| 【発明の名称】 |
高分子電解質およびこれを使用したリチウム電池 |
| 【発明者】 |
【氏名】李 眞 英
|
| 【要約】 |
【課題】高分子電解質及びこれを採用したリチウム電池を提供する。
【解決手段】この高分子電解質はポリアルキレンオキシドバックボーンを有し、NCOで終結されたプレポリマー、架橋剤、有機溶媒及びリチウム塩を反応させて製造される架橋ポリエーテルウレタンよりなることを特徴し、電気化学的に安定しているため、これを用いれば、信頼性及び安全性が向上されたリチウム電池が得られる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ポリアルキレンオキシドバックボーンを有し、NCOで終結されたプレポリマー、架橋剤、有機溶媒及びリチウム塩を反応させて製造される架橋ポリエーテルウレタンよりなることを特徴とする高分子電解質。 【請求項2】 前記プレポリマーは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びこれらの共重合体から選ばれるポリアルキレングリコールとイソシアネートとを反応させて得られたものであることを特徴とする請求項1に記載の高分子電解質。 【請求項3】 前記イソシアネートは、トリレン2,4−ジイソシアネート、トリレン2,6−ジイソシアネート、ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタンジイソシアネート、トリス−(イソシアネートフェニル)チオフォスフェート、リシンエステルトリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、ウンデカン1,6,11−トリイソシアネート、ヘキサメチレン1,3,6−トリイソシアネート及びビシクロヘプタントリイソシアネートよりなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項2に記載の高分子電解質。 【請求項4】 前記架橋剤は、グリセロールエトキシレート、グリセロールプロポキシレート、3−メチル−1,3,5−ペンタントリオール及びカプロラクトンよりなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の高分子電解質。 【請求項5】 前記リチウム塩は、過塩素酸リチウム(LiClO4)、4フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、6フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、3フッ化メタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)及びリチウムビストリフルオロメタンスルホニルアミド(LiN(CF3SO2)2)よりなる群から選ばれるいずれか一であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の高分子電解質。 【請求項6】 前記有機溶媒は、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート及びビニレンカーボネートよりなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の高分子電解質。 【請求項7】 前記有機溶媒及びリチウム塩の合計質量が、前記プレポリマーの質量に対して、3〜30倍であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の高分子電解質。 【請求項8】 ポリアルキレンオキシドバックボーンを有し、NCOで終結されたプレポリマーを架橋剤、有機溶媒及びリチウム塩と混合する段階;および前記混合物を架橋させる段階からなる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の架橋ポリエーテルウレタンよりなる高分子電解質の製造方法。 【請求項9】 前記架橋が25〜65℃でなされることを特徴とする請求項8に記載の高分子電解質の製造方法。 【請求項10】 カソード及びアノードと、前記カソードとアノードとの間に介在され、ポリアルキレンオキシドバックボーンを有し、NCOで終結されたプレポリマー、架橋剤、有機溶媒及びリチウム塩を反応させて製造される架橋ポリエーテルウレタン高分子電解質とを含むことを特徴とするリチウム電池。 【請求項11】 前記架橋剤は、グリセロールエトキシレート、グリセロールプロポキシレート、3−メチル−1,3,5−ペンタントリオール及びカプロラクトンよりなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項10に記載のリチウム電池。 