| 【発明の名称】 |
ポリビニルイミダゾール−シリカハイブリッドの製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】楊 正乾
【氏名】洪 耀勳
【氏名】張 ▲徳▼全
【氏名】王 ▲ゆ▼譚
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| 【要約】 |
【課題】ポリイミダゾール−シリカハイブリッドの製造方法を提供する。
【解決手段】ビニルイミダゾールとビニル基含有アルコキシシランとを有機溶媒(i)中で共重合し、これに水とトリアルコキシシランおよび/またはテトラアルコキシシランの有機溶媒(ii)溶液とを加えて、ゾルゲル法によってポリイミダゾール−シリカハイブリッドを製造する。本発明によれば、シリカが共有結合され、均一にシリカが配合されたポリイミダゾール−シリカハイブリッドを製造することができる。また、添加するテトラアルコキシシラン等の量を調整することで、有機部と無機部の質量比の異なるハイブリッドを簡便に製造することができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ビニルイミダゾールとビニル基含有アルコキシシランとを有機溶媒(i)中で共重合して下記式(1)で示す化合物を含む反応液を得る段階aと、該反応液に水とトリアルコキシシランおよび/またはテトラアルコキシシランの有機溶媒(ii)溶液とを加えて加水分解と、式(1)で示す化合物とトリアルコキシシランおよび/またはテトラアルコキシシランとの縮合反応を行い、下記式(2)または(3)で示す構造を有するポリビニルイミダゾール−シリカハイブリッドを形成させる段階bとを有するものである、ポリイミダゾール−シリカハイブリッドの製造方法。 【化1】
【化2】
【化3】
【請求項2】 該ビニル基含有アルコキシシランが、[3−(メタクリロキシ)プロピル]トリメトキシシランである、請求項1記載の方法。 【請求項3】 段階bで反応液にテトラアルコキシシランを添加するものである、請求項1または2記載の方法。 【請求項4】 該テトラアルコキシシランがテトラメトキシシランである、請求項3記載の方法。 【請求項5】 該ビニルイミダゾールと[3−(メタクリロキシ)プロピル]トリメトキシシランとを、[3−(メタクリロキシ)プロピル]トリメトキシシランに対するビニルイミダゾールのモル比が99:1〜80:20の範囲で共重合させるものである、請求項2記載の方法。 【請求項6】 該モル比が、95:5である、請求項5記載の方法。 【請求項7】 段階aにおける共重合が、ラジカル開始剤の存在下に行われるものである、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。 【請求項8】 該ラジカル開始剤が、アゾイソブチロニトリルである、請求項7記載の方法。 【請求項9】 段階bにおける、テトラメトキシシランと式(1)で示す化合物とが、質量比90:10〜10:90の範囲で使用されるものである、請求項4記載の方法。 【請求項10】 段階bにおける水とテトラメトキシシランとのモル比が、3:1〜10:1の範囲である、請求項4記載の方法。 【請求項11】 段階bにおいて酸が水に触媒として添加され、その酸の濃度が水と酸との合計量の1〜5質量%である、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。 【請求項12】 該酸が塩酸である、請求項11記載の方法。 【請求項13】 段階aで使用する有機溶媒(i)と、段階bで使用する有機溶媒(ii)とが、それぞれ独立してテトラヒドロフラン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルスルホキシド、m−クレゾール、ピリジン、メチルクロライドおよびエチルクロライドからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。 【請求項14】 段階aで使用する有機溶媒(i)と段階bで使用する有機溶媒(ii)とがテトラヒドロフランである、請求項13記載の方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ポリイミダゾールとシリカとのハイブリッドの製造方法に関し、より詳細には、ゾルゲル法によるポリイミダゾール−シリカハイブリッドの製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】有機−無機ハイブリッド材料は、その透明性、耐磨耗性、耐熱性などの優れた特性によって広範囲に利用され、例えば、塗料、光学材料、電子材料、医用材料等に使用されている。