| 【発明の名称】 |
エポキシ樹脂組成物、絶縁基板 |
| 【発明者】 |
【氏名】余田 浩好
【氏名】矢口 充雄
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| 【要約】 |
【課題】少量の無機フィラーの配合で熱膨張係数を大きく低減することができる絶縁基板を得るようにする。
【解決手段】エポキシ反応基を有する熱硬化性樹脂と、第二アミンとこの第二アミンに水素が結合したイオンの少なくとも一方の第二アミン類、及び第三アミンとこの第三アミンに水素が結合したイオンの少なくとも一方の第三アミン類で処理された層状粘土鉱物から得られる薄片状無機物と、硬化剤を混合して積層板用エポキシ樹脂組成物を得る。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エポキシ反応基を有する熱硬化性樹脂と、第二アミンとこの第二アミンに水素が結合したイオンの少なくとも一方の第二アミン類、及び第三アミンとこの第三アミンに水素が結合したイオンの少なくとも一方の第三アミン類で処理された層状粘土鉱物から得られる薄片状無機物と、硬化剤を混合して成ることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。 【請求項2】 層状粘土鉱物から得られる薄片状無機物は、アスペクト比が100〜5000であることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。 【請求項3】 層状粘土鉱物から得られる薄片状無機物は、厚みが5〜50Å、長さが5μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物。 【請求項4】 第二アミン類として、第二アミン(R2R1NH)とこの第二アミンに水素が結合したイオン(R2R1NH2+)の少なくとも一方、第三アミン類として第三アミン(R3R2R1N)とこの第三アミンに水素が結合したイオン(R3R2R1NH+)の少なくとも一方を用いる[但し、R3、R2、R1はそれぞれ、炭素数1〜30のアルキル基、もしくは−(R4−O)m−H(R4は炭素数1〜6のアルキレン基、mは1以上の整数)、もしくは−R5−OH、−R6−COOH(R5、R6はそれぞれ炭素数1〜30のアルキレン基)]ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。 【請求項5】 層状粘土鉱物から得られる薄片状無機物の配合量は熱硬化性樹脂に対して0.1〜30質量%であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。 【請求項6】 エポキシ反応基を有する熱硬化性樹脂の少なくとも一部にビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。 【請求項7】 第二アミンに水素が結合したイオンとして、アルキルモノエタノールアミン(C12H25NHCH2CH2OH)又は多官能アミン(RNHCH2CH2HNCH2CH2CH2NHCOOH)に水素が結合したイオンを用い、第三アミンに水素が結合したイオンとして、アルキルビスヒドロキシエチルアミン(RR’R”N)に水素が結合したイオンを用いる[但し、R、R’は−(CH2CH2O)5H、R”は−C12H25又は−C18H37)]ことを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。 【請求項8】 層状粘土鉱物を、第二アミン類及び第三アミン類と共に、アミノドデカン酸(H2NC11H22COOH)又はこれに水素が結合したイオン、ドデシルアミン(C12H25NH2)又はこれに水素が結合したイオン、アミノカプロン酸(H2NC5H10COOH)又はこれに水素が結合したイオン、ヘキシルアミン(C6H13NH2)又はこれに水素が結合したイオンから少なくとも一つ選ばれる、第一アミンと第一アミンに水素が結合したイオンの少なくとも一方の第一アミン類で処理して用いることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。 【請求項9】 請求項1乃至8のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を、加熱加圧して硬化させて成ることを特徴とする絶縁基板。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、エポキシ樹脂組成物、このエポキシ樹脂組成物を用いて作製された絶縁基板に関するものであり、例えばプリント配線板等の電子材料や電気絶縁用途用の封止材などに用いられるエポキシ樹脂組成物に関するものである。 【0002】 【従来の技術】プリント配線板などに加工して使用される積層板は、例えばガラス布などの基材にエポキシ樹脂組成物のワニスを含浸して乾燥することによってプリプレグを作製し、このプリプレグを所要枚数重ねると共にさらに銅箔等の金属箔をその片側あるいは両側に重ね、これを加熱加圧成形することによって、絶縁基板に金属箔を積層したものとして製造されている。 【0003】このようなプリント配線板などに加工して使用される絶縁基板にあって、プリント配線板の高密度実装、高集積化等の傾向が強まるにつれ、耐熱性、実装部品との熱膨張係数の整合をとるための基板の熱膨張係数の低減、加工性など、各種の特性の改善が求められてきている。 