| 【発明の名称】 |
官能基を有するポリフェニレンエーテルの製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】常盤 哲司
|
| 【要約】 |
【課題】色調、外観に優れた高品質な官能化ポリフェニレンエーテルを短時間で効率よく製造する方法。
【解決手段】官能化化合物を気体状態でポリフェニレンエーテルに連続的に吹き込みながら、ポリフェニレンエーテルの溶融温度以下でポリフェニレンエーテルと反応させる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 (A)ポリフェニレンエーテルと(B)分子内に少なくとも1個の炭素−炭素二重結合または三重結合、およびカルボキシル基、酸化アシル基、イミノ基、イミド基、水酸基およびグリシジル基からなる群から選ばれる少なくとも1個の官能基を有する少なくとも1種の官能化化合物を反応させる方法において、該官能化化合物を気体の状態でポリフェニレンエーテルに連続的に吹き込みながら、ポリフェニレンエーテルの溶融温度以下の温度でポリフェニレンエーテルと反応させることを特徴とする官能化ポリフェニレンエーテルの製造方法。 【請求項2】 官能化化合物が無水マレイン酸である請求項1記載の官能化ポリフェニレンエーテルの製造方法。 【請求項3】 気体状態の官能化化合物を吹き込む際の線速がポリフェニレンエーテルに対して0.05m/秒〜10m/秒であることを特徴とする請求項1または2記載の官能化ポリフェニレンエーテルの製造方法。 【請求項4】 気体状態の官能化化合物を不活性ガスで希釈することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の官能化ポリフェニレンエーテルの製造方法。 【請求項5】 気体状態の官能化化合物の体積濃度が1%以上であることを特徴とする請求項4記載の官能化ポリフェニレンエーテルの製造方法。 【請求項6】 反応温度が100℃〜230℃であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の官能化ポリフェニレンエーテルの製造方法。 【請求項7】 ポリフェニレンエーテルが流動層を形成することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の官能化ポリフェニレンエーテルの製造方法。 【請求項8】 ポリフェニレンエーテルが固定層であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の官能化ポリフェニレンエーテルの製造方法。 【請求項9】 ヘンシェルミキサーを用いて反応させることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の官能化ポリフェニレンエーテルの製造方法。 【請求項10】 パドルドライヤーを用いて反応させることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の官能化ポリフェニレンエーテルの製造方法。 【請求項11】 請求項1〜10のいずれかに記載の製造方法で製造された官能化ポリフェニレンエーテル。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、電気、電子製品や自動車、その他の各種工業材料、食品、包装分野のプラスチック材料として利用できる官能化ポリフェニレンエーテルの製造方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】ポリフェニレンエーテルは加工、生産性に優れ、溶融射出成形法や溶融押し出し成形法等の成形法により、所望の形状の製品、部品を効率よく生産できるため、電気・電子分野、その他の各種工業材料分野、食品、包装分野の製品、部品の材料として幅広く用いられている。昨今、特に電気・電子分野、自動車分野、その他の各種工業分野では製品、部品が多様化して、樹脂材料に対する要求が幅広くなっている。 【0003】この要求に応えるために、異種材料との複合化あるいは、各種既存高分子材料の組み合わせによるポリマーアロイ技術により、既存の材料にはなかった材料特性をもつ樹脂材料が開発されている。通常のポリフェニレンエーテルは耐熱性が高く、且つ機械特性に優れているが、他の材料との親和性が乏しいために、複合化できる相手の材料が限定される。特にポリアミドのような極性の高い材料との親和性は非常に悪く、このような樹脂と複合化させるためには、官能化ポリフェニレンエーテルが必要である。 