トップ :: C 化学 冶金 :: C08 有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物




【発明の名称】 硬化性組成物
【発明者】 【氏名】伊井 慎一郎

【氏名】本藤 文明

【要約】 【課題】光により塩基を発生する材料を用いることにより、エポキシ樹脂等の硬化性樹脂を硬化させ、金属材料に対する腐食性を全く示さず、無溶剤で作業性が良好であり、かつ高速硬化性、機械的物性、接着性、耐薬品性に優れた硬化性組成物を提供することにある。

【解決手段】特定の構造のヘテロ環含有化合物、チオール基若しくは−S-基と反応する求電子基を分子中に2個以上有する化合物、及びカルボニルオキシイミノ基を有する化合物からなる組成物を用いる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】下記一般式(1)で表されるヘテロ環含有化合物(A)、チオール基若しくは−S-基と反応する求電子基を分子中に2個以上有する化合物(B)、及びカルボニルオキシイミノ基を有する化合物(C)からなることを特徴とする硬化性組成物。
一般式【化1】

[式(1)中、nは1〜10の整数、X1、Y1及びZ1は、それぞれ独立に酸素又は硫黄原子;R1は環状エーテル基含有化合物(D)の残基又は水素原子;R2は炭素数2〜10の炭化水素基である。]
【請求項2】前記(A)が、下記一般式(2)又は(3)で表されるヘテロ環含有化合物(A1)である請求項1記載の硬化性組成物。
一般式【化2】

[式(2)中、nは1〜10の整数、X2、Y2及びZ2は、それぞれ独立に酸素又は硫黄原子;R3はポリエポキシ化合物(B1)またはモノエポキシ化合物(b1)の残基である。式(3)中、R4は脂環式エポキサイドの残基である。]
【請求項3】化合物(A1)が、下記一般式(4)で表されるヘテロ環含有化合物(A2)である請求項2記載の硬化性組成物。
一般式【化3】

[式(4)中、Y2、Z2の一方がSで他方がO;R5はモノグリシジルエーテル(d11−2)のグリシジル基を除く残基である。]
【請求項4】前記(B)が、ポリエポキサイド、ポリイソシアネート、ポリ酸無水物、ポリ酸ハライド、ポリオキサゾリン、不飽和カルボン酸ポリエステル、ポリアリル化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3何れか記載の硬化性組成物。
【請求項5】前記(B)が、ポリエポキサイドである請求項1〜4何れか記載の硬化性組成物。
【請求項6】前記(C)のカルボニルオキシイミノ基が、下記一般式(5)で表される構造である請求項1〜5何れか記載の硬化性組成物。
一般式【化4】

[式中R6、R7はそれぞれ独立に直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜35のアルキル基もしくはアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基、アラルキル基又はグリシジル基であり、R6とR7が結合して炭素数4〜35のシクロアルキリデン環を形成していてもよい]
【請求項7】前記(C)が、エーテル化合物、ビニル化合物、エステル化合物、アミド化合物、カーボネート化合物、ノボラック及び水酸基を側鎖に有してもよい炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも1種の主鎖を有し、側鎖又は末端にカルボニルオキシイミノ基を有するものである請求項1〜6何れか記載の硬化性組成物。
【請求項8】前記(C)が、下記一般式(6)〜(14)からなる群から選ばれる少なくとも1種で示される主鎖構造若しくは骨格を有する化合物である請求項1〜7何れか記載の硬化性組成物。
一般式【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

[一般式(6)〜(14)中、a〜iは1〜2,000の整数を表す。一般式(6)中、A1は−X−Z基[式中、Xは直接結合又は2価の有機基を表す。Zは一般式(5)で示されるカルボニルオキシイミノ基を表す。]で置換された若しくは置換されていないアルキレン基、アリーレン基、アリーレンアルキル基、ハロアルキレン基又はグリシジル基を表す。一般式(6)中のa個のA1のうち少なくとも1つは、−X−Z基で置換されたアルキレン基を表す。一般式(7)中、Q1は水素原子、アルコキシカルボニル基、アセトキシ基又はこれらの置換基を含むアルキル基、アリール基、ハロアルキル基、ハロアリール基、ハロアラルキル基若しくは−X−Z基を表す。一般式(7)中のb個のQ1のうち少なくとも1個は、−X−Z基を表す。但し−X−Z基以外のQ1が全て水素原子である場合を除く。一般式(8)中のA2、A3は同一若しくは異なって、−X−Z基で置換された若しくは置換されていないアルキレン基、−X−Z基で置換された若しくは置換されていないアリーレン基、アルアルキレン基又はハロアルキレン基を表す。一般式(8)中のc個のA2及びc個のA3のうち少なくとも1個は、−X−Z基で置換されたアリーレン基からなる群から選択された少なくとも1種を表す。一般式(9)中、A4は−X−Z基で置換された若しくは置換されていないアルキレン基、−X−Z基で置換された若しくは置換されていないアリーレン基、アルアルキレン基又はハロアルキレン基を表す。一般式(9)中のd個のA4のうち少なくとも1個は、−X−Z基で置換されたアルキレン基及び−X−Z基で置換されたアリーレン基からなる群から選択された少なくとも1種を表す。一般式(10)中、A5、A6は同一若しくは異なって、−X−Z基で置換された若しくは置換されていないアルキレン基、−X−Z基で置換された若しくは置換されていないアリーレン基、アルアルキレン基又はハロアルキレン基を表す。一般式(10)中のe個のA5及びe個のA6のうち少なくとも1個は、−X−Z基で置換されたアルキレン基及び−X−Z基で置換されたアリーレン基からなる群から選択された少なくとも1種を表す。一般式(11)中、A7は−X−Z基で置換された若しくは置換されていないアルキル基、−X−Z基で置換された若しくは置換されていないアリーレン基、アルアルキレン基又はハロアルキレン基を表す。一般式(11)中のf個のA7のうち少なくとも1個は、−X−Z基で置換されたアルキレン基及び−X−Z基で置換されたアリーレン基からなる群から選択された少なくとも1種を表す。一般式(12)中、A8は−X−Z基で置換された若しくは置換されていないアルキレン基、−X−Z基で置換された若しくは置換されていないアリーレン基、アルアルキレン基又はハロアルキレン基を表す。一般式(12)中のg個のA8のうち少なくとも1個は、−X−Z基で置換されたアルキレン基及び−X−Z基で置換されたアリーレン基からなる群から選択された少なくとも1種を表す。一般式(13)中、Arはアリール基を表す。Q2は水素原子、エポキシ基又は−X−Z基を表す。一般式(13)中のh個のQ2のうち少なくとも1個は、−X−Z基を表す。一般式(14)中、A9は−X−Z基で置換された若しくは置換されていない水酸基を含んでいてもよい直鎖又は分岐状アルキレン基若しくはアリーレン基を表す。一般式(14)中に少なくとも1個の−X−Z基を有する。]【請求項9】前記Xの2価の有機基がエーテル基、カーボネート基、エステル基、イミノ基、アミド基、ウレタン基、ウレア基及びスルフィド基からなる群から選ばれる1種以上の基を有してもよい炭化水素基である請求項8記載の硬化性組成物。
【請求項10】下記一般式(1)で表されるヘテロ環含有化合物(A)とカルボニルオキシイミノ基を有する化合物(C)を光又は電子線を照射した後水と反応させてなる、チオール基若しくは−S-基と反応する求電子基を分子中に2個以上有する化合物(B)用の硬化剤(T1)。
一般式【化10】