【請求項12】 前記イソシアネートは、トリレン2,4−ジイソシアネート、トリレン2,6−ジイソシアネート、ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタンジイソシアネート、トリス−(イソシアネートフェニル)チオフォスフェート、リシンエステルトリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、ウンデカン1,6,11−トリイソシアネート、ヘキサメチレン1,3,6−トリイソシアネート及びビシクロヘプタントリイソシアネートよりなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項11に記載のリチウム電池。 【請求項13】 前記リチウム塩は、過塩素酸リチウム(LiClO4)、4フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、6フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、3フッ化メタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)及びリチウムビストリフルオロメタンスルホニルアミド(LiN(CF3SO2)2)よりなる群から選ばれるいずれか一であることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載のリチウム電池。 【請求項14】 前記有機溶媒は、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート及びビニレンカーボネートよりなる群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載のリチウム電池。 【請求項15】 前記有機溶媒及びリチウム塩の混合物の総質量が、前記プレポリマーの質量に対して、3〜30倍であることを特徴とする請求項10〜14のいずれか1項に記載のリチウム電池。 【請求項16】 前記カソードとアノードとの間に網目構造を有する絶縁性樹脂よりなるセパレータをさらに含むことを特徴とする請求項10〜15のいずれか1項に記載のリチウム電池。 【請求項17】 前記セパレータがポリプロピレン、ポリエチレン及びこれらの調合物よりなることを特徴とする請求項16に記載のリチウム電池。 【請求項18】 ポリアルキレンオキシドバックボーンを有し、NCOで終結されたプレポリマーを架橋剤、リチウム塩及び有機溶媒と混合する段階;前記混合物をカソード及びアノードから選ばれた一つ以上の表面にキャスティングする段階;および前記キャスティング物を架橋する段階からなる、請求項10〜15のいずれか1項に記載のリチウム電池の製造方法。 【請求項19】 前記架橋段階が25〜65℃でなされることを特徴とする請求項18に記載のリチウム電池の製造方法。 【請求項20】 ポリアルキレンオキシドバックボーンを有し、NCOで終結されたプレポリマーを架橋剤、リチウム塩及び有機溶媒と混合する段階;カソードとアノードとの間にセパレータを介在させて電極組立体を形成した後、これを電池ケース内に収納する段階;および前記電池ケース内に前記混合物を注入した後に架橋させる段階からなる、請求項16または17に記載のリチウム電池の製造方法。 【請求項21】 前記架橋段階が25〜65℃でなされることを特徴とする請求項20に記載のリチウム電池の製造方法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、高分子電解質およびこれを使用したリチウム電池に関するものであり、より詳細には、本発明は、電気化学的に安定している高分子電解質およびこれを使用したリチウム電池に関するものである。 【0002】 【従来の技術】リチウム2次電池は、リチウムイオンがカソードとアノードとの間を往復することにより電気を生じる。かかるリチウム2次電池は、ニッケルカドミウム電池及びニッケル水素電池に比べて単位体積当たりのエネルギー密度が高く、電圧が高いほか、電池の重さはニッケルカドミウム電池及びニッケル水素電池に比べて約1/2に過ぎないため、携帯用電子機器の小型軽量化及び長時間の使用に好適である。 【0003】このように、リチウム2次電池は、従来のニッケルカドミウム電池及びニッケル水素電池に比べて電圧が高く、充放電サイクル寿命特性により優れているほか、環境問題を起こさないため、次世代の高性能バッテリとして大きな関心を集めている。しかし、リチウム2次電池は爆発などの危険性があるため、安全性を確保することが重要である。 【0004】リチウム2次電池の安全性を確保するためには、電解質として使用される物質の電気化学的な安定度が何よりも重要である。