| 【発明の名称】 |
芳香族ポリカーボネートの製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】宮本 正昭
【氏名】久間 清次
【氏名】兵頭 成俊
【氏名】藤本 英司
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| 【要約】 |
【課題】物性及び色相に優れた芳香族ポリカーボネートを、従来に比して簡素化した工程により製造する。
【解決手段】芳香族ポリカーボネートの製造において、以下の1)〜3)工程を有することを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 芳香族ポリカーボネートの製造において、以下の1)〜3)工程を有することを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法。 1)酸性触媒の存在下、フェノールとアセトンを反応させて、フェノールの一部をビスフェノールAに変換し、ビスフェノールA/フェノール組成物を得る工程2)液状で溶融保持したビスフェノールA/フェノール組成物を、芳香族ポリカーボネート製造工程に供給する工程3)ビスフェノールAとカーボネート原料を重合反応させて芳香族ポリカーボネートを製造する工程【請求項2】 カーボネート原料が炭酸ジエステル又はホスゲンであることを特徴とする請求項1記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。 【請求項3】 炭酸ジエステルとビスフェノールAを重合反応させて芳香族ポリカーボネートを製造する際に副生するモノヒドロキシ化合物を炭酸ジエステルの製造原料として再使用することを特徴とする請求項2に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。 【請求項4】 カーボネート原料の炭酸ジエステルとしてジフェニルカーボネートを用い、ビスフェノールAと重合反応させて芳香族ポリカーボネートを製造する3)工程で副生するフェノールをビスフェノールAの製造原料として1)工程にリサイクルすることを特徴とする請求項1又は2に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。 【請求項5】 液状溶融保持したビスフェノールA/フェノール組成物は、ビスフェノールA/フェノールの割合が95/5〜5/95(重量比)であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。 【請求項6】 液状溶融保持したビスフェノールA/フェノール組成物よりフェノールを除去してビスフェノールAを単離し、続いてビスフェノールAとカーボネート原料を重合反応させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。 【請求項7】 重合反応に供するビスフェノールA中の4−イソプロペニルフェノール含有量が1000ppm未満であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。 【請求項8】 ビスフェノールA/フェノール組成物を160℃以下で液状溶融保持することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。 【請求項9】 ビスフェノールA/フェノール組成物を40℃以上で液状溶融保持することを特徴とする請求項8に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。 【請求項10】 カーボネート原料が炭酸ジエステルであり、ビスフェノールAと炭酸ジエステルとの重合反応が溶融法であることを特徴とする請求項1に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。 【請求項11】カーボネート原料がホスゲンであり、ビスフェノールAとホスゲンとの重合反応が界面法であることを特徴とする請求項1に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、品質の優れた芳香族ポリカーボネートをより効率的に得るための製造プロセスに関するものである。詳しくは、本発明は、芳香族ポリカーボネートの固有の物性はもとより、色相も改良された成型品を形成し得る芳香族ポリカーボネートの製造方法であって、その原料ビスフェノールAの精製工程が簡素化された芳香族ポリカーボネートの製造方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】ビスフェノールAを原料に用いる芳香族ポリカーボネート(以下、単にポリカーボネートと称することもある。)の製造法において、原料ビスフェノールを溶融状態で保持しようとした場合、ビスフェノールA単体の融点(158℃)が高いため、溶融状態を保持するためにはより高い温度を採用する必要がある。しかし、高温下に溶融状態を数時間保持すると原料ビスフェノールAが着色し始め、これをポリカーボネートの原料として使用すると得られた製品の色調が悪化し、普通のポリカーボネート製品としては使用に耐えないものとなっていた。そこで、従来よりビスフェノールAは単体で固形化した粉体として保持されるのが常であった。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、固形化したビスフェノールAは、粉体の取り扱いになり、その性状によっては、装置配管等を閉塞し易いものとなったり、又アルカリ水溶液等への溶解に支障を来すなど様々な影響を及ぼすことが判っており、閉塞が少なく、溶解し易い形状であるプリル形状を維持する工夫が種々施されている。それでも連続的操業を一年間継続することは困難で、何ヶ月に一回はコンベアー等の装置の洗浄のために運転停止を余儀なくされ、相当の生産ロスを生ずるのが実情であった。 【0004】この問題を解決する最短の手段は、ビスフェノールAを固形化せず、溶融状態で保持し、重合に供することであるが、上記した通りビスフェノールA単体が高融点であることから、溶融状態を保持するためにはより高温を適用しなければならない。しかし、高温下で溶融状態を保持した場合、数時間で4−イソプロペニルフェノール(下記式(1)で表される化合物)が生成し、原料ビスフェノールAが着色を始め、これを原料として製造したポリカーボネートは色調が悪化し、製品としての要件を満足し得なかった。そのため、ポリカーボネート原料としてのビスフェノールAの熱安定性の改良が強く切望されていた。 【0005】 【化1】