[式(1)中、nは1〜10の整数、X1、Y1及びZ1は、それぞれ独立に酸素又は硫黄原子;R1は環状エーテル基含有化合物(D)の残基又は水素原子;R2は炭素数2〜10の炭化水素基である。]
【請求項11】前記(T1)及び(B)からなる請求項10記載の硬化性組成物。
【請求項12】さらに塩基性化合物、前記(C)の光分解触媒、熱可塑性樹脂、脱臭剤、密着性向上剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、安定剤、可塑剤、ワックス、反応性希釈剤、充填剤、顔料、染料、溶剤、発泡剤、脱水剤、帯電防止剤、抗菌剤、防黴剤、フェノール類、香料、難燃剤、レベリング剤、及び分散剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有してなる請求項1〜9、11、12何れか記載の硬化性組成物。
【請求項13】請求項1〜9、11、12何れか記載の硬化性組成物を硬化させてなる硬化物。
【請求項14】請求項1〜9、11、12何れか記載の硬化性組成物に光又は電子線を照射した後水と反応させる硬化性組成物の硬化方法。
【請求項15】請求項13の硬化物で被覆されてなるプラスチック製フィルム、紙、レジスト、積層板、プリント回路基盤。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は樹脂組成物及びその硬化物に関する。さらに詳しくは、光若しくは電子線及び湿気により硬化性を示す新規な化合物からなる硬化性組成物及びその硬化物に関する。
【0002】
【従来の技術】エポキシ樹脂は、機械的物性、電気的特性、接着性、耐薬品性等において優れた性質を有し、接着剤、塗料、ライニング等、種々の工業的用途に使用されている代表的な樹脂であり、エレクトロニクスの分野ではこのエポキシ樹脂の硬化方法として電子線若しくはUV(紫外線)による方法が採用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この電子線若しくはUV(紫外線)硬化による方法では酸を開始剤とする為、残存する酸による金属材料の腐食が懸念されている。本発明は電子線若しくはUV(紫外線)硬化による方法において上記問題を解決するものであり、光により塩基を発生する材料を用いることにより、エポキシ樹脂等を硬化させ、金属材料に対する腐食性を全く示さず、無溶剤で作業性が良好であり、かつ高速硬化性、機械的物性、接着性、耐薬品性に優れた硬化性組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達した。すなわち本発明は、[1]下記一般式(1)で表されるヘテロ環含有化合物(A)、チオール基若しくは−S-基と反応する求電子基を分子中に2個以上有する化合物(B)、及びカルボニルオキシイミノ基を有する化合物(C)からなることを特徴とする硬化性組成物;
一般式【0005】
【化11】

【0006】[一般式(1)中、nは1〜10の整数、X1、Y1及びZ1は、それぞれ独立に酸素又は硫黄原子;R1は環状エーテル基含有化合物(D)の残基又は水素原子;R2は炭素数2〜10の炭化水素基である。]
[2]前記(A)と(C)とを光又は電子線を照射後、水と反応させてなる(B)用の硬化剤(T1);
[3]前記硬化性組成物を硬化させてなる硬化物からなる。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明においてヘテロ環含有化合物(A)は、前記一般式(1)で示される。式中、nは1〜10、好ましくは2〜8の整数、X1、Y1及びZ1は、それぞれ酸素又は硫黄原子である。好ましくはX1が硫黄原子(S)で、Y1、Z1の一方が硫黄原子(S)で他方が酸素原子(O)である。R2 は炭素数2〜10の炭化水素基であり、3価の炭化水素基>CH(C2m−(mは1〜9の整数)で示される基であり、例えば>CHCH2−、>CHCH2CH2−、>CHCH2CH2CH2−、>CHCH2CH2CH2CH2CH2−等;4価の炭化水素基>CH(CH2mCH<(mは0〜8の整数)で示される基であり、例えば>CHCH<、>CHCH2CH<、>CHCH2CH2CH<、>CHCH2CH2CH2CH2CH<等が挙げられ、好ましくは、3価の炭化水素基であり、特に好ましくは>CHCH2−、>CHCH2CH2−である。R1 は水素原子または環状エーテル基含有化合物(D)の残基であり、R2 は、環状エーテル基中の酸素原子以外の環を構成する残基である。(D)は一般式(15)で示される。
一般式【0008】
【化12】

