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【発明の名称】 ポリカーボネート共重合体
【発明者】 【氏名】柴原 澄夫

【氏名】福西 賢晃

【氏名】古原 茂良

【氏名】窪 英樹

【氏名】倉本 洋光

【要約】 【課題】透明性、耐熱性、耐溶剤性、耐液晶性に優れ、液晶表示素子基板や有機EL素子基板等に好適に用いることができるポリカーボネート共重合体組成物を提供する。

【解決手段】一般式(1)と(2)で示される繰り返し単位からなるポリカーボネート共重合体であって、その繰り返し単位の比が99:1ないし50:50であるポリカーボネート共重合体を含む組成物を有機過酸化物、電子線、紫外線等で架橋する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 一般式(1)と(2)で示される繰り返し単位からなるポリカーボネート共重合体であって、その繰り返し単位の比が99:1ないし50:50であるポリカーボネート共重合体。
【化1】

(式中、R1、R2、R3、R4は水素又は炭素数1から7までのアルキル基、アラルキル基を表し、それぞれ同じでも異なっても良い。)
【化2】

(式中、Xは、単結合、炭素数1〜20の芳香族基を含んでもよい炭化水素基、O、S、SO、SO2、CO又はCOO基を表す)
【請求項2】 一般式(1)と(2)で示される繰り返し単位からなるポリカーボネート共重合体(a)99〜1重量%と、不飽和基を2つ以上有する多官能モノマー(b)1〜99重量%からなるポリカーボネート共重合体組成物。
【請求項3】 不飽和基を2つ以上有する多官能モノマー(b)の不飽和基がアリル基、ビニル基、アクリル基、メタクリル基から選ばれた一種以上であることを特徴とする請求項2記載のポリカーボネート共重合体組成物。
【請求項4】 不飽和基を2つ以上有する多官能モノマー(b)がジシクロペンタジエニルジアクリレートであることを特徴とする請求項2記載のポリカーボネート共重合体組成物。
【請求項5】 有機過酸化物、電子線、紫外線から選ばれた一種以上の架橋方法で架橋処理された請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリカーボネート共重合体並びにポリカーボネート共重合体組成物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透明性、耐熱性、耐溶剤性、耐液晶性に優れた架橋可能なポリカーボネート共重合体組成物に関するものであり、液晶表示素子基板や有機EL素子基板等に好適に利用できる。
【0002】
【従来の技術】従来、2,2’―ビス(ヒドロキシフェニル)プロパンにカーボネート前駆体物質を反応させて得られるポリカーボネートは透明性、耐熱性、寸法安定性が優れていることからエンジニアリングプラスチックとして多くの分野に広く使用されている。特に透明性に優れることから光学材料としての用途も多い。しかしながら、使用される用途が拡大するにつれて、より耐熱性の高い材料が望まれている。一方、9、9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンにカーボネート前駆体を反応させて得られるポリカーボネートは公知であり、高屈折率で耐熱性が良好なことも知られている。しかしながら、これら樹脂をプラスチック液晶表示素子基板や有機EL素子基板等に用いるには、ジメチルスルホキシド(DMSO)などの溶剤や配向剤中の溶剤などに侵されないことが望ましく、優れた透明性や耐熱性を損なうことなく耐溶剤性を改善することが望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようとする課題は、液晶表示素子基板や有機EL素子基板等にも適用できる透明性、耐熱性、耐溶剤性、耐液晶性に優れたポリカーボネート共重合体並びに共重合体組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、(1) 一般式(1)と(2)で示される繰り返し単位からなるポリエステル共重合体であって、その繰り返し単位の比が99:1ないし50:50であるポリカーボネート共重合体、【0005】
【化3】

