トップ :: C 化学 冶金 :: C08 有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物




【発明の名称】 変性エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物
【発明者】 【氏名】押見 克彦

【氏名】赤塚 泰昌

【氏名】中山 幸治

【氏名】窪木 健一

【要約】 【課題】低溶融粘度(高流動性)と低吸湿性、耐熱性とのバランスが優れているエポキシ樹脂組成物を得ること。

【解決手段】式(1)
【特許請求の範囲】
【請求項1】(a)式(1)
【化1】

(式中、Rはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10の炭化水素基、トリフルオロメチル基、アリル基またはアリール基を、mは1〜4の整数をそれぞれ示す。nは平均値で1.15〜2.30を示す。)で表されるフェノール類化合物と(b)4,4’−ジヒドロキシビフェニルの混合物をグリシジル化して得られるエポキシ樹脂であって、軟化点が60℃以上105℃以下である変性エポキシ樹脂。
【請求項2】成分(a)と成分(b)の混合物における成分(a)と成分(b)の配合量の比が重量比で式(2)を満たす請求項1記載の変性エポキシ樹脂。
0.15≦b/(a+b)<0.20 (2)
【請求項3】請求項1または2記載の変性エポキシ樹脂及び硬化剤を含有してなるエポキシ樹脂組成物。
【請求項4】無機充填剤を含有する請求項3記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項5】硬化促進剤を含有する請求項3または4記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項6】半導体封止用に調製された請求項3〜5のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項7】請求項3〜6のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高信頼性半導体封止用を始めとする電気・電子部品絶縁材料用、及び積層板(プリント配線板)やCFRP(炭素繊維強化プラスチック)を始めとする各種複合材料用、接着剤、塗料等に有用な変性エポキシ樹脂、これを含むエポキシ樹脂組成物及びその硬化物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】エポキシ樹脂は作業性及びその硬化物の優れた電気特性、耐熱性、接着性、耐湿性(耐水性)等により電気・電子部品、構造用材料、接着剤、塗料等の分野で幅広く用いられている。
【0003】しかし、近年特に電気・電子分野においてはその発展に伴い、高純度化を始め耐熱性、耐湿性、密着性、フィラー高充填のための低粘度性、低誘電性等の諸特性の一層の向上が求められている。その一方では作業性の向上のために常温で固形であることが望まれている。また、構造材としては航空宇宙材料、レジャー・スポーツ器具用途等において軽量で機械特性の優れた材料が求められている。これらの要求に対しエポキシ樹脂、及びそれらを含有するエポキシ樹脂組成物について多くの提案がなされているが、未だ充分とはいえない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、その硬化物において優れた耐熱性、耐湿性(耐水性)を示す電気・電子部品用絶縁材料(高信頼性半導体封止材料など)及び積層板(プリント配線板など)やCFRPを始めとする各種複合材料用、接着剤、塗料等に有用な、固形で作業性に優れたエポキシ樹脂、及びそれらを含有するエポキシ樹脂組成物及びその硬化物を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記のような特性を持つエポキシ樹脂について鋭意研究の結果、本発明を完成した。即ち、本発明は、(1)(a)式(1)
【0006】
【化2】

