| 【発明の名称】 |
環状共役ジエン系共重合体 |
| 【発明者】 |
【氏名】宍戸 淳一
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| 【要約】 |
【課題】高度な耐熱性と透明性、非吸湿性、耐薬品性と、優れたキャスト加工性を兼ね備えたオレフィン系樹脂およびその重合方法を提供すること。
【解決手段】(A)環状共役ジエン系単量体から誘導される分子構造単位と、(B)α−置換ビニル芳香族系単量体から誘導される分子構造単位を少なくとも含有し、ランダム構造である環状共役ジエン系共重合体、および該環状共役ジエン系共重合体の水素化、エポキシ化による変性共重合体、並びに環状共役ジエン系単量体とα−置換ビニル芳香族系単量体を用い、リビングアニオン重合によって重合する製造方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 下記式(1)で表される環状共役ジエン系共重合体。 【化1】
[式(1)は、重合体の組成式を表す。(A)、(B)、(C)は高分子主鎖を構成する各分子構造単位を表す。l、m、nは、高分子主鎖に含有される各分子構造単位のwt%を表す。 (A):環状共役ジエン系単量体から誘導される分子構造単位(該分子構造単位は、1種であっても2種以上であっても良い。)。 (B):α−置換ビニル芳香族系単量体から誘導される分子構造単位(該分子構造単位は、1種であっても2種以上であっても良い。)。 (C):その他共重合可能な単量体から誘導される分子構造単位(該分子構造単位は、1種であっても2種以上であっても良い。)。 ただし、(A)と(B)との結合構造はランダム構造であり、l+m+n=100であり、0.1≦l/m≦9、0≦n≦90、重合体の数平均分子量は5000以上500000以下である。] 【請求項2】 (A)環状共役ジエン系単量体から誘導される分子構造単位と、(B)α−置換ビニル芳香族系単量体から誘導される分子構造単位とからなるランダム高分子構造単位と、(C)その他共重合可能な単量体から誘導される分子構造単位からなる高分子構造単位を有することを特徴とする、請求項1記載の環状共役ジエン系共重合体(各分子構造単位は、それぞれ1種であっても2種以上であっても良い。)。 【請求項3】 請求項1または請求項2記載の環状共役ジエン系共重合体の高分子主鎖および高分子側鎖の、少なくとも一部が水素化されてなる水添環状共役ジエン系共重合体。 【請求項4】 請求項1または請求項2記載の環状共役ジエン系共重合体の高分子主鎖および高分子側鎖の、少なくとも一部の非共役二重結合がエポキシ化されてなるエポキシ化環状共役ジエン系重合体。 【請求項5】 請求項3の水添環状共役ジエン系共重合体の高分子主鎖および高分子側鎖の、少なくとも一部の非共役二重結合がエポキシ化されてなるエポキシ化水添環状共役ジエン系重合体。 【請求項6】 少なくとも、環状共役ジエン系単量体およびα−置換ビニル芳香族系単量体を原料単量体として用い、炭化水素化合物溶媒中にて、1族有機金属化合物とエーテル化合物とを組み合わせた重合開始剤の存在下に重合することを特徴とする環状共役ジエン系重合体の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱性、透明性、非吸湿性、耐薬品性および優れた加工性をも兼ね備えた、新規な環状ポリオレフィン系樹脂に関するものである。 【0002】 【従来の技術】ポリエチレン、ポリプロピレンなどに代表される汎用ポリオレフィン系材料は、耐酸性、耐塩基性など耐薬品性に優れ、非吸湿性である。また汎用ポリオレフィン系材料は熱可塑性樹脂でありリサイクル性に優れ、プラスチック構造材料として産業上利用価値が極めて高い。ところが、これら汎用ポリオレフィン系材料は、耐熱性と透明性の両立を求められる用途では利用できない。例えば一般的な結晶性を有するポリプロピレンの溶融温度は高々170℃であり、透明性も悪い。汎用ポリオレフィンの耐熱性を向上させるには、一般的には結晶化度を挙げることが挙げられる。しかしながら結晶性の高いものは、低いものに比較して更に透明性が悪く、耐熱性と透明性の両立を求められる用途には用いることが出来ないという問題があった。 【0003】ポリオレフィン系材料の改良として、多環ノルボルネン系単量体を用いた環状ポリオレフィン(特公平2−9612号公報、特開昭60−168708号公報、特公平8−26124号公報)が提案されている。これら多環ノルボルネン系単量体を用いた環状ポリオレフィン材料は、高分子主鎖骨格中に嵩高い5員環構造を含むことで、160℃程度の軟化温度を有するアモルファス構造をとり、汎用ポリオレフィンを超える耐熱性、透明性を有する材料として産業上の利用価値が高い。しかしながら、これらの有する各種特性は、近年の透明材料に求められる耐熱性、剛性、硬度、耐衝撃性としては必ずしも十分なものでは無かった。 【0004】これら多環ノルボルネン系単量体を用いた環状ポリオレフィン系材料の改良としては、1,3−シクロヘキサジエン系単量体をアニオン重合により重合した環状オレフィン系高分子(例えばWO94−28038号公報、WO94−29359号公報、特開平7−247321公報、特開平7−258318公報、特開平7−247323公報、特開平7−247405公報、特開平7−258362公報)が挙げられる。これらは、その高分子主鎖骨格中に特異な高分子ミクロ構造を有するシクロヘキサン環連続構造を含むことで、220℃を越える軟化温度を有したアモルファス構造をとり、耐熱性と透明性の両立を可能とし、かつ高い剛性と硬度を有している。また、製造方法であるアニオン重合のリビング性を利用して、シクロヘキサン環連続構造ブロック部とブタジエンやイソプレンなどからなるゴム成分ブロック部からなるブロック高分子構造を実現することで、耐熱性を損なうこと無く耐衝撃性を大幅に向上させることも可能としている。 【0005】しかしながら、必然的に特異な高分子ミクロ構造をとるシクロヘキサン環連続構造を有するために、溶解可能な溶媒が高沸点を有するデカヒドロナフタレンに事実上限定され、高度な特性を要求される光学フィルムを製造するために必須とされる溶媒キャスト法において、脱溶媒が極めて困難であり、その成形加工性に大きな問題を有していた。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高度な耐熱性と透明性、非吸湿性、耐薬品性と、優れた加工性とを兼ね備えた、新規な環状ポリオレフィン系樹脂の提供と、その製造方法を供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を解決するため環状オレフィンの研究を重ね、新規な環状ポリオレフィン系樹脂を発明するに至った。即ち、本発明は、[1] 下記式(1)で表される環状共役ジエン系共重合体、【0008】 【化2】