すなわち、リチウム2次電池の安全性を確保するためには2.75ないし4.3Vの間で分解される危険性のない電解質を採用することが極めて重要である。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、電気化学的に安定している新規な高分子電解質及びその製造方法を提供することである。 【0006】本発明の他の目的は、前記高分子電解質を採用して安全性が向上されたリチウム電池及びその製造方法を提供することである。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行なった結果、従来では、リチウム電池の電解質として使用するために合成されたポリウレタン系化合物に対して電気化学的な安定度を測定した結果を記載した従来の論文を参照すれば、ウレタン系電解質の分解電位が約4.2V(リチウム対比)であり、リチウム2次電池に使用し難い面があった(Journal of Power Source 84(1999)12-23)が、ポリアルキレンオキシドバックボーンを有し、NCOで終結されたプレポリマー、架橋剤、有機溶媒及びリチウム塩を反応させて得られる架橋ポリエーテルウレタン系の電解質は電気化学的な安定度が向上していることを知得し、この知見に基づいて完成したものである。 【0008】すなわち、前記諸目的を達成するために、本発明では、ポリアルキレンオキシドバックボーンを有し、NCOで終結されたプレポリマー、架橋剤、有機溶媒及びリチウム塩を反応させて製造された架橋ポリエーテルウレタンよりなることを特徴とする高分子電解質が提供される。 【0009】本発明の諸目的はまた、ポリアルキレンオキシドバックボーンを有し、NCOで終結されたプレポリマーを架橋剤、有機溶媒及びリチウム塩と混合する段階と、前記混合物を架橋させる段階とを通じて、架橋ポリエーテルウレタン高分子電解質を製造することを特徴とする高分子電解質の製造方法により達成される。 【0010】本発明の諸目的はさらに、カソード及びアノードと、前記カソードとアノードとの間に介在され、ポリアルキレンオキシドバックボーンを有し、NCOで終結されたプレポリマー、架橋剤、有機溶媒及びリチウム塩を反応させて製造される架橋ポリエーテルウレタン高分子電解質とを含むことを特徴とするリチウム電池により達成される。 【0011】前記カソードとアノードとの間に網目構造を有し、絶縁性樹脂よりなるセパレータがさらに介在されうる。 【0012】本発明の諸目的は、ポリアルキレンオキシドバックボーンを有し、NCOで終結されたプレポリマーを架橋剤、リチウム塩及び有機溶媒と混合する段階と、前記混合物をカソード及びアノードから選ばれた一つ以上の表面にキャスティングする段階と、前記結果物(キャスティングされた物)を架橋させる段階とを含んで、本発明のリチウム電池を製造することを特徴とするリチウム電池の製造方法により達成される。 【0013】さらに、本発明の諸目的は、ポリアルキレンオキシドバックボーンを有し、NCOで終結されたプレポリマーを架橋剤、リチウム塩及び有機溶媒と混合する段階と、カソードとアノードとの間にセパレータを介在させて電極組立体を形成した後、これを電池ケース内に収納する段階と、前記電池ケース内に前記混合物を注入した後に架橋させる段階とを含むリチウム電池の製造方法により達成される。 【0014】前述した高分子電解質及びリチウム電池において、架橋ポリエーテルウレタンの製造時に使用されるプレポリマーは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びこれらの共重合体より選ばれるポリアルキレングリコールとイソシアネートとを反応させて得られる。このとき、前記イソシアネートは、トリレン2,4−ジイソシアネート、トリレン2,6−ジイソシアネート、ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタンジイソシアネート、トリス−(イソシアネートフェニル)チオフォスフェート、リシンエステルトリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、ウンデカン1,6,11−トリイソシアネート、ヘキサメチレン1,3,6−トリイソシアネート及びビシクロヘプタントリイソシアネートよりなる群から選ばれるいずれか一つ以上であることが望ましい。 【0015】本発明で使用される架橋剤は、グリセロールエトキシレート、グリセロールプロポキシレート、3−メチル−1,3,5−ペンタントリオール及びカプロカクトンよりなる群から選ばれるいずれか一つ以上であることが望ましい。 【0016】前述した高分子電解質及びリチウム電池の製造方法において、架橋段階は25ないし65℃でなされることが望ましい。 