【0009】で示される。環状エーテル基としては、環内に酸素原子を1個有するものならば特に限定されず、例えば分子内に環状エーテル基を1〜10個有する化合物があげられる。環状エーテル基含有化合物(D)の例としては、後述するエポキシ基含有化合物(D1)、及びオキセタン化合物(D2)等が挙げられ、好ましくは、エポキシ基含有化合物(D2)である。エポキシ基含有化合物(D1)としては、モノエポキサイド(d11)と分子中にエポキシ基を2個以上有するポリエポキサイド(D11)とがある。モノエポキサイド(d11)としては、分子中に1個のエポキシ基を有していれば特に限定されず、用途、目的に応じて適宜選択することができる。その例としては以下のものが挙げられる。例えば、炭素数2〜24の炭化水素系オキシド(エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1−ブテンオキシド、2−ブテンオキシド、炭素数5〜24のα−オレフィンオキシド、スチレンオキシド等)、炭素数3〜10の炭化水素のグリシジルエーテル(n−ブチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−エチル−ヘキシルグリシジルエーテル、2−メチルオクチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、p−sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル、P−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル等)、炭素数3〜30のモノカルボン酸のグリシジルエステル(グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等)、エピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン等のエピハロヒドリン及びグリシドール等の水酸基含有オキシド等が挙げられる。好ましいのは炭素数2〜24の炭化水素系オキシド、炭素数3〜10の炭化水素のグリシジルエーテルである。
【0010】ポリエポキサイド(D11)は、分子中に2個以上のエポキシ基を有していれば、特に限定されず、用途、目的に応じて適宜選択することができる。好ましいのは、分子中にエポキシ基を2〜6個有するものである。ポリエポキサイドのエポキシ当量(エポキシ基1個当たりの分子量)は、好ましくは65〜1,000であり、さらに好ましいのは90〜500である。エポキシ当量が1,000以下であると、架橋構造がルーズにならず硬化物の耐水性、耐薬品性、機械的強度等の物性が良好であり、一方、エポキシ当量が65以上であると硬化物の耐水性、耐薬品性、機械強度等が良好な架橋構造となる。ポリエポキサイド(D11)の例としては、下記(D11−1)から(D11−5)が挙げられる。
【0011】(D11−1)グリシジルエーテル型 (i)2価フェノール類のジグリシジルエーテル炭素数6〜30の2価フェノール類のジグリシジルエーテル、例えばビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールBジグリシジルエーテル、ビスフェノールADジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ハロゲン化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、テトラクロロビスフェノールAジグリシジルエーテル、カテキンジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、1,5−ジヒドロキシナフタレンジグリシジルエーテル、ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、オクタクロロ−4,4’−ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル、テトラメチルビフェニルジグリシジルエーテル、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フロオレンジグリシジルエーテル、ビスフェノールA2モルとエピクロロヒドリン3モルの反応から得られるジグリシジルエーテル等;
【0012】(ii)3〜6価又はそれ以上の、多価フェノール類のポリグリシジルエーテル炭素数6〜50又はそれ以上で、分子量250〜3,000の3〜6価又はそれ以上の多価フェノール類のポリグリシジルエーテル例えば、ピロガロールトリグリシジルエーテル、ジヒドロキシナフチルクレゾールトリグリシジルエーテル、トリス(ヒドロキシフェニル)メタントリグリシジルエーテル、ジナフチルトリオールトリグリシジルエーテル、テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンテトラグリシジルエーテル、p−グリシジルフェニルジメチルトリールビスフェノールAグリシジルエーテル、トリスメチル−tert−ブチル−ブチルヒドロキシメタントリグリシジルエーテル、4,4’−オキシビス(1,4−フェニルエチル)テトラクレゾールグリシジルエーテル、4,4’−オキシビス(1,4−フェニルエチル)フェニルグリシジルエーテル、ビス(ジヒドロキシナフタレン)テトラグリシジルエーテル、フェノール又はクレゾールノボラック樹脂(分子量400〜5,000)のグリシジルエーテル、リモネンフェノールノボラック樹脂(分子量400〜5,000)のグリシジルエーテル、フェノールとグリオキザール、グルタールアルデヒド、又はホルムアルデヒドの縮合反応によつて得られるポリフェノール(分子量400〜5,000)のポリグリシジルエーテル、およびレゾルシンとアセトンの縮合反応によって得られる分子量400〜5,000のポリフェノールのポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0013】(iii)脂肪族2価アルコールのジグリシジルエーテル炭素数2〜100、分子量150〜5,000のジオールのジグリシジルエーテル例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコール(分子量150〜4,000)ジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコール(分子量180〜5,000)ジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコール(分子量200〜5,000)ジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのアルキレンオキシド〔エチレンオキシド又はプロピレンオキシド(1〜20モル)〕付加物のジグリシジルエーテル等;
(vi)3〜6価又はそれ以上の脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテル炭素数3〜50又はそれ以上で、分子量92〜10,000の3〜6価又はそれ以上の多価アルコール類のグリシジルエーテル例えば、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ソルビトールヘキサグリシジルエーテル、ポリ(n=2〜5)グリセロールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0014】(D11−2)グリシジルエステル型炭素数6〜20又はそれ以上で、2〜6価又はそれ以上の芳香族ポリカルボン酸のグリシジルエステル、及び炭素数6〜20又はそれ以上で、2〜6価又はそれ以上の脂肪族もしくは脂環式ポリカルボン酸のグリシジルエステルが挙げられる。
(I)芳香族ポリカルボン酸、例えばフタル酸類のグリシジルエステルとしては、フタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、トリメリット酸トリグリシジルエステル等;
(II)脂肪族もしくは脂環式ポリカルボン酸のグリシジルエステルとしては、上記フェノール系のグリシジルエステルの芳香核水添加物、ダイマー酸ジグリシジルエステル、ジグリシジルオキサレート、ジグリシジルマレート、ジグリシジルスクシネート、ジグリシジルグルタレート、ジグリシジルアジペート、ジグリシジルピメレート、グリシジル(メタ)アクリレートの(共)重合体(重合度は例えば2〜10)、トリカルバリル酸トリグリシジルエステル等が挙げられる。
【0015】(D11−3)グリシジルアミン型炭素数6〜20又はそれ以上で、2〜10又はそれ以上の活性水素原子をもつ芳香族アミン類のグリシジルアミンおよび脂肪族、脂環式若しくは複素環式アミン類のグリシジルアミンが挙げられる。芳香族アミン類のグリシジルアミンとしては、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジルトルイジン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルジアミノジフェニルスルホン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルジエチルジフェニルメタン、N,N,O−トリグリシジルアミノフェノール等が挙げられる。脂肪族アミンのグリシジルアミンとしてはN,N,N’,N’−テトラグリシジルキシリレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。脂環式アミンとしてはN,N,N’,N’−テトラグリシジルキシリレンジアミンの水添化合物等が挙げられる。複素環式アミンのグリシジルアミンとしてはトリスグリシジルメラミン等が挙げられる。
【0016】(D11−4)鎖状脂肪族エポキサイド炭素数6〜50又はそれ以上で2〜6価又はそれ以上の鎖状脂肪族エポキサイド、例えばエポキシ当量130〜1,000のエポキシ化ポリブタジエン(分子量90〜2,500)、エポキシ化大豆油(分子量130〜2,500)等が挙げられる。
(D11−5)脂環式エポキサイド炭素数6〜50又はそれ以上で、分子量90〜2,500、エポキシ基の数1〜4又はそれ以上の脂環式エポキサイド例えば、ビニルシクロヘキセンジオキシド、リモネンジオキシド、ジシクロペンタジエンジオキシド、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、エチレングリコールビスエポキシジシクロペンチルエーテル、3,4エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル3’、4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、およびビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)ブチルアミン等が挙げられる。また、前記フェノール類のエポキシ化合物の核水添化物も含む。なお(D11−1)〜(D11−5)以外のものでも、活性水素と反応可能なグリシジル基をもつエポキシ樹脂であれば使用できる。又、これらのポリエポキシ化合物は、二種以上併用できる。これらのうち、好ましいのはグリシジルエーテル型(D11−1)、およびグリシジルエステル型(D11−2)であり、特に好ましいのは、グリシジルエーテル型(D11−1)である。(D11−1)の内、好ましいのは2価フェノール類、2価脂肪族アルコールのジグリシジルエーテルである。
【0017】オキセタン化合物(D2)としては、炭素数6〜20の脂肪族系オキセタン化合物(3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン等)、炭素数7〜30の芳香族系オキセタン化合物(ベンジルオキセタン、キシリレンビスオキセタン等)、炭素数6〜30の脂肪族カルボン酸系オキセタン化合物(アジペートビスオキセタン等)、炭素数8〜30の芳香族カルボン酸系オキセタン化合物(テレフタレートビスオキセタン等)、炭素数8〜30の脂環式カルボン酸系オキセタン化合物(シクロヘキサンジカルボン酸ビスオキセタン等)、芳香族イソシアネート系オキセタン化合物[後述の(D11−2)のオキセタン、MDIビスオキセタン等]等が挙げられる。
【0018】本発明の組成物中のヘテロ環含有化合物(A)の製造方法は、特に限定されないが、例えば、環状エーテル基含有化合物(D)の環状エーテル基に対し、0.5〜10倍当量の二硫化炭素、硫化カルボニル及び二酸化炭素からなる群から選ばれる1種又は2種以上の化合物を、溶剤中触媒存在下で、反応させることにより得られる。好ましくは二硫化炭素である。溶剤としては、反応を阻害せず、原料および生成物を溶解するものなら特に制限はなく、通常、非プロトン性溶剤が使用される。例えば、エーテル類(テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルセロソルブ、ジオキソラン、トリオキサン、ジブチルセロソルブ、ジエチルカービトール、ジブチルカービトール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等)、その他極性溶剤(アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等)等が挙げられ、好ましくは、テトラヒドロフラン、アセトン、酢酸エチル等である。触媒は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物であり、例えば、塩化リチウム、臭化リチウム、沃化リチウム、塩化カリウム、臭化カルシウム等が挙げられ、好ましくは、臭化リチウムである。触媒の量は、(D)の環状エーテル基に対し、0.001〜1.0倍当量である。好ましくは0.01〜0.1倍当量である。反応温度は、通常、0〜100℃、好ましくは、20〜70℃である。環状エーテル基含有化合物(D)として、エポキシ基含有化合物(D1)を使用したヘテロ環含有化合物(A1)は、下記一般式(2)、(3)で示される。
一般式【0019】
【化13】

【0020】[式中、nは1〜10の整数;X2、Y2及びZ2は、それぞれ独立に酸素又は硫黄原子であり、より好ましくは、X2がS、Y2 がO、Z2 がSである。R3はポリエポキシ化合物(B1)又はモノエポキシ化合物(b1)の残基である。R4は(D11−5)の残基である。]ヘテロ環含有化合物(A)の重量平均分子量は120〜12,000であり、好ましくは200〜8,000である。重量平均分子量の測定はゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)による。ヘテロ環当量は好ましくは120〜1,200であり、さらに好ましくは200〜800である。ヘテロ環当量は上記重量平均分子量を分子中のヘテロ環数で除した値である。25℃での粘度は、通常20Pa・s以下であり、好ましくは10Pa・s以下、より好ましくは5Pa・s以下であり、特に好ましくは1Pa・s以下である。粘度はB型粘度計による。上記の様にして得られるヘテロ環含有化合物(A)は具体的には表1に記載したものが挙げられる。
【0021】
【表1】

