トップ :: C 化学 冶金 :: C08 有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物




【発明の名称】 ポリチオフェン
【発明者】 【氏名】シユテフアン・キルヒマイアー

【氏名】クラウス・ブソウ

【氏名】フリードリヒ・ヨナス

【氏名】アンドレアス・エルシユナー

【要約】 【課題】無水溶媒又は低含水率溶媒に容易に溶解性又は分散性である高い品質のポリチオフェンの製造方法を提供すること。

【解決手段】無水溶媒又は低含水率溶媒に可溶性又は分散可能なポリチオフェンは、ポリチオフェンを無水又は低含水率溶媒中で且つ相間移動触媒を反応中に添加する場合に得ることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 a)一般式(I)
【化1】

式中、R1は1〜10個の炭素原子を有する未置換のもしくは置換されたアルキレン又はアルケニレン基であり、そしてR及びR2は互いに独立に水素、1〜20個の炭素原子を有する線状もしくは分岐状アルキル基、OH、O−CH2−CH2−CH2−SO3H、又は1〜18個の炭素原子を有するO−アルキルである、で示される1種又はそれ以上のチオフェン、b)1個又はそれ以上のスルホン酸基を含有する少なくとも1種の化合物、c)少なくとも1種の酸化剤、d)少なくとも1種の相間移動触媒、及びe)所望により1種又はそれ以上の触媒、を少なくとも1種の無水溶媒又は低含水率溶媒中で0〜150℃の温度で反応させ、次いで生成物を処理することを特徴とするポリチオフェンの製造方法。
【請求項2】 請求項1に従って製造されうる固体、分散液又は溶液の形態にあるポリチオフェン。
【請求項3】 伝導性コーティング及び帯電防止性コーティングの製造のための請求項2に記載のポリチオフェンの使用。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は無水溶媒又は低含水率溶媒中に溶解可能であるか又は分散可能であるポリチオフェンの製造方法、この方法により得ることができるポリチオフェン及びこれらのポリチオフェンの使用に関する。
【0002】
【従来の技術及び課題】有機伝導性ポリマーは産業界でますます普及してきている。使用分野は例えば回路板(circuit boards)のスルーメッキ(through plating)(EP553,671A1)、写真フイルムの帯電防止仕上げ(EP440,957A2)であり又は固体電解質キヤパシタにおける電極としてである(EP340,512A2)。特別な重要性は高い安定性及び電気伝導度により区別されるポリ−3,4−アルキレンジオキシチオフェンにより達成された。
【0003】EP440,957A2は、水溶性又は水に分散性のポリアルキレンジオキシチオフェンを記載している。これらは水性相でポリアニオンの存在下に直接合成される。水性調製物は伝導性コーティング又は帯電防止コーティングの製造に使用される。しかしながら、多くの用途で、例えばコーティングの乾燥時間を短縮するため又は湿潤挙動を改良するために、無水もしくは低含水率溶液又は分散液の形態で処理されうるポリアルキレンジオキシチオフェンにたいする要求がある。EP440,957A2に記載の溶液から水を除去した後、得られる固体は水及び有機溶媒に不溶性である。
【0004】EP339,340A2は、対応するモノマーと酸化剤との反応による3,4−ポリアルキレンジオキシチオフェンの製造を記載している。このようにして製造される3,4−ポリアルキレンジオキシチオフェンは同様に有機溶媒及び無機溶媒に不溶性である。
【0005】EP440,957A2は、水溶性又は水に分散性のポリアルキレンジオキシチオフェンの製造は一般にプロトン性溶媒、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール及び他の水に混和性の有機溶媒、例えばアセトンの存在下で行うこともできることを教示している。しかしながら、この場合少量の有機溶媒しか混合することができず、その結果として無水もしくは低含水率溶液又は分散液はこの方法では得ることができない。
【0006】ポリアルキレンジオキシチオフェンは好ましくは酸化重合により製造される。既知の酸化剤は遷移金属、塩様化合物及び他の酸化剤である。遷移金属及び塩様酸化剤、特にペルオキソ二硫酸アルカリ金属又はペルオキソ二硫酸アンモニウムの使用がこの場合に好ましい。
【0007】例えば、クロロホルム、アセトニトリル及びメタノールの如き有機溶媒中でのチオフェンの重合のために遷移金属含有酸化剤、例えば鉄(III)塩を使用することが試みられたけれども、これは困難及び欠点により悩まされる。このようにして製造されるポリチオフェンは溶媒に分散性ではないかもしくは部分的にしか分散性ではなく、又は更なる分散助剤の助けにより溶媒に分散性であるにすぎない。(この点について、例えば、Lee,S.Park and Y.Son,Mol.Cryst.Liq.Cryst.327(1999)237−240参照)。酸化剤の遷移金属含有残留物は反応溶液から除去するのが困難であり、そして例えばそれらの耐老化性の如き伝導性もしくは帯電防止コーティングの品質に対する不利な効果を有する。
【0008】塩様酸化剤、例えばペルオキソ二硫酸塩又はペルオキソホウ酸塩、並びに他の塩様化合物は、もし水の全く存在しない場合又は少量の水しか存在しない場合には非常に遅くしか反応せず、反応を低含水率溶媒中で行う場合には反応時間は許容できない程長い。このようにして得ることができる反応溶液は大量のモノマーを含有しそして実質的にポリチオフェンを含有せず、従って使用することはできない。
【0009】
【課題を解決するための手段】驚くべきことに、今回、ポリチオフェンを無水溶媒又は低含水率溶媒中で製造しそして反応期間中に相間移動触媒を加えると、無水溶媒又は低含水率溶媒に容易に溶解性又は分散性である高い品質のポリチオフェンを製造することができることが見いだされた。この製造方法は、処理後に低い金属及び塩含有率しか有していない溶媒含有無水もしくは低含水率ポリチオフェン分散液又は溶液を製造することが可能であるという利点を有する。本発明に従う方法により製造されるポリチオフェンは固体、分散液及び溶液として貯蔵時に安定であり、そして高品質の伝導性層もしくは帯電防止層の製造に適当である。
【0010】同じ化学的組成で、本発明に従うポリチオフェンは驚くべきことに当該技術分野の水準に従って製造されたポリチオフェンとは有意に異なる。本発明に従うポリチオフェンは、高い濃度ですら、沈殿、膨潤又は他の所望されない効果、例えば粘度の増加が起こることなく、溶媒及び水にも自然に溶解する。
【0011】これは驚くべきことでありそして当業者に予想できなかったことである。何故ならば、当業者は同じ酸化剤を使用する同じチオフェンの重合反応は知られた性質を有する生成物をもたらすはずであり、そして相間移動触媒の添加は単に重合期間中の反応速度を増加させるであろうと想定したにちがいないからである。しかしながら、これは真実ではない。本発明に従うポリチオフェンは水及び有機溶媒に自然に溶解する。
【0012】従って、本発明は、a)一般式(I)
【0013】
【化2】