この有機−無機ハイブリッド材料は、有機成分と無機成分の双方を含む製品に応用されると、無機的および有機的性質に基づいた優れた特性を発揮する。 【0003】近年、窒素含有ポリマーの電子供与体としての使用に関する報告がなされている。このように注目を浴びるのは、これらが広範囲に利用できるからであり、例えば、放電における陰イオン性ゲルの不安定化と水浄化という報告がコロイドインターフェース科学(J. Colloid Interface Sci., 176, 86, (1995))に、電気泳動塗装に関する報告が材料科学(J. Mater. Sci., 33, 3945, (1998))に、硬化剤に関する報告がポリマー(Polymer, 39, 1929, (1998))に、電極の活性化に関する報告がジャーナルオブケミストリー(J. Chem., 16, 505, (1992))に、微細金属イオンの回収に関する報告がコロイドインターフェース科学(J. Colloid Interface Sci., 183, 236, (1996)や(J. Radioanal. Nucl. Chem., 224,71, (1997))に、耐腐食塗料に関する報告が接着剤技術雑誌(J. Adhesion Sci. Technol., 12, 323, (1998))や腐食科学(corros. sci., 33, 1053, (1992))、高分子(Polymer, 38, 5301, (1997))でなされている。また、ポリビニルイミダゾール(以下、PVIと記載する場合もある)の合成はコロイド(Colliods Surf., A 64, 125, (1992))に記載されるようにかなり容易であり、コロイド(Colliods Surf. A99, 53, (1995))に記載されるように、そのイオン化を調整することで永続した陽電荷密度を有するPVIを製造することができるため、ポリイミダゾールに関する応用例は多い。 【0004】一方、シリカは単位質量あたりの吸水量が極めて少なく、熱膨張係数が0.5ppm/K以下であるから、このような特性を有する高分子の開発には理想的な無機材料といえる。 【0005】このため、4価のPVIとシリカとのハイブリッドに関する2つの合成方法が開発されている。例えば、シリカで4価のPVIを被覆する方法がクロマトグラフィー(Chromatographia, 36, 373, (1993))に、また、シリカ表面上に吸収されたPVIの架橋反応による用法が高分子(Eur. Polym, J., 33, 1015, (1997))やクロマトグラフィー(J. Chromatogr. A, 776, 45, (1997))に開示されている。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これらによって調製されるハイブリッドは、高分子体とシリカとのいかなる化学的結合をも形成しておらず、安定な共有結合の形成に関する記述はない。それゆえ、これらの方法によるハイブリッドは熱安定性に劣り、相分離を生じ、ハイブリッド製品の機械的性質にも影響を与えている。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、該課題は、以下の(1)〜(14)によって達成される。 【0008】(1) ビニルイミダゾールとビニル基含有アルコキシシランとを有機溶媒(i)中で共重合して下記式(1)で示す化合物を含む反応液を得る段階aと、該反応液に水とトリアルコキシシランおよび/またはテトラアルコキシシランの有機溶媒(ii)溶液とを加えて加水分解と、式(1)で示す化合物とトリアルコキシシランおよび/またはテトラアルコキシシランとの縮合反応を行い、下記式(2)または(3)で示す構造を有するポリビニルイミダゾール−シリカハイブリッドを形成させる段階bとを有するものである、ポリイミダゾール−シリカハイブリッドの製造方法。 【0009】 【化4】
【0010】 【化5】
【0011】 【化6】
【0012】(2) 該ビニル基含有アルコキシシランが、[3−(メタクリロキシ)プロピル]トリメトキシシランである、上記(1)記載の方法。 【0013】(3) 段階bで反応液にテトラアルコキシシランを添加するものである、上記(1)または(2)記載の方法。 【0014】(4) 該テトラアルコキシシランがテトラメトキシシランである、上記(3)記載の方法。 【0015】(5) 該ビニルイミダゾールと[3−(メタクリロキシ)プロピル]トリメトキシシランとを、[3−(メタクリロキシ)プロピル]トリメトキシシランに対するビニルイミダゾールのモル比が99:1〜80:20の範囲で共重合させるものである、上記(2)記載の方法。 【0016】(6) 該モル比が、95:5である、上記(5)記載の方法。 