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【発明の名称】 ポリアミド樹脂の連続重合方法
【発明者】 【氏名】田中 一實

【氏名】中 敦士

【要約】 【課題】連続式重合装置においてポリアミド樹脂の重縮合を効果的に進行させることを可能とするポリアミド樹脂の連続重合方法を提供する。

【解決手段】ポリアミド樹脂の連続重合方法は、横型円筒状の反応器21と、加熱用ジャケット22と、入口部23と、出口部24と、排気部25と、回転軸26と、回転軸に取り付けられた撹拌翼27を備えた連続式重合装置20を用い、入口部23から溶融状態にあるポリアミド樹脂を反応器21内に供給し、反応器21内で連続的にポリアミド樹脂の重縮合反応を進行させて、出口部24から排出する方法であって、撹拌翼27の端部が達する最高位置よりも反応器21内の溶融ポリアミド樹脂の液面(図1の点線参照)を下に位置させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】キシリレンジアミンとビスアミノメチルシクロヘキサンの合計が70モル%以上であるジアミン、及び、ジカルボン酸から得られるポリアミド樹脂であり、相対粘度が1.4以上2.8以下の溶融状態にあるポリアミド樹脂を入口部から反応器内に供給し、反応器内で連続的にポリアミド樹脂の重縮合反応を進行させて、出口部から排出するポリアミド樹脂の連続重合方法であって、(A)横型筒状の反応器と、(B)反応器の外周部に配設された加熱用ジャケットと、(C)反応器の一端の下部又は側部に設けられた入口部と、(D)反応器の他端の下部又は側部に設けられた出口部と、(E)反応器の上部に設けられた排気部と、(F)反応器の一端及び他端の側部に取り付けられ、反応器の軸線に沿って配設された回転軸と、(G)回転軸に取り付けられ、反応器の内部に配設された複数の撹拌翼、を備えた横型の連続式重合装置を用い、撹拌翼の端部が達する最高位置よりも、反応器内の溶融ポリアミド樹脂の液面を下に位置させることを特徴とするポリアミド樹脂の連続重合方法。
【請求項2】入口部近傍における、反応器の軸線と直交する反応器の断面の0.6乃至0.98を溶融ポリアミド樹脂が占めることを特徴とする請求項1に記載のポリアミド樹脂の連続重合方法。
【請求項3】反応器内で、減圧下、溶融ポリアミド樹脂中から水分を取り除きながら重縮合反応を進行させ、水分を排気部から排気することを特徴とする請求項1に記載のポリアミド樹脂の連続重合方法。
【請求項4】反応器内の上部空間における圧力を9×104Pa未満とすることを特徴とする請求項3に記載のポリアミド樹脂の連続重合方法。
【請求項5】反応器内の溶融ポリアミド樹脂の温度は290゜Cを超えないことを特徴とする請求項1に記載のポリアミド樹脂の連続重合方法。
【請求項6】出口部から排出された溶融状態のポリアミド樹脂から連続的にストランドを形成し、冷却、固化させた後、造粒することを特徴とする請求項1に記載のポリアミド樹脂の連続重合方法。
【請求項7】ジアミンの70モル%以上がメタキシリレンジアミンであることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂の連続重合方法。
【請求項8】ジカルボン酸の70モル%以上がアジピン酸であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂の連続重合方法。
【請求項9】ポリアミド樹脂を構成するジアミン及びジカルボン酸のうち、少ない方のモノマー成分がジアミンであることを特徴とする請求項1に記載のポリアミド樹脂の連続重合方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリアミド樹脂の連続重合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリアミド樹脂の重合装置を設計するとき、熱供給、表面更新性、均一な撹拌混合等に注意を払わなければならない。そのため、重合装置において、回分式と連続式とで同じ生産量を確保するとき、回分式の方がその装置規模の限界は小さいと云える。更に、回分式重合装置においては、所定分子量に到達した溶融ポリアミド樹脂の熱劣化を抑制し、分子量の変動を少なくするために、1時間以内に回分式重合装置から排出することが望ましい。それ故、ポリアミド造粒機には、1バッチ分を1時間以内に処理可能な能力が求められる。近年の造粒機の処理能力は日進月歩であり、相当の大型機が供給されるようになってきたが、それでも10トン/時が限界と見られる。従って、造粒機の能力からすれば、回分式の最大生産量として10トン/バッチが限界である。そして、それ以上の1バッチ当たりの生産量にあっては、複数の造粒機を設置する必要があり、極めて効率が悪くなる。
【0003】回分式と連続式を比較するとき、各々一長一短があり一概にどちらが優れているとは決めがたいが、一般には、少品種大量生産には連続式が向いており、多品種少量生産には回分式が向くと云われている。回分式より連続式が経済的に有利となる分岐点は年産量が1万トンとも2万トンとも言われており、特定の品種がある生産量を越えたとき、やはり連続式を選択することが望ましい。
