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【発明の名称】 固体レゾール型フェノール樹脂の製造方法
【発明者】 【氏名】井出 勇

【氏名】関 徹

【氏名】西埜植 正和

【要約】 【課題】窒素成分を含有しないレゾール型フェノール樹脂を容易に固体化して得ることができる固体レゾール型フェノール樹脂の製造方法を提供する。

【解決手段】水に対する常温での溶解度が10以下の疎水性フェノール類を少なくとも含むフェノール類とアルデヒド類とを触媒の存在下で反応させることによって、含水状態のレゾール型フェノール樹脂を調製する。この含水状態のレゾール型フェノール樹脂を粗砕することによって含水粒状物を得た後、この含水粒状物を加熱して乾燥する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 水に対する常温での溶解度が10以下の疎水性フェノール類を少なくとも含むフェノール類とアルデヒド類とを触媒の存在下で反応させることによって、含水状態のレゾール型フェノール樹脂を調製し、この含水状態のレゾール型フェノール樹脂を粗砕することによって含水粒状物を得た後、この含水粒状物を加熱して乾燥することを特徴とする固体レゾール型フェノール樹脂の製造方法。
【請求項2】 フェノール類のうち、水に対する常温での溶解度が10以下の疎水性フェノール類を5質量%以上使用することを特徴とする請求項1に記載の固体レゾール型フェノール樹脂の製造方法。
【請求項3】 水に対する常温での溶解度が10以下の疎水性フェノール類として、ビスフェノール類を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の固体レゾール型フェノール樹脂の製造方法。
【請求項4】 触媒として、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩及び第3級アミンから選ばれる一種以上のものを用いることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の固体レゾール型フェノール樹脂の製造方法。
【請求項5】 触媒として、第3級アミンを用いることを特徴とする請求項4に記載の固体レゾール型フェノール樹脂の製造方法。
【請求項6】 得られた固体レゾール型フェノール樹脂の窒素成分量が0.3質量%以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の固体レゾール型フェノール樹脂の製造方法。
【請求項7】 流動床型の乾燥装置に含水粒状物を投入し、含水粒状物を加熱空気と接触させることによって、含水粒状物の乾燥を行なうことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の固体レゾール型フェノール樹脂の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種成形品用の成形材料、塗料、鋳物用樹脂、研磨材、摩擦材料、耐火物、フォトレジスト、電池材料などに好適に使用される固体レゾール型フェノール樹脂の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】上記の各種の用途に使用されるフェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類との付加縮合反応によって基本的には二つの構造のものとして製造されている。
【0003】すなわちその一つは、種々のメチロールフェノール類の混合物からなる常温で液状乃至粘稠な飴状の樹脂であり、一般にレゾール型フェノール樹脂と称されている。レゾール型フェノール樹脂はその分子構造中にメチロール基を含有するために、加熱することによって縮合反応が容易に進行し、ゲル化して不溶不融の固体となる硬化機構を有する。
【0004】他の一つは、ジヒドロキシジフェニルメタン系の誘導体の混合物からなる樹脂で、一般にノボラック型フェノール樹脂と称されている。ノボラック型フェノール樹脂はそのままでは加熱しても可溶可融性の熱可塑性を示す樹脂で、これを硬化させるにはヘキサメチレンテトラミンなどを硬化剤として配合する必要がある。
【0005】上記のようなフェノール樹脂は、その優れた耐熱性、電気的特性、機械的特性に加えて材料コストが他の樹脂に比較して安価であるため、工業的に古くから広範に使用されている。そして特に、成形材料用、シェルモールドなどの鋳型用、砥石などの研磨材、ブレーキライニングなどの摩擦材料、耐火物の結合剤などにフェノール樹脂を用いる場合には、ノボラック型フェノール樹脂とヘキサメチレンテトラミンとの系が最も多く使用されている。