【0017】本発明による高分子電解質及びリチウム電池において、前記リチウム塩は、過塩素酸リチウム(LiClO4)、4フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、6フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、3フッ化メタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)及びリチウムビストリフルオロメタンスルホニルアミド(LiN(CF3SO2)2)よりなる群から選ばれたいずれか一つであることが望ましい。そして、前記有機溶媒は、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート及びビニレンカーボネートよりなる群から選ばれたいずれか一つ以上であることが望ましい。 【0018】本発明によるリチウム電池において、前記電極組立体が巻取り型であり、前記ケースがパウチ形であることが望ましい。 【0019】本発明によるリチウム電池において、有機溶媒及びリチウム塩の混合物の質量が、前記プレポリマーの質量に対して、3ないし30倍であることが望ましい。特に、電極組立体がセパレータを含む場合には、有機溶媒及びリチウム塩の混合物の質量が、前記プレポリマーの質量に対して、5ないし30倍であることが望ましく、また、セパレータを含まない場合には、有機溶媒及びリチウム塩の混合物の質量が、前記プレポリマーの質量に対して、3ないし15倍であることが望ましい。 【0020】 【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に記載する。 【0021】本発明の第一は、ポリアルキレンオキシドバックボーンを有し、NCOで終結されたプレポリマー、架橋剤、有機溶媒及びリチウム塩を反応させて製造される架橋ポリエーテルウレタン高分子電解質に関するものであり、望ましくは、前記プレポリマーを架橋剤、有機溶媒及びリチウム塩の混合物に加え、これを電極組立体が内蔵されたケースに注入した後に架橋させて製造されるポリエーテルウレタン高分子電解質を高分子電解質として使用することを特徴とする。 【0022】以下、本発明の高分子電解質およびその製造方法を説明する。 【0023】本発明において、プレポリマーは、ポリアルキレンオキシドバックボーンを有し、NCOで終結されたものであり、その製造方法は、このようなプレポリマーが製造されるものであれば特に制限されるものではないが、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びこれらの共重合体から選ばれるポリアルキレングリコールをイソシアネートをと反応させて製造されることが好ましい。なお、本明細書において、「NCO」とは、イソシアネート基(−NCO)を意味する。 【0024】本発明に係るポリエーテルウレタン高分子電解質の製造において、通常ワン−ショットプロセス及びプレポリマープロセス等の公知の方法を用いて、ウレタン結合が形成されるが、これらのうち、プレポリマープロセスを用いてウレタン結合を形成することが好ましい。より好ましくは、ポリエーテルウレタン高分子電解質を構成するポリアルキレンオキシドバックボーンを有し、NCOで終結されたプレポリマーは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びこれらの共重合体より選ばれるポリアルキレングリコールとイソシアネートとを反応することによって得られる。このようにして得られたプレポリマーを、架橋剤、有機溶媒及びリチウム塩よりなる混合物に加え、かつ反応させれば、本発明による高分子電解質が製造される。 【0025】また、本発明において、イソシアネートは、特に制限されるものではなく、公知のイソシアネートが使用できるが、具体的には、トリレン2,4−ジイソシアネート、トリレン2,6−ジイソシアネート、ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタンジイソシアネート、トリス−(イソシアネートフェニル)チオフォスフェート、リシンエステルトリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、ウンデカン1,6,11−トリイソシアネート、ヘキサメチレン1,3,6−トリイソシアネート及びビシクロヘプタントリイソシアネートなどが好ましく挙げられる。これらのイソシアネートは、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。 【0026】また、本発明において、架橋剤は、特に制限されるものではなく、公知の架橋剤が使用できるが、具体的には、グリセロールエトキシレート、グリセロールプロポキシレート、3−メチル−1,3,5−ペンタントリオール及びカプロラクトンなどが好ましく挙げられる。