【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、4−イソプロペニルフェノールの生成を押さえた高い純度のビスフェノールAを原料とする高品質のポリカーボネートの製造法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、ビスフェノールAの製造からポリカーボネートの製造に亘って、従来のビスフェノールの冷却固化及び加熱溶融に供されるエネルギーを低減することが可能なポリカーボネートの製造法を提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記の如く、ビスフェノールAを溶融状態で保持するためには高温を必要とし、高温下での保持が熱分解をもたらし、式(1)で表される4−イソプロペニルフェノールを生成し着色の誘因となる。そこで、原料ビスフェノールAの溶融状態での熱安定性を改良するためには、保持温度を低下させる、つまりビスフェノールAの融点を下げることが最も有効な手段であることを知得した。 【0008】本発明者らはビスフェノールAの融点を下げることに関し鋭意検討したところ、ビスフェノールAとフェノールとの組成物では、溶融温度がビスフェノールA単体よりも低くなり、例えば、ビスフェノールAとフェノールの付加物結晶(以下、単に「アダクト」と言うこともある)=7/3(重量比)では融点が120℃であることを見出した。そして、ビスフェノールAをフェノールとの組成物として溶融保持すれば、融体での数日間の保持も可能であり、こうして溶融保持したビスフェノールAをポリカーボネートの製造に使用すれば、保持を経ない新ビスフェノールAを使用したポリカーボネートと遜色ない製品が得られることが判った。 【0009】すなわち、本発明の要旨は、芳香族ポリカーボネートの製造において、以下の1)〜3)工程を有することを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法に存する。 1)酸性触媒の存在下、フェノールとアセトンを反応させて、フェノールの一部をビスフェノールAに変換し、ビスフェノールA/フェノール組成物を得る工程2)液状で溶融保持したビスフェノールA/フェノール組成物を、芳香族ポリカーボネート製造工程に供給する工程3)ビスフェノールAとカーボネート原料を重合反応させて芳香族ポリカーボネートを製造する工程【0010】 【発明の実施の形態】以下、本発明について具体的に説明する。本発明の芳香族ポリカーボネートの製造方法は、少なくとも1)ビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン)を製造する工程、2)ビスフェノールA/フェノール組成物を溶融保持する工程、3)芳香族ポリカーボネートを製造する工程を有する。 【0011】本発明の高品質の芳香族ポリカーボネートの製造には、ビスフェノール類から芳香族ポリカーボネートを製造する公知の方法、例えば、原料炭酸ジエステルとビスフェノール類とのエステル交換反応による溶融法(エステル交換法)、或いはビスフェノール類とホスゲンとの反応による界面法(ホスゲン法)のいずれでも採用することができる。 【0012】本発明における上記1)の工程であるビスフェノールAの製造工程は、特に限定されないが、通常、フェノールとアセトンとを強酸性陽イオン交換樹脂などの酸性触媒の存在下で反応させることにより製造され、その後精製してビスフェノールA/フェノール組成物として得られる。ビスフェノールAの製造反応におけるフェノールとアセトンの量比(モル比)としては、通常8:1〜20:1であり、好ましくは10:1〜18:1である。反応温度としては、通常50〜90℃である。フェノールとアセトンとの反応により、フェノールの少なくとも一部がビスフェノールAに変換される結果、反応混合物には通常ビスフェノールA、フェノール、アセトン、反応中副生する水が含まれる。 【0013】本発明においては、ビスフェノールAを含む上記反応混合物から、適当な方法で精製してビスフェノールA/フェノール組成物を得る。精製方法としては、例えば、未反応アセトン、反応副生水等の低沸点物を除去した後、これを冷却してビスフェノールAとフェノールとの1:1(モル比)アダクト(以下、単にアダクトと称することがある)を析出させ、この結晶を母液と分離し精製する。精製後のアダクトをそのまま、或いはフェノールの添加又はアダクトの一部のフェノールを減圧蒸留等により留去するなどしてビスフェノールAとフェノールとを所望範囲の組成物に調整した後、溶融状態でストックタンクに保持する。 【0014】ビスフェノールA/フェノール組成物中の各成分の割合としては、ビスフェノールA/フェノール=95/5〜5/95(重量比)の範囲である。好ましくは、ビスフェノールA/フェノールは、90/10以下であり、更に好ましくは、70/30以下であり、特に好ましくは65/35以下である。また、好ましくは10/90以上であり、更に好ましくは40/60以上であり、特に好ましくは50/50以上である。組成物中のビスフェノールA/フェノールの値が上記範囲より著しく小さいとポリカーボネートの生産性が低くなる傾向にあり、また、上記範囲より著しく大きいと組成物の溶融温度が高くなって溶融保持の際に4−イソプロペニルフェノールが生成しやすくなる。 【0015】このようなビスフェノールAの製造方法において、回収されるビスフェノールAの純度は、そのアダクトの純度に大きく依存し、高純度のアダクトの製造方法が要求される。このため、複数段の晶析工程を、その中間にアダクトの分離工程と高純度フェノールで再溶解する工程を介して結合した、一連の晶析工程により処理される方法が知られている。本発明に用いられるビスフェノールAは、上記方法により製造されたものが使用できるが、適宜晶析工程を経ても良く、特に限定されたものではない。 【0016】ビスフェノールAに含まれる原料由来又はビスフェノールA由来の不純物は、ビスフェノールA誘導体、ビスフェノールA異性体、クロマン系有機化合物およびトリスフェノール類等があり、典型的な化合物としては下記式(2)〜(5)のものが挙げられる。これら不純物の総含有量としては、一般的には、数百ppm〜1000ppm程度含有されており、その含有量は低ければ低い程好ましいのは当然と言えるが、精製度合いと歩留まりのバランスから数百ppm程度の含有であれば通常の製品としてのポリカーボネートの品質を保持することができる。 