【0014】式中、R1は1〜10個の炭素原子を有する未置換のもしくは置換されたアルキレン又はアルケニレン基であり、そしてR及びR2は互いに独立に水素、1〜18個の炭素原子を有する線状もしくは分岐状アルキル基、OH、O−CH2−CH2−CH2−SO3H又は1〜18個の炭素原子を有するO−アルキルである、で示される1種又はそれ以上のチオフェン、b)1個又はそれ以上のスルホン酸基を含有する少なくとも1種の化合物、c)少なくとも1種の酸化剤、d)少なくとも1種の相間移動触媒、及びe)所望により1種又はそれ以上の触媒、を少なくとも1種の無水溶媒又は低含水率溶媒中で0〜150℃の温度で反応させ、次いで生成物を処理することによるポリチオフェンの製造方法に関する。
【0015】本発明はまたこの方法により製造することができるポリチオフェンにも関する。
【0016】最後に、本発明は伝導性及び/又は帯電防止コーティング及び成形品の製造のための、例えば固体、分散液又は溶液の形態にある本発明に従って製造されたポリチオフェンの使用に関する。
【0017】本発明に従う方法は、好ましくは、一般式(II)又は(III)
【0018】
【化3】

【0019】式中、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は各々互いに独立に水素原子、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、ヒドロキシメチル基、未置換のもしくはスルホン酸基により置換されている1〜20個の炭素原子を有するアルコキシメチル基(R−O−CH2−)である、で示されるチオフェンを使用して行われる。
【0020】本発明に従う方法で使用されるチオフェンは、特に好ましくは、一般式(IV)
【0021】
【化4】

