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【発明の名称】 水性ポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂の製造方法
【発明者】 【氏名】車谷 昌彦

【氏名】山本 敏

【氏名】西村 信司

【要約】 【課題】エピクロロヒドリン(EP)の分解物が反応系内で蓄積されることなく、ポリアミドアミン樹脂(PA:中間物)や低分子量域の樹脂を含むポリアミドアミン―エピクロロヒドリン樹脂(PAE)をリサイクルする、高分子量PAE濃厚液の製造方法の提供。

【解決手段】Mw3千以上のPAE、Mw3万以下のPA及びEP分解物を含有する水性混合液を、下記工程の順に処理する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】重量平均分子量が3000以上であるポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂、重量平均分子量が30000以下であるポリアミドアミン樹脂、及び、エピクロロヒドリンの分解物を含有する水性混合液を2種の膜により処理して、ポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂の濃厚液を製造する方法であって、下記の(1)〜(3)の工程からなることを特徴とする水性ポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂の製造方法:(1)分画分子量が約5000〜約30000の範囲である限外濾過膜により上記水性混合液を処理して、低分子量域の樹脂が除去されたポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂を主成分とする樹脂の濃厚液と、エピクロロヒドリンの分解物、高分子量域の樹脂が除去されたポリアミドアミン樹脂、及び、高分子量域の樹脂が除去されたポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂を含む透過液aとを得る工程、(2)工程(1)で得た透過液aをナノ濾過膜により処理して、エピクロロヒドリンの分解物を含有する透過液bと、上記の高分子量域の樹脂が除去されたポリアミドアミン樹脂及び高分子量域の樹脂が除去されたポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂とを含む濃縮液cを得る工程、(3)工程(2)で得た濃縮液cを、重量平均分子量が3000〜100000の範囲であるポリアミドアミン樹脂及びエピクロロヒドリンと反応させ、重量平均分子量が3000以上であるポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂、重量平均分子量が30000以下であるポリアミドアミン樹脂、及び、エピクロロヒドリンの分解物を含有する水性混合液を得る工程。
【請求項2】更に、工程(2)で得た透過液bを逆浸透膜により処理し、得られる透過水dの一部又は全部を工程(3)の反応媒体として再使用する請求項1に記載の方法。
【請求項3】4.8重量%p−トルエンスルホン酸ナトリウム水溶液を基準物質として測定したときに、式 阻止率R(%)=[1−(Cf/4.8)]×100 (1)
[式中、Cfは、ナノ濾過膜処理により得られる透過液b中のp−トルエンスルホン酸ナトリウムの重量%濃度である。]で算出されるナノ濾過膜の阻止率Rが、50〜90%の範囲である請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】エピクロロヒドリンの分解物が、モノクロロヒドリン、1,3−ジクロロヒドリン又は1,2−ジクロロヒドリンである請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水性ポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂の製造方法に関し、詳しくは、2種の膜を用いて回収した比較的低分子量のポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂とポリアミドアミン樹脂の混合物をエピクロロヒドリンと反応させ、得られた反応液を最初の膜処理により精製・分離し、低分子量域の樹脂が除去されたポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂を主成分とする樹脂の濃厚液(有価物)を連続的に取出す水性樹脂の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】尿素−ホルムアルデヒド樹脂やメラミン−−ホルムアルデヒド樹脂の水溶液を製造する方法としては、例えば図2に記載のように、先ず、限外濾過膜(10)により高分子量ポリマーの濃縮液(有価物)と、低分子量ポリマー、モノマー及び副生成物を含む透過液を得、次いで、上記透過液を逆浸透膜(7)により濃縮して、該濃縮処理により得た濃縮液はタンク(3)を経由して反応槽(20)に戻し、この反応槽で低分子量ポリマーやモノマーを再度反応させる一方、逆浸透膜の透過側から得られる透過液は上記再反応