| 【発明の名称】 |
電荷供給均衡性を高めた電界発光高分子及びそれを用いた電界発光素子 |
| 【発明者】 |
【氏名】孫 炳 ▲き▼
【氏名】李 光 淵
【氏名】陳 政 一
【氏名】金 慶 坤
【氏名】洪 令 來
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| 【要約】 |
【課題】有機溶媒に対する溶解度を増加させると共に発光効率及び薄膜特性に優れている電界発光高分子を提供する。
【解決手段】下記式1:【化1】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 下記式1:【化1】
ただし、X1、X2、X3、X4及びX5は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜40個の脂肪族直鎖、分枝状または環状アルキル基、アルコキシ基若しくはシリル基、または炭素数1〜40個のアルコキシ基若しくはアミンで1つ以上置換されたまたは置換されていない炭素数4〜14個の芳香族基を表わす、で表わされる、電界発光高分子。 【請求項2】 請求項1に記載の電界発光高分子の単量体及びPPV系単量体との共重合体である、下記式3:【化2】
ただし、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8及びX9は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜40個の脂肪族直鎖、分枝状または環状アルキル基、アルコキシ基若しくはシリル基、または炭素数1〜40個のアルコキシ基若しくはアミンで1つ以上置換されたまたは置換されていない炭素数4〜14個の芳香族基を表わし;ならびに、a及びbは、0.1≦a/(a+b)≦0.9の条件を満足する値である、で表わされる、電界発光高分子。 【請求項3】 該PPV系単量体は、2,5−ビス(クロロメチル)−4−(2’−エチルヘキシルオキシ)アニソールまたは2,5−ビス(クロロメチル)−3’,7’−ジメチルオクチルオキシ−4−メトキシベンゼンである、請求項2に記載の電界発光高分子。 【請求項4】 請求項1に記載の電界発光高分子とPPV系高分子が1:99〜99:1の質量比で混合されてなる、電界発光高分子組成物。 【請求項5】 該PPV系高分子は、ポリ(1−メトキシ−4−(2’−エチルヘキシルオキシ)−2,5−フェニレンビニレン)またはポリ(1−メトキシ−4−(3’,7’−ジメチルオクチルオキシ)−2,5−フェニレンビニレン)である、請求項4に記載の電界発光高分子組成物。 【請求項6】 該電界発光高分子の数平均分子量が10,000〜1,000,000であり、分子量分布が1.5〜5.0である、請求項1または2に記載の電界発光高分子。 【請求項7】 陽極/発光層/陰極、陽極/バッファー層/発光層/陰極、陽極/バッファー層/正孔輸送層/発光層/陰極、陽極/バッファー層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、及び陽極/バッファー層/正孔輸送層/発光層/正孔遮断層/陰極よりなる群から選択される1つの構造を有し、該発光層は請求項1若しくは2に記載の電界発光高分子または請求項4に記載の電界発光高分子組成物を含むことを特徴とする、有機電界発光素子。 【請求項8】 該バッファー層は、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリピロールまたはポリフェニレンビニレン誘導体よりなる群から選択される一種からなる、請求項7に記載の有機電界発光素子。 【請求項9】 該正孔遮断層は、LiFまたはMgF2からなる、請求項7に記載の有機電界発光素子。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、電界発光高分子及びこれを適用した電界発光素子に関するものである。より詳しくは、本発明は、フェニレンビニレン基を主鎖とし、カルバゾールと脂肪族アルキル基またはアルコキシ基などを少なくとも1つ以上側鎖に導入した発光高分子及びこれを適用した電界発光素子に関するものである。 【0002】 【従来の技術】シリコンが半導体材料に用いられた以来、眩しい発展を重ねてきた電子技術は、人類の文化生活を大きく向上させた。特に、最近の光通信とマルチメディア分野の高速成長は高度情報化社会への発展を加速化させている。これにより、光エネルギーの電気エネルギーへの変換、或いは電気エネルギーの光エネルギーへの変換を用いる光電子素子(optoelectronic device)は、現代情報電子産業の核となっている。このような半導体光電子素子は、電界発光素子、半導体レーザ素子及び受光素子に大別される。 