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【発明の名称】 ポリエステルフィルム及びその識別方法
【発明者】 【氏名】見延 信夫

【氏名】岸野 友行

【要約】 【課題】ポリエステルフィルムが、リサイクル樹脂を使用していることが容易に識別可能で、パラキシレンから生産されたテレフタル酸ジメチルからなるポリアルキレンテレフタレート樹脂と同等の品質を有するポリエステルフィルム及びその識別方法を提供する。

【解決手段】識別化合物として炭素或は/及び水素の同位体から構成されるテレフタル酸ジメチルを全テレフタル酸ジメチルに対し1〜1000重量ppm添加するポリエステルフィルム及びその識別方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 識別化合物としての炭素或は/及び水素の同位体から構成されるテレフタル酸ジメチルを、全テレフタル酸ジメチルに対し1〜1000重量ppm添加したテレフタル酸ジメチル組成物を使用することを特徴とする、ポリエステルフィルム。
【請求項2】 炭素の同位体が、13Cである請求項1のポリエステルフィルム。
【請求項3】 水素の同位体が、重水素である請求項1のポリエステルフィルム。
【請求項4】 水素或いは/及び炭素の同位体から構成されるテレフタル酸ジメチルが、テレフタル酸−カルボキシ−13C−ジメチルエステル、テレフタル酸−カルボキシ−132−ジメチルエステル、テレフタル酸−136−ジメチルエステル、テレフタル酸−d−ジメチルエステル、テレフタル酸−d4−ジメチルエステルからなる群から選ばれた少なくとも1種の同位体化合物である請求項1記載のポリエステルフィルム。
【請求項5】 ポリエステルフイルムを製造するに際し、炭素或は/及び水素の同位体から構成されるテレフタル酸ジメチルを、全テレフタル酸ジメチルに対し1〜1000重量ppm含有するテレフタル酸ジメチル組成物を、識別化合物として使用することを特徴とする、ポリエステルフイルムの識別方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、識別化合物としての炭素或は/及び水素の同位体から構成されるテレフタル酸ジメチルを添加したテレフタル酸ジメチル組成物からなるポリエステルフィルム及びその識別方法に関するものであり、更に詳しくは、ポリアルキレンテレフタレートを解重合し、メタノールでエステル化されたテレフタル酸ジメチルに識別化合物として炭素或は/水素の同位体から構成されるテレフタル酸ジメチルを添加したテレフタル酸ジメチル組成物(以下、原料リサイクルDMTと略記する)からなるポリエステルフィルムであり、パラキシレンを原料として生産されたテレフタル酸ジメチル(以下、バージンDMTと略記する)からなるポリエステルフィルムと、容易に識別可能であり、更にバージンDMTからなるポリエステルフィルムと同等の品質を有するポリエステルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】現在、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記する)は、繊維、樹脂、包装材料、フィルム、その他成形体として広く世の中で使用されているが、使用済材料、特に、PETボトルの処分について近年大きな問題となっている。ここ数年で、使用済PETボトルは、回収した後、粉砕処理、他の材料との分離処理及び洗浄処理を経て、繊維やシートなどに再加工されるマテリアルリサイクルの循環ループが出来、機能し始めている。
【0003】しかし、このシステムで処理された材料は、再加工設備及び条件に制約があり、且つ、再加工樹脂製品の品質低下の問題もあり、その用途も制約されている。