【0004】ポリフェニレンエーテルを官能化する手段として、ポリフェニレンエーテル、もしくはポリフェニレンエーテルを含む樹脂組成物と官能基をもつ化合物を反応させる方法が検討されてきた。例えば関連する技術として、特公昭52−19864号公報、特公昭52−30991号公報には、ポリフェニレンエーテルを溶液状態で、ラジカル発生剤の存在下、スチレン、及び、無水マレイン酸、あるいは重合可能な変性用化合物と混合し、長時間反応させることにより官能化ポリフェニレンエーテルを得る方法が提案されている。 【0005】しかし、これらの方法では、溶剤を用いるため溶解工程や重合工程、溶剤除去工程が必要であり、設備面、エネルギー面で製造コストが割高になる。また、特公平3−52486号公報、特開昭62−132924号公報、特表昭63−500803号公報、特開昭63−54425号公報には、ポリフェニレンエーテルをラジカル発生剤の存在下、または、ラジカル発生剤の非存在下で無水マレイン酸、あるいは、他の反応可能な官能化化合物と混合し、樹脂が溶融した状態で反応させ、官能化ポリフェニレンエーテルを得る方法が提案されている。 【0006】しかし、この方法では樹脂を溶融させる温度が非常に高温であるため、樹脂の熱劣化による変色、黒色ゲルの発生など、色調または外観などの種々の問題が発生している。また、特開2000−191769号公報には固体状のポリフェニレンエーテルと官能化化合物を反応させる方法が開示されている。しかしながら、反応速度が遅く、生産効率が極めて低いという問題点があった。また、特公昭63−7204ではポリフェニレンエーテルに有機又は無機のラジカル重合開始剤の存在下でラジカル重合可能な化合物を気相状態で供給しているが、この方法では官能化化合物自体が単独で重合しやすく、官能化化合物が効率よくポリフェニレンエーテルへ付加されないという問題点があった。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、色調、外観に優れた官能化ポリフェニレンエーテルを短時間で効率よく得ることを目的とするものである。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明者は、官能化ポリフェニレンエーテルの製造法について鋭意検討を進めた結果、ポリフェニレンエーテルを気体状態の官能化化合物の気流中で反応させることにより、官能化ポリフェニレンエーテルが短時間で得られることを見出し、本発明に到った。 【0009】即ち本発明は、(A)ポリフェニレンエーテルと(B)分子内に少なくとも1個の炭素−炭素二重結合または三重結合、およびカルボキシル基、酸化アシル基、イミノ基、イミド基、水酸基およびグリシジル基からなる群から選ばれる少なくとも1個の官能基を有する少なくとも1種の官能化化合物を反応させる方法において、該官能化化合物を気体の状態でポリフェニレンエーテルに連続的に吹き込みながら、ポリフェニレンエーテルの溶融温度以下の温度でポリフェニレンエーテルと反応させることを特徴とする官能化ポリフェニレンエーテルの製造方法を提供するものである。 【0010】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で用いるポリフェニレンエーテルとは下記(式1)の構造を持ち、30℃、0.5g/dlのクロロホルム溶液の還元粘度が0.15〜1.0dl/gの範囲、より好ましくは0.20〜0.70dl/gの範囲にある重合体、または共重合体である。 【0011】 【化1】
【0012】[R1、R2、R3、R4は各々独立して、水素原子、アルキル基またはハロゲン原子を表す。] 具体的には、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチルー6−フェニルー1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニルー1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)等である。 【0013】本発明の共重合体の具体例としては、2,6−ジメチルフェノールと他のフェノール類(例えば2,3,6−トリメチルフェノールや2−メチル−6−メチルブチルフェノール)との共重合体のようなポリフェニレンエーテル共重合体などが挙げられる。中でもポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体が好ましく使用でき、最も好ましくはポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)である。 