【0007】(式中、Rはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10の炭化水素基、トリフルオロメチル基、アリル基またはアリール基を、mは1〜4の整数をそれぞれ示す。nは平均値で1.15〜2.30を示す。)で表されるフェノール類化合物と(b)4,4’−ジヒドロキシビフェニルの混合物をグリシジル化して得られるエポキシ樹脂であって、軟化点が60℃以上105℃以下である変性エポキシ樹脂、(2)成分(a)と成分(b)の混合物における成分(a)と成分(b)の配合量の比が重量比で式(2)を満たす上記(1)の変性エポキシ樹脂、 0.15≦b/(a+b)<0.20 (2)
(3)上記(1)または(2)記載の変性エポキシ樹脂、及び硬化剤を含有してなるエポキシ樹脂組成物、(4)無機充填剤を含有する上記(3)記載のエポキシ樹脂組成物、(5)硬化促進剤を含有する上記(3)または(4)記載のエポキシ樹脂組成物、(6)半導体封止用に調製された上記(3)〜(5)のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物、(7)上記(3)〜(6)のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の変性エポキシ樹脂は、式(1)で表されるフェノール類化合物(a)と4,4’−ジヒドロキシビフェニル(b)の混合物(以下フェノール混合物という。)とエピハロヒドリン類とを反応させるグリシジル化反応により得ることができる。式(1)のグリシジル化物が半固形や液状であっても、4,4’−ジヒドロキシビフェニルとの混合物としてグリシジル化することにより、作業性に優れた軟化点の高い変性エポキシ樹脂を得ることができる。(a)と(b)の混合比は特に限定されないが、重量比で式(2)の範囲に入るのが好ましい。また、式(1)におけるnは、1.15〜2.30であるが、このようなnの範囲の化合物を得るには、後述するように原料の反応比率を調整すれば容易に達成できる。(a)と(b)の配合比が式(2)の範囲を外れた場合、または、式(1)におけるn(平均値)が1.15〜2.30の範囲を外れた場合、変性エポキシ樹脂の合成中に結晶が析出する等で製造上困難になる、または変性エポキシ樹脂が結晶性を示さず固形化しない、結晶性を示すが固形化するまでに長時間を要するため経済性に劣る、軟化点が作業性が良好な60℃以上にならない、低粘度化が十分でない等の問題点が生ずる場合がある。
【0009】式(1)の化合物は、例えば特開平6−100667号や特開平6−143648号に示されているように式(3)
【化3】