【0006】ノボラック型フェノール樹脂とヘキサメチレンテトラミンとの系は、粉末状のノボラック型フェノール樹脂に粉末状のヘキサメチレンテトラミンを10〜15質量%混合したものとして用いられるのが一般的であるが、このものでは種々の問題が提起されている。すなわち、ノボラック型フェノール樹脂とヘキサメチレンテトラミンとは固相で混合されるために一方の偏在によって混合系が不均一になり易い、ヘキサメチレンテトラミンの吸湿によって団結塊状化し易い、固相混合時に粉塵飛散が生じて作業者への悪影響が発生するなどの問題が挙げられる。また、使用分野によってはヘキサメチレンテトラミンに起因する製品品質や環境汚染での問題が多く指摘されている。例えば成形材料用の分野においては、加熱成形時にヘキサメチレンテトラミンの分解によって発生するアンモニアガスで環境が汚染されたり、このアンモニアガスによって金属インサート物が腐食されたりするという問題があり、さらにヘキサメチレンテトラミンで硬化させたノボラック型フェノール樹脂にあっては、湿度及び温度の影響によってアンモニアが遊離し、この結果金属インサートに腐食が生じるという問題もある。またシェルモールド用の分野においては、鋳型や中子の加熱造型時に同様に発生するアンモニアガスによって環境汚染が生じると共に、注湯時におけるアンモニアガスやその分解ガス中の窒素ガスによって鋳物にピンホールやオレンジピールのようなガス欠陥が生じるという問題が発生する。さらに砥石用やブレーキライニング用、耐火物用等の分野においても同様に、発生するアンモニアガスによる環境汚染、加熱成形時のヘキサメチレンテトラミンの分解ガスによる成形不良などの問題がある。
【0007】以上のように、ノボラック型フェノール樹脂とヘキサメチレンテトラミンとの系のものは種々の問題を有するものであり、このような問題を避けるために、ヘキサメチレンテトラミンを使用せずとも硬化させることのできるレゾール型フェノール樹脂を用いることが考えられる。しかし、レゾール型フェノール樹脂は上記のように常温で液状乃至粘稠な飴状の含水樹脂であって取り扱いに不便であるため、水や有機溶媒に溶解した状態で積層材、合板の接着剤、塗料、注型品などに利用されているだけで、上記した分野には殆ど利用されていない。レゾール型フェノール樹脂の利用分野が限定されるのは、このような取り扱いの理由の他に、水あるいは有機溶剤が生産工程の律速段階の要因になると共に工程が複雑化する、液状のレゾール型フェノール樹脂は常温下でも縮合反応が進行するため可使時間に制約が生じると共に縮合反応の進行によって品質が安定しない、などがその理由として挙げられる。
【0008】従って、レゾール型フェノール樹脂を固体化すれば、このような液状であることの問題が解決されると同時に、上述のヘキサメチレンテトラミンによる問題を解決した樹脂として用いることができることになり、種々の問題を一挙に解決することができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ここで、固体レゾール型フェノール樹脂を製造する方法としては、例えば、フェノール類とアルデヒド類とを塩基性触媒下で付加縮合反応させ、この含水状態で液状のものをさらに減圧下で加熱して縮合反応を進めながら目的とする樹脂の軟化点以上の高温にまで加熱することで濃縮し、この後に直ちに反応容器より取り出して急冷することによって、固体レゾール型フェノール樹脂を得るようにするのが一般的である。しかしこのようにしてレゾール型フェノール樹脂を固体化する方法には次のような問題がある。
1)濃縮の反応後期で反応容器の内容物の粘度が急激に上昇し、攪拌に大馬力を必要とする。
2)高温加熱が必要で、反応物の自己発熱もあるためゲル化の危険が大きい。
3)反応容器から排出したあとの冷却状況や、困難な反応終点の制御に起因して製品品質を一定させることが難しい。
4)反応終点は経験によって決めざるを得ず、正確な反応終点を逃してしまうと反応物が非常に危険な状態になる。
【0010】固体レゾール型フェノール樹脂を得るにはこのような問題があるので、従来から上記の製法を改良した方法が数多く提案され、それなりに効果を上げている。これらの方法で得られている固体レゾール型フェノール樹脂はいずれも、アンモニアあるいは第1級アミン、第2級アミンを触媒としてフェノール類とアルデヒド類とを付加縮合させたいわゆるアンモニアレゾール樹脂であり、これらはメチロール基の水酸基とアンモニアの水素とが反応して全体の水酸基が少なくなるために疎水性になり、またゲル化速度が比較的遅いために、容易に固体レゾール型フェノール樹脂を得ることができるのである。