【0017】 【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【0018】このようなビスフェノールA中に含まれる不純物であるビスフェノールA誘導体、ビスフェノールA異性体、クロマン系有機化合物およびトリスフェノール類の総含有量は、精製することによって低減可能である。不純物の中でも上記式(1)で表される4−イソプロペニルフェノールの様に不飽和官能基を有するものは、製品のポリカーボネートの色調に与える影響が大きく、着色し易いので、その含有量は出来るだけ減少させることが好ましいが、この化合物は精製後のビスフェノールA単体を溶融保持している段階でも生成してくるので、ビスフェノールA融体の保持条件は極めて重要で注意を要する。4−イソプロペニルフェノールの含有量としては、少ないに越したことはないが、溶融保持した場合にはゼロにすることは困難で、モノフェノールとして生成ポリカーボネートの分子量に影響を与えず、且つオレフィンとして副反応に関与しない程度として1000ppm以下、好ましくは500ppm以下、更に好ましくは、200ppm以下程度である。 【0019】次に、本発明の上記2)の工程であるビスフェノールA/フェノール組成物を溶融保持する工程は、上述のビスフェノールAの製造工程後、ビスフェノールAとフェノールとを適切な割合に調整した組成物となし、液状の溶融状態とした時点から、ビスフェノールAを原料として用いる重合工程(ポリカーボネートの製造工程)へ該組成物を液状溶融組成物で供給するまでの間の工程における一部または全部の工程を指すものである。 【0020】本発明では、4−イソプロペニルフェノールの含有量が少ないビスフェノールAを得るために、ビスフェノールAの溶融保持を、特定の条件下、即ち、フェノールとの特定の組成比で構成される組成物として所定の温度で行うことが重要である。ビスフェノールAを溶融保持する上で安定な組成(重量比)と保持温度としては、ビスフェノールA/フェノール=95/5〜5/95、その時の保持温度として、160℃〜40℃、より安定な組成として70/30〜40/60、その時の保持温度として、130℃〜100℃、更に安定な組成として65/35〜50/50、その時の保持温度として、120℃〜105℃である。最も好ましい組成は、組成そのものが工程簡素化に好都合である、ビスフェノールA/フェノール=65/35〜55/45で、その時の保持温度として、120℃〜105℃である。 【0021】保持時間は、ビスフェノールAの劣化反応速度が温度と時間の関数であるため、短い方が好ましい。しかし、工業的には数時間〜数十時間の滞留は避けられず、この程度の時間で影響がないことが必須となる。更に具体的には、保持温度が120℃〜105℃の場合には好ましくは72時間以下、更に好ましくは48時間以下であり、保持温度が130℃〜105℃の場合には好ましくは48時間以下、更に好ましくは36時間以下であり、保持温度が160℃〜105℃の場合には好ましくは36時間以下、更に好ましくは24時間以下である。 【0022】溶融状態のビスフェノールA/フェノール組成物は、固化することなく液状のまま配管若しくはタンクローリー等で次ぎの重合工程へ供給される。溶融組成物は重合反応装置に直接供給してもよく、重合反応装置の前段に設けられた原料調整槽に供給し、ここで予めカーボネート原料及び/または溶媒等と混合して、次の重合反応装置に供給しても良い。また、この組成物はそのまま重合に使用することも可能であるが、重合直前に減圧蒸留等の操作によりフェノールを除去して大部分がビスフェノールAである融体、好ましくは99%以上がビスフェノールAである融体とし、この溶融状態のビスフェノールAを原料調整槽に送り、重合工程に入るのが好ましい。 【0023】ビスフェノールA中のフェノールを除去した後に原料調整槽に送る場合、ビスフェノールAの含有率が高くなると溶融温度も高くなり、融体として保持するには温度を高くする必要があるが、この段階で4−イソプロペニルフェノールが生成しやすいので、ビスフェノールA単体として溶融保持する時間は出来るだけ短い方がよく、好ましくは12時間以下であり、更に好ましくは6時間以下であり、特に好ましくは4時間以下である。 【0024】該ビスフェノールA/フェノール組成物の溶融保持条件としては、当然窒素等イナートガス下の環境が好ましい。特に、酸素濃度はできるだけ低い雰囲気が好ましく、通常、酸素濃度0.005vol%以下、好ましくは0.001vol%以下の雰囲気の使用が有利である。容器の材質としても一般的なオーステナイト系ステンレス程度の材質が好ましい。なお、本発明は、ビスフェノールA/フェノール組成物を溶融保持する工程において、その工程の間で一時的に組成物が固化した状態になる場合を除外するものではなく、例えば、タンクローリー等で輸送中に組成物の一部が固化しても、タンクローリーから次ぎの重合工程へ供給する時点で加熱して再溶融することも可能である。しかしながら、固化した後の再加熱はエネルギーと時間の負担となるので、好ましくは溶融保持の工程のほぼ全工程の間に亘って溶融状態を保持するのが好ましい。 【0025】次に、本発明における上記3)の工程であるポリカーボネートの製造工程について説明する。ポリカーボネートの製造工程の好ましい実施態様は、溶融保持して供給されたビスフェノールA/フェノール組成物から、減圧蒸留等によりフェノールを留去してほぼビスフェノールAの融体とし、これを重合反応に供するものである。ビスフェノールA中に残留するフェノール含有量としては、少ないに越したことはないが、ビスフェノールAを固形化して粉体を得る時の様に特別にppmオーダーまで下げる必要はなく、後記するポリカーボネートの製造条件に影響しないレベル、モノフェノールとして生成ポリカーボネートの分子量に影響を与えず、カーボネート原料との供給比に影響しない程度として、通常数%以下、好ましくは数千ppm以下、更に好ましくは数百ppm以下程度である。 【0026】蒸発装置としては、蒸留塔やストリッピング装置、充填塔、薄膜蒸発器等が用いられ、その使用に先立ち、機器表面から酸素を除去する処理を施して用いるのが好ましい。蒸発装置は1段又は多段で用いることができるが、その操作条件としては、1段で用いる場合にはその1段の蒸発装置及び多段で用いる場合にはその最終段の蒸発装置の操作条件として、温度:150〜220℃、好ましくは170〜200℃、圧力:100Torr以下、好ましくは40Torr以下、雰囲気中酸素濃度:0.005vol%以下、好ましくは0.001vol%以下の条件が採用される。また、蒸発器の下部よりスチームを吹き込み、水蒸気蒸留(スチームストリッピング)を行うことも有効である。 【0027】該ビスフェノールA/フェノールの溶融組成物からフェノールを留去して得られたビスフェノールA融体は、採用される重合方法に従い、引き続いて、ジフェニルカーボネート等の炭酸ジエステルと混合される(溶融法)か、アルカリ水溶液及びホスゲンと混合することにより、次の重合工程に入る。一方、留去したフェノールは場合により精製を施した後、ビスフェノールAの製造原料としてリサイクルしたり、炭酸ジエステル、特にジフェニルカーボネートの製造原料として再利用することも可能である。 【0028】本発明に用いられるポリカーボネート製造法においては、溶融法(エステル交換法)と界面法(ホスゲン法)とがある。溶融法(エステル交換法)ポリカーボネート製造法においては、カーボネート原料として炭酸ジエステルが用いられる。本発明で使用される炭酸ジエステルは下記の式(6)で表される。 【化6】
