| 【発明の名称】 |
エポキシ樹脂組成物、プリプレグ及び金属箔張り積層板 |
| 【発明者】 |
【氏名】岸野 光寿
【氏名】米本 神夫
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| 【要約】 |
【課題】熱膨張係数が小さく、曲げ弾性率が高くなっていて、金属箔の接着強度、はんだ耐熱性及び誘電率に関する性能低下が生じない積層板を製造可能な変成フェノール生成物とエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物、これを用いたプリプレグ、及びこのプリプレグを用いた金属箔張り積層板を提供する。
【解決手段】ポリフェニレンエーテルとフェノール性化合物をラジカル反応開始剤の存在下で再分配反応させて得た変性フェノール生成物と、エポキシ樹脂と、硬化剤を含有してなるエポキシ樹脂組成物であって、平均粒径が0.1〜10μmのシリカ粉体及び平均粒径が0.1〜10μmの水酸化アルミニウム粉体を含有していることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。これを用いたプリプレグ。このプリプレグを用いた金属箔張り積層板。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 数平均分子量が10000〜30000のポリフェニレンエーテルとフェノール性化合物をラジカル反応開始剤の存在下で再分配反応させて得た変性フェノール生成物と、エポキシ樹脂と、このエポキシ樹脂の硬化剤を含有してなるエポキシ樹脂組成物であって、さらに、平均粒径が0.1〜10μmのシリカ粉体及び平均粒径が0.1〜10μmの水酸化アルミニウム粉体を含有していることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。 【請求項2】 上記ラジカル反応開始剤が過酸化ベンゾイルであることを特徴とする請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。 【請求項3】 上記変性フェノール生成物の数平均分子量が1000〜3000であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のエポキシ樹脂組成物。 【請求項4】 上記シリカ粉体100質量部に対して、上記水酸化アルミニウム粉体を30〜250質量部含有していることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載のエポキシ樹脂組成物。 【請求項5】 上記シリカ粉体及び上記水酸化アルミニウム粉体の合計の含有量が、上記変性フェノール生成物、上記エポキシ樹脂及び上記硬化剤の合計100質量部に対して、50〜250質量部であることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかに記載のエポキシ樹脂組成物。 【請求項6】 請求項1〜請求項5の何れかに記載のエポキシ樹脂組成物を有機溶媒を用いて樹脂ワニスとし、この樹脂ワニスを基材に含浸・乾燥してなるプリプレグ。 【請求項7】 請求項6に記載のプリプレグに金属箔を重ね、加熱・加圧してなる金属箔張り積層板。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、エポキシ樹脂組成物、このエポキシ樹脂組成物を用いたプリプレグ及びこのプリプレグを用いた金属箔張り積層板に関し、例えば半導体パッケージ材料用のプリント配線板等の製造に用いられる金属箔張り積層板、この金属箔張り積層板の製造に用いられるプリプレグ及びこのプリプレグの製造に用いられるエポキシ樹脂組成物に関する。 【0002】 【従来の技術】半導体パッケージ材料用のプリント配線板等の製造に用いられる金属箔張り積層板には、金属箔の接着強度が高く、耐熱性が優れ、誘電率が低く、曲げ弾性率が高く且つ熱膨張係数が低いことが求められている。このような用途に、エポキシ樹脂及びポリフェニレンエーテルを含有するエポキシ樹脂組成物を用いた積層板を使用することが検討されている。 