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【発明の名称】 着色の少ない芳香族ポリエーテル
【発明者】 【氏名】岡本 一成

【要約】 【課題】式(I−1)

【解決手段】式(I)
【特許請求の範囲】
【請求項1】式(I)

〔式中、Xはハロゲン原子を示し、nは1以上の整数を示す。〕で示され、還元粘度が50cm3/g以下である高分子化合物。
【請求項2】4,4’−ビフェノールと、該4,4’−ビフェノール1モルあたり1モルを越える式(2)

〔式中、Xはハロゲン原子を示す。〕で示される4,4’−ジハロゲノジフェニルスルホン化合物とを共重合させることを特徴とする請求項1に記載の高分子化合物の製造方法。
【請求項3】ジフェニルスルホン中で共重合させる請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】重合温度が270℃以上である請求項2または請求項3に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は芳香族ポリエーテルに関し、詳しくは着色の少ない芳香族ポリエーテルに関する。
【0002】
【従来の技術】式(I−1)

で示される繰り返し単位を有する高分子化合物は、機械的強度および耐熱性に優れた芳香族ポリエーテルの一つとして有用であり、例えば式(II)

〔式中、Xはハロゲン原子を示し、nは整数を示す。〕で示される高分子化合が広く用いられている。該高分子化合物(II)において、一方の末端基であるXは、例えば塩素原子などのハロゲン原子であり、他方の末端はメトキシ基である。かかる高分子化合物は、例えば式(1)

で示される4,4’−ビフェノールと、この4,4’−ビフェノール1モルあたり1モルの式(2)

〔式中、Xは前記と同じ意味を示す。〕で示される4,4’−ジハロゲノジフェニルスルホン化合物を共重合させたのち、例えばメチルクロライドなどのハロゲン化アルキル化合物を反応させて末端を封止する方法により製造することができる。
【0003】しかし、式(II)で示される従来の高分子化合物は、着色があるという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明者は、式(I−1)で示される繰り返し単位を有し、着色の少ない高分子化合物を開発するべく鋭意検討した結果、4,4’−ビフェノール(1)1モルあたり1モルを越える4,4’−ジハロゲノジフェニルスルホン化合物(2)を用いて、これらを共重合して得られ、還元粘度が50cm3/g以下である高分子化合物は、着色が少ないことを見出し、本発明に至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、式(I)