(式中A及びA’は炭素数1〜18の置換されていてもよい脂肪族基又は芳香族基であり、A及びA’は同一であっても異なっていてもよい。) 【0029】上記式(6)で表される炭酸ジエステルは、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類、ジフェニルカーボネート、およびジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネート類などが例示されるが、好ましくはジフェニルカーボネート、置換ジフェニルカーボネート類であり、特にジフェニルカーボネートが好ましい。これらの炭酸ジエステルは単独、あるいは2種以上を混合して用いてもよい。本発明で使用される炭酸ジエステルの製造方法としては、種々の製造法が知られているが、特に限定されるものではない。例えば、アルカリ水溶液中でのモノヒドロキシ化合物の相界面ホスゲン化反応、触媒量の芳香族複素環式塩基性窒素化合物またはその塩の存在においてモノヒドロキシ化合物のホスゲン化反応、炭酸ジアルキルと芳香族モノヒドロキシ化合物のエステル交換反応等を採用することができる。 【0030】本発明で溶融法により芳香族ポリカーボネートを製造するには、ビスフェノールAと炭酸ジエステル、例えばジフェニルカーボネートが用いられ、ジフェニルカーボネートはビスフェノールA1モルに対して、1.01〜1.30モル、好ましくは1.02〜1.20モルの量で用いられることが好ましい。この量比で原料調整槽に融体のビスフェノールA及びジフェニルカーボネートを仕込み混合する。この組成物もビスフェノールAの融点を低下させるのに十分で、重合に供するような組成で約120℃まで融点低下することが判っている。従って、この混合物で溶融保持することも単独に比べ遥かに優位と言える。 【0031】溶融法(エステル交換法)により芳香族ポリカーボネートを製造する際には、通常エステル交換触媒が使用される。本発明で使用するエステル交換触媒としては、主として、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物が使用され、補助的に、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物あるいはアミン系化合物などの塩基性化合物を併用することも可能である。これらの触媒は、1種類で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。 【0032】触媒量としては、ビスフェノールA1モルに対して、1×10-9〜1×10-3モルの範囲で用いられるが、特に物性面や取り扱いの面で良好なアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類化合物では、ビスフェノールA1モルに対して1×10-8〜1×10-5モル、好ましくは2×10-8〜8×10-6モルの範囲で用いられる。この量より少なければ、所定の分子量、末端ヒドロキシル基量のポリカーボネートを製造するのに必要な重合活性が得られず、この量より多い場合は、ポリマー色相が悪化し、分岐が多くなる。 【0033】アルカリ金属化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸セシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸セシウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素セシウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、フェニル化ホウ素カリウム、フェニル化ホウ素リチウム、フェニル化ホウ素セシウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸セシウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、リン酸水素2セシウム、フェニルリン酸2ナトリウム、フェニルリン酸2カリウム、フェニルリン酸2リチウム、フェニルリン酸2セシウム、ナトリウム,カリウム,リチウム,セシウムのアルコレート,フェノレート、ビスフェノールAの2ナトリウム塩,2カリウム塩,2リチウム塩,2セシウム塩などが挙げられる。 【0034】また、アルカリ土類金属化合物としては、例えば、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ストロンチウムなどが挙げられる。 【0035】塩基性ホウ素化合物の具体例としては、テトラメチルホウ素、テトラエチルホウ素、テトラプロピルホウ素、テトラブチルホウ素、トリメチルエチルホウ素、トリメチルベンジルホウ素、トリメチルフェニルホウ素、トリエチルメチルホウ素、トリエチルベンジルホウ素、トリエチルフェニルホウ素、トリブチルベンジルホウ素、トリブチルフェニルホウ素、テトラフェニルホウ素、ベンジルトリフェニルホウ素、メチルトリフェニルホウ素、ブチルトリフェニルホウ素などの水酸化物が挙げられる。 【0036】塩基性リン化合物としては、例えば、トリエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、あるいは四級ホスホニウム塩などが挙げられる。 【0037】塩基性アンモニウム化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシドなどが挙げられる。 【0038】アミン系化合物としては、例えば、4−アミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキノリンなどが挙げられる。 