| 【発明の名称】 |
ポリアミド樹脂、ポリアミド樹脂組成物、およびその成形品 |
| 【発明者】 |
【氏名】沢田 雅博
【氏名】小合 佳正
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| 【要約】 |
【課題】電気・電子用部品、および自動車部品などの成形材料に好適な高結晶性、低吸水性、および耐熱性に優れたポリアミド樹脂、およびポリアミド組成物、およびその成形品を提供する。
【解決手段】ジアミン成分として1,9-ジアミノノナンと、1,9-ジアミノノナン以外の直鎖状の炭素数6〜12の脂肪族ジアミンと、および/または側鎖を有する炭素数6〜12の脂肪族ジアミンとから誘導され、1,9-ジアミノノナン成分単位を70〜99モル%、1,9-ジアミノノナン以外の直鎖状の炭素数6〜12の脂肪族ジアミンを1〜30モル%、および/または側鎖を有する炭素数6〜12の脂肪族ジアミンを0〜15モルからなることを特徴とするポリアミド樹脂を用いる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】(i)1,9-ジアミノノナンと、1,9-ジアミノノナン以外の直鎖状の炭素数6〜12の脂肪族ジアミンと、および/または側鎖を有する炭素数6〜12の脂肪族ジアミンとから誘導され、1,9-ジアミノノナン成分単位を70〜99モル%、1,9-ジアミノノナン以外の直鎖状の炭素数6〜12の脂肪族ジアミンを1〜30モル%、および/または側鎖を有する炭素数6〜12の脂肪族ジアミンを0〜15モル%含むジアミン成分と、(ii)テレフタル酸成分単位50〜100モル%と、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸成分単位0〜50モル%と、および/または炭素原子数4〜20の脂肪族ジカルボン酸成分単位0〜50モル%とからなるジカルボン酸成分とからなることを特徴とするポリアミド樹脂。 【請求項2】25℃の96.5%硫酸中で測定した極限粘度が、0.5〜3.0 dl/gの範囲内にあり、DSCで測定した融点が280℃以上、315℃未満であり、X線回折で測定した結晶化度が15%以上であることを特徴とする請求項1記載のポリアミド樹脂。 【請求項3】請求項1および2のいずれかに記載のポリアミド樹脂を含み、該ポリアミド樹脂100重量部に対し、充填材0.1〜200重量部を含んでなることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。 【請求項4】請求項1〜3にいずれかに記載のポリアミド樹脂またはポリアミド樹脂組成物からなる成形品。 【請求項5】請求項1〜3にいずれかに記載のポリアミド樹脂またはポリアミド樹脂組成物からなる電気・電子部品および/または自動車部品。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ポリアミド樹脂、ポリアミド樹脂組成物、およびその成形品に関し、詳しくは、特に電気・電子用部品、自動車部品の成形品材料に好適な、高結晶性、低吸水性、成形性および耐熱性に優れるポリアミド樹脂、ポリアミド樹脂組成物、およびその成形品に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、ポリアミドとしては6ナイロン、66ナイロンなどが広く知られている。これらの脂肪族ポリアミドは優れた成形性を有するため、自動車部品、電気・電子部品、機械部品などに広く用いられている。一般に、高耐熱ポリアミド樹脂の開発が盛んであり、6ナイロンなどを含む高耐熱樹脂組成物などが実用化されているが、これらは、耐熱変形温度が充分とはいえなかった。また一方で、高耐熱ポリアミドとしてナイロン46が知られているが、その耐熱変形温度は、従来のポリアミドより高いものの、吸水率が高いという問題があった。このような状況下、本願出願人は、特開平3-281532号公報において、(a)ジカルボン酸成分単位が、テレフタル酸成分単位52〜58モル%および脂肪族ジカルボン酸成分単位48〜42モル%からなり、(b)ジアミン成分単位が、脂肪族アルキレンジアミン成分単位および/または脂環族アルキレンジアミン成分単位からなり、かつ、濃硫酸中25℃で測定した極限粘度[η]が0.5〜3.0 dl/gの範囲にある芳香族ポリアミドと、繊維状充填剤とを含有するポリアミド樹脂組成物を提案している。該ポリアミド樹脂組成物は耐熱性、耐水性、機械的強度、耐衝撃性等に比較的優れているため、自動車部品、電気・電子部品等の成形材料に広く使用されている。 