また、マテリアルリサイクル再加工樹脂製品とバージン材料からなる樹脂の樹脂製品とを容易に識別することも出来ていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、リサイクル樹脂を使用していることが容易に識別でき、更にバージン樹脂使用フィルムとの品質差の少ないポリエステルフィルム及びその識別方法を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の課題は、1、識別化合物としての炭素或は/及び水素の同位体から構成されるテレフタル酸ジメチルを、全テレフタル酸ジメチルに対し1〜1000重量ppm添加したテレフタル酸ジメチル組成物を使用して得たポリエステルフィルム、2、炭素の同位体が、13Cである上記1のポリエステルフィルム、3、水素の同位体が、重水素である上記1のポリエステルフィルム、4、水素或いは/及び炭素の同位体から構成されるテレフタル酸ジメチルが、テレフタル酸−カルボキシ−13C−ジメチルエステル、テレフタル酸−カルボキシ−132−ジメチルエステル、テレフタル酸−136−ジメチルエステル、テレフタル酸−d−ジメチルエステル、テレフタル酸−d4−ジメチルエステルからなる群から選ばれた少なくとも1種の同位体化合物である上記1のポリエステルフィルム、5、ポリエステルフイルムを製造するに際し、炭素或は/及び水素の同位体から構成されるテレフタル酸ジメチルを、全テレフタル酸ジメチルに対し1〜1000重量ppm含有するテレフタル酸ジメチル組成物を、識別化合物として使用することを特徴とする、ポリエステルフイルムの識別方法、により達成することができる。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の識別方法においては、まず、識別化合物となるテレフタル酸ジメチルの同位体化合物が必要であり、炭素の同位体が13Cであり、水素の同位体が重水素であるテレフタル酸ジメチルの同位体化合物が好ましい。このテレフタル酸ジメチルの同位体化合物の中でも、テレフタル酸−カルボキシ−13C−ジメチルエステル、テレフタル酸−カルボキシ−132−ジメチルエステル、テレフタル酸−136−ジメチルエステル、テレフタル酸−d−ジメチルエステル、テレフタル酸−d4−ジメチルエステルからなる群から選ばれた少なくとも1種の同位体化合物であることが好ましい。
【0007】次に、ポリエステルを既知の解重合触媒存在下、EG中で解重合反応させる。ここでポリエステルとは、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレートが好ましく挙げられる。解重合反応で得られた混合物は必要であれば、解重合反応で用いた過剰なEGを抜出し、その後MeOHと共に反応器内へ導入し、置換エステル化反応、及び冷却晶析により、粗テレフタル酸ジメチルを得る。更にこの得られた粗テレフタル酸ジメチルを蒸留精製することにより、高純度のテレフタル酸ジメチルを得ることができる。
【0008】以上の工程を経て得られた高純度の回収テレフタル酸ジメチルを140〜170℃の溶融状態に保ち、既知の方法でテレフタル酸ジメチルの同位体化合物を添加することができ、回分式と連続式、どちらでも問題なく採用することができる。例えば、同位体化合物を添加する時の形態としては、同位体化合物の微粉末状態、あるいは、例えばメタノールに代表される有機溶媒のスラリー状態とし、添加した後、攪拌や液循環によりテレフタル酸ジメチル中に均一に分散させる方法が挙げられる。識別化合物としての炭素或いは/及び水素の同位体から構成されるテレフタル酸ジメチルは、ポリエステルからEG及びMeOHを用いて回収したテレフタル酸ジメチル中に、1〜1000重量ppm、好ましくは50〜300重量ppm添加することが好ましい。添加量が1重量ppm未満であると、検出が困難であり、1000重量ppmを超えるとフィルムの品質及び成形性悪化をもたらす為、好ましくない。
【0009】本発明のポリエステルフィルムは、識別化合物としての炭素或は/及び水素の同位体から構成されるテレフタル酸ジメチルを、全テレフタル酸ジメチルに対し1〜1000重量ppm添加したテレフタル酸ジメチル組成物を使用したポリエステルフィルムである。
【0010】本発明のポリエステルフィルムは、テレフタル酸単位とジオ−ル単位からなる熱可塑性ポリエステルであり、テレフタル酸単位を全酸成分の80モル%以上の成分とすることが好ましい。
【0011】テレフタル酸単位は、エステル誘導体に由来しており、誘導体として、メチルエステルであるテレフタル酸ジメチルが好ましい。
【0012】上述のテレフタル酸ジメチルは、ポリアルキレンテレフタレートをエチレングリコールで解重合し、次いでメタノールでエステル交換反応して得られたテレフタル酸ジメチルに前述の識別化合物としての炭素或は/及び水素の同位体から構成されるテレフタル酸ジメチルを1〜1000重量ppm添加されたテレフタル酸ジメチルであることが好ましい。