【0039】エステル交換反応は一般には二段階以上の多段工程で実施される。具体的には、第1段目の反応は減圧下に120〜260℃、好ましくは180〜240℃の温度で0.1〜5時間、好ましくは0.1〜3時間反応させる。ついで、反応系の減圧度を上げながら反応温度を高め、最終的には1mmHg以下の減圧下、240〜320℃の温度で重縮合反応を行う。反応の形式は、バッチ式、連続式、あるいはバッチ式と連続式の組み合わせのいずれの反応でもよく、使用する装置は、槽型、管型、あるいは塔型のいずれの形式であってもよい。重縮合反応後に得られるポリカーボネートの粘度平均分子量(Mv)は、通常10,000〜100,000程度である。エステル交換反応で副生したモノヒドロキシ化合物は、場合により蒸留等による精製を施した後、前記した炭酸ジエステルの製造原料として再使用してもよい。使用する炭酸ジエステルがジフェニルカーボネートの場合は、重合で副生するモノヒドロキシ化合物はフェノールであり、場合により蒸留等による精製を施した後、炭酸ジエステルの製造原料の他ビスフェノールAの製造原料として上記工程1)にリサイクルすることも可能である。 【0040】次に、界面法(ホスゲン法)ポリカーボネートの製造法においては、カーボネート原料としてホスゲンが用いられる。界面法は、通常、ビスフェノールAとホスゲンとをアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物等の酸結合剤及び反応により生成したポリカーボネートの溶媒である不活性有機溶媒の存在下、要すれば縮合触媒の存在下に反応させるものであり、反応の際、必要に応じ、任意の連鎖停止剤及び/または分岐剤を加えることができる。適当な連鎖停止剤としては、種々のモノフェノール、例えば、通常のフェノールのほか、クミルフェノール、イソオクチルフェノール、p−t−ブチルフェノール及びp−クレゾールのようなC1〜C14のアルキルフェノール類並びにp−クロロフェノール及び2,4,6−トリブロモフェノールのようなハロゲン化フェノール類が挙げられる。なかでも、フェノール、クミルフェノール、イソオクチルフェノール及びp−t−ブチルフェノールが、好適な連鎖停止剤である。連鎖停止剤の使用量は、目的とするポリカーボネートの分子量によっても異なるが、通常、水相中のビスフェノールの量に対して、0.5〜10重量%の量で使用される。 【0041】使用される分岐剤としては、3個またはそれ以上の官能基を有する種々の化合物から選ぶことができる。適当な分岐剤としては、3個またはそれ以上のフェノール性ヒドロキシル基を有する化合物、例えば、2,4−ビス−(4−ヒドロキシフェニル−イソプロピル)−フェノール、2,6−ビス−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2,4−ヒドロキシフェニル)−プロパン及び1,4−ビス−(4,4’−ジヒドロキシトリフェニルメチル)−ベンゼンが挙げられる。また、3個の官能基を有する化合物としては、例えば、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、トリメシン酸、塩化シアヌル、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロキシインドール及び3,3−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロインドールを挙げることが出来る。これらの中でも、3個またはそれ以上のフェノール性ヒドロキシ基を持つ化合物が好適である。分岐剤の使用量は、目的とする分岐度によっても異なるが、通常、水相中のビスフェノールAの量に対し、0.05〜2モル%の量で使用される。 【0042】本発明方法における有機相は、反応温度及び反応圧力において、ホスゲン及びカーボネート・オリゴマー(以下、単にオリゴマーと略称する)やポリカーボネート等の反応生成物は溶解するが、水と相溶性を有しない、つまり水と溶液を形成しない任意の不活性有機溶媒を含むことが必要である。代表的な不活性有機溶媒としては、ヘキサン及びn−ヘプタンのような脂肪族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ジクロロプロパン及び1,2−ジクロロエチレンのような塩素化脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン及びキシレンのような芳香族炭化水素、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン及びクロロトルエンのような塩素化芳香族炭化水素、その他ニトロベンゼン及びアセトフェノンのような置換芳香族炭化水素が挙げられる。これらの中でも、特に塩素化された炭化水素、例えば塩化メチレンまたはクロロベンゼンが好適に使用される。これらの不活性有機溶媒は、単独であるいは他の溶媒との混合物として、使用することができる。 【0043】なお、クロロベンゼンを単独で使用する場合、クロロベンゼン中におけるポリカーボネートの技術的に有用な濃度を得るためには、反応及び洗浄の際に高い操作温度を使用する必要がある。また、工業的に重要なビスフェノールAをベースにしたポリカーボネートの製造における好適な溶媒の組合せは、塩化メチレンとトルエンとの混合物であるが、必要が有れば、本発明方法でも使用することができる。 【0044】本発明方法における水相は、水、ビスフェノールA及びアルカリ金属水酸化物の少なくとも3成分を含むことが必要である。水相中で、ビスフェノールAは、アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムと反応して、水溶性のアルカリ金属塩を生じる。従って、原料調整槽では予め調整されたアルカリ金属の水溶液中にビスフェノールA融体を徐々に仕込んでゆき、アルカリ金属塩を生成させる。水相中のビスフェノールAとアルカリ金属のモル比は、通常、1:1.8〜1:3.5が好ましく、更には1:2.0〜1:3.2が好ましい。このような水溶液を調製する際には、温度を20℃以上、好ましくは30〜40℃にすることが好ましいが、余り高いとビスフェノールAの酸化が起きるので、必要最低温度とし、かつ、窒素雰囲気で行うか、あるいは、ハイドロサルファイト等の還元剤を少量添加することが好ましい。 【0045】本発明方法においては、ホスゲンとの接触に先立って、水相と有機相の接触の際に縮合触媒を供給するが、場合により、縮合触媒の供給を、ホスゲンとの接触時に行ってもよい。