【0003】フラットパネルディスプレイ(Flat Panel Display)は、既存のCRT(cathoderay tube)方式による画像具現の不便さを解消した軽薄短小の、技術的にはCRT水準またはそれ以上の表現可能性をもった素子を総称する。初期、ディスプレイは、壁掛けTVが主用途とされたが、21世紀情報化、マルチメディア時代を迎えてコンピュータモニター、ノートブックPC、PDA端末機など多くの用途として開発された。今までのディスプレイは殆ど受光型であったが、自己発光型の電界発光ディスプレイ(electroluminescence display)は応答速度が速く、自己発光型なので、背面光(backlight)が不要であり、輝度に優れているなどいろいろな長所をもっていることから、商業化のために多くの研究が行われている。このような電界発光素子はGaN、ZnS及びSiCなどを用いた無機物半導体で開発され、実際的な表示素子として用いられている。ところが、無機物からなる電界発光素子の場合、交流200V以上の駆動電圧を必要とし、素子の製作方法に真空蒸着が用いられるので、大型化が難しく且つ価格も高価であって不経済的であるという短所がある。 【0004】一方、1987年、Eastmann Kodakでアルミナ−キノン(alumina-quinone, Alq3)というπ電子共役構造を有する色素で製作された素子が発表されてから、有機物を用いた電界発光素子の研究が多く行われている。これら低分子有機物の場合、合成経路が簡単であって、多様な形態の物質を容易に合成することができると共にカラーチューニング(color-tuning)が可能であるという長所がある一方、機械的強度が低く且つ熱による結晶化が起こるなどの問題点がある。かかる短所を補完し得るものが高分子型の有機発光物質を利用することである。このような有機発光高分子の特徴は、主鎖にあるπ電子波動関数の重ね合わせによってエネルギー準位が伝導帯と価電子帯に分けられ、そのエネルギー差に相当するバンドギャップエネルギーによって高分子の様々な半導体的性質が決定され、このような性質で多様な色相の具現を可能とすることにある。このような高分子を「π電子共役高分子(conjugated polymer)」という。高分子の電界発光に対する研究は、1990年、英国のケンブリッジ大学の研究陣によって共役二重結合を有する高分子のポリ(p−フェニレンビニレン)(poly(p-phenylenevinylene):本明細書中では、「PPV」ともいう)を用いた電界発光素子が初めて発表されることにより、特にπ電子共役高分子を電界発光ディスプレイに応用するための研究が集中的に行われている。 【0005】一方、電界発光効果を高めるための方法としては、発光物質の高純度化と素子構造の最適化などが挙げられるが、電界発光素子において発光層として用いられる高分子内で正孔(hole)と電子(electron)との効率的結合によって発光効率を高める方法もある。即ち、効率的な発光のためには両電荷量の供給が均衡を取ることにより、両電荷の密度が均衡を取らなければならないという点が重要である。しかし、PPV誘導体はp型半導体的な性質をもっているので、正孔の移動速度が電子の移動速度より格段に速くて、かかる供給均衡の差が発光効率を低下させる重要な要因になっている。これを解決するために、素子構造において正孔の移動を低下させる新しい薄膜層を使用したり、或いは電子の注入能力を良くするための電子伝達能力のよい物質を使用したりする。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来の技術の問題点を解決するためのものであり、PPVを主鎖とし、側鎖にカルバゾールと脂肪族アルキル基、アルコキシ基またはシリル基などを少なくとも1つ導入することにより、正孔の輸送能力を調節して正孔と電子密度の均衡を取って、有機溶媒に対する溶解度を増加させ、発光効率及び薄膜特性に優れる電界発光高分子を提供することを目的とする。 【0007】本発明の他の目的は、前記電界発光高分子の単量体とPPV系単量体との共重合体を提供することである。 【0008】本発明のさらに他の目的は、前記電界発光高分子とPPV系高分子との混合組成物を提供することである。 【0009】本発明のさらに他の目的は、前記電界発光高分子を適用した電界発光素子を提供することである。 【0010】 【課題を解決するための手段】上記諸目的は、下記(1)〜(9)によって達成される。 【0011】(1) 下記式1:【0012】 【化3】
【0013】ただし、X1、X2、X3、X4及びX5は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜40個の脂肪族直鎖、分枝状または環状アルキル基、アルコキシ基若しくはシリル基、または炭素数1〜40個のアルコキシ基若しくはアミンで1つ以上置換されたまたは置換されていない炭素数4〜14個の芳香族基を表わす、で表わされる、電界発光高分子。 【0014】(2) 前記(1)に記載の電界発光高分子の単量体及びPPV系単量体との共重合体である、下記式3:【0015】 【化4】
