| 【発明の名称】 |
エポキシ樹脂組成物及びプリプレグ及び樹脂付き金属箔並びに積層板 |
| 【発明者】 |
【氏名】岸野 光寿
【氏名】米本 神夫
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| 【要約】 |
【課題】ハロゲンを含まないでも十分な難燃性を有し、且つ高周波特性に優れる積層板を形成することができるエポキシ樹脂組成物を提供する。
【解決手段】数平均分子量10000〜30000の高分子ポリフェニレンエーテルとフェノール性化合物とをラジカル開始剤の存在下で反応させてなる変性フェノール生成物と、ハロゲンを含まないエポキシ樹脂と、硬化剤と、無機充填材と、バルーンとを含有する。無機充填材を含有することによって、燃焼時に猛毒であるダイオキシンを発生するハロゲンを含むエポキシ樹脂を使用しなくても十分な難燃性を有し、且つ変性フェノール生成物と無機充填材とバルーンを含有することによって、高周波特性に優れるエポキシ樹脂組成物に調製することができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 数平均分子量10000〜30000の高分子ポリフェニレンエーテルとフェノール性化合物とをラジカル開始剤の存在下で反応させてなる変性フェノール生成物と、ハロゲンを含まないエポキシ樹脂と、硬化剤と、無機充填材と、バルーンとを含有して成ることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。 【請求項2】 ラジカル開始剤が過酸化ベンゾイルであることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。 【請求項3】 ラジカル開始剤がアゾイソブチロニトリルであることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。 【請求項4】 変性フェノール生成物の数平均分子量が1000〜3000であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。 【請求項5】 変性フェノール生成物とハロゲンを含まないエポキシ樹脂と硬化剤の合計100質量部に対して50〜200質量部の無機充填材を含有して成ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。 【請求項6】 変性フェノール生成物とハロゲンを含まないエポキシ樹脂と硬化剤の合計100質量部に対して10〜100質量部のバルーンを含有して成ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。 【請求項7】 請求項1乃至6のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を基材に含浸して成ることを特徴とするプリプレグ。 【請求項8】 請求項1乃至6のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を金属箔の片面に膜状に形成して成ることを特徴とする樹脂付き金属箔。 【請求項9】 請求項7に記載のプリプレグ又は請求項8に記載の樹脂付き金属箔を加熱加圧して積層成形して成ることを特徴とする積層板。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ハロゲンを含まないハロゲンフリーのエポキシ樹脂組成物、このエポキシ樹脂組成物を用いたプリプレグ及び樹脂付き金属箔、並びに前記プリプレグあるいは樹脂付き金属箔を用いた積層板に関するものであり、具体的には、プリント配線基板等の電子材料に好適に用いられるエポキシ樹脂組成物に関するものである。 【0002】 【従来の技術】エポキシ樹脂とその硬化剤及びポリフェニレンエーテルを含む組成物(PPE−エポキシ樹脂系の熱硬化型樹脂組成物)がガラスクロス等の基材と一体となったプリプレグは1970年頃から知られている。この組成物は硬化することによって優れた高周波特性を発現するものであり、特に、衛星通信波領域で使用されるXバンド(10GHz)領域において優れた高周波特性を発現するものである。 