【0003】従来、エポキシ樹脂及びポリフェニレンエーテルを含有するエポキシ樹脂組成物を用いた積層板としては、エポキシ樹脂とポリフェニレンエーテルを単に配合したエポキシ樹脂組成物を用いていて、エポキシ樹脂とポリフェニレンエーテルの硬化物が化学的に独立して存在する積層板や、エポキシ樹脂のエポキシ基とポリフェニレンエーテルの末端水酸基とを反応させることにより、ポリフェニレンエーテルとエポキシ樹脂が架橋した硬化物よりなる積層板が検討されている。 【0004】これらのうち前者の積層板は、アルカリやクロロホルムに浸漬して耐アルカリ性試験や耐溶剤性試験を行うと、エポキシ樹脂とポリフェニレンエーテルの結合が不十分なために層間剥離が発生する場合があるという問題があり、また、後者の積層板は、用いたポリフェニレンエーテルが高分子量の場合、ポリフェニレンエーテルの末端フェノール性水酸基とエポキシ樹脂のエポキシ基との反応性が低く、硬化物中に架橋構造に関与しない未反応のポリフェニレンエーテルが多量存在するため、層間接着強度が低いという問題や、前者の積層板と同様に耐溶剤性試験を行うと、前者の積層板と比較すると優れるが、依然として層間剥離が発生する場合があるという問題があった。 【0005】そのため、高分子量のポリフェニレンエーテルとフェノール性化合物を、過酸化物等のラジカル反応開始剤存在下で反応させることにより、用いたポリフェニレンエーテルの数平均分子量より低分子量の、ポリフェニレンエーテルで変成した変成フェノール生成物を製造し、その変成フェノール生成物とエポキシ樹脂を配合したエポキシ樹脂組成物を用いて、耐溶剤性が優れた積層板を製造することが検討されている。この積層板の場合、変成フェノール生成物のフェノール性水酸基とエポキシ樹脂のエポキシ基との反応により、ポリフェニレンエーテルが硬化物中の架橋構造に取り込まれるため、耐溶剤性が優れると考えられている。 【0006】一方、エポキシ樹脂組成物を用いた積層板は、その表面等に形成される金属回路と比較して熱膨張係数が大きいという問題及び曲げ弾性率が低いという問題があり、その改善策としてエポキシ樹脂組成物に熱膨張係数が小さいシリカ粉体を含有させることにより熱膨張係数を低下させて、且つ曲げ弾性率を高くすることが検討されている。 【0007】しかし、変成フェノール生成物、エポキシ樹脂及びシリカ粉体を含有するエポキシ樹脂組成物を用いた積層板の場合、熱膨張係数は小さくなり、曲げ弾性率も高くなるが、その一方で、はんだ耐熱性が低下するという問題があった。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、従来の変成フェノール生成物とエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物を用いた積層板に比べ、熱膨張係数が小さく、曲げ弾性率が高くなっていて、且つ、金属箔の接着強度、はんだ耐熱性及び誘電率に関する性能低下が生じない積層板を製造可能な変成フェノール生成物とエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物、このエポキシ樹脂組成物を用いたプリプレグ、及びこのプリプレグを用いた金属箔張り積層板を提供することにある。 【0009】 【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明のエポキシ樹脂組成物は、数平均分子量が10000〜30000のポリフェニレンエーテルとフェノール性化合物をラジカル反応開始剤の存在下で再分配反応させて得た変性フェノール生成物と、エポキシ樹脂と、このエポキシ樹脂の硬化剤を含有してなるエポキシ樹脂組成物であって、さらに、平均粒径が0.1〜10μmのシリカ粉体及び平均粒径が0.1〜10μmの水酸化アルミニウム粉体を含有していることを特徴とするエポキシ樹脂組成物である。 【0010】請求項2に係る発明のエポキシ樹脂組成物は、上記ラジカル反応開始剤が過酸化ベンゾイルであることを特徴とする請求項1記載のエポキシ樹脂組成物である。 【0011】請求項3に係る発明のエポキシ樹脂組成物は、上記変性フェノール生成物の数平均分子量が1000〜3000であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のエポキシ樹脂組成物である。 