により得られた反応液とタンク(2)内で混合して、混合液を得、この混合液を前記限外濾過膜により処理して、上記の高分子量ポリマーの濃縮液と、低分子量ポリマー、モノマー及び副生成物を含む透過液とを得る水性樹脂の製造方法が公知である(特公平7−74257号公報を参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公知の方法は、限外濾過膜で処理して得られる透過液を更に逆浸透膜により濃縮処理し、濃縮処理により得られた濃縮液を反応槽に戻し、一方、逆浸透膜の透過側から得られる透過液は前記再反応により得られた反応液と混合するものであり、ポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂の製造に適用しても、エピクロロヒドリンの分解物が限外濾過膜処理で得られる透過液側に残存し、このエピクロロヒドリンの分解物は逆浸透膜処理により濃縮され、このエピクロロヒドリンの分解物が濃縮された液はタンク(3)を経由して前記反応槽にリサイクルされるので、反応系内で蓄積されるという問題点があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂、ポリアミドアミン樹脂及びエピクロロヒドリンの分解物を含有する水性混合液を特定の2種の膜により処理すると、エピクロロヒドリン分解物の含有量が実質的に問題のないレベルまで低減されたポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂を主成分とする樹脂の濃厚液(有価物)を効率よく製造できることを見出して、本発明を完成した。
【0005】即ち、本発明は、重量平均分子量が3000以上であるポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂、重量平均分子量が30000以下であるポリアミドアミン樹脂、及び、エピクロロヒドリンの分解物を含有する水性混合液を2種の膜により処理して、ポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂の濃厚液を製造する方法であって、下記の(1)〜(3)の工程からなることを特徴とする水性ポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂の製造方法を提供するものである。
【0006】(1)分画分子量が約5000〜約30000の範囲である限外濾過膜により上記水性混合液を処理して、低分子量域の樹脂が除去されたポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂の濃厚液と、エピクロロヒドリンの分解物、高分子量域の樹脂が除去されたポリアミドアミン樹脂、及び、高分子量域の樹脂が除去されたポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂を含む透過液aとを得る工程、(2)工程(1)で得た透過液aをナノ濾過膜により処理して、エピクロロヒドリンの分解物を含有する透過液bと、上記の高分子量域の樹脂が除去されたポリアミドアミン樹脂及び高分子量域の樹脂が除去されたポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂とを含む濃縮液cを得る工程、(3)工程(2)で得た濃縮液cを、重量平均分子量が3000〜100000の範囲であるポリアミドアミン樹脂及びエピクロロヒドリンと反応させ、重量平均分子量が3000以上であるポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂、重量平均分子量が30000以下であるポリアミドアミン樹脂、及び、エピクロロヒドリンの分解物を含有する水性混合液を得る工程。以下、本発明を詳細に説明する。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明で用いられる重量平均分子量が3000以上であるポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂、重量平均分子量が30000以下であるポリアミドアミン樹脂、及び、エピクロロヒドリンの分解物を含有する水性混合液は、例えば、水性媒体中で、アルキレンジカルボン酸とアルキレンジアミンを反応させて得たポリアミドアミン樹脂(樹脂中間物)とエピクロロヒドリンとを反応させることにより得られる。この反応により、エピクロロヒドリンの分解物が副生するが、分解物Cとしては、例えば、モノクロロヒドリン、1,3−ジクロロヒドリンや1,2−ジクロロヒドリンが挙げられる。上記反応により得た反応液を、分画分子量が約5000〜約30000の範囲である限外濾過膜により処理すると、低分子量域の樹脂が除去されたポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂を主成分とする樹脂(以下、有価物Aという)の濃厚液と、エピクロロヒドリンの分解物、高分子量域の樹脂が除去されたポリアミドアミン樹脂(以下、樹脂Bという)、及び、高分子量域の樹脂が除去されたポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂を含む透過液aとが得られる。