【0003】これまで提案されてきたPPE−エポキシ樹脂系の熱硬化型樹脂組成物には数種類のものがあるが、その代表例としては、高分子量のPPEをラジカル開始剤で低分子化した低分子量のPPEに、フェノール性化合物を反応させて得られる変性フェノール生成物とエポキシ樹脂とを含むエポキシ樹脂組成物がある。このエポキシ樹脂組成物では変性フェノール生成物のフェノール性水酸基と、エポキシ樹脂のエポキシ基との付加反応によってPPEがエポキシ樹脂組成物の硬化時の架橋に関与し、強固な架橋構造が形成されるようになる。そのため、このエポキシ樹脂組成物から製造されるプリプレグや積層板はいずれも層間剥離が生じることが無く、耐熱性等に優れるという特性を有していた。 【0004】また、積層板は主にプリント配線基板材料に用いられるが、その際の樹脂組成物の難燃性は製品の安全面から欠くことができない特性である。従って、これまでの樹脂組成物の難燃化の手法としては、芳香族臭素化物や臭素化エポキシ樹脂等の有機ハロゲン化合物が用いられてきた。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、有機ハロゲン化合物は燃焼時に猛毒であるダイオキシンを発生する可能性がある。そのために、リン系難燃剤や無機充填材による難燃性を付与したハロゲンフリーの樹脂組成物が積層板の材料として用いられているが、これらハロゲンフリーの樹脂組成物を用いると誘電特性等の高周波特性が低くなるという問題があった。 【0006】本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、ハロゲンを含まないでも十分な難燃性を有し、且つ高周波特性に優れる積層板を形成することができるエポキシ樹脂組成物及びプリプレグ及び樹脂付き金属箔を提供することを目的とするものである。 【0007】また、本発明は、ハロゲンを含まないでも十分な難燃性を有し、且つ高周波特性に優れる積層板を提供することを目的とするものである。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係るエポキシ樹脂組成物は、数平均分子量10000〜30000の高分子ポリフェニレンエーテルとフェノール性化合物とをラジカル開始剤の存在下で反応させてなる変性フェノール生成物と、ハロゲンを含まないエポキシ樹脂と、硬化剤と、無機充填材と、バルーンとを含有して成ることを特徴とするものである。 【0009】また、本発明の請求項2に係るエポキシ樹脂組成物は、請求項1の構成に加えて、ラジカル開始剤が過酸化ベンゾイルであることを特徴とするものである。 【0010】また、本発明の請求項3に係るエポキシ樹脂組成物は、請求項1の構成に加えて、ラジカル開始剤がアゾイソブチロニトリルであることを特徴とするものである。 【0011】また、本発明の請求項4に係るエポキシ樹脂組成物は、請求項1乃至3のいずれかの構成に加えて、変性フェノール生成物の数平均分子量が1000〜3000であることを特徴とするものである。 【0012】また、本発明の請求項5に係るエポキシ樹脂組成物は、請求項1乃至4のいずれかの構成に加えて、変性フェノール生成物とハロゲンを含まないエポキシ樹脂と硬化剤の合計100質量部に対して50〜200質量部の無機充填材を含有して成ることを特徴とするものである。 【0013】また、本発明の請求項6に係るエポキシ樹脂組成物は、請求項1乃至4のいずれかの構成に加えて、変性フェノール生成物とハロゲンを含まないエポキシ樹脂と硬化剤の合計100質量部に対して10〜100質量部のバルーンを含有して成ることを特徴とするものである。 【0014】本発明の請求項7に係るプリプレグは、請求項1乃至6のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を基材に含浸して成ることを特徴とするものである。 【0015】本発明の請求項8に係る樹脂付き金属箔は、請求項1乃至6のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を金属箔の片面に膜状に形成して成ることを特徴とするものである。 【0016】本発明の請求項9に係る積層板は、請求項7に記載のプリプレグ又は請求項8に記載の樹脂付き金属箔を加熱加圧して積層成形して成ることを特徴とするものである。 【0017】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明する。 