トップ :: C 化学 冶金 :: C08 有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物




【発明の名称】 ベルト成形用材料及び伝動ベルト
【発明者】 【氏名】原 浩一郎

【氏名】井上 豊茂

【要約】 【課題】環境に対する負荷が低い硬化剤が使用され、また、従来のウレタン製伝動ベルトと同等以上の性能を有する伝動ベルトを製造することができるベルト成形用材料を提供する。

【解決手段】ベルト成形用金型に注入し、硬化反応させてウレタン製の伝動ベルトを製造するために使用されるベルト成形用材料において、ポリイソシアネートとポリオールとを合成して生成され且つイソシアネート基の質量含有率が4.7%より大きいプレポリマーに、3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミン及び3,5−ジメチルチオ−2,6−トルエンジアミンを硬化剤として含有させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ベルト成形用金型に注入し、硬化反応させてウレタン製の伝動ベルトを製造するために使用されるベルト成形用材料であって、ポリイソシアネートとポリオールとを合成して生成させ且つイソシアネート基の質量含有率(NCO%)が4.7%よりも大きいプレポリマーに、3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミン及び3,5−ジメチルチオ−2,6−トルエンジアミンを硬化剤として含有させてなることを特徴とするベルト成形用材料。
【請求項2】 ベルト成形用金型に注入し、硬化反応させてウレタン製の伝動ベルトを製造するために使用されるベルト成形用材料であって、ポリイソシアネートとポリオールとを合成して生成され且つ分子中に末端イソシアネート基を2つ有するプレポリマーに、3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミン及び3,5−ジメチルチオ−2,6−トルエンジアミンを硬化剤として含有させてなり、これらが反応して生成するポリウレタンの架橋点間分子量が2000よりも小さくなるように構成されていることを特徴とするベルト成形用材料。
【請求項3】 ベルト成形用金型に注入し、硬化反応させてウレタン製の伝動ベルトを製造するために使用されるベルト成形用材料であって、ポリイソシアネートとポリオールとを合成して生成させた擬プレポリマーと該擬プレポリマーを構成するポリオールと同種又は別種のポリオールとを混合してなり且つ該擬プレポリマーに含まれるイソシアネート基の質量が混合物質量の4.7%よりも大きい原材料混合物に、3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミン及び3,5−ジメチルチオ−2,6−トルエンジアミンを硬化剤として含有させてなることを特徴とするベルト成形用材料。
【請求項4】 ベルト成形用金型に注入し、硬化反応させてウレタン製の伝動ベルトを製造するために使用されるベルト成形用材料であって、ポリイソシアネートとポリオールとを混合してなり且つ該ポリイソシアネートの総イソシアネート基の数から該ポリオールの総水酸基の数を減じて残るイソシアネート基の数に対応するイソシアネート基の質量が混合物質量の4.7%よりも大きい原材料混合物に、3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミン及び3,5−ジメチルチオ−2,6−トルエンジアミンを硬化剤として含有させてなることを特徴とするベルト成形用材料。
【請求項5】 請求項1乃至4のいずれか一に記載のベルト成形用材料が硬化反応してベルト本体が構成されたことを特徴とする伝動ベルト。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ベルト成形用材料及びその材料が硬化反応してベルト本体が構成された伝動ベルトに関する。
【0002】
【従来の技術】一般産業用機械、OA機器等の分野において、ウレタン製の伝動ベルトが使用されている。かかるウレタン製の伝動ベルトは、トリレンジイソシアネート(以後「TDI」と称する)等のポリイソシアネートとポリテトラメチレンエーテルグリコール(以後「PTMG」と称する)等のポリオールとを合成して生成させた液状のプレポリマーに、下記化学式1で示される3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(以下「MOCA」と称する)等の硬化剤及びその他の配合剤を含有させたベルト成形用材料をベルト成形用金型に注入し、それを硬化反応させることにより製造される。
