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【発明の名称】 熱可塑性樹脂
【発明者】 【氏名】加藤 公哉

【氏名】山中 亨

【要約】 【課題】複素環アミン誘導体を媒介として高分子鎖間に水素結合を形成させることにより、弾性率が改善された熱可塑性樹脂を得る。

【解決手段】下記(A)〜(C)から選択される態様で複素環アミン誘導体を共重合した、主鎖中に2級アミノ基、および/あるいは末端に1級アミノ基を有する熱可塑性樹脂。
【特許請求の範囲】
【請求項1】下記(A)〜(C)から選択される態様で複素環アミン誘導体を共重合した、主鎖中に2級アミノ基、および/あるいは末端に1級アミノ基を有する熱可塑性樹脂。
(A)環を構成する窒素原子を2個以上含む複素環アミン誘導体を、主鎖中、あるいは末端に共重合する、(B)環を構成する窒素原子を1個含み、主骨格と結合する官能基を1個有する複素環アミン誘導体を、末端に共重合する、(C)環を構成する窒素原子を1個含み、主骨格と結合する官能基を2個有し、その官能基の1個が、少なくとも、複素環を構成する窒素原子の隣の原子以外に結合している複素環アミン誘導体を共重合する。
【請求項2】ガラス転移温度が室温(25℃)より高いことを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂。
【請求項3】2級アミノ基および1級アミノ基以外の、水素結合ドナーとして作用する官能基をさらに有することを特徴とする請求項1、2いずれか記載の熱可塑性樹脂。
【請求項4】水素結合ドナーとして作用する官能基が、ヒドロキシル基、および/あるいはカルボキシル基であることを特徴とする請求項3記載の熱可塑性樹脂。
【請求項5】水素結合ドナーとして作用する官能基が、複素環アミン誘導体残基に結合していることを特徴とする請求項3、4いずれか記載の熱可塑性樹脂。
【請求項6】熱可塑性樹脂の主骨格がポリアミドを構成する骨格であることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の熱可塑性樹脂。
【請求項7】ポリアミドがナイロン6、ナイロン66から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項6記載の熱可塑性樹脂。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高分子鎖間が水素結合により疑似架橋された熱可塑性樹脂に関するものである。
【0002】
【従来の技術】生体中の酵素に代表される生体高分子は、主としてアミノ酸の重合体であるタンパク質から合成され、このペプチド連鎖が、常温常圧で精密な分子集合構造を形成している。このような精密な高次構造を形成する駆動力となっているのが、水素結合である。近年、このような水素結合を利用して、樹脂の高次構造を制御し、機械特性を改良する研究が活発化している。
【0003】水素結合を利用した熱可塑性樹脂として、特開2000−169527号公報が知られている。この樹脂は、側鎖に、カルボニル含有基と複素環アミン含有基とを有し、これらの基の間に水素結合を形成させたエラストマー、およびプラスチック性ポリマーであり、ポリマーの主鎖を形成する原子(通常炭素)に、カルボニル基含有基、および複素環アミン含有基が共有結合した構造を有するものである。従って、カルボニル基、および複素環アミンは、側鎖に導入されたものであり、主鎖に導入されたものではなかった。そのため、水素結合部位が嵩高くなり、その結果、結晶性を大きく阻害し、機械特性を低下させるという問題があった。さらに、特開2000−273319号公報には、疑似架橋型樹脂が開示されている。この樹脂は、カルボニル基、カルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン酸基から選ばれる基を含有する第一の原子団と、窒素原子を含む複素環基、およびアミノ基を含有する第二の原子団を、水素結合させ、分子間を疑似架橋したものである。しかし、同公報に記載の如く、単に第一の原子団と第二の原子団を導入するのみでは樹脂の結晶性が十分でなく、機械特性の向上効果は未だ満足できるものではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、水素結合によって結晶性熱可塑性樹脂の機械特性を向上させるためには、水素結合の形成と結晶性をコントロールすることが必要であると考え、特定の複素環アミン誘導体を主鎖、あるいは末端に共重合し、その構造中に1級あるいは2級アミンを有する熱可塑性樹脂では、この複素環アミン誘導体を導入しない熱可塑性樹脂と比較して、貯蔵弾性率が飛躍的に向上することを見出し、本発明に到達した。