【0012】請求項4に係る発明のエポキシ樹脂組成物は、シリカ粉体100質量部に対して、水酸化アルミニウム粉体を30〜250質量部含有していることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載のエポキシ樹脂組成物である。 【0013】請求項5に係る発明のエポキシ樹脂組成物は、シリカ粉体及び水酸化アルミニウム粉体の合計の含有量が、変性フェノール生成物、エポキシ樹脂及び硬化剤の合計100質量部に対して、50〜250質量部であることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかに記載のエポキシ樹脂組成物である。 【0014】請求項6に係る発明のプリプレグは、請求項1〜請求項5の何れかに記載のエポキシ樹脂組成物を有機溶媒を用いて樹脂ワニスとし、この樹脂ワニスを基材に含浸・乾燥してなるプリプレグである。 【0015】請求項7に係る発明の金属箔張り積層板は、請求項6に記載のプリプレグに金属箔を重ね、加熱・加圧してなる金属箔張り積層板である。 【0016】請求項1から請求項5に係る発明のエポキシ樹脂組成物では、エポキシ樹脂組成物に平均粒径が0.1〜10μmのシリカ粉体及び平均粒径が0.1〜10μmの水酸化アルミニウム粉体を含有させるので、従来の変成フェノール生成物とエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物を用いた積層板に比べ、熱膨張係数が小さく、曲げ弾性率が高くなっていて、且つ、金属箔の接着強度、はんだ耐熱性及び誘電率に関する性能低下が生じない積層板を製造することが可能となる。また、請求項6に係る発明のプリプレグは、請求項1〜請求項5の何れかに記載のエポキシ樹脂組成物を用いたプリプレグであるため、このプリプレグによれば、熱膨張係数が小さく、曲げ弾性率が高くなっていて、且つ、金属箔の接着強度、はんだ耐熱性及び誘電率に関する性能低下が生じない積層板を製造することが可能となる。また、請求項7に係る発明の金属箔張り積層板は、請求項6に記載のプリプレグを用いるので、熱膨張係数が小さく、曲げ弾性率が高くなっていて、且つ、金属箔の接着強度、はんだ耐熱性及び誘電率に関する性能低下が生じないものとすることができる。 【0017】 【発明の実施の形態】請求項1から請求項5に係る発明のエポキシ樹脂組成物は、数平均分子量が10000〜30000のポリフェニレンエーテルとフェノール性化合物をラジカル反応開始剤の存在下で再分配反応させて得た変性フェノール生成物と、エポキシ樹脂と、このエポキシ樹脂の硬化剤を含有していて、さらに、平均粒径が0.1〜10μmのシリカ粉体及び平均粒径が0.1〜10μmの水酸化アルミニウム粉体を含有している。変性フェノール生成物の製造に用いられるポリフェニレンエーテルは、別名ポリフェニレンオキサイドとも呼ばれ、その一例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンオキサド)が挙げられる。 【0018】変成フェノール生成物の製造に用いられるフェノール性化合物としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等が挙げられる。なお、フェノール性水酸基を分子内に2個以上有するフェノール類を用いると好ましい。このフェノール類のフェノール性水酸基数の上限は特に限定するものではないが、分子内に30個以下のものが一般に用いられる。なお、フェノール性化合物の量は、ポリフェニレンエーテル100質量部に対して1〜20質量部が適量である。 【0019】変成フェノール生成物の製造に用いられるラジカル反応開始剤としては、過酸化ベンゾイル、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ-t-ブチルパーオキシへキシン-3、2,5-ジメチル-2,5-ジ-t-ブチルパーオキシヘキサン、α,α’-ビス(t-ブチルパーオキシ-m-イソプロピル)ベンゼンなどの過酸化物があげられる。また過酸化物ではないが、市販のラジカル反応開始剤である日本油脂株式会社製の商品名「ビスクミル」(1分半減温度330℃)を使用することもできる。