縮合触媒としては、二相界面縮合法に使用されている、多くの縮重合触媒の中から任意に選択することができる。好適な縮重合触媒としては、例えば、トリアルキルアミン、N−エチルピロリドン、N−エチルピペリジン、N−エチルモルホリン、N−イソプロピルピペリジン及びN−イソプロピルモルフォリンが挙げられるが、特にトリエチルアミン及びN−エチルピペリジンが極めて好適である。 【0046】ホスゲンは、液状またはガス状で使用される。この原料ホスゲン中のCl2濃度は10ppm以下、好ましくは5ppm以下、さらに好ましくは1ppm以下である。原料ホスゲン中のCl2の除去方法は、活性炭等によるCl2の吸着除去や沸点差を利用した蒸留による分離除去等があり、いずれの方法で除去してもかまわない。但し、蒸留除去の場合は、除去オーダーが極めて低い数値である為相当の蒸留段数を要する点で不利であり、吸着除去の方が有利と言える。温度管理の観点からは、ホスゲンは液状であることが好ましく、特に吸着除去の場合液状が有利で、液状のまま反応に持ち込む場合、各反応温度において液状を保ち得る反応圧力が選択される。ホスゲンの好ましい使用量は、反応条件、特に反応温度及び水相中のビスフェノールAアルカリ金属塩の濃度によっても影響は受けるが、ビスフェノールA1モルに対するホスゲンのモル数で、通常1〜2、好ましくは1.05〜1.5である。この比が大きすぎると、未反応ホスゲンが多くなり経済性が極端に悪化する。一方、小さすぎると、CO基が不足し、適切な分子量伸長が行われなくなり好ましくない。 【0047】オリゴマーを得る段階での、有機相中のオリゴマーの濃度は、得られるオリゴマーが可溶な範囲であればよく、具体的には、10〜40重量%程度である。また、有機相の割合は、ビスフェノールAのアルカリ金属塩水溶液、即ち水相に対して0.2〜1.0(容積比)であることが好ましい。このような縮合条件下で得られる、オリゴマーの粘度平均分子量(Mv)は、通常500〜10,000程度、好ましくは1,600〜4,500であるが、この分子量に制限されない。 【0048】このようにして得られたオリゴマーは、常法に従い、重縮合条件下で、高分子のポリカーボネートとする。高分子化の為の重縮合反応は、次のような実施態様で行うのが好ましい。まず、このオリゴマーの溶存する有機相を水相から分離し、必要に応じ、前述の不活性有機溶媒を追加して、該オリゴマーの濃度を調整する。すなわち、重縮合反応後に得られる有機相中のポリカーボネートの濃度が、5〜30重量%となるように、溶媒の量が調整される。しかる後、新たに水及びアルカリ金属水酸化物を含む水相を加え、さらに重縮合条件を整えるために、好ましくは前述の縮合触媒を添加して、二相界面縮合法に従い、所期の重縮合を完結させる。重縮合時の有機相と水相の割合は、容積比で、有機相:水相=1:0.2〜1程度が好ましい。重縮合完結後、有機相は、残存するクロロホーメート基が0.01μeq/g以下になるまで、NaOHのようなアルカリで洗浄処理する。その後は、電解質が無くなるまで、更に有機相を洗浄し、最終的には有機相から適宜不活性有機溶媒を除去し、ポリカーボネートを分離する。このようにして得られるポリカーボネートの粘度平均分子量(Mv)は、通常10,000〜100,000程度である。 【0049】なお、本明細書において、粘度平均分子量(Mv)とは、オリゴマーまたはポリカーボネートの濃度(C)が0.6g/dlの塩化メチレン溶液を用いて、ウベローデ型粘度計により温度20℃で測定した比粘度(ηsp)から、下記の両式を用いて算出した値である。 【数1】ηsp/C=[η](1+0.28ηsp) [η]=1.23×10-4(Mv)0.83【0050】本発明方法で得られる芳香族ポリカーボネートには、これを反応器から分離する途中、またはこれを加工する前またはその間において、種々の添加剤、例えば安定剤、型抜き剤、燃焼遅延剤、帯電防止剤、充填剤、繊維、衝撃強度変性剤等の有効量を加えることができる。本発明方法で得られる高品質の芳香族ポリカーボネートは、通常10,000〜100,000の粘度平均分子量(Mv)を有し、しかも高温成形における熱安定性が著しく向上しているので、その成形品はポリカーボネート固有の優れた物性を有するだけでなく、着色の少ない優れた特性を有するものである。従って、従来品に比べ、その用途範囲を大きく拡大できる利点を有する。 【0051】本発明の芳香族ポリカーボネートはその優れた特性により、射出成形、押出成形などによって種々の成形品、例えばフィルム、糸、板等に加工することもできるし、種々の技術的分野、例えば電気部品または建築産業において、また照明器具用材料及び光学的機器材料、特に灯火のハウジング、光学レンズ、光学ディスク及びオーディオディスク等に使用される。 【0052】 【実施例】以下実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これら実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の%および部は、特に断らない限り重量%または重量部である。又下記の実施例において得られた芳香族ポリカーボネートの物性は以下のようにして測定した。 【0053】(1)色調(YI):[見本板の成形]実施例により得られたポリカーボネートペレットを、射出成形機(株式会社日本製鋼所、製品名JSW J75EII)を用い、360℃で可塑化後、シリンダー内で180秒滞留させ、厚さ3.2mm、60mm角の見本板を成形した。該成形で1ショット目と10ショット目の見本板のYIを測定し、その差(△YI)を熱安定性の尺度とした。 [色調の測定]上記見本板について、色差計(ミノルタ株式会社製、製品名CM−3700D)を用いて、色調(YI値)を測定した。測定値のうち、1ショット目のYI値が小さいのは、定常成型時の色調が良好であることを示し、1ショット目と10ショット目のYI値の差(ΔYI)が小さいのは、高温における熱安定性が良好であることを示す。 【0054】(2)ビスフェノールA中に含まれるビスフェノールA誘導体、ビスフェノールA異性体、クロマン系有機化合物およびトリスフェノールIの定量:カラムにWaters社製μ-Bondasphereを用い、高速液体クロマトグラフにて測定した。 【0055】(3)分岐度(MIR値):ポリカーボネートの分岐度は、21.6kg荷重でのMI(260℃)と2.16kg荷重でのMI(260℃)の比より算出した。 