| 【発明の名称】 |
リン含有エポキシ樹脂組成物、プリプレグ、樹脂付き金属箔、接着シート、積層板、多層板、塗工用リン含有エポキシ樹脂ワニス、リン含有エポキシ樹脂封止材、リン含有エポキシ樹脂注型材、含浸用リン含有エポキシ樹脂ワニス |
| 【発明者】 |
【氏名】垣内 秀隆
【氏名】相楽 隆
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| 【要約】 |
【課題】ハロゲンを含有することなく優れた難燃性を示すと共に、積層板等において各層間の接着強度を高めることができるリン含有エポキシ樹脂組成物を提供する。
【解決手段】下記の式(1)と式(2)で表される有機リン化合物の少なくとも一方と、ノボラック型エポキシ樹脂を20質量%以上含有するエポキシ樹脂とを反応させて得られるリン含有エポキシ樹脂、硬化剤を必須成分とする。リン含有量が組成物全量中の0.5〜4.0質量%である。上記硬化剤の一部又は全部がトリアジン変性ノボラック樹脂である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 下記の式(1)と式(2)で表される有機リン化合物の少なくとも一方と、ノボラック型エポキシ樹脂を20質量%以上含有するエポキシ樹脂とを反応させて得られるリン含有エポキシ樹脂、硬化剤を必須成分とし、リン含有量が組成物全量中の0.5〜4.0質量%であると共に、上記硬化剤の一部又は全部がトリアジン変性ノボラック樹脂であることを特徴とするリン含有エポキシ樹脂組成物。 【化1】
【請求項2】 上記の式(1)と式(2)で表される有機リン化合物の少なくとも一方と、ノボラック型エポキシ樹脂を20質量%以上含有するエポキシ樹脂とを反応させて得られるリン含有エポキシ樹脂、平均エポキシ当量2000以下のビスフェノールA型エポキシ樹脂、硬化剤を必須成分とし、リン含有量が組成物全量中の0.5〜4.0質量%であり、上記ビスフェノールA型エポキシ樹脂の含有量が全エポキシ樹脂中の2〜20質量%であると共に、上記硬化剤の一部又は全部がトリアジン変性ノボラック樹脂であることを特徴とするリン含有エポキシ樹脂組成物。 【請求項3】 充填材を含有して成ることを特徴とする請求項1又は2に記載のリン含有エポキシ樹脂組成物。 【請求項4】 有機リン化合物として、下記の式(5)で表されるものを用いて成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のリン含有エポキシ樹脂組成物。 【化2】
【請求項5】 充填材を固形分100質量部に対して30〜120質量部含有して成ることを特徴とする請求項3又は4に記載のリン含有エポキシ樹脂組成物。 【請求項6】 充填材として、炭酸カルシウム、シリカ、カオリン、焼成カオリン、クレー、焼成クレー、タルク、焼成タルク、ハイドロタルサイト、ワラストナイト、金属水酸化物、金属酸化物、ガラス粉末、シリカバルーン、シラスバルーンから選ばれるものを含有して成ることを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載のリン含有エポキシ樹脂組成物。 【請求項7】 充填材として、カオリン、焼成カオリン、クレー、焼成クレー、タルク、焼成タルク、金属水酸化物から選ばれるものを含有して成ることを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載のリン含有エポキシ樹脂組成物。 【請求項8】 ノボラック型エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂から選ばれるものを含有して成ることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のリン含有エポキシ樹脂組成物。 【請求項9】 請求項1乃至8のいずれかに記載のリン含有エポキシ樹脂組成物がシート状基材に含浸されると共に半硬化して成ることを特徴とするプリプレグ。 【請求項10】 請求項1乃至8のいずれかに記載のリン含有エポキシ樹脂組成物が金属箔上に塗布されると共に半硬化して成ることを特徴とする樹脂付き金属箔。 【請求項11】 請求項1乃至8のいずれかに記載のリン含有エポキシ樹脂組成物がシート状に形成されると共に半硬化して成ることを特徴とする接着シート。 【請求項12】 請求項9に記載のプリプレグ、請求項10に記載の樹脂付き金属箔、請求項11に記載の接着シートのうちの少なくとも一種のものが積層成形されて成ることを特徴とする積層板。 【請求項13】 請求項9に記載のプリプレグ、請求項10に記載の樹脂付き金属箔、請求項11に記載の接着シートのうちの少なくとも一種のものが各層内に少なくとも一層含まれて成ることを特徴とする多層板。 【請求項14】 請求項1乃至8のいずれかに記載のリン含有エポキシ樹脂組成物を用いて成ることを特徴とする塗工用リン含有エポキシ樹脂ワニス。 【請求項15】 請求項14に記載の塗工用リン含有エポキシ樹脂ワニスが塗工されて成ることを特徴とする多層板。 【請求項16】 請求項1乃至8のいずれかに記載のリン含有エポキシ樹脂組成物を用いて成ることを特徴とするリン含有エポキシ樹脂封止材。 【請求項17】 請求項1乃至8のいずれかに記載のリン含有エポキシ樹脂組成物を用いて成ることを特徴とするリン含有エポキシ樹脂注型材。 【請求項18】 請求項1乃至8のいずれかに記載のリン含有エポキシ樹脂組成物を用いて成ることを特徴とする含浸用リン含有エポキシ樹脂ワニス。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、封止材、成形材、注型材、接着剤、電気絶縁塗料として電子部品に用いられるリン含有エポキシ樹脂組成物と、これを用いて作製されるプリプレグ、樹脂付き金属箔、積層板、多層板、塗工用リン含有エポキシ樹脂ワニス、リン含有エポキシ樹脂封止材、リン含有エポキシ樹脂注型板及び含浸用リン含有エポキシ樹脂ワニスに関するものである。 【0002】 【従来の技術】エポキシ樹脂は、接着性、耐熱性、成形性に優れていることから、電子部品、電気機器、自動車部品、FRP、スポーツ用品等の広範囲の分野において使用されている。特に上記の分野の中でも電子部品や電気機器において、封止材等として使用されるエポキシ樹脂には、火災の防止・遅延を目的として、臭素化エポキシ樹脂等のハロゲン化されたエポキシ樹脂が使用されている。