【0016】ただし、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8及びX9は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜40個の脂肪族直鎖、分枝状または環状アルキル基、アルコキシ基若しくはシリル基、または炭素数1〜40個のアルコキシ基若しくはアミンで1つ以上置換されたまたは置換されていない炭素数4〜14個の芳香族基を表わし;ならびに、a及びbは、0.1≦a/(a+b)≦0.9の条件を満足する値である、で表わされる、電界発光高分子。 【0017】(3) 上記PPV系単量体は、2,5−ビス(クロロメチル)−4−(2’−エチルヘキシルオキシ)アニソールまたは2,5−ビス(クロロメチル)−3’,7’−ジメチルオクチルオキシ−4−メトキシベンゼンである、前記(2)に記載の電界発光高分子。 【0018】(4) 前記(1)に記載の電界発光高分子とPPV系高分子が1:99〜99:1の質量比で混合されてなる、電界発光高分子組成物。 【0019】(5) 上記PPV系高分子は、ポリ(1−メトキシ−4−(2’−エチルヘキシルオキシ)−2,5−フェニレンビニレン)またはポリ(1−メトキシ−4−(3’,7’−ジメチルオクチルオキシ)−2,5−フェニレンビニレン)である、前記(4)に記載の電界発光高分子組成物。 【0020】(6) 上記電界発光高分子の数平均分子量が10,000〜1,000,000であり、分子量分布が1.5〜5.0である、前記(1)または(2)に記載の電界発光高分子。 【0021】(7) 陽極/発光層/陰極、陽極/バッファー層/発光層/陰極、陽極/バッファー層/正孔輸送層/発光層/陰極、陽極/バッファー層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、及び陽極/バッファー層/正孔輸送層/発光層/正孔遮断層/陰極よりなる群から選択される1つの構造を有し、該発光層は前記(1)若しくは(2)に記載の電界発光高分子または前記(4)に記載の電界発光高分子組成物を含むことを特徴とする、有機電界発光素子。 【0022】(8) 上記バッファー層は、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリピロールまたはポリフェニレンビニレン誘導体よりなる群から選択される一種からなる、前記(7)に記載の有機電界発光素子。 【0023】(9) 上記正孔遮断層は、LiFまたはMgF2からなる、前記(7)に記載の有機電界発光素子。 【0024】 【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に記載する。 【0025】一般的な発光高分子の発光メカニズムは次の通りである。 【0026】すなわち、陽極(anode)では正孔が形成され、陰極では電子が形成される。前記正孔と電子が発光高分子層で会って再結合(recombination)することによって励起子(exciton)を形成し、この励起子が放射性崩壊(radioactive decay)されることにより、物質のバンドギャップ(band gap)に該当する波長の光が放出されるのである。また、この際、発光効率も決定されるが、即ち流入された正孔の量と電子の量が互いに均衡を取る時に最大の発光効率を示すことができる。 【0027】したがって、キャリアの輸送が類似に行われるためには、注入された正孔と電子の移動度が均衡を取らなければならない。ところが、一般に正孔の輸送が一層有利であってキャリア間の不均衡が発生し、これが効率を低下させる要因として作用する。特に、π電子共役高分子では正孔の移動が一層大きいから、これを補完するために電子移動度のよい電子輸送層(electron transport layer)を導入した多層膜形態の素子を製作することもある。 【0028】本発明では、むしろ材料の電子輸送能力を考慮して正孔輸送能力を変換させることにより、両電荷の移動度差を均衡にして、電荷密度の均衡を取り、これらの効率的な結合によって発光効率を高める目的で、ポリ(p−フェニレンビニレン)(PPV)を主鎖とし、カルバゾール及び長鎖(long chain)の脂肪族アルキル基またはアルコキシ基などを少なくとも1つフェニレン環の主鎖に導入する構造を有する、下記式1:【0029】 【化5】