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、(1)下記(A)〜(C)から選択される態様で複素環アミン誘導体を共重合した、主鎖中に2級アミノ基、および/あるいは末端に1級アミノ基を有する熱可塑性樹脂、(A)環を構成する窒素原子を2個以上含む複素環アミン誘導体を、主鎖中、あるいは末端に共重合する、(B)環を構成する窒素原子を1個含み、主骨格と結合する官能基を1個有する複素環アミン誘導体を、末端に共重合する、(C)環を構成する窒素原子を1個含み、主骨格と結合する官能基を2個有し、その官能基の1個が、少なくとも、複素環を構成する窒素原子の隣の原子以外に結合している複素環アミン誘導体を共重合する、(2)ガラス転移温度が室温(25℃)より高いことを特徴とする(1)記載の熱可塑性樹脂、(3)2級アミノ基および1級アミノ基以外の、水素結合ドナーとして作用する官能基をさらに有することを特徴とする(1)、(2)いずれか記載の熱可塑性樹脂、(4)水素結合ドナーとして作用する官能基が、ヒドロキシル基、および/あるいはカルボキシル基であることを特徴とする(3)記載の熱可塑性樹脂、(5)水素結合ドナーとして作用する官能基が、複素環アミン誘導体残基に結合していることを特徴とする(3)、(4)いずれか記載の熱可塑性樹脂、(6)熱可塑性樹脂の主骨格がポリアミドを構成する骨格であることを特徴とする(1)〜(5)いずれか記載の熱可塑性樹脂、(7)ポリアミドがナイロン6、ナイロン66から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする(6)記載の熱可塑性樹脂に関するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。
【0007】本発明の熱可塑性樹脂は下記(A)〜(C)から選択される態様で複素環アミン誘導体を共重合した、主鎖中に2級アミノ基、および/あるいは末端に1級アミノ基を有する熱可塑性樹脂である。
(A)環を構成する窒素原子を2個以上含む複素環アミン誘導体を、主鎖中、あるいは末端に共重合する、(B)環を構成する窒素原子を1個含み、主骨格と結合する官能基を1個有する複素環アミン誘導体を、末端に共重合する、(C)環を構成する窒素原子を1個含み、主骨格と結合する官能基を2個有し、その官能基の1個が、少なくとも、複素環を構成する窒素原子の隣の原子以外に結合している複素環アミン誘導体を共重合する。
【0008】態様(A)で用いる複素環アミン誘導体は、環を構成する窒素原子を2個以上含む複素環アミン誘導体である。かかる複素環アミン誘導体としては、ピラジン、ピリミジン、キナゾリン、キノキサリン、トリアジンを骨格とするアミン、カルボン酸、ジアミン、ジカルボン酸、アミノカルボン酸、アミノアミドの誘導体などが挙げられる。
【0009】このような複素環アミン誘導体を主鎖中に共重合する場合には、主骨格と結合できる官能基を2個以上有する誘導体が必要である。また、末端に共重合する場合には、主骨格と結合できる官能基を1個有する誘導体が必要である。
【0010】主鎖中に共重合する複素環アミン誘導体の具体例としては、3−アミノピラジン−2−カルボン酸、2,4−ジアミノピリミジン、4,5−ジアミノピリミジン誘導体などが挙げられる。また、末端に共重合する複素環アミン誘導体の具体例としては、2−アミノピリミジン、4−アミノピリミジン、アミノピラジン、2−ピラジンジカルボン酸、ピラジンアミド誘導体などが挙げられる。
【0011】態様(B)で用いる複素環アミン誘導体は、環を構成する窒素原子を1個含み、主骨格と結合する官能基を1個有する複素環アミン誘導体である。かかる複素環アミン誘導体としては、ピリジン、キノリンを骨格とするアミン、カルボン酸、ジアミン、ジカルボン酸、アミノカルボン酸、アミノアミド誘導体などが挙げられる。
【0012】これら複素環アミン誘導体の具体例としては、イソニコチン酸、ピコリン酸、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、4−ピリジンメタノールなどが挙げられる。