【0004】そこで従来から、エポキシ樹脂を多官能タイプにして、ジシアンジアミドを硬化剤として使用したり、ジアミノジフェニルスルホンやジアミノジフェニルメタン、アルキル化あるいはハロゲン化ジアミノジフェニルメタンなどを硬化剤として使用したり、またエポキシ樹脂をイミド樹脂で変性したりすることによって、エポキシ樹脂組成物を改良することが提案されている。また最近では、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールA型ノボラック樹脂等のフェノール系樹脂を硬化剤として使用することも提案されている(特開平7-224147号公報参照)。 【0005】また樹脂変性等により樹脂そのものを改良する方法とは別に、エポキシ樹脂の機械的特性や耐熱性を改善するために無機フィラーを添加、混合する方法が種々提案されており(特開平6-237055号公報、特開平11-343398号公報等参照)、このように無機フィラーを添加して複合化することによって樹脂の熱膨張率を制御し、基板の熱膨張係数を低減させることも検討されてきた。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかし、熱膨張を制御するために樹脂に混合される無機フィラーは、ミクロンオーダーの粒子であり、熱膨張係数を低減させる効果は体積分率的効果としてしか得られない。従って、熱膨張係数を低減させる効果を高く得ようとすると無機フィラーの配合量をどうしても多量にする必要があり、無機フィラーの配合量を多くするにつれて、樹脂の持つ柔軟性、電気的特性、靭性などの特性を犠牲にしなければならないという問題があった。 【0007】またこのように従来から用いられてきた無機フィラーは殆どがミクロンオーダーであり、樹脂の分子がナノオーダーであるのと比べると、その大きさが非常に違い過ぎ、樹脂と無機フィラーの複合体は微視的にみると不均一な複合体であり、従って均一性において問題を有するものであった。 【0008】本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、少量の無機フィラーの配合で絶縁基板の熱膨張係数を大きく低減することができるようにすることを目的とするものである。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係るエポキシ樹脂組成物は、エポキシ反応基を有する熱硬化性樹脂と、第二アミンとこの第二アミンに水素が結合したイオンの少なくとも一方の第二アミン類、及び第三アミンとこの第三アミンに水素が結合したイオンの少なくとも一方の第三アミン類で処理された層状粘土鉱物から得られる薄片状無機物と、硬化剤を混合して成ることを特徴とするものである。 【0010】また請求項2の発明は、請求項1において、層状粘土鉱物から得られる薄片状無機物は、アスペクト比が100〜5000であることを特徴とするものである。 【0011】また請求項3の発明は、請求項1又は2において、層状粘土鉱物から得られる薄片状無機物は、厚みが5〜50Å、長さが5μm以下であることを特徴とするものである。 【0012】また請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、第二アミン類として、第二アミン(R2R1NH)とこの第二アミンに水素が結合したイオン(R2R1NH2+)の少なくとも一方、第三アミン類として第三アミン(R3R2R1N)とこの第三アミンに水素が結合したイオン(R3R2R1NH+)の少なくとも一方を用いる[但し、R3、R2、R1はそれぞれ、炭素数1〜30のアルキル基、もしくは−(R4−O)m−H(R4は炭素数1〜6のアルキレン基、mは1以上の整数)、もしくは−R5−OH、−R6−COOH(R5、R6はそれぞれ炭素数1〜30のアルキレン基)]ことを特徴とするものである。 【0013】また請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかにおいて、層状粘土鉱物から得られる薄片状無機物の配合量は熱硬化性樹脂に対して0.1〜30質量%であることを特徴とするものである。 【0014】また請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれかにおいて、エポキシ反応基を有する熱硬化性樹脂の少なくとも一部にビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いることを特徴とするものである。 【0015】また請求項7の発明は、請求項4乃至6のいずれかにおいて、第二アミンに水素が結合したイオンとして、アルキルモノエタノールアミン(C12H25NHCH2CH2OH)又は多官能アミン(RNHCH2CH2HNCH2CH2CH2NHCOOH)に水素が結合したイオンを用い、第三アミンに水素が結合したイオンとして、アルキルビスヒドロキシエチルアミン(RR’R”N)に水素が結合したイオンを用いる[但し、R、R’は−(CH2CH2O)5H、R”は−C12H25又は−C18H37)]ことを特徴とするものである。 【0016】また請求項8の発明は、請求項1乃至6のいずれかにおいて、層状粘土鉱物を、第二アミン類及び第三アミン類と共に、アミノドデカン酸(H2NC11H22COOH)又はこれに水素が結合したイオン、ドデシルアミン(C12H25NH2)又はこれに水素が結合したイオン、アミノカプロン酸(H2NC5H10COOH)又はこれに水素が結合したイオン、ヘキシルアミン(C6H13NH2)又はこれに水素が結合したイオンから少なくとも一つ選ばれる、第一アミンと第一アミンに水素が結合したイオンの少なくとも一方の第一アミン類で処理して用いることを特徴とするものである。 