| 【発明の名称】 |
ガラス繊維不織布用結合剤、ガラス繊維不織布およびガラス繊維強化樹脂 |
| 【発明者】 |
【氏名】松本 公一
【氏名】鈴木 芳治
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| 【要約】 |
【課題】マトリックス樹脂原料として有機溶剤を含む樹脂ワニスを用いた場合であっても、その有機溶剤により不織布の強度の低下や不織布の切断が生じることなく、耐熱性の充分に高いコンポジット積層板を得ることの可能なガラス繊維不織布用結合剤を提供すること。
【解決手段】一般式(1)のシラン化合物の加水分解縮合物と、グリシジル(メタ)アクリレートとを反応させてなるガラス繊維不織布用結合剤。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 下記一般式(1)で表されるシラン化合物の加水分解縮合物と、下記一般式(2)で表されるグリシジル化合物とを反応させてなるガラス繊維不織布用結合剤。 【化1】
[式中、R1は炭素数1〜6のアルキレン基、R2は炭素数1〜10のアルキレン基、R3は炭素数1〜10の有機基、mは2または3、nは0〜5の整数、xは1〜3の整数をそれぞれ示す。ただし、R1が複数存在するときは、R1はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。] 【化2】
[式中、R4は水素原子またはメチル基を示す。] 【請求項2】 下記一般式(1)で表されるシラン化合物の加水分解縮合物における、窒素原子に結合した水素原子の少なくとも1つが、下記一般式(3)で表される1価の基で置換されてなるガラス繊維不織布用結合剤。 【化3】
[式中、R1は炭素数1〜6のアルキレン基、R2は炭素数1〜10のアルキレン基、R3は炭素数1〜10の有機基、mは2または3、nは0〜5の整数、xは1〜3の整数をそれぞれ示す。ただし、R1が複数存在するときは、R1はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。] 【化4】
[式中、R4は水素原子またはメチル基を示す。] 【請求項3】 前記一般式(1)において、R1が炭素数2または3のアルキレン基、R2が炭素数2〜8のアルキレン基、nが1、mが3である請求項1または2記載のガラス繊維不織布用結合剤。 【請求項4】 前記加水分解縮合物が、前記一般式(1)で表されるシラン化合物2〜10個の加水分解縮合物である請求項1〜3のいずれか一項に記載のガラス繊維不織布用結合剤。 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか一項に記載のガラス繊維不織布用結合剤でガラス繊維を結合せしめてなるガラス繊維不織布。 【請求項6】 請求項5記載のガラス繊維不織布と硬化樹脂とを含むガラス繊維強化樹脂。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ガラス繊維不織布用結合剤、該ガラス繊維不織布用結合剤でガラス繊維を結合せしめてなるガラス繊維不織布、および該ガラス繊維不織布と硬化樹脂とを含むガラス繊維強化樹脂に関する。 【0002】 【従来の技術】ガラス繊維不織布は、水中に均一に分散させたガラス繊維チョップドストランドを抄造して得られたガラス繊維シートに、結合剤を塗布または噴霧させ乾燥することにより得られるものであり、コンポジット積層板の作製用に広く用いられている。コンポジット積層板の最も重要な用途としては、電気製品用プリント配線板としての用途が挙げられるが、近年の電気製品は、ゲーム機等のアミューズメント製品やOA・FA機器等において特に小型化が進んでいるために、プリント配線板自体も高密度化・小型化が図られており、高温条件や温度や湿度の激しい環境下でも劣化等を生じないものが求められている。 【0003】このような用途に用いられるプリント配線板としては、耐熱性の高いエポキシ樹脂をマトリックス樹脂として含む、いわゆるCEM−3(Composite Epoxy Material − 3)を用いることが多くなっている。したがって、ガラス繊維不織布としては、マトリックス樹脂であるエポキシ樹脂との親和性に優れ硬化後のエポキシ樹脂の耐熱性を損ねないようなものを用いなければならないため、エポキシ樹脂とガラス繊維との界面に存在する結合剤の選択が重要となる。 【0004】結合剤としては、従来より酢酸ビニル樹脂エマルジョンやエポキシ樹脂エマルジョンが多用されているが、近年、上記のような用途に向けてシランカップリング剤またはその変性物が用いられるようになってきている。