【0003】ところで、近年、環境保護問題の観点から、電気製品用のはんだとして、鉛を使用しない「鉛フリーはんだ」が使用されつつある。この「鉛フリーはんだ」は、表面実装工程におけるリフロー温度が、従来広く使用されていた鉛と錫の共晶はんだと比較して高い傾向にある。このため、プリント配線板上の電気・電子部品の接続に「鉛フリーはんだ」を用いる場合には、電気・電子部品に使用される樹脂が、従来のポリアミド樹脂より、より高い耐熱性を有する必要がある。このような表面実装用の電気・電子部品では、部品に用いられる樹脂の吸水率が高いとリフロー工程時において、部品表面に膨れが生ずる場合がある。 【0004】上記のようなポリアミド樹脂組成物は、耐熱性は比較的高いものの、吸水率が高いため、このような表面実装用の電気・電子部品に使用した場合、リフロー工程時において、部品表面に膨れが生じる事が多く問題であった。このような事情から、表面実装用の電気・電子部品においても好適に用いる事が出来るようなポリアミド樹脂を開発するため、吸水性を抑えるための検討が行なわれてきた。ところで、一般にポリアミドの吸水性は結晶部より非晶部の方が高い事が知られている。従って、吸水性を抑えるために、結晶性の高い樹脂の開発が望まれていた。しかしながら、ある程度結晶性の高い樹脂においても、成形後に充分に結晶化されていない場合、アニール処理、もしくは上記のようなリフロー工程時に変形が生じる事がある。 【0005】従って耐水性が高い(低吸水性)、高結晶状態の成形品を提供する樹脂の出現が望まれていた。 【0006】また、吸水率の低いポリアミドとして、ジアミン成分の主成分に1,9-ノナンジアミンを使用しているものが知られており、特開平7-228689では1,9-ノナンジアミンおよび2−メチル−1,8−オクタンジアミンとテレフタル酸からなるポリアミドが開示されている。 【0007】しかしながら、これらのポリアミドは側鎖を含むジアミンを多く含有しているため、結晶化阻害が起こり、上記のような変形を引き起こす場合がある。また結晶化度を高くするために射出成形時の冷却時間を長くする方法があるが、この場合、成形時間の増加などが問題となる。これらの文献中にはDSCでの結晶化に由来するピークから判断した、結晶化が速い樹脂の記載もなされているが、到達する結晶化度の具体的な記載は無く、成形後の結晶化度が低い恐れがある。 【0008】また、特開平7-228690では1,9-ノナンジアミンとテレフタル酸からなるポリアミドが開示されている。これらのポリアミドでは側鎖を含むジアミンを含有していないため、結晶化阻害を防ぐ可能性があると考えられる。しかしこれらのポリアミドでは樹脂の融点が高く、該ポリアミドを用いた組成物を製造する際、およびその組成物を溶融成形する際に、組成物を形成する添加物の一部が分解することに伴う成形品外観不良、金型汚れ、さらには金型のガスベント閉塞による成形品のガス焼けなどの問題が起る場合がある。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のような問題点を解決しようとするものであって、電気・電子用部品、および自動車部品などの成形材料に好適な高結晶性、低吸水性、および耐熱性に優れたポリアミド樹脂、およびポリアミド組成物、およびその成形品を提供することを目的としている。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題点を克服するために、ポリアミド樹脂を構成する成分について更に詳しく検討した結果、高結晶状態の成形品を提供することができ、低吸水性であり、さらに耐熱性に優れる樹脂を見出した。本発明は以下の通りである。 【0011】(1)本発明のポリアミド樹脂は、(i)1,9-ジアミノノナンと、1,9-ジアミノノナン以外の直鎖状の炭素数6〜12の脂肪族ジアミンと、および/または側鎖を有する炭素数6〜12の脂肪族ジアミンとから誘導され、1,9-ジアミノノナン成分単位を70〜99モル%、1,9-ジアミノノナン以外の直鎖状の炭素数6〜12の脂肪族ジアミンを1〜30モル%、および/または側鎖を有する炭素数6〜12の脂肪族ジアミンを0〜15モル%含むジアミン成分と、(ii)テレフタル酸成分単位50〜100モル%と、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸成分単位0〜50モル%と、および/または炭素原子数4〜20の脂肪族ジカルボン酸成分単位0〜50モル%とからなるジカルボン酸成分とからなることを特徴としている。 