【0014】本発明で使用するポリフェニレンエーテルの形態は粉体、ペレットの状態で使用できるが、粉体が好ましい。粉体の一例としてはポリフェニレンエーテルをトルエン、キシレン等の良溶媒に溶かした溶液にメタノール、アセトン等の貧溶媒を加えて得られるポリフェニレンエーテルの粒状の沈殿を乾燥して得られるものが挙げられる。さらに本発明のポリフェニレンエーテルには目的に応じ適当な添加剤を添加しても良い。添加剤としては、熱安定剤、酸化防止剤、UV吸収剤、界面活性剤、滑剤、充填剤、ポリマー添加剤、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシ、パーオキシカーボネート、ヒドロパーオキサイド、パーオキシケタール等が挙げられる。 【0015】本発明で用いる官能化化合物は、分子内に少なくとも1個の炭素−炭素二重結合または三重結合及び、カルボキシル基、酸化アシル基、イミノ基、イミド基、水酸基およびグリシジル基からなる群から選ばれる少なくとも1個の官能基を有する少なくとも1種の有機化合物である。これらの官能化化合物のうち、分子内に二重結合及び、少なくとも1個のカルボキシル基、酸化アシル基またはイミド基を分子内に有する化合物が好ましい。 【0016】具体例としては、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、フェニルマレイミド、イタコン酸、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレートなどが挙げられ、中でも無水マレイン酸が好ましい。本発明では、ポリフェニレンエーテルと反応させる気体状の官能化化合物を、ポリフェニレンエーテルに連続的に吹き込むことを特徴とする。官能化化合物をポリフェニレンエーテルに対して流速をつけることにより、官能化化合物成分が固体のポリフェニレンエーテルを取り巻くガス境膜を通じて粒子表面へ拡散する素過程の速度が増加するため、反応速度が増加する効果が現れる。気体状の官能化化合物を流動させる際、ポリフェニレンエーテルに対する気体の線速が大きいほど反応速度は増加するが、線速が大きくなるにつれて飛散する粉体量が増加し操作は困難になる。ポリフェニレンエーテルに対する気体状の官能化化合物の好ましい線速は0.05m/秒〜10m/秒の範囲である。 【0017】気体状の官能化化合物を流動させて、ポリフェニレンエーテルと反応させる有効な具体例としては、ポリフェニレンエーテルを流動層または固定層とし、ここに気体状の官能化化合物を吹き込む方法や、攪拌羽根を備えた装置にポリフェニレンエーテルを仕込み、ここに気体状の官能化化合物を吹き込む方法などが挙げられる。ポリフェニレンエーテルを流動層とする装置の例を図1に、固定層とする装置の例を図2および図3に示す。 【0018】好ましい反応装置としてはヘンシェルミキサー、パドルドライヤーが挙げられる。本発明では官能化化合物を気体の状態でポリフェニレンエーテルへ供給する。供給方法は、例えば気体状の官能化化合物を直接供給する方法、不活性ガスで希釈して供給する方法などが挙げられる。不活性ガスとしては、ヘリウム、アルゴン、窒素などが挙げられ、特に窒素が好ましい。 【0019】気体状の官能化化合物を不活性ガスで希釈する場合は、官能化化合物の体積濃度が1%以上であることが好ましい。官能化化合物の体積濃度は官能化化合物を気化させる温度での飽和蒸気圧から得ることができる。例えば、開放系の容器で無水マレイン酸を190℃に加熱し、気液平衡に達した場合、無水マレイン酸の体積濃度は79%である。官能化化合物の体積濃度が高いほど反応速度が増加し、好ましい。体積濃度が1%未満では反応速度が遅く、官能化ポリフェニレンエーテルの生産効率は極端に低下する。 【0020】本発明で官能化化合物とポリフェニレンエーテルを反応させるときの好ましい温度は100〜230℃である。反応温度が高いほど反応速度は高くなるが、230℃を越えるとポリフェニレンエーテルが溶融し、色調が悪化する。本発明では、反応を促進するためにラジカル開始剤を添加することもできる。ラジカル開始剤として好ましくは有機過酸化物が用いられる。 【0021】 【発明の実施の形態】次に実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるべきではない。 <評価方法>1.官能化ポリフェニレンエーテルに付加した無水マレイン酸の量まず、反応後の官能化ポリフェニレンエーテル粉末に残存する未反応の無水マレイン酸を除去するために、ソックスレー抽出器を用いて、反応生成物を加熱されたアセトンで3時間以上洗浄した。なお、反応後の官能化ポリフェニレンエーテルが溶融した場合や押し出し機を用いてペレットとした場合には乳鉢で十分粉砕し粉体状にした後に、この洗浄操作を行った。