| 【発明の名称】 |
全芳香族ポリエステルおよびその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】石渡 豊明
【氏名】櫻井 博志
【氏名】松村 俊一
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| 【要約】 |
【課題】本発明は耐熱性、機械的特性、色調に優れ、かつゲル状異物の少ない高品質な非晶性全芳香族ポリエステルおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】芳香族ジカルボン酸成分、芳香族ジオール成分およびジアリールカーボネートを下記数式(1)、(2) |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 下記構成単位(I) 【化1】
[上記式(I)中のA1は置換または未置換の芳香族基であり、A2、A3は互いに独立に置換または未置換のフェニレン基である。Xは下式群(II) 【化2】
から選ばれる基を表す。上記式群(II)中のR1、R2、R3およびR4は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数5または6のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアリール基および炭素数7〜12のアラルキル基から選ばれる少なくとも1種の基である。qは4〜10の整数を示す。ただし複数個のR3およびR4は同一でも異なっていてもよい。]を主たる繰り返し単位として有する全芳香族ポリエステルであって、該全芳香族ポリエステル中のゲル状異物個数が100個/10g以下であることを特徴とする全芳香族ポリエステル。 【請求項2】 フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン混合溶媒(重量比60/40)中、濃度1.2g/100mlで35℃にて測定した還元粘度が0.5dl/g以上、2.0dl/g以下を有する請求項1記載の全芳香族ポリエステル。 【請求項3】 下記式(III) HOOC−A1−COOH (III) [上記式(III)中のA1は上記式(I)における定義と同じである。]で示される芳香族ジカルボン酸成分(a)と下記式(IV) HO−A2−X−A3−OH (IV) [上記式(IV)中のA2、A3、Xは上記式(I)における定義と同じである。]で示される芳香族ジオール成分(b)、およびジアリールカーボネート(c)を下記数式(1)、(2) 0.1≦A/B≦1.1 (1) 0.8≦(A+B)/C≦1.2 (2) [上記数式(1)、(2)中、Aは芳香族ジカルボン酸成分(a)、Bは芳香族ジオール成分(b)、Cはジアリールカーボネート(c)の各モル数である。]を同時に満足するモル割合で使用し、かつ下記式(V) 【化3】
[上記式(V)中、R5、R6は、各々独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数5〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアリール基および炭素数7〜12のアラルキル基から選ばれる少なくとも1種の基であるか、またはR5とR6は互いに結合してそれらが結合している窒素原子と一緒になって5〜7員環を形成していてもよい。R7は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数5〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアリール基および炭素数7〜12のアラルキル基から選ばれる少なくとも1種の基である。nは0〜4の整数を示す。]で示されるピリジン系化合物の存在下で重合反応を行う全芳香族ポリエステルの製造方法であって、重合反応開始時から又は重合反応開始直後から、常時減圧下で反応を行うことを特徴とする請求項1または請求項2記載の全芳香族ポリエステルの製造方法。 【請求項4】 重合反応開始時から常時66.6kPa(500mmHg)以下で反応を行い、かつ重合反応初期において、240℃以下で芳香族ジカルボン酸のエステル化率が60%以上とすることを特徴とする請求項3記載の全芳香族ポリエステルの製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、全芳香族ポリエステル、およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、耐熱性、靭性、機械的特性、色調に優れ、さらに、ゲル状異物の少ない高品質な非晶性全芳香族ポリエステル、およびその効率的な製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、耐熱性が高く機械的強度の優れたエンジニアリングプラスチックスに対する要求性能が高まっている。