【0012】(2)上記ポリアミド樹脂は、25℃の96.5%硫酸中で測定した極限粘度が、0.5〜3.0 dl/gの範囲内にあり、DSCで測定した融点が280℃以上、315℃未満であり、X線回折で測定した結晶化度が15%以上であることを特徴としている。 【0013】(3)また、本発明に係るポリアミド樹脂組成物は、前記ポリアミド樹脂を含み、該ポリアミド樹脂100重量部に対し、充填材0.1〜200重量部を含んでなることを特徴としている。 【0014】(4)本発明の成形品は、前記ポリアミド樹脂または前記ポリアミド樹脂組成物からなることを特徴としている。 【0015】(5)本発明の電気・電子部品は、前記ポリアミド樹脂または前記ポリアミド樹脂組成物からなることを特徴としている。 【0016】 【発明の実施の態様】以下、本発明に係るポリアミド樹脂、ポリアミド樹脂組成物、およびその成形品について具体的に説明する。 【0017】[ジアミン成分]本発明のポリアミド樹脂を構成するジアミン成分は、1,9-ジアミノノナンと、1,9-ジアミノノナン以外の直鎖状の炭素数6〜12の脂肪族ジアミンと、および/または側鎖を有する炭素数6〜12の脂肪族ジアミンから誘導されることが好ましい。 【0018】本発明に用いられる1,9-ジアミノノナン以外の直鎖脂肪族ジアミン成分の具体的な例としては、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,10−ジアミノデカン、1,11-ジアミノウンデカン、および1,12−ジアミノドデカンを挙げることができる。これらのなかでは、1,8−ジアミノオクタン、1,10−ジアミノデカン、および1,11−ジアミノウンデカンから誘導される成分単位が特に好ましい。 【0019】本発明に用いられる側鎖を有する炭素数6〜12の脂肪族ジアミン成分は、側鎖アルキル基を有する脂肪族ジアミンであれば特に制限はないが、具体的な例としては、2−メチル−1,5−ジアミノペンタン、2−メチル−1,6−ジアミノヘキサン、2−メチル−1, 7−ジアミノヘプタン、2−メチル−1,8−ジアミノオクタン、2−メチル−1,9−ジアミノノナン、2−メチル−1,10−ジアミノデカン、2−メチル−1,11−ジアミノウンデカン等が挙げられる。これらのなかでは、2−メチル−1, 7−ジアミノヘプタン、2−メチル−1,8−ジアミノオクタン、2−メチル−1,9−ジアミノノナンから誘導される成分単位が特に好ましい。 【0020】1,9-ジアミノノナンと共に構成する上記ジアミン成分は、直鎖脂肪族ジアミン成分と側鎖アルキル基を有する脂肪族ジアミン成分を任意の割合で混合して使用することができるが、直鎖脂肪族ジアミン成分のみであっても良い。 【0021】本発明においては、ジアミン成分を構成するジアミン成分単位の全量を100モル%とする時、1,9-ジアミノノナン成分単位から誘導される構成単位は、70〜99モル%、好ましくは85〜99モル%の量で含有され、1,9-ジアミノノナン以外の直鎖状の炭素数6〜12の脂肪族ジアミン成分単位から誘導される構成単位は1〜30モル%、好ましくは1〜15モル%の量で含有され、および/または側鎖を有する炭素数6〜12の脂肪族ジアミン成分単位から誘導される構成単位が0〜15モル%、好ましくは0〜10モル%の量で含有することが好ましい。 【0022】[ジカルボン成分]本発明のポリアミド樹脂を構成するジカルボン酸成分は、テレフタル酸成分単位50〜100モル%と、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸成分単位0〜50モル%、および/または炭素原子数4〜20の脂肪族ジカルボン酸成分単位0〜50モル%からなる事が好ましい。 【0023】このうちテレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸成分単位としては、たとえばイソフタル酸、2-メチルテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸およびこれらの組み合わせなどが挙げられる。 【0024】また、脂肪族ジカルボン酸成分単位は、その炭素数を特に制限するものではないが、好ましくは4〜20、さらに好ましくは6〜12の脂肪族ジカルボン酸から誘導される。このような脂肪族ジカルボン酸成分単位を誘導するために用いられる脂肪族ジカルボン酸の例としては、たとえば、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸およびドデカンジカルボン酸等が挙げられる。これらの中でも、アジピン酸が特に好ましい。