【0010】(Xはハロゲン原子又はアルコキシ基を示す。)で示されるビフェニル誘導体とフェノール、クレゾール等のフェノール化合物を反応させることにより得られる。式(3)で表されるビフェニル誘導体としては、ビス(メトキシメチル)ビフェニル、ビス(クロルメチル)ビフェニル等が挙げられる。また、式(3)において基CHX−の結合位置は、互いに2、3、4位及び2’、3’、4’位から選ばれる任意の組み合わせのいずれに結合していても構わないが、4,4’位が好ましい。また、ビフェニル誘導体とフェノール化合物の反応比はビフェニル誘導体1モルに対して、フェノール化合物が通常2.5〜9.0モルである。
【0011】本発明の変性エポキシ樹脂を得る際のグリシジル化反応に使用されるエピハロヒドリンとしては、エピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン、エピヨードヒドリン、β−メチルエピクロルヒドリン等があるが、工業的に入手しやすく安価なエピクロルヒドリンが好ましい。この反応は従来公知の方法に準じて行うことが出来る。
【0012】反応は例えば、上記フェノール混合物とエピハロヒドリンの混合物に水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の固体を添加し、または添加しながら20〜120℃で0.5〜10時間反応させる。この際アルカリ金属水酸化物は水溶液を使用してもよく、その場合は該アルカリ金属水酸化物を連続的に添加すると共に反応混合物中から減圧下、または常圧下、連続的に水及びエピクロルヒドリンを流出せしめ更に分液し水は除去しエピクロルヒドリンは反応混合中に連続的に戻す方法でもよい。
【0013】上記の方法において、エピハロヒドリンの使用量はフェノール混合物の水酸基1当量に対して通常0.5〜20モル、好ましくは0.7〜10モルである。アルカリ金属水酸化物の使用量はフェノール混合物中の水酸基1当量に対し通常0.5〜1.5モル、好ましくは0.7〜1.2モルである。ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の非プロトン溶媒を添加することにより下記に定義する加水分解性ハロゲン量の低いエポキシ樹脂が得られ、このエポキシ樹脂は電子材料封止用途に適する。
【0014】非プロトン性極性溶媒の使用量はエピハロヒドリンの重量に対し5〜200重量%、好ましくは10〜100重量%である。上記の溶媒以外にもメタノール、エタノールとのアルコール類を添加することによっても反応が進み易くなる。また、トルエン、キシレン等も使用することができる。ここで加水分解性ハロゲン量とは、例えば該エポキシ樹脂をジオキサンに入れ、数十分還流しながらKOH/エタノール溶液で滴定することにより測定することができる。
【0015】またフェノール混合物と過剰のエピハロヒドリンの混合物にテトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライドなどの第四級アンモニウム塩を触媒として使用し、50〜150℃で1〜10時間反応させ、得られるフェノール混合物のハロヒドリンエーテルに水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の固体または水溶液を加え、再び20〜120℃で1〜10時間反応させてハロヒドリンエーテルを閉環させて本発明の変性エポキシ樹脂を得ることもできる。この場合の第四級アンモニウム塩の使用量はフェノール混合物の水酸基1当量に対して通常0.001〜0.2モル、好ましくは0.05〜0.1モルである。アルカリ金属水酸化物の使用量はフェノール混合物の水酸基1当量に対して通常0.8〜1.5モル、好ましくは0.9〜1.1モルである。
【0016】通常これらの反応生成物は水洗後、または水洗無しに加熱減圧下、過剰のエピハロヒドリン類や溶媒等を除去した後、再びトルエン、メチルイソブチルケトン等の溶媒に溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えて再び反応を行う。この場合アルカリ金属水酸化物の使用量はフェノール混合物の水酸基1当量に対して通常0.01〜0.2モル、好ましくは0.05〜0.1モルである。反応温度は通常50〜120℃、反応時間は通常0.5〜2時間である。
【0017】反応終了後、副生した塩をろ過、水洗などにより除去し、更に加熱減圧下、トルエン、メチルイソブチルケトン等の溶媒を留去することにより加水分解性ハロゲン量の少ない本発明の変性エポキシ樹脂を得ることができる。
【0018】本発明の変性エポキシ樹脂の軟化点は60℃以上105℃以下である。軟化点が60℃未満であると樹脂のブロッキングが生じる等保存性が悪く、105℃を超える軟化点のものを得るためにはフェノール混合物中の4,4’−ジヒドロキシビフェニルの割合を増やす必要があるが、そうした場合、変性エポキシ樹脂の合成中に結晶が析出する等で製造上困難になったり、収率の低下を招いたりするという問題が生じる。また、軟化点は、式(1)の化合物の平均重合度により制御することが可能であるが、上述のように混合の相手であり結晶性が高い成分(b)の混合比率によっても左右され一概には言えない。
【0019】以下、本発明のエポキシ樹脂組成物について説明する。本発明のエポキシ樹脂組成物において単独でまたは他のエポキシ樹脂と併用して使用することができる。併用する場合、本発明の変性エポキシ樹脂の全エポキシ樹脂中に占める割合は30%重量以上が好ましく、特に40重量%以上が好ましい。
【0020】本発明の変性エポキシ樹脂と併用されうる他のエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、テルペンジフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシアセトフェノン、o−ヒドロキシアセトフェノン、ジシクロペンタジエン、フルフラール、4,4’−ビス(クロルメチル)−1,1’−ビフェニル、4,4’−ビス(メトキシメチル)−1,1’−ビフェニル、1,4−ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メトキシメチル)ベンゼン等との重縮合物及びこれらの変性物、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビスフェノール類、アルコール類から誘導されるグリシジルエーテル化物、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂等の固形または液状エポキシ樹脂が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0021】本発明のエポキシ樹脂組成物は、硬化剤を含有する。硬化剤としては、例えばアミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノール系化合物などが挙げられる。用いうる硬化剤の具体例としては、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンより合成されるポリアミド樹脂、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、テルペンジフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシアセトフェノン、o−ヒドロキシアセトフェノン、ジシクロペンタジエン、フルフラール、4,4’−ビス(クロルメチル)−1,1’−ビフェニル、4,4’−ビス(メトキシメチル)−1,1’−ビフェニル、1,4−ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メトキシメチル)ベンゼン等との重縮合物及びこれらの変性物、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビスフェノール類、イミダゾール、BF-アミン錯体、グアニジン誘導体などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0022】本発明のエポキシ樹脂組成物において硬化剤の使用量は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して0.5〜2.0当量が好ましく、0.6〜1.5当量が特に好ましい。エポキシ基1当量に対して、0.5当量に満たない場合、あるいは2.0当量を超える場合、いずれも硬化が不完全になり良好な硬化物性が得られない恐れがある。
【0023】また上記硬化剤を用いる際に硬化促進剤を併用しても差し支えない。用いうる硬化促進剤としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエチレンジアミン、トリエタノールアミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の第3級アミン類、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等の有機ホスフィン類、オクチル酸スズなどの金属化合物、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・エチルトリフェニルボレート等のテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩などが挙げられる。硬化促進剤は、エポキシ樹脂100重量部に対して0.01〜15重量部が必要に応じ用いられる。
【0024】更に、本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて無機充填剤やシランカップリング剤、離型剤、顔料等の種々の配合剤、各種熱硬化性樹脂を添加することができる。無機充填剤としては、結晶シリカ、溶融シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ジルコニア、フォステライト、ステアタイト、スピネル、チタニア、タルク等の粉体またはこれらを球形化したビーズ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0025】これら無機充填剤は、特に半導体封止材用のエポキシ樹脂組成物を得る場合、硬化物の耐熱性、耐湿性、力学的性質などの面から、エポキシ樹脂組成物中で80〜93重量%を占める割合で使用するのが好ましい。
【0026】本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記各成分を均一に混合することにより得られ、好ましい用途は半導体封止用である。本発明のエポキシ樹脂組成物は従来知られている方法と同様の方法で容易にその硬化物とすることが出来る。例えば、本発明の変性エポキシ樹脂と硬化剤、並びに必要により硬化促進剤、無機充填剤、配合剤及び各種熱硬化性樹脂とを必要に応じて押出機、ニーダ、ロール等を用いて均一になるまで充分に混合して本発明の変性エポキシ樹脂を得、そのエポキシ樹脂組成物を溶融注型法あるいはトランスファー成型法やインジェクション成型法、圧縮成型法などによって成型し、更に80〜200℃で2〜10時間に加熱することにより本発明の硬化物を得ることが出来る。
【0027】また、本発明のエポキシ樹脂組成物をトルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の溶剤に溶解させ、ガラス繊維、カーボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維、紙などの基材に含浸させ加熱乾燥して得たプリプレグを熱プレス成型して硬化物を得ることも出来る。
【0028】この際用いる希釈溶剤の使用量は本発明のエポキシ樹脂組成物と該希釈溶剤の合計重量に対し通常10〜70重量%、好ましくは15〜65重量%である。
【0029】
【実施例】以下、本発明を実施例で更に具体に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。実施例、比較例において部は重量部を意味する。なお、エポキシ当量、軟化点、溶融粘度は以下の条件で測定した。
・エポキシ当量JIS K−7236に準じた方法で測定し、単位はg/eqである。
・軟化点JIS K−7234に準じた方法で測定した。
・溶融粘度150℃におけるコーンプレート法における溶融粘度測定器械:コーンプレート(ICI)高温粘度計(RESEACH EQUIPMENT(LONDON)LTD.製)
コーンNo.:3(測定範囲0〜2.00Pa・s)
試料量:0.15±0.01g【0030】実施例1下記式(4)
【0031】
【化4】