非晶性エンジニアリングプラスチックスの1つとして、芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールに由来する全芳香族ポリエステルがある。例えば、芳香族ジオールとして2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノール類を用い、芳香族ジカルボン酸としてテレフタル酸とイソフタル酸を用いて合成された非晶性全芳香族ポリエステルは、比較的バランスのとれた特性を有しており、各種の用途に用いられている。 【0003】これら非晶性全芳香族ポリエステルの製造方法については、従来種々の研究が行なわれ、その中で芳香族ジカルボン酸の酸ハロゲン化物と芳香族ジオールとの界面重縮合法が工業化されている。しかしながら、この界面重縮合法で用いられている塩化メチレンは、環境・衛生上の問題がある化学物質であり、その取り扱いに十分な注意が必要である。しかし、その沸点が40℃と非常に低いため、非晶性全芳香族ポリエステルの製造時に使用した塩化メチレンを完全にリサイクルできる閉鎖系にすることは設備の面で難しく、また多大の費用がかかる。そこで、これらの非晶性全芳香族ポリエステルを、塩化メチレンを使用しない溶融重合法によって製造する方法が検討されている。 【0004】しかしながら、これらのポリマーを芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールとから直接溶融重合法でポリマーを得ようとすると、着色が激しく、また重合速度も遅い為、実際にはあらかじめ芳香族ジカルボン酸成分のジアリールエステルと芳香族ジオールを反応させる方法(i)や、芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールの低級脂肪族カルボン酸エステルを反応させる方法(ii)、該(ii)の別法として芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールを反応させる際に低級脂肪族カルボン酸無水物を加える方法(iii)が用いられている。しかし、方法(i)、(ii)では原料をあらかじめエステル化しなければならず、コスト高の原因となっている。また、方法(ii)、(iii)では反応中に副生成物として、低級脂肪族カルボン酸が生じるため装置が腐食し易く、また得られたポリマーも末端カルボン酸基濃度が高いという問題がある。 【0005】このような問題を解決する方法として、芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールにジアリールカーボネートを加えて反応させる方法がある。しかし、この方法でも色相の優れたポリマーを得ることは難しかった。さらに色相を改善する方法として、例えば特開平3−128926号公報では、ボラン−第3級アミン錯塩化合物および/または第4級アンモニウムボロハイドライド化合物を触媒として、芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオール、ジアリールカーボネートを反応させる、全芳香族ポリエステルの製造方法が報告されている。また、特開平4−236224号公報には、特定の錫化合物を触媒として用いた全芳香族ポリエステルの製造方法が記載されている。【0006】しかしながら、一般に溶融重合法を用いた全芳香族ポリエステルは、得られるポリマー中にゲル状異物が多く、依然として満足できるものではなかった。このゲル状異物が非常に多く存在すると、成形性などの低下を引き起こす。【0007】 【発明が解決しようとする課題】そこで本発明の目的は、芳香族ジカルボン酸成分、芳香族ジオール成分およびジアリールカーボネートを重合反応せしめて得られる、ゲル状異物の少ない高品質な非晶性全芳香族ポリエステルを提供することにある。また本発明の他の目的は、芳香族ジカルボン酸成分、芳香族ジオール成分およびジアリールカーボネートを重合反応せしめて、ゲル状異物の少ない高品質な非晶性全芳香族ポリエステルの製造方法を提供することにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明は下記構成単位(I) 【0009】 【化4】
【0010】[上記式(I)中のA1は置換または未置換の芳香族基であり、A2、A3は互いに独立に置換または未置換のフェニレン基である。Xは下式群(II) 【0011】 【化5】