【0018】エポキシ樹脂としては、ハロゲンを含まずに、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものであれば特に制限はないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、多官能エポキシ樹脂等を挙げることができる。本発明ではこれらエポキシ樹脂を単独で用いたり2種類以上を併用したりすることができる。 【0019】変性フェノール生成物は、数平均分子量が10000〜30000の高分子ポリフェニレンエーテル(PPE又はPPO)とフェノール性化合物をラジカル開始剤の存在下で反応させて得られるものであり、エポキシ樹脂と反応してその架橋構造に関与する成分である。高分子ポリフェニレンエーテルとしては、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンオキサイド)等を用いることができる。また、フェノール性化合物としては、例えば、ポリフェノールのビスフェノールA、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等のフェノール性水酸基を分子内に2個以上有する多官能フェノール類を用いることができる。 【0020】ラジカル開始剤としては過酸化ベンゾイル、アゾイソブチロニトリルを用いることができる。また、これらの他に、例えば、ジクミルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジtert−ブチルパーオキシヘキサン、α,α′−ビス(tert−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン〔1,4(または1,3)−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンともいう〕などの過酸化物を例示することができる。また、ラジカル開始剤としては、過酸化物ではないが市販の開始剤である日本油脂(株)社製の商品名「ビスクミル」(1分半減温度330℃)を使用することができる。 【0021】ラジカル開始剤として過酸化ベンゾイルやアゾイソブチロニトリルを用いると、高分子ポリフェニレンエーテルが確実にラジカル化され、このラジカル化されたポリフェニレンエーテルとフェノール性化合物とを確実に反応させてより一層確実に変性フェノール生成物を生成することができ、ガラス転移温度及び線膨張率の物性をより一層確実に維持しながら、低温且つ短時間で硬化を完結させて生産性をより一層確実に向上させることができる。 【0022】変性フェノール生成物は例えば米国特許第40590568号の明細書に開示された製造方法で製造することができる。すなわち、変性フェノール生成物は、ラジカル開始剤の存在下で数平均分子量10000〜30000の高分子ポリフェニレンエーテルとフェノール性化合物とを溶媒中で反応させて得られるが、この反応は、まず、高分子ポリフェニレンエーテルがラジカル開始剤によってラジカル化され、再配分反応によってそのラジカル化された高分子鎖が切断されて低分子ポリフェニレンエーテルが生成され、この後、低分子ポリフェニレンエーテルがフェノール性化合物を変性する反応である。この反応は、トルエン、ベンゼン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒中で行うのが好ましく、反応温度は80〜120℃、反応時間は10〜100分間にして行うのが好ましい。 【0023】また、生成される変性フェノール生成物の数平均分子量については特に限定はないが、1000〜3000であることが好ましい。変性フェノール生成物の数平均分子量が3000を超えると、エポキシ樹脂組成物の溶融粘度が増大することがあって、プリプレグを製造する際に基材に含浸させにくくなったり樹脂付き金属箔を製造する際に金属箔にエポキシ樹脂組成物を塗布しにくくなる恐れがある。一方、変性フェノール生成物の数平均分子量が1000未満であれば、エポキシ樹脂組成物の硬化物の機械的強度や耐熱性が低下する恐れがある。 【0024】上記のようにして変性フェノール生成物を製造するにあたって、ラジカル開始剤の配合量は高分子ポリフェニレンエーテル100質量部に対して3〜20質量部であることが好ましく、また、フェノール性化合物の配合量は高分子ポリフェニレンエーテル100質量部に対して3〜20質量部であることが好ましい。