【0022】また、ヘテロ環含有化合物(A)中のヘテロ環基は、活性水素を有しないため、粘度が低く、また、硬化促進の目的で添加されるフェノール化合物、ポリアミン化合物のような刺激臭、ポリメルカプタン化合物のような特異臭もなく、粘度低減の目的で添加される低分子エポキシ基含有化合物に比べ皮膚刺激性が低く、作業性に優れている。さらに、ヘテロ環含有化合物(A)は、硬化反応を通じて、硬化物のネットワーク構造中に組み込まれるため、硬化物の耐水性、耐薬品性、耐候性、機械的強度等の物性の低下を招くことがない。
【0023】チオール基または−S-基と反応する求電子基を分子中に2個以上有する化合物(B)の求電子基としては、例えばエポキシ基、イソシアネート基、チオール基、酸無水物基、酸ハライド基、オキサゾリン基、不飽和カルボン酸基、アリル基等が挙げられ、これらの群から選ばれる基の少なくとも1種である。(B)としては、例えばポリエポキサイド(B1)、ポリイソシアネート(B2)、ポリチオール(B3)、ポリ酸無水物(B4)、ポリ酸ハライド(B5)、ポリオキサゾリン(B6)、不飽和カルボン酸ポリエステル(B7)、ポリアリル化合物(B8)等が挙げられ、これらの群から選ばれる少なくとも1種が挙げられ、好ましくはポリエポキサイド(B1)である。ポリエポキサイド(B1)は前記のポリエポキサイド(D11)と同じものが挙げられる。
【0024】該化合物(B2)〜(B8)の具体例としては、以下のものが挙げられる。
ポリイソシアネート(B2);炭素数(NCO基中の炭素数を除く)6〜20、官能基数2〜6個又はそれ以上の芳香族ポリイソシアネート及びその粗製物[2,4−及び2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−及び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI、ポリアリールポリイソシアネート(PAPI)等];炭素数2〜18、官能基数2個又はそれ以上の脂肪族ポリイソシアネート[ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、リジンイソシアネート等];炭素数4〜15、官能基数2個又はそれ以上の脂環式ポリイソシアネート[イソフォロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルジイソシアネート等];炭素数8〜15、官能基数2個又はそれ以上の芳香脂肪族ポリイソシアネート[キシリレンジイソシアネート等];これらのポリイソシアネートの変性物[ウレタン基、カルボイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビュウレット基、ウレトジオン基、イソシアヌレート基、オキサドリドン基含有変性物等]及びこれらの2種以上の併用が挙げられる。これらのうち好ましいものは、TDI、4,4’−MDI、IPDIおよびHDIである。
【0025】ポリチオール(B3);炭素数1〜20、官能基数2〜6又はそれ以上のアルキルチオール化合物、例えば1,4−ブタンジチオール、1,8−オクタジエンジチオール等。ポリエポキサイド(B1)と硫化水素との反応によって得られるチオール;炭素数2〜20、官能基数2〜3又はそれ以上のメルカプトカルボン酸(メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、メルカプト酪酸、メルカプトヘキサン酸、メルカプトオクタン酸、メルカプトステアリン酸等)と官能基数2〜6又はそれ以上で、炭素数2〜30のポリオールとのエステル化物等が挙げられる。これらのうち好ましいのは、ポリエポキサイド(B1)と硫化水素との反応によって得られるチオールである。
ポリ酸無水物(B4);酸としてはスルホン酸、カルボン酸等が挙げられるが、カルボン酸が好ましく、炭素数8〜18、カルボキシル基数2〜4の脂環式酸無水物、例えば、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物等、炭素数6〜30、官能基数2〜6の芳香族酸無水物、例えば、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリテート、グリセリントリメリテート等が挙げられる。これらのうち、好ましいのは、炭素数8〜18、カルボキシル基数2〜4の脂環式酸無水物である。
【0026】ポリ酸ハライド(B5);炭素数8〜100、2〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸のハロゲン化物例えば、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、メチルナジック酸、ドデシルコハク酸、トリメリット酸、ポリアゼライン酸(重合度2〜10)等のハロゲン化物(クロライド、ブロマイド、アイオダイド等)が挙げられる。これらのうち、好ましいのは、フタル酸、テトラヒドロフタル酸のハロゲン化物(特にクロライド)である。
ポリオキサゾリン(B6);N−ヒドロキシアルキル(炭素数1〜30)−オキサゾリジンとポリイソシアネート(B2)との反応物、N−ヒドロキシアルキル(炭素数1〜30)−オキサゾリジンとポリカルボン酸のエステル等が挙げられる。使用されるN−ヒドロキシアルキル−オキサゾリジンは、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のアルデヒドまたはケトンとジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ジ−sec−ブタノールアミン等のジアルカノールアミンとの反応によって得られる。ポリカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、フマル酸等の炭素数2〜100であり、2価又はそれ以上の有機酸が挙げられる。
【0027】不飽和カルボン酸ポリエステル化合物(B7);ポリオールと(メタ)アクリル酸とのエステル化反応によって得られる化合物等が挙げられる。
ポリアリル化合物(B8);2〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸とアリルアルコールとのポリエステルやトリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。
【0028】本発明のカルボニルオキシイミノ基を有する化合物(C)としては、分子中に1個以上のカルボニルオキシイミノ基を有するなら特に制限はないが、具体的には、エーテル化合物、ビニル化合物、エステル化合物、アミド化合物、カーボネート化合物、ノボラック及び水酸基を側鎖に有してもよい炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも1種の主鎖構造若しくは骨格を有し、側鎖又は末端にカルボニルオキシイミノ基を有する化合物が挙げられ、このようなものとして、例えば下記一般式(6)〜(14)で示される骨格の構造を有する化合物等が挙げられる。これらの主鎖構造がランダム又はブロックで相互に混合して結合することを妨げない。
一般式【0029】
【化14】

【0030】
【化15】

【0031】
【化16】

【0032】
【化17】

【0033】
【化18】

【0034】以下、これらについて詳細に説明する。一般式(6)〜(14)中、a〜iは1〜2,000の整数を表す。樹脂組成物の粘度及び硬化後の硬化物の硬度の点から、a〜iは好ましくは1〜1,000であり、さらに好ましくは1〜100であり、特に好ましくは1〜10である。一般式(6)中、A1は−X−Z基で置換された若しくは置換されていないアルキレン基、アリーレン基、アリーレンアルキル基、ハロアルキレン基又はグリシジル基を表す。本明細書中、−X−Z基は、−X−Zで表される基[式中、Xは直接結合又は2価の有機基を表す。Zは下記一般式(5)で示されるカルボニルオキシイミノ基を表す。]基を表す。
一般式【0035】
【化19】