【0011】しかし、このようにアンモニアあるいは第1級アミン、第2級アミンを触媒として用いると、アンモニアの一部がレゾール型フェノール樹脂中に残存したり、第1級アミンや第2級アミンの窒素成分が[化1]のような形でレゾール型フェノール樹脂中に残存したりすることになり、加熱成形時にアンモニアガスや窒素ガスが発生し、既述したような問題の解決には至っていない。
【0012】
【化1】

【0013】従って、アンモニアや窒素の問題を解決するには、触媒としてアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物や酸化物、炭酸塩、あるいは第3級アミンを用いてフェノール類とアルデヒド類とを付加縮合させたいわゆるアルカリレゾール樹脂を使用する必要がある。アルカリレゾール樹脂には窒素成分が残存しないので、アンモニアや窒素の問題を解決するためには、このアルカリレゾール樹脂を使用する必要がある。
【0014】しかし、レゾール型フェノール樹脂の原料として一般に使用されているフェノールとホルムアルデヒドは、いずれも水に易溶性で、吸湿性であり、これらを原料とするレゾール型フェノール樹脂は、分子構造中に多量のメチロール基を含有しており、このメチロール基とフェノール性の水酸基はともに親水基であり、水との親和力が強い。このため、フェノールとホルムアルデヒドを縮合反応させて得られた縮合物を濃縮して固体化する際の水の除去が困難を極め、またこれらは軟化点の上昇の抑制に働き、レゾール型フェノール樹脂を固体化することが非常に困難である。しかも、ゲル化速度が極めて速く、縮合物を加熱濃縮して固体化することは困難であり、そのため低分子量の段階で濃縮を始めて付加縮合反応を進めつつ加熱濃縮をする必要があるが、付加縮合が過度に進行してゲル化が生じる前に加熱濃縮を停止する必要があって、操作が非常に煩雑になるものであった。
【0015】本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、窒素成分を含有しないレゾール型フェノール樹脂を容易に固体化して得ることができる固体レゾール型フェノール樹脂の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る固体レゾール型フェノール樹脂の製造方法は、水に対する常温での溶解度が10以下の疎水性フェノール類を少なくとも含むフェノール類とアルデヒド類とを触媒の存在下で反応させることによって、含水状態のレゾール型フェノール樹脂を調製し、この含水状態のレゾール型フェノール樹脂を粗砕することによって含水粒状物を得た後、この含水粒状物を加熱して乾燥することを特徴とするものである。
【0017】また請求項2の発明は、請求項1において、フェノール類のうち、水に対する常温での溶解度が10以下の疎水性フェノール類を5質量%以上使用することを特徴とするものである。
【0018】また請求項3の発明は、請求項1又は2において、水に対する常温での溶解度が10以下の疎水性フェノール類として、ビスフェノール類を用いることを特徴とするものである。
【0019】また請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、触媒として、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩及び第3級アミンから選ばれる一種以上のものを用いることを特徴とするものである。
【0020】また請求項5の発明は、請求項4において、触媒として、第3級アミンを用いることを特徴とするものである。
【0021】また請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれかにおいて、得られた固体レゾール型フェノール樹脂の窒素成分量が0.3質量%以下であることを特徴とするものである。
【0022】また請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれかにおいて、流動床型の乾燥装置に含水粒状物を投入し、含水粒状物を加熱空気と接触させることによって、含水粒状物の乾燥を行なうことを特徴とするものである。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0024】本発明において主原料の一つとして用いるフェノール類としては、疎水性で水に難溶性のものを使用するものであり、水に対する溶解度が常温(30℃)で10以下であるものが好ましい。ここで水に対する溶解度とは、水100gに対して溶解するグラム数と定義されるものであり、水に対する溶解度が10以下とは、水100gに対して10gの溶解で飽和状態になることを意味する。溶解度は低いほうが望ましく、従って溶解度の下限は0である。