【0008】工程(1)で得た透過液aは、工程(2)においてナノ濾過膜により処理される。このナノ濾過膜処理により、エピクロロヒドリンの分解物Cのみを含有する透過液bと、上記のポリアミドアミン樹脂B及び高分子量域の樹脂が除去されたポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂とを含む濃縮液cとが得られる。本発明の工程(3)においては、上記濃縮液cを、重量平均分子量が3000〜100000の範囲であるポリアミドアミン樹脂(以下、原料B'という)及びエピクロロヒドリン(以下、原料B狽いう)と反応させ、重量平均分子量が3000以上であるポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂(高分子量域の樹脂も含む)、重量平均分子量が30000以下であるポリアミドアミン樹脂(樹脂Bや原料B'とは、分子量分布が異なる)、及び、エピクロロヒドリンの分解物Cを含有する水性混合液を得ることができる。
【0009】工程(1)の限外濾過膜(10)処理は、分画分子量が約5000〜約30000の範囲の膜を用いるが、約7000〜約20000の範囲の膜を用いることがより好ましい。分画分子量が小さすぎる場合は、除去したい低分子量域のポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂及びポリアミドアミン樹脂が残存し、十分な精製効果が得られないだけでなく、透過流束が低下し、効率的ではない。一方、分画分子量が大きすぎる場合は有価物Aも一部透過してしまい、有価物Aの回収率が低下する。水性混合液中のポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂及び重量平均分子量が30000以下であるポリアミドアミン樹脂の合計濃度は、好ましくは0.1〜35重量%の範囲であり、より好ましくは1〜30重量%の範囲であり、特に好ましくは5〜30重量%の範囲である。水性混合液中のポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂及び重量平均分子量が30000以下であるポリアミドアミン樹脂の合計濃度が35重量%を越えると、濾過速度が低下する傾向があり、結果として、十分な濃縮を行うことができないことがある。
【0010】限外濾過膜(10)としては、例えば、クロスフロー型濾過形式の膜が好ましい。形状は特に限定されず、平膜型、スパイラル型、チューブラー型、中空糸型等が例示される。同様に、膜材質についても特に限定されず、脂肪族系ポリアミド、芳香族系ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、スルホン化ポリスルホン、ポリアクリルニトリル、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、セルロース、酢酸セルロース、ポリエーテル、テトラフルオロエチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエステル及びセラミック製のもの等が例示される。これらのうち、芳香族系ポリアミド、ポリアクリルニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、スルホン化ポリスルホン、ポリビニルアルコール、ポリイミド等が特に好ましい。限外濾過膜(10)による濃縮は、所望の有価物Aの濃度に応じて適宜行われるが、2〜5倍濃縮の範囲が好ましい。
【0011】工程(2)において用いるナノ濾過膜(10')としては、4.8重量%p−トルエンスルホン酸ナトリウム水溶液を基準物質として測定したとき、式(1)
阻止率R(%)=[1−(Cf/4.8)]×100 (1)
[式中、Cfはナノ濾過膜処理により得られた透過液b中のp−トルエンスルホン酸ナトリウムの重量%濃度である。]で算出される阻止率が50〜90%の範囲である膜が好ましく、阻止率Rが70〜90%の範囲であるものがより好ましく、阻止率が80〜90%の範囲のものが特に好ましい。阻止率Rが90%よりも高いナノ濾過膜は、エピクロロヒドリンの分解物Cの膜透過性が低下し、濃縮液側に上記分解物Cが比較的多く混入し、有価物A及びポリアミドアミン樹脂Bの濃縮時に十分な精製効果が得られないという傾向がある。一方、阻止率Rが50%よりも低いナノ濾過膜は、エピクロロヒドリンの分解物Cの膜透過性は良好に維持されるものの、高分子量域の樹脂が除去されたポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂A'及びポリアミドアミン樹脂Bの十分な回収が達成できないという傾向がある。ナノ濾過膜(10')の濾過形式、形状及び膜材質は限外濾過膜(10)で例示したものと同様のものが挙げられる。
【0012】本発明においては、工程(2)と工程(3)の間に、更に、逆浸透膜(7)による処理を行うことが好ましい。これらの工程の間において用いられる逆浸透膜としては、例えば、逆浸透膜処理後に得られる透過水の水質を向上させるため、式(2)
R'(%)=[1−(Cf'/Co')]×100 (2)