すなわちこのようなエポキシ樹脂は、エポキシ樹脂に臭素を代表とするハロゲンを導入することによって合成されるものであり、エポキシ樹脂中のハロゲンによって難燃性が付与された硬化物を得ることができるものである。 【0003】しかし、このような硬化物の燃焼時には、有害物質であるハロゲン化水素等のハロゲン化合物が生成されるといった環境問題が生じるに至った。 【0004】そこで、このような問題点を解消するため、ハロゲンを含有することなく難燃性が付与されたエポキシ樹脂や、これを用いて調製される組成物の要求が高まっていた。そしてこのような背景において、ハロゲンの代わりにリンを含有するエポキシ樹脂、すなわちリン含有エポキシ樹脂を用い、これを組成物の一部又は全部に配合することによって、難燃性を確保しようとする動きが大きくなってきている。実際、既に特開平11−279258号公報等に記載されているものでは、ハロゲンを使用することなく難燃性が付与されたエポキシ樹脂組成物や、これを用いて作製された積層板、封止材、注型材が得られている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の方法によって得られた積層板において、各層間の接着強度は実用に供するほど高いものではなく、このため層間接着強度の向上が要請されていた。 【0006】本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、ハロゲンを含有することなく優れた難燃性を示すと共に、積層板等において各層間の接着強度を高めることができるリン含有エポキシ樹脂組成物と、これを用いて作製されるプリプレグ、樹脂付き金属箔、積層板、多層板、塗工用リン含有エポキシ樹脂ワニス、リン含有エポキシ樹脂封止材、リン含有エポキシ樹脂注型材、含浸用リン含有エポキシ樹脂ワニスを提供することを目的とするものである。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係るリン含有エポキシ樹脂組成物は、下記の式(1)と式(2)で表される有機リン化合物の少なくとも一方と、ノボラック型エポキシ樹脂を20質量%以上含有するエポキシ樹脂とを反応させて得られるリン含有エポキシ樹脂、硬化剤を必須成分とし、リン含有量が組成物全量中の0.5〜4.0質量%であると共に、上記硬化剤の一部又は全部がトリアジン変性ノボラック樹脂であることを特徴とするものである。 【0008】 【化3】
【0009】また請求項2に係るリン含有エポキシ樹脂組成物は、上記の式(1)と式(2)で表される有機リン化合物の少なくとも一方と、ノボラック型エポキシ樹脂を20質量%以上含有するエポキシ樹脂とを反応させて得られるリン含有エポキシ樹脂、平均エポキシ当量2000以下のビスフェノールA型エポキシ樹脂、硬化剤を必須成分とし、リン含有量が組成物全量中の0.5〜4.0質量%であり、上記ビスフェノールA型エポキシ樹脂の含有量が全エポキシ樹脂中の2〜20質量%であると共に、上記硬化剤の一部又は全部がトリアジン変性ノボラック樹脂であることを特徴とするものである。 【0010】また請求項3の発明は、請求項1又は2において、充填材を含有して成ることを特徴とするものである。 【0011】また請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、有機リン化合物として、下記の式(5)で表されるものを用いて成ることを特徴とするものである。 【0012】 【化4】
【0013】また請求項5の発明は、請求項3又は4において、充填材を固形分100質量部に対して30〜120質量部含有して成ることを特徴とするものである。 【0014】また請求項6の発明は、請求項3乃至5のいずれかにおいて、充填材として、炭酸カルシウム、シリカ、カオリン、焼成カオリン、クレー、焼成クレー、タルク、焼成タルク、ハイドロタルサイト、ワラストナイト、金属水酸化物、金属酸化物、ガラス粉末、シリカバルーン、シラスバルーンから選ばれるものを含有して成ることを特徴とするものである。 【0015】また請求項7の発明は、請求項3乃至5のいずれかにおいて、充填材として、カオリン、焼成カオリン、クレー、焼成クレー、タルク、焼成タルク、金属水酸化物から選ばれるものを含有して成ることを特徴とするものである。 【0016】また請求項8の発明は、請求項1乃至7のいずれかにおいて、ノボラック型エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂から選ばれるものを含有して成ることを特徴とするものである。 【0017】また請求項9に係るプリプレグは、請求項1乃至8のいずれかに記載のリン含有エポキシ樹脂組成物がシート状基材に含浸されると共に半硬化して成ることを特徴とするものである。 【0018】また請求項10に係る樹脂付き金属箔は、請求項1乃至8のいずれかに記載のリン含有エポキシ樹脂組成物が金属箔上に塗布されると共に半硬化して成ることを特徴とするものである。 【0019】また請求項11に係る接着シートは、請求項1乃至8のいずれかに記載のリン含有エポキシ樹脂組成物がシート状に形成されると共に半硬化して成ることを特徴とするものである。 【0020】また請求項12に係る積層板は、請求項9に記載のプリプレグ、請求項10に記載の樹脂付き金属箔、請求項11に記載の接着シートのうちの少なくとも一種のものが積層成形されて成ることを特徴とするものである。 【0021】また請求項13に係る多層板は、請求項9に記載のプリプレグ、請求項10に記載の樹脂付き金属箔、請求項11に記載の接着シートのうちの少なくとも一種のものが各層内に少なくとも一層含まれて成ることを特徴とするものである。 【0022】また請求項14に係る塗工用リン含有エポキシ樹脂ワニスは、請求項1乃至8のいずれかに記載のリン含有エポキシ樹脂組成物を用いて成ることを特徴とするものである。 【0023】また請求項15に係る多層板は、請求項14に記載の塗工用リン含有エポキシ樹脂ワニスが塗工されて成ることを特徴とするものである。 【0024】また請求項16に係るリン含有エポキシ樹脂封止材は、請求項1乃至8のいずれかに記載のリン含有エポキシ樹脂組成物を用いて成ることを特徴とするものである。 【0025】また請求項17に係るリン含有エポキシ樹脂注型材は、請求項1乃至8のいずれかに記載のリン含有エポキシ樹脂組成物を用いて成ることを特徴とするものである。 