【0025】このような水に対する溶解度が常温で10以下の疎水性フェノール類としては、例えば、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、レゾルシン、p−t−ブチルフェノール、4−t−ブチルカテコール、m−フェニルフェノール、p−フェニルフェノール、p−(α−クミル)フェノール、ノニルフェノール、グアヤコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF、o−クロロフェノール、p−クロロフェノール、2,4−ジクロロフェノールなどを挙げることができ、これらのうち1種のものを単独で用いる他、2種以上のものを併用することもできる。
【0026】本発明ではフェノール類として、これらの疎水性フェノール類のみを用いる他、親水性で水に対する溶解度が常温(30℃)で10を超える水溶解性のフェノール類を併用することもできる。このような水溶解性のフェノール類としては、例えば、フェノール、カテコール、タンニン、3,5−キシレノール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、o−フェニルフェノールなどを挙げることができ、これらのうち1種のものを単独で用いる他、2種以上のものを併用することもできる。
【0027】疎水性フェノール類の使用割合が大きい程、固体レゾール型フェノール樹脂の製造がより容易になるものであり、本発明では使用するフェノール類のうち、5質量%以上が疎水性フェノール類であることが好ましい。使用する疎水性フェノール類が5質量%未満であると、固体レゾール型フェノール樹脂の製造が困難になる。フェノール類として疎水性フェノール類のみを用いても良いので、疎水性フェノール類の使用割合の上限は100質量%である。
【0028】本発明において主原料の他の一つとして用いるアルデヒド類としては、ホルムアルデヒドの水溶液の形態であるホルマリンが最適であるが、トリオキサン、テトラオキサン、パラホルムアルデヒドのような形態のものを用いることもでき、その他ホルムアルデヒドの一部あるいは大部分をフルフラールやフルフリルアルコールに置き換えることも可能である。
【0029】またフェノール類とアルデヒド類を付加縮合反応させる触媒としては、ナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属の酸化物や水酸化物や炭酸塩、カルシウム、マグネシウム、バリウムなどアルカリ土類金属の酸化物や水酸化物や炭酸塩、第3級アミンを用いるのが好ましく、これらのうち1種のものを単独で用いる他、2種以上のものを併用することもできる。具体例を挙げれば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、水酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7などがある。
【0030】これらのアルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩は、いずれも窒素成分を全く含有せず、また第3級アミンは窒素成分を含有するが第3級アミンではこの窒素成分は上記の[化1]のようにメチロール基に付加するようなことがないものであり、窒素成分がフェノール樹脂の分子中に取り込まれるようなことなく、レゾール型フェノール樹脂を調製することができるものである。
【0031】そして、フェノール類とアルデヒド類とを触媒の存在下で付加縮合反応させることによってレゾール型フェノール樹脂を調製することができる。ここで本発明では、フェノール類として疎水性フェノール類が使用されているので、付加縮合物は反応の進行と共に疎水性になり、水と分離し易くなる。このため、レゾール型フェノール樹脂を固体化するのに必要な十分な分子量にまで付加縮合反応を時間をかけて行なっても、ゲル化が起こるようなことがなく、所望の分子量にまで反応させるようにすればよい。
【0032】このようにフェノール類とアルデヒド類を付加縮合させた後、反応系の水分を分離除去するか減圧蒸留などして余分な水分を分離除去すると、付加縮合させて得られるレゾール型フェノール樹脂は疎水性になっているので、反応生成物は含水状態のかたまりになって水中から分離された状態になっている。従って、この含水状態のレゾール型フェノール樹脂は反応容器から容易に取り出すことができるものであり、含水状態のレゾール型フェノール樹脂を冷却して粗粉砕することによって、含水粒状物を得ることができる。
【0033】この後に、この含水レゾール型フェノール樹脂の粒状物を、レゾール型フェノール樹脂の過度の反応の進行と粒状物の団結塊状化が生じない温度、例えば40〜70℃程度の温度の熱風に接触させ、粒状物中の水分を気化させて除去することによって乾燥を行ない、固体のレゾール型フェノール樹脂を得ることができるものである。
