トップ :: C 化学 冶金 :: C08 有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物




【発明の名称】 リン含有エポキシ樹脂、該樹脂を用いた難燃性高耐熱エポキシ樹脂組成物及び積層板
【発明者】 【氏名】安 田 清 美

【氏名】鈴 木 照 文

【氏名】田 原 修 二

【要約】 【課題】

【解決手段】本発明に係るリン含有エポキシ樹脂は、有機リン化合物と、3官能エポキシ樹脂と、2官能エポキシ樹脂と、必要に応じ2官能フェノール化合物とを反応して得られ、本発明に係る難燃性高耐熱エポキシ樹脂組成物は該リン含有エポキシ樹脂を含んでいる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 有機リン化合物5〜50重量部、3官能エポキシ樹脂30〜70重量部、2官能エポキシ樹脂5〜50重量部および2官能フェノール化合物0〜20重量部を反応させて得られるリン含有エポキシ樹脂(ただし、有機リン化合物+3官能エポキシ樹脂+2官能エポキシ樹脂+2官能フェノール化合物=100重量部である。)。
【請求項2】 前記有機リン化合物が、エポキシ基と反応する有機リン化合物であることを特徴とする請求項1に記載のリン含有エポキシ樹脂。
【請求項3】 前記有機リン化合物が2個以上の活性水素を有しており、前記3官能エポキシ樹脂が芳香環を有することを特徴とする請求項2に記載のリン含有エポキシ樹脂。
【請求項4】 前記有機リン化合物が、リン原子に結合した1個の活性水素を有する化合物類とキノン化合物とを反応させて得られる有機リン化合物であることを特徴とする請求項2または3に記載のリン含有エポキシ樹脂。
【請求項5】 エポキシ当量が250〜1000g/eqであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のリン含有エポキシ樹脂。
【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載のリン含有エポキシ樹脂と硬化剤とを含有することを特徴とする難燃性高耐熱エポキシ樹脂組成物。
【請求項7】 請求項6に記載の難燃性高耐熱エポキシ樹脂組成物を用いることを特徴とするプリプレグ。
【請求項8】 請求項6に記載の難燃性高耐熱エポキシ樹脂組成物を用いることを特徴とする積層板。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はハロゲン系難燃剤を使用することなく優れた難燃性を有しかつ高い耐熱性を有するリン含有エポキシ樹脂、該リン含有エポキシ樹脂を用いた難燃性高耐熱エポキシ樹脂組成物、ならびに該難燃性高耐熱エポキシ樹脂組成物を用いたプリプレグおよび積層板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】エポキシ樹脂組成物はその優れた特性から電気及び電子機器部品などに広く使用されているが、火災に対する安全性を確保する為に、難燃性が付与されている例が多い。これら樹脂の難燃性は従来、臭素化エポキシなどのハロゲン含有化合物を用いることが一般的であった。ハロゲン含有化合物は優れた難燃性を有するが、熱分解によりハロゲン化水素などの有害なハロゲン化物やポリ臭素化されたジベンゾダイオキシンおよびフランが生成するといった環境の問題が指摘されるようになった。このような理由から臭素含有難燃剤に代る難燃剤としてリン化合物が検討されている。
【0003】リン化合物を用いた難燃化の機構としては「最新 難燃剤・難燃化技術」 株式会社 技術情報協会発行(1999年)113頁等に概説されている。難燃化のために用いられるリン化合物としては、様々なものが検討されているが、耐熱性などのエポキシ樹脂硬化物の優れた特性を損なわないために、エポキシ樹脂と何らかの化学反応によってエポキシ樹脂骨格にリン化合物を組み込む方法が試みられている。