【0036】[一般式中、R6及びR7はそれぞれ独立に直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜35のアルキル基もしくはアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基、アラルキル基又はグリシジル基であり、R6とR7が結合して炭素数4〜35のシクロアルキリデン環を形成していてもよいが、好ましくはR6及びR7がメチル基、エチル基、プロピル基若しくはフェニル基であり、R6とR7が同一であってもまた異なっていてもよい。]
上記Xの2価の有機基としては、エーテル基、チオエーテル基、カーボネート基、エステル基、イミノ基、アミド基、ウレタン基及びウレア基からなる群から選ばれる1種以上の基を有しても良い炭化水素基等が挙げられ、具体的には、−CH2−、−CH2CH2−、−CH2OCH2CH2−、−CH2SCH2CH2−、−CHOC(=O)OCH2−、−CH2NHCH2CH2−、−CH2HC(=O)NH(CH26NHC(=O)O−及び−CH2S(CH22C(=O)O(CH22−等の構造を有する炭素数1〜35の炭化水素基が挙げられる。
【0037】一般式(6)中のa個のA1のうち少なくとも1個は、−X−Z基で置換されたアルキレン基を表す。硬化物の硬度の点から、a個のA1のうち少なくとも5%が−X−Z基で置換されたアルキレン基を表すことが好ましい。一般式(6)中の上記A1の具体例としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基等のアルキレン基;フェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基;クロロメチレン基、トリクロロプロピレン基等のハロアルキレン基;ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等のグリシジルエーテルを開環重合させて形成される異環オキシアルキレン基のOを除いた3−ヒドロカルビルオキシー1,2−プロピレン基及び3−アシロキシー1,2−プロピレン基等が挙げられる。
【0038】一般式(7)で示される構造を有する化合物(C)はポリビニル主鎖を有するものである。一般式(7)中、Q1は水素原子、アルコキシカルボニル基、アセトキシ基又はこれらの置換基を含むアルキル基、アリール基、ハロアルキル基、ハロアリール基、ハロアラルキル基及び−X−Z基を表す。一般式(7)中のb個のQ1のうち少なくとも1個は、−X−Z基を表す。硬化物の硬度の点から、b個のQ1のうち少なくとも5%が−X−Z基であることが好ましい。一般式(7)中の上記Q1の具体例としては、水素原子;メチル基、エチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;クロロメチル基、クロロエチル基等のハロアルキル基;クロロメチルフェニル基、クロロエチルフェニル基、2,4,6−トリクロロフェニル基、2,4,6−トリブロモフェニル基等のハロアリール基及びハロアラルキル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;アセトキシ基及び−X−Z基が挙げられる。
【0039】一般式(8)で示される構造を有する化合物(C)は、ポリエステル主鎖を有するものである。一般式(8)中、A2、A3は同一若しくは異なって−X−Z基で置換された若しくは置換されていないアルキレン基、−X−Z基で置換された若しくは置換されていないアリーレン基、アルアルキレン基若しくはハロアルキレン基を表す。一般式(8)中のc個のA2及びc個のA3のうち少なくとも1個は、−X−Z基で置換されたアリーレン基からなる群から選択された少なくとも1種を表す。硬化物の硬度の点から、少なくとも5%が−X−Z基で置換されたアルキレン基及び−X−Z基で置換されたアリーレン基からなる群から選択された少なくとも1種を表すことが好ましい。一般式(8)中の上記A2及び上記A3の具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基等のアルキレン基;フェニレン基、トリレン基等のアリール基;ベンジリデン基、エチレンフェニレン基等のアルアルキレン基;クロロエチレン基、ブロモエチレン基、クロロメチルエチレン基、1,2−ジクロロエチレン基等のハロアルキレン基若しくはその水素原子が−X−Z基で置換された基等が挙げられる。
【0040】一般式(9)で示される構造を有する化合物(C)は、ポリエステル主鎖を有するものである。一般式(9)中、A4は−X−Z基で置換された若しくは置換されていないアルキレン基、−X−Z基で置換された若しくは置換されていないアリーレン基、アルアルキレン基又はハロアルキレン基を表す。一般式(9)中のd個のA4のうち少なくとも1個は、−X−Z基で置換されたアルキレン基及び−X−Z基で置換されたアリーレン基からなる群から選択された少なくとも1種を表す。硬化物の硬度の点から、、少なくとも5%が−X−Z基で置換されたアルキレン基及び−X−Z基で置換されたアリーレン基からなる群から選択された少なくとも1種を表すことが好ましい。一般式(9)中の上記A4の具体例としては、上記A2及び上記A3の具体例として示したもの等が挙げられる。
【0041】一般式(10)で示される構造を有する化合物(C)は、ポリアミド主鎖構造を有するものである。一般式(10)中のA5、A6は同一若しくは異なって−X−Z基で置換された若しくは置換されていないアルキレン基、−X−Z基で置換された若しくは置換されていないアリーレン基、アルアルキレン基又はハロアルキレン基を表す。一般式(10)中のe個のA5及びe個のA6のうち少なくとも1個は、−X−Z基で置換されたアルキレン基及び−X−Z基で置換されたアリーレン基からなる群から選択された少なくとも1種を表す。硬化物の硬度の点から、少なくとも5%が−X−Z基で置換されたアルキレン基及び−X−Z基で置換されたアリーレン基からなる群から選択された少なくとも1種を表すことが好ましい。一般式(10)中のA5、A6の具体例としては、上記A2及びA3の具体例として示したものなどが挙げられる。
【0042】一般式(11)で示される構造を有する化合物(C)は、ポリアミド主鎖を有するものである。一般式(11)中、A7は−X−Z基で置換された若しくは置換されていないアルキル基、−X−Z基で置換された若しくは置換されていないアリーレン基、アルアルキレン基又はハロアルキレン基を表す。一般式(11)中のf個のA7のうち少なくとも1個は、−X−Z基で置換されたアルキレン基及び−X−Z基で置換されたアリーレン基からなる群から選択された少なくとも1種を表す。一般式(11)中のf個のA7のうち少なくとも1個は、−X−Z基で置換されたアルキレン基及び−X−Z基で置換されたアリーレン基からなる群から選択された少なくとも1種を表す。硬化物の硬度の点から、、少なくとも5%が−X−Z基で置換されたアルキレン基及び−X−Z基で置換されたアリーレン基からなる群から選択された少なくとも1種を表すことが好ましい。一般式(11)中のA7の具体例としては、上記A4の具体例として示したもの等が挙げられる。
【0043】一般式(12)で示される構造を有する化合物(C)は、ポリカーボネート主鎖構造を有するものである。一般式(12)中、A8は−X−Z基で置換された若しくは置換されていないアルキレン基、−X−Z基で置換された若しくは置換されていないアリーレン基、アルアルキレン基又はハロアルキレン基を表す。一般式(12)中のg個のA8のうち少なくとも1個は、−X−Z基で置換されたアルキレン基及び−X−Z基で置換されたアリーレン基からなる群から選択された少なくとも1種を表す。硬化物の硬度の点から、少なくとも5%が−X−Z基で置換されたアルキレン基及び−X−Z基で置換されたアリーレン基からなる群から選択された少なくとも1種を表すことが好ましい。一般式(12)中のA8の具体例としては、上記A4の具体例として示したものなどが挙げられる。
【0044】一般式(13)で示される構造を有する化合物(C)は、ノボラック主鎖を有するものである。一般式(13)中、Arはベンゼン環又はトリル基、キシリル基を表す。Q2は水素原子、エポキシ基、グリシジル基又は−X−Z基で置換されたアルキレン基及び−X−Z基で置換されたアリーレン基を表す。一般式(13)中のh個のQ2のうち少なくとも1個は、−X−Z基を表す。硬化物の硬度の点から、少なくとも5%が−X−Z基で置換されたアルキレン基及び−X−Z基で置換されたアリーレン基からなる群から選択された少なくとも1種を表すことが好ましい。一般式(13)中の上記Arの具体例としては、フェノールノボラック樹脂の残基である置換フェニレン基、クレゾールノボラック樹脂の残基である置換トリレン基等が挙げられる。
【0045】一般式(14)で示される構造を有する化合物(C)は、水酸基を側鎖に有してもよい炭化水素主鎖構造を有するものである。一般式(14)中、A9は水酸基を含んでもよい直鎖又は分岐状アルキレン基、アリーレン基であり、水酸基数は0〜5を表す。好ましくはA9の炭素数2〜10の直鎖又は分岐状アルキレン基、又は炭素数6〜30のアリーレン基であり、これは−X−Z基で置換された若しくは置換されていないものもあるが、一般式(14)中には少なくとも1個の−X−Z基を有する。硬化物の硬度の点から、少なくとも5%が−X−Z基で置換されたアルキレン基及び−X−Z基で置換されたアリーレン基からなる群から選択された少なくとも1種を表すことが好ましい。一般式(14)中のA9の具体例としては、上記A2及び上記A3の具体例として示したものなどが挙げられる。
【0046】これらの主鎖構造又は骨格のうち、好ましくは一般式(6)(7)(9)(13)(14)で示される主鎖構造又は骨格であり、さらに好ましくは一般式(7)(14)で示される主鎖構造又は骨格である。一般式(6)〜(14)で示される構造を有する化合物(C)において、−X−Z基を有する基とそれ以外の基の比、それ以外の基の種類、Xの種類、a〜iの値を変えることにより、本発明の樹脂組成物の粘度、並びに硬化後の硬化物の硬度、可とう性、耐候性、耐薬品性等の物性をコントロールすることができる。
【0047】本発明のカルボニルオキシイミノ基を有する化合物(C)は、オキシムと酸ハロゲン化物との反応、オキシムと酸無水物との反応等によって得られ特に限定されないが、好ましくは、主鎖構造をもつ酸ハロゲン化物の酸ハロゲン基に対し、オキシム基を有する化合物(E)のオキシム基が好ましくは0.1〜3倍当量、さらに好ましくは0.5〜2倍当量になるように加え、溶剤中触媒の存在下で反応させることにより得られる。主鎖構造をもつ酸ハロゲン化物の酸ハロゲン基(ハロホルミル基)としては酸塩化物基(クロロホルミル基)、酸臭化物基(ブロモホルミル基)等が挙げられるが、好ましくは酸塩化物基である。主鎖構造は前記一般式(6)〜(14)で示される骨格の構造を有する化合物であって、酸ハロゲン基はその式中においてZで示されるカルボニルオキシイミノ基の前駆体となるものである。従って、酸ハロゲン基の数は式中の−X−Z基と同じである。(E)としては、下記一般式(16)で表されるものである。
【0048】
【化20】