【0003】
【化1】

【0004】ここで、硬化剤として使用されるMOCAは、PRTR法(Pollutant Release and Transfer Register)で指定化学物質に定められているように、その環境に対する負荷が大きく、使用することが好ましくない物質であるといえる。
【0005】特開平7−292237号公報には、ポリオール及びフェニルイソシアネート誘導体からなるウレタンプレポリマーを主成分とするポリウレタン組成物であって、架橋剤(硬化剤)としてジエチルトリレンジアミンおよび可塑剤が配合され、ジエチルトリレンジアミン中のNH2基とウレタンプレポリマー中のNCO基との当量比(NH2基/NCO基)の値が0.75〜1.2であり、可塑剤の配合量がウレタンプレポリマー100質量部に対して10〜50質量部であるものが開示されており、かかる構成によれば、通常の注型法に適用が可能であり、また、人体に有害な物質を含有せず、耐摩耗性、耐屈曲性、耐永久歪性などの機械的特性などの物性のバランスにすぐれるベルトを得ることができる、との内容が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本出願の課題は、MOCAに比べて環境に対する負荷が低い硬化剤が使用され、また、MOCAを硬化剤として用いたウレタン製伝動ベルトと同等以上の性能を有する伝動ベルトを製造することができるベルト成形用材料、及びその材料が硬化反応してベルト本体が構成された伝動ベルトを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、硬化剤として下記化学式2で示される3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミンと、下記化学式3で示される3,5−ジメチルチオ−2,6−トルエンジアミンと、の混合物を用いるようにしたものである。
【0008】
【化2】

【0009】
【化3】

【0010】具体的には、本発明は、ベルト成形用金型に注入し、硬化反応させてウレタン製の伝動ベルトを製造するために使用されるベルト成形用材料であって、ポリイソシアネートとポリオールとを合成して生成させ且つイソシアネート基の質量含有率(NCO%)が4.7%より大きいプレポリマーに、3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミン及び3,5−ジメチルチオ−2,6−トルエンジアミンを硬化剤として含有させてなることを特徴とする。
【0011】上記の構成によれば、硬化剤である3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミン及び3,5−ジメチルチオ−2,6−トルエンジアミンはいずれもMOCAのようにPRTR法で指定化学物質に定められたものではないので、成形される伝動ベルトは環境に対する負荷が低いものとなる。
【0012】ところで、MOCAのように異性体をほとんど含まない単一化合物からなる硬化剤によりプレポリマーを硬化させた場合、硬化したポリウレタンは、プレポリマー部分がソフトセグメントを、硬化剤部分が凝集したハードセグメントをそれぞれ構成した不均質構造を形成し、そのハードセグメントが疑似架橋点となって補強効果を発現するが、異性体の混合物からなる硬化剤によりプレポリマーを硬化させた場合、硬化したポリウレタンは、硬化剤部分の分子構造が不揃いとなり、凝集構造の形成が困難となって均質構造化することとなる。しかしながら、上記の構成によれば、プレポリマーに含まれるイソシアネート基の質量含有率(NCO%)が4.7%よりも大きくしているので、異性体の混合物からなる硬化剤を用いても硬化剤による架橋部が多く形成され、硬化したポリウレタン中で硬化剤部分が凝集構造を形成する確率が高められるので、ソフトセグメントとハードセグメントとによる不均質構造を有するポリウレタンのベルト本体が形成され、それによってMOCAを硬化剤として用いたウレタン製の伝動ベルトと同等以上の性能を有する伝動ベルトを得ることができる。
【0013】ここで、プレポリマーを構成するポリイソシアネートとしては、特に限定されるものではなく、TDI、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等を挙げることができる。
【0014】プレポリマーを構成するポリオールとしては、特に限定されるものではなく、例えば、PTMG、ポリプロピレンエーテルグリコール(PPG)等のポリエーテルグリコールや、ポリエチレンアジペート(PEA)、ポリ−ε−カプロラクトングリコール(PCL)等のポリエステルグリコールを挙げることができる。