【0004】たとえば、エポキシ樹脂中にリン化合物を組み込むため、エポキシ基と反応できる活性水素を有するリン化合物を用いる方法が開示されている。このようなリン化合物として特願昭43−34168号記載の9,10―ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドなどの1個の活性水素を有するリン化合物、あるいは特願昭58−231508号記載の10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサー10−ホスファフェナントレンー10−オキサイドなどの2個の活性水素を有するリン化合物などが用いられている。
【0005】しかし、エポキシ基と反応できる1個の活性水素を持つリン化合物を使用した場合には、エポキシ樹脂との反応において末端停止剤として働くため、硬化物は不完全な網目構造を持ち、耐熱性が低下する。このような観点から、エポキシ基と反応できる2個の活性水素を持つリン化合物を用いる方法も試みられている。しかし、エポキシ基と反応できる2個の活性水素を持つリン化合物を用いた場合でも従来提案されている方法(特願平11−16485号等)では、半導体基板などで要求される優れた耐熱性を持つ硬化物が得られていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、ハロゲン系難燃剤を使用しなくても優れた難燃性を発現し、かつ高耐熱な硬化物を得るリン含有エポキシ樹脂、該リン含有エポキシ樹脂を用いた難燃性高耐熱エポキシ樹脂組成物、および該難燃性高耐熱エポキシ樹脂組成物を用いたプリプレグ、絶縁層及び積層板を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意検討した結果、3官能エポキシ樹脂などの特定成分を特定量使用することで、ハロゲン系難燃剤を使用しなくても優れた難燃性を発現し、かつ優れた耐熱性を実現できるリン含有エポキシ樹脂、該リン含有エポキシ樹脂を用いた難燃性高耐熱エポキシ樹脂組成物および該難燃性高耐熱エポキシ樹脂組成物を用いたプリプレグ及び積層板を完成した。この場合、特に前記リン含有エポキシ樹脂は、エポキシ基と反応できる活性水素を2個以上有する有機リン化合物と芳香環を有する3官能エポキシ樹脂と反応させたものが好ましいことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】即ち、本発明の要旨は、下記の通りである。本発明に係るリン含有エポキシ樹脂は、有機リン化合物5〜50重量部、3官能エポキシ樹脂30〜70重量部、2官能エポキシ樹脂5〜50重量部および2官能フェノール化合物0〜20重量部を反応させて得られることを特徴としている。ただし、前記各成分の重量部は、リン含有エポキシ樹脂100重量部に対する量である。
【0009】前記有機リン化合物は、エポキシ基と反応する有機リン化合物であることが好ましい。前記有機リン化合物は2個以上の活性水素を有しており、前記3官能エポキシ樹脂は芳香環を有することが好ましい。前記有機リン化合物は、リン原子に結合した1個の活性水素を有する化合物類とキノン化合物とを反応させて得られる有機リン化合物であることが好ましい。
【0010】本発明に係るリン含有エポキシ樹脂のエポキシ当量は、250〜1000g/eqであることが好ましい。本発明に係る難燃性高耐熱エポキシ樹脂組成物は、前記リン含有エポキシ樹脂と硬化剤とを含有することを特徴としている。本発明に係るプリプレグは、前記難燃性高耐熱エポキシ樹脂組成物を用いることを特徴としている。
【0011】本発明に係る積層板は、前記難燃性高耐熱エポキシ樹脂組成物を用いることを特徴としている。
【0012】
【発明の実施形態】<リン含有エポキシ樹脂>本発明に係るリン含有エポキシ樹脂は、特定量の有機リン化合物と、特定量の3官能エポキシ樹脂と、特定量の2官能エポキシ樹脂と、さらに必要に応じ2官能フェノール化合物とを反応させて得られる。以下、これらについて詳細に述べる。
【0013】[3官能エポキシ樹脂]本発明で用いる3官能エポキシ樹脂に由来する成分は、リン含有エポキシ樹脂中に、リン含有エポキシ樹脂100重量%に対して、30〜70重量%、より好ましくは35〜65重量%含むことが必要である。また、リン含有エポキシ樹脂の製造に用いる前記3官能エポキシ樹脂の使用量は、有機リン化合物と、3官能エポキシ樹脂と、2官能エポキシ樹脂と、2官能フェノール化合物との合計量100重量部に対し、30〜70重量部、より好ましくは35〜65重量部であることが望ましい。