【0034】ここで、含水レゾール型フェノール樹脂の粒状物を上記のように乾燥するにあたっては、図1に示すような流動床型の乾燥装置を用いることができる。流動床型乾燥装置を図において説明すると、1は導入口であって含水粒状物が導入される。2は第1の乾燥室であってその底部には例えば1mm径程度の多数の孔が設けられた流動床3が取り付けてある。4,5,6,7は仕切り板8によって仕切ることにより、任意の数で設けられた第2、第3、第4、第5の各乾燥室であり、その底部には多数の孔が設けられた流動床9が各乾燥室4,5,6,7に共通して取り付けてある。10は最終の乾燥室7からの出口であり、受け器11に連通されている。12は送風機であって、ガス加熱機、電熱器、熱交換器などで形成されるヒーター13を介してダクト14,15によって第1の乾燥室2と第2乃至第5の乾燥室4,5,6,7とにそれぞれ接続してある。16,17はダンパである。18,19は排気管であり、第1の乾燥室2と第2乃至第5の乾燥室4,5,6,7とにそれぞれ連通して設けられ、サイクロン20を介して排風機21に接続してある。
【0035】このように形成される流動床型乾燥装置にあって、ヒーター13より出る熱風は、例えば40〜70℃程度の比較的低温の熱風としてダクト14,15によって各乾燥室2,4,5,6,7に流動床3,9の下側から導入されている。そして導入口1より第1の乾燥室2に投入された含水粒状物は、この下側からの熱風によって吹き上げられて乾燥を受けつつ流動床を移動し、さらに仕切り板8を乗り越えたり仕切り板8の下側をくぐったりして、第2の乾燥室4から順次第5の乾燥室7へと移動する。このようにして粒状物は流動床3,9上を吹き上げられて流動しつつ乾燥を受けることになり、効率良く迅速にかつ均一に乾燥を行なうことができることになって、粒状物中の樹脂の反応を進行させてしまうようなおそれはない。このようにして乾燥が行なわれた粒状物は出口10から受け器11に排出される。各乾燥室2,4,5,6,7に導入された熱風は、排気用管18,19からサイクロン20を介して排風機21によって排気されるが、排気中の微粒子はサイクロン20によって分離されて乾燥室2に戻されるようになっている。
【0036】上記のようにして流動床型乾燥装置によって、比較的低温で乾燥を行なうことができ、加熱によってゲル化が生じ易い、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩や第3級アミンを触媒として得られたレゾール型フェノール樹脂であっても、容易に乾燥して固体化することができるものである。また高温加熱で脱水するものではないので、希望する性能の固体レゾール型フェノール樹脂を、付加縮合反応時におけるフェノール類とアルデヒド類とのモル比、触媒の種類と量、反応時間、反応温度などの条件によって任意に設定して得ることが可能になるものである。
【0037】そして上記のようにして得た固体のレゾール型フェノール樹脂は、硬化剤を配合する必要なく加熱することによって硬化させることができるものであり、既述した用途に有用に用いることができるものである。しかもこの固体レゾール型フェノール樹脂には窒素成分が含有されていないので、この固体レゾール型フェノール樹脂を成形した成形物に窒素成分が取り込まれることを防ぐことができ、金属をインサートした成形物の金属が窒素成分で腐食されたりすることを防ぐことができるものである。また金属をインサートしていない成形物にあっても、窒素成分が取りこまれた成形物を気体中や液体中で例えば50℃以上の温度に長時間暴露すると、窒素結合部分が切断され、強度の低下を招いたり、分解ガスや遊離している窒素化合物が放出されて雰囲気を汚染するおそれがあるが、本発明の固体レゾール型フェノール樹脂は窒素成分を含有しないので、このような問題もなくなるものである。従って固体レゾール型フェノール樹脂中に含有される窒素成分の量は少ないほど望ましいが、本発明では、窒素含有量を0.3質量%以下に制限することによって、窒素成分による問題の発生を未然に防ぐようにしている。
【0038】尚、本発明において得た固体レゾール型フェノール樹脂には、充填剤、着色剤、滑剤、界面活性剤、その他シラン系、アルミナ系、ジルコン系、ジルコアルミネート系などのカップリング剤等の添加剤を加えて使用することができる。この場合、反応容器内で調製した含水レゾール型フェノール樹脂にこれらの添加剤を混合した後に、反応容器から払い出して、粗粉砕、乾燥を行なうようにしてもよい。また固体レゾール型フェノール樹脂にはその性能を向上させるために、ノボラック型フェノール樹脂を任意の割合で混合して用いることもできる。
【0039】