【0049】[式中R6、R7はそれぞれ独立に直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜35のアルキル基もしくはアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基、アラルキル基又はグリシジル基であり、R6とR7が結合して炭素数4〜35のシクロアルキリデン環を形成していてもよい]
(E)の具体例としては、アセトキシム、メチルエチルケトンオキシム、ジブチルケトンオキシム、アセトフェノンオキシム、ベンゾフェノンオキシム、アセナフトンオキシム、シクロヘキサノンオキシム等が挙げられ、好ましくはR6、R7が炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基であり、さらに好ましくはアセトキシム、アセトフェノンオキシムである。溶剤としては、反応を阻害せず、原料及び生成物を溶解するものなら特に制限はなく、前記(A)の製造時に使用される溶剤と同じでよい。触媒は、塩基性を示す複素環化合物であり、例えば、ピリジン、ピラジン、トリアジン、ピペラジン、ピペリジン等が挙げられ、好ましくは、ピリジンである。触媒の量は、(E)のオキシム基に対し、0.1〜1.0倍当量である。好ましくは0.3〜0.7倍当量である。反応温度は、好ましくは0〜100℃、さらに好ましくは、20〜70℃である。反応の終点はNMR、IR等によって確認でき、トッピング、洗浄、再結晶等の方法で精製しても使用できる。カルボニルオキシイミノ基は、例えばIRにおける1760cm-1のイミノ基(C=N)の特性吸収によって検量線法で定量できる。原料のオキシム(C=N−OH)の吸収は1650〜1700cm−1に観察できるのでイミノ基の吸収と区別できるからである。
【0050】特に(C)が高分子の場合は、カルボニルオキシイミノ基を有する低分子を重合若しくは縮合して高分子にするか、カルボキシル基を有する低分子を重合若しくは縮合して高分子にした後、酸ハロゲン基に変えさらにカルボニルオキシイミノ基に変性して得られる。酸ハロゲン基を有する低分子を重合若しくは縮合して高分子にした後、カルボニルオキシイミノ基に変性してもよい。高分子にする方法は低分子化合物が有する官能基(例えば不飽和基、エポキシ基、カルボキシル基、水酸基等)の構造によって異なり、それぞれ公知の方法で製造することができる。カルボニルオキシイミノ基を有する化合物(C)の重量平均分子量は、好ましくは100〜200,000であり、さらに好ましくは200〜100,000であり、特に好ましくは300〜50,000である。カルボニルオキシイミノ当量は、好ましくは100〜100,000であり、さらに好ましくは100〜50,000であり、特に好ましくは100〜30,000である。融点又はガラス転移温度(Tg)は好ましくは5〜300℃であり、さらに好ましくは5〜180℃である。
【0051】好ましくは、一般式(14)におけるi=1で−X−Z基が2個の場合であり、カルボニルオキシイミノ化合物(C)は下記一般式(17)で示される。
一般式Z−X−R8−X−Z (17)
一般式(17)中、R8はA9のうち−X−Z基で置換されていないものを表す。R8の具体的な例としては、上記A4の具体例として示したもの等が挙げられるが、好ましくはメチレン基、エチレン基又はプロピレン基である。Xは前記した様に、直接結合又は2価の有機基を表すが、好ましくはエーテル基、チオエーテル基、カーボネート基、エステル基、イミノ基、アミド基、ウレタン基及びウレア基からなる群から選ばれる1種以上の基を有しても良い炭化水素基等が挙げられ、特に好ましくは直接結合である。上記の様にして得られるカルボニルオキシイミノ基を有する化合物(C)の具体例としては一般式(17)において表2に記載したものが挙げられる。
【0052】
【表2】

【0053】本発明の硬化性組成物中において、求電子基を2個以上有する化合物(B)とカルボニルオキシイミノ基を有する化合物(C)の比率は、(B)中の求電子基1個に対し、(C)中のカルボニルオキシイミノ基は、好ましくは0.7〜1.3であり、さらに好ましくは0.9〜1.1である。この比率が0.7以上、あるいは1.3以下であると、硬化性組成物の硬化性、硬化物の耐水性、機械的強度の低下もなく好ましい。(B)とヘテロ環含有化合物(A)の比率は、(B)中の求電子基1個に対し、(A)中のヘテロ環基が、好ましくは0.01〜1.0であり、さらに好ましくは0.05〜0.8である。この比率が0.01以上、あるいは1.0以下であると、硬化性組成物の硬化性、硬化物の耐水性、機械的強度の低下もなく好ましい。(A)の添加量は、通常、硬化性組成物100部に対して好ましくは0.1〜200部であり、さらに好ましくは0.5〜100部、特に好ましくは1〜50部である。添加量が0.1部以上であると硬化促進効果及び粘度低減効果が十分であり、200部以下であると、硬化物の耐水性、耐薬品性、機械的強度等の物性が低下しない。
【0054】本発明の硬化性組成物には、硬化速度をより促進する目的で、必要により塩基性化合物(F)をさらに含有させることができる。チオール基または−S- 基と反応する求電子基を分子中に2個以上有する化合物(B)は、必要により更に前記塩基性化合物(F)を併用することができる。これを併用することにより、常温での高速硬化性が向上する。塩基性化合物(F)としては、3級アミン化合物(F1)、ソジウムメチラート、カセイソーダ、カセイカリ、炭酸リチウム等のアルカリ化合物(F2)、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等のルイス塩基化合物(F3)等が挙げられる。これらの内好ましいものは、3級アミン化合物(F1)である。塩基性化合物(F)は、得ようとする硬化速度、可使時間に応じて、種類、添加量とも適宜選択すればよいが、ヘテロ環含有化合物(A)100重量部に対して0.1〜50重量部程度添加されるのが好ましい。
【0055】上記の(F)として好ましい3級アミン化合物(F1)は、分子中に3級アミノ基を有する化合物であれば特に限定されない。例えば、炭素数3〜20、アミノ基数1〜4の脂肪族アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、テトラエチルメチレンジアミン、テトラメチルプロパン−1,3−ジアミン、テトラメチルヘキサン−1,6−ジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ペンタメチルジプロピレントリアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、エチレングリコール(3−ジメチル)アミノプロピルエーテル、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N,N’−トリメチルアミノエチル−エタノールアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン等、炭素数9〜20、アミノ基数1〜4の芳香族アミン、芳香脂肪族アミンとしては、ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルアミノメチルフェノール、トリス(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール等、炭素数4〜20、アミノ基数1〜6の複素環化合物としては、1,2−ジメチルイミダゾール、ジメチルピペラジン、N−メチル−N’−(2−ジメチルアミノ)−エチルピペラジン、N−メチルモルホリン、N−(N’,N’−ジメチルアミノエチル)モルホリン、N−メチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−ノネン−5、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、ヘキサメチレンテトラミン等が挙げられる。
【0056】硬化性組成物の硬化速度を速めるために、必要に応じてさらにカルボニルオキシイミノ基を有する化合物(C)の光分解反応の触媒を添加しても良い。この触媒としては、キノン化合物(G)であれば特に限定されない。例えば、ベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン等が挙げられるが、好ましくはナフトキノンである。触媒は、得ようとする硬化速度、可使時間に応じて、種類、添加量とも適宜選択すればよいが、該(C)100重量部に対して0.01〜10重量部程度添加されるのが好ましい。光又は電子線照射後、水との反応で生じた1級アミンと(B)の求電子基(好ましくはエポキシ基)との反応の触媒としては上記3級アミン類及びホスフィン類、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等の炭素数3〜30の炭化水素系ホスフィン等が挙げられる。このうちでは3級アミン類が好ましく、N,N−ジメチルプロピルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族3級アミン類;N−メチルピロリジン,N,N’−ジメチルピペラジン等の複素環式3級アミン類;ベンジルジメチルアミン、ジメチルアミノメチルフェノール等の芳香族3級アミン類等が特に好ましい。
【0057】本発明の樹脂組成物には、さらに必要に応じて、(1)シランカップリング剤、チタンカップリング剤等の密着性向上剤、(2)ヒンダードアミン類、ハイドロキノン類、ヒンダードフェノール類、硫黄含有化合物等の酸化防止剤、(3)ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、サリチル酸エステル類、金属錯塩類等の紫外線吸収剤、(4)金属石けん類、重金属(例えば亜鉛、錫、鉛、カドミウム等)の無機および有機塩類、有機錫化合物等の光安定剤、(5)フタル酸エステル、リン酸エステル、脂肪酸エステル、ひまし油、流動パラフィンアルキル多環芳香族炭化水素等の可塑剤、(6)パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、重合ワックス、密ロウ、鯨ロウ低分子量ポリオレフィン等のワックス類、(7)ベンジルアルコール、タール、ピチューメン等の非反応性希釈剤、(8)低分子脂肪族グリシジルエーテル、芳香族モノグリシジルエーテル等や(メタ)アクリレートエステル類等の反応性希釈剤、(9)炭酸カルシウム、カオリン、タルク、マイカ、ベントナイト、クレー、セリサイト、アスベスト、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ガラス粉、ガラスバルーン、シラスバルーン、石炭粉、アクリル樹脂粉、フェノール樹脂粉、金属粉末、セラミック粉末、ゼオライト、スレート粉等の充填剤、(10)カーボンブラック、酸化チタン、赤色酸化鉄、鉛丹、パラレッド、紺青等の顔料または染料、(11)酢酸エチル、トルエン、アルコール類、エーテル類、ケトン類等の溶剤、(12)発泡剤、(13)脱水剤、例えばモノイソシアネート化合物、カルボジイミド化合物等が挙げられる。(14)帯電防止剤、(15)抗菌剤、(16)防かび剤、(17)香料、(18)難燃剤、(19)フェノール類、(20)レベリング剤、(21)分散剤(22)ラジカル重合開始剤等を添加することができる。これらのうち2種以上を併用することも可能である。これらの添加量は重量比で、好ましくは(B):添加物=1.0:0.01〜2であり、さらに好ましくは1:0.02〜1である。
【0058】本発明の硬化性組成物の硬化機構は、まず光又は電子線を照射すると、一般式(18)、(19)の如く(C)中のカルボニルオキシイミノ基が分解して、ケチミンと二酸化炭素が生成する。次に生成したケチミンと水との反応により、1級アミンが生成する。このようにして生成した1級アミンと(A)の環状(チオ)カーボネート基とが反応して開環し、水酸(メルカプト)基を生成する。生成した水酸(メルカプト)基は、(B)の求電子基(好ましくはエポキシ基)と反応し、(B)が硬化することになる。この場合(C)は(B)とも反応する場合があるが、(B)との反応速度は、(C)よりも水酸(メルカプト)基の方がはるかに大きい。好ましくはメルカプト基である。
一般式【0059】
【化21】

