| 【発明の名称】 |
導電性エポキシ樹脂成形材料 |
| 【発明者】 |
【氏名】鈴木 孝之
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| 【要約】 |
【課題】成形性が良好で、機械的強度に優れ且つ電導性の高い熱硬化性樹脂成形材料を提供することを目的とするものであり、さらには、燃料電池用セパレータ等の成形品を提供することを目的とするものである。
【解決手段】ジウチルウレア系硬化促進剤、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂及び又はビスフェノールA型エポキシ樹脂、充填材として人造黒鉛を含有する導電性エポキシ樹脂成形材料。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤及び導電性充填材を必須成分として含有する成形材料において、下記の化学式(1)〜(3)で示されるジメチルウレア系硬化促進剤を1種類以上配合することを特徴とする導電性エポキシ樹脂成形材料。 【化1】
【請求項2】 エポキシ樹脂がオルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂及び又はビスフェノール型エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1記載の導電性エポキシ樹脂成形材料。 【請求項3】 導電性充填材が黒鉛であることを特徴とする請求項1又は2記載の導電性エポキシ樹脂成形材料。 【請求項4】 エポキシ樹脂が、数平均分子量500〜5000であるビスフェノール型エポキシ樹脂及び又は数平均分子量500〜2000であるオルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂である請求項1乃至3いずれか記載の導電性エポキシ樹脂成形材料。 【請求項5】 導電性充填材として、黒鉛が成形材料全体の60〜95重量%である請求項1乃至4いづれか記載の導電性エポキシ樹脂成形材料。 【請求項6】 請求項1乃至5いずれか記載の導電性エポキシ樹脂成形材料を用いることを特徴とする燃料電池用セパレータ。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、良好な成形性を有し、機械的強度に優れ、且つ導電性の高いエポキシ樹脂成形材料に関するものであり、この成形材料は水素、アルコール等を燃料とする燃料電池用のセパレータ等に好適に用いられるものである。 【0002】 【従来の技術】燃料電池は通常いくつかの単位電池を直列に接続して使用される。各電池間は電解液、ガス等に対して不通気性のセパレータで仕切られている。セパレータは電気に対しては高導電性であることが必要であるとともに、機械的強度や耐熱性を要求される。従来この種の材料としては黒鉛粉末に熱硬化性樹脂等の結合剤を加え、混練、成形、焼成し、さらに不通気性、導電性を向上させるため前記結合剤を含浸し、焼成したあと、切削加工して必要とする形状を得ていた。この方法は焼成を行っているため、耐熱性が良好である利点があるが、焼成により気孔が生ずるため、通常は液状の熱硬化性樹脂を含浸する工程が必要となり、また切削加工が必須でありコスト高になる欠点がある。 【0003】更に黒鉛粉末と熱硬化性樹脂を用いて成形して製品とする方法も提案されている(特公昭64−340号公報)。熱硬化性樹脂自体は導電性でないため、この成形体の導電性を高めるためには前記公報に記載されているように黒鉛粉末の添加量を増やす必要とともに樹脂の粘度と黒鉛粉末の粒度を調整する必要があるが、これだけでは実際の燃料電池のセパレータのような複雑な形状をした成形品や大型で薄肉の成形品等を製造する場合には強度が低く且つ流動性が極端に低下するため十分ではない。また、導電性成形材料のベース樹脂の一つとしてエポキシ樹脂を使用することも提案されている(特開平11−204120号)。しかし一般にエポキシ樹脂成形材料に使用される硬化促進剤では燃料電池のセパレータのような複雑な形状をした成形品や大型で薄肉の成形品等を製造する場合、成形時の硬化による成形性の阻害が大きく流動性が十分得られないことがある。成形品が良好な機械的強度を有するためには、成形樹脂に流動性をもたせ、成形時の金型への充填性を確保し成形性を向上させる必要があった。 【0004】成形樹脂の流動性は、樹脂の溶融粘度、硬化挙動、充填材の量や種類等によって左右される。特にエポキシ樹脂の溶融粘度は使用樹脂の分子量等によって決まるため、低粘度の樹脂を選ぶことで成形時の樹脂の流動性を改善することが出来る。充填材についてもチキソ性の付与効果の高い充填材を選ぶことで、成形時の樹脂粘度を下げることができる。しかし、これらの手法を用いてもエポキシ樹脂の反応による成形時の樹脂粘度の増大、成形性の悪化に対しては有効ではない。この問題を解決するためには樹脂の反応が開始する前に樹脂を金型内に充填させることが必要であった。