水で架橋させたアミン価12.5〜81.0(KOHmg/g)の水系ポリウレタン樹脂組成物。 【請求項3】 水系ポリウレタン樹脂末端のアミン価が、1.0〜25.0(KOHmg/g)である請求項2記載の水系ポリウレタン樹脂組成物。 【請求項4】 水系ポリウレタン樹脂の鉛筆硬度が、2H以上である請求項1乃至3の何れかに記載の水系ポリウレタン樹脂組成物。 【請求項5】 水系ポリウレタン樹脂のガラス転移温度が、40℃以上である請求項1乃至4の何れかに記載の水系ポリウレタン樹脂組成物。 【請求項6】 請求項1乃至5の何れかに記載の水系ポリウレタン樹脂組成物を含むプラスチックフィルム用コーティング剤。 【請求項7】 更にカルボジイミド化合物又はエポキシ化合物を含む請求項6記載のプラスチックフィルム用コーティング剤。 【請求項8】 プラスチックフィルムが、延伸ポリプロピレンフィルム又は未延伸ポリプロピレンフィルムである請求項6又は7記載のプラスチックフィルム用コーティング剤。 【請求項9】 プラスチックフィルムがコロナ放電処理されたプラスチックフィルムである請求項6乃至8の何れかに記載のプラスチックフィルム用コーティング剤。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、水系ポリウレタン樹脂組成物に関し、更に詳しくは幅広い種類のプラスチックフィルムに対し優れた密着性を有し、その形成被膜は表面コーティング用途に適した硬度と透明性を有している水系ポリウレタン樹脂組成物に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、被包装物の多様化、包装技術の高度化に伴い各種プラスチックフィルムの装飾又は表面保護のためにコーティングが施されている。ここで使用されているコーティング剤は種々のプラスチックフィルムに対して十分な密着性、強い耐性、及び後加工適性等が要求されている。これらのコーティング剤の性能は、コーティング剤を構成する樹脂の性能に依存することから、従来よりプラスチックフィルムに対する密着性等からポリウレタン樹脂を主成分とする溶剤系コーティング剤がよく使用されている。特に、ポリオレフィン系フィルムでは、塩素化ポリオレフィンを主成分とする溶剤系プライマー組成物が使用されることが多い。 【0003】一方、最近では、環境問題、省資源、労働安全性及び食品衛生等の見地から、水系或いは非塩素系のコーティング剤に対する要望が強くなっている。しかし、水系コーティング剤は、一般にプラスチックフィルムに対する密着性若しくはラミネート強度が十分でなく、更にボイル等に対する耐性が低いという問題がある。 【0004】この問題を解決するための水性ポリウレタン樹脂が、特開昭61−36314号公報に開示されている。この公報には、芳香族ジカルボン酸を70重量%以上含む酸成分とグリコール成分より構成されたポリエステルポリオールとポリイソシアネート化合物と必要に応じて鎖伸長剤とから得られる高分子量体であって、該高分子量体中にペンダントカルボキシル基を含有し、該カルボキシル基がアンモニアもしくは有機アミンで中和されている水性ポリエステルポリウレタン樹脂が開示されている。上記水性ポリエステルポリウレタン樹脂を使用すると、ポリエステルフィルムに対する密着性に優れ、かつ優れた耐水性ならびに耐ブロッキング性を有するコーティング剤が得られる。しかしながら、ポリオレフィン系フィルムに対する密着性は十分でないという問題を抱えている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的は、幅広い種類のプラスチックフィルムに優れた密着性を示し、優れた耐水性ならびに耐ブロッキング性を有し、塗膜硬度も高い水系ポリウレタン樹脂組成物を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明者等は、前記課題を達成するため鋭意検討の結果、芳香族と脂肪族との混合ジカルボン酸と分岐グリコールとを構成成分としたポリエステルグリコールと、水酸基数が3個以上のポリオールと、遊離のカルボキシル基又は三級アミノ基を有する鎖伸長剤を構成成分とした末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを、完全に中和することなくカルボキシル基又は三級アミノ基を残すことにより、幅広い種類のフィルムに対する密着性が改善されることを見いだし本発明を完成した。 