【0032】で表される化合物(軟化点72℃、n(平均値)=1.7)147部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル26部にエピクロルヒドリン463部、ジメチルスルホキシド116部を加えて溶解後、45℃に加熱し、フレーク状水酸化ナトリウム(純度99%)41部を90分かけて添加し、その後、さらに45℃で2時間、70℃で1時間反応させた。ついで水洗を繰り返し中性に戻した後、油層から加熱減圧下、過剰のエピクロルヒドリンを留去し、残留物に440部のメチルイソブチルケトン(以下、MIBK)を添加し溶解した。さらにこのMIBK溶液を70℃に加熱し30重量%の水酸化ナトリウム水溶液13部を添加し、1時間反応させた後、水洗を繰り返し中性とした。ついで油層から加熱減圧下、MIBKを留去することにより本発明の変性エポキシ樹脂(E1)218部を得た。
【0033】実施例2実施例1において、式(4)で表される化合物(軟化点72℃、n(平均値)=1.7)を135部に、4,4’−ジヒドロキシビフェニルを32部に変えた以外は実施例1と同様の操作を行い、本発明の変性エポキシ樹脂(E2)212部を得た。
【0034】実施例3実施例1において、式(4)で表される化合物(軟化点132℃、n(平均値)=1.4)を138部に、4,4’−ジヒドロキシビフェニルを28部に変えた以外は実施例1と同様の操作を行い、本発明の変性エポキシ樹脂(E3)210部を得た。
【0035】比較例1実施例1において、式(4)で表される化合物(軟化点72℃、n(平均値)=1.7)を205部に、4,4’−ジヒドロキシビフェニルを0部に変えた以外は実施例1と同様の操作を行い、比較用の変性エポキシ樹脂(E4)253部を得た。
【0036】比較例2実施例1において、式(4)で表される化合物(軟化点72℃、n(平均値)=1.7)を165部に、4,4’−ジヒドロキシビフェニルを18部に変えた以外は実施例1と同様の操作を行い、比較用の変性エポキシ樹脂(E5)230部を得た。
【0037】比較例3実施例1において、式(4)で表される化合物(軟化点72℃、n(平均値)=1.7)を106部に、4,4’−ジヒドロキシビフェニルを45部に変えた以外は実施例1と同様の操作を行い、比較用の変性エポキシ樹脂(E6)176部を得た。
【0038】比較例4実施例1において、式(4)で表される化合物(軟化点147℃、n(平均値)=1.1)を134部に、4,4’−ジヒドロキシビフェニルを28部に変えた以外は実施例1と同様の操作を行い、比較用の変性エポキシ樹脂(E7)207部を得た。
【0039】比較例5実施例1において、式(4)で表される化合物(軟化点147℃、n(平均値)=2.4)を147部に、4,4’−ジヒドロキシビフェニルを30部に変えた以外は実施例1と同様の操作を行い、比較用の変性エポキシ樹脂(E8)222部を得た。
【0040】以上の実施例及び比較例で得られた本発明の変性エポキシ樹脂、比較用のエポキシ樹脂の物性を表1、2に示す。
【0041】