【0013】態様(C)で用いる複素環アミン誘導体は、環を構成する窒素原子を1個含み、主骨格と結合する官能基を2個有し、その官能基の1個が、少なくとも、複素環を構成する窒素原子の隣の原子以外に結合している複素環アミン誘導体である。かかる複素環アミン誘導体としては、ピリジン、キノリンを骨格とするアミン、カルボン酸、ジアミン、ジカルボン酸、アミノカルボン酸、アミノアミド誘導体などが挙げられる。
【0014】これら複素環アミン誘導体の具体例としては、2,3−ジアミピリジン、6−アミノニコチン酸、2−アミノニコチン酸、6−アミノニコチンアミド、3,5−ピリジンジカルボン酸、3,4−ピリジンジカルボン酸、2,3−ピリジンジカルボン酸、2,4−ピリジンジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸誘導体などが挙げられる。ここで、態様(C)の複素環アミン誘導体のうち、それら2個の官能基が、両方とも、複素環を構成する窒素原子の隣の原子に結合している2,6−ジアミノピリジン、2,6−ピリジンジカルボン酸等では、共重合によって熱可塑性樹脂の結晶性が阻害されるため、本発明の複素環アミン誘導体から除外される。
【0015】本発明の複素環アミン誘導体を共重合した、主鎖中に2級アミノ基、および/あるいは末端に1級アミノ基を有する熱可塑性樹脂に含まれるアミノ基は、水素結合ドナーとして、複素環アミン誘導体残基中の複素環を構成する窒素原子と水素結合を形成することが可能である。水素結合ドナーとは、酸素、窒素など電気陰性度の大きな原子に結合した水素原子を有する官能基である。水素結合ドナーは、酸素、窒素、フッ素などの電気陰性度の大きな原子、あるいはそれを含む官能基と水素結合を形成することができる。
【0016】また、本発明の熱可塑性樹脂の機械特性をさらに向上させるために、1級アミノ基および/あるいは2級アミノ基に加え、水素結合ドナーとして作用する他の官能基を熱可塑性樹脂に導入することができる。かかる1級アミノ基および2級アミノ基以外の、水素結合ドナーとして作用する官能基を熱可塑性樹脂に導入する場合、この水素結合ドナーとして作用する官能基を有し、かつ熱可塑性樹脂の主鎖および/または末端に共重合可能なモノマーを共重合、あるいは重合後の官能基変換などによって導入できる。このような水素結合ドナーとして作用する他の官能基の具体例としては、カルボキシル基、ヒドロキシル基などが挙げられる。このような水素結合ドナーとして作用する他の官能基は、複素環アミン誘導体に結合していてもよく、かかる複素環アミン誘導体を熱可塑性樹脂の主鎖および/または末端に共重合することによって導入することができる。このような複素環アミン誘導体としては、2,4−ジアミノ−6−ヒドロキシピリミジン、4,5−ジアミノ−6−ヒドロキシピリミジンなどが挙げられる。
【0017】本発明の熱可塑性樹脂において、主鎖中に2級アミノ基、および/あるいは末端に1級アミノ基を有するとは、熱可塑性樹脂の主鎖中にアミド結合を含んだ構造などを有している、あるいは、熱可塑性樹脂の末端に1級アミノ基を含んだ構造などを有していることを表す。この熱可塑性樹脂に含まれる2級アミノ基あるいは1級アミノ基の量に制限はない。
【0018】本発明の熱可塑性樹脂を構成する主骨格としては、その構造中にアミド結合、エステル結合を有する骨格が好ましく、アミド結合を有する骨格が特に好ましい。なお、熱可塑性樹脂を構成する主骨格がエステル結合等、2級アミノ基を有さないものである場合には、その主鎖あるいは末端に2級アミノ基あるいは1級アミノ基を導入しうるモノマーを共重合することにより2級アミノ基あるいは1級アミノ基を熱可塑性樹脂に導入することができる。
【0019】アミド基を有する骨格の具体例としては、アミノ酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボン酸を主たる原料として合成されるナイロンを構成する骨格等が挙げられる。
【0020】その原料の代表例としては、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸などのアミノ酸、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタム、テトラメチレンジアミン、ヘキサメレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチルー3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどの脂肪族、脂環族、芳香族のジアミン、およびアジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂肪族、脂環族、芳香族のジカルボン酸が挙げられ、本発明においては、主骨格として、これらの原料から誘導されるナイロンを用いることができる。