【0007】即ち、本発明の組成物は、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸と分岐グリコールとを構成成分とするポリエステルグリコール(A)を35以上70重量%未満と、水酸基数が3個以上のポリオール(B)と、有機ジイソシアネート(C)と、遊離のカルボキシル基を有する鎖伸長剤(D)とを構成成分とする末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを、前記遊離のカルボキシル基を有する鎖伸長剤(D)に対して0.4〜0.8モル量の中和剤(E)の存在下、水で架橋させた酸価12.5〜81.0(KOHmg/g)の水系ポリウレタン樹脂組成物であり、そして、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸と分岐グリコールとを構成成分とするポリエステルグリコール(A)を35以上70重量%未満と、水酸基数が3個以上のポリオール(B)と、有機ジイソシアネート(C)と、三級アミノ基を有する鎖伸長剤(D′)とを構成成分とする末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを、前記三級アミノ基を有する鎖伸長剤(D′)に対して0.4〜0.8モル量の中和剤(E)の存在下、水で架橋させたアミン価12.5〜81.0(KOHmg/g)の水系ポリウレタン樹脂組成物である。前記水系ポリウレタン樹脂末端のアミン価は1.0〜25.0(KOHmg/g)であってもよい。前記水系ポリウレタン樹脂は、鉛筆硬度が2H以上であってもよく、ガラス転移温度が40℃以上であってもよい。 【0008】 【発明の実施の形態】本発明においては、酸成分として芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸を、ポリオール成分として少なくとも分岐グリコールを使用し、酸成分とポリオール成分とを反応させて得られるポリエステルグリコール(A)、及び水酸基数が3個以上のポリオール(B)を有機ジイソシアネート(C)と、少なくとも遊離のカルボキシル基を有する鎖伸長剤(D)又は三級アミノ基を有する鎖伸長剤(D′)とを反応させて得られる末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを、前記遊離のカルボキシル基を有する鎖伸長剤(D)又は三級アミノ基を有する鎖伸長剤(D′)の中和量より少ない0.4〜0.8モル量の中和剤(E)の存在下で、水で架橋させた酸価12.5〜81.0(KOHmg/g)又はアミン価12.5〜81.0(KOHmg/g)の水系ポリウレタン樹脂組成物であって、この水系ポリウレタン樹脂組成物を使用することにより、幅広い種類のプラスチックフィルムに対する密着性に優れ、そして、耐水性ならびに耐ブロッキング性に優れ、その形成被膜は表面コーティング用途に適した硬度と透明性を発揮する。 【0009】本発明で用いられるポリエステルグリコール(A)を構成する酸成分としての芳香族ジカルボン酸は、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸等、或いはこれらの酸無水物、アルキルエステル、酸ハライド等の反応性誘導体などを挙げることができる。これらの芳香族ジカルボン酸は単独または2種以上併用して用いられる。 【0010】脂肪族ジカルボン酸は、例えば、マロン酸、琥珀酸、酒石酸、蓚酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、アルキルコハク酸、リノレイン酸、マレイン酸、フマール酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸等、或いはこれらの酸無水物、アルキルエステル、酸ハライド等の反応性誘導体などを挙げることができる。これらの脂肪族ジカルボン酸は単独または2種以上併用して用いられる。 【0011】前記酸成分中の芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸の比率は重量比で、芳香族ジカルボン酸:脂肪族ジカルボン酸が9.5:0.5〜5:5、好ましくは9:1〜6:4、より好ましくは9:1〜7:3である。芳香族ジカルボン酸が95重量%を越えるとプラスチックフィルムに対する接着性が低下し、50重量%未満では耐水性ならびに耐ブロッキング性が低下する。 【0012】本発明で用いられるポリエステルグリコール(A)を構成するグリコール成分としての分岐グリコールは、例えば、1,2−プロピレングリコール、1−メチル−1,3−ブチレングリコール、2−メチル−1,3−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1−メチル−1,4−ペンチレングリコール、2−メチル−1,4−ペンチレングリコール、1,2−ジメチル−ネオペンチルグリコール、2,3−ジメチル−ネオペンチルグリコール、1−メチル−1,5−ペンチレングリコール、2−メチル−1,5−ペンチレングリコール、3−メチル−1,5−ペンチレングリコール、1,2−ジメチルブチレングリコール、1,3−ジメチルブチレングリコール、2,3−ジメチルブチレングリコール、1,4−ジメチルブチレングリコール等を挙げることができる。これらの分岐グリコールは単独でまたは2種以上併用して用いられる。 【0013】本発明においては、ポリエステルグリコール(A)を構成するグリコール成分として、前記分岐グリコールに加えて、直鎖グリコールを必要に応じて目的とする性能を低下させない範囲で追加成分として使用してもよく、かかる直鎖グリコールは、例えば、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,5−ペンチレングリコール、1,6−ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール等を挙げることができる。