本発明においては、ジカルボン酸成分(b)を構成するジカルボン酸成分単位の全量を100モル%とする時、テレフタル酸成分単位から誘導される構成単位は、50〜100モル%、好ましくは80〜100モル%の量で含有され、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸成分単位から誘導される構成単位は0〜50モル%、好ましくは0〜20モル%の量で含有され、および/または炭素原子数4〜20、好ましくは4〜12の脂肪族ジカルボン酸成分単位から誘導される構成単位が0〜50モル%、好ましくは0〜20モル%の量で含有する事が好ましい。 【0025】また、本発明においては、ジカルボン酸成分(b)として、上記のようなテレフタル酸成分単位、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸成分単位、および/または脂肪族ジカルボン酸成分単位と共に、少量、たとえば、10モル%以下程度の量の多価カルボン酸成分単位が含まれていてもよい。このような多価カルボン酸成分単位として具体的には、トリメリット酸およびピロメリット酸等のような三塩基酸および多塩基酸を挙げることができる。 【0026】[ポリアミド樹脂の製造]本発明のポリアミド樹脂(A)を製造するためには、上記のようなジアミン成分(a)とジカルボン酸成分 (b)とを加えて、触媒の存在下に加熱することにより製造することができる。またこの反応において、ジアミン成分 (a)の全モル数が、ジカルボン酸成分 (b)の全モル数より多く配合されることが好ましく、特に好ましくは全ジカルボン酸成分を100モル%とした時、全ジアミン成分が100〜120モル%である。この反応は、通常は不活性ガス雰囲気下で行なわれ、一般には反応容器内を窒素ガスなどの不活性ガスで置換する。また、ポリアミドの重縮合反応を制御するために、水を予め封入しておく事が望ましく、水に可溶な有機溶媒、例えばメタノール、エタノールなどのアルコール類が含有されていても良い。 【0027】本発明で使用されるポリアミド樹脂を製造する際に用いられる触媒としては、リン酸、その塩およびリン酸エステル化合物;亜リン酸、その塩およびエステル化合物;並びに、次亜リン酸、その塩およびエステル化合物を使用することができる。これらの中でも、リン酸ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸ナトリウム等が好ましい。 【0028】これらのリン酸化合物は、単独であるいは組み合わせて使用することができる。このようなリン系化合物は、上記のようなジカルボン酸に対して、通常は0.001〜5モル%、好ましくは0.002〜2モル%の割合で用いられる。 【0029】また本発明のポリアミド樹脂を製造するためには、末端封止剤を使用することが好ましい。この末端封止剤としては、安息香酸、安息香酸のアルカリ金属塩、酢酸等を使用することができる。このような末端封止剤は、ジカルボン酸1モルに対して、通常は0.001〜5モル、好ましくは0.01〜2モルの範囲内の量で使用される。この末端封止剤の使用量を調整することにより、得られる重縮合物の極限粘度[η]を制御することができる。 【0030】このような重縮合物を調製する際の反応条件は、具体的には、反応温度は通常200〜290℃、好ましくは220〜280℃、反応時間は通常0.5〜5時間、好ましくは1〜3時間である。さらにこの反応は常圧から加圧のいずれの条件で行うことができるが、加圧条件で反応を行うことが好ましく、反応圧は、通常20〜60kg/cm2、好ましくは25〜50 kg/cm2の範囲内に設定される。そして、このようにして重縮合反応を行うことにより、25℃の96. 5%硫酸中で測定した極限粘度[η]が、通常は0.05〜0.6 dl/g、好ましくは0.08〜0.3 dl/gの範囲内にある低次縮合物を得ることができる。こうして水性媒体中に生成したポリアミド低次縮合物は、反応液と分離される。このポリアミド低次縮合物と反応液との分離には、例えば濾過、遠心分離等の方法を採用することもできるが、生成した半芳香族ポリアミド低次縮合物を含有する反応液を、ノズルを介して大気中にフラッシュすることにより、固液分離する方法が効率的である。 【0031】本発明では上記のようにして得られたポリアミド低次縮合物を用いて後重合を行う。この後重合は、上記ポリアミド低次縮合物を乾燥した後に加熱して、溶融状態にし、この溶融物に剪断応力を付与しながら行なうことが好ましい。この反応に際しては、乾燥ポリアミド低次縮合物が少なくとも溶融する温度に加熱する。一般には、乾燥ポリアミド低次縮合物の融点以上の温度、好ましくはこの融点よりも10〜60℃高い温度に加熱される。