[式中、Co'は逆浸透膜入口部におけるエピクロロヒドリンの分解物Cの重量%濃度、Cf'は逆浸透膜を透過した透過水d中のエピクロロヒドリンの分解物Cの重量%濃度を表す。]で示されるエピクロロヒドリンの分解物の阻止率R'が高い膜が好ましい。逆浸透膜(7)の濾過形式、形状及び膜材質は限外濾過膜で例示したものと同様のものが挙げられる。
【0013】以下、本発明の実施における好ましい形態を、図1を参照しながら説明する。図1記載の方法では、先ず、分画分子量が約5000〜約30000の範囲である限外濾過膜(10)により、水性混合液から有価物Aを精製、分離処理する(以下、膜処理Iという)。一方、膜処理Iにより得た透過液aをナノ濾過膜(10')により処理して(以下、膜処理IIという)、エピクロロヒドリンの分解物Cを含有する透過液bと、高分子量域が除去されたポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂A'及び高分子量域が除去されたポリアミドアミン樹脂Bを含有する濃縮液cを得る。続いて、膜処理IIにより得た透過液bを逆浸透膜(7)により濃縮処理する(以下、膜処理IIIという)。膜処理Iにおける水性混合液は、重量平均分子量が3000以上であるポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂[比較的低分子量域の樹脂からなるポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂A'と比較的高分子量域の樹脂からなる有価物Aが存在する]、重量平均分子量が30000以下であるポリアミドアミン樹脂[少量の比較的低分子量域の樹脂からなるポリアミドアミン樹脂Bと、少量の比較的高分子量低分子量域の樹脂からなるポリアミドアミン樹脂が存在する]、及び、エピクロロヒドリンの分解物Cを含有している。上記の重量平均分子量が3000以上であるポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂、重量平均分子量が30000以下であるポリアミドアミン樹脂及びエピクロロヒドリンの分解物Cを含有する水性混合液の膜処理Iによる精製、分離は、濃縮液中の有価物Aの濃度が約20〜30重量%の範囲になる時点を目安として行われる。
【0014】ナノ濾過膜による膜処理IIは、膜処理Iにより得られる透過液aを5〜20倍程度に濃縮することが好ましく、これにより、エピクロロヒドリンの分解物Cを選択的に膜透過させ、濃縮液c中に上記分解物Cが蓄積することを防止するという作用がある。又、膜処理IIにより、ポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂A'及びポリアミドアミン樹脂Bを含有する濃縮液cの反応槽(20)への循環再使用が可能になる。更に、式(1)で算出される阻止率Rが50〜90%の範囲であるナノ濾過膜を用いる場合は、上記分解物Cを選択的に膜透過させることにより、廃棄物である濃縮水e中の分解物Cを濃縮する膜処理IIIの負荷が減少し、膜処理Iにより得られる透過液aをそのまま膜処理IIIで濃縮する場合に比べて、一層の高濃縮化を図ることができ、効率的な焼却処理が可能になる。膜処理IIIによる透過水dは、その一部又は全部を、工程(3)の反応媒体として再使用することができる。
【0015】膜処理IIにより得た上記の濃縮液c中には、ポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂A'及びポリアミドアミン樹脂Bが含有されているが、この濃縮液cは、反応槽(20)に移送されて、重量平均分子量が3000〜100000の範囲であるポリアミドアミン樹脂(原料B')及びエピクロロヒドリンと反応させ、重量平均分子量が3000以上であるポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂、重量平均分子量が30000以下であるポリアミドアミン樹脂、及びエピクロロヒドリンの分解物Cを含有する水性混合液が得られる。上記原料B'とエピクロロヒドリンの反応により生成した重量平均分子量が30000以下であるポリアミドアミン樹脂は、原料B'とは分子量分布が変化し、比較的低分子量域の樹脂からなるポリアミドアミン樹脂Bと比較的高分子量域の樹脂からなるポリアミドアミン樹脂の混合物である。
【0016】膜処理Iにおいて、上記の水性混合液(反応液)が膜に入る際の圧力は、好ましくは0.3〜3MPaの範囲であり、より好ましくは0.4〜1.5MPaの範囲である。膜処理IIにおいて、透過液aが膜に入る際の圧力は、好ましくは0.5〜5MPaの範囲であり、より好ましくは1.5〜3.5MPaの範囲である。膜処理I及びII時の温度は、膜の耐用範囲であれば特に制限されないが、ポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂及びポリアミドアミン樹脂の高濃度化により、上記水性混合液や透過液aの粘度が上昇する場合は、30〜70℃の範囲が好ましい。又、膜処理IIIにおいて、透過液bが逆浸透膜に入る際の圧力は、好ましくは0.5〜7MPaの範囲であり、より好ましくは1.5〜4.5MPaの範囲である。膜処理III時の温度は、膜の耐用範囲であればよく、特に限定されない。