【0030】で表わされる発光高分子を開発した。したがって、本発明の第一は、ポリ(p−フェニレンビニレン)(PPV)を主鎖とし、カルバゾール及び長鎖(long chain)の脂肪族アルキル基またはアルコキシ基などを少なくとも1つフェニレン環の主鎖に導入する構造を有する、上記式1で表わされる発光高分子に関するものである。 【0031】上記式1において、X1、X2、X3、X4及びX5は、水素、炭素数1〜40個の脂肪族直鎖、分枝状または環状アルキル基、アルコキシ基若しくはシリル基、または炭素数1〜40個のアルコキシ基若しくはアミンで1つ以上置換されたまたは置換されていない炭素数4〜14個の芳香族基を表わす。この際、X1、X2、X3、X4及びX5は、同一あってもあるいは異なるものであってもよい。また、上記式1において、nは、本発明の電界発光高分子を構成する繰り返し単位の数(本発明の電界発光高分子の重合度)を示す。 【0032】また、本発明において、上記式1の電界発光高分子の末端は、以下に詳述するその製造方法からも類推できるものであるが、例えば、クロロメチルである。 【0033】本発明の電界発光高分子は、PPV系高分子の側鎖にカルバゾールと長鎖の脂肪族アルコキシ基を導入することにより、一般的な有機溶媒に対する溶解度が増加してスピンコーティングによって優れた薄膜を形成することができる。 【0034】本発明の電界発光高分子の製造は、公知の方法を単独でまたは組み合わせて使用することによって、達成されるが、その一実施態様を以下に記載する。すなわち、本発明の電界発光高分子は、カルバゾールを含有した式2【0035】 【化6】
【0036】ただし、X1、X2、X3、X4及びX5は、上記式1における定義と同様である、で表わされる1,4−ビスクロロメチル−カルバゾリル−ベンゼン誘導体を製造し、これをポタシウムt−ブトキシドのような塩基条件下で、脱水素ハロゲン化(dehydrohalogenation)及び1,6付加脱離反応(1,6-addition elimination)によるギルチ(Gilch)重合法で重合させることによって、得ることができる。 【0037】本発明の電界発光高分子は、従来のウィティッグ縮合(Wittig condensation)重合法によって合成された発光高分子の分子量が約10,000程度なのに比べて、高分子量が得られるギルチ重合法を用いることにより、数平均分子量(Mn)が約10,000〜1,000,000程度であり、分子量分布が1.5〜5.0である。 【0038】また、前記式1で表わされる本発明の電界発光高分子の単量体と既存のPPV系単量体とを共重合して、下記式3:【0039】 【化7】
【0040】のような発光高分子を製造することもでき、これは、本発明の第二の態様を構成する。 【0041】上記式3において、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8及びX9は、水素、炭素数1〜40個の脂肪族直鎖、分枝状または環状アルキル基、アルコキシ基若しくはシリル基、または炭素数1〜40個のアルコキシ基若しくはアミンで1つ以上置換されたまたは置換されていない炭素数4〜14個の芳香族基を表わす。この際、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7、X8及びX9は、同一あってもあるいは異なるものであってもよい。また、a及びbは、0.1≦a/(a+b)≦0.9の条件を満足させる値である。なお、上記式3で示される高分子において、各繰り返し単位間に示される波線は、本発明の高分子がランダム共重合体であることを意味する。 【0042】また、本発明において、上記式3の電界発光高分子の末端は、上記式1の電界発光高分子の記載と同様であり、その製造方法から容易に類推できる。 【0043】本発明の第二の電界発光高分子は、数平均分子量(Mn)が約10,000〜1,000,000程度であり、分子量分布が1.5〜5.0である。 【0044】前記PPV系単量体の代表的な例としては、2,5−ビス(クロロメチル)−4−(2’−エチルヘキシルオキシ)アニソール(MEH−PPVの単量体)または2,5−ビス(クロロメチル)−3’,7’−ジメチルオクチルオキシ−4−メトキシベンゼン(OC1OC1O−PPVの単量体)などを挙げることができる。 【0045】また、本発明の発光高分子は、発光特性を調節するために、PPV系高分子と1:99〜99:1の質量比で混合して使用することもできる。したがって、本発明の第三は、本発明の電界発光高分子とPPV系高分子が1:99〜99:1の質量比で混合されてなる、電界発光高分子組成物に関するものである。 【0046】本発明において、前記PPV系高分子の代表的な例としては、MEH−PPV[ポリ(1−メトキシ−4−(2’−エチルヘキシルオキシ)−2,5−フェニレンビニレン)]、OC1C1O−PPV[ポリ(1−メトキシ−4−(3’,7’−ジメチルオクチルオキシ)−2,5−フェニレンビニレン)]などを挙げることができる。 