【0017】本発明の請求項9に係る積層板は、請求項1乃至8のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を、加熱加圧して硬化させて成ることを特徴とするものである。 【0018】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明する。 【0019】本発明においてエポキシ反応基を有する熱硬化性樹脂としては、少なくとも一分子中に2個以上のエポキシ基を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂、一分子中に2個以上のエポキシ基を有するフェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、3官能以上の多官能エポキシ樹脂、及びこれらの臭素化物、さらにこれらの混合物を例示することができるが、熱硬化可能であれば種類は特に問わず、積層板などの絶縁基板に用いられる通常のエポキシ樹脂を使用することができる。 【0020】また本発明においてエポキシ樹脂を硬化させるために用いる硬化剤としては、ジシアンジアミド、触媒タイプ、芳香族ポリアミンタイプが好ましく、BF3−モノエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、ジシアンジアミド、フェニルイミダゾール、メタフェニレンジアミド、ジフェニルジアミノスルフォン、ジフェニルジアミノメタンなどを例示することができる。 【0021】また硬化剤としては1分子中に2個以上のフェノール性OH基を有する化合物を用いることもできる。この化合物としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ポリビニルフェノール、β−ナフトール等の低分子化合物や、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールA型ノボラック樹脂、アルキルフェノールノボラック樹脂、フェノールとヒドロキシベンズアルデヒドから合成されるトリフェニルメタン型の3官能ノボラック樹脂や、これらの臭素化物などを例示することができ、これらのフェノール性化合物や樹脂は、1種単独で用いる他、複数種を併用することもできる。 【0022】また、硬化剤として、1分子中に2個以上のアミノ基を有する芳香族有機アミンを併用することもできる。この芳香族有機アミンとしては、ジアミノジフェニルメタン(DDM)、あるいはその誘導体等を用いることができる。 【0023】硬化剤の配合量は、ジシアンジアミドの場合は、エポキシ基1当量あたり0.1〜0.6当量程度の範囲になるように設定するのが、耐湿性や金属箔との接着性の点から好ましい。またフェノール性OH基を有する化合物の場合は、エポキシ基1当量あたりOH基が0.1〜0.6当量程度の範囲になるように設定するのが、耐湿性や、プリプレグライフとガラス転移温度(Tg)の両立の点から好ましい。さらに芳香族有機アミンの場合は、NH当量がエポキシ基1当量あたり0.1〜0.6当量程度の範囲になるように設定するのが、Tgや吸湿後耐熱性の点から好ましい。また、エポキシ樹脂に対するこれらの硬化剤の割合は、当量比で1:0.8〜1:1.2の範囲とすることが、Tgと吸湿性の点から好ましい。これら三種の硬化剤を併用すると、ジシアンジアミドの持つ接着性の向上、フェノール性化合物の持つ耐熱性やプリプレグの保存性の向上、芳香族有機アミンの吸湿耐熱性やプリプレグ保存性という長所が活かされるので、相互の短所を補って長所をより大きな効果として発現させることが可能になるものである。そしてこれら3種類の硬化剤は、予めメチルセロソルブなどのセロソルブ類、ジメチルホルムアミド(DMF)、メチルエチルケトン(MEK)などの溶剤に溶解させ、30〜150℃で10〜60分間加熱して予備反応を行なわせるのが、その潜在能力の向上の点で好ましい。 【0024】本発明において硬化促進剤は必要に応じて用いられるものであり、エポキシ樹脂用として従来から知られている2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ)などのイミダゾール化合物、第三級有機アミンなどから適宜選択して配合することができる。 【0025】そして、本発明では無機フィラーとして層状粘土鉱物を混合して用いる。この層状粘土鉱物としては、合成雲母、スメクタイト、モンモリロナイト、ベントナイト、ヘクトライト、サポナイト、バイデライトなどを用いることができる。これらの中でも層状粘土鉱物は、陽イオン交換容量が40〜140meq/100gであるものが好ましい。層状粘土鉱物の配合量は、エポキシ樹脂組成物の樹脂固形分に対して1〜30質量%の範囲が好ましい。層状粘土鉱物の配合量が1質量%未満であると、無機フィラーの配合によって絶縁基板の熱膨張係数を低減することが困難になる。また層状粘土鉱物の配合量が30質量%を超えると、エポキシ樹脂の持つ柔軟性、電気的特性、靭性などの特性が無機フィラーによって損なわれるおそれがある。 【0026】しかして、上記のエポキシ樹脂、層状粘土鉱物を混合し、さらに硬化剤、及び必要に応じて硬化促進剤を混合することによってエポキシ樹脂組成物を得ることができる。