【0012】から選ばれる基を表す。上記式群(II)中のR1、R2、R3およびR4は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数5または6のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアリール基および炭素数7〜12のアラルキル基から選ばれる少なくとも1種の基である。qは4〜10の整数を示す。ただし複数個のR3およびR4は同一でも異なっていてもよい。]を主たる繰り返し単位として有する全芳香族ポリエステルを芳香族ジカルボン酸成分と芳香族ジオール成分、およびジアリールカーボネート(c)を原料として用い、ピリジン系化合物存在下、重合反応初期において、特定の圧力条件において重合することによって上記の課題が達成されることを見出し、本発明に至った。【0013】 【発明の実施の形態】以下、本発明に係る非晶性全芳香族ポリエステル、およびその製造方法について詳細に説明する。 【0014】本発明の全芳香族ポリエステルは実質的に線状のポリマーであって、下記構成単位(I) 【0015】 【化6】
【0016】を主たる繰り返し単位として有している。 【0017】上記式(I)中のA1は置換または未置換の芳香族基である。例えば、フェニレン基、ナフチレン基、ジフェニレン基、ジフェニレンエーテル基、ジフェニレンスルホン基、ジフェニレンインダン基等の炭素数6〜20までの2価の芳香族基から選ばれる1種の基を表す。また、該芳香族基は、水素原子の一部または全部がメチル基等の炭素数1〜3のアルキル基や、塩素、フッ素等のハロゲン原子等で置換されてもよい。それらの中でも特に置換または未置換のフェニレン基を好ましい例として挙げることができる。A2、A3は互いに独立に置換または未置換のフェニレン基であり、水素原子の一部または全部が、メチル基等の炭素数1〜3のアルキル基や塩素、フッ素等のハロゲン原子等の置換基であってもよい。それらの中でも特に未置換のフェニレン基を好ましい例として挙げることができる。また、上記式(I)中のXは下式群(II) 【0018】 【化7】
【0019】から選ばれる基を表す。上記式群(II)中のR1、R2、R3およびR4は、各々独立に水素原子;塩素、フッ素等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数5または6のシクロアルキル基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜12のアリール基;ベンジル基等の炭素数7〜12のアラルキル基から選ばれる1つの基を表す。qは4〜10の整数を示す。ただし複数個のR3およびR4は同一でも異なっていてもよい。これらの中で上記式(I)中のXがイソプロピリデン基、シクロペンチリデン基、または3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデン基を選ぶのが好ましい。 【0020】本発明の全芳香族ポリエステルは上記構成単位(I)を主たる繰り返し単位として有しているが、生成するポリマーの機械的特性や耐熱性等の物性を損なわない範囲で(例えば1モル%以上50モル%未満の割合で)下記構成単位(VI) 【0021】 【化8】
【0022】[上記式(VI)中のA2、A3、Xは上記式(I)における定義と同じである。]を含んでも構わない。従って、本発明の全芳香族ポリエステルとは一部に全芳香族ポリカーボネートの繰り返し単位を持つものも包含する。 【0023】本発明においてゲル状異物とは、ポリマー10gをクロロホルム200ccに室温で溶解した後、その溶液を公称孔径が30μのフィルターでろ過し、クロロホルムで充分に洗浄し、乾燥した後、そのフィルター上に付着した異物にブラックライト(波長365nm)を照射し、蛍光を発したものの個数から、タンパク質・綿糸などのポリマー由来でない他の混入異物個数を除いたものである。本発明においては全芳香族ポリエステル中の該ゲル状異物個数は、100個/10g以下である。このゲル状異物個数が100個/10gより多いと、成形性・光学特性の観点から、低品質のものとなり、好ましくない。該ゲル状異物個数は好ましくは、80個/10g以下であり、更に好ましくは、60個/10g以下である。 【0024】本発明の全芳香族ポリエステルは、フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン混合溶媒(重量比60/40)中、1.2g/100mlの濃度で35℃にて測定した還元粘度が0.5dl/g以上2.0dl/g以下であることが好ましい。還元粘度が0.5dl/gより低いと得られたポリマーの耐熱性、靭性が不十分であり、2.0dl/gをこえると溶融粘度が高すぎて成形が困難になり好ましくない。実用上、ポリマーの還元粘度は0.6dl/g以上1.9dl/g以下、さらに好ましくは0.65dl/g以上1.8dl/g以下である。 【0025】本発明に用いられる芳香族ジカルボン酸成分(a)は、下記式(III) HOOC−A1−COOH (III) で表される。上記式(III)中のA1は上記式(I)における定義と実質的に同じである。