【0009】[式(1)は、重合体の組成式を表す。(A)、(B)、(C)は高分子主鎖を構成する各分子構造単位を表す。l、m、nは、高分子主鎖に含有される各分子構造単位のwt%を表す。 (A):環状共役ジエン系単量体から誘導される分子構造単位(該分子構造単位は、1種であっても2種以上であっても良い)。 (B):α−置換ビニル芳香族系単量体から誘導される分子構造単位(該分子構造単位は、1種であっても2種以上であっても良い)。 (C):その他共重合可能な単量体から誘導される分子構造単位(該分子構造単位は、1種であっても2種以上であっても良い)。 ただし、(A)と(B)との結合構造はランダム構造であり、l+m+n=100であり、0.1≦l/m≦9、0≦n≦90、重合体の数平均分子量は5000から500000である。] [2] (A)環状共役ジエン系単量体から誘導される分子構造単位と、(B)α−置換ビニル芳香族系単量体から誘導される分子構造単位とからなるランダム高分子構造単位と、(C)その他共重合可能な単量体から誘導される分子構造単位からなる高分子構造単位とを有することを特徴とする、[1]記載の環状共役ジエン系共重合体(各分子構造単位は、それぞれ1種であっても2種以上であっても良い)、[3] [1]または[2]記載の環状共役ジエン系共重合体の高分子主鎖、および高分子側鎖の、少なくとも一部が水素化されてなる水添環状共役ジエン系共重合体、[4] [1]または[2」記載の環状共役ジエン系共重合体の高分子主鎖、および高分子側鎖の、少なくとも一部の非共役二重結合がエポキシ化されてなるエポキシ化環状共役ジエン系重合体、[5] [3]の水添環状共役ジエン系共重合体の高分子主鎖、および高分子側鎖の、少なくとも一部の非共役二重結合がエポキシ化されてなるエポキシ化水添環状共役ジエン系重合体、[6] 少なくとも環状共役ジエン系単量体およびα−置換ビニル芳香族系単量体を原料単量体として用い、炭化水素化合物溶媒中にて、1族有機金属化合物とエーテル化合物とを組み合わせた重合開始剤の存在下に重合することを特徴とする環状共役ジエン系重合体の製造方法、である。 【0010】本発明に関して具体的に説明する。本発明における環状共役ジエン系単量体とは、炭素−炭素結合により構成される6員環以上の環状共役ジエンである。好ましい環状共役ジエン系単量体は、炭素−炭素結合により構成される6から8員環の環状共役ジエンである。特に好ましい環状共役ジエン系単量体は6員環の環状共役ジエンである。具体例としては1,3−シクロヘキサジエン、1,3−シクロオクタジエンおよびこれらの誘導体等を挙げることが出来る。これら単量体は必要に応じ1種でも、2種以上であっても構わない。特に好ましくは1,3−シクロヘキサジエン、1,3−シクロヘキサジエン誘導体である。 【0011】本発明におけるα−置換ビニル芳香族系単量体とは、α−位がアルキル基、アリール基などの炭化水素基で置換されたビニル芳香族単量体およびこれらの誘導体等を挙げることが出来る。具体的にはα−メチルスチレン、1,2−ジメチルスチレン、1,1−ジフェニルエチレン、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、1、3−ジイソプロペニルベンゼンが挙げられる。これら単量体は必要に応じ1種でも、2種以上であっても構わない。 【0012】本発明におけるその他共重合可能な単量体とは、アニオン重合によって重合可能な従来公知な単量体である。例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどの鎖状共役ジエン系単量体、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、tert−ブチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、o−メトキシスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレン、ビニルピリジンなどの、α−置換ビニル芳香族系単量体を除くビニル芳香族系単量体、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メチルビニルケトン、α−シアノアクリル酸メチルなどの極性ビニル系単量体やエチレンオキシド、プロピレンオキシド、環状ラクトン、環状ラクタム、環状シロキサン等の極性単量体、並びにエチレン、α−オレフィン系単量体を例示することが出来、これら単量体は必要に応じ1種でも、2種以上であっても構わない。 【0013】本発明の環状共役ジエン系共重合体は、環状共役ジエン系単量体から誘導される分子構造単位とα−置換ビニル芳香族系単量体から誘導される分子構造単位がランダム構造をとることが必須である。また、環状共役ジエン系単量体より誘導される分子構造単位のα−置換ビニル芳香族系単量体より誘導される分子構造単位に対する重量比l/mは0.1以上、9以下である。l/mが0.1よりも小さいとα−置換ビニル芳香族系単量体より誘導される分子構造単位の組成割合が増え、脆すぎ光学材料として好ましくない。また、9を越えると環状共役ジエン系単量体から誘導される分子構造単位が長すぎることから十分な溶媒溶解性を発現させることが困難である。耐熱性と溶媒溶解性の兼合いから0.6≦l/m≦5であることが好ましい。 【0014】本発明における環状共役ジエン系共重合体の数平均分子量としてはポリスチレン換算平均数分子量で5000以上、500000以下であり、好ましくは10000以上、200000以下である。5000未満であると高分子材料としての強度、耐衝撃性が十分に発現できない。また500000より大きいと溶媒溶解時の溶液粘度が高すぎて実用的でない。本発明の環状共役ジエン系共重合体は、少なくとも(A)環状共役ジエン系単量体から誘導される分子構造単位と、(B)α−置換ビニル芳香族系単量体から誘導される分子構造単位とが、ランダムに重合した共重合体である。 【0015】本発明の環状共役ジエン系共重合体は、(A)環状共役ジエン系単量体から誘導される分子構造単位と、(B)α−置換ビニル芳香族系単量体から誘導される分子構造単位とからなるランダム高分子構造単位と、(C)その他共重合可能な単量体から誘導される分子構造単位からなる高分子構造単位とから構成される高分子ブロック構造を有することが可能である。