なお、過酸化ベンゾイルを用いると、反応性が優れ好ましい。なお、ラジカル反応開始剤の量は、ポリフェニレンエーテル100質量部に対して1〜20質量部が適量である。 【0020】そして変成フェノール生成物を製造する場合には、有機溶媒中でポリフェニレンエーテルとフェノール性化合物をラジカル反応開始剤の存在下で再分配反応させて、用いたポリフェニレンエーテルの数平均分子量より低分子量の変成フェノール生成物を製造する。再分配反応の条件としては、例えば、ポリフェニレンエーテルとフェノール性化合物とラジカル反応開始剤を撹拌しながら、80〜120℃で10〜100分程度加熱して行う。なお、用いる有機溶媒としては、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒が挙げられる。 【0021】ラジカル反応開始剤の存在下で数平均分子量が10000〜30000のポリフェニレンエーテルとフェノール性化合物を反応させると、先ずポリフェニレンエーテルがラジカル化されると考えられ、直鎖が切断される再分配反応が進行してポリフェニレンエーテルが低分子量化し、この低分子量化したポリフェニレンエーテルでフェノール性化合物が変成される。 【0022】そして得られる変成フェノール生成物の構造は、低分子化したポリフェニレンエーテルの一方又は両方の末端部にフェノール性化合物が結合して、ポリフェニレンエーテルの一方又は両末端にフェノール性水酸基を有する構造となると考えられる。そのため、この末端のフェノール性水酸基がエポキシ樹脂のエポキシ基と反応し、ポリフェニレンエーテルとエポキシ樹脂が強固に架橋すると考えられる。 【0023】なお、再分配反応して得られる変成フェノール生成物の数平均分子量は、用いたポリフェニレンエーテルの数平均分子量の5〜70%の数平均分子量であることが好ましい。70%を越える場合、エポキシ樹脂組成物の粘度が高くなって、基材に含浸するときの含浸性が低下し、得られるプリプレグの樹脂付着量がばらついたり、プリプレグの取り扱い時に樹脂が剥がれて樹脂付着量がばらつき、電気特性のばらつきが発生する場合がある。また、5%未満の場合、得られる積層板の機械的強度や耐熱性が低下する場合がある。変成フェノール生成物の数平均分子量が1000〜3000の場合、得られるエポキシ樹脂組成物を基材に含浸するときの含浸性が特に優れ好ましい。また、得ようとする変成フェノール生成物の数平均分子量の調整は、ラジカル反応開始剤の量を増やすと数平均分子量が低下する傾向があるため、ラジカル反応開始剤の量で調整すると調整しやすく好ましい。 【0024】エポキシ樹脂組成物に含有するエポキシ樹脂は、分子内にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂であればよく、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、及びこれらの樹脂をハロゲン化したエポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルグリシジルエーテルエタン(4官能性エポキシ樹脂)、各種のノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられ、2種類以上を併用してもよい。なお、分子内にエポキシ基を1個有するエポキシ樹脂を併用することもできる。 【0025】エポキシ樹脂組成物に含有するエポキシ樹脂の硬化剤としては、例えばジシアンジアミド、脂肪族ポリアミド等のアミド系硬化剤や、ジアミノジフェニルメタン、メタフェニレンジアミン、アンモニア、トリエチルアミン、ジエチルアミン等のアミン系硬化剤や、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、p-キシレン-ノボラック樹脂等のフェノール系硬化剤や、酸無水物類等が挙げられ、2種類以上を併用してもよい。 【0026】なお、エポキシ樹脂組成物には硬化反応を促進するために、硬化促進剤の添加が現実的である。