【0004】ポリアミド樹脂を製造する際の原料として、ナイロン塩水溶液を用いることが一般的である。そして、この原料を用いたときのポリアミド樹脂の製造プロセスは、回分式とすることもできるし、連続式とすることもできる。例えば回分式の場合、1つの回分式重合槽中で、ナイロン塩水溶液を、加圧下、加熱し、ジアミン成分の留出を抑えながら均一相で重合を進める。そして、ジアミン成分を固定化した後、系内の水蒸気を徐々に放圧し、最終的に常圧若しくは減圧として、重合を完結させる。連続式の場合、ナイロン塩水溶液を連続的に供給し、上記の処理工程をそれぞれ担う2基以上の連続式重合装置を順次使用し、重縮合が完結したポリアミド樹脂が連続的に排出される。
【0005】ナイロン塩を原料としポリアミド樹脂を製造することも可能であるが(例えば、特公昭33−15700号公報、特公昭43−22874号公報参照)、ナイロン塩の単離、精製工程が必要とされ、効率の良い方法とは云い難く、商業的な製造方法には不向きである。
【0006】ナイロン塩及びナイロン塩の水溶液を原料としないポリアミド樹脂の製造方法として、少量の水を含んだジアミンを、常圧下、220゜C以下の温度で滴下して反応を行う方法(例えば、特開昭48−12390号公報参照)、溶融状態にあるジカルボン酸にジアミンを常圧下、滴下して直接反応させる方法(例えば、特開昭57−200420号公報、特開昭58−111829号公報参照)がある。これらの方法は、溶媒として加えられる水が無いため、装置効率が高く、エネルギー的にも有利であり、更には、熱履歴も少なく、有利な方法である。一般には回分式での実施が容易であるが、前述したとおり、生産効率が低いという問題点がある。
【0007】溶融状態にあるジカルボン酸にジアミンを滴下して直接反応させる方法において、重縮合の中盤まで回分式重合装置で行った後、後半を連続式重合装置で実施することも可能である。
【0008】供給原料、及び、回分式か連続式かにより、重合装置、重合装置の構成、重縮合工程及び重縮合条件は多岐に亙るが、基本的には次の3つの工程から成る。即ち、(1)ジアミンの固定化に注力する初期重縮合工程、(2)重縮合を進めると共に縮合水の大半を反応系から除去する中期重縮合工程、(3)積極的に縮合水を搾り取り、重合度を増加させる後期重縮合工程である。後期重縮合物は、更に、冷却、造粒され、ポリアミド樹脂ペレットとして商業的に使用される。
【0009】中期重縮合工程及び後期重縮合工程、あるいは、後期重縮合工程は、使用する供給原料に依らず、ほぼ同一構造の重合装置にて実施できる可能性があり、連続式重合装置の利用が可能な工程である。中・後期重縮合工程、特に後期重縮合工程で用いられる連続式重合装置は、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、あるいはポリカーボネート樹脂用として、特にポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を主な対象物として開発されており、PET樹脂での実績がある横型の連続式重合装置が利用できる(特開昭48−84781号公報、特公昭50−21514号公報、特開平10−95843号公報、特開平11−130869号公報参照)。一般に、横型の連続式重合装置は、横型筒状の反応器、反応器の外周部に配設された加熱用ジャケット、溶融樹脂の入口部と出口部、反応器の上部に排気部及び複数の撹拌翼が取り付けられた回転軸を長手方向に有する。
【0010】ところで、ポリアミド樹脂の重縮合反応は、基本的に下記のアミド化平衡反応に基づく。
【0011】
[化1]
−NH2 + −COOH ⇔ −CONH− + H2O (1)
【0012】温度の上昇と共に平衡は左に寄るが、反応速度が増加するため、重縮合を進めるには加熱を行う。また、水を反応系内から除くことで平衡を右にずらし、重合を効果的に進行させることができる。ポリアミド樹脂の重合平衡は、ポリエステル樹脂に比べ、かなり水分が多い方向であり、更には、ポリエステル樹脂よりもポリマー中に溶存できる水分量も多いので、後期重縮合工程における除去水分の負荷の減少、及び、如何にして水分を速やかに除去するかが重要な課題となる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、PET樹脂の製造を目的として開発された横型の連続式重合装置及びその操作方法では多量の水分の除去を想定しておらず、溶存する水分及び重縮合で生成する縮合水が多く発生するポリアミド樹脂の処理するための最適な横型の連続式重合装置及びその操作方法の開発が望まれている。
【0014】また、ポリアミド樹脂の製造の際、上述した多量に溶存する水分及び重縮合で生成する縮合水のため、後期重縮合工程でPET樹脂用に開発された横型の連続式重合装置を用いた場合、溶融ポリアミド樹脂の内部から発生するポリアミド樹脂中に溶存する水分及び重合で生成する縮合水が気化し、撹拌翼の表面に形成された薄膜を破壊する。このため、揮発表面が小さくなり、水の除去速度を著しく低減させるため、反応速度が低下し、均一な重合度が得られず、得られるポリアミド樹脂の重合度がばらつくという問題がある。更には、多量の水分の蒸発潜熱により、溶融ポリアミド樹脂の液面の固化あるいは温度低下による流動性の低下を招き、均一な撹拌混合が阻害されるという問題点がある。
【0015】これらの問題点を解決するため、脱水を行い、縮合水の発生を抑えるように反応率を高めたポリアミド樹脂を、中・後期重縮合槽である横型の連続式重合装置の供給原料とする解決方法も考えられるが、横型の連続式重合装置の前段で相当な負荷を強いることになり、現実的な対応とは言い難い。