ラジカル開始剤やフェノール性化合物の配合量が高分子ポリフェニレンエーテル100質量部に対して20質量部よりも多くなると、低分子ポリフェニレンエーテルの数平均分子量が低下し、エポキシ樹脂組成物の硬化物の機械的強度や耐熱性が低下する恐れがある。一方、ラジカル開始剤やフェノール性化合物の配合量が高分子ポリフェニレンエーテル100質量部に対して3質量部よりも少なくなると、高分子ポリフェニレンエーテルのラジカル化の反応が進行しにくくなって数平均分子量が低下しにくくなり、その結果、低分子ポリフェニレンエーテルがエポキシ樹脂の硬化の際の架橋構造に関与しにくくなって、遊離の状態で残存してしまう恐れがある。 【0025】そして、上記のようにして得られた変性フェノール生成物は、低分子ポリフェニレンエーテルの末端にフェノール性化合物が1個又は両末端に2個結合した構造を有している。従って、フェノール性化合物中のフェノール性水酸基がエポキシ樹脂のエポキシ基と反応して低分子ポリフェニレンエーテルがエポキシ樹脂の架橋構造に関与するようになっている。 【0026】硬化剤としては従来から一般的に用いられているものを使用することができ、上記エポキシ樹脂の硬化剤として使用可能なものであれば特に制限はないが、例えば、第1アミンや第2アミンなどのアミン系硬化剤、ビスフェノールAやビスフェノールFなどのフェノール系硬化剤、酸無水物系硬化剤などを挙げることができる。本発明ではこれら硬化剤を単独で用いたり2種類以上を併用したりすることができる。 【0027】無機充填材としては難燃特性を有するものであることが好ましく、例えば、加熱により200〜300℃で大部分が脱水分解する水酸化アルミニウムが特に好ましい。この他に水酸化マグネシウムを無機充填材として用いてもよく、本発明ではこれら無機充填材を単独で用いたり2種類を併用したりすることができる。 【0028】バルーンは中空粒子(中空ビーズ)であって、上記エポキシ樹脂の充填材として使用可能なものであれば特に限定されないが、例えば、粒径が1〜20μmのガラス質バルーンや有機質バルーンなどを用いることができる。本発明ではこれらバルーンを単独で用いたり2種類を併用したりすることができる。 【0029】本発明では上記の必須成分以外に、エポキシ樹脂組成物の用途に応じて、所望の性能を付与する目的で、本来の性質を損なわない範囲の量の充填材や添加剤を配合しても良い。充填材としては例えば、カーボンブラック、シリカ、アルミナ、チタン酸バリウム、タルク、雲母、ガラスビーズなどを挙げることができる。また、添加剤としては例えば、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、可塑剤、顔料、染料、着色剤などを挙げることができる。 【0030】本発明のエポキシ樹脂組成物は上記の各成分をミキサー、ブレンダー等によって均一に混合した後に、ロールやニーダー等により混練することによって調製することができる。さらに具体的には、各成分を混合分散した後、加熱ロール等で溶融混練し、この混練物を冷却・固化した後、粉砕して粉粒状のものにしたり、あるいは粉砕したものを必要に応じてタブレット状に打錠したりすることができる。尚、成分の配合順は特に制限はない。 【0031】上記のようにしてエポキシ樹脂組成物を調製するにあたって、変性フェノール生成物の配合量はエポキシ樹脂及び硬化剤の固形分50〜95質量部に対して5〜50質量部にするのが好ましい。変性フェノール生成物の配合量が上記範囲よりも多いと、このエポキシ樹脂組成物を用いて形成される積層板の耐溶剤性が低下する恐れがある。一方、変性フェノール生成物の配合量が上記範囲よりも少ないと、積層板の誘電率や誘電正接などの高周波特性が低下する恐れがある。 【0032】また、硬化剤の配合量はエポキシ樹脂の1当量に対して0.03〜0.4当量の範囲にするのが好ましく、より好ましくは、0.05〜0.2当量にする。硬化剤の配合量が上記範囲を外れると、エポキシ樹脂組成物の硬化不足が発生するなどして積層板の信頼性が低下したり、硬化成形時の剛性が下がり作業性等に悪影響を及ぼす恐れがある。尚、エポキシ樹脂の硬化を促進させるために、イミダゾール系化合物などの硬化促進剤を配合しても良い。 