剪断応力は、例えばベント付き二軸押出機、ニーダー等を用いることにより溶融物に付与することができる。こうして溶融物に剪断応力を付与することにより、溶融状態にある乾燥ポリアミド低次縮合物が相互に重縮合すると共に、縮合物の重縮合反応も進行するものと考えられる。 【0032】本発明のポリアミド樹脂の製造に関する他の方法として、上記ポリアミド低次縮合物を一般公知の方法にて固相重合させて、極限粘度[η]が0.5〜2.0 dl/gの範囲のポリアミドを調製する事ができる。 【0033】本発明のポリアミド樹脂の製造に関する、更に他の方法として、上記ポリアミド低次縮合物を一般公知の方法にて固相重合させて、極限粘度[η]が0.5〜1.5dl/gの範囲のポリアミド前駆体を調製し、さらにこの前駆体を溶融重合させて、極限粘度[η]が0.8〜3.0 dl/gの範囲にすることができる。 [ポリアミド樹脂]上記組成の範囲にあるポリアミド樹脂(A)によって、優れた成形性、低吸水性、および耐熱性を有することができる。 【0034】本発明で用いられるポリアミド樹脂は、25℃の96.5%硫酸中で測定した極限粘度が、0.5〜3.0 dl/g、好ましくは0.5〜2.5dl/g、特に0.6〜2.0 dl/gである事が好ましい。このような範囲にある場合、成形性や成形品の強度特性等に優れる。 【0035】また本発明のポリアミド樹脂は、DSCで測定した融点が280℃以上、315℃未満、特に290℃〜315℃の範囲内にあることが好ましい。このような範囲にあるポリアミド樹脂では、特に優れた耐熱性を有する。融点測定は、DSCを用いて一旦330℃で5分間保持し、次いで10℃/分の速度で23℃まで降温せしめた後、10℃/分で昇温して行なった。このときの融解に基づく吸熱ピークを融点(Tm)とした。 【0036】本発明のポリアミド樹脂は、X線回折法で測定した結晶化度が15%以上、特に20%以上ある事が好ましい。結晶化度がこのような範囲内にあるポリアミド樹脂では、成形品の形状安定性に優れる。結晶化度の測定はX線回折法にて行い、非晶樹脂、および成形品のX線散乱曲線のピーク積分値を各々A1、A2とし、以下の式により算出した。なお、非晶樹脂は溶融樹脂を液体窒素で急冷する事により調製した。 結晶化度(%)=(A2−A1)/A2×100A1:非晶樹脂のX線散乱曲線のピーク積分値A2:結晶樹脂のX線散乱曲線のピーク積分値【0037】[充填剤]本発明では、発明の効果を損なわない範囲で、用途に応じて以下の充填剤をポリアミド樹脂(A)100重量部に対し、0.1〜200重量部、好ましくは20〜180重量部の割合で添加することができる。本発明で用いられる充填材としては、たとえば、繊維状の充填材(特にガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維等)、粉末状、粒状、板状、針状の充填材(特にシリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、二酸化チタン、タルク、ウォラストナイト、ケイソウ土、クレー、カオリン、球状ガラス、マイカ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸カリウム、ウイスカ等)、難燃剤(臭素化ポリスチレン、ポリ臭素化スチレン、臭素化ポリカーボネート、臭素化フェノールの縮合物、赤リン、酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛などの金属ホウ酸塩等)、酸化防止剤や耐熱安定剤(酸化マグネシウム、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト類、リン化合物、ヒンダートフェノール類、ハイドロキノン類、ハロゲン化銅、ヨウ素化合物等)、他の重合体(オレフィン類、変性ポリオレフィン類、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1-ブテン共重合体、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1-ブテン共重合体等のオレフィン共重合体、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリスルフォン、ポリフェニレンオキシド、弗素樹脂、シリコーン樹脂、脂肪族ポリアミド等)、可塑剤、増粘剤、帯電防止剤、離型剤、顔料、染料、核剤、種々公知の配合剤が挙げられる。 