(式中、R1、R2、R3、R4は水素又は炭素数1から7までのアルキル基、アラルキル基を表し、それぞれ同じでも異なっても良い。)
【0006】
【化4】

【0007】(式中、Xは、単結合、炭素数1〜20の芳香族基を含んでもよい炭化水素基、O、S、SO、SO2、CO又はCOO基を表す)
(2) 一般式(1)と(2)で示される繰り返し単位からなるポリカーボネート共重合体(a)99〜1重量%と、不飽和基を2つ以上有する多官能モノマー(b)1〜99重量%からなるポリカーボネート共重合体組成物、(5) 不飽和基を2つ以上有する多官能モノマー(b)の不飽和基がアリル基、ビニル基、アクリル基、メタクリル基から選ばれた一種以上であることを特徴とする第(2)項記載のポリカーボネート共重合体組成物、(7) 不飽和基を2つ以上有する多官能モノマー(b)がジシクロペンタジエニルジアクリレートであることを特徴とする第(2)項記載のポリカーボネート共重合体組成物、(5) 有機過酸化物、電子線、紫外線から選ばれた一種以上の架橋方法で架橋処理された第(1)〜(4)項のいずれか1項に記載のポリカーボネート共重合体並びにポリカーボネート共重合体組成物である。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明のポリカーボネート共重合体は、原料のビスフェノールとして、一般式(3)
【0009】
【化5】