【0026】また請求項18に係る含浸用リン含有エポキシ樹脂ワニスは、請求項1乃至8のいずれかに記載のリン含有エポキシ樹脂組成物を用いて成ることを特徴とするものである。 【0027】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明する。 【0028】本発明は、請求項1に係る発明(以下、第一の発明という)と請求項2に係る発明(以下、第二の発明という)とに大別される。第一の発明においてリン含有エポキシ樹脂組成物は、リン含有エポキシ樹脂、硬化剤を必須成分とするものであるのに対し、第二の発明においてリン含有エポキシ樹脂組成物は、第一の発明の必須成分に加え、ビスフェノールA型エポキシ樹脂をも必須成分とするものである。以下では、まずこれらの各成分について説明する。 【0029】両発明に共通して用いられるリン含有エポキシ樹脂としては、上記の式(1)や式(2)で表される有機リン化合物と、エポキシ樹脂とから合成されるものを用いるものである。この合成の際に用いられるエポキシ樹脂としては、特に限定されるものではないが、リン含有エポキシ樹脂全量中にノボラック型エポキシ樹脂が20質量%以上含有されることが必要である。ノボラック型エポキシ樹脂の含有量がリン含有エポキシ樹脂全量中の20質量%未満であると、難燃性や耐熱性が低下するため好ましくない。またノボラック型エポキシ樹脂としては、難燃性や耐熱性を確実に高めることができるという点から、ビスフェノールA型ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂のうちの少なくとも1種のものを用いるのが好ましいが、これらのものに限定されるものではなく、例えば、ノボラック型エポキシ樹脂とフェノール類、アミン類又はカルボン酸類とを反応させて得られるものや、各種エポキシ樹脂とノボラック型フェノール樹脂とを反応させて得られるものも用いることができる。 【0030】一方、式(1)や式(2)で表される有機リン化合物は、これらの式中の置換基X,X’が水素原子であるような化合物を出発物質として、このものとキノン類とをそれぞれ反応させることによって合成することができるものである。以下では、この具体例について示す。 【0031】すなわち、式(1)中のR1〜R8及び置換基Xが全て水素原子であるような化合物は、例えば、三光化学社製「HCA」として市販されている、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキサイドであり、このものと1,4−ナフトキノンとを反応させると、式(5)で表される有機リン化合物を合成することができる。つまり、式(5)は、式(1)で表される有機リン化合物の具体例である。この合成例は、特開昭60−126293号公報に開示されているが、不純物を減少させるためには、1,4−ナフトキノンの量は「HCA」より化学量論的に少ない量で反応させる必要がある。 【0032】また、有機リン化合物の他の具体例としては、式(2)中のR’1〜R’10及び置換基X’が全て水素原子であるような化合物は、ジフェニルホスフィンオキシド(DPPO)であり、このものとキノン類とを反応させたものを挙げることができる。 【0033】上記の式(1)や式(2)で表される有機リン化合物の合成に用いるキノン類としては特に限定されるものではないが、上述した1,4−ナフトキノンの他に、1,4−ベンゾキノン、1,2−ベンゾキノン、トルキノン等も用いることができる。さらにこれらのキノン類は1種を単独で使用したり、あるいは2種以上を混合して使用したりすることができる。 【0034】そして、上述した式(1)や式(2)で表される有機リン化合物と、エポキシ樹脂とからリン含有エポキシ樹脂を合成するにあたっては、公知の方法で行うことが可能である。つまり、反応温度は100〜200℃、より好ましくは120〜180℃であって、上記の混合物を反応容器中で攪拌しながら反応させるものである。なお、この反応の進行が遅い場合には、必要に応じて触媒を添加することができる。この触媒の具体例としては、ベンジルジメチルアミン等の第三級アミン類、テトラメチルアンモニウムクロイド等の第四級アンモニウム塩類、トリフェニルホスフィン、トリス(2,6−ジメトキシフェニル)ホスフィン等のホスフィン類、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド等のホスホニウム塩類、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類等を挙げることができる。 【0035】以上のようにして、リン含有エポキシ樹脂を合成することができるものであるが、このようなリン含有エポキシ樹脂は、リン含有エポキシ樹脂組成物の調製時には1種を単独で使用したり、あるいは2種以上を混合して使用したりすることができる。 【0036】ただし、リン含有量は、耐熱性を維持しつつ難燃性を高めることができるという点から、リン含有エポキシ樹脂組成物全量に対して0.5〜4.0質量%となるように設定しておくものである。リン含有量が0.5質量%未満であると難燃性を確保することが困難となり、逆に4.0質量%を超えると耐熱性が悪化するものである。 【0037】また、両発明に共通して用いられる硬化剤としては、トリアジン変性ノボラック樹脂を単独で使用したり、あるいは他の硬化剤と混合して使用したりするものであり、このトリアジン変性ノボラック樹脂の具体例としては、大日本インキ化学工業株式会社製;品番「LA−7054」や品番「LA−7055」を挙げることができる。一方、他の硬化剤としては、例えば、各種フェノール樹脂類、酸無水物類、アミン類、ヒドラジッド類、酸性ポリエステル類など通常使用されるものであれば特に限定されるものではない。そして、上記のような硬化剤を含有するリン含有エポキシ樹脂を用いると、積層板等において各層間の接着強度を高めることができるものである。 【0038】また、第二の発明に用いられるビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、平均エポキシ当量2000以下のものを用いることが必要である。このようなビスフェノールA型エポキシ樹脂は、ビスフェノールAのグリシジルエーテルを基本骨格とするものであり、平均エポキシ当量が2000以下のものであれば特に限定されるものではない。