【0015】硬化剤である3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミンと3,5−ジメチルチオ−2,6−トルエンジアミンとは相互に異性体の関係にあるが、これは、これらは化合物合成の際に不可避的に混合状態で生成されるものであり、その混合質量比は、3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミン/3,5−ジメチルチオ−2,6−トルエンジアミン=80/20〜90/10である。
【0016】ところで、本発明のベルト成形用材料において、末端イソシアネート基含有プレポリマーの官能基数が2である場合、プレポリマーと硬化剤とが反応して生成するポリウレタンの架橋点間分子量は2000よりも小さくなる。すなわち、これは、ポリイソシアネートとポリオールとを合成して生成され且つ分子中に末端イソシアネート基を2つ有するプレポリマーに、3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミン及び3,5−ジメチルチオ−2,6−トルエンジアミンを硬化剤として含有させてなり、これらが反応して生成するポリウレタンの架橋点間分子量が2000よりも小さくなるように構成されているベルト成形用材料と等価である。
【0017】また、以上の構成は、プレポリマー成形法に用いるベルト成形用材料に限定されず、擬プレポリマー成形法に用いるベルト成形材料であっても適用可能である。その場合、ポリイソシアネートとポリオールとを合成して生成された擬プレポリマーとその擬プレポリマーを構成するポリオールと同種又は別種のポリオールとを混合してなり且つ擬プレポリマーに含まれるイソシアネート基の質量が混合物質量の4.7%よりも大きい原材料混合物に、3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミン及び3,5−ジメチルチオ−2,6−トルエンジアミンを硬化剤として含有させるようにすればよい。
【0018】さらに、この構成は、ワンショット成形法に用いるベルト成形材料であっても適用可能である。その場合、ポリイソシアネートとポリオールとを混合してなり且つポリイソシアネートの総イソシアネート基の数からポリオールの総水酸基の数を減じて残るイソシアネート基の数に対応するイソシアネート基の質量が混合物質量の4.7%よりも大きい原材料混合物に、3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミン及び3,5−ジメチルチオ−2,6−トルエンジアミンを硬化剤として含有させるようにすればよい。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、硬化剤である3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミン及び3,5−ジメチルチオ−2,6−トルエンジアミンはいずれもMOCAのようにPRTR法で指定化学物質に定められたものではないので、成形される伝動ベルトの環境に対する負荷を低いものとすることができる。
【0020】また、プレポリマーに含まれるイソシアネート基の質量含有率(NCO%)が4.7%よりも大きくしているので、異性体の混合物からなる硬化剤を用いているにもかかわらず、ソフトセグメントとハードセグメントとによる不均質構造を有するポリウレタンのベルト本体が形成され、それによってMOCAを硬化剤として用いたウレタン製の伝動ベルトと同等以上の性能を有する伝動ベルトを得ることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】(歯付ベルトBの構成)図1は本発明の実施形態に係る歯付ベルトBを示す。
【0023】歯付ベルトBは、内周面にベルト長さ方向に所定ピッチでベルト歯2,2,…が設けられたベルト本体1によって形成されている。また、各ベルト歯2の底部に沿って抗張体としての心線3が略ベルト長さ方向に延び且つベルト幅方向にピッチを形成して螺旋状に設けられている。さらに、ベルト歯2,2,…と心線3との間に位置するように補強布4が埋設されている。