このような結合剤は、例えば、特開昭60−155762号公報、特開平2−67324号公報、特開平3−124865号公報、特開平6−220763号公報等に開示されており、コンポジット積層板の電気絶縁性や耐熱性を改良することができると記載されている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公報に開示の結合剤は、プリント配線板作製のためのプリプレグ製造工程において、マトリックス樹脂ワニス中の有機溶剤により膨潤および/または溶出するため、不織布の強度が低下したり、有機溶剤の種類によっては不織布の切断が生じるという問題があった。 【0006】本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたものであり、マトリックス樹脂原料として有機溶剤を含む樹脂ワニスを用いた場合であっても、その有機溶剤により不織布の強度の低下や不織布の切断が生じることなく、耐熱性の充分に高いコンポジット積層板を得ることの可能なガラス繊維不織布用結合剤を提供することを目的とする。また、該ガラス繊維不織布用結合剤でガラス繊維を結合せしめてなるガラス繊維不織布、および該ガラス繊維不織布と硬化樹脂とを含むガラス繊維強化樹脂を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定構造のシラン化合物の加水分解縮合物に特定構造のグリシジル化合物を反応させてなる化合物をガラス繊維不織布用結合剤として用いることにより、マトリックス樹脂原料として有機溶剤を含む樹脂ワニスを用いた場合であっても、その有機溶剤により不織布の強度の低下や不織布の切断が生じることなく、耐熱性の充分に高いコンポジット積層板を得ることが可能であることを見出した。また、該ガラス繊維不織布用結合剤でガラス繊維を結合せしめることによりガラス繊維不織布が得られ、該ガラス繊維不織布と硬化樹脂とを含むガラス繊維強化樹脂は耐熱性に優れることを見出し、本発明を完成させた。 【0008】すなわち、本発明のガラス繊維不織布用結合剤は、下記一般式(1)で表されるシラン化合物の加水分解縮合物と、下記一般式(2)で表されるグリシジル化合物とを反応させてなることを特徴とする。 【化5】
[式中、R1は炭素数1〜6のアルキレン基、R2は炭素数1〜10のアルキレン基、R3は炭素数1〜10の有機基、mは2または3、nは0〜5の整数、xは1〜3の整数をそれぞれ示す。ただし、R1が複数存在するときは、R1はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。] 【化6】
[式中、R4は水素原子またはメチル基を示す。] 【0009】また、本発明のガラス繊維不織布用結合剤は、下記一般式(1)で表されるシラン化合物の加水分解縮合物における、窒素原子に結合した水素原子の少なくとも1つが、下記一般式(3)で表される1価の基で置換されてなることを特徴とする。 【化7】
[式中、R1は炭素数1〜6のアルキレン基、R2は炭素数1〜10のアルキレン基、R3は炭素数1〜10の有機基、mは2または3、nは0〜5の整数、xは1〜3の整数をそれぞれ示す。ただし、R1が複数存在するときは、R1はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。] 【化8】
[式中、R4は水素原子またはメチル基を示す。] 【0010】本発明のガラス繊維不織布用結合剤は、前記一般式(1)において、R1が炭素数2または3のアルキレン基、R2が炭素数2〜8のアルキレン基、nが1、mが3であることが好ましい。また、本発明のガラス繊維不織布用結合剤は、前記加水分解縮合物が、前記一般式(1)で表されるシラン化合物2〜10個の加水分解縮合物であることが好ましい。 【0011】本発明は、また、上記のガラス繊維不織布用結合剤でガラス繊維を結合せしめてなるガラス繊維不織布を提供するものである。さらに、上記ガラス繊維不織布と硬化樹脂とを含むガラス繊維強化樹脂を提供するものである。 【0012】 【発明の実施の形態】本発明のガラス繊維不織布用結合剤は、下記一般式(1)で表されるシラン化合物の加水分解縮合物と、下記一般式(2)で表されるグリシジル化合物とを反応させてなることを特徴とする。 【化9】
[式中、R1は炭素数1〜6のアルキレン基、R2は炭素数1〜10のアルキレン基、R3は炭素数1〜10の有機基、mは2または3、nは0〜5の整数、xは1〜3の整数をそれぞれ示す。ただし、R1が複数存在するときは、R1はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。] 【化10】
