| 【発明の名称】 |
改質ポリエステルの製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】新谷 浩史
【氏名】綾部 俊治
【氏名】片伯部 幸市
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| 【要約】 |
【課題】テレフタル酸とエチレングリコールを主原料とした直重法オリゴマーを用いてスルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分を共重合した酸化チタンを含有した改質ポリエステルを製造するに際し、酸化チタン凝集塊およびジエチレングリコールの副生が少ない改質ポリエステルを製造する。
【解決手段】スルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分を、50〜150℃のエチレングリコール溶液として直重法オリゴマーに添加した後、酸化チタンを添加し重縮合する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】テレフタル酸とエチレングリコールを主原料とした直重法オリゴマーを用いてスルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分を共重合した改質ポリエステルを製造するに際し、スルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分を50〜150℃のエチレングリコール溶液として直重法オリゴマーに添加した後、酸化チタンを添加し次いで重縮合することを特徴とする改質ポリエステルの製造方法。 【請求項2】スルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分のエチレングリコール溶液を5〜30分間連続して直重法オリゴマーに添加することを特徴とする請求項1記載の改質ポリエステルの製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、スルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分を共重合させた酸化チタンを含有する改質ポリエステルの製造方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】ポリエステル、特に、ポリエチレンテレフタレートは、その優れた力学的、化学的特性から、繊維、フィルムおよび産業用資材などに広く使われているが、衣料用繊維としては染色性が必ずしも良好とはいえない。また、分散染料による染色であるため限られた染料しか使用できず、染色物の鮮明さが劣るなどの欠点を有している。 【0003】従来、このような欠点を補うために、特公昭34−10497号公報にみられるように金属塩の形をしたスルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分(以下、SI成分と称する)を共重合してカチオン染料可染性の改質ポリエステル(以下、改質ポリエステルと称する)を製造する方法が知られている。 【0004】しかし、テレフタル酸とエチレングリコール(以下、EGと称する)を主原料とした直重法オリゴマーを用いて酸化チタンを含有する改質ポリエステルを製造する場合には、SI成分と直重法オリゴマーとの相溶性が悪い上、SI成分と酸化チタンの親和性が良いため酸化チタン凝集塊が形成し、製糸工程において濾圧上昇が早くなる、糸切れが多発するといった問題が生じる。さらに、SI成分は通常EG溶液として添加するため、反応系中のEGの割合が高くなりエステル化反応および重縮合反応中にジエチレングリコール(以下、DEGと称する)が多量に副生し、改質ポリエステルの機械的性質や耐熱性、耐光性が低下するといった問題が生じる。 【0005】酸化チタン凝集塊の形成やDEGの副生を抑制する方法として、例えば、特開昭56−106922号公報には、スルホン酸塩基を有するイソフタル酸のジアルキルエステル(以下、SIDAと称する)とEGをエステル交換反応させて製造したエステル交換反応率40〜74%のSI成分を直重法オリゴマーに添加する方法、また、特開平3−227318号公報には、前記エステル交換反応率5〜40%のSI成分を直重法オリゴマーに添加する方法、さらに、特開昭54−94598号公報には、SIDAとスルホン酸塩基を有するイソフタル酸のジ−2−ヒドロキシエチルエステル(以下、SIHEと称する)を混合して直重法オリゴマーに添加する方法など、特定のSI成分を直重法オリゴマーに添加する方法が提案されているが、いずれの方法も酸化チタン凝集塊の形成抑制効果やDEGの副生抑制効果が充分ではなかった。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、酸化チタン凝集塊およびジエチレングリコールの副生が少ないスルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分を共重合させた改質ポリエステルを、直重法オリゴマーを用いて製造することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記課題は、テレフタル酸とエチレングリコールを主原料とした直重法オリゴマーを用いてスルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分を共重合した改質ポリエステルを製造するに際し、スルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分を50〜150℃のエチレングリコール溶液として直重法オリゴマーに添加した後、酸化チタンを添加し重縮合することによって解決することができる。 