これらの架橋剤は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。 【0027】また、本発明において、有機溶媒及びリチウム塩としては、特に制限はなく、本発明が属する技術分野に広く知られたものが使用できる。例えば、リチウム塩としては、過塩素酸リチウム(LiClO4)、4フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、6フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、3フッ化メタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)及びリチウムビストリフルオロメタンスルホニルアミド(LiN(CF3SO2)2)などが好ましく挙げられる。また、有機溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート及びビニレンカーボネートなどが好ましく挙げられる。 【0028】本発明において、有機溶媒及びリチウム塩の合計質量は、特に制限されるものではないが、プレポリマーの質量に対して、3〜30倍であることが望ましい。特に、本発明に係るリチウム電池がカソードとアノードとの間にセパレータを介在させた電極組立体を有する場合には、有機溶媒及びリチウム塩の混合物の質量が、プレポリマーの質量に対して、5〜30倍であることがより望ましい。また、特に本発明に係るリチウム電池がセパレータを含まない場合には、有機溶媒及びリチウム塩の混合物の質量が、プレポリマーの質量に対して、3〜15倍であることがより望ましい。さらに、有機溶媒及びリチウム塩の混合物におけるリチウム塩の濃度もまた特に制限されるものではないが、0.5〜2Mであることが望ましい。 【0029】本発明においては、ポリアルキレンオキシドバックボーンを有し、NCOで終結されたプレポリマー、架橋剤、有機溶媒及びリチウム塩からなる混合物を反応(架橋)させることによって、本発明による架橋ポリエーテルウレタンが得られる。したがって、本発明の第二は、ポリアルキレンオキシドバックボーンを有し、NCOで終結されたプレポリマーを架橋剤、有機溶媒及びリチウム塩と混合する段階;および前記混合物を架橋させる段階からなる、本発明の架橋ポリエーテルウレタンよりなる高分子電解質の製造方法に関するものである。 【0030】本発明において、架橋を促進するために、ポリアルキレンオキシドバックボーンを有し、NCOで終結されたプレポリマー、架橋剤、有機溶媒及びリチウム塩からなる混合物に、ジブチルチンジラウレートなどの触媒をさらに加えた後、これを熱架橋させることがより望ましい。この際、架橋条件は特に制限されるものではなく、公知の条件が使用できるが、例えば、架橋温度は、25〜65℃であることが望ましい。 【0031】上記本発明に係る高分子電解質は、リチウム電池に好適に使用できる。したがって、本発明の第三は、カソード及びアノード;ならびに前記カソードとアノードとの間に介在され、ポリアルキレンオキシドバックボーンを有し、NCOで終結されたプレポリマー、架橋剤、有機溶媒及びリチウム塩を反応させて製造される架橋ポリエーテルウレタン高分子電解質を含むことを特徴とするリチウム電池に関するものである。また、本発明の第四は、ポリアルキレンオキシドバックボーンを有し、NCOで終結されたプレポリマーを架橋剤、リチウム塩及び有機溶媒と混合する段階;前記混合物をカソード及びアノードから選ばれた一つ以上の表面にキャスティングする段階;および前記キャスティング物を架橋する段階からなる、本発明のリチウム電池の製造方法に関するものである。 【0032】以下、前述した高分子電解質を含む本発明のリチウム電池の製造方法の一実施態様を説明する。 【0033】電極活物質、結合剤、導電剤及び溶媒を含む電極活物質組成物を用いて集電体上に電極活物質層を形成する。この際、電極活物質層を形成する方法としては、電極活物質組成物を集電体上に直接キャスティング(コーティング)する方法や電極活物質組成物を別の支持体の上部にキャスティング(コーティング)及び乾燥した後、この支持体から剥離して得られたフィルムを集電体上にラミネートする方法などがある。後者の方法に使用できる支持体は、電極活物質層を支持できるものであればいずれも使用可能であり、具体例としては、マイラーフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどが挙げられる。 【0034】上記実施態様において、電極活物質は、特に制限されず公知の電極活物質が使用できる。