このような芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、メチルテレフタル酸、メチルイソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸等を具体的に挙げることができる。また、これらの芳香族ジカルボン酸は単独で用いても、2種以上を同時に用いてもよい。なかでも、テレフタル酸とイソフタル酸を同時に用いることが好ましく、更には、テレフタル酸とイソフタル酸の割合がモル%で20/80〜80/20の範囲が特に好ましい。 【0026】本発明で用いられる芳香族ジオール成分(b)は、下記式(IV) HO−A2−X−A3−OH (IV) で表わされるものである。上記式(IV)中のA2、A3及びXは上記式(I)における定義と同じである。このような芳香族ジオール成分(b)としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン等が具体的に例示され、これらのうち、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンが好ましい。これらの芳香族ジオール成分は単独で用いても、2種以上を同時に用いてもよい。 【0027】本発明で用いられるジアリールカーボネート(c)は、例えば、下記式(VII) 【0028】 【化9】
【0029】で表される。上記式(VII)中のR8は、それぞれ、互いに同一または相異なり、水素、塩素、フッ素等のハロゲン原子;水酸基;カルボキシル基;メチルエステル基、エチルエステル基等の炭素数1〜6のエステル基;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜3の低級アルキル基等である。このようなジアリールカーボネート(c)としては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジ−p−トリルカーボネート、ジ−p−クロロフェニルカーボネート、フェニル−p−トリルカーボネート、ジナフチルカーボネート等が挙げられる。これらのうちジフェニルカーボネートが特に好ましい。これらのジアリールカーボネートは単独で用いても、2種以上を同時に用いてもよい。 【0030】本発明で用いられる芳香族ジカルボン酸成分(a)、芳香族ジオール成分(b)、およびジアリールカーボネート(c)は下記式(1)、(2) 0.1≦A/B≦1.1 (1) 0.8≦(A+B)/C≦1.2 (2) を同時に満足するモル割合で使用される。ここで、上記数式(1)、(2)中、Aは芳香族ジカルボン酸成分(a)、Bは芳香族ジオール成分(b)、Cはジアリールカーボネート(c)の各モル数である。上記式(1)におけるモル比(A/B)が0.1より小さいと、得られるポリマーの耐熱性が低下し、モル比(A/B)が1.1より大きいと、ポリマーの重合度が上がり難くなるので、好ましくない。更には、0.2≦A/B≦1.05の範囲が好適である。0.3≦A/B≦1.04の範囲が特に好ましい。一方、上記式(2)は、ジアリールカーボネート(c)のモル数に対する、芳香族ジカルボン酸成分(a)と芳香族ジオール成分(b)とのモル数の和の比を表わしている。この比(A+B)/Cが0.8より小さいと得られるポリマーの着色が激しくなり、また1.2より大きいと生成するポリマーの重合速度が遅くなりやすいので、何れも好ましくない。上記式(2)において、0.9≦(A+B)/C≦1.15の範囲が特に好適である。上記式(1)において、A/Bの値が1.0未満の場合、得られるポリマーは下記構成単位(VI) 【0031】 【化10】
【0032】を含んでいる。ここで、上記式(VI)中のA2、A3、Xは上記式(I)における定義と同じである。即ち、実質的に得られるポリマーは全芳香族ポリエステルカーボネートとなる。本発明の全芳香族ポリエステルとは生成するポリマーの機械的特性や耐熱性等の物性を損なわない範囲で(例えば1モル%以上50モル%未満の割合で)上記式(VI)で表される構成単位を含んでいても良い。従って、本発明の全芳香族ポリエステルとは一部に全芳香族ポリカーボネートの繰り返し単位を持つものも包含する。 【0033】また、本発明において、得られるポリマーの機械的特性や耐熱性等の物性を損なわない範囲(例えば、1モル%以上、15モル%以下)で、上記の芳香族ジオール成分(b)の一部を、ハイドロキノン、4,4−ジヒドロキシビフェニル等の他の芳香族ジオール成分と置き換えても良い。 【0034】本発明において、上記の成分(a)、(b)および(c)の重合反応を下記式(V) 【0035】 【化11】