特に(C)その他共重合可能な単量体から誘導される分子構造単位に鎖状共役ジエン系単量体から誘導される分子構造単位を選択した場合、耐熱性と溶媒溶解性を維持したまま、耐衝撃性を大きく向上させることができる。高分子ブロック構造はジブロック構造、トリブロック構造など必要に応じて選択可能である。 【0016】式(1)中における(C)その他共重合可能な単量体から誘導される分子構造単位のwt%であるnは、必要とされる製品の特性により望まれる値が異なり、0以上90以下で選択することが可能である。耐衝撃性を必要とされず、耐熱性と表面硬度のバランスに重きを置いた製品に用いられる場合、nの値は0以上、10未満を選択することが好ましい。更に好ましくは0以上、1以下であり、成膜後の膜表面硬度が最も高く、実用上重要な耐傷付き特性が最も良い。 【0017】また表面硬度よりも、耐熱性と耐衝撃性のバランスに重きを置いた製品に用いられる場合、nの値は10以上、90以下を選択することが好ましい。nが90よりも大きい場合、(A)環状共役ジエン系単量体から誘導される分子構造単位と、(B)α−置換ビニル芳香族系単量体から誘導される分子構造単位とからなるランダム高分子構造単位と、(C)その他共重合可能な単量体から誘導される分子構造単位からなる高分子構造単位の間の相溶性が増し、相分構造が生じにくくなることから耐熱性と耐衝撃性のバランスをとることが難しくなる。耐熱性と耐衝撃性のバランスの観点から、より好ましいnの値は15以上80以下で、この領域内において透明性と必要な耐熱性を維持したまま、最も良く耐衝撃性を発揮することが可能である。 【0018】本発明の環状共役ジエン系共重合体は、重合反応終了後に適当な水素化触媒を使用して高分子主鎖および側鎖の一部または、全てが水素化された構造をとることが可能である。水素化により該共重合体の高温加熱時や屋外での紫外線暴露による分子切断が抑制され、耐環境性が向上する。本発明に用いられる水素化触媒とは必要な水素化された高分子構造が得られる触媒であれば種類、量は制限されない。水素化触媒としては4族、6族、7族、8族、9族、10族の金属、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウム、モリブデン、鉄、コバルト、ニッケル、レニウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、白金から選択される少なくとも1種の金属を含有する均一系水素化触媒あるいは不均一系水素化触媒を使用することが可能である。 【0019】均一系水素化触媒とは反応系に可溶な上記金属の有機金属化合物および金属錯体である。金属錯体の配位子としては水素、ハロゲン、窒素化合物、カルボン酸など適当な元素、有機化合物を任意に選択することが可能である。配位子の具体例としては、水素、フッ素、塩素、臭素、一酸化窒素、一酸化炭素あるいは、ヒドロキシル、エーテル、アミン、チオール、ホスフィン、カルボニル、オレフィン、各種ジエン等の化合物を例示することが出来る。また必要に応じてアルキルリチウム、アルキルマグネシウム、アルキルアルミニウム等の1族、2族、13族の有機金属化合物を還元剤として併用することが可能である。 【0020】均一系水素化触媒の具体例としてはナフテン酸ニッケル、オクタン酸ニッケル、ニッケルアセチルアセタート、塩化ニッケル、ニッケルカルボニル、ニッケロセン、ナフテン酸コバルト、オクタン酸コバルト、コバルトアセチルアセタート、塩化コバルト、コバルトカルボニル、チタン錯体としてジシクロペンタジエニルチタニウムジクロリド、ルテニウム錯体としてクロロヒドリドカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジヒドリドカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムを挙げることができる。 【0021】本発明における均一系水素化触媒の使用量は、水素化条件によって適宜選択されるが、重合体に対し金属濃度として1wtppm以上、2000wtppm以下の範囲が好ましく、より好ましくは10wtppm以上、500wtppm以下の範囲である。触媒使用量が1wtppm以上2000wtppm以下であると、十分な反応速度を得ることができ、製品の着色が問題となることもなく、また触媒金属の分離回収に多大な労力をかける必要もないことから好ましい。 【0022】反応温度としては使用する触媒により異なるが60℃以上180℃以下の範囲が好ましく、より好ましくは80℃以上160℃以下で実施する。温度が60℃以上であれば十分な反応速度を得ることができ、また180℃以下であれば、触媒の劣化が問題になることもない。不均一系水素化触媒とは、上記金属あるいは上記金属の酸化物をアルミナ、シリカ、活性炭、硫酸バリウム、酸化マグネシウム、チタニアなどに担持させたもの、あるいは上記金属粉体もしくは金属酸化物粉体そのものであり、反応系に不溶であることを特徴とする。反応の手法としては重合体溶液と不均一触媒粉体を分散体として水素化させることも、不均一触媒を反応塔に詰め、重合体溶液を流通させながら連続的に水素化させることも可能である。 【0023】担体に担持させて使用する金属としては、上記金属のなかでも、いわゆる貴金属が挙げられる。具体的な種類としては、レニウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、白金などが挙げられるが、分子切断などの副反応が少ないことからパラジウムが好ましい。担体の種類としては、水素化活性の面からはカーボン、シリカが好ましいが、反応後の触媒回収とリサイクル性、製品の色目を総合的に考慮した場合アルミナが最も好ましい。貴金属以外の不均一系触媒としては、ラネーニッケル触媒が挙げられる。 【0024】不均一水素化触媒に使用される貴金属を担体に担持させた触媒の具体例としては、エヌ・イー・ケムキャット(株)製の貴金属触媒[2wt%白金アルミナ粉末(担体:アルミナ粉末、比表面積80〜100m2/g)、5wt%パラジウムアルミナ粉末(担体:アルミナ粉末、比表面積80〜100m2/g)、5wt%パラジウムカーボン粉末(担体:カーボン粉末、比表面積900〜1300m2/g、含水品)、5wt%パラジウムシリカ・アルミナ粉末(担体:シリカ・アルミナ粉末、比表面積400〜600m2/g)、5wt%ルテニウムアルミナ粉末(担体:アルミナ粉末、比表面積80〜100m2/g)、5wt%レニウムアルミナ粉末(担体:アルミナ粉末、比表面積80〜100m2/g)]を挙げることが出来る。 