【数2】MIR=[MI(260/21.6)/MI(260/2.16)] 【0056】実施例1[ビスフェノールAの合成]フェノールとアセトンをスルホン酸基を有するイオン交換樹脂を充填したカラム型反応基にフェノール/アセトン=13モル比で通じ、入り温55℃、出温75℃の反応により、アセトン転化率=95%にてビスフェノールA反応液を得た。次に、前記反応液を蒸留処理し、未反応アセトン、反応副生水等の低沸点物を除去した後、外部冷却による50℃で晶析処理し、ビスフェノールAとフェノールとの付加物結晶(アダクト)を含むスラリーを得た。この結晶アダクトスラリーを106μmの目開きを有する濾布をセットした濾過機により、スラリー温度を50℃に保持しながら減圧濾過した後、得られた結晶アダクトケーキを、精製フェノールにより洗浄した。最終的に得たアダクトは、ビスフェノールA/フェノール=7/3(重量比)組成混合物であった。この段階でのアダクト中の不純物は、2,4−ビスフェノールA=84ppm、クロマン−1=5ppm、トリスフェノール=30ppmであり、4−イソプロペニルフェノールは検出されなかった。このアダクトを溶融状態で、表1に記載の温度及び時間の条件でストックタンク(SUS316製)に保持すべく、フェノールを加えて表1に記載の組成に調整した組成物を得た。その後、表1に記載の条件で常圧、窒素シール下にて溶融保持した後、組成物中に含まれる4−イソプロペニルフェノール(IPP)の含有量を測定した。その結果を表1に示す。 【0057】[エステル交換重縮合反応]上記の如くして得られた溶融保持後の組成物(ビスフェノールA/フェノール=50/50;重量比)を重合に供する目的で、3台の遠心薄膜蒸発器を用いて連続減圧蒸留(190℃、減圧度は最終残留フェノールが100ppm以下になるように設定)しフェノールを100ppm以下まで除去してビスフェノールA融体とした後、直ちに原料調整槽に仕込み、ジフェニルカーボネートと混合し(1/1.07:モル比)、130℃で保持した。この混合融体に、触媒として0.01N水酸化ナトリウム1ml(ビスフェノールA1モルに対して1μモル)を窒素下で仕込み、210℃/100mmHgで60分、240℃/15mmHgで60分、280℃/0.5mmHgで2時間、随時副生するフェノールを留去させながら重縮合反応を行うと粘度平均分子量20,000の芳香族ポリカーボネートが得られ、カッターで切断してペレットとした。このペレットを用い前記方法により見本板を成形し、色調を測定した。さらに260℃における分岐度(MIR値)を測定した。MIR値は高い程非ニュートン性の強い流れを表現し、分岐化が進んでいることを示すものである。結果を表1に示す。 【0058】実施例2〜6上記実施例1と同様にしてで調整したビスフェノールAとフェノールとの組成物(60/40:重量比)に関し、表1に示すビスフェノールA/フェノール比率一定で、保持温度と時間を変えて保持した以外は実施例1と同様にしてポリカーボネートを製造した。結果を表1に示す。 【0059】実施例7〜10ビスフェノールAとフェノールとの組成物に関し、上記実施例1に記載の組成物調整条件(例えば、フェノールの添加若しくは留去)を制御して得た表1に示すビスフェノールA/フェノール比率の組成物を、保持温度を変え、保持時間一定で保持した以外は実施例1と同様にしてポリカーボネートを製造した。結果を表1に示す。 【0060】実施例11上記実施例1において、重合時に留去して得たフェノールを以下の条件で連続蒸留し、精フェノールを得た。 1段目蒸留(軽沸カット):200Torr、還流比3,理論段4段2段目蒸留(高沸カット):25Torr、還流比0.3、理論段4段得られた精フェノールを用いて以下の条件によりジフェニルカーボネートを製造した。上記精フェノール716g/hr、ピリジン30g/hr、をそれぞれ第1反応器へ連続供給しながら、150℃へ昇温した。十分に撹拌を行いながら、供給されるフェノールに対し0.48モル比のホスゲン(361g/hr)を第1反応器へ連続供給した。第1反応器から流出した反応混合物は、オーバーフロー管を介して第2反応器へ供給し、第2反応器から流出した反応混合物は同様に第3反応器へ供給した。第3反応器から流出した反応混合物は、ポリプロピレン製の受器に抜き出した。第3反応器には、窒素ガスの吹き込み管を設置し、反応混合物中へ70Nリットル/hrの窒素ガスを連続供給した。 【0061】組成が十分に安定した後に抜き出した反応混合物(組成:ジフェニルカーボネート89重量%、フェノール6重量%、ピリジン塩酸塩5重量%、フェニルクロロフォーメート未検出)1kgを、オイル循環方式の外部加熱装置に接続されたジャケット付きガラス製反応器に入れ、85℃へ昇温した。85℃に加温しておいた濃度が5重量%の水酸化ナトリウム水溶液372gを添加して5分間撹拌後、30分間静置してから水相と有機相を別々に抜き出した。水酸化ナトリウム水溶液添加後のpHは9であった。抜き出した有機相を、再度、オイル循環方式の外部加熱装置に接続されたジャケット付きガラス製反応器内に入れ、85℃へ昇温した。85℃に加温しておいた脱塩水300gを添加して5分間撹拌後、5分間静置してから水相と有機相を別々に抜き出した。 【0062】分離した有機相を住友/スルザーラボパッキング(住友重機工業製)15個を充填したSUS304製の真空蒸留塔にて蒸留精製した。詳細には、真空度10〜20Torr、リボイラー温度約180℃、還流比1の蒸留条件にて、遊離型のピリジンとフェノールを留去した後、真空度10Torr、リボイラー温度約180℃、還流比0.5の蒸留条件にて、精製ジフェニルカーボネート750gを取得した。上記手法で得られたジフェニルカーボネートを実施例1に使用したジフェニルカーボネートの代わりに使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い芳香族ポリカーボネートを製造した。得られたポリカーボネートの品質は実施例1と遜色無いものであった。 【0063】実施例12上記実施例1において、重合時に留去して得たフェノールを以下の条件で連続蒸留し、精フェノールを得た。 1段目蒸留(軽沸カット):200Torr、還流比3,理論段4段2段目蒸留(高沸カット):25Torr、還流比0.3、理論段4段得られた精フェノールを用いて、ビスフェノールAを合成した。すなわち、上記手法で得られた精フェノールを実施例1の[ビスフェノールA合成]に使用したフェノールの代わりに使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い芳香族ポリカーボネートを製造した。得られたポリカーボネートの品質は実施例1と遜色無いものであった。 