これらの成分は通常、溶剤により希釈・分散してワニスとして使用されるものであり、このような溶剤としては、メチルエチルケトン、アセトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メタノール、エタノール、トルエン、キシレン、DMF、ジメチルアセトアミド(DMAc)等を用いることができ、これらは単独で用いる他、複数種を併用することもできる。希釈率は、樹脂分の固形分濃度が50〜70質量%の範囲になるように設定するのが好ましい。 【0027】そしてこのようにして得られるエポキシ樹脂組成物のワニスを基材に含浸させ、これを乾燥機に通して120〜180℃の温度で3〜10分間加熱・乾燥することによって、エポキシ樹脂がBステージに半硬化したプリプレグを得ることができる。この基材としては、ガラス織布(ガラスクロス)、ガラス不織布(ガラスペーパー)、クラフト紙、リンター紙、布などを用いることができる。これらの中でも、基材としてガラス織布やガラス不織布が特に望ましい。 【0028】次に、このようにして得られたプリプレグを1枚乃至複数枚の所要枚数を重ね、さらにその片側あるいは両側に金属箔を重ね、これを加熱加圧して積層成形し、エポキシ樹脂を硬化させることによって、絶縁基板に金属箔を張った積層板を得ることができるものである。金属箔としては銅、アルミニウム、ステンレス等の適宜のものを用いることができる。成形の際の加熱加圧条件は、150〜200℃、0.98〜4.9MPa(10〜50kg/cm2)の範囲が好ましい。また多層板を製造する場合には、内層になる銅箔などの金属箔の表面を化学的に処理する黒化処理を行なって酸化銅とするので、成形時の温度は150〜180℃の範囲にするのが好ましい。 【0029】上記のようにして得られる絶縁基板のエポキシ樹脂には層状粘土鉱物からなる無機フィラーが含有されている。ここで、樹脂と無機フィラーの複合材料の熱膨張率αは、一般にα=αf×Vf+αm×Vm(αf:無機成分の熱膨張係数、Vf:無機成分の体積分率、αm:樹脂成分の熱膨張係数、Vm:樹脂成分の体積分率)が成り立つとされている。 【0030】そしてこれによると、熱膨張係数が65ppmの樹脂成分中に仮に熱膨張係数が5ppmの無機成分が分散されていると仮定すると、樹脂成分と無機成分からなる複合材料の熱膨張係数は次の表1のようになる。 【0031】 【表1】
【0032】しかし、非常に大きなアスペクト比を有する無機成分が樹脂成分中に均一にランダムに配合された複合材料の熱膨張率αは、α=αm+Kf(4Gf+3Km)×(αf−αm)×Vf/{Kf×(4GfVf+3Km)+4GfKmVf} (Gf:無機成分の剪断弾性率、Kf:無機成分の体積弾性率、Gm:樹脂成分の剪断弾性率、Gm:樹脂成分の体積弾性率)が成り立つとされている。 【0033】そしてこれによると、樹脂成分と無機成分からなる複合材料の熱膨張係数は次の表2のようになる。 【0034】 【表2】
【0035】表1と表2の比較からわかるように、無機フィラーを樹脂に混合するにあたって高アスペクト比の無機フィラーを用いることによって、非常に大きな熱膨張係数の低減効果が期待できることが予想される。 【0036】しかし、アスペクト比、すなわちフィラーの平均長さに対する平均厚みの比が高い無機フィラーは、大きさ(長さ)が数十〜数百μm以上と非常に大きな形状を有しており、このものでは既述のように、熱膨張係数を低減させる効果を高く得ることが期待することができず、またこのような大きな形状の無機フィラーは混合の際に粉砕されて小さくなり、アスペクト比が小さくなってしまうのが通常であり、無機フィラーを複合化することによる熱膨張係数の低減の効果を得ることができなくなるおそれがある。またこのように数十〜数百μm以上の大きな無機フィラーが含まれていると、高密度実装、高集積化に対応したプリント配線板への適応に際して、この無機フィラーが異物や不純物として作用してしまうおそれもある。 【0037】そこで本発明では、無機フィラーとして混合した層状粘土鉱物の一層一層が剥離して、ナノレベルの大きさ(長さ)でアスペクト比が数百以上の超微細な無機フィラーとなって、エポキシ樹脂中に均一に分散されるようにすることによって、少ない配合量で熱膨張係数を低減させる効果を高く得ることを可能にすると共に、無機フィラーが異物や不純物として作用せず、高密度実装や高集積化に対応した低熱膨張プリント配線板を達成することができる絶縁基板を提供するようにしたものである。 【0038】このためには、エポキシ基と反応して重合させると共にエポキシ樹脂を硬化させる硬化剤として作用する有機アミン類を、層状粘土鉱物の層間に導入する処理をしておく必要がある。この処理に用いる有機アミン類として、本発明では第二アミン類と第三アミン類を併用して用いる。ここで本発明において第二アミン類とは化学式がR2R1Nと表記される第二アミンと、この第二アミンに水素が結合されたイオンであるR2R1NH2+からなるものであり、第二アミンとそのイオンの一方を用いるかあるいは両方を併用して用いることもできる。また本発明において第三アミン類とは化学式がR3R2R1Nと表記される第三アミンと、この第三アミンに水素が結合したイオンであるR3R2R1NH+からなるものであり、第三アミンとそのイオンの一方を用いるかあるいは両方を併用して用いることもできる。