【0038】[ポリアミド樹脂組成物]本発明に係るポリアミド組成物は、上述した各成分を、種々公知の方法、例えばヘンシェルミキサー、V-ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー等で混合する方法、あるいは混合後、一軸押出機、多軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等で溶融混練後、造粒あるいは粉砕する方法を用いることで調整することができる。 【0039】具体的には、上記ポリアミド樹脂(A)を溶融状態、例えば280〜360℃に加熱・維持しながら、必要により上記繊維状充填剤、粉末状充填剤、各種添加剤を配合して混練するなどの方法により調製することができる。この際、押出し機、ニーダー等の通常の混練装置を用いることができる。また本発明のポリアミド樹脂およびその組成物は、このポリアミドの融点以上、分解温度未満に加熱して、通常の成形装置を使用して所望の形状に成形することができる。特に射出成形によって、電気・電子部品および自動車部品を効率よく成形することができる。 【0040】例えば上記のようにして調製された本発明のポリアミド樹脂組成物は、粉末、ペレット状その他の形状にして、圧縮成形法、射出成形法、押出し成形法などを利用することにより、電気・電子部品、自動車部品などの各種成形品にすることができる。 【0041】本発明に係るポリアミド樹脂組成物は、結晶化度が高く、低吸水性、耐熱性、成形性、機械的諸強度特性にも優れており、また高結晶状態の成形品を提供し得るため、特に、電気・電子部品、自動車部品の成形品材料として好適に用いられる。また、このようなポリアミド樹脂組成物により得られた成形品は、吸水率が低く、また、リフロー工程時において、かなりの高温においても膨れが生じることなく耐熱性に優れている。 【0042】 【実施例】次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。なお、実施例および比較例中の極限粘度[η]、融点、結晶化度、吸水率、リフロー時に膨れが生じる温度は、以下の方法に従って測定した。 極限粘度[η]:ポリアミド樹脂0.5 gを96.5%硫酸溶液50 mlに溶解し、ウベローデ粘度計を使用し、25.0±0.05℃の条件下で試料溶液の流下秒数を測定し、以下の式に基づき算出した。 [η]=ηSP/{C(1+0.205ηSP)}ηSP=(t-t0)/t0[η]:極限粘度(dl/g) ηSP:比粘度C :試料濃度(g/dl) t :試料溶液の流下秒数(秒) t0 :ブランク硫酸の流下秒数(秒) 融点(Tm):PERKIN ELMER社製DSC7型を用いて、一旦330℃で5分間保持し、次いで10℃/分の速度で23℃まで降温せしめた後、10℃/分で昇温して行なった。このときの融解に基づく吸熱ピークを融点とした。 結晶化度: ポリアミド樹脂を、射出圧力1000 kg/cm2、シリンダー温度を樹脂の融点より10℃高い温度に設定し、金型温度120℃にて長さ64 mm、幅6 mm、厚さ0.8 mmの試験片を射出成形した。この試験片について、結晶化度をX線回折により測定した。理学機器(株)製Ru300を用いて、Cuターゲット、50 kv、300mA、ポイントフォーカス、試料回転透過法にて測定した。非晶樹脂、および成形品のX線散乱曲線のピーク積分値を各々A1、A2とし、以下の式により算出した。なお、非晶樹脂は溶融樹脂を液体窒素で急冷する事により調製した。 結晶化度(%)=(A2−A1)/A2×100A1:非晶樹脂のX線散乱曲線のピーク積分値A2:結晶樹脂のX線散乱曲線のピーク積分値吸水率:ポリアミド樹脂を、射出圧力1000 kg/cm2、シリンダー温度を樹脂の融点より10℃高い温度に設定し、金型温度120℃にて射出成形し、長さ64 mm、幅6mm、厚さ0.8 mmの試験片を得た。この試験片を40℃、相対湿度95%の恒温恒湿室に保管して吸水させた。96時間吸水させた後、試験片重量を精密天秤で測定した。吸水率(重量%)は、次の式で求めた。 M=(M2−M1)/M1×100M:吸水率(重量%) M1:試験片の絶乾重量(g)M2:吸水後の試験片重量(g)金型汚れ評価:薄層ガスベントのある成形金型を用い、ポリアミド樹脂組成物を、射出圧力1000 kg/cm2、シリンダー温度を樹脂の融点より10℃高い温度に設定し、金型温度120℃にて2000ショット連続射出成形を行なった。ガスベント周辺の樹脂に、ガス焼けが原因と思われる変色を目視にて確認し、変色が無い場合は金型汚れ○、変色が認められた場合は金型汚れ×とした。 リフロー時に膨れが生じる温度:上記吸水率測定に使用した試験片について、赤外線及び熱風併用型リフローはんだ装置(日本アントム工業(株)製、SOLSYS-2001R)を用いて、設定温度を20秒間保持する温度プロファイルで、ピーク温度は設定温度より10℃高く設定したリフロー工程でリフロー時の耐熱性評価を行った。