【0014】3官能エポキシ樹脂の使用量または3官能エポキシ樹脂由来成分の含有量が30重量%(部)よりも少ないと、硬化物への難燃性の付与が困難であるだけでなく、ガラス転移温度(以下Tgとする)が低下することがあり好ましくなく、多すぎると分子量が増大することがあり、溶解性、含浸性が悪くなることがある。本発明に用いる3官能エポキシ樹脂は、芳香環を有する化合物であることが好ましく、たとえば公知の方法でトリスフェノール化合物とエピクロロヒドリンの縮合によって得られる。前記、トリスフェノール化合物としては特に拘るものでないが、1−[α−メチル−α−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]−4−[α、α−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、1,3,5−トリス[α−メチル−α−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、1,1,1−トリス(ヒドロキシフェニル)メタン、1−[α−メチル−α−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]−3−[α、α−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等の芳香族環含有率の高いトリスフェノール化合物が難燃性発現の観点から好ましい。
【0015】本発明に用いられる3官能エポキシ樹脂は該3官能エポキシ樹脂中の3官能グリシジル化体成分含有率が、好ましくは60%以上、更に好ましくは80%以上であることが望ましい。5官能以上のグリシジル化体成分が多くなると、前記有機リン化合物との反応時に高分子量化が進み、溶剤への溶解性の低下、基材への含浸性悪化、Tgの低下が起こることがあり好ましくない。また、同様の観点から、4官能以上のエポキシ樹脂、特にノボラック型エポキシ樹脂の使用は必要最小限に、好ましくは使用しない方が良い。
【0016】[有機リン化合物]本反応に用いられる有機リン化合物は、エポキシ基と反応可能な化合物であることが好ましく、該有機リン化合物は好ましくは2個以上の活性水素を有している。該活性水素はエポキシ基と反応できることが好ましい。このような有機リン化合物は、好ましくはリン原子に結合した1個以上の活性水素を有する化合物類とキノン化合物とを反応させて得られる化合物である。
【0017】具体的には、好ましくは9,10−ジヒドロ―9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドあるいはジフェニルホスフィンオキサイド等の活性水素を1個以上持つ化合物と1,4−ベンゾキノン、1,4−ナフトキノン、トルキノンなどのキノン化合物と反応して得られる有機リン化合物が挙げられる。
【0018】本発明において、リン含有エポキシ樹脂中の前記有機リン化合物に由来する成分の含有率は5〜50重量%が好ましい。更に好ましくは10〜35重量%が良い。また、リン含有エポキシ樹脂の製造に用いる前記有機リン化合物の使用量は、有機リン化合物と、3官能エポキシ樹脂と、2官能エポキシ樹脂と、2官能フェノール化合物との合計量100重量部に対し、5〜50重量部、好ましくは10〜35重量部であることが望ましい。
【0019】有機リン化合物の含有率または使用量が低いと難燃性発現が不十分となることがあり、また多過ぎるとリン含有エポキシ樹脂の分子量が増大し、溶解性、含浸性などが悪化することがある。
[2官能エポキシ樹脂および2官能フェノール化合物]本発明においては、エポキシ当量を目標範囲に制御し、かつ目標レベル以上の硬化物性能を達成するために、有機リン化合物および3官能エポキシ樹脂の他に2官能エポキシ樹脂を特定量併用する。