しかし、ビスフェノールAのグリシジルエーテルを基本骨格とするものであっても、平均エポキシ当量が2000を超えると、硬化物のガラス転移温度(Tg)が低下して耐熱性が悪化するおそれがあるため好ましくない。なお、平均エポキシ当量の実質的な下限は、160である。 【0039】さらに、上記の平均エポキシ当量2000以下のビスフェノールA型エポキシ樹脂の含有量は、積層板等において各層間の接着強度を一層高めることができるという点から、全エポキシ樹脂中の2〜20質量%となるように設定しておくものである。含有量が2質量%未満であると十分な接着性を得ることができないおそれがあり、逆に20質量%を超えると難燃性が低下するおそれがあるものである。 【0040】また、上述したリン含有エポキシ樹脂及びビスフェノールA型エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂として、ハロゲンやリンを含有しない、いわゆるノンハロゲンノンリンであるような任意のエポキシ樹脂も併用することができる。 【0041】また、両発明において硬化促進剤を用いることができる。例えば、上述したようにリン含有エポキシ樹脂を合成する際に必要に応じて添加される触媒と同様のものとして、第三級アミン類、第四級アンモニウム塩類、ホスフィン類、イミダゾール類等を挙げることができるが、これらのものに限定されるものではない。 【0042】また両発明においては、半硬化物の保存安定性を高めることができるという点で、リン含有エポキシ樹脂組成物中に充填材を含有しておくことが好ましい。このとき充填剤を固形分100質量部に対して30〜120質量部含有しておくと、半硬化物の保存安定性を確実に高めることができて好ましい。充填材が30質量部未満であると、半硬化物の保存安定性を十分に高めることができないおそれがあり、逆に120質量部を超えると、半硬化物の保存安定性に関して問題はないものの接着性が低下するおそれがある。なお、充填材を配合する際に基準となる固形分には、溶媒等の液状物が含まれないのは勿論、充填材自体も含まれない。 【0043】また上記の充填材としては、特に限定されるものではないが、例えば、無機充填材として、炭酸カルシウム、シリカ、カオリン、焼成カオリン、クレー、焼成クレー、タルク、焼成タルク、ハイドロタルサイト、ワラストナイト、金属水酸化物、金属酸化物、ガラス粉末、シリカバルーン、シラスバルーン等を用いることができ、また繊維質充填材として、ガラス繊維、パルプ繊維、合成繊維、セラミック繊維等を用いることができ、さらに有機充填材として、微粒子ゴム、熱可塑性エラストマー等を用いることができる。好ましくは上記の無機充填材を用いることであるが、列挙した中でもカオリン、焼成カオリン、クレー、焼成クレー、タルク、焼成タルク、金属水酸化物を用いると、積層板等が吸湿した後の耐熱性も高めることができるため、より好ましい。上記の充填材は1種を単独で使用したり、あるいは2種以上を混合して使用したりすることができる。 【0044】そして、本発明に係るリン含有エポキシ樹脂組成物は、第一の発明については、上述したリン含有エポキシ樹脂、硬化剤、必要に応じて公知の添加剤その他の成分を配合し、また第二の発明については、第一の発明の成分に加え、平均エポキシ当量2000以下のビスフェノールA型エポキシ樹脂を配合し、これをミキサー、ブレンダー等で均一に混合した後、ニーダーやロールで加熱混練することによって調製することができるものである。 【0045】ここで、上記のようにして調製したリン含有エポキシ樹脂組成物を、リン含有エポキシ樹脂封止材として用いて封止成形することによって、半導体装置を作製することができる。例えば、IC等の半導体素子を搭載したリードフレームをトランスファー成形金型にセットし、トランスファー成形を行なうことによって、半導体素子をリン含有エポキシ樹脂組成物による封止材で封止した半導体装置を作製することができるものである。 【0046】また、上記のようにして調製したリン含有エポキシ樹脂組成物を、リン含有エポキシ樹脂注型材として用いて封止成形することによって、半導体装置を作製することができる。例えば、配線基板に搭載されたCOB等の半導体素子をポッティング方式によりモールドすることによって、半導体素子をリン含有エポキシ樹脂組成物による注型材で封止した半導体装置を作製することができるものである。 【0047】このようにして得られる半導体装置にあって、半導体素子は上述したリン含有エポキシ樹脂組成物の硬化物によって封止されているため、優れた難燃性を示すことができるものであり、燃焼した場合であっても有害物質を生成することがなくなるものである。しかも、封止材や注型材と半導体素子との間の接着強度は、トリアジン変性ノボラック樹脂や平均エポキシ当量2000以下のビスフェノールA型エポキシ樹脂によって高められているものである。 【0048】一方、上記のようにして調製したリン含有エポキシ樹脂組成物と、有機溶媒とを混合して粘度を調整することにより、リン含有エポキシ樹脂ワニスを調製することができる。このとき用いられる有機溶媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等のアミド類、エチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メタノール、エタノール等のアルコール類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類等を挙げることができる。そして、これらの有機溶媒は1種を単独で使用したり、あるいは2種以上を混合して使用したりすることができる。なお、リン含有エポキシ樹脂ワニス全量に対して、リン含有エポキシ樹脂組成物の含有量は30〜80質量%であることが好ましい。 【0049】そして、上記のようにして調製したリン含有エポキシ樹脂ワニスを、含浸用リン含有エポキシ樹脂ワニスとして用いて、プリプレグを作製することができ、また塗工用リン含有エポキシ樹脂ワニスとして用いて、樹脂付き金属箔、接着シート、積層板、多層板等を作製することができるものである。以下では、これらのものを作製する方法について説明する。 