【0010】(式中、 R1、R2、R3、R4は前記と同じである。)で表されるビスフェノール(c)及び一般式(4)
【0011】
【化6】

【0012】(式中、Xは前記と同じである。)で表されるビスフェノール(d)が用いられる。
【0013】ここで一般式(3)で表されるビスフェノール(c)としては、様々なものが適用できる。具体的な例としては、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9’−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9’−ビス(4−ヒドロキシ−3、5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9’−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)フルオレン、などが挙げられる。これらの中でも9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンが特に好ましい。これらのビスフェノールは、単独で用いてもよく、また二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0014】また、一般式(4)で表されるビスフェノール(d)としては、様々なものが適用できる。具体的な例としては、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)メタン(通称ジアリルビスフェノールF)、1,1−ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ジアリルビスフェノールA)、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン(通称ジアリルビスフェノールS)、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、3、3’−ジアリル−4、4’−ヒドロキシビフェノールなどが挙げられる。これらの中でも2,2−ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ジアリルビスフェノールA)が特に好ましい。これらのビスフェノールは、単独で用いてもよく、また二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0015】本発明に係わるポリカーボネート共重合体では、ビスフェノールから誘導される構成単位を100モル%とするとき、上記(c)から誘導される一般式(1)で表される構成単位と、(d)から誘導される一般式(2)で表される構成単位とは、(c)/(d)のモル比で、99/1〜50/50であることが好ましく、98/2〜60/30であることがより好ましく、95/5〜75/25であることが特に好ましい。前記(d)の割合が50モル%を越えるとガラス転位温度(Tg)が低下する傾向にあり、1%に満たない場合には、架橋が十分に行われず、耐溶剤性が改善できない場合がある。
【0016】本発明のポリカーボネート共重合体は、通常のポリカーボネートの製造において慣用されている方法、例えば、ホスゲンまたはホスゲン誘導体を使用する界面重縮合法及びジフェニルカルボナートなどを使用するエステル交換法(溶融重合法)を用いて合成することができる。これらの中では、界面重縮合法が好ましい。ホスゲンまたはホスゲン誘導体を用いる界面重縮合法としては、例えば、ビスフェノール(c)と(d)とを所定の割合で含有するアルカリ水溶液と不活性有機溶剤との混合液に、ホスゲンまたはホスゲン誘導体を導入して反応させる方法、あるいは予めビスフェノール(c)のポリカーボネートオリゴマー及び/またはビスフェノール(d)のポリカーボネートオリゴマーをビスフェノール(c)及び/または(d)とホスゲンまたはホスゲン誘導体から合成しておき、これらの不活性有機溶媒と、ビスフェノール(c)と(d)とを所定の割合で含有するアルカリ水溶液とを反応させる方法などを挙げることができる。前記ホスゲン誘導体としては、ホスゲンをはじめトリホスゲン、ブロモホスゲン、ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)カーボネート、ギ酸トリクロロメチルなどが挙げられる。これら中ではホスゲンまたはトリホスゲンが特に好ましい。
【0017】本発明のポリカーボネート共重合体の数平均分子量は8千〜20万であることが好ましく、1万〜15万であることがより好ましく、1万5千〜10万であることが最も好ましい。数平均分子量が8千以下では、重合物が脆くなる傾向にあり、20万を越えると粘度が高く成りすぎて成形性が悪くなる傾向にある。