【0016】横型筒状の反応器の上部に撹拌翼が到達しない空間を設けることで、揮発物の除去速度の低下を防止する方法もある(特公昭48−33996号公報、特開2000−212265号公報参照)。しかしながら、これらの方法では、撹拌翼が到達しない上部空間部に付着した樹脂の更新が図られず、樹脂の熱劣化が生じ易い。ポリエステル樹脂と比較して、溶存水分が多く、発泡し易く、更には、熱安定性が低いポリアミド樹脂に対しては、これらの方法は好ましい方法とは云い難い。
【0017】従って、本発明の目的は、横型の連続式重合装置を用いて、ポリアミド樹脂の後期重縮合工程を行うに際し、横型の連続式重合装置における上述の問題を解決し、確実で簡便なポリアミドの連続製造方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため本発明のポリアミド樹脂の連続重合方法は、キシリレンジアミンとビスアミノメチルシクロヘキサンの合計が70モル%以上であるジアミン、及び、ジカルボン酸から得られるポリアミド樹脂であり、相対粘度が1.4以上2.8以下の溶融状態にあるポリアミド樹脂を入口部から反応器内に供給し、反応器内で連続的にポリアミド樹脂の重縮合反応を進行させて、出口部から排出するポリアミド樹脂の連続重合方法であって、(A)横型筒状の反応器と、(B)反応器の外周部に配設された加熱用ジャケットと、(C)反応器の一端の下部又は側部に設けられた入口部と、(D)反応器の他端の下部又は側部に設けられた出口部と、(E)反応器の上部に設けられた排気部と、(F)反応器の一端及び他端の側部に取り付けられ、反応器の軸線に沿って配設された回転軸と、(G)回転軸に取り付けられ、反応器の内部に配設された複数の撹拌翼、を備えた横型の連続式重合装置を用い、撹拌翼の端部が達する最高位置よりも、反応器内の溶融ポリアミド樹脂の液面を下に位置させることを特徴とする。
【0019】尚、本発明のポリアミド樹脂の連続重合方法にあっては、反応器に供給する溶融状態にあるポリアミド樹脂の相対粘度は、1.4以上2.8以下、好ましくは、1.5以上2.7以下であることが望ましい。相対粘度の測定は、水分の影響を受けるため、アミド化反応が認められない温度(約140゜C以下)でポリアミド樹脂を乾燥処理した後、測定することが望ましい。相対粘度が1.4未満のポリアミド樹脂を供給する場合、重縮合によって発生する縮合水が多くなる結果、反応器中のポリアミド樹脂の液面の乱れが激しくなり、均一な重合速度が保てず、得られるポリアミド樹脂の重合度のばらつきが大きくなる。また、反応器中で水の蒸発潜熱に伴うポリアミド樹脂の固化あるいは発泡等が懸念される。更に、実用的な重合度まで重縮合しようとすると、反応器での滞留時間が長くなり、高価な反応器の大型化が必要となり、経済性に劣る。相対粘度が2.8を越えるポリアミド樹脂を供給する場合、反応器に供給する前に相当に重縮合を進める必要があり、現実的でない。尚、相対粘度は、ポリアミド樹脂1gを96%硫酸100ccに溶解し、キャノンフェンスケ粘度計を用い、25゜Cにおける落下時間を測定し、以下の式に基づき得ることができる。
【0020】相対粘度=(検液の落下秒数)/(96%硫酸の落下秒数)
【0021】本発明のポリアミド樹脂の連続重合方法にあっては、反応器に供給する溶融状態にあるポリアミド樹脂に溶存している水分は、0.02重量%以上、1.0重量%以下が好ましく、0.06重量%以上、0.5重量%以下がより好ましい。溶存水分が0.02重量%未満のポリアミド樹脂を供給した場合、反応器に供給する前に予め脱水工程が必要となり現実的でない。一方、溶存水分が1.0重量%を越えると、反応器中のポリアミド樹脂の液面の乱れが激しくなり、均一な重合速度が保てず、得られるポリアミド樹脂の重合度のばらつきが大きくなる。また、反応器中で水の蒸発潜熱に伴うポリアミド樹脂の固化あるいは発泡等が懸念される。ポリアミド樹脂に溶存している水分は、カールフィッシャー測定法を用い、溶融ポリアミド樹脂をアミド化反応が起こらない温度に加熱し、乾燥窒素中で発生する気化水分量を測定することで測定することができる。
【0022】横型の連続式重合装置として、溶融ポリアミド樹脂の薄膜を形成し、高度な表面更新性を与えると共に、高度な脱気能力を備えている横型の連続式重合装置の使用が好ましく、テーパーロール式薄膜蒸発機(特公昭49−33358号公報参照)、横型の一軸撹拌混合機(特公昭45−16473号号公報、特開平10−259242号公報、特開平11−130869号公報、特開平11−130870号公報参照)、横型の二軸撹拌混合機(特開昭48−84781号公報、特公昭50−15275号公報、特公昭50−21514号公報、特公昭53−15753号公報参照)等が好適に使用可能である。反応器内の溶融ポリアミド樹脂の滞留量及び滞留時間を制御し、より安定な連続運転を達成するために、反応器の入口部より上流、及び、出口部より下流に、ギヤポンプを設置することが好ましい。尚、これらのギヤポンプの作動は、反応器の作動と共に同時制御することが望ましい。