【0020】また、さらに、有機リン化合物、3官能エポキシ樹脂および2官能エポキシ樹脂の他に、2官能フェノール化合物を併用することができる。2官能フェノール化合物を併用することにより、リン含有エポキシ樹脂のエポキシ当量を350g/eq以上に制御することが容易になる。使用する有機リン化合物および3官能エポキシ樹脂の種類、量によって2官能エポキシ樹脂、2官能フェノール化合物に由来する成分の含有量は異なるが、リン含有エポキシ樹脂100重量部中、2官能エポキシ樹脂に由来する成分が5〜50重量部および2官能フェノール化合物に由来する成分が0〜20重量部であることが好ましい。
【0021】更に好ましくは、2官能エポキシ樹脂に由来する成分が10〜40重量部および2官能フェノール化合物に由来する成分が0〜10重量部であることが望ましく、特に、2官能フェノール化合物に由来する成分の含有量は、0〜7重量部であることが望ましい。また、リン含有エポキシ樹脂の製造に用いる前記2官能エポキシ樹脂の使用量は、有機リン化合物と、3官能エポキシ樹脂と、2官能エポキシ樹脂と、2官能フェノール化合物との合計量100重量部に対し、5〜50重量部、好ましくは10〜40重量部であることが望ましい。
【0022】また、リン含有エポキシ樹脂の製造に用いる前記2官能フェノール化合物の使用量は、有機リン化合物と、3官能エポキシ樹脂と、2官能エポキシ樹脂と、2官能フェノール化合物との合計量100重量部に対し、0〜20重量部、好ましくは0〜10重量部、さらに好ましくは0〜7重量部であることが望ましい。2官能エポキシ樹脂が少ないとリン含有エポキシ樹脂が高分子量化し、溶解性、含浸性が悪化することがある。また2官能エポキシ樹脂が多すぎると硬化物のTgが低下することがあり、好ましくない。
【0023】さらに、2官能フェノール化合物が多すぎるとリン含有エポキシ樹脂が高分子量化することがあり、好ましくない。使用する2官能エポキシ樹脂および2官能フェノール化合物は一般に市販されているもので良いが、特に、ビスフェノールA、ビスフェノールEおよびビフェノール系化合物及びそれらのグリシジル化物が難燃性、Tgの観点から好ましい。
【0024】[その他の成分]本発明においてリン含有エポキシ樹脂に他のエポキシ樹脂を添加することができる。特にエポキシ樹脂の種類、量の限定はないが、本発明のリン含有エポキシ樹脂の性能を悪化しない範囲での使用が好ましく、アラルキル型フェノール樹脂のエポキシ化体、o−フェニルフェノールノボラック樹脂のエポキシ化体などの芳香族環含有率の高い多官能エポキシ樹脂が好ましい。
【0025】[リン含有エポキシ樹脂]本発明に係るリン含有エポキシ樹脂の製造方法に特に制限はないが、前記特定量の有機リン化合物と、前記特定量の3官能エポキシ樹脂と、前記特定量の2官能エポキシ樹脂と、必要に応じ特定量の2官能フェノール化合物、その他の成分とを混合し、好ましくは100〜200℃の温度で加熱し、好ましくは3時間〜10時間程度反応させることによりほぼ定量的に得ることができる。
【0026】このようにして得られるリン含有エポキシ樹脂のエポキシ当量は250〜1000g/eqが好ましい。また、一般には、更に好ましくは350〜600g/eqであることが望ましい。エポキシ当量が前記範囲にあると、本発明のリン含有エポキシ樹脂の硬化物の吸水率増加、吸湿耐熱性の低下を抑制することができ、特にエポキシ当量が350g/eq以上あると、その効果が有効に発揮される。
【0027】エポキシ当量が低いと硬化剤使用量の増大による難燃性、耐熱性の悪化が起こることがあり、また、エポキシ当量が増大すると含浸性、溶解性が悪化したり、また硬化物のTgが低下することがあり、好ましくない。なお、後述する難燃性高耐熱エポキシ樹脂組成物に含まれる硬化剤の使用量を少なくしたい場合には、リン含有エポキシ樹脂のエポキシ当量を300g/eq未満、特に、250g/eq以上300g/eq未満とすることが好ましい。
【0028】<難燃性高耐熱エポキシ樹脂組成物およびそのプリプレグまたは積層板>本発明における難燃性高耐熱エポキシ樹脂組成物は前記リン含有エポキシ樹脂と硬化剤からなる。一般にエポキシ樹脂の硬化に使用している硬化剤を使用できるが、本発明においては、ジシアンジアミド、アラルキル型フェノール樹脂、o−フェノールノボラック、p−フェノールノボラック、レゾルシノールノボラック、ヒドロキノンノボラックなどが好ましく、特にジシアンジアミドが好ましい。