【0047】さらに、本発明の電界発光高分子または電界発光高分子組成物は、電界発光素子の発光層に使用でき、すなわち、本発明の第四は、陽極/発光層/陰極、陽極/バッファー層/発光層/陰極、陽極/バッファー層/正孔輸送層/発光層/陰極、陽極/バッファー層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、及び陽極/バッファー層/正孔輸送層/発光層/正孔遮断層/陰極よりなる群から選択される1つの構造を有し、該発光層は本発明の電界発光高分子または電界発光高分子組成物を含むことを特徴とする、有機電界発光素子に関するものである。 【0048】本発明において、電界発光素子は、陽極/発光層/陰極、陽極/バッファー層/発光層/陰極、陽極/バッファー層/正孔輸送層/発光層/陰極、陽極/バッファー層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、または陽極/バッファー層/正孔輸送層/発光層/正孔遮断層/陰極からなる構造を有する。本発明の電界発光素子において、陽極としては、特に制限されず、公知の材料が使用できるが、通常、透明なITOガラスが使用される。また、陰極もまた、特に制限されず、公知の材料が使用できるが、仕事関数(work function)の少ないAl、Al:LiまたはCaが使用される。さらに、電子輸送層及び正孔輸送層は、キャリアを発光高分子層に効率よく伝達させることにより発光高分子内での結合確率を大きくするために使用される。バッファー層は、ポリチオフェン(polythiophene)、ポリアニリン(polyaniline)、ポリアセチレン(polyacetylene)、ポリピロール(polypyrrole)またはポリフェニレンビニレン誘導体からなるのが好ましく、正孔遮断層はLiFまたはMgF2からなるのが好ましい。 【0049】 【実施例】以下、実施例を参考しながら本発明をさらに詳しく説明するが、下記実施例は本発明の例示目的に過ぎず、発明の領域を制限するものではない。 【0050】製造例1:単量体[2−(N−カルバゾリル)−5−(2’−エチルヘキシルオキシ)−1,4−ビス(クロロメチル)ベンゼン]の合成本製造例において、2−(N−カルバゾリル)−5−(2’−エチルヘキシルオキシ)−1,4−ビス(クロロメチル)ベンゼンは、図1に示す反応式に従って、下記の順序で製造された。なお、図1中、Rは、2−エチルヘキシルオキシ基を表わす。 【0051】(1)4−ブロモ−2,5−ジメチルアニソールの合成3つ口フラスコに2,5−ジメチルアニソール60g(4.4×10-1mol)をCHCl3 600mlに溶かした後、氷浴を用いて温度を0℃に維持した。この溶液に、CCl4 200mlに溶かしたBr2 70.32g(4.4×10-1mol)溶液を1時間にわたって滴加した。同温度を維持しながら7時間反応させた溶液をNaOH飽和溶液で3回にわたって洗浄した後、減圧蒸留して溶媒を除去し、残りの液体を減圧蒸留して化合物を得た。このようにして得た生成物は液体であり、収率は89%(83.14g)であった。 【0052】また、このようにして得られた物質の1H−NMRの結果を以下に示す。1H−NMRスペクトル(Acetone−d6):δ2.1(s,3H,−CH3),δ2.3(s,3H,−CH3),δ3.8(s,3H,−OCH3),δ6.9(s,1H,Ar−H),δ7.2(s,1H,Ar−H)。 【0053】(2)2−ブロモ−5−メトキシテレフタル酸の合成3つ口フラスコに、前記(1)段階で製造された4−ブロモ−2,5−ジメチルアニソール40.6g(1.9×10-1mol)とKMnO4 300.28g(1.9mol)を溶かした水溶液2.5リットルを入れて、100℃まで加熱した。24時間反応後、茶色沈澱のMnO2を濾過して除去し、残りの溶液を5N HCl溶液を徐々に加えて白色の沈澱物を得た。そして、この沈澱物を数回水で洗浄した。このようにして得た生成物は白色の固体であり、融点は275℃であり、収率は65%(33.72g)であった。 【0054】また、このようにして得られた物質の1H−NMRの結果を以下に示す。1H−NMRスペクトル(Acetone−d6):δ3.0(s,2H,−COOH),δ4.0(s,3H,CH3O−),δ7.5(s,1H,Ar−H),δ8.0(s,1H,Ar−H)。 【0055】(3)2−(N−カルバゾリル)−5−メトキシテレフタル酸の合成3つ口フラスコに、前記(2)段階で製造された2−ブロモ−5−メトキシテレフタル酸10g(3.6×10-2mol)、カルバゾール12.04(7×10-2mmol、2当量)、K2CO31 2.94g(9.4×10-2mmol、1.3当量)及びCu0.3g(3(w/w)%)を入れて、300mlDMF溶媒下で48時間反応させた後、室温に冷却した。