[式中、R4は水素原子またはメチル基を示す。] 【0013】まず、一般式(1)で表されるシラン化合物について説明する。一般式(1)で表されるシラン化合物は、アミノ基を少なくとも一つ有する有機基とアルコキシシリル基とを備えた化合物(アミノシラン)であり、該アルコキシシリル基におけるケイ素原子には、3個のアルコキシ基、または2個のアルコキシ基と1個の有機基とが結合している。 【0014】一般式(1)におけるR1は、炭素数1〜4のアルキレン基であることが好ましく、炭素数2または3のアルキレン基であることがより好ましい。また、R2は炭素数1〜8のアルキレン基であることが好ましく、炭素数2〜8のアルキレン基であることがより好ましい。R3は炭素数1〜10の有機基であり、このような有機基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基が例示できる。本発明においては、R3は炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜3のアルキル基であることがより好ましく、メチル基が特に好ましい。 【0015】一般式(1)におけるmは3であることがより好ましい。また、nは1〜3の整数であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。xは1または2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。本発明においては、一般式(1)で表されるシラン化合物は、R1が炭素数2または3のアルキレン基であり、R2が炭素数2〜8のアルキレン基であり、nが1であり、且つmが3であるものが特に好ましい。このような化合物としては、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランを例示することができる。 【0016】次に、一般式(1)で表されるシラン化合物の加水分解縮合物について説明する。本発明における加水分解縮合物とは、一般式(1)で表されるシラン化合物が以下に述べる加水分解反応と縮合反応とを生じて複数連結して生じた化合物を意味する。すなわち、一般式(1)で表されるシラン化合物におけるアルコキシ基(−OCxH2x+1)が水等との接触により加水分解反応を生じて水酸基(−OH)へと変化し、この水酸基が、同様に加水分解反応を生じた他のシラン化合物の水酸基と縮合反応を生じ、シロキサン結合(−Si−O−Si−)が形成されて、シラン化合物が連結する。一般式(1)で表されるシラン化合物は分子中に2または3個のアルコキシ基を有するために、シロキサン結合を形成することにより2以上のシラン化合物が連結することが可能であり、これによりシラン化合物がオリゴマー化して、加水分解縮合物が得られる。 【0017】なお、シロキサン結合は、加水分解を受けて生じた水酸基と、加水分解を受けていないアルコキシ基(−OCxH2x+1)との縮合反応によっても形成され、この場合、縮合反応に際してアルコール(CxH2x+1OH)が脱離する。また、加水分解縮合物を形成する複数のシラン化合物のそれぞれは、一般式(1)の一般式に該当する化学構造を有している限り、全く同一の構造を有している必要はない。 【0018】一般式(1)におけるmが2のシラン化合物のみからなる加水分解物は、例えば、以下の一般式(4)で表されるような直鎖状の化合物となる。 【化11】
[式中、yは2以上の整数、R1、R2、R3、nは、前記R1、R2、R3、nと同義である。] 【0019】一般式(1)におけるmが2のシラン化合物のみからなる加水分解物は、以下の一般式(5)で表されるような環状の化合物となる場合もある。 【化12】
[式中、yは2以上の整数、R1、R2、R3、nは、前記R1、R2、R3、nと同義である。] 【0020】一般式(1)におけるmが3であるシラン化合物のみからなる加水分解物は、例えば、以下の一般式(6)で表されるような三次元構造を有する化合物となり得る。 【化13】
[式中、R1、R2、nは、前記R1、R2、nと同義である。] 【0021】本発明における加水分解縮合物は、上述したように異なる構造を有する複数のシラン化合物の加水縮合物であってもよい。この場合に得られる加水分解縮合物は、直鎖状のシロキサン結合(一般式(4)の構造)、環状のシロキサン結合(一般式(5)の構造)、3次元状のシロキサン結合(一般式(6)の構造)の少なくとも一つを分子中に有する化合物となる。また、該化合物と、一般式(4)、(5)、(6)の化合物の少なくとも一つとの混合物となる場合や、一般式(4)、(5)、(6)の化合物の混合物となる場合もある。なお、本発明おける加水分解縮合物は、分子の末端または側鎖の少なくとも1つに、シロキサン結合を形成していないアルコキシシリル基やシラノール基が存在していてもよい。 【0022】本発明における加水分解縮合物は、一般式(1)で表されるシラン化合物2〜10個の加水分解縮合物であることが好ましく、3〜6個の加水分解縮合物であることがより好ましい。加水分解縮合物が2未満のシラン化合物からなる場合は、該加水分解縮合物と一般式(2)で表されるグリシジル化合物とを反応させてなる結合剤で作製されるガラス繊維不織布の耐溶剤性が低下する傾向にある。