【0029】硬化剤の使用量は、リン含有エポキシ樹脂のエポキシ当量当たり好ましくは0.30〜1.2当量の量で使用される。さらに好ましくは0.35〜0.6当量であることが望ましい。ジシアンジアミドを使用する場合には、リン含有エポキシ樹脂のエポキシ当量当たり好ましくは0.35〜0.7当量の量で使用される。さらに好ましくは0.35〜0.6当量であることが望ましい。
【0030】特に、本発明では、特定量の3官能エポキシ樹脂を用いており、ジシアンジアミドなどの前記硬化剤の使用量が0.35〜0.45当量でも、優れた難燃性、耐熱性を有するエポキシ樹脂を得ることができる。また、本発明で使用する活性水素を2個有する有機リン化合物を硬化剤として併用することもできる。
【0031】本発明において、難燃性高耐熱エポキシ樹脂組成物に硬化促進剤を使用できる。好適にはイミダゾール類、例えば2−エチルー4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾールおよび1−ブチルー2−メチルイミダゾールなどであり、更にホスフィンも使用できる。難燃性高耐熱エポキシ樹脂組成物に溶剤を使用する場合は、組成物と反応しない溶剤であれば特に限定しない。例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレンなどであり、これらを併用しても良い。
【0032】この難燃性高耐熱エポキシ樹脂組成物をガラス布、ガラス繊維で強化して使用する。この難燃性高耐熱エポキシ樹脂組成物は、メラミン、リン成分の難燃剤、シリカ、タルク、酸化アルミニウム水和物、水酸化アルミニウムなどの充填材を充填することができる。これら充填材を使用した場合は、有機リン化合物の量を減少できる。この難燃性高耐熱エポキシ樹脂組成物はプリプレグおよび積層板に用いる他、表面コーティング、樹脂付き銅箔、および接着剤などに用いることができる。
【0033】積層板用として使用される場合は、溶剤に溶かしてワニス化し、ガラス織布、ガラス不織布、ガラス以外の織布、不織布、へ含浸し、80〜170℃で乾燥し、プリプレグを得る。これを必要枚数重ねあわせ更に銅箔を組み合わせて、加熱・加圧することにより積層板を得る。更に、銅等の金属箔への塗布、充填剤を混練し、ペースト化したもののシート、フィルム化、等の形態で使用できる。
【0034】このようなプリプレグ、積層板は、電子回路、電子部品等に用いることができる。
【0035】
【実施例】以下の実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。評価や測定は次の方法に従った。3官能エポキシ化体含有率はGPCで測定したヒストグラム面積比で表した。カラムはShodex KF801を2本とKF802を2本の組み合わせで、検出器はUV検出器、溶出液はTHFで1ml/分の流速で流した。
【0036】エポキシ当量は塩酸−ジオキサン法で測定した。Tgはセイコー電子(株)製TMA/SS100で測定した。圧縮モードで荷重は5g、10℃/分の昇温速度で測定した。燃焼試験はUL−94規格に従い垂直燃焼試験により評価した。銅箔ピール強度、半田耐熱性はJIS C6481に準じて測定し、半田耐熱は121℃、湿度100%の蒸気相中で5時間吸水処理を行なった後、260℃の半田槽に20秒浸漬し、膨れ、剥離等の外観異常の有無を調べた。外観異常のない場合をA、外観異常のある場合をCとした。
【0037】実施例及び比較例では10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(HCA−HQ、三光化学(株)製)、およびジフェニルホスフィニルハイドロキノン(PPQ、北興化学工業(株)製)及び9,10―ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド(三光化学(株)製HCA)の有機リン化合物を使用した。
【0038】