【0013】全酸成分の20ル%未満の範囲で、例えば、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,7−ナフタレンジカルボン酸、その他のナフタレンジカルボン酸の異性体、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルエ−テルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸等のごとき芳香族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等の如き脂環属族ジカルボン酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸等の如き脂肪族ジカルボン酸、p−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸、ε−オキシカプロン酸等の如きオキシ酸等の二官能性カルボン酸から選ばれる少なくとも1種以上の酸成分を共重合できる。
【0014】また、ポリエステルフィルムを構成するジオール成分としては、例えば、エチレングリコ−ル、トリメチレングリコ−ル、テトラメチレングリコ−ル、ヘキサメチレングリコ−ル、デカメチレングリコ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、1,1−シクロヘキサンジメタノ−ル、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン等のジオールの1種以上であることができる。
【0015】本発明において、ポリエステルフィルムには、3官能以上の化合物が2%以下の範囲で共重合されていても差し支えない。
【0016】本発明のフィルムは、その成形過程及び、化工工程を円滑に行うため、本発明の目的である原料リサイクルDMT使用ポリエステルフィルムの識別を妨げない範囲で、不活性微粒子を存在させることが一般的である。
【0017】本発明における不活性微粒子は、フィルムの成型、加工工程を円滑にする目的のため、滑り性を向上できるものなら特に限定されず、例えば、(1)シリコーン樹脂、架橋ポリスチレン、架橋アクリル樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、架橋ポリエステルなどの耐熱性ポリマーからなる粒子、(2)三二酸化アルミニウム(アルミナ)、二酸化チタン、二酸化ケイ素(シリカ)、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムなどの金属酸化物からなる粒子、(3)炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムなどの金属の炭酸塩からなる粒子、(4)硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどからなる金属の硫酸塩からなる粒子、(5)カーボンブラック、グラファイト、ダイアモンドなどの炭素からなる粒子、および、(6)カオリン、クレー、ベントナイトなどの粘土鉱物からなる粒子など、有機化合物および無機化合物からなる粒子が挙げられる。
【0018】本発明における不活性粒子の平均粒径は0.01〜4μmの範囲が好ましく、更に好ましくは0.02〜3μm、特に好ましくは0.05〜3μmの範囲である。この平均粒径が0.01μm未満では走行性や耐ブロッキング性の向上効果が得られ難く、一方、4μm以上ではフィルムの表面平坦性が得られ難いため好ましくない。不活性粒子のポリエステル樹脂組成物製造時の含有量は0.01〜10重量%であり、好ましくは0.03〜3重量%である。この含有量が0.01重量%未満ではポリマーとして生産性が低く非効率である。一方、10重量%を超えると、ポリエステル中ので分散が不十分となる。
【0019】また、本発明のフィルムは、少なくとも二層以上からなる積層フィルムで、一つ以上の層として積層されても差し支えない。