【0033】さらに、無機充填材の配合量は変性フェノール生成物とハロゲンを含まないエポキシ樹脂及び硬化剤の合計100質量部に対して50〜200質量部にするのが好ましく、70〜130質量部にするのがより好ましい。無機充填材の配合量が上記の範囲よりも多すぎると、積層板の耐熱性や高周波特性(特に、誘電率)が低下し、また、積層板の成形時に成形ボイドやカスレが発生しやすくなる恐れがある。一方、無機充填材の配合量が上記の範囲よりも少なすぎると、積層板の難燃性が低下する恐れがある。 【0034】また、バルーンの配合量は変性フェノール生成物とハロゲンを含まないエポキシ樹脂及び硬化剤の合計100質量部に対して10〜100質量部にするのが好ましく、20〜50質量部にするのがより好ましい。バルーンの配合量が上記の範囲よりも多すぎると、積層板の成形時に成形ボイドやカスレが発生しやすくなる恐れがある。一方、バルーンの配合量が上記の範囲よりも少なすぎると、積層板の高周波特性が向上しない恐れがある。 【0035】本発明のプリプレグは、上記のように調製されるエポキシ樹脂組成物を基材に含浸させ、基材中のエポキシ樹脂組成物を乾燥させ、Bステージ状態にまで半硬化させることによって形成することができる。 【0036】プリプレグを製造するにあたって、有機溶媒にエポキシ樹脂組成物を溶解させて樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスを基材に含浸させるようにしても良い。有機溶媒としては例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素、ケトン類、アルコール類を挙げることができる。これらの有機溶媒は単独で用いたり2種類以上を併用したりすることができる。 【0037】また、基材としてはロービングクロス、クロス、チョップドマット、サーフェシングマットなどの各種ガラス布、アスベスト布や金属繊維布及びその他の合成もしくは天然の無機繊維布、全芳香族ポリアミド繊維や全芳香族ポリエステル繊維やポリベンゾザール繊維等の液晶繊維から得られる織布又は不織布、ポリビニルアルコール繊維やポリエステル繊維やアクリル繊維などの合成繊維から得られる織布又不織布、綿布や麻布やフェルトなどの天然繊維織布、カーボン繊維布、クラフト紙やコットン紙や紙−ガラス混繊紙などの天然セルロース系布などを挙げることができる。 【0038】そして、プリプレグは、例えば、樹脂ワニス中に基材を浸漬するなどして基材に樹脂ワニスを含浸させた後、基材中のエポキシ樹脂組成物を乾燥させ、Bステージ状態にまで半硬化させることによって形成することができる。このようにして作製されたプリプレグの樹脂成分の含有量については特に限定されるものではないが、全体の30〜80質量%とするのが好ましい。また、樹脂ワニスを基材に含浸させる際に、樹脂ワニスの液温を30〜45℃に保つと、樹脂ワニスが基材に均一に含浸するようになり、プリプレグの特性が向上するものである。樹脂ワニスを含浸した基材は好ましくは80〜200℃で加熱乾燥させるものである。この加熱乾燥が不十分であると、プリプレグの表面のみが乾燥し、溶媒がプリプレグの内部に残存することになり、この場合、プリプレグの表面と内部とで樹脂濃度に差が生じ、積層板に成形した際に歪みやクラックが発生する恐れがある。一方、上記の加熱乾燥が過度に行われると、プリプレグの表面に筋ムラや樹脂タレが生じて好ましくない。 【0039】本発明の樹脂付き金属箔は、銅箔等の金属箔の片面に上記のエポキシ樹脂組成物を塗工した後、80〜200℃で加熱して乾燥させると共に、塗工したエポキシ樹脂組成物を半硬化状態の薄膜にすることによって形成することができる。このエポキシ樹脂組成物の薄膜の厚みは例えば、5〜150μmにするのが好ましいが、これに限定されるものではない。 【0040】本発明の積層板は、上記のプリプレグを一枚あるいは複数枚重ね合わせ、これを加熱加圧して硬化させることによって形成することができる。また、一枚あるいは複数枚重ね合わせプリプレグの片面あるいは両面に銅箔等の金属箔を配置し、これを加熱加圧して硬化させることによって片面あるいは両面金属箔積層板を形成することができる。さらに、内層コア材の表面にプリプレグを介して金属箔を重ね合わせたり、内層コア材の表面に上記樹脂付き金属箔の樹脂側を接触させて重ね合わせたりし、この後、これを加熱加圧して硬化させることによって多層の積層板を形成することができる。