用いられた溶媒を減圧蒸留で除去した後、水とジエチルエーテルで数回にわたって水溶液を洗浄した。このようにして得られた水溶液に5N HCl溶液を徐々に加えて黄色の沈澱物をCHCl3で再結晶した。生成物の収率は50%(6.5g)であり、融点は298℃であった。 【0056】また、このようにして得られた物質の1H−NMRの結果を以下に示す。1H−NMRスペクトル(Acetone−d6):δ4.1(s,3H,CH3O−),δ7.1(d,2H,Ar−H),δ7.2(t,2H,Ar−H),δ7.3(t,2H,Ar−H),δ7.8(s,1H,Ar−H),δ7.9(s,1H,Ar−H),δ8.1(d,2H,Ar−H),δ11.4(s,2H,COOH)。 【0057】(4)2−(N−カルバゾリル)−5−メトキシ−ジメチルテレフタラートの合成前記(3)段階で製造された2−(N−カルバゾリル)−5−メトキシテレフタル酸4.4g(1.2×10-2mol)をメタノール(MeOH)300mlに溶かして1つ口フラスコに入れた後、SOCl2 17.46ml(2.4×10-1mol)を1時間にわたって徐々に滴加した。室温で12時間反応させた後、過量の水に注いで黄色の沈澱物を得た。その後、10%NaHCO3溶液を加えて溶液を中和させた後、濾過した。濾過された沈澱物はMeOHで再結晶した。この際、収率は91%(4.39g)であり、融点は145℃であった。 【0058】また、このようにして得られた物質の1H−NMRの結果を以下に示す。1H−NMRスペクトル(Acetone−d6):δ3.2(s,3H,CO2CH3),δ3.8(s,3H,CO2CH3),δ4.0(s,3H,CH3O−),δ7.1(d,2H,Ar−H),δ7.2(t,2H,Ar−H),δ7.3(t,2H,Ar−H),δ7.7(s,1H,Ar−H),δ7.9(s,1H,Ar−H),δ8.2(d,2H,Ar−H)。 【0059】(5)2−(N−カルバゾリル)−5−ヒドロキシ−ジメチルテレフタラートの合成1つ口フラスコに、前記(4)段階で製造された2−(N−カルバゾリル)−5−メトキシ−ジメチルテレフタラート3.5g(8.9×10-3mol)をCH2Cl2 300mlに溶かした後、温度を0℃に維持させた。そして、CH2Cl2に溶けている1M BBr3溶液17.8ml(1.8×10-2mol)を滴加した。4時間反応後、水で数回にわたって洗浄し、残りの有機層を、シリカゲルを10cm充填したガラス濾過器で濾過して減圧蒸留した。生成物は薄い黄色の固体であり、融点は80℃であり、収率は87%(2.91g)であった。 【0060】また、このようにして得られた物質の1H−NMRの結果を以下に示す。1H−NMRスペクトル(Acetone−d6):δ3.2(s,3H,CO2CH3),δ3.9(s,3H,CO2CH3),7.1(d,2H,Ar−H),δ7.2(t,2H,Ar−H),δ7.3(t,2H,Ar−H),δ7.6(s,1H,Ar−H),δ7.9(s,1H,Ar−H),δ8.2(d,2H,Ar−H),δ10.7(s,1H,Ar−OH)。 【0061】(6)2−(N−カルバゾリル)−5−(2’−エチルヘキシルオキシ)−ジメチルテレフタラートの合成1つ口フラスコに、前記(5)段階で合成された2−(N−カルバゾリル)−5−ヒドロキシ−ジメチルテレフタラート2.91g(7.8×10-3mol)をアセトン300mlに溶かした後、2−エチルヘキシルブロミド(図1中では、RBr)3.0g(1.6×10-2mol)とK2CO3 2.2g(1.6×10-2mol)を入れ、その後、相転移触媒としてのテトラブチルアンモニウムブロミド0.1gと共に24時間還流させた。反応が終わった後、副産物である塩を除去し、減圧蒸留して溶媒を除去した後、メタノールで再結晶した。この際、収率は94%(3.6g)であり、融点は138℃であった。 【0062】また、このようにして得られた物質の1H−NMRの結果を以下に示す。1H−NMRスペクトル(Acetone−d6):δ0.9−1.0(m,6H,−OCH2CH(CH2CH3)CH2CH2CH3),δ1.4(m,4H,−CH2CH2CH2CH3),δ1.5−1.6(m,4H,−OCH2CH(CH2CH3)CH2CH2CH3),δ1.8(m,1H,−OCH2CH−),δ3.2(s,3H,−CO2CH3),δ3.8(s,3H,−CO2CH3),δ4.2(d,2H,−OCH2CH−),δ7.9(s,1H,Ar−H),δ7.1(d,2H,Ar−H),δ7.2(t,2H,Ar−H),δ7.3(t,2H,Ar−H),δ7.7(s,1H,Ar−H),δ8.1(d,2H,Ar−H)。 