一方、10を超えるシラン化合物からなる加水分解縮合物は合成が困難であり、また、水や有機溶媒への溶解性が低下する傾向にある。 【0023】本発明における加水分解縮合物は、水分存在下、一般式(1)で表されるシラン化合物を室温〜80℃で30分〜48時間反応させれば得ることができる。この場合においては、加水分解に際してアルコールが脱離し、また縮合反応に際して水またはアルコールが脱離するために、これらの脱離物を反応系外へ積極的に除去することにより、加水分解および縮合の進行を促進させることができ分子量の大きい加水分解縮合物を得ることができる。また、公知の加水分解用触媒を用いても同様の結果が得られる。しかしながら、本発明においては上記のようにシラン化合物2〜10個の加水分解縮合物を得ることが好ましいため、このような操作を行わずに、一般式(1)で表されるシラン化合物を、水または水とアルコールとの混合溶媒に溶解させ、窒素ガスや希ガスの雰囲気下室温〜80℃で30分〜48時間反応させることが好ましい。 【0024】次に、本発明のガラス繊維不織布用結合剤について説明する。本発明のガラス繊維不織布用結合剤は、上記の加水分解縮合物と上記一般式(2)で表されるグリシジル化合物とを反応させてなるものである。本発明においては、加水分解縮合物とグリシジル化合物との結合様式は特に制限されないが、加水分解縮合物における、第1級アミノ基(一般式(1)におけるnが0の場合)や、第1級アミノ基および第2級アミノ基(一般式(1)におけるnが1〜5の場合)と、グリシジル化合物におけるエポキシ基とが結合してガラス繊維用結合剤が形成されることが好ましい。この場合において、加水分解縮合物には複数のアミノ基が存在するため、少なくともその1つがグリシジル化合物と反応していればよい。 【0025】上記一般式(4)で表される加水分解縮合物(nが1の場合)と一般式(2)で表されるグリシジル化合物が反応することにより、例えば、以下の一般式(7)で表される化合物や、以下の一般式(8)で表される化合物が形成される。 【化14】
[式中、zは1以上の整数、wは0以上の整数を示す。また、R1、R2、R3、R4は、前記R1、R2、R3、R4と同義である。] 【0026】 【化15】
[式中、zは1以上の整数、wは0以上の整数を示す。また、R1、R2、R3、R4は、前記R1、R2、R3、R4と同義である。] 【0027】上記一般式(6)で表される加水分解縮合物(nが1の場合)と一般式(2)で表されるグリシジル化合物が反応することにより、例えば、以下の一般式(9)で表される化合物が形成される。 【化16】
[式中、R1、R2、R4は、前記R1、R2、R4と同義である。] 【0028】本発明において加水分解縮合物とグリシジル化合物とを反応させる場合における、これらのモル比は特に制限されないが、加水分解縮合物を構成するシラン化合物1モルに対して、グリシジル化合物0.5〜2.0モルを反応させることが好ましく、0.8〜1.2モルを反応させることがより好ましい。加水分解縮合物を構成するシラン化合物1モルに対して反応させるグリシジル化合物が0.5モル未満である場合は、ガラス繊維不織布用のガラス繊維同士を結合させる接着力が不足する傾向にあり、2.0モルを超す場合は、得られるガラス繊維不織布用結合剤の水や有機溶媒に対する溶解性が低下して、当該結合剤を効率よくガラス繊維不織布に塗布または噴霧させることが困難になる傾向にある。 【0029】加水分解縮合物とグリシジル化合物との反応は、例えば、両者を水または水とアルコールとの混合溶媒に溶解させ、窒素ガスや希ガスの雰囲気下、室温〜80℃で30分〜48時間反応させることにより実施することができる。この反応は上述した加水分解縮合物の生成反応に連続して行うことが好ましい。加水分解縮合物とグリシジル化合物の反応には、アミンとエポキシ化合物との反応触媒を添加して行ってもよい。 【0030】本発明においては、上述したように加水分解縮合物とグリシジル化合物とを反応させることにより、上記のような化学構造を有したガラス繊維不織布用結合剤が主成分として得られると考えられる。 【0031】このようなガラス繊維不織布用結合剤は、下記一般式(1)で表されるシラン化合物の加水分解縮合物における、窒素原子に結合した水素原子の少なくとも1つが、下記一般式(3)で表される1価の基で置換されてなるものである。 【化17】
[式中、R1は炭素数1〜6のアルキレン基、R2は炭素数1〜10のアルキレン基、R3は炭素数1〜10の有機基、mは2または3、nは0〜5の整数、xは1〜3の整数をそれぞれ示す。ただし、R1が複数存在するときは、R1はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。] 【化18】