洗浄後のポリマーを150℃、0.1mmHgの条件で1時間、減圧乾燥させた。乾燥後の官能化ポリフェニレンエーテルに未反応の無水マレイン酸が残存しないことは、乾燥後の粉末をクロロホルムに溶かし、溶液をガスクロマトグラフィーにより分析し、無水マレイン酸に相当するピークが完全に消失することにより確認した。 【0022】洗浄、乾燥後の官能化ポリフェニレンエーテルに付加している無水マレイン酸量はフェノールフタレインを指示薬とする滴定により定量を行った。具体的には、500mlの三角フラスコに1gの官能化ポリフェニレンエーテルを秤量し、さらに200mlのトルエンを加えて完全に溶解させた。この溶液にフェノールフタレインのエタノール溶液を2〜3滴加えた後、0.01mol/lのナトリウムメチラートのメタノール溶液を溶液全体がピンク色に呈色するまでビュレットから滴下し、滴下したナトリウムメチラートのメタノール溶液の容量から、無水マレイン酸の付加量を求めた。 【0023】2.官能化ポリフェニレンエーテルの色調官能化ポリフェニレンエーテル0.5gをクロロホルム10mlに溶かし、その溶液を光路長1cmの石英セルに入れた。これを分光光度計を使って480nmにおける吸光度を測定し、その測定値を20倍した。この測定値が大きいほどポリフェニレンエーテルは反応中に熱劣化を受け、色調が悪化したことになる。原料のポリフェニレンエーテル粉末の色調測定値は0.23であった。 【0024】3.官能化ポリフェニレンエーテルに含まれる黒色異物の数官能化ポリフェニレンエーテル5gをクロロホルム50mlに溶解させた後、この溶液を直径10cmのろ紙でろ過した。ろ過終了後、ろ紙上の黒色異物の数を肉眼で数えた。なお、原料のポリフェニレンエーテル粉末にも黒色異物は3個含まれていた。この黒色異物はポリフェニレンエーテルのゲル生成物や外部から混入したゴミ等である。 【0025】4.ポリフェニレンエーテルの還元粘度ポリフェニレンエーテルを0.5g/100mlのクロロホルム溶液とし、30℃においてウベローデ粘度計を用いて測定した結果、0.43dl/gであった。 【0026】 【実施例1】本発明の実施に用いた装置を図4に示す。無水マレイン酸を気化させる槽(A槽)とポリフェニレンエーテルと無水マレイン酸を反応させるB槽から構成される。A槽に粉末状の無水マレイン酸を500g、B槽にガラスウール(F1)を詰め、その上に粉体状のポリフェニレンエーテルを10g入れた。さらにB槽の上部にもガラスウール(F2)を詰め、ポリフェニレンエーテルの粉体が気流で飛散しないようにした。A、Bともに真空ポンプで0.1mmHg以下に減圧にした後、窒素ガスを吸入させて容器内を完全に窒素置換した。A、Bともに加熱したオイル浴に入れた。この時、Aでは無水マレイン酸の温度が190℃になるように、Bではポリフェニレンエーテルの粉末の温度が190℃になるようにオイル浴を温度調整した。温度が190℃に安定した時点でバルブC及びバルブDを開放するとともにバルブEからAに窒素ガスを送った。その結果、Bには0.082m/秒の線速で無水マレイン酸と窒素の混合ガスが送られた。B槽に無水マレイン酸と窒素の混合ガスを送り始めてから20分後にバルブC,D,Eを閉じ、Bから官能化ポリフェニレンエーテルの粉末を取り出した。官能化ポリフェニレンエーテルの無水マレイン酸の付加量は、0.57重量部であった。色調の測定値は0.33、黒色異物数は、3個であった。 【0027】 【実施例2】無水マレイン酸と窒素の混合ガスの線速を0.164m/秒とした他は実施例1と同様に行った。官能化ポリフェニレンエーテルの無水マレイン酸付加量は0.73重量部、色調の測定値は0.38,黒色異物数は3個であった。 【0028】 【実施例3】無水マレイン酸と窒素の混合ガスの線速を0.246m/秒とした他は実施例1と同様に行った。官能化ポリフェニレンエーテルの無水マレイン酸付加量は1.12重量部、色調の測定値は0.36,黒色異物数は3個であった。 【0029】 【実施例4】無水マレイン酸と窒素の混合ガスの線速を10m/秒とした他は実施例1と同様に行った。官能化ポリフェニレンエーテルの無水マレイン酸付加量は1.12重量部、色調の測定値は0.33,黒色異物数は3個であった。 【0030】 【実施例5】無水マレイン酸と窒素の混合ガスの線速を0.04m/秒とした他は実施例1と同様に行った。官能化ポリフェニレンエーテルの無水マレイン酸付加量は0.35重量部、色調の測定値は0.39,黒色異物数は3個であった。 【0031】 【実施例6】無水マレイン酸と窒素の混合ガスの線速を20m/秒とした他は実施例1と同様に行った。