含有することができる硬化促進剤としては、例えば、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール等のイミダゾール類、1,8-ジアザ-ビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン等の三級アミン類、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等の有機ホスフィン類、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩等が挙げられ、2種類以上を併用してもよい。 【0027】本発明のエポキシ樹脂組成物には、平均粒径が0.1〜10μmのシリカ粉体及び平均粒径が0.1〜10μmの水酸化アルミニウム粉体を必須成分として含有していて、これらを含有させることで、従来の変成フェノール生成物とエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物を用いた積層板に比べ、熱膨張係数が小さく、曲げ弾性率が高くなっていて、且つ、金属箔の接着強度、はんだ耐熱性及び誘電率に関する性能低下が生じない積層板を製造することが可能となる。シリカ粉体及び水酸化アルミニウム粉体の平均粒径を0.1〜10μmの範囲に特定するのは、0.1μm未満の場合はエポキシ樹脂組成物中での分散性が悪くそのためエポキシ樹脂組成物中に偏在して、エポキシ樹脂組成物が不均一となる傾向があり、10μmを越えるとドリル加工での内壁粗さが悪くなったり、プリプレグ製造時に樹脂ワニス中の異物除去を行うフィルタの目詰まりが生じやすくなる傾向を示すからである。 【0028】そして、シリカ粉体と水酸化アルミニウム粉体の比率については、シリカ粉体100質量部に対して、水酸化アルミニウム粉体を30〜250質量部の範囲内で含有していることが好ましい。シリカ粉体100質量部に対して水酸化アルミニウム粉体が30質量部未満の場合には、得られる積層板のはんだ耐熱性が低下する傾向があり、シリカ粉体100質量部に対して水酸化アルミニウム粉体が250質量部を越えると得られる積層板の誘電率が高くなる傾向を示すからである。また、エポキシ樹脂組成物中のシリカ粉体及び水酸化アルミニウム粉体の合計の含有量については、変性フェノール生成物、エポキシ樹脂及び硬化剤の合計100質量部に対して、50〜250質量部であることが好ましい。なぜならば、50質量部未満であると、得られる積層板の熱膨張係数及び曲げ弾性率の改善効果が乏しくなり、250質量部を越えると得られる積層板にボイド不良が発生する傾向を示すからである。なお、エポキシ樹脂組成物中のシリカ粉体及び水酸化アルミニウム粉体の合計の含有割合を算出する場合、エポキシ樹脂組成物中に硬化促進剤を使用しているときは、硬化促進剤をエポキシ樹脂の硬化剤の1種とみなして、硬化剤中に合算して計算するようにしている。 【0029】本発明のエポキシ樹脂組成物には、シリカ粉体及び水酸化アルミニウム粉体に加えて必要に応じて他の無機充填材や、有機溶媒等を含有することができる。含有することができる有機溶媒としては、トルエン、キシレン、ベンゼン、ケトン、アルコール類等が挙げられる。 【0030】上記のエポキシ樹脂組成物を有機溶媒を用いて樹脂ワニスとし、この樹脂ワニスを基材に含浸・乾燥して請求項6に係る発明のプリプレグは製造する。樹脂ワニスを、基材に含浸乾燥する方法としては特に限定するものではなく、例えば樹脂ワニス中に基材を浸漬して含浸させた後、加熱して有機溶媒の除去や、エポキシ樹脂組成物を半硬化させてプリプレグを製造する。基材に含浸する樹脂量(シリカ粉体及び水酸化アルミニウム粉体等の無機充填材を含む。)は特に限定しないが、乾燥後の樹脂含有割合が、プリプレグの質量の30〜80質量%となるように含浸すると、特に電気特性が優れた積層板が得られ好ましい。 【0031】なお、含浸時に樹脂ワニスを25〜35℃に保つと、基材への含浸性を安定させることができ、積層板の特性を良好にすることができる。また、エポキシ樹脂組成物を含浸後、乾燥するに当たっては、80〜180℃の温度が好ましい。この乾燥が不十分であると、プリプレグ表面部分のみの乾燥に止まり、有機溶媒が内部に残留する為にプリプレグの表面と内部との間で樹脂の濃度差に起因する歪が生じ、プリプレグ表面に微細なクラックが発生する場合がある。