【0025】貴金属の種類としては、分子切断などの副反応が少ないことからパラジウムが好ましい。また、貴金属以外の不均一水素化触媒の具体例としては日興リカ(株)製スポンジニッケル触媒(商品名:R−100、R−200)など、いわゆるラネーニッケル触媒を挙げることが出来る。これらは水酸化ナトリウム水溶液でニッケルアルミニウム合金中のアルミニウム成分を溶解除去する工程、即ち一般的に展開と呼ばれる工程後、水分散状態からメタノール分散状態、次いでテトラヒドロフラン分散状態、最終的に水素化溶媒分散状態へと溶媒を置換後、反応系に添加する。 【0026】不均一系水素化触媒の使用量は、反応系中に存在する重合体に対する金属濃度として0.1wt%以上、1000wt%以下の範囲であり、好ましくは0.5wt%以上、300wt%以下の範囲であり、更に好ましくは1.0wt%以上、150wt%以下の範囲である。反応温度は20℃以上、240℃以下の範囲であり、好ましくは90℃以上、180℃以下で実施する。温度は反応途中で必要に応じて変えることが可能であり、高分子主鎖および高分子側鎖中の不飽和2重結合を20℃以上、140℃未満で水素化し、その後必要に応じて140℃以上、240℃以下の範囲で高分子側鎖の芳香環を水添することが可能である。反応温度が20℃以上であることが反応速度の点から好ましい。また、240℃以下であれば触媒の劣化も起こらず、回収後の再使用時に活性が著しく低下することもなく好ましい。 【0027】反応時間は、反応系の濃度、触媒量、反応温度などの反応条件と、製品として目標とする水素化率の値で変化するが、1時間以上、24時間以内で終了させることが可能である。不均一系水素化触媒は均一触媒に比較して製品の色目が良く、反応系中にハロゲン、硫黄、リンなどを含む被毒物質を含まない場合は、分離回収後の再使用が容易であることから、工業的には均一系水素化触媒よりも望ましい。 【0028】本発明の環状共役ジエン系共重合体は、重合反応終了後もしくは水素化反応終了後に、適当な過酸化物によって、高分子主鎖および側鎖に存在する不飽和2重結合の一部または全てをエポキシ基に変性された構造をとることが可能である。エポキシ変性を行うことでキャスト成形後のフィルム表面の濡れ性を変えることが出来る。このことでITO透明電極に代表される無機質膜との密着性が大幅に改善される。また該エポキシ基を架橋させることでフィルムの表面硬度、いわゆる耐傷つき特性を向上させることが出来る。 【0029】エポキシ変性反応に使用する過酸化物の具体例としては過酸化水素水、過酢酸、過安息香酸、m−クロロ過安息香酸を例示でき、特に好ましくは過酢酸、m−クロロ過安息香酸を例示することが可能である。これらは高分子主鎖および高分子側鎖中の不飽和2重結合と等モル反応し、定量的に不飽和2重結合をエポキシ基に変性する。従って高分子中の二重結合を完全にエポキシ変性する場合は2重結合モル数と等モルもしくは、わずかに多いモル数の過酸化物を使用する。また架橋に関与することを期待して二重結合を一部残す場合はエポキシ化したい2重結合モル数と等しいモル数の過酸化物を使用すれば良い。 【0030】エポキシ変性反応に使用する溶媒は、反応前後で本発明の共重合体を必要十分に溶解することが可能であれば特に制限されない。具体的にはシクロヘキサン、デカリン、トルエンなどの有機溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素などの含ハロゲン有機溶媒などが挙げられるが、安全性の観点からみて含ハロゲン有機溶媒単独もしくは適切な有機溶媒/含ハロゲン有機溶媒の混合溶媒が望ましい。また必要に応じて水、炭酸水素ナトリウムなどの添加物を加えることが可能である。反応温度は反応速度の点から、20℃以上100℃以下で実施することが好ましい。 【0031】本発明のエポキシ化環状共役ジエン系共重合体は、適当な架橋剤を用いて架橋構造を取らせることも可能である。架橋剤としてはジカルボン酸無水物、アミン化合物、ポリアミドアミン化合物、反応可能な単量体、その他の架橋剤など必要に応じて選択可能であり、また必要に応じて過酸化物、有機リン系化合物などの硬化促進剤などを併用することも可能である。ジカルボン酸の具体例としては無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、無水クロレンド酸、アルケニルこはく酸無水物、ドデセルこはく酸無水物等が挙げられる。これら酸無水物を使用して架橋を行う場合、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィンを使用することが可能である。 【0032】アミン化合物の具体例としてはジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノプロピルアミン、ヘキサメチレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p,p,−ジアミノジフェニルエタン、p,p,−ジアミノジフェニルスルホン、メタキシレンジアミン等が挙げられる。ポリアミドアミン化合物の具体例としては各種ポリアミド、ポリアミドアミンアダクトが挙げられる。 【0033】反応可能な単量体の具体例としてはメチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、メチルアクリレートなどが挙げられ、これらで架橋を行う場合は硬化促進剤として日本油脂(株)社製パーブチルO、パーブチルHなどを使用することが可能である。その他の架橋剤の具体例としてはアルミニウムトリスエチルアセトアセテート、オクチル酸第一すず、ポリメルカプタンが挙げられる。 【0034】以下に、本発明の環状共役ジエン系共重合体の重合方法を述べる。本発明の環状共役ジエン系共重合体の重合方法は、炭化水素化合物溶媒中にて1族有機金属化合物/エーテル化合物を組み合わせた重合開始剤を用いたアニオン重合法である。本発明において重合溶媒に使用される炭化水素化合物としては、ブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、iso−オクタン、n−ノナン、n−デカン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナンのような炭素数4から10の飽和炭化水素化合物、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン、テトラリンのような炭素数6から10の芳香族炭化水素化合物が挙げられる。