[式中、R4は水素原子またはメチル基を示す。] 【0032】一般式(1)で表されるシラン化合物の加水分解縮合物における、窒素原子に結合した水素原子の少なくとも1つが、一般式(3)で表される1価の基で置換されてなるガラス繊維不織布用結合剤は、加水分解縮合物を作製した後グリシジル化合物と反応させる上記の方法以外の方法でも作製することが可能である。例えば、一般式(1)で表されるシラン化合物と一般式(2)で表されるグリシジル化合物を反応させて、一般式(1)における窒素原子に結合した水素原子の少なくとも1つが一般式(3)で表される1価の基で置換された化合物を得た後に、当該化合物を加水分解および縮合させて得ることもできる。本発明においては、この方法を採用するよりも、加水分解縮合物を作製した後グリシジル化合物と反応させる方法を採用して、ガラス繊維不織布用結合剤を作製することが好ましい。 【0033】本発明のガラス繊維不織布用結合剤は、一般式(1)において、R1が炭素数2または3のアルキレン基であり、R2が炭素数2〜8のアルキレン基であり、nが1であり、且つmが3であるシラン化合物(例えば、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン)を用いて合成されるものであることが好ましい。また、一般式(1)で表されるシラン化合物2〜10個(好ましくは3〜6個)の加水分解縮合物を用いて合成されるものであることが好ましい。 【0034】以上説明した本発明のガラス繊維不織布用結合剤を用いて、ガラス繊維からガラス繊維不織布を作製することができる。この場合において、本発明のガラス繊維不織布用結合剤は水や有機溶剤等の溶媒を含まない状態で用いてもよく、これれらの溶媒に溶解または分散させて用いてもよい。溶媒を用いる場合は、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコールと水との混合溶媒が好ましい。本発明のガラス繊維不織布用結合剤は、得られるガラス繊維強化樹脂の性能を低下させない範囲で増粘剤等の各種添加物と共に用いてもよい。 【0035】ガラス繊維不織布を作製する場合に用いられるガラス繊維の種類や形状は特に制限されない。ガラス繊維としては、Eガラス、Sガラス、Cガラス、Tガラス等からなるガラス繊維がいずれも使用可能である。ガラス単繊維(ガラスフィラメント)の繊維径に関しても特に制限はなく、例えば、3〜23μmのものを使用することができる。 【0036】ガラス繊維不織布は、通常、上記のようなガラス繊維からなるガラス繊維ストランドを3〜25mmに切断して得られたガラス繊維チョップドストランドを用いて作製する。すなわち、先ず、ポリエチレンオキサイド等からなる分散剤を添加した水にガラス繊維チョップドストランドを添加して、抄造機により抄造しウェブを作製する。次いで、このウェブを水切りした後に、塗布または噴霧等により本発明のガラス繊維不織布用結合剤をウェブに付着させ、100〜160℃で乾燥硬化させ、ガラス繊維不織布を得る。ウェブに付着させる本発明のガラス繊維不織布用結合剤の量は、乾燥ウェブ100重量部に対して5〜15重量部とすることが好ましい。 【0037】以上のようにして得られたガラス繊維不織布を用いてガラス繊維強化樹脂を作製することができる。すなわち、ガラス繊維不織布に未硬化の硬化樹脂を含浸させたのち加熱等により硬化させ、ガラス繊維不織布と硬化樹脂とを含むガラス繊維強化樹脂を得ることができる。硬化樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。また、ガラス繊維強化樹脂の作製方法は公知の方法がいずれも採用可能である。 【0038】得られるガラス繊維強化樹脂をプリント配線板等に用いる場合は、例えば以下のような方法を採用してCEM−3(Composite Epoxy Mateial − 3)の構造を有したガラス繊維強化樹脂を用いることが好ましい。すなわち、NEMA規格FR−4の処方等に従って作製された難燃性エポキシ樹脂ワニスをガラス繊維不織布に含浸させて加熱してプリプレグを作製し、これを複数枚積層したものをコアとし、このコアの両面に、上記難燃性エポキシ樹脂ワニスをガラス繊維織物に含浸させ加熱して得られたプリプレグを積層して、この上にさらに銅箔を積層して、全体を加熱加圧成型して得られたガラス繊維強化樹脂を用いることが好ましい。 【0039】 【実施例】以下、本発明の好適な実施例についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。 【0040】(実施例1) [ガラス繊維不織布用結合剤の作製]冷却器、攪拌器、滴下ロート、および温度計を取り付けた容量2000mLのセパラブルフラスコに、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン221.1g(1mol)とメタノール222.1gを仕込み、窒素ガス雰囲気中で攪拌しながら、蒸留水54.0g(3.0mol)をゆっくり滴下して加水分解させ、さらに室温で24時間放置することにより縮合させ、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランオリゴマーを得た(水/メタノール溶液)。