また、過度の乾燥を行うと、プリプレグ表面では乾燥過程で急激な粘度変化が起こるためにプリプレグ表面に筋むらや樹脂垂れが発生し、金属箔とプリプレグとの密着性にばらつきが生じ、その結果金属箔の引き剥がし強さや誘電特性等にばらつきが発生する場合がある。 【0032】樹脂ワニスを含浸する基材としては、ガラスクロス、アラミドクロス、ポリエステルクロス、ガラス不織布、アラミド不織布、ポリエステル不織布、パルプ紙、リンター紙等が挙げられる。なお、ガラスクロスを用いると、機械強度が優れた積層板が得られ好ましい。なお、基材の厚みとしては0.04〜0.3mmのものが一般的に使用される。 【0033】上記のようにして得られたプリプレグの所定枚数と金属箔を重ねて被圧体とし、この被圧体を加熱・加圧して金属箔張り積層板を製造する。金属箔としては、銅箔、アルミニウム箔等が使用され、厚みとしては、0.010〜0.070mm程度のものが一般的に使用される。なお、銅箔を用いると、電気特性が優れた金属箔張り積層板が得られ好ましい。 【0034】ポリフェニレンエーテルで変成した変成フェノール生成物とエポキシ樹脂とエポキシ樹脂の硬化剤の架橋反応は、主としてエポキシ樹脂の硬化剤の反応温度に依存するため、エポキシ樹脂の硬化剤の種類に応じて加熱温度、加熱時間を選ぶとよい。また加圧は、得られる積層板中に気泡(ボイド)が残留しない程度の圧力に適宜調整して加圧する。なお一般には、温度150〜300℃、圧力1〜6MPa、時間10〜120分程度の条件で加熱・加圧する。 【0035】このようにして得られた金属箔張り積層板は、平均粒径が0.1〜10μmのシリカ粉体及び平均粒径が0.1〜10μmの水酸化アルミニウム粉体を含有しているため、熱膨張係数が小さく、曲げ弾性率が高くなっていて、且つ、金属箔の接着強度、はんだ耐熱性及び誘電率に関する性能低下が生じない積層板となる。 【0036】なお、本発明のエポキシ樹脂組成物の使用形態は、基材に含浸乾燥してプリプレグを製造する形態に限るものではなく、たとえばキャスティング法により基材を含まないシートを作成し、このシートをプリプレグに代用することもできる。このキャステング法による方法は、例えばポリエステルフィルム、ポリイミドフィルムなどの、エポキシ樹脂組成物が含有する溶媒に不溶のシートに、エポキシ樹脂組成物を5〜700μmの厚みに塗布し、乾燥した後シートを剥離して製造したり、エポキシ樹脂組成物を熱溶融して押出成形により製造する。シートに塗布して製造する方法の場合、押出成形の方法と比較すると比較的低温でより容易にシー卜を作ることができ好ましい。なお、エポキシ樹脂組成物を塗布するシートは、離型剤で表面処理したシートを用いると剥離が容易になるため生産性が優れ好ましい。 【0037】 【実施例】(変成フェノール生成物の合成)数平均分子量20000のポリフェニレンエーテル[日本G.E.プラスチック株式会社製、品番640-111]を100質量部、フェノール性化合物としてビスフェノールAを6質量部、反応開始剤として過酸化ベンゾイルを6質量部、溶剤としてトルエンを100質量部の割合で配合し、90℃で60分間攪拌しながら再分配反応させて、液状の変成フェノール生成物を得た。この変成フェノール生成物をゲル浸透クロマトグラフ[カラム構成:東ソー株式会社製、SuperHM-M(1本)+SuperHM-H(1本)]にて分子量分布を測定し、数平均分子量を求めたところ2300であった。 【0038】(実施例1〜6、比較例1〜3)上記で得た液状の変成フェノール生成物と、下記4種類のエポキシ樹脂と、エポキシ樹脂の硬化剤としてジアミノジフェニルメタンと、硬化促進剤として2-エチル-4-メチルイミダゾールと、シリカ粉体と水酸化アルミニウム粉体と、溶剤としてトルエンとを表1、表2に示す割合(単位:質量部)でセパラブルフラスコに入れ、室温で30分間攪拌して空冷を行い25℃のエポキシ樹脂組成物を得た。シリカ粉体はアドマテックス社製の商品名「アドマファインSO−25R」(平均粒径0.6μm)を使用し、水酸化アルミニウム粉体は住友化学工業株式会社製の商品名「CL−303」(平均粒径3μm)を使用した。なお、表1、表2中の変成フェノール生成物の配合量は溶剤を除いた固形分の量である。 