【0060】従って、本発明の硬化性組成物の各成分の使用および貯蔵形態としては、以下の(イ)〜(ハ)が例示される。
(イ)(A)、(B)、(C)を独立した3液の形で保存し、使用時に3成分を混合し硬化させる。[(任意成分である塩基性化合物(F)及びキノン化合物(G)は、第4成分として、単独で保存し、使用時に他の成分と混合して用いることも、(A)及び/又は(C)中に添加した形で保存することもできる。)]
(ロ)(A)及び(B)の混合物、及び(C)の独立した2液の形で保存し、使用時に該2成分を混合し硬化させる。[(任意成分である塩基性化合物(F)及びキノン化合物(G)は、第3成分として、単独で保存し、使用時に他の成分と混合して用いることも、(C)中に添加した形で保存することもできる。)]
(ハ)(A)、(B)、(C)の混合物を1液の形で保存し、使用時はそのまま使用する。[(任意成分である塩基性化合物(E)及びキノン化合物(G)は、第2成分として、単独で保存し、使用時に他の成分と混合して用いることも、混合物中に添加した形で保存することもできる。)]
これらの使用及び貯蔵形態は、用途、目的、使用時の温度、湿度等の条件に応じて適宜選択することができる。
【0061】本発明の硬化性組成物中の各成分の使用および貯蔵形態の好ましいものとしては、アシルオキシイミノ基を有する化合物(C)が、光又は電子線との接触がなければ安定であるため、前記(ハ)の硬化性組成物を光又は電子線から完全に遮断した状態で、1液型硬化性組成物として貯蔵できる。この生成物は使用現場では、そのままの形態で使用可能である。本発明の硬化性組成物の製造方法としては、(A)〜(C)を混合、分散できる方法であれば特に限定されず、例えば、以下の方法等が例示される。ガラスビーカー、缶、プラスチックカップ等の適当な容器中にて、攪拌棒、へら等により手で混練するか、ダブルヘリカルリボン翼、ゲート翼を備えた装置、万能混合機、プラネタリーミキサー、ビーズミル、3本ロール、エクストルーダー型混練押し出し機等従来公知の混合装置により混練することができるが、好ましくは万能混合機等の混合装置である。該組成物はの25℃における粘度は注入作業性、硬化性、接着性の点から好ましくは2.5〜4Pa・sであり、0℃における粘度は好ましくは5〜7Pa・sである。
【0062】本発明の硬化性組成物の使用方法は、特に制限を受けないが、例えば(イ)5℃から40℃までの常温、(ロ)40℃から200℃付近までの高温条件のいずれでも、化合物(C)の反応性を変えることにより実用的な条件での使用が可能となる。(イ)の条件は、通常の環境であり、(C)としてO,O’−コハク酸ジアセトフェノンオキシム(SDAPO)やO,O’−グルタル酸ジアセトフェノンオキシム(GDAPO)のようなアシルオキシイミノ当量が300未満、且つ2官能以上の多官能のアシルオキシイミノ化合物を使うことで硬化可能である。また(ロ)の条件は、加熱を要する環境であり、(C)としては特に制限はないが、(イ)の条件下で使用するものと同じアシルオキシイミノ化合物を使うと可使時間が短くなり使いづらいため、アシルオキシイミノ当量が300以上を有するアシルオキシイミノ化合物を使うことで作業性が向上する。
【0063】本発明の1液型硬化性組成物の使用方法は、光又は電子線照射後、空気中の湿気やコンクリート等の基材からの湿気によって硬化させる一般的な方法以外に、使用直前に光又は電子線を照射後、水を添加混合する方法や、スプレーによって空気中の湿気を巻き込むか、2流体型スプレーを使って、スプレーと同時に水を巻き込んでやる等の方法も可能であり、好ましくは使用直前に光又は電子線を照射後、水を添加混合する方法である。
【0064】本発明の硬化性組成物を塗工する場合、ライン塗工でも現場塗工でも、特に限定はなく、従来公知の塗工手段、例えばロールコーター(サイズプレス、ゲートロールコーター等)、バーコーター、グラビアコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター等の塗工機や刷毛、ロールによる塗工等の手段を採用することができる。塗工量は、乾燥後の重量として、好ましくは1〜50g/m2、さらに好ましくは3〜30g/m2である。乾燥は熱風加熱等によって行われる。乾燥温度はドライヤーの種類によって種々変化するが、ドライヤー内部の温度は通常50〜200℃、好ましくは100〜150℃である。乾燥時間は乾燥温度によって異なるが、通常15分〜5時間、好ましくは30分〜3時間である。膜厚は用途によって異なるが、例えば、現場塗工の場合、好ましくは50μm〜数cm、さらに好ましくは100μm〜1cmの膜厚であり、ライン塗工の場合、好ましくは1〜150μmであり、さらに好ましくは5〜100μmである。このとき必要により、硬化性組成物を溶解する溶剤を使用することができる。溶剤としては、硬化性組成物を溶解するものなら特に制限はなく、前記(A)の製造時に使用される溶剤と同じでよい。これらの溶剤は、単独又は混合して用いられる。
【0065】塗工された本発明の硬化性組成物に与える活性エネルギー線としては、紫外線及び電子線が挙げられる。紫外線を照射する場合、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等を備えた公知の紫外線照射装置を使用することができる。紫外線の照射量は、好ましくは30〜2,000mJ/cm2である。照射量が30mJ/cm2未満では硬化性組成物の硬化が不十分となり、2,000mJ/cm2を超えると膜が黄変劣化する場合がある。電子線を照射する場合、公知の電子線照射装置を使用することができる。電子線の照射量は、好ましくは1〜10Mradである。照射量が1Mrad未満では、硬化性組成物の硬化が不十分となり、10Mradを超えると膜あるいは基材(紙、フィルム、レジスト、積層板、プリント回路基板等)が損傷を受け、劣化する場合がある。
【0066】このようにして光又は電子線を照射した後の水との反応温度は、好ましくは25℃以上であり、さらに好ましくは25〜180℃であり、特に好ましくは80〜120℃であり、常温でも硬化し、反応温度が高いほど速い硬化性を示す。湿度条件は好ましくは20〜100%R.H.であり、特に好ましくは30〜80%R.H.である。硬化時間は数分〜100時間である。この硬化物が、本発明の硬化物[3]に相当し、耐水性、耐薬品性、機械的物性、接着性等の物性に優れる。
【0067】本発明の硬化性組成物が適用される対象基材としては、特に限定はないが、プラスチック製フィルム、紙、紙とプラスチック製フィルムの複合シート、金属板、コンクリート、舗装材、積層板、プリント回路基盤等が挙げられる。具体的に、例えば、塩ビシート、ポリエチレンフィルム、ポリエステルフィルム等のプラスチック製フィルム類;薄葉紙、紙間強化紙、チタン紙、ラテックス含浸紙、石膏ボード用原紙等の紙類;これらの複合シート;鉄板、アルミ板、鋼板、銅板、SUS板等の金属板;コンクリート;アスファルト等の舗装材;レジスト;電気電子部品用積層板;電気電子部品用プリント回路基盤等が挙げられる。本発明の硬化性組成物で被覆されたプラスチック製フィルム、紙、レジスト、積層板、プリント回路基盤等の表面は、傷が付きにくく、更に外観も良好である。かかる効果を有することから、本発明の硬化性組成物の用途としては、電気電子部品用材料(レジスト、積層板、プリント回路基盤等)が特に適している。
【0068】本発明[2]の硬化剤(T1)は(A)と(C)を光又は電子線を照射した後、水と反応させてなるものである。(A)中のヘテロ環基は(C)中のアシルオキシイミノ基1個に対して0.01〜1個であり、好ましくは、0.05〜0.8個である。(A)中のヘテロ環基の比率が、1以下の場合、硬化物の耐薬品性や機械物性等が良好であり、0.01以上であると硬化速度が速くなる。(T1)として、好ましいのは、分子中に水酸(チオール)基及び/又は1級アミノ基に由来する活性水素を2〜6個有する化合物である。(T1)の活性水素当量は、好ましくは50〜500であり、さらに好ましくは50〜350である。活性水素当量が、500以下であると、架橋構造がルーズにならず、硬化物の耐薬品性、機械的強度等の物性が良好になり、また、活性水素当量が50以上であると、容易に合成することができる。