【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0040】(実施例1)ビスフェノールA(水に対する常温での溶解度0.036)を1.75kg、フェノールを33.25kg、37質量%ホルマリンを44kg、トリエチルアミンを0.7kgとり、それぞれを攪拌機付きの反応容器に仕込んだ(疎水性のビスフェノールAはフェノール類中の5質量%)。そして約60分を要して90℃まで昇温した後、90℃で200分間反応させ、次いで直ちに13300Paの減圧下で65℃まで脱液した後、速やかに反応生成物を反応容器からステンレス製バットに払い出し、カールフィッシャー法による水分測定値が8質量%の含水レゾール型フェノール樹脂を得た。
【0041】次に、このステンレス製バット上の含水レゾール型フェノール樹脂を10℃の冷蔵庫に入れて冷却した後、含水レゾール型フェノール樹脂を3mm丸孔スクリーンを付したナイフエッジ粗砕機で粉砕し、28メッシュ上40質量%、35メッシュ上30質量%、48メッシュ上20質量%、70メッシュ上10質量%の粒度の含水粒状物を得た。
【0042】次いで、この含水粒状物に粉状ワックスとしてステアリン酸カルシウムを0.1質量%混合し、この含水粒状物を図1の流動床型乾燥装置に導入した。この流動床型乾燥装置において、流動床3,9は孔径1.0mm、5mmピッチ、開孔率3.1%の多孔板によって形成されており、流動床3,9上において流気温度が55℃、流動化風速が第1の乾燥室2で0.65m/秒、第2乃至第5の乾燥室4,5,6,7で0.6m/秒、粒状物の滞留時間が4時間、粒状物の投入量が毎時4kgとなる条件下で連続運転して、含水粒状物を乾燥させた。
【0043】このようにして、水分1.0質量%、嵩比重0.75の常温で固体のサラサラとした透明粒状レゾール型フェノール樹脂を、収量で45kg得た。
【0044】(実施例2)p−t−ブチルフェノール(水に対する常温での溶解度0.05)を20kg、フェノールを20kg、37質量%ホルマリンを42kg、水酸化カリウムを0.8kgとり、還流冷却器を備えた反応容器に仕込んだ(疎水性のp−t−ブチルフェノールはフェノール類中の50質量%)。そして沸騰還流下で100分間反応させ、後は実施例1と同様にして余分な水分を留去して含水レゾール型フェノール樹脂を得た。これを実施例1と同様にして冷蔵庫に入れて冷却し、さらに実施例1と同様にして粉砕すると共に乾燥して、常温で固体のサラサラとした透明粒状レゾール型フェノール樹脂を得た。
【0045】(実施例3)ビスフェノールAを40kg、37質量%ホルマリンを24.2kg、水を40kg、水酸化ナトリウムを0.4kg、トリエチルアミンを0.4kgとり、還流冷却器を備えた反応容器に仕込んだ(疎水性のビスフェノールAはフェノール類中100質量%)。そして80℃で220分間反応させ、後は実施例1と同様にして余分な水分を留去して含水レゾール型フェノール樹脂を得た。これを実施例1と同様にして冷蔵庫に入れて冷却し、さらに実施例1と同様にして粉砕すると共に乾燥して、常温で固体のサラサラとした透明粒状レゾール型フェノール樹脂を得た。
【0046】(実施例4)実施例3と同様にしてビスフェノールAとホルマリンを反応させたのち、これに蟻酸0.46kgを加えて中和し、後は実施例1と同様にして余分な水分を留去して含水レゾール型フェノール樹脂を得た。これを実施例1と同様にして冷蔵庫に入れて冷却し、さらに実施例1と同様にして粉砕すると共に乾燥して、常温で固体のサラサラとした透明粒状レゾール型フェノール樹脂を得た。
【0047】(実施例5)流動床型乾燥装置の流動床3,9上において、流気温度を65℃にした他は、実施例4と同様にして、塊状物のないサラサラとした透明粒状レゾール型フェノール樹脂を得た。
【0048】(比較例1)フェノールを40kg、37質量%ホルマリンを51.8kg、トリエチルアミンを0.8kgとり、それぞれを攪拌機付きの反応容器に仕込んだ。そして約60分を要して90℃まで昇温した後、90℃で200分間反応させ、次いで直ちに13300Paの減圧下で65℃まで脱液した後、速やかに反応生成物を反応容器からステンレス製バットに払い出し、カールフィッシャー法による水分測定値が7.9質量%の含水レゾール型フェノール樹脂を得た。
【0049】次に、このステンレス製バット上の含水レゾール型フェノール樹脂を10℃の冷蔵庫に入れて冷却した。そしてこの含水レゾール型フェノール樹脂を粉砕するためにステンレス製バットから取り出そうとしたが、ステンレス製バットに含水レゾール型フェノール樹脂が付着して取り出すことができなかった。そこでこのステンレス製バット上の含水レゾール型フェノール樹脂を0℃の冷蔵庫に入れて冷却した。今度はステンレス製バットから含水レゾール型フェノール樹脂を取り出すことはできたが、粗砕機中で溶融してしまい、粉砕することができなかった。このため、ステンレス製バットに含水レゾール型フェノール樹脂を戻し、−10℃の冷凍庫に入れて冷凍させた。今度は粗砕機中で粉砕することができた。