【合成例1】5Lセパラブルフラスコに有機リン化合物(10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレンー10−オキシド(HCA−HQ三光化学(株)製)70.5g、1−[α−メチル−α−(4−ヒドロキシフェニル)エチル]−4−[α、α−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼンのエポキシ樹脂(TECHMORE VG3101三井化学(株)製、エポキシ当量210g/eq、3官能グリシジル化体成分87%)165g、ビスフェノール−A型エポキシ樹脂(EPOMIK R139S 三井化学(株)製)64.5g、トリフェニルホスフィン0.1gを添加し、150℃で5時間加熱することにより、エポキシ当量472g/eq、リン含有率2.25重量%のリン含有エポキシ樹脂を得た。
【0039】
【合成例2〜7】表1に示す原料を使用し、合成例1と同様の操作で得た、合成例2〜7の結果を表1に示す。
【0040】
【合成例8】5Lセパラブルフラスコに有機リン化合物(10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレンー10−オキシド(HCA−HQ三光化学(株)製)62.7g、フェノールノボラックのエポキシ樹脂(エポキシ当量190g/eq)237.3g、トリフェニルホスフィン0.1gを添加し、150℃で加熱、攪拌した。反応途中で反応生成物がゲル化し、反応を中断した。
【0041】
【合成例9〜11】表1に示す原料を使用し、合成例1と同様の操作で得た、合成例9〜11の結果を表1に示す。
【0042】
【表1】

【0043】
【表2】

【0044】
【実施例1】合成例1で得たリン含有エポキシ樹脂100gを50g のメチルエチルケトンに溶解し、メチルセロソルブ:ジメチルホルムアミド=3:2の混合溶液に溶解したジシアンジアミド10重量%溶液を22g、メチルセロソルブに溶解した10重量%2−エチル−4−メチルイミダゾール溶液を2g添加混合し、ワニス組成物を得た。このワニス組成物を100μmのガラスクロス(日東紡績(株)製WE 116E)に含浸したものを150℃のオーブン中で5分乾燥し、プリプレグを作製した。作製したプリプレグを4ply重ね真空ホットプレス装置で170℃で60分硬化し、燃焼試験用テストピースを作製した。同様にプリプレグ12plyでTg測定用テストピースを、プリプレグ4plyを18μm銅箔(三井金属鉱業(株)製3EC−III)で上下を挟み込んで銅箔接着強度および吸湿耐熱性試験用テストピースを作製した。このもののTgは174℃、難燃性はUL−94でV−0、銅箔ピール強度は14.1N/cm、半田耐熱性はC−6/121/100吸湿処理後(121℃、100%の湿度の蒸気相で6時間吸湿処理後)で膨れ、剥離は発生しなかった。
【0045】
【実施例2〜7、9〜11】合成例1〜7で得たリン含有エポキシ樹脂について、実施例1と同様の操作を行なった。結果を表2に示す。
【0046】
【実施例8】合成例3で得たエポキシ樹脂90gとアラルキルフェノール型エポキシ樹脂(三井化学(株)製E−XLC−LL、エポキシ当量244g/eq)10gを混合した樹脂について、実施例1と同様の操作を行なった。結果を表2に示す。
【0047】
【比較例1〜4】合成例8 〜11のリン含有エポキシ樹脂について実施例1と同様の操作を行なった。評価結果を表3に示す。
【0048】
【表3】

【0049】
【表4】

【0050】
【発明の効果】本発明はハロゲン系難燃剤を使用することなく優れた難燃性を有し、かつ優れた耐熱性を有する硬化物を与えるリン含有エポキシ樹脂である。また、該リン含有エポキシ樹脂と硬化剤との組み合わせによる難燃性高耐熱エポキシ樹脂組成物および今後ノンハロ材料として要求されるプリプレグ、積層板を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
【出願日】 平成13年9月5日(2001.9.5)
【代理人】 【識別番号】100081994
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 俊一郎 (外1名)
【公開番号】 特開2002−206019(P2002−206019A)
【公開日】 平成14年7月26日(2002.7.26)
【出願番号】 特願2001−268891(P2001−268891)