【0050】プリプレグを作製するにあたっては、上記の含浸用リン含有エポキシ樹脂ワニスをシート状基材に含浸させた後、100〜200℃で1〜40分間加熱乾燥し、樹脂成分を半硬化(Bステージ化)させることによって行うことができる。このときプリプレグ中の樹脂量は、プリプレグ全量に対して30〜80質量%であることが好ましい。なお、上記のシート状基材としては、特に限定されるものではないが、例えば、ガラス等の無機質繊維の織布又は不織布や、ポリエステル、ポリアミン、ポリアクリル、ポリイミド、ケブラー等の有機質繊維の織布又は不織布を用いることができる。 【0051】また、樹脂付き金属箔を作製するにあたっては、上記の塗工用リン含有エポキシ樹脂ワニスを金属箔の一方の面にロールコーター等を用いて塗布した後、100〜200℃で1〜40分間加熱乾燥し、樹脂成分を半硬化(Bステージ化)させることによって行うことができる。このとき樹脂付き金属箔の樹脂部分の厚みは、5〜80μmであることが好ましい。なお、金属箔としては、特に限定されるものではないが、例えば、銅、アルミニウム、真鍮、ニッケル等の金属を単独で用いたり、合金等の複合材料を用いたりすることができる。このような金属箔の厚みは、0.012〜0.070mmであることが好ましい。 【0052】また、接着シートを作製するにあたっては、一般にキャスティング法と呼ばれる方法によって行うことができる。すなわち、上記の塗工用リン含有エポキシ樹脂ワニスをキャリアフィルムの一方の面に5〜100μmの厚みとなるように塗布した後、100〜200℃で1〜40分加熱乾燥し、樹脂成分を半硬化(Bステージ化)させてシート状に成形することによって行うものである。このとき接着シートの厚みは、5〜80μmであることが好ましい。また上記の方法において、予めキャリアフィルムの表面を離型材で処理しておくと、成形された接着シートをキャリアフィルムから容易に剥離することができて作業性が向上するものである。なお、キャリアフィルムとしては、塗工用リン含有エポキシ樹脂ワニスに溶解しないものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム等を用いることができる。 【0053】ここで、上述したように含浸用リン含有エポキシ樹脂ワニスや塗工用リン含有エポキシ樹脂ワニスに充填材が含有されていると、上記のプリプレグ、樹脂付金属箔、接着シートの保存安定性を高めることができるものである。 【0054】また、積層板を作製するにあたっては、以下のようにして行うことができる。すなわち、上記のプリプレグ、樹脂付き金属箔、接着シートのうちの少なくとも一種のものを所要枚数重ね、これを加熱加圧して積層成形することによって、積層板を作製することができる。この際に、片側又は両側に金属箔を重ねて積層成形することによって、プリント配線板に加工するための金属箔張り積層板を作製することができる。この金属箔としては、特に限定されるものではないが、例えば、樹脂付き金属箔を作製するにあたって使用したものと同様のものを用いることができる。なお、樹脂付き金属箔を用いて積層板を作製する場合は、樹脂付き金属箔の金属箔が外側となるように配置して積層するものである。また加熱加圧の条件は、リン含有エポキシ樹脂組成物を硬化させることができれば、特に限定されるものではないが、圧力があまりに低いと、得られる積層板の内部に気泡が残留し、電気的特性が低下するおそれがあるため、例えば、温度を160〜220℃、圧力を49.0〜490.3N/cm2(5〜50kgf/cm2)、時間を40〜240分間に設定することが好ましい。 【0055】また、多層板を作製するにあたっては、上記の積層板を用いることによって行うことができる。すなわち、予め積層板の片側又は両側にアディティブ法やサブトラクティブ法等によって内層用の回路を形成すると共に、酸溶液等を用いてこの回路の表面に黒化処理を施すことによって、内層材を作製しておく。そして、この内層材の片側又は両側に、上記のプリプレグ、樹脂付き金属箔、接着シートのうちの少なくとも一種のものを所要枚数重ねて絶縁層を形成すると共に、この外側に金属箔等を配置して導体層を形成することによって、多層プリント配線板に加工するための多層板を作製することができる。なお、樹脂付き金属箔を用いて多層板を作製する場合は、樹脂付き金属箔の金属箔が外側となるように配置して積層するものである。 【0056】ここで、プリプレグを用いて上記の絶縁層を形成するにあたっては、内層材の片側又は両側に、所要枚数のプリプレグを重ねると共にその外側に金属箔を配置し、これを加熱加圧して積層成形することによって行うことができる。すなわち、プリプレグの硬化物が絶縁層となり、その外側に配置された金属箔が導体層となるものである。なお、金属箔としては、上述したものと同様のものを用いることができ、また加熱加圧の条件としては、積層板を作製する場合と同様の条件にすることができる。 【0057】また、樹脂付き金属箔を用いて絶縁層を形成するにあたっては、内層材の片側又は両側に、金属箔を外側に向けて樹脂付き金属箔を重ね、これを加熱加圧して積層成形することによって行うことができる。すなわち、樹脂付き金属箔の樹脂部分の硬化物が絶縁層となり、その外側の金属箔が導体層となるものである。なお、加熱加圧の条件としては、積層板を作製する場合と同様の条件にすることができる。 【0058】また、接着シートを用いて絶縁層を形成するにあたっては、複数枚の内層材と接着シートとを交互に重ね合わせたり、あるいは内層材の片側又は両側に接着シートを重ねると共にその外側に金属箔を配置したりして、これを加熱加圧して積層成形することによって行うことができる。すなわち、接着シートの硬化物が絶縁層となり、外側に配置された金属箔が導体層となるものである。なお、金属箔としては、上述したものと同様のものを用いることができ、また加熱加圧の条件としては、積層板を作製する場合と同様の条件にすることができる。 【0059】また、絶縁層を形成するにあたっては、上述した塗工用リン含有エポキシ樹脂ワニスを用いることもできる。すなわち、上記の積層板や多層板の片側又は両側に塗工用リン含有エポキシ樹脂ワニスを塗布した後、この面に金属箔等を配置して、これを加熱加圧して積層成形することによって行うことができる。この場合は、塗工用リン含有エポキシ樹脂ワニスの硬化物が絶縁層となり、外側に配置された金属箔が導体層となるものである。