【0036】で示されるピリジン系化合物の存在下で行われる。ここで、上記式(V)中のR5,R6は、各々独立に水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数5〜10のシクロアルキル基;フェニル基、メチルフェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜12のアリール基;およびベンジル基等の炭素数7〜12のアラルキル基から選ばれる基であり、またR5とR6は互いに結合してそれらが結合している窒素原子と一緒になって5〜7員環を形成していてもよい。R7はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数5〜10のシクロアルキル基;フェニル基、メチルフェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜12のアリール基;およびベンジル基等の炭素数7〜12のアラルキル基から選ばれる。nは0〜4の整数を示す。上記式(V)で示されるピリジン系化合物としては、例えば、4−アミノピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、4−ピロリジノピリジン、4−ピペリジノピリジン、4−ピロリノピリジン、2−メチル−4−ジメチルアミノピリジン等が挙げられる。これらのうち、4−ジメチルアミノピリジン、4−ピロリジノピリジンが特に好ましい。該溶融重合反応は、上記ピリジン系化合物(V)を単独で使用しても、従来公知のエステル交換触媒を組み合わせて使用しても良い。このようなエステル交換触媒としては例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属、スズ、アンチモン、亜鉛、コバルト、ニッケル、チタン等の単体、酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩、炭酸水素塩、酢酸塩、アルキル化合物等の無機酸塩類、有機酸塩類、錯塩類などがあげられる。これらの化合物の中で特にアルカリ金属、アルカリ土類金属、錫の化合物が好ましく、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、ジ−n−ブチルスズジアセテートがさらに好ましい。該ピリジン系化合物やエステル交換触媒の使用量は特に制限は無く、それぞれ独立に、いわゆる触媒量でよい。即ち、溶融重合反応に支障が無い範囲で可能な限り少量を用いるのが好ましい。例えば、芳香族ジカルボン酸成分(a)に対して、0.0001モル%以上1モル%以下の範囲が好ましい使用量として例示できる。更には0.001モル以上0.1モル%以下の範囲が特に好ましい使用量として例示できる。 【0037】本発明における重合反応とは反応開始時又は反応開始直後から、常時減圧下で反応を実施される。更には66.6kPa(500mmHg)以下が好ましく、46.7kPa(350mmHg)以下が特に好ましい。反応温度は150℃以上400℃未満で行われるのが好ましい。また、本発明の製造方法では、該重合反応初期は比較的低温とし、これを徐々に昇温して最終的に所望の温度にて終了することが好ましい。本発明において、重合反応初期とは240℃以下で重合反応させる状態を指す。また、特に限定されるものではないが、反応系は窒素、アルゴン、炭酸ガス等の不活性ガス雰囲気下とすることが好ましい。該重合反応の反応時間は特に制限は無いが、だいたい1〜20時間程度である。 【0038】詳しくは、重合反応初期は重合反応と同時に、ジカルボン酸成分(a)とジアリールカーボネート成分(c)との反応によりフェノール類と炭酸ガスを生じる。該重合反応初期は比較的低温とし、これを徐々に昇温して最終的に所望の最終到達温度にすることが好ましい。この際、重合反応初期の反応温度は、好ましくは150〜240℃である。反応温度が150℃より低いと反応速度が十分でなく好ましくない。また、240℃より高いと、未反応原料が反応容器外へ留出され、所望の組成のポリマーを得ることが困難となることがある。重合反応初期の反応温度としては、160〜240℃がより好ましく、170〜240℃が特に好ましい。この重合反応初期は減圧下で実施されるが、重合に支障が無い範囲で圧力が低いほど好ましい。具体的には、好ましくは66.6kPa(500mmHg)以下、更には46.7kPa(350mmHg)以下が特に好ましく、反応途中原料などが流出しない範囲で徐々に更に減圧とすることが好ましい。常圧下で行うと、得られるポリマー中のゲル状異物個数が多くなり、品質低下を招き好ましくない。更には、該重合反応初期の終了点において、ジカルボン酸成分(a)のエステル化率が60%以上であることが好ましい。60%未満の場合、得られるポリマーの耐熱性が低いものとなり、結果的に、ゲル状異物個数の高いポリマーとなることがあり、好ましくない。更にはエステル化率70%以上が好ましく、75%以上が特に好ましい。 【0039】重合反応の際の最終到達温度は270℃以上、400℃以下が好ましい。270℃未満では、ポリマーの粘度が高くなるため、高重合度のポリマーを得ることが困難となる。また、400℃より高いとポリマーの劣化等が生じ易くなり、好ましくない。更に好ましくは、280℃以上380℃以下である。 