【0021】本発明において、主骨格を形成するのに、特に有用な、ナイロンを構成する骨格は、複素環アミン誘導体を共重合せずに重合したナイロンの融点が、200℃以上の耐熱性や強度に優れたものである。具体的な例としてはポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6I)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T/6I)、ポリキシリレンアジパミド(ナイロンXD6)およびこれらの混合物ないし共重合体などが挙げられる。
【0022】とりわけ好ましいものとしては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン6/66コポリマー、ナイロン6/12コポリマーなどの例を挙げることができる。
【0023】また、構造中にエステル基を有する骨格の具体例としては、ジカルボン酸(あるいはそのエステル形成性誘導体)とジオール(あるいはそのエステル形成性誘導体)および/またはヒドロキシカルボン酸(あるいはそのエステル形成性誘導体)とを主原料として、縮合反応することにより得られるポリエステルが挙げられる。基本骨格をポリエステルとする場合には、複素環アミン誘導体を共重合した後、その構造中に、2級アミノ基、および/あるいは1級アミノ基が生成することが必要である。さらに、構造中にアミド基およびエステル基を有する骨格の具体例としては、ポリエステル樹脂骨格の主原料に、アミノアルコール、アミノフェノール、アミノカルボン酸等を共重合したポリエステルアミドが挙げられる。
【0024】複素環アミン誘導体を共重合した、主骨格がポリアミドである、共重合ポリアミド樹脂の重合度にはとくに制限がなく、1%の濃硫酸溶液中、25℃で測定した相対粘度が、1.5〜5.0の範囲、特に2.0〜4.0の範囲のものが好ましい。なお、本発明は、弾性率に優れた熱可塑性樹脂樹脂を得ようとするものであるので、いわゆるエラストマーは含まない。本発明においては、耐熱性、剛性、強度に優れたガラス転移温度が25℃よりも高い熱可塑性樹脂であることが好ましい。
【0025】本発明の複素環アミン誘導体の共重合量は、主骨格の繰り返し単位に対して0.10〜30mol%であることが貯蔵弾性率の向上効果、結晶性低下を抑制する観点から好ましい。
【0026】さらに、本発明において、主骨格がポリアミドを構成する骨格である場合の製造方法としては、公知の方法が適用可能であり、例えば「ポリアミド樹脂ハンドブック」(福本修編)等に開示されている方法が使用できる。主骨格を構成するポリアミドの原料、および主骨格と結合できる官能基を有する複素環アミン誘導体を、高温で加熱溶融し、脱水反応を進行させる溶融重合法、また、主骨格を構成するポリアミドの原料として、ジアミンとジカルボン酸を用いる場合には、縮合剤の存在下で反応させる直接重合法、ジアミンと二酸クロリドを用いる場合には、水と混交しない有機溶媒と水の二相系の界面で重縮合させる方法などが挙げられる。
【0027】また、主骨格がポリエステル、あるいはポリエステルアミドを構成する骨格である場合の製造方法としては、公知の方法が適用可能であり、例えば「飽和ポリエステル樹脂ハンドブック」(湯木和男編)等に開示されている方法が使用できる。主骨格を構成する繰り返し単位が、エチレンテレフタレート単位あるいはブチレンテレフタレート単位である場合、エステル交換法(DMT法)、直接重合法(直接エステル化法)のいずれの重合方法も適用可能である。これらの重合時に主骨格と結合できる官能基とアミド基を有する複素環アミン誘導体などを添加すれば、主骨格を構成する骨格がポリエステルである、複素環アミン誘導体を共重合した、主鎖中に2級アミノ基を有する熱可塑性樹脂が製造できる。これら主骨格と共重合する複素環アミン誘導体の具体例として、例えば、分子内に2つの1級アミノ基を有する複素環アミン誘導体とジカルボン酸(あるいはそのエステル形成性誘導体)などのポリエステル原料をモル比1:2で反応させた場合に得られる、複素環アミンにアミド結合を介してカルボキシル基(あるいはそのエステル)が結合したモノマーなどを挙げることができる。なお、これらの重縮合方法により主骨格を構成する骨格がポリエステルである熱可塑性樹脂を製造する場合には、公知の金属化合物を重合触媒として使用するのが好ましい。