膨れが生じる温度が250℃以上の場合は◎、250℃未満、240℃以上の場合は○、240℃未満、230℃以上の場合は△、230℃未満の場合は×とした。 【0043】 【実施例1】1,9−ジアミノノナンを44.2 kg(280モル)、1,8−ジアミノオクタンを2.2kg(15.6モル)、1,10−ジアミノデカンを2.7 kg(15.6モル)、テレフタル酸を51 kg(308モル)、安息香酸0.5 kg(3.9モル)、次亜リン酸ナトリウム一水和物0.07 kg(0.6モル)および蒸留水30 kgをオートクレーブに入れ、反応釜内部を十分に窒素置換した。攪拌しながら内部温度を4時間かけて250℃に昇温した。そのまま1時間反応を続け、ポリアミド低次縮合物を得た。このポリアミド低次縮合物を真空下190℃で、12時間固相重合した。その後、スクリュー径37 mm、L/D=36の二軸押出機にて、ポリアミドの融点より30℃高いバレル設定温度でスクリュー回転数 300 rpm、 10 kg/hの樹脂供給速度で溶融重合して、ポリアミド樹脂を得た。このポリアミド樹脂の[η]、融点(Tm)、結晶化度、吸水率を下記の表1に示す。当該ポリアミド樹脂40重量部に対し、ガラス繊維(旭ファイバーグラス製;CS03JAFT2A)30重量部、難燃剤(ポリジブロモポリスチレン;グレートレイクスケミカル製; PDBS-80)30重量部、難燃助剤(アンチモン酸ソーダ;日産化学(株)製;サンエポックNA-1070L) 4重量部、核剤(タルク;松村産業(株)製;ハイフィラー)1重量部を加え、二軸押出機にてポリアミド樹脂の融点より10〜30℃高い温度にて溶融混練してポリアミド樹脂組成物を得た。このポリアミド樹脂組成物を射出成形し、金型汚れを評価し、リフロー時に膨れが生じる温度を測定した。その結果を表1に示す。 【0044】 【実施例2〜7】実施例1において、下記表1に示すジアミン成分、およびジカルボン酸成分にして、下記表1に記載したモル比にて用いた以外は、実施例1と同様の方法によって重合し、ポリアミド樹脂を得た。次いで、得られたポリアミド樹脂を用いて、実施例1と同様にポリアミド樹脂組成物を製造した。これらを実施例1と同様に評価した。その結果を表1に示す。 【0045】 【比較例1、2】実施例1において、下記表1に示すジアミン成分、およびジカルボン酸成分にして、下記表1に記載したモル比にて用いた以外は、実施例1と同様の方法によって重合し、ポリアミド樹脂を得た。次いで、得られたポリアミド樹脂を用いて、実施例1と同様にポリアミド樹脂組成物を製造した。これらを実施例1と同様に評価したところ、比較例1では金型汚れが見られ、比較例2では耐熱性が劣った。これらの結果を表1に示す。 【0046】 【比較例3】実施例1において、ジアミンの種類を1,9−ジアミノノナンに代えて、1,6−ジアミノヘキサンとし、ジアミン成分およびジカルボン酸成分の配合量(モル比)を表1に記載したモル比とした以外は、実施例1と同様の方法によってポリアミド樹脂、およびポリアミド樹脂組成物を製造した。これらを実施例1と同様に評価したところ、吸水率が高く、また耐熱性が劣った。これらの結果を表1に示す。 【表1】
【0047】 【発明の効果】本発明に係るポリアミド樹脂組成物は、上記のような成分単位を上記のような特定の割合で含む特定のポリアミド樹脂を含有しているので、特に高結晶性、低吸水性、耐熱性、成形性、強度特性にも優れており、また、高結晶状態の成形品を提供し得るため、電気・電子部品、自動車部品などの成形材料として好適である。また、上記ポリアミド樹脂組成物を用いて形成された本発明に係る成形品は、吸水率が低く、しかもリフロー工程時における耐熱性に優れる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005887 【氏名又は名称】三井化学株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年1月29日(2001.1.29) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2002−220461(P2002−220461A) |
| 【公開日】 |
平成14年8月9日(2002.8.9) |
| 【出願番号】 |
特願2001−19858(P2001−19858) |
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