【0039】用いたエポキシ樹脂としては、エポキシ樹脂Aとして、大日本インキ化学工業株式会社製の商品名「エピクロン153」を使用し、エポキシ樹脂Bとして、油化シェルエポキシ株式会社製の商品名「エピコート1031」を使用し、エポキシ樹脂Cとして、日本化薬株式会社製の商品名「EPPN501H」を使用し、、エポキシ樹脂Dとして、日本化薬株式会社製の商品名「BREN」を表1、表2に示す配合割合で使用した。 【0040】次いで、得られたエポキシ樹脂組成物(樹脂ワニス)を室温で24時間保管した後、厚み0.1mmのガラスクロス[旭シュエーベル株式会社製の商品名「2116L」]に含浸し、160℃で4分間乾燥して樹脂含有率52質量%(シリカ粉体、水酸化アルミニウム粉体も樹脂の一部として算出)のプリプレグを得た。 【0041】得られたプリプレグ8枚を重ねたもののの両面に18μmの銅箔[日鉱グールドフォイル株式会社製の商品名「JTC」]を配置して被圧体とし、温度190℃、圧力3MPaの条件で100分加熱・加圧して両面に銅箔が接着された厚みが0.8mmの銅張り積層板を得た。 【0042】(評価、結果)得られた銅張り積層板の、銅箔ピール強度、オーブン耐熱性、はんだ耐熱性、誘電率、曲げ弾性率、熱膨張係数について評価し、その結果を表1、表2に示した。 【0043】銅箔ピール強度の測定法は、JIS C−6481の引きはがし強さの測定方法に基いて行い、オーブン耐熱性の測定法は、JIS C−6481の耐熱性の試験方法に基いて行い、銅張り積層板から試験片(大きさ50mm×50mm)を切りだし、この試験片を260℃のオーブン中で1時間処理した後、取り出し、その外観を目視で観察して、フクレ等の異常がなければ合格と判定した。また、はんだ耐熱性の測定法はJIS C−6481のはんだ耐熱性の測定方法に基いて行い、常態の試料について260℃のはんだに60秒浮かべた後取り出して、その外観を目視で観察して、フクレ等の異常がなければ合格と判定した。また、誘電率の測定法はJIS C−6481の比誘電率のの測定方法に基いて行い、曲げ弾性率は、JIS C−6481の曲げ強さの測定方法に基いて曲げ強さを測定する際に得られる荷重−たわみ曲線のチャートを用いて、JIS K−6911の曲げ弾性率の測定法に準じて曲げ弾性率を算出して求めた。熱膨張係数の測定法は、JIS C−6481の熱膨張係数(TMA法)に基いて行った。 【0044】 【表1】
【0045】 【表2】
【0046】表1、表2に示した結果で明らかなように本発明の実施例1〜6は比較例1に比べて、熱膨張係数が小さく、曲げ弾性率が高くなっていて、且つ、銅箔の接着強度、はんだ耐熱性及び誘電率に関する性能低下が生じてない積層板となっている。 【0047】 【発明の効果】請求項1から請求項5に係る発明のエポキシ樹脂組成物を用いると、熱膨張係数が小さく、曲げ弾性率が高くなっていて、且つ、銅箔の接着強度、はんだ耐熱性及び誘電率に関する性能低下が生じてない積層板が得られる。 【0048】請求項6に係る発明のプリプレグを用いると、熱膨張係数が小さく、曲げ弾性率が高くなっていて、且つ、銅箔の接着強度、はんだ耐熱性及び誘電率に関する性能低下が生じてない積層板が得られる。 【0049】請求項7に係る発明の金属箔張り積層板は、熱膨張係数が小さく、曲げ弾性率が高くなっていて、且つ、銅箔の接着強度、はんだ耐熱性及び誘電率に関する性能低下が生じてない積層板となる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005832 【氏名又は名称】松下電工株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年12月19日(2000.12.19) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100111556 【弁理士】 【氏名又は名称】安藤 淳二 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−187937(P2002−187937A) |
| 【公開日】 |
平成14年7月5日(2002.7.5) |
| 【出願番号】 |
特願2000−384785(P2000−384785) |
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