【0018】本発明で用いる不飽和基を2つ以上有する多官能モノマー(b)としては、不飽和基を2つ以上有する種々の化合物が適用できる。不飽和基としては、アリル基、ビニル基、アクリル基、メタクリル基などが好ましく、特にアリル基やアクリル基が好ましい。本発明で用いる不飽和基を2つ以上有する多官能モノマーの具体例としては、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルテレフタレートなどの多官能アリル化合物、ジビニルビフェニル、ジビニルベンゼン、トリビニルシクロヘキサンなどの多官能ビニル化合物、イソシアヌル酸トリアクリレート、イソシアヌル酸トリエトキシトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリエトキシトリアクリレート、トリメチロールプロパントリプロポキシトリアクリレート、グリセリルプロポキシトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルコキシレイテッドビスフェノールAジアクリレート、プロポキシレイテッドビスフェノールAジアクリレート、アルコキシレイテッド水添ビスフェノールAジアクリレート、プロポキシレイテッド水添ビスフェノールAジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアルコキシジアクリレート、ジシクロペンタジエニルジアクリレートなどの多官能アクリレート化合物、前記多官能アクリレート化合物のアクリル基をメタクリル基に換えた多官能メタクリレート化合物などが挙げられ、これらの中でもトリアリルイソシアヌレート、ジシクロペンタジエニルジアクリレートおよびジビニルビフェニルが特に好ましい。
【0019】本発明で用いるポリカーボネート共重合体(a)と不飽和基を2つ以上有する多官能モノマー(b)との割合は、(a)/(b)の重量%で、99/1〜1/99であることが好ましく、98/2〜10/90がより好ましく、95/5〜50/50が特に好ましい。(a)の割合が1重量%以下では架橋物が脆くなる傾向にあり、99重量%を越えると(b)の添加効果が認められず、耐溶剤性が不十分になる場合がある。
【0020】本発明のポリカーボネート共重合体及びその組成物の架橋方法は、不飽和基の反応によって重合させることができる方法であればいかなる方法でも適用できる。中でも、透明性の点から、有機過酸化物、電子線、紫外線が好ましく、有機過酸化物を用いた加熱による架橋や紫外線による架橋が特に好ましい。
【0021】本発明のポリカーボネート共重合体組成物は、有機過酸化物、電子線、紫外線等で架橋することにより優れた耐溶剤性を有する部材となる。部材の成形方法は、ポリカーボネート共重合体(a)と不飽和基を2つ以上有する多官能モノマー(b)からなる組成物の粘度に合わせて加工方法を選択することができる。例えば、樹脂組成物を溶剤に溶かしたものをキャストし、溶媒を蒸発した後、電子線又は紫外線照射、もしくは加熱によって架橋して成形する、また、直接ロール又はベルトにキャストする、さらには研磨ガラス等よりなる電子線や紫外線が透過可能な2枚の相対する平板を用い、スペーサー等によりキャビティーを形成させ、周辺部をシールしてなる注入型に注入して、電子線又は紫外線照射、もしくは加熱によって架橋して成形することができる。また、樹脂組成物を押出成形した後、電子線又は紫外線、もしくは加熱により架橋して成形してもよい。
【0022】(有機過酸化物架橋)有機過酸化物による架橋は、不飽和ポリエステル等で適用されている通常の有機過酸化物による架橋方法をそのまま適用できる。本発明で使用される有機過酸化物としては、ジアルキルパーオキサイド、アシルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ケトンパーオキサイド、パーオキシエステルなど公知のものを用いることができる。具体的には、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートなどが挙げられる。有機過酸化物の配合量は、(a)+(b)の100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましく、0.5〜5重量部がさらに好ましい。有機過酸化物の配合量が0.1重量部より少ないと、充分な架橋が得られず耐溶剤性に劣る傾向にあり、10重量部より多いと架橋品の外観が悪化する傾向にある。
【0023】(電子線による架橋)本発明のポリカーボネート共重合体組成物は、電子線などの放射線によっても架橋できる。電子線の照射量は、100kGy〜2000kGyの範囲が好ましく、500kGy〜1500kGyの範囲がさらに好ましいが、この範囲を外れても得られる架橋物の性質が目的範囲を外れない限り特に問題はない。放射線としては、種々の電子線加速器からの電子線が好ましいが、放射性同位元素からのα線、β線、γ線などの放射線も用いることができる。
【0024】(紫外線による架橋)本発明のポリカーボネート共重合体組成物は、光重合開始剤を添加し、紫外線でも架橋することができる。光重合開始剤としては、例えばベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドなどが挙げられる。これらの光重合開始剤は2種以上を併用してもよい。光重合開始剤の添加量は、(a)+(b)の100重量部に対して、0.02〜5重量部が好ましく、0.05〜1重量部がさらに好ましい。光重合開始剤の添加量が0.02重量部より少ないと十分に架橋できない傾向にあり、5重量部を越えると色相が悪化する傾向にある。紫外線の照射量は、光重合開始剤がラジカルを発生する範囲であれば任意であるが、光重合開始剤の種類や量に合わせて0.1〜200Jの範囲で照射するのが好ましい。