官能化ポリフェニレンエーテルの無水マレイン酸付加量は1.52重量部、色調の測定値は0.41,黒色異物数は3個であった。 【0032】 【比較例1】B槽にポリフェニレンエーテルを入れない状態で、A槽、B槽を実施例1と同様にして窒素置換した後、両方の槽をオイルバスに投入し、加熱した。この時A槽の無水マレイン酸が190℃になるようにオイル温度を調整した。次にバルブC,D,Eを開け、バルブEから毎分3Lの窒素を流し、B槽に気体の無水マレイン酸と窒素の混合ガスを送りB槽をガス置換した。このガス置換の操作を20分行い、B槽内を完全にガス置換した。次に、バルブCを閉じ、バルブDからポリフェニレンエーテルの粉体10gを入れた。この時B槽を揺らして、粉体がガラスウール上に均一に広がるようにした。次にバルブDも閉じ、B槽内のポリフェニレンエーテルの温度が190℃となるようにオイル温度を調整した。ポリフェニレンエーテルをB槽に投入して20分経過した時点でB槽をオイルから取り出し、冷却した。官能化ポリフェニレンエーテルの無水マレイン酸付加量は0.17重量部、色調の測定値は0.29,黒色異物数は3個であった。 【0033】 【実施例7】A槽の無水マレイン酸とB槽のポリフェニレンエーテルの温度を150℃とした他は実施例1と同様に行った。官能化ポリフェニレンエーテルの無水マレイン酸付加量は0.33重量部、色調の測定値は0.29,黒色異物数は4個であった。 【0034】 【実施例8】A槽の無水マレイン酸とB槽のポリフェニレンエーテルの温度を230℃とした他は実施例1と同様に行った。官能化ポリフェニレンエーテルの無水マレイン酸付加量は1.51重量部、色調の測定値は0.33,黒色異物数は3個であった。 【0035】 【実施例9】A槽の無水マレイン酸とB槽のポリフェニレンエーテルの温度を120℃とした他は実施例3と同様に行った。官能化ポリフェニレンエーテルの無水マレイン酸付加量は0.71重量部、色調の測定値は0.31,黒色異物数は4個であった。 【0036】 【実施例10】A槽の無水マレイン酸とB槽のポリフェニレンエーテルの温度を90℃とした他は実施例1と同様に行った。官能化ポリフェニレンエーテルの無水マレイン酸付加量は0.28重量部、色調の測定値は0.31,黒色異物数は4個であった。 【0037】 【比較例2】A槽の無水マレイン酸とB槽のポリフェニレンエーテルの温度を240℃とした他は実施例1と同様に行った。ポリフェニレンエーテルの粉体は溶融して、色調が悪化した。官能化ポリフェニレンエーテルの無水マレイン酸付加量は1.52重量部、色調の測定値は2.29であった。 【0038】 【比較例3】A槽の無水マレイン酸とB槽のポリフェニレンエーテルの温度を240℃とした他は実施例2と同様に行った。ポリフェニレンエーテルの粉体は溶融して、色調が悪化した。官能化ポリフェニレンエーテルの無水マレイン酸付加量は1.53重量部、色調の測定値は2.89であった。 【0039】 【実施例11】本実施例で使用した装置を図5に示す。(5)の槽に無水マレイン酸500gを仕込み、三井鉱山(株)社製ヘンシェルミキサーFM10C/I型と配管で接続した。ヘンシェルミキサーにはポリフェニレンエーテルの粉末2Kgを仕込み、窒素気流で槽内を置換しつつ、600rpmで攪拌した。その後、ミキサーのジャケットに200℃のオイルを送り、ポリフェニレンエーテル粉末が190℃になるまで加熱した。(5)の槽はオイルバスに入れ、槽内の無水マレイン酸の温度が190℃となるように調整した。ポリフェニレンエーテル粉末と無水マレイン酸の温度が190℃で安定した時点で、バルブ(8)を開けて(5)の槽に窒素1L/分を流した。この時にバルブ(7)を開けると、ヘンシェルミキサーには無水マレイン酸と窒素の混合ガス(無水マレイン酸の体積濃度79%)が送られた。この時、バルブ(10)は閉じ、バルブ(9)は開放した。そのまま攪拌とガスの流通を20分間継続した。20分後、装置ジャケットから200℃オイルを抜き取り、代わりに室温のオイルを送ってミキサー槽内のポリフェニレンエーテル粉末を室温にまで冷却した。官能化ポリフェニレンエーテルの無水マレイン酸付加量は0.92重量部、色調の測定値は0.35、黒色異物数は、3個であった。 【0040】 【比較例4】図5の装置を使用した。ヘンシェルミキサーにPPEの粉体を2Kg仕込み、(5)の容器に無水マレイン酸500gを仕込んだ。実施例11と同様にしてポリフェニレンエーテルと無水マレイン酸の温度を190℃に調整した。バルブ(7)、(9)、(10)を閉じた状態でヘンシェルミキサー内を真空ポンプで減圧にした後密閉し、ミキサー内を減圧にした。