【0024】ベルト本体1は、ポリイソシアネート成分をTDIとし且つポリオール成分をPTMGとして両者を合成してなり、分子中に2つの末端イソシアネート基を有し且つその含有質量率が4.7%より大きい液状のプレポリマーに、硬化剤としての3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミンと3,5−ジメチルチオ−2,6−トルエンジアミンとの混合物(2,4−体/2,6−体=80/20)と、反応促進剤としての有機酸であるオレイン酸と、可塑剤としてのジ−(2−エチルヘキシル)フタレート(以後「DOP」と称する)と、が含有させたベルト成形用材料が硬化反応したポリウレタン組成物で構成されている。ここで、プレポリマーに含まれるイソシアネート基のモル数に対する硬化剤に含まれるアミノ基のモル数の比が0.7〜1.3となるように設定されている。また、ベルト本体1を構成するポリウレタン組成物の架橋点間分子量は2000よりも小さいものとなっている。
【0025】また、心線3は、アラミド繊維の撚糸により形成されており、エポキシ樹脂溶液への浸漬及び加熱による接着処理が施されている。
【0026】そして、補強布4は、セルロース繊維の不織布により形成されている。
【0027】(歯付ベルトBの製造方法)次に、歯付ベルトBの製造方法について説明する。
【0028】<補強布・心線セット工程>軸方向に延びる溝が周方向に所定ピッチで設けられた内金型の周面を補強布としてのセルロース繊維の不織布で被覆し、次いでアラミド繊維の撚糸からなる心線を所定ピッチで螺旋状に巻き付ける。そして、円筒状の外金型の中心に上記内金型を設置する。このとき、内金型と外金型との間にはウレタン組成物を注入するための隙間が形成される。
【0029】<ベルト成形用材料準備工程>PTMGとTDIとにより合成されてなり、分子中に2つの末端イソシアネート基を有し且つその含有質量率が4.7%より大きい液状のプレポリマーを80℃に温調すると共に、減圧して脱泡する。次いで、45℃に温調された容器内で3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミン及び3,5−ジメチルチオ−2,6−トルエンジアミン(硬化剤)とオレイン酸(反応促進剤)とDOPとを混ぜ合わせて均一な溶液とし、これをプレポリマーに注入して攪拌することにより液状のベルト成形用材料を形成する。このとき、硬化剤の含有量を、プレポリマーに含まれるイソシアネート基のモル数に対する硬化剤に含まれるアミノ基のモル数の比が0.7〜1.3となるように設定する。
【0030】<ベルト成形用材料注入・硬化工程>得られたベルト成形用材料を外金型と内金型との間の隙間に注入し、これを100℃雰囲気下に15分保持する。これによって、ベルト成形用材料の硬化反応が促進される。ここで、このとき形成されるポリウレタン組成物は、架橋点間分子量が2000より小さいものとなる。
【0031】<脱型工程>外金型及び内金型からベルト成形用材料が硬化して形成された円筒状のベルト前駆体を脱型する。
【0032】<幅カット工程>脱型したベルト前駆体を所定幅に輪切りにし、歯付ベルトBを得る。
【0033】(作用・効果)上記構成のベルト成形用材料によれば、硬化剤はMOCAのようにPRTR法で指定化学物質に定められたものではないので、成形される歯付ベルトBは環境に対する負荷が低いものとなる。
【0034】また、異性体の混合物からなる硬化剤によりプレポリマーを硬化させた場合、硬化したポリウレタンは、図2(a)に示すように、硬化剤部分5の分子構造が不揃いとなり、凝集構造の形成が困難となって均質構造化することとなるが、上記構成のベルト成形用材料によれば、プレポリマーに含まれるイソシアネート基の質量含有率(NCO%)を4.7%よりも大きくしているので、異性体の混合物からなる硬化剤を用いても硬化剤による架橋部が多く形成され、図2(b)に示すように、ベルト本体1を構成する硬化したポリウレタンは、その硬化剤部分5が凝集構造を形成する確率が高められるので、プレポリマー成分6によるソフトセグメントと硬化剤成分5によるハードセグメントとによる不均質構造を有するポリウレタンで形成され、製造される歯付ベルトBは、MOCAを硬化剤として用いたウレタン製の伝動ベルトと同等以上の性能を有するものとなる。
【0035】(その他の実施形態)上記実施形態では、ベルト成形用材料が硬化反応してベルト本体が構成される伝動ベルトを歯付ベルトとしたが、特にこれに限定されるものではなく、平ベルト、Vベルト、Vリブドベルト、丸ベルト等であってもよい。
【0036】また、上記実施形態では、ウレタン組成物のプレポリマーを構成するポリイソシアネートとしてTDIを用いたが、特にこれに限定されるものではなく、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)であってもよい。