【0020】次に、本発明のポリエステルフィルムの識別方法につき説明する。本発明のポリエステルフィルムの識別方法は、上記の識別化合物としての炭素或は/水素の同位体から構成されるテレフタル酸ジメチルを添加するテレフタル酸ジメチル及びジオ−ルとを含む原料を、エステル交換触媒の存在下のエステル交換反応させ、ビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレ−ト及び/又はそのオリゴマ−を形成させ、その後、重縮合触媒及び安定剤の存在下で高温減圧下に溶融重縮合を行い、ポリエステル樹脂組成物を得る。前述のポリエステル樹脂組成物またはそれを他のポリエステル樹脂と混合したものを溶融押出し、急冷して未延伸フィルムとし、該未延伸フィルムを2軸方向に延伸し、熱固定し必要であれば弛緩熱処理することによって、ポリエステルフィルムを得る事により達成できる。
【0021】エステル交換触媒としては、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属塩、チタン、亜鉛、マンガン等の金属化合物が好ましく使用される。重縮合触媒としては、ゲルマニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物、コバルト化合物、錫化合物等が知られている。
【0022】又、安定剤としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類、トリフェニルホスファイト、トリスドデシルホスファイト等の亜リン酸エステル類、メチルアシッドホスフェート、ジブチルホスフェート、モノブチルホスフェート酸性リン酸エステル、トリエチルホスフォノアセテート、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ポリリン酸等のリン化合物が好ましい。
【0023】エステル交換反応触媒の供給は、原料調製時の他、エステル交換反応の初期の段階において行うことができる。また、安定剤の供給は、重縮合反応初期までに行うことが出来るが、エステル交換反応終了時に添加することが好ましい。さらに、重縮合触媒は重縮合反応工程の初期までに供給することができる。エステル交換反応時の反応温度は、通常200〜260℃であり、反応圧力は常圧〜0.3Mpaである。また、重縮合時の反応温度は、通常250〜300℃であり、反応圧力は通常60〜0.1kPaである。この様なエステル交換反応及び重縮合反応は、一段で行っても、複数段階に分けて行っても良い。
【0024】ポリエステル樹脂に不活性微粒子を存在させる方法としては、ジオール成分であるエチレングリコールのスラリーの形で分散せしめ、このエチレングリコールを所定のジカルボン酸成分と重合せしめるのが好ましい。また、不活性微粒子単体及び/又は水スラリーを直接所定のポリエステルペレットと混合し、ベント式二軸混練押し出し機を用いてポリエステル樹脂に練り込む方法が知られている。
【0025】この様にして得られるポリマーは、極限粘度が通常0.4〜0.90dl/gであり、常法によりチップ化される。ポリマ−チップの平均粒径は、通常2.0〜5.5mm、好ましくは2.2〜4.0mmの範囲とされる。
【0026】また、フィルム製膜工程において、熱固定の際または熱固定の後、必要であれば弛緩熱処理を施しても良い。そして、フィルムへ成形する際の延伸条件などの製造条件は、目的とするフィルムの表面特性、密度、熱収縮率等の物性に応じて、適宜選択すればよい。例えば、前出の未延伸フィルムを一軸方向(縦方向または横方向)に[Tg−10]〜[Tg+60]℃の温度(但し、Tg:ポリエステルのガラス転移点温度)で2.5倍以上、好ましくは3倍以上の倍率で延伸し、次いで上記延伸方向と直角方向にTg〜[Tg+70]℃の温度で2.5倍以上、好ましくは3倍以上の倍率で延伸させるのが好ましい。
【0027】更に必要に応じて縦方向およびまたは横方向に再度延伸してもよい。縦方向と横方向の延伸倍率を掛けた面積延伸倍率は、9倍以上が好ましく、12〜35倍が更に好ましく、15〜30倍が特に好ましい。さらにまた熱固定は、[Tg+70]〜[Tm−10]℃の温度(但し、Tm:ポリエステルの融点)、例えば180〜250℃の温度で行うのが好ましく、その際の熱固定時間は1〜60秒が好ましい。
【0028】添加したテレフタル酸ジメチルの同位体化合物は、13CNMR、1HNMR、ガスクロマトグラフ質量分析計で分析を行うことで、バージンのテレフタル酸ジメチルとの識別判定が可能となる。