例えば、カソードの場合には、LiCoO2などのリチウム複合酸化物などが使用され、アノードの場合には、カーボン、グラファイトなどの物質が使用される。また、導電剤としては、特に制限されず公知の導電剤が使用できるが、例えば、カーボンブラックなどが使用される。ここで、導電剤の含有量は、特に制限されず公知と同様の量でよいが、電極活物質(例えば、LiCoO2)100質量部に対して、1〜20質量部であることが望ましい。 【0035】上記実施態様において使用される結合剤は、特に制限されず公知の結合剤が使用できる。このような結合剤としては、例えば、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレンコーポリマー(VdF/HFPコーポリマー)、ポリビニリデンフルオライド、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレートなどが挙げられる。これらの結合剤は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。また、結合剤の含有量もまた、特に制限されず公知と同様の量でよいが、電極活物質100質量部に対して、5〜30質量部であることが望ましい。 【0036】また、上記実施態様において使用される溶媒としては、通常のリチウム電池で使用されるものであればいずれも使用可能であり特に制限されないが、具体例としては、アセトン、N−メチルピロリドンなどが挙げられる。 【0037】上記実施態様において、電極活物質組成物には、場合によって、電池の性能を改善するためにLi2CO3を添加してもよい。 【0038】一方、本発明のリチウム電池は、カソード及びアノード;ならびに本発明に係る架橋ポリエーテルウレタン高分子電解質とを含むことを必須とし、また、本発明に係る高分子電解質はセパレータの役割をも果たせるため、セパレータを別途使用する必要は必ずしもないが、カソードとアノードとの間に網目構造を有する絶縁性樹脂よりなるセパレータをさらに含むことが好ましい。この際、セパレータは、特別に制限はなく公知のセパレータが使用できるが、本発明では巻取り易いポリプロピレンセパレータ、ポリエチレンセパレータ、及びこれらの調合物が好ましく使用できる。この際、ポリプロピレン及びポリエチレンの調合物からなるセパレータは、特に制限されないが、例えば、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン積層セパレータなどがある。 【0039】本発明のリチウム電池がセパレータを含む場合には、ポリアルキレンオキシドバックボーンを有し、NCOで終結されたプレポリマーを架橋剤、リチウム塩及び有機溶媒と混合する一方、カソードとアノードとの間にセパレータを介在させて電極組立体を形成した後、これを電池ケース内に収納して、この電池ケース内に前記混合物を注入した後に架橋させることによって、製造される。この方法は、本発明の第五の概念を形成する。 【0040】本発明においては、電極組立体の製造方法は特に制限されるものではないが、例えば、前述した方法と同様にして製造されたカソード電極板とアノード電極板との間にセパレータを介在させ、これをジェリロール方式により巻き取ることによって電極組立体を製造したり、或いはバイシェル構造の電極組立体を製造する。次に、この電極組立体をケース内に入れた後に、ポリアルキレンオキシドバックボーンを有し、NCOで終結されたプレポリマーを架橋剤、リチウム塩及び有機溶媒よりなる混合物を加えた後、得られた混合物を前記ケース内に注入する。 【0041】その後、前記ケースを密封した後、得られた結果物を所定温度に調節されたオーブンで所定時間放置して架橋する。このとき、架橋温度(オーブンの温度)は架橋工程が充分行なわれる温度であれば特に制限されないが、25〜65℃の範囲を保つように調節されることが望ましい。この際、架橋温度(オーブンの温度)が65℃を超える場合には、電解液が分解されて変色する恐れがある。 【0042】前記反応の結果、前記プレポリマーに熱重合反応が起こって架橋生成物ができ、これにより、電解液がゲル状に変化する。このように電解液がゲル状で存在すれば外部に漏れる可能性が小さいため、電解液の漏れによる電池の安全性及び信頼性の低下を未然に防止できる。 【0043】また、セパレータを使用しない場合には、前述したように製造されたポリアルキレンオキシドバックボーンを有し、NCOで終結されたプレポリマーを架橋剤、リチウム塩及び有機溶媒よりなる混合物に加えた後、得られた混合物をカソード電極板若しくはアノード電極板またはこれらの両方にキャスティングした後、前述したようにオーブンで熱重合(架橋)することによって、本発明によるリチウム電池が製造できる。 【0044】本発明のリチウム電池は特別にその形が制限されず、リチウム1次電池、リチウム2次電池の両方が可能である。 