【0037】また、上記実施形態では、ベルト成形用材料のプレポリマーを構成するポリオールとしてPTMGを用いたが、特にこれに限定されるものではなく、ポリプロピレンエーテルグリコール(PPG)等の他のポリエーテルグリコールや、ポリエチレンアジペート(PEA)、ポリ−ε−カプロラクトングリコール(PCL)等のポリエステルグリコールであってもよい。但し、グリコール化合物の結晶性が高い場合には、可塑剤含有による硬度調整効果が小さいものとなるので、ポリエーテルグリコールが好適に用いられる。
【0038】また、上記実施形態では、ウレタン組成物の反応促進剤として有機酸であるオレイン酸を用いたが、特にこれに限定されるものではなく、セバシン酸やアジピン酸等の脂肪族カルボン酸化合物、安息香酸やトルイル酸のような芳香族カルボン酸化合物であってもよい。但し、配合等の加工性を考慮すると室温で液状であるオレイン酸が特に好ましく用いられる。
【0039】また、上記実施形態では、可塑剤としてDOPを用いたが、特にこれに限定されるものではなく、トリメリト酸アルキルエステルであるトリメリト酸混合アルキルエステルと、アセチルトリブチルシトレート等のクエン酸エステル、グリセロールジアセチルモノラウレート等のアセチル化モノグリセライド及びポリエーテルエステルのうち少なくとも1種とを混合した可塑剤を用いるようにしてもよい。DOPは可塑剤としては環境負荷が高いものであるのに対し、かかる混合可塑剤は環境負荷がDOPよりも低いことから、製造される歯付ベルトの環境に対する負荷がより低いものとなる。
【0040】また、上記実施形態では、プレポリマーと硬化剤と有機酸と可塑剤とによりベルト成形用材料を構成したが、特にこれに限定されるものではなく、必要に応じて顔料や滑剤等を含有させたものであってもよい。
【0041】また、上記実施形態では、心線4としてアラミド繊維の撚糸を用いたが、特にこれに限定されるものではなく、ポリエステル繊維等の撚糸であってもよい。
【0042】また、上記実施形態では、補強布としてセルロース繊維の不織布を用いたが、特にこれに限定されるものではなく、ポリアミド繊維やポリエステル繊維等の不織布であってもよく、さらに、補強布を用いないものであってもよい。
【0043】また、上記実施形態では、歯付ベルトBの製造に際し、プレポリマーを80℃に温調すると共に硬化剤等を45℃に温調し、金型温度を100℃として加熱時間を15分としたが、特にこれらに限定されるものではなく、プレポリマーや硬化剤等の種類によってプレポリマーの温調温度は60〜100℃、硬化剤等の温調温度は40〜150℃、金型温度は100〜150℃、加熱時間は10〜90分の各範囲で適宜選択されるべきものである。
【0044】また、上記実施形態では、プレポリマー法によって歯付ベルトBの製造を行ったがワンショット法や擬プレポリマー法によって製造を行ってもよい。前者の場合、TDIとPTMGとを合成してなる擬プレポリマーとPTMG又は他のポリオールとを混合してなり且つ擬プレポリマーに含まれるイソシアネート基の質量が混合物質量の4.7%よりも大きい原材料混合物に、3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミン及び3,5−ジメチルチオ−2,6−トルエンジアミンを硬化剤として含有させるようにすればよい。後者の場合、TDIとPTMGとを混合してなり且つTDIの総イソシアネート基の数からPTMGの総水酸基の数を減じて残るイソシアネート基の数に対応するイソシアネート基の質量が混合物質量の4.7%よりも大きい原材料混合物に、3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミン及び3,5−ジメチルチオ−2,6−トルエンジアミンを硬化剤として含有させるようにすればよい。
【0045】
【実施例】(試験評価サンプルベルト)
−例1−TDIとPTMGとからなり、イソシアネート基の質量含有率(NCO%)が4.3%であり且つ分子中に2つの末端イソシアネート基を有するプレポリマーに、硬化剤としての3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミンと3,5−ジメチルチオ−2,6−トルエンジアミンとの80対20混合物(アルベマール株式会社製 商品名:エタキュアー300)と、可塑剤としてのDOP(三建化工株式会社製)と、を含有させたベルト成形用材料を硬化反応させてベルト本体が構成された歯付ベルトを上記実施形態に準じる方法で製造し、それを例1とした。このとき、3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミン及び3,5−ジメチルチオ−2,6−トルエンジアミン(硬化剤)の含有量をプレポリマー100質量部に対して10.4質量部とした(NH2/NCO=0.95)。また、DOP(可塑剤)の含有量をベルト硬度が約80°(JIS A)となるようにプレポリマー100質量部に対して20質量部とした。