但し、R3、R2、R1はそれぞれ、炭素数1〜30のアルキル基、もしくは−[R4−O]m−H(R4は炭素数1〜6のアルキレン基、mは1〜8の整数)、もしくは−R5−OH、−R6−COOH(R5、R6はそれぞれ炭素数1〜30のアルキレン基)が好ましい。 【0039】そしてなかでも特に好ましいものは、第二アミンに水素が結合したイオンとして、アルキルモノエタノールアミン(C12H25NHCH2CH2OH)に塩酸を反応させて水素を結合したイオンや、多官能アミン(RNHCH2CH2HNCH2CH2CH2NHCOOH)に塩酸を反応させて水素を結合したイオンを、第三アミンに水素が結合されたイオンとして、アルキルビスヒドロキシエチルアミン(RR’R”N)に塩酸を反応させて水素を結合したイオンを挙げることができる。但し、R、R’は−(CH2CH2O)5H、R”は−C12H25又はC18H37である。 【0040】また、層状粘土鉱物の処理に用いる有機アミン類としては、上記の第一アミン類及び第二アミン類と併用して、第一アミン類を用いることもできる。第一アミン類は第一アミン及び第一アミンに水素を結合したイオンを意味するものであり、アミノドデカン酸(H2NC11H22COOH)又はこれに塩酸を反応させて水素を結合したイオン、ドデシルアミン(C12H25NH2)又はこれに塩酸を反応させて水素を結合したイオン、アミノカプロン酸(H2NC5H10COOH)又はこれに塩酸を反応させて水素を結合したイオン、ヘキシルアミン(C6H13NH2)又はこれに塩酸を反応させて水素を結合したイオンから選ばれるものを用いるのが好ましい。 【0041】層状粘土鉱物を有機アミン類で処理するにあたっては、層状粘土鉱物と上記の有機アミン類の混合物を水溶液中で溶解分散及び攪拌混合した後に、遠心分離して層状粘土鉱物を分離し、さらに不要なイオン種の除去のために再度、水溶液分散、遠心分離の作業を繰り返すことによって、層状粘土鉱物の層間に有機アミン類を導入するようにして行なうことができる。層状粘土鉱物に処理する有機アミン類の量は、層状粘土鉱物100質量部に対して20〜200質量部の範囲が好ましい。また第二アミン類と第三アミン類を併用することによって、層状粘土鉱物から得られる薄片状無機物の分散性を高く得ることができるものである。第二アミン類と第三アミン類の配合比率は特に限定されるものではない。 【0042】そしてこのように有機アミン類で処理した層状粘土鉱物をエポキシ樹脂と混合すると、有機アミンで広がった層状粘土鉱物の層間にエポキシ樹脂が侵入して重合反応が起こる。この際に層間のエポキシ樹脂だけでなく、層外から順次エポキシ樹脂を取り込みながら重合反応が起こるので、層間の反応生成物の体積が増加し、体積増加によるドライビングフォース(推進力)で層状粘土鉱物に層間剥離が発生し、高アスペクト比を有し、サブミクロン以下のナノレベルの大きさの薄片状無機物が生成されるものである。 【0043】このように層状粘土鉱物を層間剥離させて薄片状無機物を生成させる作用を効率良く得るには、有機アミン類で広がった層状粘土鉱物の層間に挿入され易いビスフェノールAタイプのエポキシ樹脂を用いるのが好ましい。ビスフェノールAタイプは立体障害性が少ない直鎖状の分子構造を有しており、層状粘土鉱物の層間に入り易い構造をしているものであり、特に分子長さが短い液状のビスフェノールAタイプエポキシ樹脂を有効に用いるとさらに好ましい。またエポキシ樹脂よりも層状粘土鉱物の層間に入り易いDMFやDMAcなどの極性溶媒を用いて、この溶媒中で層状粘土鉱物とエポキシ樹脂を攪拌すると、溶媒で層状粘土鉱物を膨潤させて層間を広げることができ、層間にエポキシ樹脂が入り易いようにすることができるものである。さらに、層状粘土鉱物とエポキシ樹脂の混合物を加熱して80〜150℃の温度に保持することによって、層状粘土鉱物の層間でのエポキシ樹脂の重合反応を容易に進めることができるものである。バッチ式のオートクレーブによる加熱と、超音波分散ホモジナイザーを併用するとさらに好ましい。 【0044】また、エポキシ樹脂と反応性のある有機アミン類の中でも、層状粘土鉱物の層間にエポキシ樹脂を挿入する触媒性のある第二アミン類や第三アミン類を用いるのがよい。第一アミン類はエポキシ樹脂との反応性が高いため、層状粘土鉱物の層間にあるエポキシ樹脂のみで反応が終了してしまい、層外からエポキシ樹脂を取り込んで反応させることができず、層内で体積膨張が起こすことできないのでドライビングフォースが不足して層間剥離が生じず、高アスペクト比を有し、ナノレベルの大きさの薄片状無機物を得ることはできない。従って、触媒性のある第二アミン類や第三アミン類を用いるのが好ましいものである。しかし、エポキシ樹脂との反応性が高い第一アミン類を第二アミン類や第三アミン類と併用した場合、第一アミン類がエポキシ樹脂と反応すると第二アミン類となって、層状粘土鉱物の層間にエポキシ樹脂を挿入させる効果を殆ど低下させずに、硬化を早めることができるものである。 【0045】上記のようにして、層状粘土鉱物が層間で一枚ずつ剥離して得られる高アスペクト比でナノレベルの大きさの薄片状無機物が、エポキシ樹脂に均一に混合分散したエポキシ樹脂組成物を得ることができるものであり、これにさらに必要に応じて他のエポキシ樹脂、そして硬化剤、また必要に応じて硬化促進剤を配合することによって、本発明に係るエポキシ樹脂組成物を調製することができるものである。このエポキシ樹脂組成物は既述のように溶剤に溶解・分散してワニスとして使用されるものである。