これらは工業的な生産性、次反応への影響などを考慮して任意に選択可能であり、必要に応じて1種、あるいは2種以上の混合物であっても良い。特に好ましい溶媒としてはシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリンのような飽和炭化水素化合物である。 【0035】本発明の環状共役ジエン系共重合体の重合方法において、重合開始剤として用いる1族有機金属化合物の1族金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムを挙げることが出来、なかでもリチウム、ナトリウムが好ましい。これらは1種でも必要に応じて2種類以上であっても構わない。重合開始剤として用いられる1族有機金属化合物を、好ましい有機金属化合物である有機リチウム化合物、有機ナトリウム化合物の場合を例に挙げて以下に説明する。 【0036】有機リチウム化合物、有機ナトリウム化合物とは、それぞれ炭素原子を少なくとも1個以上含有する有機残基に結合する1個または2個以上のリチウム原子、ナトリウム原子を含有する従来公知の化合物である。有機リチウム化合物としては、例えばメチルリチウム、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、iso−プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、ペンチルリチウム、ヘキシルリチウム、アリルリチウム、シクロヘキシルリチウム、フェニルリチウム、ヘキサメチレンジリチウム、1,3−ビス[1−リチウオ−1,3,3−トリメチル−ブチル]ベンゼン、シクロペンタジエニルリチウム、インデニルリチウム、ブタジエニルジリチウム、イソプレニルジリチウム等あるいは、ポリブタジエニルリチウム、ポリイソプレニルリチウム、ポリスチリルリチウム等高分子鎖の一部にリチウム原子を含有するオリゴマーもしくは高分子化合物が挙げられる。 【0037】有機ナトリウム化合物としては、ナフタレンナトリウム、α−メチルスチレンナトリウムリビング4量体、n−アミルナトリウムあるいはポリブタジエニルナトリウム、ポリイソプレニルナトリウム、ポリスチリルナトリウム等高分子鎖の一部にナトリウム原子を含有するオリゴマー、もしくは高分子化合物が挙げられる。好ましい有機リチウム化合物としては、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、シクロヘキシルリチウム、1,3−ビス[1−リチウオ−1,3,3−トリメチル−ブチル]ベンゼンが、また好ましい有機ナトリウム金属化合物としてはをナフタレンナトリウム、α−メチルスチレンナトリウムリビング4量体を挙げることが出来る。 【0038】本発明における重合開始剤である1族有機金属化合物の使用量は、目的とする分子量、高分子構造によって異なるが、一般的には全単量体1kgに対して金属原子として2×10-3から4×10-1molの範囲であり、好ましくは5×10-3molから2×10-1molの範囲で実施することが出来る。本発明の重合反応において、重合開始剤として1族有機金属化合物と組み合わせて用いられるエーテル化合物としては、分子中に1個以上の酸素原子を含んだエーテル化合物、例えばジメチルエーテル、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジメトキシエチレングリコール、ジエトキシエチレングリコール、ジオキサン、トリオキサン、2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン、1,1−ジメトキシシクロヘキサノン等を例示することが出来る。 【0039】本発明においてエーテル化合物の使用量は、エーテルの種類、目的とする重合体の組成により必要な量が異なる。エーテル化合物の重量をX、使用する環状共役ジエン系単量体とα−置換ビニル芳香族系単量体の合計重量をYとすると、分子中に酸素原子を1つ持つエーテルの場合は、X/Yで表される値が0.55以上、1000以下であることが好ましい。X/Yが0.55以上であれば、十分な速さで目的とする高分子量ランダム共重合体を得ることができる。1000より大きい場合、重合中の活性末端の失活が無視できなくなり、重合体の数平均分子量の制御が困難になる。より好ましいX/Yの範囲としては0.60以上、500以下、特に好ましくは0.70以上、250以下である。 【0040】また、分子中に2つ以上の酸素原子を持つエーテルの場合は、 X/Yで表される値が0.025以上、100以下であることが好ましい。X/Yが0.025以上であれば、十分な速さで目的とする高分子量ランダム共重合体を得ることができる。100より大きい場合、重合中の活性末端の失活が無視できなくなり、重合体の数平均分子量の制御が困難になる。より好ましいX/Yの範囲としては0.03以上、50以下、特に好ましくは0.035以上、25以下である。 【0041】本発明に使用する重合開始剤である1族金属有機化合物に、単座配位可能なアミン類を更に添加して使用することが出来る。該アミン類の使用目的は、重合溶液中で会合構造をとる重合開始剤である1族金属有機化合物の会合を解き、単量体との開始反応を、極めて素早く終了させることにあり、使用により分子量分布を狭めることが可能である。具体的なアミン類としてトリエチルアミンを挙げることが出来る。使用量は1族金属元素に対しモル比で0以上、1以下で使用することが可能である。 【0042】本発明の重合反応における重合温度は、必要に応じて設定されるが、一般には−30℃以上、100℃以下であり、重合中の活性末端の失活が生じ難く、高分子量体が得られることから好ましい。重合速度の点から0℃以上、80℃以下で実施することがより望ましい。重合反応における単量体濃度は、全ての単量体の合計重量をY′、その他成分の合計重量をZとした場合、Y′/(Y′+Z)で表され、その値が0.01以上、0.50以下であることが好ましい。重合速度の点からは0.01以上が好ましく、また0.50を越えると反応溶液の粘度が高すぎ、反応器内部を均一に保つ攪拌が困難であることから好ましくない。好ましい単量体濃度は0.05以上、0.40以下、更に好ましくは0.10以上、0.35以下、特に好ましくは0.15以上、0.30以下である。 【0043】重合反応に要する時間は、目的あるいは重合条件によって異なったものになるため特に限定することは出来ないが、通常は48時間以内であり、特に好適には30分から8時間の範囲で実施される。