【0050】そして次に、この粉砕した含水粒状物を実施例1と同様にして流動床型乾燥機で乾燥しようとしたが、流気温度が55℃では溶着し、乾燥をすることができなかった。そこで、室温の24℃の風を3時間送風して、含有水分を約4質量%まで減らし、さらに流気温度を50℃に上げて含有水分を0.9質量%になるまで乾燥を行ない、固体の粒状レゾール型フェノール樹脂を得た。
【0051】(比較例2)フェノールを40kg、37質量%ホルマリンを45.3kg、ヘキサメチレンテトラミンを4kgとり、それぞれを攪拌機付きの反応容器に仕込んだ。そして比較例1と同様にして反応させると共に脱液することによって、カールフィッシャー法による水分測定値が7.7質量%の含水レゾール型フェノール樹脂を得た。次に、この含水レゾール型フェノール樹脂を−5℃に冷凍した後に粗砕し、流気温度を40℃に設定した他は、実施例1と同様にして流動床型乾燥機で乾燥し、固体の粒状レゾール型フェノール樹脂を得た。
【0052】上記のようにして実施例1〜5及び比較例1,2で得られた固体レゾール型フェノール樹脂について、軟化点、150℃でのゲル化時間、流れ性をJIS K6910に準拠して測定し、また窒素成分の含有率をJIS K 2609のマクロケルダール法に準拠して測定した。結果を表1に示す。
【0053】
【表1】

【0054】
【発明の効果】上記のように本発明の請求項1に係る固体レゾール型フェノール樹脂の製造方法は、水に対する常温での溶解度が10以下の疎水性フェノール類を少なくとも含むフェノール類とアルデヒド類とを触媒の存在下で反応させることによって、含水状態のレゾール型フェノール樹脂を調製し、この含水状態のレゾール型フェノール樹脂を粗砕することによって含水粒状物を得た後、この含水粒状物を加熱して乾燥するようにしたので、反応によって得られる含水状態のレゾール型フェノール樹脂は疎水性フェノール類によって疎水性になり、水と分離し易くなるものであって、加熱濃縮を行なう必要なく反応系から取り出して乾燥することが可能になるものであり、また反応の際にアンモニアや第1級アミン、第2級アミンのような窒素成分が残存する触媒を用いる必要がなくなると共に硬化のためにヘキサメチレンテトラミンを用いる必要がないものであり、窒素成分を含有しないレゾール型フェノール樹脂を容易に固体化して得ることができるものである。
【0055】また請求項2の発明は、フェノール類のうち、水に対する常温での溶解度が10以下の疎水性フェノール類を5質量%以上使用するようにしたので、反応によって得られる含水状態のレゾール型フェノール樹脂は疎水性になり、加熱濃縮を行なう必要なく反応系から取り出して乾燥することが可能になるものである。
【0056】また請求項3の発明は、水に対する常温での溶解度が10以下の疎水性フェノール類として、ビスフェノール類を用いるので、反応によって得られる含水状態のレゾール型フェノール樹脂は疎水性になり、加熱濃縮を行なう必要なく反応系から取り出して乾燥することが可能になるものである。
【0057】また請求項4の発明は、触媒として、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩及び第3級アミンから選ばれる一種以上のものを用いるので、窒素成分を含有しないレゾール型フェノール樹脂を得ることができるものである。
【0058】また請求項5の発明は、触媒として、第3級アミンを用いるので、窒素成分を含有しないレゾール型フェノール樹脂を得ることができるものである。
【0059】また請求項6の発明は、得られた固体レゾール型フェノール樹脂の窒素成分量が0.3質量%以下であるので、窒素成分を含有することによる悪影響を未然に防ぐことができるものである。
【0060】また請求項7の発明は、流動床型の乾燥装置に含水粒状物を投入し、含水粒状物を加熱空気と接触させることによって、含水粒状物の乾燥を行なうようにしたので、低温加熱で乾燥をして、固体のレゾール型フェノール樹脂を容易に得ることができるものである。
【出願人】 【識別番号】000115658
【氏名又は名称】リグナイト株式会社
【出願日】 平成13年1月9日(2001.1.9)
【代理人】 【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清 (外1名)
【公開番号】 特開2002−201245(P2002−201245A)
【公開日】 平成14年7月19日(2002.7.19)
【出願番号】 特願2001−908(P2001−908)