〔式中、Xはハロゲン原子を示し、nは1以上の整数を示す。〕で示され、還元粘度が50cm3/g以下である高分子化合物を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の高分子化合物において、Xで示されるハロゲン原子としては、例えば塩素原子、フッ素原子などが挙げられ、通常は塩素原子である。
【0007】本発明の高分子化合物は、その還元粘度(RV)が50cm3/g以下、好ましくは45cm3/g以下、さらに好ましくは40cm3/g以下であり、通常は20cm3/g以上である。nは1以上の整数であるが、nが大きいほど還元粘度が高くなり、nが小さいほど還元粘度がは低くなる。
【0008】かかる高分子化合物は、例えば式(1)で示される化合物である4,4’−ビフェノールと、該4,4’−ビフェノール1モルあたり1モルを越える式(2)で示される4,4’−ジハロゲノジフェニルスルホン化合物とを共重合させる方法によって製造することができる。4,4’−ジハロゲノジフェニルスルホン化合物(2)としては、例えば4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、4,4’−ジフロロジフェニルスルホンなどが挙げられる。かかる4,4’−ジハロゲノジフェニルスルホン化合物の使用量は4,4’−ビフェノールの使用量1モルあたり1モルを越え、例えば1.01モル以上、好ましくは1.02モル以上であり、通常は1.1モル以下、好ましくは1.05モル以下である。
【0009】共重合は通常、溶媒中で行なわれる。溶媒としては、例えばジフェニルスルホンを用いることができ、その使用量は、溶媒、4,4’−ビフェノール(1)および4,4’−ジハロゲノジフェニルスルホン(2)の合計量100gあたりの溶媒量が通常20g以上、好ましくは35g以上であり、通常65g以下、好ましくは45g以下となるように選択される。
【0010】共重合は通常、アルカリ金属炭酸塩またはアルカリ金属炭酸水素塩の存在下に行なわれる。アルカリ金属炭酸塩としては、例えば炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸カリウム(K2CO3)などが、アルカリ金属炭酸水素塩としては、例えば炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)、炭酸水素カリウム(KHCO3)などがそれぞれ挙げられ、その使用量は4,4’−ビフェノールの使用量1モルあたり通常1モル以上、好ましくは1.01モル以上、通常1.1モル以下である。
【0011】共重合は次亜リン酸の存在下に行なわれてもよい。次亜リン酸の存在下に共重合させることにより、さらに透明性を高めることができる。次亜リン酸を用いる場合、その使用量は4,4’−ビフェノール(1)および4,4’−ジハロゲノジフェニルスルホン化合物(2)の合計使用量100gあたり通常は0.01g以上、好ましくは0.015g以上であり、通常は0.06g以下、好ましくは0.04g以下である。
【0012】共重合させるには、例えば溶媒、4,4’−ビフェノール(1)、4,4’−ジハロゲノジフェニルスルホン化合物(2)およびアルカリ金属炭酸塩を混合すればよく、次亜リン酸を用いる場合には、溶媒、4,4’−ビフェノール、4,4’−ジハロゲノジフェニルスルホン化合物、アルカリ金属炭酸塩およびジ亜リン酸を混合すればよい。ジフェニルスルホンは常温では固体であるので、溶媒としてジフェニルスルホンを用いる場合には、これを加熱し溶融状態とすればよい。重合温度は通常270℃以上350℃以下、好ましくは320℃以下である。
【0013】共重合は、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行なわれてもよく、例えば不活性ガス気流下で共重合させる。
【0014】共重合は重合中の反応混合物を冷却することにより停止する。4,4’−ビフェノール(1)および4,4’−ジハロゲノジフェニルスルホン化合物(2)を共重合させることによって、目的とする高分子化合物を得る。得られる高分子化合物の還元粘度を本発明で規定する範囲とするには、例えば重合時間、重合温度、アルカリ金属炭酸塩の使用量などを適宜選択すればよく、例えば重合時間を短くすることにより、還元粘度を低くすることができる。かかる高分子化合物(I)において、両方の末端は置換基Xであるが、これは4,4’−ジハロゲノジフェニルスルホン化合物(2)から導かれる置換基Xである。
【0015】共重合させたのちの混合物から目的とする高分子化合物を取り出すには、例えば高分子化合物を溶解せず、溶媒および副生する塩を溶解しえる溶剤を用いて重合後の混合物を洗浄すればよい。かかる溶剤としては、例えば水や、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどの脂肪族アルコール、アセトン、メチルエチルケトンなどの脂肪族ケトンなどが挙げられ、これらの溶剤は、それぞれ単独または2種以上を混合して用いられる。
【0016】また、重合においてアルカリ金属炭酸塩を用いた場合には、該アルカリ金属炭酸塩のアルカリ金属が混入することもあるが、アルカリ金属の含有量は本発明の高分子化合物1gに対して例えば0.0001g以下である。
【0017】
【発明の効果】本発明の高分子化合物は、着色が少ない。
【0018】
【実施例】以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
【0019】実施例1攪拌機、窒素ガス導入管、温度計、コンデンサーを備えた反応容器〔ステンレス(SUS316L)製、内容量は500cm3〕に、4,4’−ビフェノールの粉末81.93g(0.440モル)、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン(固体)131.91g(0.459モル)およびジフェニルスルホン(固体)196.28gを投入し、窒素ガスを流通させながら180℃に昇温した。同温度で内容物は溶融状態となっていた。次いで同温度で窒素ガスを流通させると共に溶融物を攪拌しながら炭酸カリウム(K2CO3)63.24g(0.458モル)を投入し、4.5時間をかけて290℃まで昇温し、窒素ガスを流通させながら同温度で溶融物の攪拌を3時間続けた。その後、室温まで冷却し、固化した混合物を粉砕した後、水、アセトンおよびメタノールの混合溶媒で繰り返し洗浄したのち、150℃で乾燥して、高分子化合物を得た。
【0020】得られた高分子化合物の13C−NMRスペクトルを測定したところ、Cl(塩素原子)末端に由来するピーク(δ=139.5ppm)を確認することができた。また、OH基およびメチル基に由来するピークは観測できなかった。
【0021】実施例24,4’−ジクロロジフェニルスルホンの使用量を129.89g(0.452モル)とした以外は実施例1と同様に操作して、高分子化合物を得た。
【0022】実施例3炭酸カリウムと同時に次亜リン酸0.18gを投入した以外は実施例1と同様に操作して、高分子化合物を得た。
【0023】比較例14,4’−ジクロロジフェニルスルホンの使用量を130.4g(0.454モル)とし、290℃に昇温したのち同温度で攪拌を5時間続ける以外は実施例1と同様に操作して、高分子化合物を得た。
【0024】(評価)実施例1〜実施例3および比較例1で得た高分子化合物を以下の方法で評価した。結果を表1にまとめた。
(1)還元粘度(RV)
高分子化合物1.0gをN,N’−ジメチルホルムアミドに加え溶解して容量を100cm3とし、25℃でオストワルド型粘度管を用いて流出時間(t)を測定した。同じオストワルド型粘度管を用いて溶媒(N,N’−ジメチルホルムアミド)の流出時間(T0)を測定し、式(3)

によって還元粘度(RV)を求めた。式(3)においてCは溶液中の高分子化合物の濃度を示し、ここではC=0.01g/cm3である。
(2)カリウム含有量高分子化合物をフレーム原子吸光法にて分析してカリウム含有量を測定した。
(3)透明性高化式フロー測定機〔島津製作所社製、「CFT−500」〕を用いて初期温度280℃から350℃まで4分間で昇温しながら圧力9.807MPaで高分子化合物を押し出して得たストランド(糸状物)を得、このストランド5.56gをN,N’−ジメチルホルムアミドに溶解させて容量を100cm3とし、長さ10cmのセルに入れて、分光光度計〔島津製作所社製、「UV−2400PC」〕で波長400nmにおける光線透過率(%)を測定した。光線透過率が小さいほど着色が少ない。
【0025】
【表1】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 実施例1 実施例2 実施例3 比較例1 ───────────────────────────────────RV (cm3/g) 32.7 44.7 34.6 53.2 カリウム含有量 (ppm) 21 60 35 36 光線透過率 (%) 42.7 31.0 46.9 14.3 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【出願人】 【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学工業株式会社
【出願日】 平成13年1月25日(2001.1.25)
【代理人】 【識別番号】100093285
【弁理士】
【氏名又は名称】久保山 隆 (外2名)
【公開番号】 特開2002−220469(P2002−220469A)
【公開日】 平成14年8月9日(2002.8.9)
【出願番号】 特願2001−16781(P2001−16781)