重合反応はいずれも純度99.9999%、酸素0.2ppm未満、二酸化炭素1.0ppm未満の高純度窒素、高純度アルゴン等の不活性ガス下で実施する。重合中は系内に重合開始剤やアニオン活性末端を不活性化させるような不純物(例えば水、酸素、炭酸ガス等)が数ppm混入しても重合速度が大きく低下するので好ましくない。従って不純物の混入には特に留意する必要があり、重合系は大気圧よりも常に高いことが望ましく、また上記重合温度範囲で原料の単量体及び炭化水素化合物溶媒を液相に維持するのに十分な圧力範囲で実施する。 【0044】必要な重合度に達した時点でアニオン活性末端を停止させるため重合停止剤を用いて、重合を停止させる。本発明における重合停止剤としては、アニオン活性末端を失活させる公知の重合停止剤を採用することが出来る。好適なものとして、水、炭素数が1から20であるアルコール、ケトン、フェノール、カルボン酸、ハロゲン化炭化水素、あるいは二酸化炭素、水素、ハロゲンガス等を例示することが出来る。また重合停止前のリビング高分子を反応停止専用の反応器への移送し、その後に重合停止剤を用い、停止させることも可能である。 【0045】重合反応の形式は一括し込み式、追点式、一部一括し込み追添併用式、あるいは連続式などを利用することが可能である。即ち本発明の環状共役ジエン系共重合体の重合方法においては、重合溶媒、重合開始剤、アミン類、単量体を適宜必要に応じて、その一部および全量をあらかじめ反応器に添加することが可能であり、またその後の各成分の添加順序、添加時期も適宜必要に応じて選択することが可能である。 【0046】本発明の環状共役ジエン系共重合体を反応溶液から分離回収する方法としては、重合体を反応溶液から回収する際に通常使用される技術を採用することが出来る。例えば、反応溶液と水蒸気を直接接触させることで重合溶媒を蒸発除去させる水蒸気凝固法、重合溶媒と混合可能な重合体の貧溶媒に添加して重合体を沈澱させる方法、反応溶液を薄膜状にした上で加熱を行い溶媒を留去させる方法、ベント付き押出機で溶媒を留去しながらペレット化まで行う方法などを例示することが出来、環状共役ジエン系共重合体および用いた溶媒の性質に応じて最適な方法を採用することが可能である。 【0047】更に重合開始剤に含有される金属、アミン類、水素化触媒金属などを極めて低減させた高純度の環状共役ジエン系共重合体を得ることが必要な場合は、該環状共役ジエン系共重合体溶液中の金属イオンを適当なキレート化剤で水可溶化した上で高純度イオン交換水との交流接触にて抽出除去する方法、イオン交換樹脂カラムによるイオン性不純物除去方法、二酸化炭素超臨界法を使用した金属イオンおよび低分子アミン除去方法を必要に応じて実施することが可能である。 【0048】また、本発明の環状共役ジエン系共重合体の分離回収時には該共重合体の熱的安定性、紫外線などに対する安定性および難燃性を向上させるため、公知の安定剤および酸化防止剤、具体的にはフェノール系、有機ホスフェート系、有機ホスファイト系、アミン系、イオウ系、珪素含有系、ハロゲン系等の種々の安定剤、酸化防止剤、難燃剤を採用することが可能である。これら安定剤、酸化防止剤、難燃剤の一般的添加量としては、環状共役ジエン系共重合体100重量部に対し、0.001から5重量部の範囲が選択される。 【0049】本発明の環状ジエン系共重合体は、溶解可能な溶媒(該溶解可能な溶媒とは炭素数4〜10の炭化水素溶媒、エーテル化合物、含ハロゲン有機溶媒、炭素数が6〜10のケトン化合物であり、1種であっても2種以上であっても良い。)に溶解し、スピンコート、ディツプコート、ブレードコート、ロールコートなどの適切な塗布法で基材にコート後、乾燥によりフィルムを得る公知のキャスト成膜法により、フィルムに加工することが可能である。好ましい溶解可能な溶媒としては、シクロヘキサン、トルエン、デカリン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、シクロヘキサノンが挙げられる。溶解可能な溶媒からキャスト成膜加工を実施することで、耐熱性、表面硬度、耐衝撃性のバランスに優れ、表面平滑性が高く、複屈折の低いフィルムを得る事が可能である。 【0050】これら高度な光学特性を有するフィルムの用途としては、液晶用ガラス基板代替、有機エレクトロルミネッセンス基板、光導波路、電子ペーパー用基板材料、有機半導体用基板など電子材料用途、また遺伝子診断チップ用基板、各種マイクロタス用基板など光学的な検出が必要な医療材料用途が挙げられる。 【0051】 【発明の実施の形態】以下に、実施例、比較例によって本発明を更に具体的に説明するなお、本発明に用いた環状共役ジエン系単量体および炭化水素化合物溶媒はカルシウムハイドライドを加え、高純度アルゴン雰囲気下で12時間還流後、蒸留精製したものを使用した。α−置換ビニル芳香族系単量体は0.5規定水酸化ナトリウム溶液で重合禁止剤を抽出除去し、次いでpHが中性になるまで水洗し、無水硫酸ナトリウムで脱水後、高純度アルゴン気流下で減圧蒸留精製を実施したものを使用した。エーテル化合物は高純度アルゴン雰囲気下で金属ナトリウムとベンゾフェノンを加え一昼夜還流後、蒸留精製したものを使用した。 【0052】また実施例、比較例において用いた測定は以下の通りである。 <ガスクロマトグラフィー(GC)測定>島津製作所製GC−14に、ββ,−オキシジプロピオニトリルをカラム充填物にしたパックドカラムを使用した。移動層はHe、カラム温度90℃、インジェクションおよびディテクター部の温度は200℃で行った。実際の各成分の転化率を求めるに当たり内部標準としてエチルベンゼンを使用した。 <ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定>サンプリングしたブタジエン部高分子、全ての実施例および比較例で示した重合後の高分子、実施例8に例示されるエポキシ化高分子の数平均分子量測定、重量分子量分布測定は、Showdexカラム(K−802、同804、同805)を付した東ソー製HLC−8020型装置を使用した。測定はテトラヒドロフラン移動相、カラム温度40℃の条件で行った。分子量は標準ポリスチレンサンプルの溶出時間から作成した検量線から、ポリスチレン換算分子量として算出した。 【0053】比較例2、3に例示される水素化後の高分子はテトラヒドロフランへの溶解度が極めて低く、HLC−8020での測定が不可であった。そこで高分子ラボラトリー社製PL−210高温GPCを用いて測定した。移動相はo−ジクロロベンゼン、カラム温度は130℃で実施した。 <ガラス転位温度の測定方法>セイコー電子社製DSC200を使用した。サンプル重量10〜15mg、窒素気流下(60mL/分)、昇温速度10℃/分の条件で測定を実施した。 <サンプリングしたブタジエン部高分子のミクロ構造測定方法>NMR装置JEOL−EX270を用いて行った。測定溶媒には重クロロホルムを用い、濃度12.5mg/0.5mL重クロロホルム、室温で測定した。ブタジエン部の全2重結合に対する1,2−構造比の算出方法は高分子合成の実験法(化学同人社、実験例225、p51)に示された下記式(2)を採用した。 【0054】 【数1】