これらの直鎖グリコールは単独でまたは2種以上併用して用いられる。 【0014】また、前記ポリエステルグリコール(A)は、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーに対してポリエステルセグメントとして35以上70重量%未満、より好ましくは、40〜60重量%未満含有するのがよい。35重量%未満では、塗膜硬度が低下し、耐ブロッキング性が不良になり、また70重量%以上では、密着性が不良になるため好ましくない。 【0015】前記ポリエステルグリコール(A)の数平均分子量は通常500〜10000、好ましくは1000〜5000、より好ましくは1200〜3000である。数平均分子量が500未満では得られるポリウレタン樹脂が硬くて脆くなり、密着性も低下する。また数平均分子量が10000を越えると得られるポリウレタン樹脂が柔らかくなり、耐ブロッキング性も低下する。 【0016】本発明におけるポリエステルグリコール(A)は、酸成分とグリコール成分とを脱水縮合せしめる公知のポリエステル製造方法と同様の方法で得られる。 【0017】本発明で用いられる水酸基数が3個以上のポリオール(B)は、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトラオール、1,4−ソルビタン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等を挙げることができる。これらの水酸基数が3個以上のポリオール(B)は単独でまたは2種以上併用して用いられる。前記水酸基数が3個以上のポリオール(B)は、得られるポリウレタン樹脂の水分散性を損なわない範囲で使用することによりプラスチックフィルムに対して密着性を改善することができる。 【0018】本発明で用いられる有機ジイソシアネート(C)は、脂肪族ジイソシアネート(例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,4−ブタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネートなどが例示できる)、脂環族ジイソシアネート(例えば、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、4,4′−シクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンなどが例示できる)、芳香族ジイソシアネート(例えば、トリレンジイソシアネート、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4′−ジベンジルジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネートなどが例示できる)、芳香脂肪族ジイソシアネート(例えば、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、α,α,α,α−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが例示できる)等を挙げることができる。これらの有機ジイソシアネートは単独でも用いることができるし、2種以上の混合物にして用いることもできる。 【0019】本発明で用いられる遊離のカルボキシル基を有する鎖伸長剤(D)は、ジヒドロキシカルボン酸、例えば、ジアルキロールアルカン酸、特にジメチロールアルカン酸(例えば、ジメチロール酢酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸、ジメチロールペンタン酸などが例示できる)、ジヒドロキシスクシン酸などを挙げることができる。これらの遊離のカルボキシル基を有する鎖伸長剤(D)は単独でまたは2種以上併用して用いられる。 【0020】本発明で用いられる三級アミノ基を有する鎖伸長剤(D′)は、N−アルキルジアルカノールアミン(例えば、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミンなどが例示できる)、N−アルキルジアミノアルキルアミン(例えば、N−メチルジアミノエチルアミン、N−エチルジアミノエチルアミンなどが例示できる)等を挙げることができる。これらの三級アミノ基を有する鎖伸長剤(D′)は単独でまたは2種以上併用して用いられる。 【0021】更に、他の使用可能な鎖伸長剤としては、グリコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、プロピレングリコールなどが例示できる)、脂肪族ジアミン(例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、アミノエチルエタノールアミンなどが例示できる)、脂環族ジアミン(例えば、イソホロンジアミン、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジアミンなどが例示できる)、芳香族ジアミン(例えば、キシリレンジアミン、トリレンジアミンなどが例示できる。)