ここで、層状粘土鉱物から得られる薄片状無機物はアスペクト比が100〜5000の範囲であることが好ましく、またその大きさは厚みが5〜50Å、長さが5μm以下であることが好ましい。薄片状無機物のアスペクト比が100未満の場合、厚みが50Åを超える場合、長さが5μmを超える場合は、少量の配合で熱膨張係数を大きく低減させる効果を得るのが難しくなる。一方、層状粘土鉱物の各層の厚みは5Å程度が最少であるので、厚みの実質的な下限は5Åに設定される。また長さの上限が5μmであり、厚みの下限が5Åであるから薄片状無機物のアスペクト比の実質的な上限は5000に設定される。尚、薄片状無機物の長さの下限は特に限定されないが、層状粘土鉱物から剥離して生成される薄片状無機物の長さの下限は実質的に0.1μm程度である。 【0046】 【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。 【0047】(実施例1)層状粘土鉱物としてコープケミカル社製の合成雲母を用い、有機アミン類として第三アミンに塩酸を反応させて得られるイオン(RR’R”NH+)[但しR、R’は−(CH2CH2O)5H、R”は−C18H37]と第二アミンに塩酸を反応させて得られるイオン[(C12H25NHCH2CH2OH)H+]を1:1の質量比で混合して用いた。そして層状粘土鉱物100質量部に対して有機アミン類を120質量部加えて両者を水溶液中で溶解分散し、室温で30分攪拌した後、さらに80℃で30分攪拌し、その後、遠心分離して固形分である層状粘土鉱物を分離した。さらにこの分離した層状粘土鉱物を水に分散して遠心分離する操作を行なって不要なイオン除去を行なうことによって、有機アミン類で処理された層状粘土鉱物を得た。 【0048】次にまず、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(東都化成株式会社製「YD011」:エポキシ当量475g/eq)20質量部とDMF20質量部を混合し、この中に上記の有機アミン類で処理された層状粘土鉱物を、組成物に最終に含まれるエポキシ樹脂物に対して1質量%になるように添加し、30分間攪拌混合した。このようにして、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が層状粘土鉱物の層間に入り込み、層間が広がった構造のエポキシ複合層状粘土鉱物を得た。このときの層状粘土鉱物の(001)底面間隔のX線回折ピーク位置を測定することによって、底面間隔が約10Åから35Åへと増大していることを確認した。 【0049】このままでは、層間の間隔が広がったのみで層状粘土鉱物は層間剥離しないので、オイルバスを用いて加熱し、100℃で2時間攪拌混合した。この加熱によって、層状粘土鉱物は層間が完全に剥離し、ナノレベルの大きさで分散可能な薄片状無機物となった。このときの層状粘土鉱物の(001)底面間隔のX線回折ピーク位置の測定によって、底面間隔が35Åから100Å以上へと増大していることを確認した。 【0050】上記のように加熱分散処理を行なったのち、3官能エポキシ樹脂(三井石油化学工業社製「VG3101」:エポキシ当量210g/eq)を80質量部、硬化剤としてジシアンジアミド(アミン当量21g/eq)を50質量部、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化成株式会社製「2E4MZ」)を0.1質量部、DMFを30質量部添加し、十分に攪拌してエポキシ樹脂組成物のワニスを得た。 【0051】 【表3】
【0052】上記のようにして得たワニスを7628タイプのガラス織布に含浸させ、160℃で5分間乾燥することによって、プリプレグを作製した。 【0053】次に、このプリプレグを6枚重ね、さらにその両面に厚み35μmの銅箔を重ね、これを170℃、3.9MPa(40kg/cm2)の条件で90分間、加熱加圧して積層成形することによって、両面銅箔張り積層板を得た。 【0054】このようにして得られた積層板中のエポキシ樹脂硬化物をX線回折ピークを分析すると、広角度側から2度までの測定で層状粘土鉱物の(001)面の回折ピークが認められず、層状粘土鉱物の一層ずつが剥離して、ミクロに分散していると判断された。またこの積層板中のエポキシ樹脂硬化物のフィラー分散状態を走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)により観察し、ガラス織布の間に含浸している樹脂中に厚み5〜15Å、長さ2〜3μm、アスペクト比2000〜3000の薄片状無機物質が分散していることを確認した。また積層板の断面を研磨した後、SEMによるモルフォロジー観察を行なったところ、フィラーの凝集等の不均一は認められず、ナノレベルで非常に均一な樹脂組成になっていることを確認した。 【0055】(実施例2〜4)有機アミン類で処理された層状粘土鉱物を、組成物に最終に含まれるエポキシ樹脂物に対して3質量%になるように(実施例2)、あるいは5質量%になるように(実施例3)、あるいは7質量%になるように(実施例4)、それぞれ添加するようにした他は、実施例1と同様にして両面銅箔張り積層板を得た。 【0056】このものにあっても実施例1と同様に、室温混合によりビスフェノールA型エポキシ樹脂が層状粘土鉱物の層間に入り込み、層間が広がった構造のエポキシ複合層状粘土鉱物を得た。さらにオイルバスを用いて100℃で2時間攪拌混合することによって、層状粘土鉱物は層間が完全に剥離し、ナノレベルの大きさで分散可能な薄片状無機物となった。