【0025】本発明では、架橋をすみやかに完了させる目的で、電子線や紫外線の照射と熱重合を併用してもよい。すなわち、電子線や紫外線照射と同時にもしくは照射後に組成物を30〜300℃に加熱する。この場合、有機過酸化物を添加してもよい。また、本発明において電子線もしくは紫外線照射による架橋を行った後、架橋物を加熱することにより重合反応の完結及び重合時に発生する内部歪みを低減することも可能である。加熱温度は、架橋物の組成やガラス転移温度に合わせて適宜選択するのが好ましい。
【0026】本発明のポリカーボネート共重合体組成物には、熱安定性、耐候性、耐久性、耐水性、防蝕性等を改良するために、前述の成分以外に、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、消泡剤、レベリング剤、離型剤、イオン捕捉剤等の添加剤を加えて一層の性能改善を図ることもできる。
【0027】
【実施例】以下に本発明を実施例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら制限されるものではない。
【0028】合成例1[ポリカーボネート共重合体Iの合成]1Lの4ツ口フラスコ(撹拌装置、環流管、ガス導入管、滴下ロート付き)中で、1Mの水酸化ナトリウム水溶液240mlに、ビスフェノールフルオレン11.2g、ジアリルビスフェノールA2.46g、テトラブチルアンモニウムブロミド0.007gを溶解させ、この溶液に1,2−ジクロロエタン200mlを加えた。次に1,2−ジクロロエタン50mlにトリホスゲン4.158gを溶解した液を1時間かけて滴下し、さらに30分撹拌して反応を行った。反応終了後、有機相を分離し、水で洗浄したのち、メチルエチルケトン中に投入した。析出物を濾過し、アセトンで洗浄し、乾燥させた。その結果、数平均分子量30,000、ガラス転移温度Tg=242℃のポリカーボネート共重合体を得た。
【0029】合成例2[ポリカーボネート共重合体IIの合成]ビスフェノールフルオレンを12.6g、ジアリルビスフェノールAを1.23gに換えた他は、合成例1と同様にして合成し、数平均分子量34,000、ガラス転移温度Tg=259℃のポリカーボネート共重合体を得た。
合成例3[ポリカーボネート共重合体IIIの合成]ビスフェノールフルオレンを13.3g、ジアリルビスフェノールAを0.616gに換えた他は、合成例1と同様にして合成し、数平均分子量23,000、ガラス転移温度Tg=270℃のポリカーボネート共重合体を得た。
合成例4[ポリカーボネートIVの合成]ジアリルビスフェノールA無しでビスフェノールフルオレンを14.0gに換えた他は、合成例1と同様にして合成し、数平均分子量23,000、ガラス転移温度Tg=281℃のポリカーボネート共重合体を得た。
【0030】実施例1ポリカーボネート共重合体[I]9gとトリアリルイソシアヌレート(TAIC)1gをクロロホルム10gに溶解し、その中に有機過酸化物としてビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン[日本油脂(株)製「パーブチルP」]0.1gを溶解させた後、この溶液を離型処理したガラス板上にキャストし、窒素雰囲気下のオーブン中で150℃*1時間+175℃*1時間+200℃*1時間加熱して架橋させた後、さらに減圧下のオーブン中で250℃*1時間減圧加熱して厚さ0.2mmのシートを得た。
【0031】実施例2ポリカーボネート共重合体[I]を8g、トリアリルイソシアヌレートを2gに換えた以外は実施例1と同様にしてシートを得た。
実施例3ポリカーボネート共重合体[I]を5g、トリアリルイソシアヌレートを5gに換えた以外は実施例1と同様にしてシートを得た。
実施例4ポリカーボネート共重合体[I]を2g、トリアリルイソシアヌレートを8gに換えた以外は実施例1と同様にしてシートを得た。
【0032】実施例5トリアリルイソシアヌレート無しでポリカーボネート共重合体[I]を10gに換えた以外は実施例1と同様にしてシートを得た。
実施例6ポリカーボネート共重合体[II]8gとトリアリルイソシアヌレート2gを用いて実施例1と同様にしてシートを得た。
実施例7ポリカーボネート共重合体[III]を8g、トリアリルイソシアヌレートを2gに換えた以外は実施例1と同様にしてシートを得た。
【0033】実施例8ポリカーボネート共重合体[I]8gとジシクロペンタジエニルジアクリレート(DCPDA)[東亞合成製M−203]2gを用いて実施例1と同様にしてシートを得た。
実施例9ポリカーボネート共重合体[III]8gとジビニルビフェニル(DVBP)2gを用いて実施例1と同様にしてシートを得た。
【0034】実施例10ポリカーボネート共重合体[III]8gとジビニルビフェニル2gをクロロホルム10gに溶解した溶液を離型処理したガラス板上にキャストし、1000kGyの電子線を照射して架橋させた後、さらに減圧下のオーブン中で250℃*1時間減圧加熱して厚さ0.2mmのシートを得た。