【0029】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが本発明はこれにより、何ら限定を受けるものではない。なお、例中の特性は下記の方法で測定した。
【0030】1)固有粘度:オルソクロロフェノール溶液中35℃で測定した値から求めた。
【0031】2)不活性粒子の平均粒径:株式会社島津製作所製、商品名「SACP−4L型セントリフュグル パーティクル サイズ アナライザー(Centrifugal ParticleSize Analyser)」を用い測定する。得られる遠心沈降曲線を基に計算した各粒径の粒子とその存在量との積算曲線から、50マスパーセントに相当する粒径「等価球直径」を読み取り、この値を上記平均粒径とする(単行本「粒度測定技術」日刊工業新聞社発行、1975年、頁242〜247参照)。
【0032】3)識別化合物としての炭素或いは/及び水素の同位体から構成されるテレフタル酸ジメチルの識別方法:フィルム中の炭素或いは/及び水素の同位体から構成されるテレフタル酸ジメチルは、FT−NMR装置(日本電子(株)製、JEOL A−600)を使用して分析を行った。
【0033】4)中心面平均粗さ(WRa):WYKO株式会社製の非接触三次元粗さ計、商品名「TOPO−3D」を用いて、測定倍率40倍、測定面積242μm×239μm(0.058mm2)の条件にて測定を行い、表面粗さのプロフィル(オリジナルデータ)を得る。同粗さ計内蔵ソフトによる表面解析により、WRaは以下の式により計算されアウトプットされた値を用いる。
【0034】
【数1】

【0035】また、Zjkは、測定方向(242μm)、それと直交する方向(239μm)をそれぞれM分割、N分割したときの各方向のj番目、k番目の位置における三次元粗さチャート上の高さである。
【0036】5)フライスペック:フィルムを偏光下で顕微鏡下で観察し、偏光のかかる箇所に粒子単独及び/或は1次粒子が凝集した5μm以上の粒子が存在するものをフライスペックとして次の様に判定した。
1級:フライスペックが20個/50cm2未満である。
2級:フライスペックが20〜50個/50cm2未満である。
3級:フライスペックが50個/50cm2以上である。
【0037】[実施例1]ポリエチレンテレフタレートをエチレングリコールで解重合し、次いでメタノールでエステル交換反応して得られたテレフタル酸ジメチル(以下、原料リサイクルDMTと略記する)に、識別化合物として、テレフタル酸−カルボキシ−132−ジメチルエステルを50重量ppm添加したテレフタル酸ジメチル100重量部、およびエチレングリコ−ル(以下、「EG」と略記)70重量部を、酢酸マンガン・4水和物を触媒として常法通りエステル交換せしめた後、安定剤としてトリメチルホスフェートを添加して、エステル交換反応を終了せしめ、エチレングリコール(以下EGと略す)90重量部に、炭酸カルシウム微粒子(平均粒径0.6μm)10部を添加し分散させたスラリーを3重量部(炭酸カルシウム微粒子:0.3重量%対原料リサイクルDMT)を撹拌下添加した。その後、重合触媒として三酸化アンチモンを添加し、高真空下で常法通りの重縮合反応を行い極限粘度0.620のポリエチレンテレフタレートを得た。更に得られたポリエステルを180℃で乾燥後、溶融製膜によりシート化し、続いて90℃で縦延伸倍率3.5倍、横延伸倍率4.0倍に2軸延伸し、更に200℃で熱固定して厚さ15μmのフィルムとした。得られたポリエステルフィルム物性は、下記の通りである。
固有粘度:0.56テレフタル酸−カルボキシ−132−ジメチルエステル:テレフタル酸−カルボキシ−132−ジメチルエステル由来のカルボキシル基炭素のシグナル強度を添加量相当に高く検出中心面平均粗さ:20nmフライスペック:1級【0038】[参考例1]テレフタル酸ジメチルを帝人製のバージンDMT(識別化合物なし)とする以外は実施例1と同様に行い、厚さ15μmのフィルムを得た。得られたポリエステルフィルム物性は、下記の通りである。