【0017】(7) 段階aにおける共重合が、ラジカル開始剤の存在下に行われるものである、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の方法。 【0018】(8) 該ラジカル開始剤が、アゾイソブチロニトリルである、上記(7)記載の方法。 【0019】(9) 段階bにおける、テトラメトキシシランと式(1)で示す化合物とが、質量比90:10〜10:90の範囲で使用されるものである、上記(4)記載の方法。 【0020】(10) 段階bにおける水とテトラメトキシシランとのモル比が、3:1〜10:1の範囲である、上記(4)記載の方法。 【0021】(11) 段階bにおいて酸が水に触媒として添加され、その酸の濃度が水と酸との合計量の1〜5質量%である、上記(1)〜(10)のいずれかに記載の方法。 【0022】(12) 該酸が塩酸である、上記(11)記載の方法。 【0023】(13) 段階aで使用する有機溶媒(i)と、段階bで使用する有機溶媒(ii)とが、それぞれ独立してテトラヒドロフラン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルスルホキシド、m−クレゾール、ピリジン、メチルクロライドおよびエチルクロライドからなる群から選ばれる少なくとも1種である、上記(1)〜(12)のいずれかに記載の方法。 【0024】(14) 段階aで使用する有機溶媒(i)と段階bで使用する有機溶媒(ii)とがテトラヒドロフランである、上記(13)記載の方法。 【0025】 【発明の実施の形態】本発明の第一は、ビニルイミダゾールとビニル基含有アルコキシランとを有機溶媒(i)中で共重合して上記式(1)で示す化合物を含む反応液を得る段階aと、該反応液に水とトリアルコキシシランおよび/またはテトラアルコキシシランの有機溶媒(ii)溶液とを加えて加水分解と、上記式(1)で示す化合物とトリアルコキシシランおよび/またはテトラアルコキシシランとの縮合反応を行い、上記式(2)または(3)で示す構造を有するポリビニルイミダゾール−シリカハイブリッドを形成させる段階bとを有するものである、ポリイミダゾール−シリカハイブリッドの製造方法である。 【0026】ここに、段階aで使用するビニル基含有アルコキシシランにおけるアルコキシル基は、炭素数が1〜4のアルコキシル基、例えばメトキシ基、エトキシ基であることが好ましい。より好ましくは、段階aで使用されるビニル基含有アルコキシシランは、[3−(メタクリロキシ)プロピル]トリメトキシシランである。 【0027】また、段階bで使用するトリアルコキシシランとテトラアルコキシシランにおけるアルコシキル基は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、炭素数が1〜4のアルコシキル基、例えばメトキシ基、エトキシ基であることが好ましい。また、段階bでは、トリアルコキシシラン、テトラアルコキシシランの中でも、炭素数1〜4のアルコシキル基を有するテトラアルコキシシランを使用することが好ましく、より好ましくはテトラメトキシシランである。脱水、縮合反応が速く均一な構造を有する製品となるからである。 【0028】本発明の段階aにおいて、ビニルイミダゾールと[3−(メタクリロキシ)プロピル]トリメトキシシランとは、[3−(メタクリロキシ)プロピル]トリメトキシシランに対するビニルイミダゾールのモル比が99:1〜80:20の範囲で使用することが好ましく、特に好ましくは、95:5である。得られた共重合体が段階bで溶解し、この結果、均一な構造を有する製品を得ることができるからである。 【0029】そして共重合反応は、ラジカル開始剤の存在下に行うことが好ましく、該ラジカル開始剤としては、公知のラジカル開始剤のいずれをも使用することができるが、なかでもアゾイソブチロニトリルを使用することが好ましい。 【0030】本発明において、段階bでは、テトラメトキシシランと段階aで得た上記式(1)で示される化合物とを、質量比10:90〜90:10、特には質量比35:65〜10:90の範囲で添加することが好ましい。 【0031】また、段階bにおいて、水とテトラアルコキシシランとのモル比は、3:1〜10:1の範囲であることが好まれ、また、段階bでは、酸を水に触媒として添加することができ、その酸の濃度は水と酸との合計量の1〜5質量%に調整する。なお、酸としては、塩酸を使用することが好ましい。反応速度が速いからである。 【0032】段階aで使用する有機溶媒(i)や段階bで使用する有機溶媒(ii)としては、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、テトラヒドロフラン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルスルホキシド、m−クレゾール、ピリジン、メチルクロライドおよびエチルクロライドからなる群から選ばれる少なくとも1種を使用することができる。