次に、バルブ(7)を開けると(5)の容器から無水マレイン酸のガスはミキサー内に吸引され、ミキサー内は瞬時に無水マレイン酸のガスで満たされた。バルブ(7)を閉じ、ミキサーを密閉させた状態で攪拌機を起動し、ポリフェニレンエーテルと無水マレイン酸のガスを20分間、攪拌混合した。20分後、装置ジャケットから200℃オイルを抜き取り、代わりに室温のオイルを送ってミキサー槽内のポリフェニレンエーテル粉末を室温にまで冷却した。官能化ポリフェニレンエーテルの無水マレイン酸付加量は0.13重量部、色調の測定値は0.34、黒色異物数は、3個であった。 【0041】 【実施例12】本実施例で使用した装置を図5に示す。(5)の槽に無水マレイン酸500gを仕込み、三井鉱山(株)社製ヘンシェルミキサーFM10C/I型と配管で接続した。ヘンシェルミキサーにはポリフェニレンエーテルの粉末2Kgを仕込み、窒素気流で槽内を置換しつつ、600rpmで攪拌した。その後、ミキサーのジャケットに200℃のオイルを送り、ポリフェニレンエーテル粉末が190℃になるまで加熱した。(5)の槽はオイルバスに入れ、槽内の無水マレイン酸の温度が190℃となるように調整した。ポリフェニレンエーテル粉末と無水マレイン酸の温度が190℃で安定した時点で、バルブ(8)を開けて(5)の槽に窒素1L/分を流した。この時にバルブ(7)を開け、さらにバルブ(10)を開けてここから窒素ガス40L/分を送ることにより、ヘンシェルミキサーには無水マレイン酸の体積濃度1.9%の無水マレイン酸と窒素の混合ガスが送られた。そのまま攪拌とガスの流通を20分間継続した。20分後、装置ジャケットから200℃オイルを抜き取り、代わりに室温のオイルを送ってミキサー槽内のポリフェニレンエーテル粉末を室温にまで冷却した。官能化ポリフェニレンエーテルの無水マレイン酸付加量は0.23重量部、色調の測定値は0.35、黒色異物数は3個であった。 【0042】 【比較例5】ポリフェニレンエーテル粉末5Kgと固形の無水マレイン酸100gをよく混合させた後、ウェルナー社製の二軸押し出し機ZSK−25を使って320℃で混練押し出しを行い、ペレットを得た。官能化ポリフェニレンエーテルの無水マレイン酸付加量は0.40重量部、色調の測定値は3.13、黒色異物数は、61個であった。 【0043】 【比較例6】無水マレイン酸を200gとした他は比較例5と同様に行った。官能化ポリフェニレンエーテルの無水マレイン酸付加量は0.56重量部、色調の測定値は2.33、黒色異物数は、49個であった。 【0044】 【参考例1】実施例11で得られた反応生成物を150℃、真空下で2時間静置乾燥させ、未反応の無水マレイン酸を除去した。遊離した無水マレイン酸が完全に除去されたことは乾燥後の粉末のクロロホルム溶液をガスクロマトグラフィーにより分析し、無水マレイン酸に相当するピークが完全に消失することにより確認した。また、乾燥後のポリフェニレンエーテル粉末に付加した無水マレイン酸を定量した結果、乾燥前と同じ0.92重量部であった。この乾燥後の官能化ポリフェニレンエーテルの粉末30重量部と水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体、ポリアミド66樹脂を59重量部とポリアミド6樹脂を5重量部をよく混合させた後、ウェルナー社製の二軸押し出し機ZSK−25を使って320℃で混練押し出しを行い、ペレットを得た。このペレットを射出成形機によりASTM規格試験片に成形し、アイゾット(ノッチ付き)衝撃強度(ASTM D−256:23℃)を測定した結果、240J/mであった。 【0045】 【参考例2】比較例4で得られた官能化ポリフェニレンエーテルを用いた他は、参考例1と同様の操作を行い、ペレットを得た。このペレットを射出成形機によりASTM規格試験片に成形し、アイゾット(ノッチ付き)衝撃強度(ASTM D−256:23℃)を測定した結果、80J/mであった。 【0046】 【本発明の効果】本発明の方法により、短時間で十分に官能化され、かつ、色調、外観、機械物性に優れた官能化ポリフェニレンエーテルを提供することが可能となった。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000000033 【氏名又は名称】旭化成株式会社
|
| 【出願日】 |
平成13年1月25日(2001.1.25) |
| 【代理人】 |
|
| 【公開番号】 |
特開2002−220460(P2002−220460A) |
| 【公開日】 |
平成14年8月9日(2002.8.9) |
| 【出願番号】 |
特願2001−16550(P2001−16550) |
|