固有粘度:0.56テレフタル酸−カルボキシ−132−ジメチルエステル:テレフタル酸−カルボキシ−132−ジメチルエステル由来のカルボキシル基炭素のシグナル強度を既知ポリエチレンテレフタレート並みに検出中心面平均粗さ:20nmフライスペック:1級【0039】[実施例2]ポリエステルフィルムに添加する微粒子を真球状シリカ(平均粒径0.50μm)、添加量を0.25重量%対原料リサイクルDMTとする以外は実施例1と同様に行い、厚さ15μmのフィルムを得た。得られたポリエステルフィルム物性は、下記の通りである。
固有粘度:0.56テレフタル酸−カルボキシ−132−ジメチルエステル:テレフタル酸−カルボキシ−132−ジメチルエステル由来のカルボキシル基炭素のシグナル強度を添加量相当に高く検出中心面平均粗さ:18nmフライスペック:1級【0040】[参考例2]テレフタル酸ジメチルを帝人製のバージンDMT(識別化合物なし)とする以外は実施例2と同様に行い、厚さ15μmのフィルムを得た。得られたポリエステルフィルム物性は、下記の通りである。
固有粘度:0.56テレフタル酸−カルボキシ−132−ジメチルエステル:テレフタル酸−カルボキシ−132−ジメチルエステル由来のカルボキシル基炭素のシグナル強度を既知ポリエチレンテレフタレート並みに検出中心面平均粗さ:17nmフライスペック:1級【0041】[実施例3]ポリエステルフィルムに添加する微粒子をカオリン(平均粒径1.0μm)、添加量を0.4重量%対原料リサイクルDMTとする以外は実施例1と同様に行い、厚さ15μmのフィルムを得た。得られたポリエステルフィルム物性は、下記の通りである。
固有粘度:0.55テレフタル酸−カルボキシ−132−ジメチルエステル:テレフタル酸−カルボキシ−132−ジメチルエステル由来のカルボキシル基炭素のシグナル強度を添加量相当に高く検出中心面平均粗さ:27nmフライスペック:2級【0042】[参考例3]テレフタル酸ジメチルを帝人製のバージンDMT(識別化合物なし)とする以外は実施例3と同様に行い、厚さ15μmのフィルムを得た。得られたポリエステルフィルム物性は、下記の通りである。
固有粘度:0.55テレフタル酸−カルボキシ−132−ジメチルエステル:テレフタル酸−カルボキシ−132−ジメチルエステル由来のカルボキシル基炭素のシグナル強度を既知ポリエチレンテレフタレート並みに検出中心面平均粗さ:27nmフライスペック:2級【0043】[実施例4]ポリエステルフィルムに添加する微粒子を多孔質シリカ(平均粒径2.5μm)、添加量を0.05重量%対原料リサイクルDMTとする以外は実施例1と同様に行い、厚さ15μmのフィルムを得た。得られたポリエステルフィルム物性は、下記の通りである。
固有粘度:0.55テレフタル酸−カルボキシ−132−ジメチルエステル:テレフタル酸−カルボキシ−132−ジメチルエステル由来のカルボキシル基炭素のシグナル強度を添加量相当に高く検出中心面平均粗さ:21nmフライスペック:2級【0044】[参考例4]テレフタル酸ジメチルを帝人製のバージンDMT(識別化合物なし)とする以外は実施例4と同様に行い、厚さ15μmのフィルムを得た。得られたポリエステルフィルム物性は、下記の通りである。
固有粘度:0.55テレフタル酸−カルボキシ−132−ジメチルエステル:テレフタル酸−カルボキシ−132−ジメチルエステル由来のカルボキシル基炭素のシグナル強度を既知ポリエチレンテレフタレート並みに検出中心面平均粗さ:21nmフライスペック:2級【0045】[実施例5]ポリエステルフィルムに添加する微粒子を球状シリコーン(平均粒径0.6μm)、添加量を0.15重量%対原料リサイクルDMTとする以外は実施例1と同様に行い、厚さ15μmのフィルムを得た。得られたポリエステルフィルム物性は、下記の通りである。
固有粘度:0.56テレフタル酸−カルボキシ−132−ジメチルエステル:テレフタル酸−カルボキシ−132−ジメチルエステル由来のカルボキシル基炭素のシグナル強度を添加量相当に高く検出中心面平均粗さ:19nmフライスペック:1級【0046】[参考例5]テレフタル酸ジメチルを帝人製のバージンDMT(識別化合物なし)とする以外は実施例5と同様に行い、厚さ15μmのフィルムを得た。得られたポリエステルフィルム物性は、下記の通りである。