【0040】尚、本発明の製造方法では、上記各成分(a)、(b)および(c)を反応の当初から同時に反応容器に仕込むのが好ましいが、モル当量分のジアリールカーボネートを重合反応初期において、反応開始から数回に分けて反応容器に導入することも可能である。 【0041】上記の全芳香族ポリエステルは、その製造時あるいは製造後、必要に応じて安定剤、着色剤、顔料、滑剤等の各種添加剤を添加しても差し支えない。 【0042】 【発明の効果】本発明の全芳香族ポリエステルは耐熱性、透明性等に優れ、かつゲル状異物個数が少ない高品質のポリマーであり成形性も良好なため、光学用途などに好適に用いることができる。 【0043】 【実施例】以下、実施例および比較例を挙げて本発明を詳述するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。なお例中の「部」は特に断らない限り「重量部」を意味する。また還元粘度は、フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン混合溶媒(重量比60/40)中、濃度1.2g/100mlで温度35℃にてウベローデ粘度管を用いて測定した値である。また、ゲル状異物個数はポリマー10gをクロロホルム200ccに溶解した後、公称孔径30μのフィルターにてろ過し、充分クロロホルムで洗浄し、乾燥した後、そのフィルター上に付着したゲル状異物(波長365nmのブラックライトで蛍光を発するものであり、タンパク質類・糸綿などポリマー由来でない他の異物を除く)の個数を測定した。 【0044】[実施例1]テレフタル酸58.15部、イソフタル酸24.92部、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称:ビスフェノールA)125.56部、ジフェニルカーボネート224.93部、4−ジメチルアミノピリジン0.0611部を、撹拌装置および窒素導入口を備えた真空留出系を有する反応容器に入れ、200℃、40.0kPa(300mmHg)で反応を開始した。すなわちこの時、数式(1)のA/Bの値は0.91であり、数式(2)の(A+B)/Cの値は1.0であった。1時間後、220℃に昇温して、昇温を確認した後、26.7kPa(200mmHg)とした。反応開始から3時間後、原料が均一に溶解していることを確認した。 【0045】その後さらに昇温、減圧し、反応開始から5時間後、系内の最終到達温度を320℃、40Pa(0.3mmHg)とした。同条件下にて1時間重合を行い、非晶性の全芳香族ポリエステルを得た。 【0046】このとき昇華物はほとんど生じなかった。得られたポリマーは無色に若干黄色味がかった透明であり、還元粘度0.74dl/g、ゲル状異物個数は8個/10gであった。 【0047】[比較例1]テレフタル酸58.15部、イソフタル酸24.92部、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称:ビスフェノールA)125.56部、ジフェニルカーボネート224.93部、4−ジメチルアミノピリジン0.0611部を、撹拌装置および窒素導入口を備えた真空留出系を有する反応容器に入れ、200℃、常圧で反応を開始した。すなわちこの時、数式(1)のA/Bの値は0.91であり、数式(2)の(A+B)/Cの値は1.0であった。30分後、220℃に昇温して、同温度にてフェノールの留出を確認した後、系内を徐々に減圧した。反応開始から3時間後、原料が均一に溶解していることを確認した。その後さらに昇温、減圧し、反応開始から5時間後、系内の最終到達温度を320℃、40Pa(0.3mmHg)とした。同条件下にて1時間重合を行い、非晶性の全芳香族ポリエステルを得た。 【0048】得られたポリマーは無色に若干黄色味がかった透明であり、還元粘度0.74dl/g、ゲル状異物個数は108個/10gであった。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003001 【氏名又は名称】帝人株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年1月9日(2001.1.9) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100077263 【弁理士】 【氏名又は名称】前田 純博
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| 【公開番号】 |
特開2002−201259(P2002−201259A) |
| 【公開日】 |
平成14年7月19日(2002.7.19) |
| 【出願番号】 |
特願2001−1333(P2001−1333) |
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