【0022】式中、R9は水素又は1〜20個の炭素原子を有するアルキル基である、で示されるチオフェンである。
【0023】挙げることができる極めて特に適当なチオフェンは下記のもの:3,4−メチレンジオキシチオフェン、3,4−エチレンジオキシチオフェン、3,4−プロピレンジオキシチオフェン、例えば米国特許第5,111,327号に記載の如きヒドロキシル又はアルコキシ基を有するチオフェン及び[−CH2−O−(CH2n−SO3H]基を有するチオフェンである。
【0024】1個又はそれ以上のスルホン酸基を含有する適当な化合物は、脂肪族、環状脂肪族又は芳香族炭素原子に連結された少なくとも1個のスルホン酸を有する化合物である。これらは、好ましくはポリスルホン酸、例えば2000〜2,000,000、好ましくは5000〜500,000の分子量(Mw)を有するポリスチレンスルホン酸及びポリビニルスルホン酸、トルエンスルホン酸、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基を有していてもよいベンゼンスルホン酸、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸、1〜20個の炭素原子を有するアルキルスルホン酸、例えばメタンスルホン酸、及びラウリルスルホン酸である。しかしながら、所望により、[−O−SO2−OH]基を有する化合物(即ち、硫酸モノエステル)を使用すること又は追加的に使用することも可能である。
【0025】好ましい酸化剤は塩様酸化剤、好ましくはペルオキソ二硫酸塩、例えばペルオキソ二硫酸アルカリ金属及びペルオキソ二硫酸アンモニウム、及びペルオキソ炭酸塩、例えばペルオキソ炭酸アルカリ金属である。
【0026】ポリチオフェンは相間移動触媒の存在下に本発明に従って製造される。相間移動触媒は溶媒中の酸化剤の溶解度を増加させる。適当な相間移動触媒の例は、アルカリ金属イオンを錯化する化合物又は溶媒中に可溶性である対イオンを有しており、かくして酸化剤の溶解度を増加させる長鎖アルキル基を含有するイオン性化合物である。好ましい相間移動触媒は、−CH2−及び−O−構造単位を含有する化合物、例えばクラウンエーテル、例えば、12−クラウン−4もしくは18−クラウン−6、ベンゾ−もしくはジベンゾ−18−クラウン−6又はエチレンオキシドから製造されたポリエーテルである。第四級アンモニウム塩、特に好ましくは4〜20個の炭素原子を有するアルキル基もしくはアリールアルキル基を含有する第四級アンモニウム塩、例えばブチル−、デシル−、ラウリル−又はベンジルトリメチルアンモニウム塩及び対応するリン化合物が同様に好ましい。
【0027】所望により、重合の速度を増加させる1種又はそれ以上の触媒が本発明に従う方法において加えられる。適当な触媒の例は、鉄(III)化合物又は他の遷移金属化合物、例えばマンガン塩である。挙げることができる例は塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、トルエンスルホン酸鉄(III)、二酸化マンガン及びマンガン(II)塩である。
【0028】本発明に従う方法は無水溶媒又は低含水率溶媒中で行われる。適当な溶媒は水5重量%までを含有する溶媒である。これらの溶媒は好ましくは水2重量%未満を含有する。
【0029】適当な無水溶媒又は低含水率溶媒は一般に有機溶媒である。これらは、例えばアルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール又は高級アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール又は高級同族体、ケトン、例えばアセトンもしくはブタノン、塩素化炭化水素、例えば塩化メチレン、クロロホルム、トテラクロロメタン、ジクロロエタンもしくはトリクロロエタン、芳香族化合物、例えばトルエン、キシレン、クロロベンゼンもしくはジクロロベンゼン、脂肪族又は環状脂肪族炭化水素、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン及びオクタン、エーテル、例えばテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルもしくはジメチルエーテル又はその高級同族体、アミド、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、もしくはN−メチルピロリドン、及びエステル、例えば酢酸エチルもしくは酢酸ブチルである。
【0030】無水溶媒又は低含水率溶媒は好ましくは1〜8個の炭素原子を有する低級アルコール、好ましくはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール及び/又はペンタノールである。
【0031】本発明に従う方法は、使用されるチオフェンもしくは使用される複数のチオフェンの混合物1モル当たり、スルホン酸基を含有する化合物のスルホン酸基0.1〜20モル当量、好ましくは0.2〜10モル当量、特に好ましくは0.5〜5モル当量、1当量の酸化剤が2モルの電子を吸収することができる酸化剤0.9〜5.0モル当量、好ましくは1.0〜3.0モル当量、特に好ましくは1.1〜2.0モル当量、酸化剤を基準として相間移動触媒0.1〜10モル%、好ましくは1〜5モル%、チオフェンを基準として触媒0〜10モル%、及びチオフェンと溶媒の比が0.001〜0.1:1であるような量の溶媒を0〜150℃、好ましくは15〜70℃、特に好ましくは20〜40℃の温度で反応させ、次いで反応生成物を処理することにより通常行われる。