等を挙げることができる。これらの他の使用可能な鎖伸長剤は単独でまたは2種以上併用して用いられる。 【0022】これらの鎖伸長剤(D)又は(D′)はポリウレタン樹脂の水性化に必要であり、鎖伸長剤(D)又は(D′)は、最終的に得られる水系ポリウレタン樹脂の酸価又はアミン価が12.5〜81.0、好ましくは30〜65になるように添加するのが好ましい。酸価又はアミン価が12.5未満では、水性化能が低すぎるため水系で安定な自己乳化状態を維持するのが困難となり好ましくない、一方、酸価又はアミン価が81.0を越えると水性化能は十分であるが、被膜が硬くなりすぎたり、また、耐水性が低くなり好ましくない。 【0023】本発明の水系ポリウレタン樹脂組成物は、従来公知のいかなる方法によっても製造が可能であり、(1)各成分を一度に反応させるワンショット法または、(2)段階的に反応させる多段法、例えば、有機ポリイソシアネートと活性水素化合物の一部とを反応させてイソシアネート基を末端に有するプレポリマーを形成した後、活性水素化合物の残部を加えて更に反応させて製造する方法などのいずれの方法で製造してもよいが、ポリウレタン分子鎖中へのカルボキシル基又は三級アミノ基の導入が容易である点で多段法が好ましい。また、ポリウレタン樹脂をイソシアネートに対して不活性で水と相溶する有機溶剤中で反応後、水を添加し、その後、有機溶剤を取り除く方法も好ましく使用できる。 【0024】本発明の水系ポリウレタン樹脂組成物の製造においては、イソシアネートに対して不活性で水と相溶する有機溶剤中で有機ジイソシアネート(C)と、ポリエステルグリコール(A)と、水酸基数が3個以上のポリオール(B)とを反応させてイソシアネート基を末端に有するプレポリマーを形成した後、遊離のカルボキシル基を有する鎖伸長剤(D)又は三級アミノ基を有する鎖伸長剤(D′)とを反応させて得られる末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを、中和剤(E)の存在下水中で、水で鎖伸長させると同時に水性化させることによって得られる。ここで言う水性化とは、樹脂を水中に安定に分散もしくは乳化させることを指す。 【0025】プレポリマー合成においては、イソシアネートが過剰系で合成され、その遊離のイソシアネート基の含有量は0.2〜3.0重量%であり、好ましくは0.5〜2.0重量%である。3.0重量%を越えると、分子量が大きくなりすぎ、0.2重量%未満では、密着性が低下する。 【0026】前記中和剤(E)は、例えば、アンモニア、N−メチルモルホリン、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールなどが挙げられる。また、三級アミノ基を四級アンモニウム塩として中和する中和剤としては、ハロゲン化アルキル(例えば、ベンジルクロライド、メチルクロライドなど)、硫酸エステル(例えば、硫酸ジメチル、硫酸ジエチルなど)等が挙げられる。これらの中和剤(E)は単独でまたは2種以上併用して用いられる。 【0027】中和剤(E)の使用量は、前記遊離のカルボキシル基を有する鎖伸長剤(D)又は前記三級アミノ基を有する鎖伸長剤(D′)に対して0.4〜0.8モル、好ましくは0.6〜0.8モルであり、遊離のカルボキシル基又は三級アミノ基を完全に中和することなく一部遊離のカルボキシル基又は三級アミノ基として残すことにより幅広い種類のプラスチックフィルムに対して密着性を向上させることができる。 【0028】前記ポリウレタン樹脂の製造は通常20〜140℃、好ましくは40〜120℃の温度で行われる。前記反応に際しては、反応を促進させるため、必要により通常ウレタン反応において使用される触媒を使用してもよい。ウレタン反応触媒としては、アミン触媒(例えば、トリエチルアミン、N−エチルモルホリン、トリエチレンジアミンなど)、錫系触媒(例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、オクチル酸錫など)、チタン系触媒(例えば、テトラブチルチタネートなど)等を挙げるこができる。触媒の使用量はポリウレタン樹脂に対して通常0.1重量%以下である。 【0029】本発明で使用してもよい、前記イソシアネートに対して不活性で水と相溶する有機溶剤としては、エステル系溶剤(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセロソルブアセテートなど)、ケトン系溶剤(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、エーテル系溶剤(例えば、ジオキサン、テトラハイドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテルなど)、アミド系溶剤(例えば、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなど)等を挙げることができる。