【0046】−例2−イソシアネート基の質量含有率(NCO%)が4.7%であるプレポリマーを用い、DOP(可塑剤)の含有量をプレポリマー100質量部に対して11.4質量部とした(NH2/NCO=0.95)ことを除いては、例1と同一構成の歯付ベルトを例2とした。
【0047】−例3−イソシアネート基の質量含有率(NCO%)が5.0%であるプレポリマーを用い、DOP(可塑剤)の含有量をプレポリマー100質量部に対して12.1質量部とした(NH2/NCO=0.95)ことを除いては、例1と同一構成の歯付ベルトを例3とした。
【0048】−例4−イソシアネート基の質量含有率(NCO%)が5.3%であるプレポリマーを用い、DOP(可塑剤)の含有量をプレポリマー100質量部に対して12.8質量部とした(NH2/NCO=0.95)ことを除いては、例1と同一構成の歯付ベルトを例4とした。
【0049】−例5−TDIとPTMGとからなり、イソシアネート基の質量含有率(NCO%)が4.3%であり且つ分子中に2つの末端イソシアネート基を有するプレポリマーに、硬化剤としてのMOCA(イハラケミカル株式会社製 商品名:キュアミンMT)と、可塑剤としてのDOP(三建化工株式会社製)と、を含有させたベルト成形用材料を硬化反応させてベルト本体が構成された歯付ベルトを100℃に温調された容器内でMOCAとオレイン酸とDOPとを混ぜ合わせて均一な溶液とする以外は上記実施形態に準じる方法で製造し、それを例5とした。このとき、MOCA(硬化剤)の含有量をプレポリマー100質量部に対して13質量部とした(NH2/NCO=0.95)。また、DOP(可塑剤)の含有量をベルト硬度が約80°(JIS A)となるようにプレポリマー100質量部に対して40質量部とした。
【0050】(試験評価方法)製造された例1〜5に係る各歯付ベルトのベルト本体を構成するポリウレタン組成物の架橋点間分子量を計測した。
【0051】また、例1〜5に係る各歯付ベルトを直径75mm、プーリ歯数30の駆動プーリと、直径75mm、プーリ歯数30の従動プーリとに巻き掛け、駆動プーリの回転数を1800rpm、従動プーリの負荷を0.49N・m及びベルト初張力を39.2Nとした条件でベルトを走行させた。そして、ベルトの走行開始から切断に至るまでの時間を計測した。ベルト寿命の評価は、例5のベルト走行時間を100として例1〜4のものを相対的指数で表して行った。
【0052】(試験結果)試験結果を表1に示す。
【0053】
【表1】

【0054】同表によれば、例1〜5に係る各歯付ベルトのベルト本体を構成するポリウレタン組成物の架橋点間分子量は、それぞれ2167、2001、1894、1799及び2220であり、イソシアネート基の質量含有率(NCO%)が4.7%よりも大きくなることによって架橋点間分子量が2000よりも小さくなっているのが分かる。
【0055】また、プレポリマーのイソシアネート基の質量含有率(NCO%)が4.7%より高い例3及び4において、硬化剤をMOCAとした従来例である例5と同等のベルト寿命を示すことが分かる。これは、例1及び2では、異性体の混合物からなる硬化剤によりプレポリマーを硬化させているので、ベルト本体を構成する硬化したポリウレタンは、その硬化剤部分の分子構造が不揃いとなってその凝集構造の形成が困難となるため、均質構造化した強度の低いものとなるのに対し、例3及び4では、プレポリマーに含まれるイソシアネート基の質量含有率(NCO%)が4.7%よりも大きく、異性体の混合物からなる硬化剤を用いても硬化剤による架橋部が多く形成されるので、ベルト本体を構成する硬化したポリウレタンは、その硬化剤部分が凝集構造を形成する確率が高められてソフトセグメントとハードセグメントとによる不均質構造を形成し、そのハードセグメントが疑似架橋点となって補強効果を発現する強度の高いものとなり、それによってMOCAを硬化剤として用いた例5と同等以上の耐久性を有するものであると考えられる。
【出願人】 【識別番号】000005061
【氏名又は名称】バンドー化学株式会社
【出願日】 平成13年2月13日(2001.2.13)
【代理人】 【識別番号】100077931
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 弘 (外7名)
【公開番号】 特開2002−234928(P2002−234928A)
【公開日】 平成14年8月23日(2002.8.23)
【出願番号】 特願2001−35120(P2001−35120)