【0023】1つの加熱用ジャケットによって反応器全体を加熱してもよいし、複数の加熱用ジャケットによって反応器を加熱してもよい。後者の場合、例えば、反応器上部を加熱する加熱用ジャケットと、反応器下部を加熱する加熱用ジャケットとから加熱用ジャケットを構成し、あるいは又、入口部側の反応器の部分を加熱する加熱用ジャケットと、出口部側の反応器の部分を加熱する加熱用ジャケットとから加熱用ジャケットを構成し、あるいは又、入口部側の反応器上部を加熱する加熱用ジャケットと、入口部側の反応器下部を加熱する加熱用ジャケットと、出口部側の反応器上部を加熱する加熱用ジャケットと、出口部側の反応器下部を加熱する加熱用ジャケットとから加熱用ジャケットを構成することができるが、これらの構成に限定するものではなく、更に多くの加熱用ジャケットから構成することもできる。
【0024】横型の連続式重合装置は、反応器の一端の下部又は側部に設けられた入口部と、反応器の他端の下部又は側部に設けられた出口部とを有している。本発明のポリアミド樹脂の連続重合方法においては、出口部を反応器の他端の側部に設ける場合には、側部の下端に設けることが好ましい。
【0025】連続式重合装置には、反応器の上部に排気部が設けられている。この排気部から、ポリアミド樹脂に溶存している水分、及び、反応により生成した縮合水を除去する。
【0026】連続式重合装置は、反応器の一端及び他端の側部に取り付けられ、反応器の軸線に沿って配設された回転軸と、回転軸に取り付けられ、反応器の内部に配設された複数の撹拌翼を備えた横型の装置であり、上述の横型の一軸撹拌混合機、横型の二軸撹拌混合機等が使用できる。
【0027】本発明のポリアミド樹脂の連続重合方法にあっては、撹拌翼の端部が達する最高位置よりも反応器内の溶融ポリアミド樹脂の液面を下に位置させるので、反応器内の上部には充分なる空間が形成される。それ故、先に説明したポリアミド樹脂の重縮合反応において生成する縮合水及び溶存水分を、かかる空間を通して排気部から速やかに除去することが可能となり、溶融ポリアミド樹脂の重縮合を効果的に進行させることができる。
【0028】本発明のポリアミド樹脂の連続重合方法にあっては、入口部近傍における、反応器の軸線と直交する反応器の断面の0.6乃至0.98、好ましくは0.65乃至0.95を溶融ポリアミド樹脂が占めることが望ましい。即ち、入口部近傍における、反応器の軸線と直交する反応器の断面の面積をS0とし、かかる入口部近傍における溶融ポリアミド樹脂が反応器のかかる断面を占める面積をSPAとしたとき、0.6S0≦SPA≦0.98S0、好ましくは0.65S0≦SPA≦0.95S0を満足することが望ましい。反応器内の溶融ポリアミド樹脂の液面を上記の範囲とすることにより、重縮合反応で生成する縮合水及び溶存水分をかかる空間を通して排気部から一層効率良く除去することができる。入口部近傍における溶融ポリアミド樹脂が反応器のかかる断面を占める面積は、反応器の側壁に透明な窓を設置し目視により観察することもできるし、反応器の内容量、ポリアミド樹脂の溶融時の比容積、ポリアミド樹脂の滞留量等から計算で容易に求めることができる。
【0029】本発明のポリアミド樹脂の連続重合方法においては、反応器内で、減圧下、溶融ポリアミド樹脂中から水分を取り除きながら重縮合反応を進行させ、水分を排気部から排気する構成とすることができる。ここで、減圧下とすることで、溶融ポリアミド樹脂中から水分が速やかに取り除かれ、重合度の増加が促進される。尚、反応器内の上部空間における圧力を、9×104Pa未満、好ましくは7×104Pa未満、より好ましくは5×104Pa未満とすることが望ましい。
【0030】場合によっては、反応器の出口部側の反応器上部に気体導入部を設け、反応器の入口部側の反応器上部に排気部を設け、乾燥した不活性ガス(例えば、窒素ガス)を気体導入部から反応器内に導入し、排気部から排出する構成とすることもできる。この場合には、反応器は減圧状態であっても、常圧(1気圧)状態であっても、加圧状態であってもよいが、減圧状態とすることがより好ましい。これによっても、溶融ポリアミド樹脂中から水分を取り除きながら重縮合反応を進行させることができる。
【0031】また、本発明のポリアミド樹脂の連続重合方法にあっては、重縮合反応の促進、ポリアミド樹脂の変質防止といった観点から、反応器内の溶融ポリアミド樹脂の温度は290゜C、より好ましくは280゜Cを超えないことが望ましい。
【0032】本発明のポリアミド樹脂の連続重合方法にあっては、出口部から排出された溶融状態のポリアミド樹脂から連続的にストランドを形成し、冷却、固化させた後、造粒することが、生産効率の向上といった観点から望ましい。
【0033】本発明のポリアミド樹脂の連続重合方法において、反応器への供給前のポリアミド樹脂は、キシリレンジアミンとビスアミノメチルシクロヘキサンの合計が70モル%以上であるジアミン、及び、ジカルボン酸から得られたポリアミド樹脂である。
【0034】即ち、ポリアミド樹脂原料モノマーであるジアミンの70モル%以上がキシリレンジアミンとビスアミノメチルシクロヘキサンであることが望ましい。キシリレンジアミンとして、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン及びオルソキシリレンジアミンを挙げることができる。また、ビスアミノメチルシクロヘキサンとして、1,2−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1,4―ビスアミノメチルシクロヘキサンを挙げることができる。得られるポリアミド樹脂の実用的な物性から考えると、ジアミンがキシリレンジアミンの場合、メタキシリレンジアミンを50モル%以上、より好ましくは70モル%以上含むジアミンの使用が望ましい。また、ジアミンがビスアミノメチルシクロヘキサンの場合、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンを50モル%以上、より好ましくは70モル%以上含むジアミンの使用が望ましい。その他のジアミン成分として、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、オルソフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン等が挙げることができる。