そして、この金属箔に公知の方法で回路を形成した後、上記と同様に絶縁層と導体層を一層ずつ形成していくことによって、より多数の層を有する多層板を作製することができるものである。なお、上記の塗工用リン含有エポキシ樹脂ワニスを用いるにあたっては、必要に応じて、有機溶媒による希釈濃度、有機溶媒の種類、添加剤等を適宜変更することができ、例えば、有機溶媒として、より低沸点のものを使用することもできる。 【0060】そして、上記のようにして作製した積層板や多層板の片側又は両側に、アディティブ法やサブトラクティブ法等によって回路を形成したり、またレーザ加工やドリル加工等によって穴あけを行い、この穴にめっきを施してバイアホールやスルーホールを形成して各層間の導通を取ったりすることによって、プリント配線板や多層プリント配線板を作製することができるものである。また、上述したように一層ずつ絶縁層と導体層とを形成していくことによって、より多数の層を有する多層プリント配線板を形成することもできるものである。 【0061】このようにして得られる積層板や多層板にあって、絶縁層はハロゲンを含有せずに、上述したリン含有エポキシ樹脂組成物の硬化物によって形成されているため、優れた難燃性を示すことができるものであり、燃焼した場合であっても有害物質を生成することがなくなるものである。しかも、絶縁層を形成するプリプレグ間や、絶縁層と導体層との間の各層間の接着強度は、リン含有エポキシ樹脂組成物へのトリアジン変性ノボラック樹脂や平均エポキシ当量2000以下のビスフェノールA型エポキシ樹脂の配合によって高められているものである。なお、樹脂付き金属箔や接着シートを用いて絶縁層が形成されている場合は、ガラス等の無機質繊維のシート状基材が層内に存在しないため、プリプレグのように各層間の接着強度を直接測定することはできないが、プリプレグを用いた場合の結果から各層間の接着強度が向上していることは容易に推測されるものである。 【0062】 【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。 【0063】リン含有エポキシ樹脂は、以下の合成例(1)〜(6)に示すようにして合成した。ここで、「HCA」とあるのは9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキサイド(三光化学株式会社製;品番「HCA」)、「DPPO」とあるのはジフェニルフォスフィンオキシド、「1,4−NQ」とあるのは1,4−ナフトキノン、「1,4−BQ」とあるのは1,4−ベンゾキノン、「YDPN−638」とあるのはフェノールノボラック型エポキシ樹脂(東都化成株式会社製;品番「YDPN−638」)、「YD−128」とあるのはビスフェノールA型ノボラック型エポキシ樹脂(東都化成株式会社製;品番「YD−128」)、「YDCN−701」とあるのはクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(東都化成株式会社製;品番「YDCN−701」)である。 【0064】合成例(1) 攪拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入装置を備えた四つ口のガラスセパラブルフラスコに「HCA」を160.5gとトルエンを400g仕込み、「HCA」を加熱溶解した。その後、「1,4−NQ」を109.0g反応熱に注意しながら、小分けにして少しずつ投入した。反応終了後、「YDPN−638」を730g仕込み、窒素ガスを導入しながら攪拌を行い、120℃まで加熱して溶解した。さらにトリフェニルホスフィンを0.25g添加して、150℃で4時間反応させた。得られたリン含有エポキシ樹脂のエポキシ当量は385g/eq、リン含有量は2.3質量%であった。 【0065】合成例(2) 「HCA」を209.5g、トルエンを400g、「1,4−NQ」を142.5g、「YDPN−638」を650g、トリフェニルホスフィンを0.25gとした以外は、合成例(1)と同じ操作を行った。得られたリン含有エポキシ樹脂のエポキシ当量は580g/eq、リン含有量は3.0質量%であった。 【0066】合成例(3) 「HCA」を153.5g、トルエンを400g、「1,4−NQ」を104.5g、「YDCN−701」を750g、トリフェニルホスフィンを0.25gとした以外は、合成例(1)と同じ操作を行った。得られたリン含有エポキシ樹脂のエポキシ当量は455g/eq、リン含有量は2.2質量%であった。 【0067】合成例(4) 「DPPO」を124.0g、トルエンを400g、「1,4−NQ」を90.0g、「YDCN−701」を790g、トリフェニルホスフィンを0.25gとした以外は、合成例(1)と同じ操作を行った。得られたリン含有エポキシ樹脂のエポキシ当量は390g/eq、リン含有量は1.9質量%であった。 【0068】合成例(5) 「HCA」を160.5g、トルエンを400g、「1,4−BQ」を75.0g、「YDPN−638」を770g、トリフェニルホスフィンを0.25gとした以外は、合成例(1)と同じ操作を行った。得られたリン含有エポキシ樹脂のエポキシ当量は360g/eq、リン含有量は2.3質量%であった。 【0069】合成例(6) 「HCA」を125.5g、トルエンを400g、「1,4−NQ」を85.5g、「YD−128」を790g、トリフェニルホスフィンを0.25gとした以外は、合成例(1)と同じ操作を行った。得られたリン含有エポキシ樹脂のエポキシ当量は330g/eq、リン含有量は1.8質量%であった。 【0070】(実施例1〜21及び比較例1〜22) (プリプレグの作製)実施例1〜21及び比較例1〜22について、表1〜6に示す組成を有するリン含有エポキシ樹脂ワニスを調製し、これをガラスクロス(日東紡績株式会社製;7628タイプ;品番「H258」)に含浸させた後、155℃で5分間加熱することにより乾燥し、プリプレグを作製した。 【0071】ここで、表1及び表4が、それぞれ第二の発明に対応する実施例及び比較例であり(実施例1,3,4を除く)、表2,3及び表5,6が、それぞれ第一の発明に対応する実施例及び比較例である。 