このようにして積層板を形成する際の加熱加圧条件は圧力1〜6MPa、温度は150〜300℃に設定することができる。 【0041】 【実施例】以下本発明を実施例によって具体的に説明する。 【0042】(実施例1)100gの高分子ポリフェニレンエーテル(日本GEプラスチック製)と、3.5gのビスフェノールA(フェノール性化合物)とを加熱溶融して混合した後、4.5gの過酸化ベンゾイル(日本油脂製のラジカル開始剤)を配合して変性フェノール生成物を調製した。この後、室温にて変性フェノール生成物に、190gの多官能型エポキシ樹脂(日本化薬製の「EPPN501H」、ハロゲンを含まないエポキシ樹脂)と、3gのジアミノジフェニルメタン(油化シェル製の「エタキュア」、硬化剤)と、1gの2−エチル−4−メチル−イミダゾール(四国化成製の硬化促進剤)と、水酸化アルミニウム(住友化学製の無機充填材)と、ガラス質バルーン(東芝バロティーニ製の「HSC−110」)とを配合することによってエポキシ樹脂組成物を調製した。尚、表1には各成分の配合比率を質量部で示す。 【0043】(実施例2〜4)水酸化アルミニウムとガラス質バルーンの配合比率を表1のように変更した以外は、実施例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物を調製した。 【0044】(実施例5)過酸化ベンゾイルに代えて、ラジカル開始剤としてアゾイソブチロニトリル(ナカライテスク製)を5.2g配合し、さらに、水酸化アルミニウムの代わりに、無機充填材として水酸化マグネシウム(協和化学工業製)を配合した以外は、実施例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物を調製した。 【0045】(実施例6〜8)水酸化マグネシウムとガラス質バルーンの配合比率を表1のように変更した以外は、実施例5と同様にしてエポキシ樹脂組成物を調製した。 【0046】(比較例1)ガラス質バルーンを配合しなかった以外は実施例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物を調製した。 【0047】(比較例2)水酸化アルミニウムの配合比率を表1のように変更した以外は、比較例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物を調製した。 【0048】(比較例3)ガラス質バルーンを配合しなかった以外は実施例5と同様にしてエポキシ樹脂組成物を調製した。 【0049】(比較例4)水酸化マグネシウムの配合比率を表1のように変更した以外は、比較例3と同様にしてエポキシ樹脂組成物を調製した。 【0050】上記のようにして得られたエポキシ樹脂組成物を樹脂ワニスとし、この樹脂ワニスをガラスクロスに含浸してプリプレグ(樹脂量は40質量%)を作製し、このプリプレグを8枚重ねた後、最高温度200℃、圧力4MPa、時間90分の硬化条件でプレス成形し、絶縁基板としての積層板を形成した。 【0051】次に、この積層板の物性評価を行った。難燃性についてはUL94規格、誘電率及び誘電正接についてはJIS C 6481に従って試験を行った。結果を表1に示す。 【0052】 【表1】
【0053】実施例1〜8と比較例1〜4を対比すると判るように、難燃性においては実施例1〜8のものは比較例1〜4のものと同等のレベルを維持していながら、高周波特性である誘電率及び誘電正接については実施例1〜8のものは比較例1〜4のものよりも低くなっており、本発明のエポキシ樹脂組成物は十分に難燃性を維持しながら高周波特性を向上させた積層板を形成することができるものであると言える。 【0054】 【発明の効果】上記のように本発明の請求項1の発明は、数平均分子量10000〜30000の高分子ポリフェニレンエーテルとフェノール性化合物とをラジカル開始剤の存在下で反応させてなる変性フェノール生成物と、ハロゲンを含まないエポキシ樹脂と、硬化剤と、無機充填材と、バルーンとを含有するので、無機充填材を含有することによって、燃焼時に猛毒であるダイオキシンを発生するハロゲンを含むエポキシ樹脂を使用しなくても十分な難燃性を有し、且つ変性フェノール生成物と無機充填材とバルーンを含有することによって、高周波特性に優れるエポキシ樹脂組成物に調製することができ、このエポキシ樹脂組成物を用いることによって、ハロゲンを含まないでも十分な難燃性を有し、且つ高周波特性に優れる積層板を形成することができるものである。 