【0035】ポリアミド樹脂原料モノマーであるジカルボン酸として、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等を挙げることができる。これらのジカルボン酸は、単独でも、2種以上混合しても使用可能である。得られるポリアミド樹脂の実用的な物性から考えると、特に70モル%以上がアジピン酸であるジカルボン酸を用いることが好ましい。
【0036】尚、ジアミン及びジカルボン酸以外のポリアミド樹脂原料として、カプロラクタム、バレロラクタム、ラウロラクタム、ウンデカラクタム等のラクタム、1,1−アミノウンデカン酸、1,2−アミノドデカン酸等のアミノカルボン酸を例示することができる。
【0037】本発明のポリアミド樹脂の連続重合方法にあっては、ポリアミド樹脂を構成するジアミン及びジカルボン酸のうち、少ない方のモノマー成分がジアミンであることが望ましい。ジアミン成分がジカルボン酸成分より多い場合、3次元化等の反応が起こり易くなり、ゲル、フィッシュアイ等の成型品の外観を損なう異物の生成を招く虞がある。
【0038】反応器に供給する前のポリアミド樹脂が、キシリレンジアミンとビスアミノメチルシクロヘキサンの合計が70モル%以上であるジアミン、及び、ジカルボン酸を、溶媒の非存在下、溶融状態で重縮合して得られたポリアミド樹脂である場合、このポリアミド樹脂は、以下に説明する回分式方法にて生産することができる。
【0039】即ち、ジカルボン酸を溶融させた後、分縮器を備えた回分式重合槽を用い、溶融状態にあるジカルボン酸にジアミンを連続的に又は間欠的に添加し、ジアミンとジカルボン酸のモル比を所定値として重縮合反応を行い、ポリアミド樹脂中の水分が0.02重量%以上1.0重量%未満であり、相対粘度が1.4以上2.8以下である溶融状態にあるポリアミド樹脂を得る方法を採用することが望ましい。
【0040】尚、反応器への供給に供されるまで回分式重合槽内で溶融ポリアミド樹脂が滞留するので、回分式重合槽における気相部を水蒸気で所定圧力に保ち、回分式重合槽内での溶融ポリアミド樹脂の相対粘度変化を±0.2以内に抑制することが望ましい。尚、このような構成においては、2つ以上の回分式重合槽を配置し、これらの回分式重合槽にて得られた溶融ポリアミド樹脂を交互に1つの反応器に供給することが望ましい。
【0041】あるいは又、こうして得られたポリアミド樹脂を、溶融保持槽に一旦貯蔵し、溶融保持槽の気相部を水蒸気で所定圧力に保ち、溶融保持槽に滞留している間の溶融ポリアミド樹脂の相対粘度変化を±0.2以内に抑制することが好ましい。そして、溶融保持槽内の溶融ポリアミド樹脂を反応器に供給する。尚、このような構成においては、回分式重合槽は、1つ又は2つ以上であればよい。
【0042】回分式重合槽における気相部を水蒸気で所定圧力に保ち、あるいは又、溶融保持槽の気相部を水蒸気で所定圧力に保つことによって、先に説明したアミド化平衡反応におけるH2Oの生成を抑制することができる。即ち、重合反応の進行を抑制することができる。水蒸気圧が低すぎると重合が進み重合度が増加するが、逆に蒸気圧が高すぎると解重合が進み重合度が低下する。重合度が変化しない適切な水蒸気圧は、モルバランス、重合度、平衡定数、温度等に依存し、一概には言えないが、数回の実験的な検証を通して容易に決定することができる。例えばモルバランス1.000±0.01であるポリアミド樹脂を溶融保持槽又は回分式重合槽内で温度250〜260゜C、気相部の水蒸気圧を2.5×105Pa〜3.5×105Paの条件下で保持すると、ポリアミド樹脂の重合度を約75から約100程度に維持することができる。水蒸気で保圧しているときの重合度変化の指標として、相対粘度の変化を±0.2以内に抑えることが好ましい。相対粘度変化が0.2を越えると、最終的に得られるポリアミド樹脂の重合度(相対粘度)が大きく変動し、好ましくない。
【0043】回分式重合槽内においては、溶融状態にあるジカルボン酸に、ジアミンを連続的に若しくは間欠的に添加し、ポリアミド樹脂の構成成分として消費されるジアミン成分とジカルボン酸成分のモルバランス(以下「モルバランス」ということがある)を所定値に調整しつつ重合を進める。所望のモルバランスを有するポリアミド樹脂(ジアミン成分過剰、ジカルボン酸成分過剰、あるいは、等モル)を得るために、仕込みのモルバランスを任意に選択することができる。仕込みのモルバランスの調整方法は、例えば溶融状態にあるジカルボン酸をジカルボン酸溶融槽ごと、質量計量器で計量し、回分式重合槽に供給した後、ジアミン滴下槽を質量計量器で計量しつつ、ジアミンを反応系に供給する方法を例示できる。ジアミン及びジカルボン酸の重量を計量する場合、ロードセル、天秤等の質量計量器が好適に利用可能である。ジカルボン酸の溶融工程は、酸化着色を避ける目的から窒素等の不活性ガス雰囲気で行うことが望ましい。ジカルボン酸の溶融は回分式重合槽若しくは専用の溶融槽で行うことができるが、回分式重合槽の利用効率を高めるといった観点からは、専用の溶融槽の使用が望ましい。