【0072】また、表1〜6中に「Dicy」とあるのはジシアンジアミド(日本カーバイド株式会社製)、「EPICLON2055」とあるのはビスフェノールA型ノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製;品番「EPICLON2055」)、「LA−7054」及び「LA−7055」とあるのはトリアジン変性ノボラック樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製)、「PSM4357」とあるのはフェノールノボラック(群栄化学社製;品番「PSM4357」)、「2E4Mz」とあるのは2−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化成工業株式会社製;品番「2E4Mz」)、「タルク」とあるのは富士タルク工業株式会社製;品番「PKP−53」、「焼成タルク」とあるのは富士タルク工業株式会社製;品番「LMS−100」を800℃で焼成したもの、「水酸化アルミ」とあるのは住友化学工業株式会社製;品番「CL−310」、「カオリン」とあるのは富士タルク工業株式会社製;品番「ASP−07」、「焼成カオリン」とあるのは富士タルク工業株式会社製;品番「SATINTONE No5」、「アルミナ」とあるのは住友化学工業株式会社製;品番「AL−41」、「ガラス粉末」とあるのは日本フリット株式会社製;品番「GF−2−10」、「ワラストナイト」とあるのはキンセイマテック株式会社製;品番「FPW800」である。 【0073】(積層板の作製)上記のようにして作製したプリプレグを3枚積層し、その両側に厚み18μmの銅箔を配置し、これを170℃、392N/cm2(40kgf/cm2)の条件で120分間、加熱加圧成形することにより、内層材用の積層板を作製した。そして、この積層板の両面にサブトラクティブ法によって回路を形成した後、スルーホールを形成し、さらに回路表面を酸性溶液によって黒化処理を施し、内層材用のプリント配線板を作製した。 【0074】(多層板の作製)上記の内層材用のプリント配線板の両側に、それぞれプリプレグを1枚重ね、さらにその外側に厚み18μmの銅箔を配置し、これを170℃、392N/cm2(40kgf/cm2)の条件で120分間、加熱加圧成形することにより、難燃性評価用の多層板を作製した。 【0075】(層間接着強度評価)JIS C 6481 5.7に準じ、上記の積層板においてプリプレグ1枚と残りの2枚との間で剥離を行い、その強度を測定した。 【0076】(半硬化物のライフ評価)各実施例及び比較例のリン含有エポキシ樹脂ワニスの半硬化物について、降下式フローテスターを用い、130℃における最低溶融粘度を測定した。このとき初期の溶融粘度と40±3℃の恒温槽に3日間保管した後の溶融粘度とを測定し、各測定結果から下記式によって溶融粘度の変化度を算出し、ライフ評価を行った。 【0077】溶融粘度の変化度(倍)=(3日間経過後の溶融粘度)/(初期の溶融粘度) (吸湿耐熱性評価)各実施例及び比較例の多層板を5cm角に切断し、121℃、2気圧の飽和水蒸気圧下で2時間吸湿を行った後、これを260±5℃の半田槽に30秒間投入し、フクレ発生の有無を観察した。なお、このときのフクレの状況を次のように決めた。 【0078】レベル1:ガラスクロス面へのミーズリングが認められない(合格レベル)。 【0079】レベル2:ガラスクロス面へのミーズリングが認められるが、フクレは発生していない(合格レベル)。 【0080】レベル3:フクレが発生している(不合格レベル)。 【0081】(難燃性評価)多層板に全面エッチングを行い、これについてUL94−1993 20mm垂直試験方法に従って難燃性の評価を行った。 【0082】 【表1】
【0083】 【表2】
【0084】 【表3】
【0085】 【表4】
【0086】 【表5】
【0087】 【表6】
【0088】表1〜6にみられるように、各実施例には硬化剤としてトリアジン変性ノボラック樹脂が用いられているので、層間接着強度が向上していることが確認される。しかも、平均エポキシ当量2000以下のビスフェノールA型エポキシ樹脂を併用すると、層間接着強度が一層向上することが確認される。 【0089】また、充填剤を用いることによって溶融粘度の変化度が小さくなり、半硬化物の保存安定性が高まることが推定されるが、充填材を過剰に用いると層間接着強度が低下することが確認される。一方、充填剤を用いていない実施例1,3,6〜8は、充填材を用いたものに比べて溶融粘度の変化度が大きく半硬化物の保存安定性は低めであると推定される。 【0090】また、実施例9〜12,16〜21のように、特定の充填材を用いることによって、吸湿耐熱性が向上することが確認される。 【0091】 【発明の効果】上記のように本発明の請求項1に係るリン含有エポキシ樹脂組成物は、上記の式(1)と式(2)で表される有機リン化合物の少なくとも一方と、ノボラック型エポキシ樹脂を20質量%以上含有するエポキシ樹脂とを反応させて得られるリン含有エポキシ樹脂、硬化剤を必須成分とし、リン含有量が組成物全量中の0.5〜4.0質量%であると共に、上記硬化剤の一部又は全部がトリアジン変性ノボラック樹脂であるので、リン含有エポキシ樹脂を配合することによって、有害物質生成の原因となるハロゲンを含有することなく難燃性を確保することができると共に、硬化剤としてトリアジン変性ノボラック樹脂を配合することによって、積層板等において各層間の接着強度を高めることができるものである。 【0092】また請求項2に係るリン含有エポキシ樹脂組成物は、上記の式(1)と式(2)で表される有機リン化合物の少なくとも一方と、ノボラック型エポキシ樹脂を20質量%以上含有するエポキシ樹脂とを反応させて得られるリン含有エポキシ樹脂、平均エポキシ当量2000以下のビスフェノールA型エポキシ樹脂、硬化剤を必須成分とし、リン含有量が組成物全量中の0.5〜4.0質量%であり、上記ビスフェノールA型エポキシ樹脂の含有量が全エポキシ樹脂中の2〜20質量%であると共に、上記硬化剤の一部又は全部がトリアジン変性ノボラック樹脂であるので、リン含有エポキシ樹脂を配合することによって、有害物質生成の原因となるハロゲンを含有することなく難燃性を確保することができると共に、硬化剤としてトリアジン変性ノボラック樹脂を配合することによって、積層板等において各層間の接着強度を高めることができるものである。しかも、平均エポキシ当量2000以下のビスフェノールA型エポキシ樹脂を配合することによって、各層間の接着強度を一層高めることができると共に、耐熱性をも高めることができるものである。 