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようとする課題は、良好な成形性を有し、機械的強度に優れ且つ導電性の高い熱硬化性樹脂成形材料及びその成形材料を使用した燃料電池用セパレータ等を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明は、(1)エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤及び導電性充填材を必須成分として含有する成形材料において、下記の化学式(1)〜(3)で示されるジメチルウレア系硬化促進剤を1種類以上配合することを特徴とする導電性エポキシ樹脂成形材料、(2)エポキシ樹脂がオルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂及び又はビスフェノール型エポキシ樹脂であることを特徴とする第(1)項記載の導電性エポキシ樹脂成形材料、(3)導電性充填材が黒鉛であることを特徴とする第(1)項又は(2)項記載の導電性エポキシ樹脂成形材料、(4)エポキシ樹脂が、数平均分子量500〜5000であるビスフェノール型エポキシ樹脂及び又は数平均分子量500〜2000であるオルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂である第(1)項、(2)項、又は(3)項いずれか記載の導電性エポキシ樹脂成形材料、(5)導電性充填材として、黒鉛が成形材料全体の60〜95重量%である第(1)項乃至(4)項記載の導電性エポキシ樹脂成形材料、(6)第(1)項乃至(5)項いずれか記載の導電性エポキシ樹脂成形材料を用いることを特徴とする燃料電池用セパレータ、である。 【化2】
【0007】 【発明の実施の形態】本発明において用いるエポキシ樹脂は、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型などのビスフェノール型、各種ノボラック型、ビフェニル型、ビフェニルエーテル型などがあり、特に限定されるものではないが、溶融時の低粘度化による充填材の高充填化が可能なこと、及び充填材としての黒鉛との密着性等の観点から、ビスフェノール型エポキシ樹脂及び又はオルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。エポキシ樹脂は、上記の点から、数平均分子量500〜5000であるビスフェノール型エポキシ樹脂及び又は数平均分子量500〜2000であるオルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂であることがより好ましく、ビスフェノール型エポキシ樹脂は数平均分子量800〜2000のもの、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂は数平均分子量700〜1400のものがさらに好ましい。エポキシ樹脂の数平均分子量がこれらの範囲にあるものを選ぶことで、成形材料製造時の作業性、及び成形材料の成形性が特に良好になる。ビスフェノール型エポキシ樹脂又はオルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の数平均分子量が500未満であると樹脂が液状となり成形材料製造時の作業性が低下する。ビスフェノール型エポキシ樹脂では数平均分子量が5000よりも大きいと、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂では2000よりも大きいと、樹脂の溶融粘度が高くなり成形性に問題が生じることがある。なお、エポキシ樹脂の数平均分子量の測定は、樹脂をテトラヒドロフランに溶解し、ポリスチレンを標準物質として、ゲルパーミエーションクロマトグラフにより測定したものである。 【0008】本発明に用いる硬化剤は、酸無水物系、アミン系、フェノール系等があり、特に限定されるものではないが、成形品の耐熱性を考慮するとノボラック型フェノール樹脂が最適である。この配合量は、耐熱性等良好な特性を得るために、エポキシ樹脂に対する理論当量からの許容幅を10%以内にして配合する。 【0009】本発明においては、金型温度近辺で効力を発揮する潜伏性硬化促進剤を選択した。ここで用いられるジメチルウレア系硬化促進剤は150℃以上で反応を促進する硬化促進剤であり、従来から使用されてきたTPP、イミダゾール化合物、DBU(ジアザビシクロウンデセン)化合物などを硬化促進剤として使うのに比べて熱安定性に優れ、樹脂の流動性を損なわずに金型内に樹脂を充填することができる。従って充填材の配合量が多く流動性の小さい成形材料においても金型への充填性が大きく改善される。また、TPP、イミダゾール化合物、DBU化合物などによる硬化促進系では、エポキシ樹脂成形材料の製造時における加熱により反応が進み増粘が起こるのに対して、ジメチルウレア系硬化促進剤ではその影響が小さい。 【0010】この硬化促進剤の配合量は、エポキシ樹脂100重量部に対し0.1〜10重量部が好ましく、更に好ましくは1〜5重量部である。0.1重量部未満では硬化促進の効果が充分に認められず、10重量部を超えると反応性が高くなりすぎ樹脂が完全充填する前に増粘するようになる。 【0011】本発明で用いられる導電性充填材としては、導電性と強度を両立するために黒鉛が適当である。