【0044】回分式重合槽中で溶融ジカルボン酸にジアミン成分を添加する際、実質的にアミド化反応が進行する温度である160゜C以上の温度に溶融ジカルボン酸を昇温させることが望ましく、且つ、中間体として生成するオリゴマー及び/又は低分子量ポリアミドが溶融状態となって反応系全体が均一な流動状態を保持し得る温度に設定することが望ましい。具体的なジアミン成分の添加操作は、回分式重合槽中で溶融ジカルボン酸を撹拌しつつ、ジアミン成分を連続的に若しくは間欠的に添加し、添加の間に反応混合物の温度を逐次昇温させ、所定の温度に保持することによって行うことができる。昇温速度は、アミド化反応熱、縮合水の蒸発潜熱、供給熱等に依存するため、ジアミン成分の添加速度を適宜調整する。添加終了時点で反応混合物の温度を、ポリアミド樹脂の融点以上35゜C未満、望ましくは15゜C未満、更に望ましくは5゜C未満に調整することが好ましい。ジアミン成分の添加中、圧力は特に限定されないが、ジアミン成分を固定化する上で常圧以上であることが望ましい。
【0045】重合反応の進行と共に生成する縮合水は、常圧における反応の場合、100〜120゜Cの温度に制御されている分縮器と冷却器を通して反応系外に排出される。縮合水と共に蒸気として反応系外に流出するジアミン、昇華により流出するジカルボン酸等は、分縮器で水蒸気と分離され、回分式重合槽に戻される。公知のナイロン塩水溶液を原料とする加圧法の場合と同様に、原料、特に、ジアミン成分の反応系外への流出は避け難い。従って、回分式重合槽には分縮器が備えられていることが好ましい。分縮器を備えることにより、ジアミン成分が系外に流出することを効果的に防止できる。
【0046】ジアミンの添加終了後、回分式重合槽内を常圧以上で、所定時間保持することが望ましい。所定時間として、5分以上、より好ましくは10分以上を挙げることができる。ジアミンの添加初期には、ジアミンに対してカルボキシル基が相当過剰に存在し、ジアミンの反応速度、つまり固定化速度は極めて速い。しかし、添加終了時にはカルボキシル基が相当量消費されており、添加初期と比較しジアミン成分の固定化速度は極めて遅くなる。また、重合度の増加により、反応混合物の撹拌効率が低下し、ジアミンの固定化に一層不利となる。固定化されなかったジアミンは、反応混合物中若しくは回分式重合槽の気相部に存在し、あるいは又、分縮器で凝縮されたものは、再度、反応混合物に添加される。ジアミンの添加を終了した後に常圧以上で所定時間保持することで、このようなジアミンが固定化され、仕込みのモルバランスが、精度良くポリアミド樹脂のモルバランスに再現される。
【0047】
【実施例】以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明する。尚、ポリアミド樹脂の評価のための測定は、冷却後のポリアミド樹脂について以下の方法に基づき行った。末端アミノ基濃度及び末端カルボキシル基濃度から、ポリアミド樹脂に取り込まれたモノマーのモルバランスを求めることができる。
【0048】末端アミノ基濃度・・・ポリアミド樹脂を精秤し、フェノール/エタノールの混合溶液(容量比:4/1)に20〜30゜Cで撹拌、溶解させた。そして、完全に溶解させた後、撹拌しつつ、0.01モル/リットルの塩酸水溶液で中和滴定して求めた。
【0049】末端カルボキシル基濃度・・・ポリアミド樹脂を精秤し、ベンジルアルコールに窒素気流下160〜180゜Cで撹拌、溶解させた。そして、完全に溶解させた後、窒素気流下80゜C以下まで冷却し、撹拌しつつ、メタノールを10ミリリットル加え、0.01モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液で中和滴定して求めた。
【0050】ポリアミド樹脂中の溶存水分濃度(重量%)・・・三菱化学株式会社製、気化装置(VA−05型)を用い、アミド化反応が起こらない温度である140゜Cでポリアミド樹脂を30分加熱し、気相部に乾燥窒素を流し、その窒素を三菱化学株式会社製、カールフィッシャー微量水分測定装置(CA−05型)を用いて測定した。
【0051】本発明のポリアミド樹脂の連続重合方法の実施に適した装置の概念図を図1に示す。この装置は、回分式重合装置10と連続式重合装置20から構成されている。回分式重合装置10は、加熱用ジャケット(図示せず)付きの回分式重合槽11と、撹拌翼12と、撹拌翼12を回転させるモータ13と、分縮器14と、全縮器15と、窒素ガス導入管16Aと、スチーム導入管16Bと、圧力調整弁17と、ジアミン滴下槽18から構成されている。
【0052】一方、連続式重合装置20は、横型筒状(より具体的には、横型円筒状)の反応器21と、反応器21の外周部に配設された加熱用ジャケット22と、反応器21の一端の側部に設けられた入口部23と、反応器21の他端の下部に設けられた出口部24と、反応器21の上部に設けられた排気部25と、反応器21の一端及び他端の側部に取り付けられ、反応器21の軸線に沿って配設された回転軸26と、回転軸26に取り付けられ、反応器21の内部に配設された複数の撹拌翼27を備えている。排気部25は、配管及び凝縮器を介して真空引き装置(これらは図示せず)に接続されている。かかる横型の連続式重合装置20の詳細は、例えば、特公昭50−21514号公報等に開示されている。尚、連続式重合装置20における回転軸は2軸であるが、図1においては、連続式重合装置20を水平方向から眺めているので、1つの回転軸26しか図示していない。反応器21の入口部23より上流、及び、出口部24より下流には、ギヤポンプ28,29が配設されている。そして、回分式重合槽11にて重縮合された溶融ポリアミド樹脂は、配管、バルブ19、ギヤポンプ28、入口部23を経由して反応器21内に供給され、出口部24から連続的にストランドとして排出され、冷却、固化後(具体的には、水冷後)、連続的に造粒機(図示せず)にて造粒され、ペレット化される。反応器21内では、減圧下、溶融ポリアミド樹脂中から水分を取り除きながら重縮合反応を進行させ、水分を排気部25から排気する。尚、図1において、反応器21内の溶融ポリアミド樹脂の液面を模式的に点線で示す。