【0093】また請求項3の発明は、請求項1又は2において、充填材を含有しているので、半硬化物の保存安定性を高めることができるものである。 【0094】また請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、有機リン化合物として、上記の式(5)で表されるものを用いているので、リン含有エポキシ樹脂を配合することによって、有害物質生成の原因となるハロゲンを含有することなく難燃性を確保することができると共に、硬化剤としてトリアジン変性ノボラック樹脂を配合することによって、積層板等において各層間の接着強度を高めることができるものである。 【0095】また請求項5の発明は、請求項3又は4において、充填材を固形分100質量部に対して30〜120質量部含有しているので、半硬化物の保存安定性を確実に高めることができるものである。 【0096】また請求項6の発明は、請求項3乃至5のいずれかにおいて、充填材として、炭酸カルシウム、シリカ、カオリン、焼成カオリン、クレー、焼成クレー、タルク、焼成タルク、ハイドロタルサイト、ワラストナイト、金属水酸化物、金属酸化物、ガラス粉末、シリカバルーン、シラスバルーンから選ばれるものを含有しているので、半硬化物の保存安定性を一層高めることができるものである。 【0097】また請求項7の発明は、請求項3乃至5のいずれかにおいて、充填材として、カオリン、焼成カオリン、クレー、焼成クレー、タルク、焼成タルク、金属水酸化物から選ばれるものを含有しているので、半硬化物の保存安定性を一層高めることができると共に、積層板等の吸湿後の耐熱性を高めることができるものである。 【0098】また請求項8の発明は、請求項1乃至7のいずれかにおいて、ノボラック型エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂から選ばれるものを含有しているので、難燃性や耐熱性を確実に高めることができるものである。 【0099】また請求項9に係るプリプレグは、請求項1乃至8のいずれかに記載のリン含有エポキシ樹脂組成物がシート状基材に含浸されると共に半硬化しているので、有害物質生成の原因となるハロゲンを含有することなく難燃性を確保することができると共に、積層板等を作製した際に各層間の接着強度を高めることができるものである。 【0100】また請求項10に係る樹脂付き金属箔は、請求項1乃至8のいずれかに記載のリン含有エポキシ樹脂組成物が金属箔上に塗布されると共に半硬化しているので、有害物質生成の原因となるハロゲンを含有することなく難燃性を確保することができると共に、積層板等を作製した際に各層間の接着強度を高めることができるものである。 【0101】また請求項11に係る接着シートは、請求項1乃至8のいずれかに記載のリン含有エポキシ樹脂組成物がシート状に形成されると共に半硬化しているので、有害物質生成の原因となるハロゲンを含有することなく難燃性を確保することができると共に、積層板等を作製した際に各層間の接着強度を高めることができるものである。 【0102】また請求項12に係る積層板は、請求項9に記載のプリプレグ、請求項10に記載の樹脂付き金属箔、請求項11に記載の接着シートのうちの少なくとも一種のものが積層成形されているので、有害物質生成の原因となるハロゲンを含有することなく難燃性を確保することができると共に、各層間の接着強度が高められているものである。 【0103】また請求項13に係る多層板は、請求項9に記載のプリプレグ、請求項10に記載の樹脂付き金属箔、請求項11に記載の接着シートのうちの少なくとも一種のものが各層内に少なくとも一層含まれているので、有害物質生成の原因となるハロゲンを含有することなく難燃性を確保することができると共に、各層間の接着強度が高められているものである。 【0104】また請求項14に係る塗工用リン含有エポキシ樹脂ワニスは、請求項1乃至8のいずれかに記載のリン含有エポキシ樹脂組成物を用いているので、有害物質生成の原因となるハロゲンを含有することなく難燃性を確保することができると共に、各層間の接着強度を高めることができるものである。 【0105】また請求項15に係る多層板は、請求項14に記載の塗工用リン含有エポキシ樹脂ワニスが塗工されているので、有害物質生成の原因となるハロゲンを含有することなく難燃性を確保することができると共に、各層間の接着強度が高められているものである。 【0106】また請求項16に係るリン含有エポキシ樹脂封止材は、請求項1乃至8のいずれかに記載のリン含有エポキシ樹脂組成物を用いているので、有害物質生成の原因となるハロゲンを含有することなく難燃性を確保することができると共に、半導体装置において半導体素子と封止材との接着強度を高めることができるものである。 【0107】また請求項17に係るリン含有エポキシ樹脂注型材は、請求項1乃至8のいずれかに記載のリン含有エポキシ樹脂組成物を用いているので、有害物質生成の原因となるハロゲンを含有することなく難燃性を確保することができると共に、半導体装置において半導体素子と注型材との接着強度を高めることができるものである。 【0108】また請求項18に係る含浸用リン含有エポキシ樹脂ワニスは、請求項1乃至8のいずれかに記載のリン含有エポキシ樹脂組成物を用いているので、有害物質生成の原因となるハロゲンを含有することなく難燃性を確保することができると共に、各層間の接着強度が高められているものである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005832 【氏名又は名称】松下電工株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年1月26日(2001.1.26) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100087767 【弁理士】 【氏名又は名称】西川 惠清 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−220435(P2002−220435A) |
| 【公開日】 |
平成14年8月9日(2002.8.9) |
| 【出願番号】 |
特願2001−18512(P2001−18512) |
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