得られたN−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランオリゴマーメタノールの動粘度(メタノール30重量%溶液の動粘度、JIS K2283に準拠)は、2.13cStであった。 【0041】N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン1molからなるN−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランオリゴマーを含む上記溶液中に、142.0g(1.0mol)のグリシジルメタクリレートを滴下し、これらを60℃で8時間反応させ、ガラス繊維不織布用結合剤を得た後、メタノールを添加してガラス繊維不織布用結合剤の50重量%溶液とした。得られたガラス繊維不織布用結合剤の動粘度(メタノール30重量%溶液の動粘度、JIS K2283に準拠)は、5.31cStであった。 【0042】得られたガラス繊維不織布用結合剤をガスクロマトグラフィー(島津製作所社製、GC−15A)、および薄層クロマトグラフィー(TLCプレート:メルク社製Kieselgel60F254、展開溶液:ベンゼン)を用いて分析したところ、遊離のグリシジルメタクリレートは観察されず、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランオリゴマーと、グリシジルメタクリレートの全てが反応していることがわかった。また、得られたガラス繊維不織布用結合剤をFT−IR(日本電子株式会社製、JIR−3150)で分析したところ、エポキシ基が開環してアミノ基と結合を生じていることが確かめられた。また、動粘度の数値からガラス繊維不織布用結合剤におけるN−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランオリゴマーは、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン2〜10分子からなるものであると考えられた。 【0043】[ガラス繊維不織布の作製]ポリエチレンオキサイド系分散剤(東邦化学工業社製、ペグノールL−4)を50ppm添加した水に、ガラス繊維チョップドストランド(フィラメント径9μm、集束本数400本、繊維長6mm)を0.2重量%分散させ抄造し、ウェブを作製した。このウェブを水切りし、上記のガラス繊維不織布用結合剤の50重量%溶液20重量部と水80重量部を混合して得られた溶液(以下、ガラス繊維不織布用結合剤溶液という)を含浸させた。このとき、乾燥ウェブ100重量部に対してガラス繊維不織布用結合剤が10重量部付着するようにした。このウェブを150℃で10分間乾燥硬化させ、坪量75g/m2のガラス繊維不織布を得た。 【0044】[コンポジット積層板の作製]上記のガラス繊維不織布に、NEMA規格FR−4処方に従って配合した以下の表1に示す組成のエポキシ樹脂ワニスを含浸させ、130℃で7分間乾燥してプリプレグAを作製した。また、シランカップリング剤で処理された厚さ0.18mmのガラス繊維織物(日東紡績社製、WEA7628)に以下の表1に示す組成のエポキシ樹脂ワニスを含浸させ、130℃で7分間乾燥してプリプレグBを作製した。プリプレグAを11枚積層し、その両面にプリプレグBを1枚づつ重ね、さらに両面に銅箔を重ね、50kg/cm2の圧力で170℃、90分間加熱成型し、コンポジット積層板を得た。このコンポジット積層板をエッチング処理して銅箔を除去し、4cm×4cm角に切断してコンポジット積層板試験片とした。 【0045】 【表1】
【0046】(比較例1)N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランをオリゴマー化させず、これをグリシジルメタクリレートと反応させガラス繊維不織布用結合剤を得て、さらに、ガラス繊維不織布、コンポジット積層板を作製した。 【0047】すなわち、冷却器、攪拌器、滴下ロート、および温度計を取り付けた容量2000mLのセパラブルフラスコに、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン221.1g(1.0mol)を仕込み、142.0g(1.0mol)のグリシジルメタクリレートをゆっくり滴下し、60℃で8時間反応させガラス繊維不織布用結合剤を得た後、これにメタノールを添加してガラス繊維不織布用結合剤の50重量%溶液とした。 