【0055】また、本発明の請求項2の発明は、ラジカル開始剤が過酸化ベンゾイルであるので、高分子ポリフェニレンエーテルを確実にラジカル化し、ラジカル化されたポリフェニレンエーテルとフェノール性化合物とを確実に反応させて確実に変性フェノール生成物を生成することができ、ガラス転移温度及び線膨張率の物性を確実に維持しながら、低温且つ短時間で硬化を完結させて生産性を向上させることができるものである。 【0056】また、本発明の請求項3の発明は、ラジカル開始剤がアゾイソブチロニトリルであるので、高分子ポリフェニレンエーテルを確実にラジカル化し、ラジカル化されたポリフェニレンエーテルとフェノール性化合物とを確実に反応させて確実に変性フェノール生成物を生成することができ、ガラス転移温度及び線膨張率の物性を確実に維持しながら、低温且つ短時間で硬化を完結させて生産性を向上させることができるものである。 【0057】また、本発明の請求項4の発明は、変性フェノール生成物の数平均分子量が1000〜3000であるので、エポキシ樹脂組成物の溶融粘度が増大することがなくなってプリプレグを製造する際に基材に含浸させにくくなったり樹脂付き金属箔を製造する際に金属箔にエポキシ樹脂組成物を塗布しにくくなったりすることがなく、また、エポキシ樹脂組成物の硬化物の機械的強度や耐熱性が低下しないようにすることができるものである。 【0058】また、本発明の請求項5の発明は、変性フェノール生成物とハロゲンを含まないエポキシ樹脂と硬化剤の合計100質量部に対して50〜200質量部の無機充填材を含有するので、このエポキシ樹脂組成物を用いて積層板を形成することによって、積層板の耐熱性や高周波特性が低下することがなく、また、積層板の成形時に成形ボイドやカスレが発生しにくくなり、しかも、積層板の難燃性が低下しないようにすることができるものである。 【0059】また、本発明の請求項6の発明は、変性フェノール生成物とハロゲンを含まないエポキシ樹脂と硬化剤の合計100質量部に対して10〜100質量部のバルーンを含有するので、このエポキシ樹脂組成物を用いて積層板を形成することによって、積層板の成形時に成形ボイドやカスレが発生しにくくなり、しかも、積層板の高周波特性を向上させることができるものである。 【0060】本発明の請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を基材に含浸するので、このプリプレグを用いて積層板を形成することによって、ハロゲンを含まないでも十分な難燃性を有し、且つ高周波特性に優れる積層板を形成することができるものである。 【0061】本発明の請求項8の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を金属箔の片面に膜状に形成するので、この樹脂付き金属箔を用いて積層板を形成することによって、ハロゲンを含まないでも十分な難燃性を有し、且つ高周波特性に優れる積層板を形成することができるものである。 【0062】本発明の請求項9の発明は、請求項7に記載のプリプレグ又は請求項8に記載の樹脂付き金属箔を加熱加圧して積層成形するので、ハロゲンを含まないでも十分な難燃性を有し、且つ高周波特性に優れる積層板を形成することができるものである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005832 【氏名又は名称】松下電工株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年1月26日(2001.1.26) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100087767 【弁理士】 【氏名又は名称】西川 惠清 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−220436(P2002−220436A) |
| 【公開日】 |
平成14年8月9日(2002.8.9) |
| 【出願番号】 |
特願2001−19224(P2001−19224) |
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