【0055】式中、I(4.60〜5.05)はNMRの4.60から5.05ppmの範囲の積分面積。I(5.05〜6.00)はNMR5.05から6.00ppmの範囲の積分面積。xはブタジエン部の全2重結合に対する1,2−構造比である。 <水素化率の測定方法>紫外吸光度分析とNMR装置(JEOL−EX270、測定条件:測定溶媒o−ジクロロベンゼン−d4、濃度12.5mg/0.5mLo−ジクロロベンゼン−d4、135℃測定)を併用して水素化率を求めた。ガスクロマトグラフィーから未反応単量体の割合を求め、該割合と仕込み単量体量から、高分子を構成する分子構造単位の組成比を求めた。次いで紫外吸光度分析から高分子中の残存ベンゼン環を求めてα−MSの水素化率を求めた。 【0056】高分子を構成する分子構造単位の組成比、ブタジエン部の全2重結合に対する1,2−構造比、α−MS水素化率を定数とした上で、CHDとブタジエン部2重結合に関しては1,2−構造と、1,4−構造で特別な選択性が存在しないと仮定をとり、値を計算した。 <エポキシ化率の測定方法>NMR装置(JEOL−EX270、測定溶媒:重クロロホルム、濃度12.5mg/0.5mL重クロロホルム)を使用し、エポキシ反応後の1,3−シクロヘキサン誘導部の水素2個分、エポキシ基の水素2個分の面積をそれぞれ求めた。次いでエポキシ基の水素2個分の面積を、両者を加えた面積で除したものをエポキシ化率とした。エポキシ化変性品の数平均分子量および重量平均分子量分布はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法により測定した標準ポリスチレン換算の値を示した。 【0057】 【実施例1】100mL耐圧ガラス瓶3本にそれぞれテフロン(登録商標)コート攪拌子を入れ、120℃で一昼夜加熱乾燥後、シクロヘキサンに1種間浸漬し可塑剤除去を行ったバイトンゴム(旭硝工(株)社製)で栓をし、王冠で打栓した。次いで真空ラインを用い0.02mmHgまで減圧、高純度アルゴンで置換を5回繰り返し実施することで、内部を十分にアルゴンで置換した。次いで、良く乾燥させ、窒素で置換したガラスシリンジを用いてシクロヘキサン、テトラヒドロフラン、α−メチルスチレン(以下α−MSと表記)、1,3−シクロヘキサジエン(以下CHDと表記)を表1に示した所定量で加え、良く混合した。次いで室温下(20℃)で攪拌しながら1.62規定n−ブチルリチウムヘキサン溶液をシリンジで所定量加え、重合を開始した。開始後30℃のオイルバスに浸け、攪拌を続け、重合反応を継続した。 【0058】反応系はn−ブチルリチウム溶液の滴下直後から直ちに赤橙色を示し、その後反応終了まで一定の色調、色濃度を保った。公知の事実としてα−MSのリビングアニオンの呈色は赤紫色であり、一方CHDのリビングアニオンの呈色はレモンイエローである。仮にブロック重合であると仮定し、最初にα−MSが反応し、次いでCHDが重合するものと考えると、反応系の呈色は当初赤紫色、次いで急激にレモンイエローに変色するはずである。また逆の順序でブロック重合すると仮定すれば、全く逆の順序で反応系が変色するはずである。これらの仮定は実験事実とは整合しない。従って重合反応はブロック的に進行しているわけでは無く、ランダム的に重合していることが明かである。 【0059】5.5時間後に重合反応を停止するため0.1mLのメタノールを加えた。停止後すぐ反応液の一部をサンプリングしCHDおよびα−MSの転化率を求めた。結果として各単量体の転化率は十分に高かった。その後、約2mLの反応液をシクロヘキサンで倍量に希釈後、50mLのアセトン中に注ぎ、激しく攪拌することで高分子沈殿物を得た。この沈殿物を濾別後、更にアセトンで洗浄し、その後真空乾燥器で十分に乾燥させ高分子粉体を得た。この高分子粉体のGPC測定を実施し数平均分子量、重量平均分子量分布を求めた。 【0060】分子量はn−ブチルリチウム量と単量体量から設定した設定数平均分子量にほぼ等しい値が得られ、かつ分子量分布は単一ピークであった。これらの事実から、各単量体がそれぞれ単独に重合し、2種類の高分子が生成しているわけでは無いことが明かになり、ブロック重合が否定されていることと合わせて考えると、重合がランダム的に進行していることを更に裏付けていると言える。次いで、表1の最も高分子量であるRun3のサンプルを使用して溶解度試験を実施した。試験溶媒は表5に記したものを使用した。まず50mLバイアル瓶に高分子1gを採取し、溶媒を4g加え、20wt%高分子溶液を調整した。次いで50℃のウオーターバスにつけながら手で攪拌、振揺を行った。概ね30分浸透し、室温に戻ったところで溶液の溶解状態を評価した。ゲル状態、白濁状態、固形物の残留が認められた場合、溶解不可と判断した。 【0061】溶解しきれていない場合は同一溶媒にて希釈し10wt%溶液を調整、再度50℃での攪拌、振揺を行った上で同様な基準で溶解状態を評価した。更に溶解しきれていない場合は、再度希釈し5wt%溶液を調整し、同様な溶解操作後、溶解性の確認を行った。評価の点数の付けかたは20%条件で溶解するものを◎、10%条件で溶解するものを○、5%条件で溶解するものを△、5%条件で溶解しないものを×とした。結果を表5に示す。この結果より各種溶媒に対して極めて溶解し易いことが明かである。 【0062】一方、特開平7−258318公報に開示のCHD高分子(比較例2)、CHD系ブロック高分子(比較例3)は室温下では各種溶媒に容易に溶解しない。この事実からもα−MSとCHDがランダム共重合し、シクロヘキサン環の連続構造がα−MS単量体単位で切断され、溶解性が向上していることが示されている。更にDSCを使用してTgを測定し、そのTgが170℃近辺に1点しか測定されないことを確認した。この点からもブロック共重合では無くランダム共重合であることが裏付けられる。 【0063】 【実施例2】実施例1同様に乾燥アルゴン置換した100mL耐圧瓶を5本用意し、それぞれシクロヘキサン27g、テトラヒドロフラン9.5g、α−MS3.1g、CHD9.6gを加えた。