【0048】得られたガラス繊維不織布用結合剤をガスクロマトグラフィー(島津製作所社製、GC−15A)、および薄層クロマトグラフィー(TLCプレート:メルク社製Kieselgel60F254、展開溶液:ベンゼン)を用いて分析したところ、遊離のグリシジルメタクリレートは観察されず、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン1.0molと、グリシジルメタクリレート1.0molとが反応していることがわかった。次に、上記のガラス繊維不織布用結合剤の50重量%溶液20重量部と水80重量部を混合して得られた溶液を用いて実施例1と同様にしてガラス繊維不織布を作製し、さらにコンポジット積層板、コンポジット積層板試験片を作製した。 【0049】(比較例2)4,4’−ジヒドロキシジフェニル− 2,2’−プロパンとエピクロルヒドリンを反応させて得られたエポキシ当量185のエポキシ化合物370重量部、、アセトン200重量部、エチレンジアミン30重量部を混合して30℃で18時間放置後、酢酸を添加しpHを6として、水で希釈して樹脂量10重量%のエポキシ系結合剤溶液を得た。ガラス繊維不織布用結合剤溶液に代えて、このエポキシ系結合剤溶液を用いた他は実施例1と同様にして、ガラス繊維不織布、コンポジット積層板、コンポジット積層板試験片を作製した。 【0050】(ガラス繊維不織布およびコンポジット積層板試験片の評価) [ガラス繊維不織布の評価]実施例1、比較例1および2で得られたガラス繊維不織布を幅15mmに切断して試験布とし、室温における試験布の引張り強度を測定した(JIS 3420に準拠)。同様の試験布をアセトン中に5分間浸漬した後、同様にして室温における試験布の引張り強度を測定した。 【0051】[コンポジット積層板試験片の評価]コンポジット積層板試験片(4cm×4cm角)を260℃の溶融半田に2分間浮かべ、試験片表面のフクレの有無を以下の基準に基づいて目視判定した。 A:フクレなしB:径4mm以上のフクレが3個以下、または径4mm未満のフクレが発生C:径4mm以上のフクレが4個以上、または径8mm未満のフクレが1個以上発生、または径4mm未満のフクレが多数発生【0052】ガラス繊維不織布およびコンポジット積層板試験片の評価結果をまとめて以下の表2に示す。 【表2】
【0053】表2に示されるように、コンポジット積層板試験片の耐熱性は実施例1および比較例1〜2で同等であったが、比較例1で得られたガラス繊維不織布用結合剤で作製したガラス繊維不織布の引張り強度は、アセトン浸漬前および浸漬後のいずれにおいても不十分であり、コンポジット積層板の製造工程において取扱いが困難となることが想定された。また、比較例2で得られたガラス繊維不織布用結合剤で作製したガラス繊維不織布はアセトン浸漬前には充分な引張り強度を示したものの、アセトン浸漬後は強度が約半分に低減し、コンポジット積層板の製造工程中、特にプリプレグ製造工程において取扱いが困難となることが考えられた。これらの結果に対して、実施例1で得られたガラス繊維不織布用結合剤で作製したガラス繊維不織布は、アセトン浸漬前および浸漬後の両方において高い引張り強度を示し、このガラス繊維不織布用結合剤を用いることにより製造上の問題なく高耐熱性のコンポジット積層板が得ることができることがわかった。 【0054】 【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、マトリックス樹脂原料として有機溶剤を含む樹脂ワニスを用いた場合であっても、その有機溶剤により不織布の強度の低下や不織布の切断が生じることなく、耐熱性の充分に高いコンポジット積層板を得ることの可能なガラス繊維不織布用結合剤を提供することが可能になる。また、該ガラス繊維不織布用結合剤でガラス繊維を結合せしめることによりガラス繊維不織布が得られ、該ガラス繊維不織布と硬化樹脂とを含むガラス繊維強化樹脂は耐熱性に優れたものとなる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003975 【氏名又は名称】日東紡績株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年12月20日(2000.12.20) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100088155 【弁理士】 【氏名又は名称】長谷川 芳樹 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−187950(P2002−187950A) |
| 【公開日】 |
平成14年7月5日(2002.7.5) |
| 【出願番号】 |
特願2000−387661(P2000−387661) |
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