【0053】(実施例1)図1に示した装置を用い、ステンレス鋼製回分式重合槽11にアジピン酸(純度:99.85重量%、水分:0.15重量%)を仕込み、窒素ガス導入管16Aから回分式重合槽11内に窒素ガスを導入し、内部を窒素ガス置換し、更に、少量の窒素ガスを流しながら加熱し、撹拌翼12にて撹拌しつつ170゜Cに昇温させた。次いで、溶融したアジピン酸を撹拌しながら、ジアミン滴下槽18からメタキシリレンジアミン(純度:99.70重量%)を、常圧下、連続的に回分式重合槽11内に滴下した。この間、回分式重合槽11の内部の温度を250゜Cまで連続的に昇温させた。メタキシリレンジアミンの滴下と共に留出する水分を、分縮器14及び全縮器15を通して反応系外に排出した。このとき、分縮器14の塔頂の最高温度は101゜Cであった。
【0054】メタキシリレンジアミンの滴下終了後、常圧下、0.2゜C/分の昇温速度で昇温させながら撹拌し、メタキシリレンジアミンの固定化を促した。その後、1.3×106Paのスチームをスチーム導入管16Bから回分式重合槽11内に導入し、圧力調整弁17にて回分式重合槽11の気相部の水蒸気圧を3×105Paに調節した。そして、3×105Paに到達後、溶融ポリアミド樹脂の反応器21への供給を開始した。このとき、回分式重合槽11内における撹拌を継続し、更には、回分式重合槽11内の気相部の水蒸気圧を3×105Paに保持しつつ、回分式重合槽11の内部の温度を255゜C±1゜Cに維持した。
【0055】回分式重合槽11にて得られたモルバランス(ジアミン/ジカルボン酸)が0.994、相対粘度が1.72、ポリアミド樹脂中の水分が0.32%、温度が255゜Cのアジピン酸及びメタキシリレンジアミンから得られたポリアミド樹脂をキヤポンプ28を通じ反応器21に供給した。そして、横型二軸撹拌混合機から構成された横型の連続式重合装置20の反応器21(長さ/内径の比が25、回転方向は同位相)に、入口部23から溶融状態にあるポリアミド樹脂を連続的に供給し、反応器21内で連続的にポリアミド樹脂の重縮合反応を進行させて、出口部24から排出させた。即ち、反応器21内で、減圧下、溶融ポリアミド樹脂中から水分を取り除きながら重縮合反応を進行させ、水分を排気部25から排気した。反応器21内の上部空間における圧力を1.3×104Paとし、反応器21における溶融ポリアミド樹脂の滞留時間を約15分、反応器21内の溶融ポリアミド樹脂の温度を260゜Cとした。反応器21から溶融ポリアミド樹脂を連続的にストランドとして排出し、水冷後、連続的に造粒した。排出開始から3時間経過してからサンプリングを開始し、1時間毎に相対粘度を測定した結果を表1に示す。尚、撹拌翼27の端部が達する最高位置よりも、反応器21内の溶融ポリアミド樹脂の液面(図1においては点線で示す)を下に位置させた。具体的には、反応器の内容量、ポリアミド樹脂の溶融時の比容積、ポリアミド樹脂の滞留量から計算で求めた値が、入口部近傍における、反応器の軸線と直交する反応器の断面の面積をS0とし、かかる入口部近傍における溶融ポリアミド樹脂が反応器のかかる断面を占める面積をSPAとしたとき、SPA=0.95S0を概ね満足する条件とした。
【0056】(比較例1)比較例1として、実施例1と同様のポリアミド樹脂を供給し、同じ条件で重合操作を行った。但し、横型の連続式重合装置20の運転中、撹拌翼27の端部が達する最高位置よりも、反応器21内の溶融ポリアミド樹脂の液面を上に位置させた。反応器21内の出口部24から排出されたポリアミド樹脂の相対粘度を表1に示す。
【0057】

【0058】表1から明らかなように、本発明により反応器21からの排出されるポリアミド樹脂の相対粘度は極めて安定しており、且つ、相対粘度の増加も大きいことが判る。つまり、反応器21内で連続的に溶融ポリアミド樹脂の重縮合反応が、安定に、且つ、効果的に進行している。
【0059】(実施例2)実施例1と同様の回分式重合槽11にアジピン酸(純度:99.85重量%、水分:0.15重量%)を仕込み、窒素ガス導入管16Aから回分式重合槽11内に窒素ガスを導入し、内部を窒素ガス置換し、更に、少量の窒素ガスを流しながら加熱し、撹拌翼12にて撹拌しつつ170゜Cに昇温した。次いで、溶融したアジピン酸を撹拌しながら、ジアミン滴下槽18から1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン(純度:99.86重量%)を、常圧下、連続的に回分式重合槽11内に滴下した。この間、回分式重合槽11の内部の温度を240゜Cまで連続的に昇温した。1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンの滴下と共に留出する水分を、分縮器14及び全縮器15を通して反応系外に排出した。このとき、分縮器14の塔頂の最高温度は103゜Cであった。
