トップ :: C 化学 冶金 :: C08 有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物




【発明の名称】 化学反応装置
【発明者】 【氏名】山田 孝夫

【氏名】浅井 敬一

【要約】 【課題】掻取り作業の自動化を可能にし、掻取り作業の能率化と共に生産性の向上を可能にする化学反応装置を提供する。

【解決手段】反応容器1の下部に反応液の吐出口9を設け、該吐出口下端から退避する位置と該吐出口下端に摺動して吐出口9を閉止する位置とに交互に往復移動する吐出口閉止板11を設けた化学反応装置において、吐出口9を閉止する位置における吐出口閉止板11の前端部に掻取刃13を配置し、該掻取刃13を吐出口閉止板11の往復移動方向と直交する方向に移動可能にした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 反応容器の下部に反応液の吐出口を設け、該吐出口下端から退避する位置と該吐出口下端に摺動して吐出口を閉止する位置とに交互に往復移動する吐出口閉止板を設けた化学反応装置において、前記吐出口を閉止する位置における吐出口閉止板の前端部に掻取刃を配置し、該掻取刃を吐出口閉止板の往復移動方向と直交する方向に移動可能にした化学反応装置。
【請求項2】 前記掻取刃を前記吐出口閉止板の材料よりも柔らかい材料で構成した請求項1に記載の化学反応装置。
【請求項3】 前記掻取刃を離型性樹脂でコーティングした請求項1又は2に記載の化学反応装置。
【請求項4】 前記掻取刃が前記吐出口閉止板の縁部と対接する箇所に、該吐出口閉止板の縁部から徐々に離間する逃げ角を形成した請求項1,2又は3に記載の化学反応装置。
【請求項5】 バッチ式のポリエテル重合反応装置である請求項1〜4のいずれかに記載の化学反応装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は化学反応装置に関し、さらに詳しくは、特にバッチ式のポリエステル重合反応用に好適な化学反応装置に関する。
【0002】
【従来の技術】バッチ式のポリエステル重合反応装置は、1バッチ分の重合が終了すると、重合反応で得られた重合体を反応容器下部の吐出口からガット状又はシート状に吐出しながら、下方のカッターでペレタイズする。1バッチ分の重合体の全量について吐出及びペレタイズ作業を終了すると、吐出口閉止板で吐出口を遮蔽し、次のバッチの重合反応を行う。以後、この工程を繰り返して重合体ペレットを生産する。
【0003】上記のように1バッチ分の重合体の吐出を終了した後に、吐出口下端を吐出口閉止板で擦りきるようにして吐出口を遮蔽すると、その吐出口閉止板の前端部には残存重合体が付着する。しかし、この付着重合体をそのままにしておくと、次のバッチ終了時に再び重合体を吐出する際、その重合体が下方のカッターへ自然落下するのを阻害してミスカットを生じたり、さらにはカッター外へ溢れ出すようにするトラブルを生ずる原因になる。
【0004】従来、上記トラブル防止対策として、1バッチ分の重合体の吐出終了毎に、作業者が掻取り棒を使って吐出口閉止板に付着した重合体を掻き取る作業を行っていた。しかしながら、この掻取り作業は、高温の過酷な作業環境下で行うため能率が上がらず、しかも慎重性を欠くと火傷するなどの危険を伴うため、ポリエステル重合の生産性を低下させる原因になっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、掻取り作業の自動化を可能にし、掻取り作業の能率化と共に生産性の向上を可能にする化学反応装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発明は、反応容器の下部に反応液の吐出口を設け、該吐出口下端から退避する位置と該吐出口下端に摺動して吐出口を閉止する位置とに交互に往復移動する吐出口閉止板を設けた化学反応装置において、前記吐出口を閉止する位置における吐出口閉止板の前端部に掻取刃を配置し、該掻取刃を吐出口閉止板の往復移動方向と直交する方向に移動可能にしたことを特徴とするものである。
【0007】このように閉止位置における吐出口閉止板の前端部に掻取刃を配置し、その掻取刃を吐出口閉止板の往復移動方向と直交する方向に移動させるようにしたことにより、その吐出口閉止板の前縁部に付着する反応液を自動的に掻き取ることが可能になり、それによって掻取り作業が能率化し、かつ反応液の生産性を向上することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図に示す実施形態を参照して説明する。
【0009】図1は、本発明の実施形態からなる化学反応装置であり、バッチ式のポリエステル重合反応装置の場合を例示する。図2及び図3は、その要部を示すものである。
【0010】1はポリエステル重合用の反応容器であり、その側面外周と底面外側とに加熱用ジャケット1aが設けられている。反応容器1の上部には原料投入用の供給管2と内部気体の吸引管3が設けられ、かつ内部中央に上下に延長する攪拌機4が設けられている。攪拌機4の駆動軸4aは、反応容器1の上壁をメカニカルシール5を介して外側へ貫通し、さらに減速機6を介して駆動モータ7に連結されている。
【0011】反応容器1の下部には、開閉弁8を介して吐出口9が設けられている。この吐出口9の下端には、反応終了後の重合体をガット状又はシート状に吐出するための口金10が設けられている。図示の例では、図2及び図3に示すように、口金10には複数の吐出孔10aが直線状に配列され、重合体を複数本のガットとして吐出するようになっている。