【0032】処理(work−up)は好ましくは反応混合物中に残っているイオンの除去、即ち好ましくは脱塩からなる。しかしながら、可能な望まれない二次成分も処理期間中に反応溶液から除去することができる。
【0033】可能な処理段階は、例えば、反応溶液のろ過もしくはデカンテーション、ポリチオフェンの沈殿、洗浄及び乾燥、並びに当業者にとって普通でありそして当業者に知られている更なる精製段階である。しかしながら、多くの場合に、当業者に知られているイオン交換体樹脂の助けにより、又はイオンの選択的除去のための他の特定の方法、例えばイオン選択性膜の助けにより、塩を更に除去することが推奨される。
【0034】本発明に従う方法により製造されるポリチオフェンは固体、分散液又は溶液として貯蔵時に安定である。
【0035】本発明に従うポリチオフェンは、電気伝導性コーティングもしくは帯電防止コーティングの製造のための分散液又は溶液として使用することができる。適当な使用分野は電子部品のパッケージング及びクリーンルームパッケージングのためのプラスチックフイルムの仕上げ、ブラウン管の帯電防止仕上げ、写真フイルムの帯電防止仕上げ、透明電極としてであり、例えば、タッチスクリーン(touch screen)及び有機もしくは無機エレクトロルミネセンスディスプレーのため、キャパシタ、電池、回路板又は電気的に着色することができる窓ガラスの製造のためである。
【0036】コーティングの製造の前に、結合剤及び/又は架橋剤、例えばポリウレタンもしくはポリウレタン分散液、ポリオレフィン分散液、エポキシシラン、例えば3−グリシドキシプロピルトリアルコキシシランを本発明に従うポリチオフェン分散液に加えることが可能である。更に、コーティングの引っ掻き抵抗を増加させるために、例えばテトラエトキシシランをベースとするシラン加水分解物を加えることができる。
【0037】コーティングは知られている方法、例えば噴霧、グラビア印刷、オフセット印刷、カーテンコーティング、アプリケーションロールによる塗布及びブラシングにより製造することができる。
【0038】
【実施例】実施例1(エタノール性ポリスチレンスルホン酸溶液の製造)
約70,000の分子量(Mw)を有するポリスチレンスルホン酸の水性溶液400mlを蒸発乾固しそしてエタノール1000mlに溶解した。溶液の固体含有率は10.4重量%であることが見いだされた。
【0039】実施例2(溶液の形態にある本発明に従うポリチオフェンの製造)
エタノール133ml、トルエンスルホン酸鉄(III)14.77g(0.0256モル)、実施例1からのポリスチレンスルホン酸溶液1399.76g、18−クラウン−6、3.7g(0.014モル)、ペルオキソ二硫酸カリウム74.66g(0.2765モル)及び3,4−エチレンジオキシチオフェン27.97g(0.1967モル)を反応器中で一緒にし、そして商業的に入手可能な分散器(disperser)(IKAからのウルトラ−ターラックス(商標名)(Ultra−TurraxR))を使用して1分間均質化した。微細に分割された懸濁液が形成された。次いで懸濁液を室温で24時間撹拌した。反応器内容物は反応時間中に暗青色となった。反応転化率はガスクロマトグラフィーによる分析により95.1%であることが見いだされた。
【0040】実施例3(本発明に従うポリチオフェンの精製)
実施例2からの溶液をろ過し、カチオン交換体(商標名レバチット(LewatitR)S100、レーフェルクーゼンのBayer AGからの商業的製品である、架橋されたポリスチレンをベースとするスルホネート基を含有する強酸性イオン交換体)455ml及びアニオン交換体(商標名レバチットMP62、レーフェルクーゼンのBayer AGからの商業的製品である、架橋されたポリスチレンをベースとする第三級アミノ基を含有する塩基性イオン交換体)525mlを加え、そして混合物を1時間撹拌しそしてろ過した。暗青色の透明な溶液が得られた。この溶液のサンプルを0.4重量%の固体含有率となるようにエタノールで希釈し、そして60μmの厚さを有するコーティングを、ハンドコーターを使用してプラスチックフイルム(ポリエチレンテレフタレート)にこの薄い溶液から塗布しそして80℃で15分間乾燥した。乾燥コーティングの厚さは約240nmであった。塗布された層の表面抵抗はIEC標準93(VDE0303Part30)又はASTM D257に従って7Mohm/平方であった。
【0041】実施例4(本発明に従うポリチオフェンの精製及び単離)
実施例2に記載の如くしてポリチオフェン溶液を製造した。溶液をろ過した。トルエン1500mlをポリチオフェン溶液1000mlに撹拌しながら加え、そして混合物を更に15分間撹拌した。暗青色沈殿がえられ、それから透明な上澄液をデカンテーションした。残留物を各回100mlのトルエンで2回洗浄し、乾燥しそして粉末化して、暗青/黒粉末97gを得た。
【0042】実施例5(エタノール中の本発明に従うポリチオフェンの溶液の製造)