【0042】
表2 比較例1 比較例2 比較例3 比較例4 比較例5b/(a+b) 0.00 0.10 0.30 0.17 0.17n(平均値) 1.7 1.7 1.7 1.1 2.1収率(%) 97 96 85 95 95エポキシ当量(g/eq) 274 260 233 225 248軟化点(℃) 57 54 109 92 99溶融粘度(Pa・s) 0.11 0.09 0.04 0.02 0.11【0043】実施例4〜12、比較例6〜12エポキシ樹脂として実施例1〜3で得られた変性エポキシ樹脂(E1)〜(E3)、比較例1〜5で得られたエポキシ樹脂(E4)〜(E8)を使用し、硬化剤として式(5)〜(7)
【0044】
【化5】

【0045】(式中、nは平均値で正数を示す。日本化薬(株)製、PN−80、軟化点86℃、以下(H1))
【0046】
【化6】

【0047】(式中、nは平均値で正数を示す。三井化学(株)製、ミレックスXL−225−3L、軟化点69℃、以下(H2))
【0048】
【化7】

【0049】(式中、nは平均値で正数を示す。フェノール・ビフェニルノボラック、軟化点72℃、以下(H3))で表される多価フェノール類化合物、硬化促進剤(トリフェニルホスフィン)、シランカップリング剤(信越化学工業(株)製、KBM403)、離型剤(東亜化成(株)製、微紛カルナバ)、無機充填剤として球状シリカ(平均粒径30μm)及び破砕シリカ(平均粒径5μm)を表3〜5に示す割合(重量部)で配合し、2軸ロールにより混練し、粉砕、タブレット化した。
【0050】
表3実施例 4 5 6 7 8 9エポキシ樹脂 E1 71 71 71 E2 71 71 71硬化剤 H1 31 31 H2 49 50 H3 59 60硬化促進剤 1 1 1 1 1 1球状シリカ 376 447 484 376 451 490破砕シリカ 161 191 207 161 193 210シランカップリング剤 2 3 3 2 3 3離型剤 2 2 2 2 2 2【0051】