【0012】口金10を装着した吐出口9の下端には、吐出口閉止板11が設けられている。吐出口閉止板11は、長手方向の両端部をガイドレール14,14に支持され(図2、図3参照)、アクチュエータ12の作用により長手方向と直交するように水平方向に往復駆動する。吐出口閉止板11は、この往復移動により、吐出口9の下端から退避する実線で示す位置と、吐出口9の下端を口金10の表面を摺動しながらを遮蔽する鎖線で示す位置とに交互切り替わるようになっている。吐出口閉止板11が口金10の表面を摺り切りながら移動するときには、その前縁が口金10の表面に残存する重合体を掻き取り、その前縁に重合体を保持した状態で静止する。
【0013】また、上記のように吐出口閉止板11が吐出口9の下端を閉止して静止した位置に対応して、その前縁に掻取刃13が接するように配置されている。この掻取刃13は、図2及び図4に示すように、ロッド13aを介してブロックナット15に連結され、そのブロックナット15は雄ねじ16に螺合している。この雄ねじ16は、反応容器1の下部に吐出口閉止板11の長手方向と平行に延長するように回動可能に軸受けされ、かつ端部にエアモータ17に連結されている。
【0014】エアモータ17を駆動して雄ねじ16を正逆に回転させると、ブロックナット15が雄ねじ16上を往復移動する。この往復移動に伴って、ブロックナット15に一体に連結されている掻取刃13が、吐出口閉止板11の前縁と平行に移動する。したがって、吐出口閉止板11が吐出口9の閉止位置(往復移動域の前端部)に静止しているときは、掻取刃13は吐出口閉止板11の前縁に摺接しながら移動する。この移動によって、吐出口閉止板11の前縁に付着していた重合体がきれいに掻き落とされる。
【0015】上述したポリエステル重合反応装置において、1バッチ分の重合が終了すると、反応容器1の吐出口9を閉止していた吐出口閉止板11は、図1において実線で示すように、吐出口9の下端から退避する。次いで、開閉弁8が開かれることにより、重合体が口金10からガット状になって吐出され、下方のカッター(図示せず)によりペレタイズされる。
【0016】1バッチ分の重合体が全量吐出を完了すると、吐出口閉止板11が鎖線で示す位置に移動して吐出口9を閉止する。このように吐出口閉止板11が閉止作動をするとき、口金10の下面を摺動しながら移動するので、口金10の表面に残存していた重合体が吐出口閉止板11の前縁に書き取られて蓄積され、その状態で所定の閉止位置に静止する。
【0017】吐出口閉止板11が閉止位置に静止すると、その前縁に掻取刃13が当接した状態になる。エアモータ17を駆動し雄ねじ16を回転させると、掻取刃13は吐出口閉止板11の前縁に沿って、その前縁を扱きながら移動を行い、この移動によって前縁に付着していた重合体を掻き取る。
【0018】したがって、本発明によれば、遠隔操作だけで吐出口閉止板11に付着した重合体を取り除くことができるため、従来のように作業者が直接手作業で行っていた作業を省略することができる。それによって掻取り作業が能率化し、かつ重合体の生産性を向上することができる。
【0019】上述した本発明において、吐出口閉止板が重合体の掻取作用をする前縁は、図1又は図2に示すように、鋭角に形成して逃げ角を形成することが好ましい。このような鋭角の逃げ角を形成することにより、吐出口閉止板で吐出口を閉止するとき、前縁による重合体の掻取作用を良好にすることができる。また、吐出口閉止板の前縁は、口金の下面に摺接して重合体の掻取りを行うので、少なくとも前縁部の材料を軟質金属にするとよい。例えば、真鍮等の銅合金で構成するようにするとよい。
【0020】また、本発明において、掻取刃は吐出口閉止板に使用されている材料よりも柔らかい材料から構成することが好ましい。このように軟質の材料で構成することにより、吐出口閉止板の損傷を低減することができる。このような軟質材料としては、例えば、吐出口閉止板がステンレス鋼などの鋼材である場合、掻取刃には真鍮等の銅合金を使用するとよい。
【0021】また、掻取刃は、表面を離型性樹脂でコーティングすることが好ましい。このように離型性樹脂でコーティングすることにより、掻取刃からの付着重合体の離型を向上することができる。このような離型性樹脂としては、例えばシリコーン等の有機珪素樹脂、四フッ化フルオロエチレン等の有機フッ素樹脂などを挙げることができる。また、掻取刃からの付着重合体の離型性を向上するため、掻取刃が吐出口閉止板の前縁部と対接する箇所を、図2に示すように、吐出口閉止板の前縁から徐々に離間するような逃げ角を形成するようにするとよい。
【0022】上述した実施形態では、ポリエステル重合反応装置の場合について説明したが、本発明は、反応液を反応容器の下部から吐出させて同様の操作をするものであれは、他の化学反応装置にも同様に適用することができる。
【0023】
【発明の効果】上述したように本発明によれば、閉止位置における吐出口閉止板の前端部に掻取刃を配置し、その掻取刃を吐出口閉止板の往復移動方向と直交する方向に移動させるようにしたことにより、その吐出口閉止板の前縁部に付着する反応液を自動的に掻き取ることが可能になり、それによって掻取り作業が能率化し、かつ反応液の生産性を向上することができる。
【出願人】 【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
【出願日】 平成12年12月4日(2000.12.4)
【代理人】 【識別番号】100066865
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一 (外2名)
【公開番号】 特開2002−173525(P2002−173525A)
【公開日】 平成14年6月21日(2002.6.21)
【出願番号】 特願2000−368153(P2000−368153)