これらは、1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。本発明では、有機溶媒(i)と有機溶媒(ii)とが共にテトラヒドロフランであることが好ましい。 【0033】本発明は、ゾルゲル法を使用し、上記式(1)で示すPVIに水とテトラメトキシシラン(TMOSとも称す。)とを反応させることによってPVIとシリカ(SiO2)とのハイブリッドであるPVI−シリカハイブリッドを製造するものであり、上記式(1)で示すPVIは、ビニルイミダゾールと[3−(メタクリロイル)プロピル]トリメトキシシラン(MSMA)との共重合によって製造できる。シリカ質量の異なるPVI−シリカハイブリッドはTMOSの配合量を変えることによって容易に調製することができる。このハイブリッドの構造と特性とは、IR、29Si−NMR、13C−NMR、示差走査熱分析(DSC)および熱重量分析(TGA)によって確認することができる。また、ハイブリッド水和物に結合するPVIの分解や吸収水の活性化エネルギー(Ea)の算出はバン−クレベレン法による。 【0034】 【実施例】以下、本発明の実施例により具体的に説明する。 【0035】実施例1:PVI−シリカハイブリッドの製造図13のスキーム1に従って、PVI−シリカハイブリッドを製造した。まず、ビニルイミダゾール95ミリモル(8.9414g)と[3−(メタクリロキシ)プロピル]トリメトキシシラン(MSMA)5ミリモル(1.2418g)、AIBN0.1ミリモルおよびテトラヒドロフラン(THF)70mlとをフラスコに仕込み、温度68℃、窒素雰囲気下に撹拌して10時間で共重合させ、5モル%のトリアルコキシル基を含むポリビニルイミダゾール(M5と称す)を得た。その後、これに適量のTHFと3.9601gのTMOS、濃度1質量%の塩酸溶液2.87097gとを加えて、室温で10時間強く撹拌し、縮合反応を行った。これに過量のn−へキサンを添加して反応生成物を沈殿させた。沈殿を瀘過して集め、THFで洗浄し、大気圧下で室温で24時間乾燥し、更に24時間、真空オーブン内で60℃で乾燥させた。これによって、65質量%のM5と35質量%のTMOSとで構成されるハイブリッド(M5−65と称す)を得た。TMOSの仕込み量を変えることで、M5の質量%がそれぞれ90質量%、85質量%、80質量%、75質量%および70質量%である、ハイブリッド、M5−90、M5−85、M5−80、M5−75、M5−70を得た。 【0036】実施例2:PVI−シリカハイブリッドの分析PVI−SiO2ハイブリッドとKBrとを塩フレークとし、IRスペクトラム ボーメン DA3.002を使用してその重合反応の同定を行った。また、干渉偏波およびCP/MAS法によるPVI−SiO2ハイブリッドの29Si−NMRスペクトルと13C−NMRスペクトルの定量を、ブルカー MSL−400核磁気共鳴装置を使用して行った。スピン構造(TH1ρ)におけるプロトンによって要求される自己スピン‐格子緩和時間は、干渉偏波後に次々と発生する1H−τロッキングパルスの自己スピンを用いて測定した。1H90°パルスの幅は、4.5μ秒であった。干渉偏波の接触時間は、2ミリ秒であった。TH1ρの遅延時間は、0.1〜10ミリ秒であった。TiとQiとは、グラサーらによって命名され、TiとQiとは個々に、有機側鎖ラジカルの有無を示し、「i」はSi原子に結合する−O−Si基の数を示す。TiとQiとの相対含量は、実験的スペクトルデータからの算出によって得ることができる。示差走査熱分析は、パーキンエルマー7シリーズを用いて測定し、10℃/分の走査速度で窒素中で8mgの試料を用いて行った。このハイブリッドの熱分解の特性と動力学とは、パーキンエルマー TGA−2を用いて、窒素中、空気中で個々に10℃/分の加熱速度で測定した。試料は10mgを使用し、ガスの流速は100ml/分とした。 【0037】結果:共重合体M5、M5−90、M5−85、M5−80、M5−75およびM5−65のIRスペクトルを図1に示す。M5のIRスペクトル(A曲線)は、3410cm-1(O−H),3700〜2800cm-1(O−H間の水素結合と残存水),3110cm-1(C=C−H/N=C−H),1496cm-1(C=C/C=N),1227cm-1(環),660cm-1(ツイストストレッチング),1711cm-1(C=O),1282cm-1(MSMAのエステルの吸収),1080cm-1(Si−O−CH3)に吸収ピークが存在した。