【0063】(7)2−(N−カルバゾリル)−5−(2’−エチルヘキシルオキシ)−1,4−ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼンの合成3つ口フラスコに300mlの乾燥されたテトラヒドロフラン(THF)を入れた後、LiAlH4 0.94g(2.5×10-2mol)を加えて攪拌しながら、前記(6)段階で製造された2−(N−カルバゾリル)−5−(2’−エチルヘキシルオキシ)−ジメチルテレフタラート4g(8.2×10-3mol)をTHF 150mlに溶かして徐々に滴加した。その後、4時間還流させた後、室温に冷やして0.9mlの水、0.9mlの15%NaOH溶液、2.7mlの水を順次加えた。その後、沈澱物を濾過して除去した後、溶媒を減圧蒸留で除去した。生成された沈澱物を濾過し、溶媒を除去して化合物を得た。この際、生成物は、白色の固体であり、融点は128℃であり、収率は97%(3.4g)であった。 【0064】また、このようにして得られた物質の1H−NMRの結果を以下に示す。1H−NMRスペクトル(Acetone−d6):δ0.9−1.0(m,6H,−OCH2CH(CH2CH3)CH2CH2CH3),δ1.4(m,4H,−CH2CH2CH2CH3),δ1.5−1.6(m,4H,−OCH2CH(CH2CH3)CH2CH2CH3),δ1.8(m,1H,−OCH2CH−),δ4.0(d,2H,−CH2OH),δ4.2(d,2H,−CH2OH),δ4.1(t,1H,−CH2OH),δ4.2(t,1H,−CH2OH),δ4.7(d,2H,−OCH2CH−),δ7.0(d,2H,Ar−H),δ7.2(t,2H,Ar−H),δ7.3(t,2H,Ar−H),δ7.4(s,1H,Ar−H),δ8.2(d,2H,Ar−H)。 【0065】(8)2−(N−カルバゾリル)−5−(2’−エチルヘキシルオキシ)−1,4−ビス(クロロメチル)ベンゼンの合成1つ口フラスコに、前記(7)段階による2−(N−カルバゾリル)−5−(2’−エチルヘキシルオキシ)−1,4−ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン1.2g(2.8×10-3mol)を乾燥されたクロロホルム250mlに溶かした後、クロロホルム150mlで攪拌されたPOCl3 0.26ml(2.8×10-3mol)とDMF 0.21ml(2.8×10-3mol)を徐々に滴加した。12時間室温で反応させ、水を注いで数回洗浄した後、有機層をMgSO4で水分除去し減圧蒸留した。生成されたオイルを、ヘキサン展開液を用いてカラムクロマトグラフィ法で分離した。収率は53%(0.7g)であった。 【0066】また、このようにして得られた物質の1H−NMRの結果を以下に示す。1H−NMRスペクトル(Acetone−d6):δ0.8−1.0(m,6H,−OCH2CH(CH2CH3)CH2CH2CH3),δ1.4(m,4H,−CH2CH2CH2CH3),δ1.5−1.7(m,4H,−OCH2CH(CH2CH3)CH2CH2CH3),δ1.8(m,1H,−OCH2CH−),δ4.2(d,2H,−OCH2CH−),δ4.4(s,2H,−CH2Cl),δ4.8(s,2H,−−CH2Cl),δ7.0(d,2H,Ar−H),δ7.2(t,2H,Ar−H),δ7.3(t,2H,Ar−H),δ7.4(s,1H,Ar−H),δ7.5(s,1H,Ar−H),δ8.2(d,2H,Ar−H)。 【0067】製造例2:ポリ[2−(N−カルバゾリル)−5−(2’−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン]の合成前記製造例1の(8)段階で製造された2−(N−カルバゾリル)−5−(2’−エチルヘキシルオキシ)−1,4−ビス(クロロメチル)ベンゼン0.5g(1.0×10-3mol)を100mlフラスコ中に入れて窒素雰囲気にした後、水分除去されたTHF 50mlを入れて溶かし、温度を0℃にした後、1Nの(CH3)3COK(t−BuOK)溶液3ml(3.0×10-3mol)を20分にわたって徐々に滴加した。0℃で2時間半反応させた後、t−ブチルベンジルクロライドを1当量入れて再び同温度で1時間反応させた。この反応物を室温に冷やした後、300mlのメタノールに注いで沈澱物を濾過し、メタノールで数回洗浄した。この際、収率は45%(0.17g)であった。 【0068】また、このようにして得られた物質の1H−NMRの結果を以下に示す。1H−NMRスペクトル(CDCl3):δ0.83−1.92(m,15H,−CH(CH2CH3)CH2CH2CH3),δ3.98(m,2H,−OCH2CH−),δ6.58(d,2H,−CH=CH−),δ6.77〜7.26(m,8H,Ar−H),δ7.89(d,2H,Ar−H)。 