【0045】 【実施例】以下、本発明を下記実施例を挙げて説明するが、本発明が下記実施例に限定されるのではない。 【0046】実施例1分子量400のポリエチレングリコール4g及びヘキサメチレンジイソシアネート4.205gを65℃で反応させてポリエチレンオキシドバックボーンを有し、NCOで終結されたプレポリマーを製造した。このとき、触媒としてはジブチルチンジラウレート0.092g(約1質量%)を使用した。 【0047】次に、前記プレポリマー0.085gを架橋剤としてグリセロールエトキシレート0.077g、1.3MのLiPF6を含み、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート及びジエチルカーボネートが41:49:10で混合された混合液2.92g及び触媒としてジブチルチンジラウレート0.0235gと混合した。このように製造された混合物3gを巻取り型ゼリーロールが入っているパウチ中に入れてシーリングした後、二日間放置し、これを65℃で4時間熱架橋させて高分子電解質を製造した。 【0048】このような方法により製造された高分子電解質を採用してリチウム2次電池(公称容量800mAh)で得た標準充放電(0.5C充電、0.2C放電)データを図2に示す。 【0049】実施例2プレポリマーは実施例1の方法と同様にして製造した。 【0050】次に、前記プレポリマー0.1gを架橋剤としてグリセロールエトキシレート0.091g、1.3MのLiPF6を含み、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート及びジエチルカーボネートが41:49:10で混合された混合液2.28gを混合し、25℃で12時間放置した後、本発明による高分子電解質を製造した。この高分子電解質をコインセルの陰極Liと陽極LiCoO2との間に入れてコインセルを製造した。こうして得られたコインセルの充放電特性を2.75〜4.3Vで率別に測定し、その結果を図3に示す。 【0051】実験例1この実験例は、前記実施例で製造したポリエーテルウレタン高分子電解質の電気化学的な安定度を測定するためのものである。 【0052】前記実施例1で製造したポリエーテルウレタン高分子電解質をリチウム電極及びステンレス電極を用いて分解電位を測定し、図1に示す。 【0053】図1は、高分子電解質の電気化学的な安定度を調べうる線形スウィーピングボルタモグラムである。図1を参照すれば、本発明によるポリエーテルウレタン高分子電解質は5.0V以上でも電気化学的に安定しているということが分かる。 【0054】このため、2.75ないし4.3Vで分解される危険性のない高分子電解質の使用が要求されるリチウム2次電池に使用するに好適な高分子電解質であることが分かる。 【0055】 【発明の効果】以上述べたように、本発明は、(1)ポリアルキレンオキシドバックボーンを有し、NCOで終結されたプレポリマー、架橋剤、有機溶媒及びリチウム塩を反応させて製造される架橋ポリエーテルウレタンよりなることを特徴とする高分子電解質;(2)カソード及びアノードと、前記カソードとアノードとの間に介在され、ポリアルキレンオキシドバックボーンを有し、NCOで終結されたプレポリマー、架橋剤、有機溶媒及びリチウム塩を反応させて製造される架橋ポリエーテルウレタン高分子電解質とを含むことを特徴とするリチウム電池に関するものである。したがって、本発明の高分子電解質は、電気化学的に安定しているため、このような高分子電解質を使用しているリチウム2次電池は、リチウム二次電池としての信頼性及び安全性を向上できる。 【0056】なお、本発明に対し前記実施例を参考として説明してきたが、これは単なる例示的なものに過ぎず、本発明に属する技術分野の通常の知識を有した者であれば、これより各種の変形及び均等な他の実施例が可能であるということは言うまでもない。よって、本発明の真の技術的な保護範囲は特許請求の範囲上の技術的な思想によって定まるべきである。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】590002817 【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
|
| 【出願日】 |
平成13年9月28日(2001.9.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100072349 【弁理士】 【氏名又は名称】八田 幹雄 (外4名)
|
| 【公開番号】 |
特開2002−187925(P2002−187925A) |
| 【公開日】 |
平成14年7月5日(2002.7.5) |
| 【出願番号】 |
特願2001−301867(P2001−301867) |
|