実施例4からのポリチオフェン粉末10gをエタノール90ml中で30分間撹拌した。暗青色の透明な溶液が得られた。溶液を0.2μmフィルタを通してろ過した。ろ過残留物は得られなかった。溶液の粒度分布(particlesize distribution)は超遠心機における光散乱により測定した。平均粒度(mean particle size)は約30nm(d50)であった。
【0043】実施例3に記載の溶液から約240nmの厚さを有するコーティングを製造した。塗布された層の表面抵抗はIEC標準93(VDE0303Part30)又はASTM D257に従って6.7Mohm/平方であった。
【0044】実施例6(水中の本発明に従うポリチオフェンの溶液の製造)
実施例4からのポリチオフェン粉末10gを水90ml中で30分間撹拌した。暗青色の透明な溶液が得られた。溶液を0.2μmフィルターを通してろ過した。残留物は得られなかった。溶液の粒度分布は超遠心機において光散乱により測定された。平均粒度は約30nm(d50であった)。
【0045】約240nmの厚さを有するコーティングを実施例3に記載のとおりの溶液から製造した。塗布された層の表面抵抗はIEC標準93(VDE0303Part30)又はASTM D257に従って5.2Mohm/平方であった。
【0046】比較実施例1(相間移動触媒なしの実施例2の繰り返し)
エタノール133ml、トルエンスルホン酸鉄(III)14.77g(0.0256モル)、実施例1からのポリスチレンスルホン酸溶液1399.76g、ペルオキソ二硫酸カリウム74,66g(0.2765モル)及び3,4−エチレンジオキシチオフェン27.97g(0.1967モル)を反応器中で一緒にし、そして商業的に入手可能な分散器(IKAからのUltra−TurraxR)を使用して1分間均質化した。微細に分割された懸濁液が形成された。次いで懸濁液を室温で24時間撹拌した。反応器内容物は反応時間中色を変えなかった。1週間の反応時間の後、内容物は僅かに緑色がかっていた。反応転化率はガスクロマトグラフィーによる分析により2.5%であることが見いだされた。
【0047】比較実施例1は相間移動触媒の添加なしでは十分な反応速度は達成されずそして実質的にポリチオフェンは得られないことを示す。
【0048】比較実施例2(水中の実施例2の繰り返し)
水724g、トルエンスルホン酸鉄(III)14.77g(0.0256モル)、水中のポリスチレンスルホン酸溶液808.75g(Mw約70,000g/モル、水中18%濃度)、18−クラウン−6、3.7g(0.014モル)、ペルオキソ二硫酸カリウム74.66g(0.2765モル)及び3,4−エチレンジオキシチオフェン27.97g(0.1967モル)を反応器において一緒にしそして商業的に入手可能な分散器(IKAからのウルトラ−ターラックス(商標名)(Ultra−TurraxR))を使用して1分間均質化した。乳状分散液が形成され、これは数分の後青色になった。次いで分散液を撹拌しそして室温で24時間均質化した。粗いゲル粒子を含有する高度に粘性の懸濁液が形成された。ゲル粒子はエタノールに不溶性であった。
【0049】この比較実施例は、水中の同じ反応が本発明に従うポリチオフェンとは溶解性が有意に異なるポリチオフェンをもたらすことを示す。
【0050】比較実施例3(より低い固体含有率を有する水中のEP440957A2の実施例2におけると同じ組成のポリチオフェンの製造)
水1588.13g、1重量%濃度の水性硫酸鉄(III)溶液15.08g、水中のポリスチレンスルホン酸溶液(Mw約70,000g/モル、水中5.5重量%濃度)359.79g及び3,4−エチレンジオキシチオフェン8.02g(0.056モル)を室温で反応器に導入しそして商業的に入手可能に分散器(IKAからのウルトラ−ターラックス(商標名)(Ultra−TurraxR))を使用して15分間均質化した。乳状懸濁液が形成された。ペルオキソ二硫酸ナトリウム19.24g(0.081モル)を加えた。10分後溶液は青色になった。次いで分散液を撹拌しそして室温で24時間均質化した。暗青色の僅かに粘性の溶液が形成された。カチオン交換体(商標名レバチット(LewatitR)S100、レーフェルクーゼンのBayer AGからの商業的製品である、架橋されたポリスチレンをベースとするスルホネート基を含有する強酸性イオン交換体)106.65g及びアニオン交換体(商標名レバチットMP62、レーフェルクーゼンのBayer AGからの商業的製品である、架橋されたポリスチレンをベースとする第三級アミノ基を含有する塩基性イオン交換体)160.6gをこの溶液に加え、そして混合物を30分間撹拌した。次いでイオン交換体を8μmのフィルターを通してろ別した。実施例3に記載のとおり、約240nmの厚さを有するコーティングを溶液から製造した。塗布された層の表面抵抗はIEC標準93(VDE0303Part30)又はASTM D257に従って2.5Mohm/平方であった。
【0051】溶液10mlを乾燥しそして粉末化した。得られる粉末は水又はエタノールのいずれにも可溶性ではなかった。
【0052】この比較実施例は、水性ポリチオフェン溶液が先行技術に従って製造することができるが、それらは本発明に従うポリチオフェンとは溶解性が異なることを示す。本発明の主なる特徴及び態様は以下のとおりである。
【0053】1. a)一般式(I)
【0054】
【化5】