このときの層状粘土鉱物の(001)底面間隔のX線回折ピーク位置の測定によって、底面間隔が35Åから100Å以上へと増大していることを確認した。 【0057】(実施例5)有機アミン類として第三アミンに塩酸を反応させて得られるイオン(RR’R”NH+)[但し、R、R’は−(CH2CH2O)5H、R”は−C12H25]と第二アミンに塩酸を反応させて得られるイオン[(C12H25NHCH2CH2OH)H+]を1:1の質量比で混合して用いるようにした他は、実施例2と同様にして両面銅箔張り積層板を得た。 【0058】このものにあっても、実施例2と同様に、室温混合によりビスフェノールA型エポキシ樹脂が層状粘土鉱物の層間に入り込み、層間が広がった構造のエポキシ複合層状粘土鉱物を得た。さらにオイルバスを用いて100℃で2時間攪拌混合することによって、層状粘土鉱物は層間が完全に剥離し、ナノレベルの大きさで分散可能な薄片状無機物となった。このときの層状粘土鉱物の(001)底面間隔のX線回折ピーク位置の測定によって、底面間隔が35Åから100Å以上へと増大していることを確認した。 【0059】(実施例6)硬化剤としてジフェニルジアミノメタン(DDM)を用いるようにした他は、実施例2と同様にして両面銅箔張り積層板を得た。 【0060】このものにあっても、実施例2と同様に、室温混合によりビスフェノールA型エポキシ樹脂が層状粘土鉱物の層間に入り込み、層間が広がった構造のエポキシ複合層状粘土鉱物を得た。さらにオイルバスを用いて100℃で2時間攪拌混合することによって、層状粘土鉱物は層間が完全に剥離し、ナノレベルの大きさで分散可能な薄片状無機物となった。このときの層状粘土鉱物の(001)底面間隔のX線回折ピーク位置の測定によって、底面間隔が35Åから100Å以上へと増大していることを確認した。 【0061】(比較例1)有機アミン類で処理した層状粘土鉱物を添加しない表3の配合でエポキシ樹脂組成物のワニスを調製し、後は実施例1と同様にして両面銅箔張り積層板を得た。 【0062】(比較例2)有機アミン類で処理していない層状粘土鉱物を用い、これを表3の配合に混合することによってエポキシ樹脂組成物を調製するようにした他は、実施例2と同様にして両面銅箔張り積層板を得た。 【0063】(比較例3)有機アミン類で処理された層状粘土鉱物にエポキシ樹脂を混合するにあたって、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(東都化成株式会社製「YD011」)を用いず、その代りに3官能エポキシ樹脂(三井石油化学工業社製「VG3101」)を用いるようにした他は、実施例1と同様にして両面銅箔張り積層板を得た。 【0064】(比較例4)有機アミン類で処理された層状粘土鉱物の代りに粒径0.5μmの球状シリカ粉末(株式会社龍森製「SO−25R」を用い、これを表3の配合に混合することによってエポキシ樹脂組成物を調製するようにした他は、実施例2と同様にして両面銅箔張り積層板を得た。 【0065】(比較例5)有機アミン類として第一アミン(アミノドデカン酸)に塩酸を反応させて得られるイオン[(H2NC11H22COOH)H+]を用いるようにした他は、実施例2と同様にして両面銅箔張り積層板を得た。 【0066】上記のようにして得た実施例1〜6及び比較例1〜5の両面銅箔張り積層板について、銅箔ピール強度、熱膨張係数、ガラス転移温度(Tg)を測定した。熱膨張係数の測定は、表面の銅箔をエッチングにより除去した積層板を6mm角に切断し、セイコー電子工業株式会社製「SSC5200TMA3200」を用いて、厚み方向について10℃/minの昇温速度で室温から200℃までの熱膨張率を測定することによって行ない、またこの測定で得られた温度−変位のグラフの屈曲点をガラス転移温度とした。銅箔ピール強度の測定は、両面銅張り積層板を100mm幅で短冊型に切断し、積層板の表面の銅箔を積層板と垂直の方向に50mm/分で引き剥がしたときの強度を測定して行なった。結果を表4に示す。 【0067】 【表4】
【0068】実施例1〜4の結果にみられるように、層状粘土鉱物から得られる薄片状無機物の少量の配合によって熱膨張係数低下が確認されるものであり(例えば実施例2では3質量%の配合で比較例1のものよりも10.5%の熱膨張係数の低下がみられる)、しかも銅箔のピール強度も確保することができるものであった。また実施例5,6においても、銅箔のピール強度の低下なく、少量の配合で大きな熱膨張係数の低減が達成できるものであった。 【0069】一方、比較例2のものは、有機アミン類で処理していない層状粘土鉱物を用いているので、層状粘土鉱物は層間剥離せず、ナノレベルの薄片状無機物は得られない。このため、熱膨張係数は比較例1のものより約3%低減しただけであった。 【0070】また比較例3のものは、エポキシ樹脂としてビスフェノールA型のものを用いていないので、層状粘土鉱物の層間にエポキシ樹脂成分が挿入されず、層状粘土鉱物の層間剥離が不十分であってナノレベルの薄片状無機物の生成が不十分である。従って、3官能エポキシ樹脂の量の増加によって架橋密度が高くなってガラス転移温度は高くなるが、熱膨張係数は比較例1のものより約5%低減しただけであった。 【0071】また、比較例4のものは、熱膨張係数は比較例1のものより約5%低減しただけであった。 【0072】また比較例5のものは、有機アミン類として第一アミン類のみを用いているので、層状粘土鉱物の層間剥離が不十分であってナノレベルの薄片状無機物の生成が不十分である。