【0035】実施例11ポリカーボネート共重合体[I]5gとジシクロペンタジエニルジアクリレート5gをクロロホルム10gに溶解し、その中に光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン[チバガイギー社製「イルガキュア184」]0.05gを溶解させた後、この溶液を離型処理したガラス板上にキャストし、500mJ/cm2を照射して架橋させた後、さらに減圧下のオーブン中で250℃*1時間減圧加熱して厚さ0.2mmのシートを得た。
実施例12ポリカーボネート共重合体[III]5gとジシクロペンタジエニルジアクリレート5gをクロロホルム10gに溶解し、その中に光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン[チバガイギー社製「イルガキュア184」]0.05gを溶解させた後、この溶液を離型処理したガラス板上にキャストし、500mJ/cm2を照射して架橋させた後、さらに窒素雰囲気下のオーブン中で275℃*3時間加熱して厚さ0.2mmのシートを得た。
実施例13ポリカーボネート共重合体[III]を8g、ジシクロペンタジエニルジアクリレートを2gに換えた以外は、実施例12と同様にしてシートを得た。
実施例14ポリカーボネート共重合体[III]を6g、ジシクロペンタジエニルジアクリレートを4gに換えた以外は、実施例12と同様にしてシートを得た。
実施例15ポリカーボネート共重合体[III]を4g、ジシクロペンタジエニルジアクリレートを6gに換えた以外は、実施例12と同様にしてシートを得た。
実施例16ポリカーボネート共重合体[III]を1g、ジシクロペンタジエニルジアクリレートを9gに換えた以外は、実施例12と同様にしてシートを得た。
【0036】比較例1ポリカーボネート共重合体[IV]10gをクロロホルム10gに溶解した溶液を離型処理したガラス板上にキャストし、窒素雰囲気下のオーブン中で150℃*1時間+175℃*1時間+200℃*1時間加熱乾燥させた後、さらに減圧下のオーブン中で250℃*1時間減圧加熱して厚さ0.2mmのシートを得た。
【0037】比較例2トリアリルイソシアヌレート10gに有機過酸化物としてビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン[日本油脂(株)製「パーブチルP」]0.1gを混合した後、この混合物を離型処理したガラス板上にキャストし、窒素雰囲気下のオーブン中で150℃*1時間+175℃*1時間+200℃*1時間加熱して架橋させた後、さらに減圧下のオーブン中で250℃*1時間減圧加熱した。得られた架橋物は、非常に脆く、シート化できなかった。以上のようにして作成したシートについて、下記の方法により、色、光線透過率、耐溶剤性(DMSO)、耐配向剤性、耐液晶性、耐熱性(Tg)を評価した。
【0038】<評価方法>■色: 目視によって外観を観察した。
■光線透過率: 日立製作所製U3200型分光光度計で500nmの光線透過率を測定した。
■耐DMSO性: 60℃のジメチルスルホキシド(DMSO)に試料を浸漬して15分間放置した後、試料を取り出し、目視にて外観を観察した。
■耐配向剤性: スピンコーター上に試料を設置し、その表面に配向剤CRD−8201(住友ベークライト製)を滴下した後、2500rpmでスピンコートした。180℃60分乾燥処理後、目視にて外観を観察した。
■耐液晶性: シートの表面にメルク社製ZIL−4792を1滴たらし、80℃のオーブン中で1時間放置した後、試料を取り出し、目視にて外観を観察した。
■耐熱性(Tg): 実施例1〜11および比較例1〜2ではセイコー電子(株)製DSC−220型示差走査熱量計でJIS K 7121に準じてガラス転移温度(Tg)を測定した。実施例12〜16では、セイコー電子(株)製DMS−210型粘弾性測定装置で1Hzでのtanδの最大値をガラス転移温度(Tg)とした。なお、耐DMSO性および耐液晶性に関する温度および浸漬時間については多少の差異があっても評価結果に影響しないことを確認している。評価結果を表−1〜4に示す。
【0039】
【表1】

【0040】
【表2】

【0041】
【表3】

【0042】
【表4】

【0043】この結果から明らかなように、実施例1〜16はいずれも従来のビスフェノールフル オレンからなるポリカーボネートの欠点であった耐DMSO性及び耐配向剤性が改善さ れ、かつTgが230℃以上の耐熱性、光線透過率が88%以上の透明性及び耐液晶性 を有する液晶表示素子基板や有機EL表示素子基板に適したシートを得ることができる 。
【0044】
【発明の効果】本発明のポリカーボネート共重合体組成物は、透明性、耐溶剤性、耐液晶性、耐熱性に優れ、ガラス基板に代えて液晶表示素子基板や有機EL表示素子基板に好適に用いることができる。
【出願人】 【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
【出願日】 平成13年9月27日(2001.9.27)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−173529(P2002−173529A)
【公開日】 平成14年6月21日(2002.6.21)
【出願番号】 特願2001−297323(P2001−297323)