【0008】 【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明する。 【0009】本発明における改質ポリエステルは、主構成単位がエチレンテレフタレートおよびスルホン酸塩基を有するエチレンイソフタレートであるが、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸などのジカルボン酸成分、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなどのジオール成分など、すでに知られている共重合成分を用いることができる。 【0010】SI成分を添加する時の直重法オリゴマーのテレフタル酸とEGとのエステル化反応率は、90%以上が好ましい。 【0011】本発明において用いるSI成分は、SIHEやSIDA、さらに、スルホン酸塩基を有するイソフタル酸のモノ−2−ヒドロキシエチル−モノアルキルエステル(以下、SIHAと称する)が挙げられる。SIHEの具体例としては、3,5−ジ(カルボ−2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンスルホン酸ナトリウムや3,5−ジ(カルボ−2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンスルホン酸リチウムが挙げられ、SIDAの具体例としては、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチルや5−リチウムスルホイソフタル酸ジメチルなどが挙げられ、SIHAの具体例としては、3−(カルボ−2−ヒドロキシエトキシ)−5−(カルボメトキシ)ベンゼンスルホン酸ナトリウムや3−(カルボ−2−ヒドロキシエトキシ)−5−(カルボメトキシ)ベンゼンスルホン酸リチウムなどが挙げられる。SI成分の添加量は、改質ポリエステルに対して0.5〜20重量%が好ましい。 【0012】これらは、それぞれ単独または任意の割合で混合して用いることができる。また、SIDAやSIHAとEGをエステル交換反応させて製造した任意の段階のSI成分を用いても良い。特に、反応率50〜90%、さらに好ましくは60〜80%のSI成分を用いると酸化チタン凝集塊の形成がより抑制できるので好ましい。ここで、反応率とは、SI成分中のEG基が占める割合を表し、反応率0%ならばSIDA単独、反応率100%ならばSIHE単独を意味する。 【0013】また、SIDA、SIHA、SIHEの混合物をSI成分として用いる場合はSIDAやSIHAよりもSIHEの割合を多くしたり、より高い反応率のSI成分を用いると反応系内に副生するアルコールの量が減少し、その処理の負担が軽減されるので好ましい。特に、SIHEを単独で用いると反応系内でアルコールが副生せず、その処理の必要がないので好ましい。 【0014】しかし、従来の方法でSIHEを用いると酸化チタン凝集塊が形成する問題があったので低反応率のSI成分を用いらざるを得なかったが、本発明の方法でSIHEを用いると反応率50〜90%のSI成分を用いた場合と同じ程度まで酸化チタン凝集塊の形成が抑制できるので、SIHE単独での使用も可能となった。 【0015】SI成分は、50〜150℃、好ましくは60〜120℃のEG溶液として添加する。温度を50℃以上にすると直重法オリゴマーが過度に冷却されず、SI成分と直重法オリゴマーが容易に均一な融液となる上、酸化チタンの分散も良く、酸化チタン凝集塊の形成を抑制できる。また、温度を150℃以下にするとEG溶液中や反応系内でDEGの副生が少ない上、EG溶液中でSI成分による不溶性異物が形成されることがなく、高品質の改質ポリエステルを得ることができる。 【0016】SI成分のEG溶液の濃度は、5〜50%、さらには10〜40%が好ましい。濃度を5%以上にすると反応系内でDEGの副生が少なく、より高品質の改質ポリエステルを得ることができる。また、濃度を50%以下にするとSI成分と直重法オリゴマーが容易に均一な融液となり、酸化チタン凝集塊の形成をより抑制できる上、EG溶液の安定性が良く、SI成分が析出、沈降せず取り扱いが容易となる。 【0017】SI成分のEG溶液は、5〜30分間、好ましくは10〜25分間連続して直重法オリゴマーに添加する。添加時間を5分以上にするとSI成分と直重法オリゴマーがより容易に均一な融液となり、酸化チタン凝集塊の形成をより抑制できる。また、添加時間を30分以下にするとDEGの副生が少なく、より高品質の改質ポリエステルを得ることができる。この連続添加は、一定供給量で行うことが好ましい。 【0018】さらに、SI成分のEG溶液を添加した後5〜20分間保持するとSI成分と直重法オリゴマーがより容易に均一な融液となり、酸化チタン凝集塊の形成をより抑制できる上、DEGの副生が少なく、より高品質の改質ポリエステルを得ることができるので好ましい。なお、保持する間の反応系の温度は、210〜260℃が好ましく、さらには220〜250℃が好ましい。 【0019】次に、本発明に用いる酸化チタンは、ポリマーに対し0.01〜5重量%添加されるが、酸化チタンを予め直重法オリゴマーに添加したりSI成分と同時に添加すると酸化チタン凝集塊が形成し、SI成分が均一に共重合された後も酸化チタン凝集塊の一部がポリマー中に残る。