全てのハイブリッドは、図1の曲線B〜Fで示すようにビニルイミダゾールの4つの特徴的ピーク(3110,1496,1227および660cm-1)と、MSMAの2つの特徴的ピークとを有した(1711および1648cm-1)。一方、完全構造における欠陥としてSi−OH伸縮振動(950cm-1)が観察された。使用したTMOS量が増加すると、イミダゾールのピーク(1496cm-1)強度に対してSi−O−Si(1100−1000cm-1)のピーク強度が増加する。これは、3次元Si−O−Si構造が共重合体と加水分解されたTMOSとの架橋によるものであることを示す。 【0038】M5−85ハイブリッドの13C−NMRスペクトルを図2に示す。吸収ピーク138、131および117ppmはポリイミダゾール部におけるイミダゾール環を示し、177,70,24,18および10ppmの吸収ピークはMSMA部の吸収ピークを示す。更に、吸収ピーク55および46ppmとは、2つの反応モノマーの重複によるものである。仮にスピン欠損モデルがTH1ρの測定に利用されるなら、M5共重合体のイミダゾール環のTH1ρ値(〜7.0ms)はPVIポリマーのイミダゾール環のTH1ρ値(〜7.4ms)と一致する。PVI−SiO2ハイブリッドのイミダゾール環のTH1ρは3.2ms以下であり、M5共重合体のそれよりも低い値を示す。この結果は、M5共重合体とシリカ間の化学的結合の形成を立証するものである。 【0039】図3は、それぞれT2,T3,Q3およびQ4の吸収位置を示す−57、−66、−100、−108ppmの4つのピークを有するM5−80ハイブリッドのMASスペクトルの励起した29Si単パルスを示す。更に、−49と−91ppmは、T1とQ2の吸収ピークを示す。同様にしてM5−90,M5−85,M5−80、M5−75,M5−70,M5−65のTi強度に対するQi強度の比を比較すると、TMOS量の増加に従ってその比が増加することが図4からわかる。これは、3次元シリカ構造は使用するTMOS量を増加させることを示すものである。 【0040】図5と図6は、窒素中のM5共重合体とM5−80ハイブリッドの第1および第2示差走査熱分析データである。M5共重合体の第1示差走査熱分析スキャンは、最初の20〜140℃の発熱ピークの中に水の蒸発による90℃における最も高いピークを有している。M5共重合体の第2示差走査熱分析スキャンでは172℃のガラス転移点を示し、加熱段階での水の蒸発がSiOHの架橋反応を生ずることを示している。M5−80ハイブリッドの第1示差走査熱分析スキャンは85℃での発熱ピークを示し、120℃の吸熱ピークに続く。この吸熱ピークはシリカ表面の残存水の除去を示している。これは、酸によって触媒されたゾルゲル反応でシリカ表面上にSi−OH基が広げられたことを示す。M5−80ハイブリッドの第2示差走査熱分析スキャンは、そのTg(178°C)がM5共重合体のTgよりも高温であることを示す。このシフトは、M5共重合体の側鎖が、シリカとのしっかりした結合の形成を示している。 【0041】図7と図8は、窒素雰囲気下でのM5−80ハイブリッドの熱重量分析(TGA)と別の示差走査熱分析(DTG)の結果である。図8のDTGの結果には、3つの熱分解が示されている。各ピーク温度は、シュミレーションカーブから算出した。T1mとT2mとは、第1熱分解と第2熱分解における質量損失の最大速度の温度であり、それぞれ115℃と330℃である(図8、曲線A)。この値は、大気やシリカ濃度と実質的に独立したものである。図7において窒素中の第1ステージのM5−80の質量損失と質量損失速度(曲線A)は、実質的に空気中におけるもの(曲線B)と同じである。しかしながら、窒素中の第1ステージの脱水M5−80の質量損失と質量損失速度(曲線C)は、異なる。脱水後、窒素中の脱水ハイブリッドのT1m値は、およそ130℃である。それゆえ、未脱水ハイブリッドの質量損失に関する最も不安定な段階は、脱水である。脱水はイミダゾール基の近傍で生ずるのみでなく、酸性Si−OHの表面でも生じる。これは示差走査熱分析データと符号する。長い側鎖を有する高分子は天井温度が低く、ラジカル熱分解しやすい。それゆえ、200℃と300℃の間の質量損失は、エステル結合の分解に基づくものであり、300℃と580℃の間は、PVI結合の開裂によるものである。図7の第3段階(>580℃)は、OH基の濃縮反応である。 【0042】熱分解数「n」は、キッシンジャー公式によって定量した。熱分解(脱水)の第1段のn値、すなわちn1に関して、未脱水ハイブリッドのn1値は約1.0であり、大気の種類と無関係であり、脱水ハイブリッドでは約1.60である。n1値が高いことは、第1段熱分解が酸性シリカの表面から水を除去することを示す。