【0069】(T1)は、水酸(チオール)基及び/又は1級アミノ基を有するため、常温ないし低温でも高速で(B)好ましくは(B1)を硬化させることができる。(T1)を(B)好ましくは(B1)と併用する場合、(B)中の官能基の数と(T1)中の活性水素の当量比は、通常0.5〜5.0であり、好ましくは、0.7〜2.0である。かかる硬化促進効果は、組成物中の化合物が有するアミノ基と(A)中のヘテロ環基の反応性が高く、さらに反応によって発生するチオール基と組成物中の化合物が有する求電子基の反応性が高いためと考えられる。また、(T1)のアミノ基の一部が(A)で変性されているため、通常のアミン系硬化剤に比べ皮膚刺激性が低い。さらに、同一分子中に、チオール基と塩基性のアミノ基をともに有することにより相乗効果を発揮し、チオール系硬化剤と塩基性物質を併用した場合に比べ、耐薬品性、耐水性、機械的強度等の物性に優れる。
【0070】
【実施例】以下本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、部は重量部を表わす。
【0071】製造例1滴下ロート、温度計及び攪拌棒を備えたガラス製反応容器に、二硫化炭素90部と臭化リチウム5部、テトラヒドロフラン(THF)120部を仕込んで攪拌溶解した後、58部のプロピレンオキサイド(PO)を20℃以下に保ちながら滴下した後、40℃で5時間攪拌した。減圧下で、THF及び過剰の二硫化炭素を留去した後、ろ過して、粘度25cP、ヘテロ環基当量135の淡黄色液体のヘテロ環化合物(A−1)60部を得た。
【0072】製造例2製造例1と同様な反応容器に、二硫化炭素90部と塩化リチウム5部、THF140部を仕込んで攪拌溶解した後、140部のトリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(エポキシ当量140)を20℃以下に保ちながら滴下した後、40℃で5時間攪拌した。減圧下で、THF及び過剰の二硫化炭素を留去した後、ろ過して、粘度130cP、ヘテロ環基当量218の淡黄色液体のヘテロ環化合物(A−2)70部を得た。
【0073】製造例3製造例1において、POに替えてトリメチレンオキサイドを同量用いる以外は製造例1と同様にして、粘度40cP、ヘテロ環基当量140の微黄色液体のヘテロ環化合物(A−3)80部を得た。
【0074】製造例4製造例1と同様な反応容器に、二硫化炭素117部、塩化リチウム5.3部、THF120部とを仕込んで攪拌溶解した後、グリシジルメタクリレート219部を25℃以下に保ちながら滴下した後、40℃で5時間攪拌した。減圧下で、THF及び過剰の二硫化炭素を留去した後、ろ過して、粘度31cP、ヘテロ環基当量218の微黄色液体のヘテロ環化合物(A−4)120部を得た。
【0075】製造例5製造例1と同様な反応容器に、ピリジン20部とアセトフェノンオキシム40部、塩化メチレン280部を仕込んで攪拌溶解し、室温において塩化メチレン180部にコハク酸クロライド15部を溶解した溶液を滴下した。反応容器内の温度を40℃に保ちながら2時間反応した後、濾過し、減圧下で塩化メチレンを留去した後、トルエン−シクロヘキサン混合溶媒により再結晶し、融点155−157℃のOO’−コハク酸ジアセトフェノンオキシム(SDAPO)(C−1)25部を得た。
【0076】製造例6製造例1と同様な反応容器に、ピリジン20部とアセトフェノンオキシム40部、塩化メチレン280部を仕込んで攪拌溶解し、室温においてアクリル酸クロライド20部を滴下した。反応容器内の温度を40℃に保ちながら2時間反応した後、濾過し、減圧下で塩化メチレンを留去した後、シクロヘキサンにより再結晶し、アセトフェノンオキシムアクリレート(AAPO)20部を得た。さらに反応容器内に得られたアセトフェノンオキシムアクリレート(AAPO)10部、スチレン20部、連鎖移動剤としてラウリルメルカプタンドデカンチオール2部、重合開始剤として2.2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.1部、ベンゼン50部を仕込んで、光を遮断し、温度60℃において溶液重合を14時間行った。その後、THF/n−ヘキサン系で3回再沈殿を行い、重量平均分子量5300のアセトフェノンオキシムアクリレート−スチレン共重合体(AAPO−St共重合体)(C−2)20部を得た。
【0077】製造例7製造例6においてスチレンに替えてグリシジルメタアクリレート(GMA)を同量用い、連鎖移動剤を用いない以外は製造例6と同様にして溶液重合を行った。その後、塩化メチレン−メタノール系で再沈殿を行い、重量平均分子量300.000、AAPO含有量30mol%のアセトフェノンオキシムアクリレート−グリシジルメタアクリレート共重合体(AAPO−GMA共重合体)(C−3)20部を得た。
【0078】実施例1〜5、比較例1〜2表3に示す組成の化合物を均一に配合し、実施例1〜5及び比較例1〜2の硬化性組成物を得た。評価項目の試験方法は以下の通りである。
【0079】[指触乾燥時間];硬化性組成物をフィルムアプリケーターを用いてJISK5400で定められた鋼板に均一に塗布し、膜厚500μmのドライ感光層を得た。さらに25℃、65%RHの雰囲気に放置し、塗膜表面にべたつきがなくなるまでの時間を測定した。評価結果を表3に示す。
[美観];硬化性組成物をフィルムアプリケーターを用いてJIS K5400で定められた鋼板に均一に塗布し、膜厚500μmのドライ感光層を得た。次に高圧水銀灯により5J/cm2の紫外線照射後、150℃で30分間加熱を行い硬化被膜を得た。得られた塗膜表面を目視で観察することにより、美観を判定した。艶があり、膨れ、剥がれ等ないものを○、膨れ、剥がれ等のあるものを×とした。評価結果を表3に示す。
【0080】[接着強度];25℃下で、30×30×5cmの歩道用PC板の表面に、ウールローラーB−23で表3に示す組成の硬化性組成物を、厚さ1mmで塗工した。温度25℃で7日間養生した後、建研式接着強度試験法にて測定した(単位;kgf/cm2 )。評価結果を表3に示す。
[耐水性];硬化性組成物を25℃、65%RHの雰囲気下で7日間放置し、硬化させた。この硬化物を、室温下蒸留水に30日間浸積し、浸積前後の重量変化(%)を測定した。評価結果を表3に示す。
【0081】
【表3】

【0082】エポキシ樹脂1;エピコート828(油化シェルエポキシ社製/分子量380)
エポキシ樹脂2;エピコート807(油化シェルエポキシ社製/分子量356)
エポキシ樹脂3;トリメチロールプロパングリシジルエーテル(分子量356)
GDAPO;O,O’−グルタル酸ジアセトフェノンオキシム(分子量366)
DMP−30;トリスジメチルアミノメチルフェノール(分子量265)
光触媒;ナフトキノン【0083】
【発明の効果】本発明の硬化性組成物は、光又は電子線照射後、水と反応させることにより、(1)金属材料に対し腐食性を示さない(2)速硬化性を有する(3)硬化後、耐水性に優れる(4)硬化後、被着物との密着性に優れる等の効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
【出願日】 平成13年10月4日(2001.10.4)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−201256(P2002−201256A)
【公開日】 平成14年7月19日(2002.7.19)
【出願番号】 特願2001−308238(P2001−308238)