それ故に酸化チタンは、SI成分添加後に添加することが重要である。好ましくはSI成分添加後5〜20分間保持し、SI成分と直重法オリゴマーがより均一な融液となった後に添加すると酸化チタン凝集塊の形成をより抑制できる。 【0020】本発明に用いる重縮合触媒は、ポリエステルの製造に一般的に用いられているアンチモン、ゲルマニウムなどの金属化合物などが使用でき、好ましくは三酸化アンチモンが使用できる。 【0021】なお、本発明においてアルカリ金属化合物を添加するとDEGの副生をより抑制することができ、より高品質の改質ポリエステルを得ることができるので好ましい。本発明に用いるアルカリ金属化合物としては、水酸化物、有機カルボン酸塩などが好ましい。具体的には、ナトリウム、カリウム、リチウムの水酸化物、ギ酸塩や酢酸塩などのカルボン酸塩などが挙げられる。これらアルカリ金属化合物の添加時期は、エステル化反応終了時から重縮合反応開始時までの間の任意の時点、好ましくはSI成分添加時から重縮合触媒添加時までの間が良い。 【0022】また、本発明においてマンガン化合物のごとき耐光性付与剤、リン化合物のごとき安定剤など公知の添加剤を用いても差し支えない。 【0023】 【実施例】以下、実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、本発明に記載する各特性は、以下の方法で測定した。 【0024】(1)酸化チタンの分散性ポリマー20mgをスライドガラス上で加熱溶解し、顕微鏡観察により5μm以上の酸化チタン凝集塊の数を数え、以下の3段階で判定した。10個/20mg以下であれば実用上問題なく、さらには5個/20mg以下が好ましい。 【0025】○○:5個以下/20mg、○:5個超10個以下/20mg、×:10個超/20mg(2)DEGポリマーをモノエタノールアミンで加熱分解した後、ガスクロマトグラフィー分析で求め、以下の3段階で判定した。2.0%以下であれば実用上問題なく、さらには1.8%以下が好ましい。 【0026】○○:1.8%以下、○:1.8%超2.0%以下、×:2.0%超(3)濾圧上昇280℃で溶融したポリマー2kgを内径25mmの5μm不織布フィルターを設けたパック内を通過させ、通過開始時と通過終了時におけるパック内部にかかる圧力差を求め、以下の3段階で判定した。2MPa以下であれば実用上問題なく、さらには1.2MPa以下が好ましい。 ○○:1.2MPa以下、○:1.2MPa超2MPa以下、×:2MPa超実施例1ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートおよびそのオリゴマーが存在するエステル化反応装置にテレフタル酸とEGのスラリー(EG/テレフタル酸のモル比1.2)を3時間連続的に供給した。スラリー供給中はエステル化反応装置内に0.1MPaの圧力を加え、250℃でエステル化反応を行い、反応時間4時間でエステル化反応率97%の直重法オリゴマーを得た。 【0027】この直重法オリゴマーに、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチルとEGをエステル交換反応させて製造した、反応率70%のSI成分(SIHE:SIHA:SIDA=5:4:1)を、濃度30%のEG溶液として90℃に加熱し、SI成分が改質ポリエステルに対して8重量%になるように20分間連続して添加した。その後、240℃で10分間保持した後、三酸化アンチモン0.03重量%、酢酸リチウム0.2重量%、リン酸0.03重量%、酸化チタン0.3重量%を添加した。その後、減圧を開始して固有粘度([η])が0.55になるまで重縮合反応を行った。得られた改質ポリエステルの特性を表1に示す。 【0028】実施例2〜7、比較例1〜4SI成分のEG溶液の温度、SI成分のEG溶液の連続添加時間、SI成分の反応率を表1のとおりにした以外は、実施例1と同様にして改質ポリエステルを製造した。得られた改質ポリエステルの特性を表1に示す。 【0029】 【表1】
表1から明らかなように、本発明による実施例は、いずれも酸化チタン凝集塊およびDEGの副生が少なく、濾圧上昇が遅いのに対して、比較例1、2は酸化チタン凝集塊が多数形成し濾圧上昇が早く、比較例3、4はDEGの副生が多く、さらにSI成分による不溶性異物が形成し濾圧上昇が早かった。 【0030】 【発明の効果】本発明の実施により、直重法オリゴマーを用いて、酸化チタン凝集塊が少なくジエチレングリコールの副生が少ないスルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分を共重合した改質ポリエステルを製造することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003159 【氏名又は名称】東レ株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年1月25日(2001.1.25) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2002−220445(P2002−220445A) |
| 【公開日】 |
平成14年8月9日(2002.8.9) |
| 【出願番号】 |
特願2001−16554(P2001−16554) |
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