【0017】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例により何ら限定されるものではない。例中、「部」及び「%」は重量部及び重量%を意味する。
【0018】合成例1温度計、還流冷却器及び攪拌機を備えた反応容器に、ジエチレントリアミン413部、アジピン酸555部、水20部及び98%硫酸8部を仕込み、150〜160℃で15時間、脱水反応させた。次いで、得られた反応混合物に水を加えて樹脂分濃度を50%に調整し、粘度680Pa・sのポリアミドアミン樹脂の水溶液を得た。別の反応容器に、上記50%濃度の樹脂水溶液1290部及び水1170部を仕込み、内温を30℃以下に保ちながら、エピクロロヒドリン333部を加え、30〜35℃で4時間保温した。その後、60〜65℃で保温し、粘度が400MPa・sに達した時点で、硫酸により反応混合物のpHを3.4に調整し、更に水を加えて樹脂分濃度を15%に希釈し、粘度が40mPa・sの樹脂水溶液を得た。この樹脂水溶液中に含まれるジクロロヒドリン類は、樹脂分に対して2.8%であった。
【0019】実施例1<膜処理I>合成例1で得た粘度が40mPa・sの樹脂水溶液417部を、分画分子量が10000であるポリエーテルスルホン製の限外濾過膜を装着したクロスフロー濾過装置を用いて加圧下(1.2MPa)、室温で精製、分離処理した。先ず250部の透過液が得られるまで、透過液の流出速度と同じ速度で水を加えながら濾過し、更に257部の透過液が流出するまで樹脂水溶液を処理し、樹脂分濃度が20.1%である有価物Aと、溶質濃度が約4.5%である507部の透過液aを得た。透過液a中には、ポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂とポリアミドアミン樹脂の混合物(分子量500〜10000)が約4.2%、エピクロロヒドリン分解物Cが約0.3%含まれていた。
【0020】<膜処理II>4.8%のp−トルエンスルホン酸ナトリウム水溶液に対する阻止率が85.4%である芳香族ポリアミド製の高分子複合膜を装着したクロスフロー形式の濾過装置を用いて、507部の透過液aを室温、加圧(2.5MPa)下に、8.19倍濃縮して、30.5%のポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂を含有する濃縮液c約61部と、透過液b(約0.3%の分解物Cを含有)約44部を得た。上記濃縮液c中の分解物C含有量は0.96%(分解物Cが全量濃縮された場合の計算値は2.38%)であり、反応系へ濃縮液cを循環再使用することが可能と判断された。
【0021】<膜処理III>上記<膜処理II>で得た約440部の透過液bを、更に、食塩の阻止率が99.5%である芳香族ポリアミド製の逆浸透膜を装着したクロスフロー形式の濾過装置を用いて、室温、加圧(2.5MPa)下に、14.9倍濃縮した。エピクロロヒドリン分解物Cを2.34%含む濃縮水e(28.3部)と、411.7部の透過水dを得た[COD(化学的酸素要求量)62ppm]。なお、濃縮水eは焼却処理した。
【0022】<リサイクル>前記膜処理IIにおいて、透過液a量を3倍にする以外は同様に操作して得た濃縮液1690部と、合成例1と同様にして得られたポリアミドアミン樹脂の水溶液1290部(2級アミノ基として1当量)を反応容器に仕込み、水酸化ナトリウムを用いて系内のpHを約9に調整後、反応液を25〜35℃に保温しながら、エピクロロヒドリン333部(1.2当量)を4時間かけて滴下し、更に、同温度で5時間攪拌した。反応終了後、水を添加して、樹脂分濃度を35%に調整し、40℃まで昇温し、40〜60℃で更に5時間反応させた。その後、硫酸を用いてpH3.4に調整し、水を加えて樹脂分濃度が15%になるように希釈し、粘度43mPa・sの水性混合液を得た。この水性混合液2000部を前記<膜処理I>で用いた限外濾過膜装置を用いて、加圧下(1MPa)、40〜50℃で透過液の流出速度と同じ速度で水を加えながら、1200部の透過液を流出させた。次いで、上記膜装置を用いて、加圧下(1MPa)、40〜50℃で、950部の透過液を流出させた。その後、硫酸により、pHを3に調整し、更に水を加えて、樹脂分濃度を25%に調整して、粘度138mPa・sの水溶液を得た。この樹脂水溶液(有価物A)中のエピクロロヒドリン分解物C含有量は、樹脂分に対して約1.6%であった。
【0023】
【発明の効果】本発明によれば、エピクロロヒドリン分解物Cが反応系内で蓄積されることなく、重量平均分子量が30000未満であるポリアミドアミン樹脂や重量平均分子量が3000以上であるポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂をリサイクルすることができる。
【出願人】 【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学工業株式会社
【出願日】 平成13年1月5日(2001.1.5)
【代理人】 【識別番号】100093285
【弁理士】
【氏名又は名称】久保山 隆 (外2名)
【公開番号】 特開2002−201267(P2002−201267A)
【公開日】 平成14年7月19日(2002.7.19)
【出願番号】 特願2001−431(P2001−431)