【0055】式中、R1は1〜10個の炭素原子を有する未置換もしくは置換されたアルキレン又はアルケニレン基であり、そしてR及びR2は互いに独立に水素、1〜20個の炭素原子を有する線状もしくは分岐状アルキル基、OH、O−CH2−CH2−CH2−SO3H又は1〜18個の炭素原子を有するO−アルキルである、で示される1種又はそれ以上のチオフェン、b)1個又はそれ以上のスルホン酸基を含有する少なくとも1種の化合物、c)少なくとも1種の酸化剤、d)少なくとも1種の相間移動触媒、及びe)所望により1種又はそれ以上の触媒、を少なくとも1種の無水溶媒又は低含水率溶媒中で0〜150℃の温度で反応させ、次いで生成物を処理することを特徴とするポリチオフェンの製造方法。
【0056】2.式(I)のチオフェンが一般式(II)又は(III)
【0057】
【化6】

【0058】式中、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は水素原子、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、ヒドロキシメチル基、又は未置換のもしくはスルホン酸基により置換されている1〜20個の炭素原子を有するアルコキシメチル基である、で示されるチオフェンであることを特徴とする上記1に記載の方法。
【0059】3.式(I)のチオフェンが式(IV)
【0060】
【化7】

【0061】式中、R9は水素又は1〜20個の炭素原子を有するアルキル基である、で示されるチオフェンであることを特徴とする上記1又は2に記載の方法。
【0062】4.1個又はそれ以上のスルホン酸基を含有する化合物が、ポリスチレンスルホン酸及び1〜20個の炭素原子を含有するアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする上記1、2又は3に記載の方法。
【0063】5.酸化剤がペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム及びペルオキソ二硫酸カリウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の方法。
【0064】6.相間移動触媒がクラウンエーテル、及び少なくとも4個の炭素原子を有する少なくとも1個の炭化水素基を有する第四級アンモニウム塩よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載の方法。
【0065】7.溶媒が1〜8個の炭素原子を有する低級アルコール、好ましくはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール及びペンタノールであることを特徴とする上記1〜6のいずれかに記載の方法。
【0066】8.上記1〜7に従って製造することができる固体、分散液又は溶液の形態にあるポリチオフェン。
【0067】9.伝導性コーティング及び帯電防止コーティングの製造のための上記8に記載のポリチオフェンの使用。
【出願人】 【識別番号】591063187
【氏名又は名称】バイエル アクチェンゲゼルシャフト
【住所又は居所原語表記】D−51368 Leverkusen,Germany
【出願日】 平成13年11月21日(2001.11.21)
【代理人】 【識別番号】100060782
【弁理士】
【氏名又は名称】小田島 平吉
【公開番号】 特開2002−206022(P2002−206022A)
【公開日】 平成14年7月26日(2002.7.26)
【出願番号】 特願2001−355941(P2001−355941)