固有粘度:0.56テレフタル酸−カルボキシ−132−ジメチルエステル:テレフタル酸−カルボキシ−132−ジメチルエステル由来のカルボキシル基炭素のシグナル強度を既知ポリエチレンテレフタレート並みに検出中心面平均粗さ:19nmフライスペック:1級【0047】[実施例6]ポリエチレンテレフタレートをエチレングリコールで解重合し、次いでメタノールでエステル交換反応して得られたテレフタル酸ジメチル(以下、原料リサイクルDMTと略記する)に、識別化合物として、テレフタル酸−カルボキシ−132−ジメチルエステルを50重量ppm添加したテレフタル酸ジメチル100重量部、およびエチレングリコ−ル(以下、「EG」と略記)70重量部を、酢酸マンガン・4水和物を触媒として常法通りエステル交換せしめた後、安定剤としてトリメチルホスフェートを添加して、エステル交換反応を終了せしめ、EG90重量部に、三二酸化アルミニウム(アルミナ)微粒子(平均粒径0.3μm)10部を添加し分散させたスラリーを10重量部(三二酸化アルミニウム(アルミナ):1.0重量%対原料リサイクルDMT)を撹拌下添加した。その後、重合触媒として三酸化アンチモンを添加し、高真空下で常法通りの重縮合反応を行い極限粘度0.620のポリエチレンテレフタレートを得た。
【0048】得られたポリエステル10重量部と実施例1にて得られたポリエステル90重量部を混合し180℃で乾燥後、溶融製膜によりシート化し、続いて90℃で縦延伸倍率3.5倍、横延伸倍率4.0倍に2軸延伸し、更に200℃で熱固定して厚さ15μmのフィルムとした。得られたポリエステルフィルム物性は、下記の通りである。
固有粘度:0.55テレフタル酸−カルボキシ−132−ジメチルエステル:テレフタル酸−カルボキシ−132−ジメチルエステル由来のカルボキシル基炭素のシグナル強度を添加量相当に高く検出中心面平均粗さ:19nmフライスペック:1級【0049】[参考例6]テレフタル酸ジメチルを帝人製のバージンDMT(識別化合物なし)とする以外は実施例6と同様に行い、厚さ15μmのフィルムを得た。得られたポリエステルフィルム物性は、下記の通りである。
固有粘度:0.55テレフタル酸−カルボキシ−132−ジメチルエステル:テレフタル酸−カルボキシ−132−ジメチルエステル由来のカルボキシル基炭素のシグナル強度を既知ポリエチレンテレフタレート並みに検出中心面平均粗さ:19nmフライスペック:1級【0050】[実施例7]三菱化学製のバージンTA(識別化合物なし)100重量部、およびエチレングリコ−ル(以下、「EG」と略記)55重量部を常法通りエステル化せしめた後、安定剤としてトリメチルホスフェートを添加して、エステル化反応を終了せしめ、重合触媒として二酸化ゲルマニウムを添加し、高真空下で常法通りの重縮合反応を行い極限粘度0.620のポリエチレンテレフタレートを得た。
【0051】得られたポリエステル50重量部と実施例1にて得られたポリエステル50重量部を混合し180℃で乾燥後、溶融製膜によりシート化し、続いて90℃で縦延伸倍率3.5倍、横延伸倍率4.0倍に2軸延伸し、更に200℃で熱固定して厚さ15μmのフィルムとした。得られたポリエステルフィルム物性は、下記の通りである。
固有粘度:0.55テレフタル酸−カルボキシ−132−ジメチルエステル:テレフタル酸−カルボキシ−132−ジメチルエステル由来のカルボキシル基炭素のシグナル強度を添加量の約1/2相当に高く検出中心面平均粗さ:14nmフライスペック:1級【0052】
【発明の効果】本発明によれば、ポリアルキレンテレフタレートを解重合し、メタノールでエステル化されたテレフタル酸ジメチルに識別化合物としての炭素或は/及び水素の同位体から構成されるテレフタル酸ジメチルを添加したテレフタル酸ジメチル組成物を使用したポリエステルフィルムであり、更にバージンDMTからなるポリエステルフィルムと同等の品質を有するポリエステルフィルム及びその識別方法を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000003001
【氏名又は名称】帝人株式会社
【出願日】 平成12年12月4日(2000.12.4)
【代理人】 【識別番号】100077263
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 純博
【公開番号】 特開2002−173523(P2002−173523A)
【公開日】 平成14年6月21日(2002.6.21)
【出願番号】 特願2000−368192(P2000−368192)