【0060】1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンの滴下終了後、常圧下、0.2゜C/分の昇温速度で昇温させながら撹拌し、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンの固定化を促した。その後、回分式重合槽11の下部に設置された溶融保持槽30に溶融ポリアミド樹脂を全量排出した。尚、図3に概念図を示すように、溶融保持槽30には、加熱用ジャケット(図示せず)、撹拌翼31、撹拌翼31を回転させるモータ32、スチーム導入管33、圧力調整弁(図示せず)、バルブ34が備えられている。次いで、1.3×106Paのスチームを溶融保持槽30に導入し、圧力調整弁にて溶融保持槽30の気相部の水蒸気圧を3×105Paに調節した。溶融保持槽30では撹拌翼31にて撹拌を行い、溶融保持槽30内部の温度を245゜C±1゜Cに維持した。溶融保持槽30の気相部の水蒸気圧が3×105Paに到達した後、溶融保持槽30の気相部の水蒸気圧を3×105Paに維持した状態で、撹拌状態にある溶融保持槽30から、実施例1と同様の横型二軸撹拌混合機から構成された連続式重合装置20の反応器21に、入口部23から溶融ポリアミド樹脂を連続的に供給し、反応器21内で連続的にポリアミド樹脂の重縮合反応を進行させて、出口部24から排出させた。即ち、反応器21内で、減圧下、溶融ポリアミド樹脂中から水分を取り除きながら重縮合反応を進行させ、水分を排気部25から排気した。反応器21内の上部空間における圧力を8.0×104Paとし、反応器21における溶融ポリアミド樹脂の滞留時間を約20分、反応器21内の溶融ポリアミド樹脂の温度を255゜Cとした。反応器中のポリアミド樹脂温度の変動幅は255±1゜Cであった。反応器21から溶融ポリアミド樹脂を連続的にストランドとして排出し、水冷後、連続的に造粒した。排出開始から3時間経過してからサンプリングを開始し、1時間毎に相対粘度を測定した結果を表2に示す。尚、SPA=0.7S0を概ね満足する条件とした。
【0061】尚、溶融保持槽30におけるポリアミド樹脂の物性は、モルバランス(ジアミン/ジカルボン酸)=0.991、相対粘度=1.57、ポリアミド樹脂中の水分=0.19%であった。
【0062】(比較例2)比較例2として、実施例2と同様の重合操作を行った。但し、モルバランス(ジアミン/ジカルボン酸)=0.991、相対粘度=1.37、ポリアミド樹脂中の水分=0.23%、温度=250゜Cのアジピン酸及び1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンから成るポリアミド樹脂をキヤポンプ28を通じ反応器21に供給した。その結果、反応器中のポリアミド樹脂温度の変動幅は255〜263゜Cであった。反応器21内の出口部24から排出されたポリアミド樹脂の相対粘度を表2に示す。
【0063】

【0064】表2から明らかなように、本発明により、反応器21のポリアミド樹脂温度が安定し、反応器21からの排出されるポリアミド樹脂の相対粘度が極めて安定していることが判る。つまり、反応器21内で連続的に溶融ポリアミド樹脂の重縮合反応が、安定に進行し、均質なポリアミド樹脂が得られる。
【0065】以上、本発明を好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例にて説明したポリアミド樹脂の製造条件、製造方法は例示であり、適宜変更することができるし、使用した各種の装置も例示であり、適宜変更することができる。
【0066】図2には、2つの回分式重合装置10と1つの連続式重合装置20が組み合わされた重合装置の概念図を示す。また、図3には、1つの回分式重合装置10と1つの溶融保持槽30と1つの連続式重合装置20が組み合わされた重合装置の概念図を示す。更には、図4には、2つの回分式重合装置10と1つの溶融保持槽30と1つの連続式重合装置20が組み合わされた重合装置の概念図を示す。
【0067】
【発明の効果】本発明にあっては、撹拌翼の端部が達する最高位置よりも反応器内の溶融ポリアミド樹脂の液面を下に位置させるが故に、反応器内の上部には充分なる空間が形成され、ポリアミド樹脂に溶存している水分、及び、重縮合反応において生成する水分を、かかる空間を通して排気部から速やかに除去することが可能となる。更に、反応器内で発生する揮発分(水分)を特定範囲に制御するが故に、液面に形成された薄膜が破壊されることなく、脱水が円滑に進行する。このため、溶融ポリアミド樹脂の重縮合を効果的に進行させることができる。また、連続式反応でありながら品質低下することなく、連続造粒が可能となる。
【出願人】 【識別番号】000004466
【氏名又は名称】三菱瓦斯化学株式会社
【出願日】 平成13年1月24日(2001.1.24)
【代理人】 【識別番号】100094363
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 孝久
【公開番号】 特開2002−220464(P2002−220464A)
【公開日】 平成14年8月9日(2002.8.9)
【出願番号】 特願2001−16320(P2001−16320)