【0052】
表5比較例 6 7 8 9 10 11 12エポキシ樹脂 E4 71 71 71 E5 71 E6 71 E7 71 E8 71硬化剤 H1 27 29 32 33 30 H2 44 H3 53硬化促進剤 1 1 1 1 1 1 1球状シリカ 352 460 493 358 369 372 363破砕シリカ 151 197 212 154 158 159 155シランカップリング剤 2 3 3 2 2 2 2離型剤 2 2 2 2 2 2 2【0053】実施例4、7、10、比較例6、9〜12で得られたタブレットを用いてスパイラルフローを以下の条件で測定した。結果を表6、7に示す。
・スパイラルフロー金型:EMMI−1−66に準拠したもの金型温度:175℃トランスファー圧力:70kg/cm【0054】表6実施例 4 7 10スパイラルフロー(inch): 44 47 51【0055】
表7比較例 6 9 10 11 12スパイラルフロー(inch): 38 41 50 52 39【0056】実施例4〜12、比較例6〜12でタブレットを用いて、トランスファー成型法により樹脂成形体を調製し、160℃で2時間、更に180℃で8時間で硬化させた。
【0057】このようにして得られた硬化物の物性を測定した結果を表8〜10に示す。なお、物性値の測定は以下の方法で行った。
・ガラス転移温度(TMA):真空理工(株)製 TM−7000昇温速度 2℃/min.
・吸水率:直径5cm×厚み4mmの円盤状の試験片を100℃の水中で72時間煮沸した後の重量増加率(%)
【0058】
表8実施例 4 5 6 7 8 9 ガラス転移温度(℃) 127 120 118 126 119 117吸水率(%) 0.3 0.2 0.2 0.3 0.2 0.2【0059】表9実施例 10 11 12ガラス転移温度(℃) 115 113 110吸水率(%) 0.3 0.2 0.2【0060】
表10比較例 6 7 8 9 10 11 12ガラス転移温度(℃) 129 122 121 128 120 114 127吸水率(%) 0.3 0.2 0.2 0.3 0.3 0.2 0.3【0061】表1より本発明のエポキシ樹脂は、溶融粘度が低いうえ、軟化点が高く作業性に優れるものである。本発明の範囲外のものは、樹脂が結晶化しないので軟化点が低く作業性に問題がある(比較例1および2)、また溶融粘度が低下して樹脂が結晶化し、軟化点が高いが製造時に結晶が析出するなどの問題が生じかつ収率も低いという欠点がある(比較例3)、溶融粘度が低下して樹脂は結晶化するが表面が軟らかく作業性に劣る(比較例4)、樹脂は結晶化するが溶融粘度は低くない(比較例5)。さらに表6、7より本発明のエポキシ樹脂組成物は低溶融粘度でありスパイラルフローの値が高いため、高い流動性を示す。そして、表8〜10より本発明のエポキシ樹脂の硬化物性(実施例4)は4,4’−ジヒドロキシビフェニルを混合していないもの(比較例6)と比べてガラス転移点の低下が少なく、吸水率も低い。しかし本発明の範囲外のもの(比較例10、11)はガラス転移点の低下が著しい。
【0062】以上のとおり、本発明の変性エポキシ樹脂は、軟化点が高いため作業性に優れ、低溶融粘度であるために流動性の高い樹脂組成物を与え、硬化物性は、変性していないものと同等の特性を示すという優れたものである。
【0063】
【発明の効果】本発明の変性エポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物は、低溶融粘度(高流動性)と低吸湿性、耐熱性とのバランスが優れている。従って、電気・電子部品用絶縁材料及び積層板(プリント配線板など)やCFRPを始めとする各種複合材料、接着剤、塗料等に使用する場合に極めて有用である。特に、半導体封止材用に用いた場合、その性能が十分に発揮される。
【出願人】 【識別番号】000004086
【氏名又は名称】日本化薬株式会社
【出願日】 平成13年9月28日(2001.9.28)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−187933(P2002−187933A)
【公開日】 平成14年7月5日(2002.7.5)
【出願番号】 特願2001−302661(P2001−302661)