従って、3官能エポキシ樹脂の量の増加によって架橋密度が高くなってガラス転移温度は高くなるが、熱膨張係数は比較例1のものより約3%低減しただけであった。 【0073】 【発明の効果】上記のように本発明の請求項1に係るエポキシ樹脂組成物は、エポキシ反応基を有する熱硬化性樹脂と、第二アミンとこの第二アミンに水素が結合したイオンの少なくとも一方の第二アミン類、及び第三アミンとこの第三アミンに水素が結合したイオンの少なくとも一方の第三アミン類で処理された層状粘土鉱物から得られる薄片状無機物と、硬化剤を混合したものであり、層状粘土鉱物から得られる薄片状無機物はナノレベルの大きさであって、少量の配合で熱膨張係数を大きく低減することができるものである。 【0074】また請求項2の発明は、層状粘土鉱物から得られる薄片状無機物は、アスペクト比が100〜5000であるので、少量の配合で熱膨張係数を大きく低減することができるものである。 【0075】また請求項3の発明は、層状粘土鉱物から得られる薄片状無機物は、厚みが5〜50Å、長さが5μm以下であるので、少量の配合で熱膨張係数を大きく低減することができるものである。 【0076】また請求項4の発明は、第二アミン類として、第二アミン(R2R1NH)とこの第二アミンに水素が結合したイオン(R2R1NH2+)の少なくとも一方、第三アミン類として第三アミン(R3R2R1N)とこの第三アミンに水素が結合したイオン(R3R2R1NH+)の少なくとも一方を用いる[但し、R3、R2、R1はそれぞれ、炭素数1〜30のアルキル基、もしくは−(R4−O)m−H(R4は炭素数1〜6のアルキレン基、mは1以上の整数)、もしくは−R5−OH、−R6−COOH(R5、R6はそれぞれ炭素数1〜30のアルキレン基)]ようにしたものであるので、層状粘土鉱物の層間剥離を効率良く行わせることができて、層状粘土鉱物からナノレベルの薄片状無機物を効率良く得ることができ、熱膨張係数を大きく低減することができるものである。 【0077】また請求項5の発明は、層状粘土鉱物から得られる薄片状無機物の配合量は熱硬化性樹脂に対して0.1〜30質量%であるので、層状粘土鉱物の層間剥離を効率良く行わせることができて、層状粘土鉱物からナノレベルの薄片状無機物を効率良く得ることができ、熱膨張係数を大きく低減することができるものである。 【0078】また請求項6の発明は、エポキシ反応基を有する熱硬化性樹脂の少なくとも一部にビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いるので、層状粘土鉱物の層間剥離を効率良く行わせることができて、層状粘土鉱物からナノレベルの薄片状無機物を効率良く得ることができ、熱膨張係数を大きく低減することができるものである。 【0079】また請求項7の発明は、第二アミンに水素が結合したイオンとして、アルキルモノエタノールアミン(C12H25NHCH2CH2OH)又は多官能アミン(RNHCH2CH2HNCH2CH2CH2NHCOOH)に水素が結合したイオンを用い、第三アミンに水素が結合したイオンとして、アルキルビスヒドロキシエチルアミン(RR’R”N)に水素が結合したイオンを用いる[但し、R、R’は−(CH2CH2O)5H、R”は−C12H25又は−C18H37)]ものであるので、層状粘土鉱物の層間剥離を効率良く行わせることができて、層状粘土鉱物からナノレベルの薄片状無機物を効率良く得ることができ、熱膨張係数を大きく低減することができるものである。 【0080】また請求項8の発明は、層状粘土鉱物を、第二アミン類及び第三アミン類と共に、アミノドデカン酸(H2NC11H22COOH)又はこれに水素が結合したイオン、ドデシルアミン(C12H25NH2)又はこれに水素が結合したイオン、アミノカプロン酸(H2NC5H10COOH)又はこれに水素が結合したイオン、ヘキシルアミン(C6H13NH2)又はこれに水素が結合したイオンから少なくとも一つ選ばれる、第一アミンと第一アミンに水素が結合したイオンの少なくとも一方の第一アミン類で処理して用いるので、第一アミン類で反応を早めて製造効率を高めることができるものである。 【0081】本発明の請求項9に係る絶縁基板は、請求項1乃至8のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を、加熱加圧して硬化させて形成されたものであり、熱膨張係数の小さい絶縁基板を得ることができるものである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005832 【氏名又は名称】松下電工株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年1月26日(2001.1.26) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100087767 【弁理士】 【氏名又は名称】西川 惠清 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−220433(P2002−220433A) |
| 【公開日】 |
平成14年8月9日(2002.8.9) |
| 【出願番号】 |
特願2001−18487(P2001−18487) |
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