【0064】実施例13[界面重縮合反応]実施例1で得られた組成(ビスフェノールA/フェノール=50/50;重量比)の溶融保持後の混合物を重合に供する目的で3台の遠心薄膜蒸発器を用いて連続減圧蒸留(190℃、減圧度は最終残留フェノールが100ppm以下になるように設定)しフェノールを100ppm以下まで除去してビスフェノールA融体とし、直ちに原料調整槽へ16.31kg/時でフィードを開始した。同時に原料調整槽へ水酸化ナトリウム5.93kg/時、及び水101.1kg/時を、ハイドロサルファイト0.018kg/時の存在下に溶解した後、25℃まで冷却する。この水相並びに5℃に冷却した塩化メチレン68.0kg/時の有機相を、各々内径6mm、外径8mmのステンレス製配管に供給し、同配管内で混合し、さらにホモミキサー(特殊機化株式会社製、製品名T.KホモミックラインフローLF−500型)を用いて、乳化し、乳濁液を調製した。 【0065】このようにして得られた、ビスフェノールAのナトリウム塩(以下「BPA−Na」とも記す)水溶液(水相)と塩化メチレン(有機相)の乳濁液を、ホモミキサーから分岐する内径6mm、外径8mmの配管で取出し、これに接続する内径6mm、長さ34mのテフロン(登録商標)製パイプリアクターにおいて、ここに別途導入される0℃に冷却したパイプより供給された7.38kg/時の液化ホスゲン量と接触させた。この液化ホスゲンは、直径:55mm、高さ:500mmの円筒型容器に、粒度30〜60メッシュ程度、真密度:2.1g/cc、空隙率:40%、比表面積:1200m2 /g、細孔容積:0.86cc/gの活性炭(ヤシコールS、大平化学製)を充填し、−5℃、SV=3で通液処理し精製したものである。 【0066】上記乳濁液はホスゲンとパイプリアクター内を1.7m/秒の線速にて20秒間流通する間に、ホスゲン化、オリゴマー化反応を行った。この時、反応温度は、それぞれ60℃になるように調整しいずれも次のオリゴマー化槽に入る前に35℃まで外部冷却を行った。このようにしてパイプリアクターより得られるオリゴマー化された乳濁液を、さらに内容積50リットルの攪拌機付き反応槽に導き、窒素ガス雰囲気下30℃で攪拌し、オリゴマー化することで、水相中に存在する未反応のBPA−Naを完全に消費させた後、水相と有機相を静置分離し、オリゴマーの塩化メチレン溶液を得た。オリゴマー化に際し、触媒トリエチルアミン0.005kg/時、及び分子量調節剤のp−t−ブチルフェノール0.65kg/時を、各々、オリゴマー化槽に導入し、クロロフォーメート濃度で0.36Nのオリゴマーを得た。 【0067】上記オリゴマーの塩化メチレン溶液のうち23kgを、内容積70リットルのファウドラー翼付き反応槽に仕込み、これに希釈用塩化メチレン10kgを追加し、さらに25重量%水酸化ナトリウム水溶液1.8kg、水6kg、及びトリエチルアミン2.2gを加え、窒素ガス雰囲気下30℃で攪拌し、60分間重縮合反応を行って、ポリカーボネートを得た。この反応液に、塩化メチレン30kg及び水7kgを加え、20分間攪拌した後、攪拌を停止し、水相と有機相を分離した。分離した有機相に、0.1N塩酸20kgを加え15分間攪拌し、トリエチルアミン及び小量残存するアルカリ成分を抽出した後、攪拌を停止し、水相と有機相を分離した。さらに、分離した有機相に、純水20kgを加え、15分間攪拌した後、攪拌を停止し、水相と有機相を分離した。この操作を抽出排水中の塩素イオンが検出されなくなるまで(3回)繰り返した。 【0068】得られた精製ポリカーボネート溶液をニーダーで粉化し、乾燥後粒状粉末(フレーク)を得た。このフレーク中のIPP濃度を測定した所、残留量として20ppmであり、Mv=15,000の正常なポリカーボネートが得られた。 【0069】比較例1〜3実施例1において、ビスフェノールA/フェノール組成物に代えて、ビスフェノールA単体のみを用い、保持温度と保持時間を変えた以外は実施例1と同様にしてポリカーボネートを製造した。結果を表1に示す。 【0070】比較例4実施例1において、ビスフェノールA/フェノール=50/50(重量比)組成混合物よりフェノールを留去させた後、プリル塔により空冷した粉体のビスフェノールAを得た。得られた粉体ビスフェノールAを原料調整槽中に添加する段階で多量の粉塵を発生し、更に該槽を減圧による窒素置換の段階でも、真空ラインを閉塞させる等種々のトラブルを発生した。その後溶融ジフェニルカーボネートを仕込み、150℃まで加熱する操作に入り、実施例1と同様に重合操作を行ったが、所定の分子量まで伸長せず、Mv=13,000で平衡状態となった。これは、仕込んだビスフェノールAが粉体として飛んでしまった為と推定される。ビスフェノールAを一般に用いられる粉体で使用する場合は、操作上の特別の工夫が必要とされ、しかも熱量的なロスとしても多大であることが分かる。 【0071】比較例5比較例1の条件で溶融保持したビスフェノールAを使用したこと以外、実施例1と同様の操作を行いポリカーボネートを製造した。その結果得られたフレーク中のIPP濃度は、50ppmと少なかったが、Mv=9,000の分子量のものしか得られず、IPPの大半は分子末端停止剤として作用したことが判る。 【0072】 【表1】
【0073】 【発明の効果】本発明の芳香族ポリカーボネートの製造方法によれば、高純度の原料ビスフェノールAからポリカーボネートが得られ、その成型品はポリカーボネート固有の優れた物性を有し、且つ色相に優れているので、広範な用途に応用することが出来る。また、本発明の芳香族ポリカーボネート製造方法では、原料ビスフェノールAの精製工程を簡素化することが出来るので、経済性に優れた製造法であり工業的に利するところが大きい。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005968 【氏名又は名称】三菱化学株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年7月27日(2001.7.27) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100068065 【弁理士】 【氏名又は名称】長谷川 一 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−173530(P2002−173530A) |
| 【公開日】 |
平成14年6月21日(2002.6.21) |
| 【出願番号】 |
特願2001−227560(P2001−227560) |
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