黒鉛には人造黒鉛、天然鱗状黒鉛、土壌黒鉛、膨張黒鉛等があるが、高導電性を付与するためには黒鉛化度が一定以上高いことが必要である。また、高強度を得るには樹脂単体の強度に加えて樹脂と充填材との密着性も重要視される。そのような観点から種々検討した結果、黒鉛化度が一定以上高く、且つ層構造である黒鉛のエッジ部が多く、エポキシ樹脂との密着性が高いという点から人造黒鉛が適当である。添加量は成形材料全体に対して60重量%〜95重量%であり、更に好ましくは70〜90重量%である。人造黒鉛の添加量がこの範囲において特に、成形品が充分な機械的強度と導電性を併せ持つことが出来る。添加量が60重量%未満では燃料電池セパレータとしての充分な導電性が得られない。95重量%を超えると結合材としてのエポキシ樹脂が不足し強度が低下する。また、成形品の強度を補うために充填材の一部としてガラス繊維や炭素繊維を使用することができる。 【0012】本発明において、上記エポキシ樹脂と硬化剤以外の樹脂と硬化剤を本発明の目的を損なわない程度で配合することができる。また、エポキシ樹脂は、シリコーン、ゴム等で変性されていてもよい。また、難燃性を付与するためにエポキシ樹脂の一部として臭素化ノボラック型エポキシ樹脂を用いてもよい。本発明のエポキシ樹脂成形材料の製造方法は通常のミキシングロールや二軸押出混練機で混練してもよいし、また高速回転混合機によって造粒化してもよい。本発明のエポキシ樹脂成形材料を用いて成形品を得るための成形方法は、移送成形、射出成形、圧縮成形等があり、特に限定するものではないが、成形性の観点から圧縮成形が好ましい。 【0013】 【実施例】以下本発明を実施例により詳しく説明する。成形材料の配合割合は重量%である。 【0014】実施例1〜5表1に示したように、トアトマイザー粉砕機(不二パウダー(株)製)で微粉砕したエポキシ樹脂と硬化剤及び硬化促進剤を、人造黒鉛、滑剤とともにヘンシェルミキサーで10分間混合して予備混合物を得た。これらの組成物を80℃の加熱ロールで溶融混練した後、取り出し冷却後顆粒状に粉砕した。これらの組成物を金型温度170℃、成形圧力400kg/cm2、成形時間3分で圧縮成形して板状成形品を得た。これらの成形品の特性を表1下段に示す。 【0015】比較例1硬化剤及び硬化促進剤を用いず、樹脂をレゾール型フェノール樹脂とした以外は実施例1と同じ方法にて成形品を成形した。 比較例2硬化促進剤をTPPとした以外は実施例1と同じ方法にて成形品を成形した。 【0016】 【表1】
【0017】表の注*1)エポキシ樹脂:オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量215、数平均分子量950*2)エポキシ樹脂:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量475、数平均分子量950*3)フェノール樹脂:ジメチレンエーテル型レゾールフェノール樹脂、数平均分子量700、融点80℃*4)硬化剤:ノボラック型フェノール樹脂、数平均分子量500*5)化学式(1)で示されるジメチルウレア系硬化促進剤*6)化学式(2)で示されるジメチルウレア系硬化促進剤*7)化学式(3)で示されるジメチルウレア系硬化促進剤*8)人造黒鉛:平均粒径120μm(篩分)、比表面積0.60m2/g【0018】(測定方法) 1.曲げ強さ:JIS K 7203による2.体積固有抵抗:JIS K 7194による3.モノホールフロー:JIS K 6911による4.充填性:250×250×2mmtの成形品の成形について、充填するものを○、四隅が充填しないものを△、それ以外に充填しない箇所のあるものを×とした。 【0019】 【発明の効果】本発明による導電性エポキシ樹脂成形材料は、潜伏性のジメチルウレア系硬化促進剤を使用することにより、熱安定性に優れている。また、数平均分子量500〜5000であるビスフェノールエポキシ樹脂及び又は数平均分子量500〜2000であるオルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂を使用することにより、金型内での充填性に優れ、良好な成形性を示し、機械的強度に優れ且つ導電性の高い成形体を得ることができる。従って、水素、アルコール等を燃料とする燃料電池のセパレータ等を容易に効率よく製造することができ、工業的な導電性エポキシ樹脂成形材料として好適である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002141 【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年12月28日(2000.12.28) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2002−201257(P2002−201257A) |
| 【公開日】 |
平成14年7月19日(2002.7.19) |
| 【出願番号】 |
特願2000−399646(P2000−399646) |
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