【0028】本発明の熱可塑性樹脂には、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲において、無機充填剤、耐衝撃性改良剤、有機リン化合物、ポリエーテルエーテルケトンなどの結晶核剤、次亜リン酸塩などの着色防止剤、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミンなどの酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線防止剤、着色剤、難燃剤などを添加することができる。
【0029】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定されるものではない。
【0030】[動的粘弾性]熱プレスにより作成した厚さ約150μmのフィルムから長さ38mm、幅2mmの短冊状の試験片を切り出し、オリエンテック製 RHEO VIBRONDDV−II−EAを用い、周波数110Hz、チャック間距離30mm、昇温速度2℃/分、20℃〜120℃で測定し、30℃、50℃、80℃、110℃、の貯蔵弾性率(E’)を求めた。
【0031】[DSC(示差走査熱量測定)]セイコー電子工業製 ロボットDSC RDC220を用い、窒素雰囲気下、試料を約5mgを採取し、測定した。試料を完全に融解させた後、280℃から30℃まで20℃/分の降温速度で降温したときに観測される発熱ピーク温度(Tc1)と発熱量(ΔHc1)を求め、さらに、それに続いて、30℃で5分間保持した後、30℃から280℃まで20℃/分の昇温速度で昇温したときに観測される吸熱ピーク温度(Tm2)と吸熱量(ΔHm2)を求めた。
【0032】実施例1原料として、ヘキサメチレンジアミンの64wt%水溶液18.6g(ヘキサメチレンジアミン含量0.102mol)、アジピン酸14.9g(0.102mol)、3,5−ピリジンジカルボン酸0.172g(0.00103mol)を試験管に仕込み、オートクレーブに入れて、密閉し、窒素置換した。ジャケット温度を295℃に設定し、加熱を開始した。缶内圧力が17.5kg/cm2に到達した後、缶内圧力を17.5kg/cm2で3時間保持した。その後、ジャケット温度を305℃に設定し、2時間かけて缶内圧力を常圧に放圧した。その後、缶内温度が280℃に到達した時点で、加熱を停止した。室温に放冷後、試験管をオートクレーブから取り出し、ポリアミド樹脂を得た。得られたポリアミド樹脂の特性を表1に示した。
【0033】
【表1】

【0034】実施例2原料としてヘキサメチレンジアミンの64wt%水溶液18.5g(ヘキサメチレンジアミン含量0.102mol)、アジピン酸15.0g(0.103mol)、2,4−ジアミノ−6−ヒドロキシピリミジン0.129g(0.00102mol)を用いる以外は実施例1に記載した方法と全く同様の方法で共重合ポリアミド樹脂を得た。
【0035】比較例1原料としてヘキサメチレンジアミンの64wt%水溶液18.5g(ヘキサメチレンジアミン含量0.102mol)、アジピン酸15.0g(0.103mol)、2,6−ジアミノピリジン0.112g(0.00103mol)を用いる以外は実施例1に記載した方法と全く同様の方法で共重合ポリアミド樹脂を得た。
【0036】比較例2原料としてヘキサメチレンジアミンの64wt%水溶液18.7g(ヘキサメチレンジアミン含量0.103mol)、アジピン酸15.0g(0.103mol)を用いる以外は実施例1に記載した方法と全く同様の方法で共重合ポリアミド樹脂を得た。
【0037】実施例1、2と比較例1との比較により、特定の複素環アミン誘導体を約1mol%共重合しただけで、ポリアミドホモポリマーと比較して、貯蔵弾性率が向上することから、水素結合による連結構造が形成されていることを確認した。
【0038】
【発明の効果】本発明により、特定の複素環アミン誘導体を少量共重合することによって、複素環アミン誘導体を共重合していない樹脂単体と比較して、貯蔵弾性率が向上した熱可塑性樹脂が得られるので、高剛性、高強度材料として利用することができる。
【出願人】 【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
【出願日】 平成12年12月27日(2000.12.27)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−201265(P2002−201265A)
【公開日】 平成14年7月19日(2002.7.19)
【出願番号】 特願2000−399546(P2000−399546)