【0069】実施例1:発光高分子の物性測定(1)光学的特性製造例2で製造された発光高分子をクロロベンゼンに溶かして石英基板上にスピンコーティングすることにより高分子薄膜を形成し、UV吸収スペクトル、PLスペクトル(photoluminescence spectrum)及びELスペクトル(Electroluminescence Spectrum)を測定した。それぞれの測定結果を図4に示した。図4に示されるように、UV吸収ピークは326、340、461nmであり、PLの最大ピークは励起波長を320、340、400、420nmにして測定した時、全て540nmであった。 【0070】なお、図4において、UV、PL及びELは、それぞれ、高分子薄膜のUV吸収スペクトル、PLスペクトル(photoluminescence spectrum)及び電界発光(EL)スペクトル(Electroluminescence Spectrum)を意味する。 【0071】(2)熱的特性重合体の熱的性質は、TGA(Thermogravimetric analysis)とDSC(Differential Scanning Calorimetry)を用いて窒素雰囲気下で10℃/min速度で測定した。それぞれの測定結果を図5aと図5bに示す。図5aに示されるTGAサーモグラム(thermogram)の結果から、400℃までほぼ質量損失が認められず、430°付近で重合体の分解が起こって急激な質量損失(減少)が始まる。また、図5bに示されるように、DSCサーモグラムでは、Tgは197℃付近で観察され、Tmは観察されていない。 【0072】実施例2:電界発光素子(EL device)の製作製造例2で製造された高分子を用いて電界発光素子を次のように製作した。ITO(indium-tin oxide)がガラス基板上にコーティングされた透明電極基板をそれぞれ20分間アセトン及びIPA(イソプロピルアルコール)で超音波処理し、沸騰するIPAで洗浄した。洗浄後、PEDOT[ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)[poly(3,4-ethylenedioxythiophene)]]を25nmの厚さでスピンコーティングして乾燥させた後、製造例2の重合体試料をクロロベンゼンに0.5質量%で溶かした溶液を作り、PEDOT上に80nmの厚さでスピンコーティングさせた。この際、基板の回転速度は2200rpmであり、回転時間は50秒であった。スピンコーティングされた基板は、熱板(Hot-plate)上で80℃の温度で1時間乾燥させた。基板上には陰極電極として、カルシウムを50nmの厚さで蒸着させ、さらにその上にアルミニウムを200nmの厚さで蒸着させて最終素子を製作した。このようにして製作された素子の構造は図6に示す通りである。 【0073】このように製作された素子[ITO/PEDOT/材料/Ca/Al]の電気的特性及び電界発光特性は、発光面積を2mm2にして直流電圧を順方向バイアスの電圧(forward bias voltage)で駆動させて測定した。発光される光は最大発光波長534nmである緑色を呈し、視覚的に2.2Vで発光し始めた。図7に示されるように、測定された輝度は10Vで33,700cd/m2であった。 【0074】 【発明の効果】本発明は、ポリ(p−フェニレンビニレン)(PPV)を主鎖とし、カルバゾール及び脂肪族アルキルやアルコキシ基などを1つ以上側鎖に導入することによって、有機溶媒に対する溶解性と熱安定性が優れ、高いガラス転移温度を有し、特に正孔の移動度を調節して電子との移動度差を減少させて正孔と電子の密度均衡が優れている有機電界発光素子用電界発光高分子を提供することができる。上記利点に加えて、本発明の電界発光高分子は、発光効率及び薄膜特性に優れている。
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| 【出願人】 |
【識別番号】590002817 【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年11月6日(2001.11.6) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100072349 【弁理士】 【氏名又は名称】八田 幹雄 (外4名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−220439(P2002−220439A) |
| 【公開日】 |
平成14年8月9日(2002.8.9) |
| 【出願番号】 |
特願2001−340575(P2001−340575) |
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