更に、PVIの熱分解n値(n2)は、脱水と無関係であり、その値は、1.72である。熱分解の程度、α、は、全質量損失に対する実際の質量損失の比で定義される。この熱分解率g(α)は、n≠1である場合に、g(α)=〔1−(1−α)1-n〕/(1−n)である。熱分解の全活性エネルギー、Eaは、クレベレン法によって算出する。n≠1の場合に、Lng(α)=ln[A(0.368/Tmax)x/q(x+1)+(x+1)]LnTで示され、n=1の場合には、ln[−ln(1−α)]=(x+1)LnTとなる。ここにおいて、g(α),A,T,qおよびXは、熱分解速度の積分、指数係数、温度、熱速度を示し、XはEa/RTmaxである。この活性エネルギーを図9と図10に示し、これらはLng(α)対LnTのプロットから算出することができる。 【0043】図11は、窒素および空気下に試験したM5−90,M5−85,M5−80,M5−75,M5−70、M5−65の未脱水ハイブリッドの全熱分解活性の第1段エネルギー(Ea1)と第2段エネルギー(Ea2)を示し、それぞれの化合物の空気下で測定したEa1とEa2を、黒三角と白三角でそれぞれ示す。図12は、窒素下に試験した各脱水ハイブリッドの全熱分解活性の第1段エネルギー(Ea1)と第2段エネルギー(Ea2)を示し、窒素下で測定したEa1とEa2を、黒四角と白四角でそれぞれ示す。完全に脱水されていないハイブリッドの平均Ea1と平均Ea2とは、図11に示すようにそれぞれ55と35kJ/molであり、これらはそれぞれ水の脱水とPVI共重合体の分解である。TMOS含有量が20質量%以上である場合に、Ea1とEa2値はそれぞれシリカ含量と相対的に独立している。一方、脱水ハイブリッドのEa1とEa2値(図12)は、未脱水ハイブリッド(図11)のこれらの値よりも約10kJ/mol高い値である。脱水ハイブリッドの活性エネルギーは、典型的な水素結合力(〜50kJ/mole)よりも高い。これらは、酸性表面を有するSiOHが、吸収した水分子と反応し、部分的にSiO-……H3O+様式を形成することを示す。このSiO-……H3O+の双極子は、吸収した水の増加に従って減少する脱水の活性エネルギーを生ずる。脱水ハイブリッドのEa1値が高いことは、吸収された水がより少ないことと相関する。しかし、この脱水ハイブリッドのEa2値は、シリカ含量の増加に従って、減少する。この結果は、シリカがPVI結合の開裂を促進する可能性を示唆する。 【0044】結論PVI−シリカハイブリッドは、ビニルイミダゾールとMSMAのラジカル付加反応およびゾルゲル法によるTMOSとのハイブリッドによって製造できる。IR、29Si−NMR,13C−NMRおよび示差走査熱分析によって、シリカとPVIとの間の化学的結合の存在が確認された。更に、TMOSの含有量が増加すると、3次元シリカネットワークがハイブリッドの中で形成される。ハイブリッドのPVI結合の開裂と脱水の全活性エネルギーEaとは、クレバレン法によって算出できる。未脱水ハイブリッドの脱水に関する平均Ea値と、脱水ハイブリッドの平均Ea値とは、それぞれ55と63kJ/molであった。不完全ハイブリッドのSiO-……H3O+双極子に由来する水分子間の強い反発力によって、前者は後者と比較して脱水の平均Ea値が低い。未脱水ハイブリッドにおいて、PVI結合の開裂のEa値は、約35kJ/molであり、脱水ハイブリッドの場合にはこれが47kJ/molである。後者においてこの値が高いということは、ハイブリッドのT3構造がより多いということである。 【0045】 【発明の効果】本発明によれば、PVIとシリカとが共有結合されたハイブリッドの製造方法が提供され、該方法によれば熱安定性に優れるハイブリッドPVI−シリカを得ることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】599079676 【氏名又は名称】国防部中山科学研究院
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| 【出願日】 |
平成12年11月29日(2000.11.29) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100072349 【弁理士】 【氏名又は名称】八田 幹雄 (外4名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−173534(P2002−173534A) |
| 【公開日】 |
平成14年6月21日(2002.6.21) |
| 【出願番号】 |
特願2000−363595(P2000−363595) |
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