これらの溶剤は単独でまたは2種以上併用して用いられ、好ましいものは、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルである。 【0030】このようにして得られる本発明のポリウレタン樹脂の数平均分子量は5000〜600000、好ましくは10000〜400000である。数平均分子量が5000未満であると、これを用いたコーティング剤の塗膜の乾燥性、耐ブロッキング性が不良となる。一方数平均分子量が600000を越えると、ポリウレタン樹脂溶液の粘度が高いため取扱いが困難となり好ましくない。 【0031】また、このようにして得られる本発明のポリウレタン樹脂の樹脂末端のアミン価は1.0〜25.0(KOHmg/g)、好ましくは1.5〜16.0(KOHmg/g)である。樹脂末端のアミン価が1.0未満であると、これを用いたコーティング剤塗膜の各種プラスチックフィルムへの密着性が不良となる。一方樹脂末端のアミン価が25.0を越えても塗膜の各種プラスチックフィルムへの密着性が不良になり好ましくない。 【0032】本発明におけるポリウレタン樹脂組成物の乾燥被膜における鉛筆硬度は2H以上である。鉛筆硬度が2H未満では塗膜表面に傷がつきやすく、耐ブロッキング性も不十分となりやすい。 【0033】また、本発明におけるポリウレタン樹脂組成物のガラス転移温度は、40℃以上であり、ガラス転移温度が40℃未満では、塗膜の耐熱性、耐ブロッキング性が不十分となりやすい。 【0034】本発明の水系ポリウレタン樹脂組成物はそのままでも、プラスチックフィルム用コーティング剤として使用されるが、必要に応じて顔料や染料、固形分や粘度調整のための水、ブロッキング防止剤、分散安定剤、揺変剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤、増粘剤、分散剤、界面活性剤、触媒、フィラー、滑剤、帯電防止剤等を添加し、これらをボールミル、サンドグラインドミル等を用いて混合して得られる組成物をプラスチックフィルム用コーティング剤として使用してもよい。 【0035】更にアミノプラスト化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物などの架橋剤を添加して使用することが好ましい。これらの架橋剤を添加したプラスチックフィルム用コーティング剤は、各種プラスチックフィルムに適用した場合、非常に優れた密着性を示し、耐水性、耐溶剤性が向上する。 【0036】本発明のプラスチックフィルム用コーティング剤を適用する対象フィルムは、例えば、ポリエステルフィルム(延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムと記す)など)、ナイロンフィルム(延伸ナイロンフィルム、未延伸ナイロンフィルムなど)、ポリオレフィンフィルム(ポリエチレンフィルム(以下、PEフィルムと記す)、延伸ポリプロピレンフィルム(以下、OPPフィルムと記す)、未延伸ポリプロピレンフィルム(以下、CPPフィルムと記す)など)等が好ましく、コロナ放電処理などの表面処理を施したフィルムも好ましく使用できる。なかでも、コロナ放電処理などの表面処理を施した延伸ポリプロピレンフィルム及び未延伸ポリプロピレンフィルムがより好ましく使用できる。コロナ放電処理などの表面処理を施すことにより密着性を向上させることができる。 【0037】 【実施例】以下に、実施例及び比較例に基づき、本発明を更に詳細に説明する。実施例及び比較例中、部及び%は、重量部及び重量%をそれぞれ表す。 【0038】実施例、比較例に使用したポリエステルグリコールの組成を表1に示した。 【0039】 【表1】
【0040】実施例1ポリエステルグリコールA 580部、トリメチロールプロパン 15部、メチルエチルケトン 667部を加え十分撹拌溶解し、次いでイソホロンジイソシアネート 300部を加え75℃で1時間反応させた。反応終了後、60℃まで冷却し、ジメチロールプロピオン酸 105部、トリエチルアミン 59部(ジメチロールプロピオン酸に対し0.6モル)を加え、75℃で反応させてNCO含量が1.0%の末端イソシアネート基を有するプレポリマー溶液を得た。次いでこのプレポリマーを40℃まで冷却して、水1857部を加え、ホモミキサーで高速撹拌し、乳化した。この樹脂溶液を加熱減圧下、メチルエチルケトンを留去し、固形分35%の水系ポリウレタン樹脂組成物1を得た。得られた水系ポリウレタン樹脂組成物1の物性及び各種フィルムに対する密着性を測定した。結果を表2に示した。 【0041】実施例2〜5、比較例1〜3実施例1と同様な方法で表2に示す割合で各種原料を使用して実施例2〜6、表3に示す割合で各種原料を使用して比較例1〜6の水系ポリウレタン樹脂組成物を得た。得られた水系ポリウレタン樹脂組成物の物性及び各種フィルムへの密着性も表2、表3に示した。 【0042】下記に示した4種のフィルムを密着性の測定に使用した。 【0043】1.OPP:厚さ100μm、コロナ放電処理延伸ポリプロピレンフィルム2.CPP:厚さ60μm、コロナ放電処理未延伸ポリプロピレンフィルム3.PET:厚さ100μm、コロナ放電処理延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム4.PE:厚さ60μm、コロナ放電処理延伸ポリエチレンフィルム水系ポリウレタン樹脂組成物は下記に示す方法で評価した。 (1)数平均分子量ポリスチレン検量線による、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した。 (2)酸価固形分1g中に含まれる遊離カルボキシル基を中和するに要するKOHのmg数を示し、合成に用いた遊離のカルボキシル基を有する鎖伸長剤(D)の仕込量より算出した。 (3)アミン価固形分1g中に含まれるアミンを中和するに要する酸と当量のKOHのmg数を示し、合成に用いた三級アミノ基を有する鎖伸長剤(D′)の仕込量より算出した。 (4)末端アミン価全アミン価から第3アミン価(遊離のカルボシル基の中和剤由来)を差し引いたアミン価を示し、滴定して求めた。 (5)ガラス転移温度動的粘弾性における損失弾性率(E″)が極大となった時の温度をガラス転移温度とし、測定条件は、周波数:10Hz、昇温速度:毎分2℃である。 (6)鉛筆硬度水系ポリウレタン樹脂組成物を乾燥膜厚75〜100μmになるように鋼板に塗布し、室温(25℃)乾燥を24時間行い、その後50℃で3時間、そして120℃で20で20分乾燥して塗膜を得た。塗膜の鉛筆硬度は、JIS K5400の試験機法に基づいて測定した。 (7)密着性実施例、比較例で得られた水系ポリウレタン樹脂組成物を上記各種フィルムに乾燥膜厚10μmになるように塗布し、室温(25℃)乾燥した後、80℃で5分熱処理を行った。塗膜の密着性は、JIS K5400の碁盤目テープ法に基づいて評価した。 【0044】塗布面に2mmマスを碁盤目状に100マス作り、セロハン粘着テープを貼り付け、これを急速に剥がしたときの皮膜がフィルムから剥離する度合いから密着性を評価した。評価結果は下記のように表示した。 【0045】 ◎:全く剥がれなかったもの○:80%以上フィルムに残ったもの×:20%以下にとどまったもの【0046】 【表2】
【0047】 【表3】
【0048】実施例7〜9実施例1で得られた水系ポリウレタン樹脂組成物1に各種架橋剤を表4に示す割合で添加混合してプラスチックフィルム用コーティング剤を得た。これらのOPPフィルムへの密着性及び皮膜の耐水・耐溶剤性を評価した。結果を表4に示した。 【0049】コーティング剤は下記に示す方法で評価した。 (1) OPPフィルムへの密着性の評価各コーティング剤を厚み100μmのコロナ放電処理OPPフィルムへ乾燥膜厚10μmになるように塗布し、室温(25℃)乾燥した後、80℃で5分熱処理を行った。塗膜の密着性は、JIS K5400の碁盤目テープ法に基づいて評価した。 【0050】塗布面に2mmマスを碁盤目状に100マス作り、セロハン粘着テープを貼り付け、これを急速に剥がしたときの皮膜がフィルムから剥離する度合いから密着性を評価した。評価結果は下記のように表示した。 【0051】 ◎:全く剥がれなかったもの○:80%以上フィルムに残ったもの×:20%以下にとどまったもの(2) 耐水・耐溶剤性の評価各コーティング剤を乾燥厚み約200〜300μmになるように塗布し室温乾燥(25℃)を24時間行い、その後50℃で3時間、そして120℃で20分乾燥して皮膜を作成した。 【0052】この皮膜から2×4cmの試験片を切り取りこの試験片を(1)40℃の温水、(2)70℃の温水、(3)酢酸エチル/トルエン=1/1(重量比)、(4)エタノール、(5)イソプロピルアルコールに24時間浸漬し、浸漬前の重量と浸漬後の重量を測定し、重量の増加率(%)で表示した。 【0053】 【表4】
【0054】本発明の水系ポリウレタン樹脂組成物は、幅広い種類のプラスチックフィルムに優れた密着性を有していることが確認された。そして、架橋剤(カルボジイミド化合物、エポキシ化合物)を添加した皮膜は耐水・耐溶剤性が向上していることが確認された。 【0055】 【発明の効果】本発明の水系ポリウレタン樹脂組成物により、幅広い種類のプラスチックフィルムに対して密着性に優れ、その形成被膜は表面コーティング用途に適した硬度と透明性を有している水系ポリウレタン樹脂組成物が得られる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003506 【氏名又は名称】第一工業製薬株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年2月8日(2001.2.8) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100065868 【弁理士】 【氏名又は名称】角田 嘉宏 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−234931(P2002−234931A) |
| 【公開日】 |
平成14年8月23日(2002.8.23) |
| 【出願番号】 |
特願2001−32186(P2001−32186) |
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