室温下(20℃)で0.8規定1,3−ビス[1−リチウオ−1,3,3−トリメチル−ブチル]ベンゼン/トリエチルアミン等モル混合物のシクロヘキサン溶液1.04mLを加え、重合を開始した。その後10から15℃で重合を実施続け、表2に示した15から240分までの所定の時間で、おのおの0.2mLのメタノールで重合を停止し、各単量体の転化率の時間推移、各時間までの高分子組成を求めた。また、実施例1同様の方法で高分子粉体を得、平均分子量、分子量分布の時間推移を求めた。結果として最終の240分重合品において数平均分子量約40000の単一ピークを示す高分子が、各単量体の転化率が高い状態で得られ、また高分子中のCHDwt%の時間推移もほぼ一定であることが明かになった。更にDSCより求めたTgは156℃に1点だけ測定された。 【0064】また、各単量体の加重平均から求めた全転化率と重合時間より、[−Ln(1−全転化率)]の値に関して時間推移をグラフ化すると、ほぼ直線関係が成立していることが認められ、重合速度は概ね1次反応であることがわかった。また数平均分子量と全転化率の間には合わせて比例関係があることから、重合はリビング的に進行していることが明かである。更に得られた240分重合後の高分子粉体に関して実施例1同様に溶解性試験を実施した。その結果を表5に示す。シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、クロロホルムを始めする各種有機溶媒に易溶であり、各種溶媒において高濃度調整が可能であった。 【0065】 【実施例3】実施例1同様に乾燥アルゴン置換した100mL耐圧瓶を5本用意し、それぞれシクロヘキサン25.5g、テトラヒドロフラン12.2g、α−MS5.3g、CHD7.9gを加えた。室温下(20℃)で0.8規定1,3−ビス[1−リチウオ−1,3,3−トリメチル−ブチル]ベンゼン/トリエチルアミン等モル混合物のシクロヘキサン溶液1.04mLを加え、重合を開始した。その後10から15℃で重合を実施続け、表3に示した15から240分までの所定の時間でおのおの0.2mLのメタノールで重合を停止し、各単量体の転化率の時間推移、各時間までの高分子組成を求めた。また実施例1同様の方法で高分子粉体を得、GPCで平均分子量、分子量分布の時間推移を求めた。結果として数平均分子量約40000の単一ピークを示す高分子が高転化率で得られ、また高分子中のCHDwt%もほぼ一定であることが明かになった。DSC測定からは162℃に1点だけにTgが測定された。 【0066】実施例2同様、重合速度は概ね1次反応であり、数平均分子量と全転化率の間には比例関係があることから、重合はリビング的に進行していることが明かであった。更に、実施例1と同様に溶解度試験を実施した。結果を表5に示す。240分重合後の高分子粉体はシクロヘキサン、テトラヒドロフラン、クロロホルムを始めとする各種有機溶媒に易溶であった。以上、実施例2および実施例3から環状共役ジエン単量体とα−置換芳香族単量体を混合し、適切な重合条件を選択することで、幅広い組成のランダム高分子を得ることが可能であることが明かになった。 【0067】 【実施例4】100mL耐圧ガラス瓶にテフロン(登録商標)コート攪拌子入れ、120℃で一昼夜加熱乾燥後、バイトンゴムで栓をし、王冠で打栓した。次いで真空ラインを用い0.02mmHgまで減圧、アルゴン置換を5回繰り返し実施することで内部を十分に乾燥アルゴンで置換した。次いで、良く乾燥させ、窒素で置換したガラスシリンジを用いてシクロヘキサン29.37g、2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン0.37g、α−MS2.47gを加え40℃に昇温した。その後1.62規定のn−ブチルリチウムヘキサン溶液を0.56mL加え、重合を開始した。開始後直ちにCHDの滴下を開始し、55分間で7.77gを加えた。重合開始直後、反応系は赤紫であった。CHD滴下開始直後から反応系は僅かに明るい橙色に変化し、3時間一定の色調、色濃度を保った。3時間後に重合反応を0.1mLのメタノールで停止した。CHDの転化率は100%、α−MSの転化率は99.4%であった。 【0068】GPC測定の結果、数平均分子量は11000であり、分子量分布1.6の単一ピークであった。更に、重合後の高分子粉体はシクロヘキサン、テトラヒドロフラン、クロロホルムを始めとする各種有機溶媒に易溶であった。更に、他実施例同様に溶解度試験を実施したところ、重合後の高分子粉体はシクロヘキサン、テトラヒドロフラン、クロロホルムを始めとする各種有機溶媒に易溶であった。このことから40℃以上での温度条件で重合が可能であること、テトラヒドロフラン以外のエーテル化合物でも、適切な条件を選択すれば必要な重合物を得ることが可能であることが明かになった。 【0069】 【比較例1】実施例1同様に乾燥アルゴン置換した100mL耐圧瓶を混合単量体調整用として2本、重合に用いる瓶として2本用意した。次いで混合用の瓶中でCHD/α−MS単量体混合液を2種類(7.0g/3.0g、9.0g/1.0g)調整した。次いで重合用耐圧瓶2本に、室温にて1mol/L濃度のN,N,N,,N,−テトラメチルエチレンジアミンを1.25mL、次に1.62規定のn−ブチルリチウムヘキサン溶液を0.62mLそれぞれ加え、5分間攪拌を行った。それぞれの重合用耐圧瓶に、調整した混合単量体10gを加え重合を開始した。その後40℃のオイルバスに浸け、攪拌を続けた。 【0070】いずれの単量体組成の反応系も単量体添加後直ちに赤紫のアニオン呈色を示し、開始剤末端がα−メチルスチレンアニオン末端に変化したことがわかった。また反応中を通してアニオン呈色の消失は認めらず、活性末端そのものの失活はほとんど無い様に観察された。一方で反応系の粘度増加はほとんど観察されず、高分子重合が進行している様子はうかがえなかった。2時間後0.1mLのメタノールで反応を停止した。それぞれの反応液約2mLを50mLのアセトン、メタノール貧溶媒にそれぞれに注いだ。いずれの混合液も僅かな白濁は認められたが分析に必要とするに十分な量の高分子が重合されておらず、濾別回収、およびその後の分析を実施することは出来なかった。 【0071】この事実から特開平7−258318公報に開示される特別な錯体構造を有する開始剤からは本発明の目的とする高分子が得られないことは明らかである。即ち本発明の高分子は、特開平7−258318公報に開示されるような、環状共役ジエン単量体からなる分子構造単位が特殊な高分子ミクロ構造をとる環状オレフィン系高分子とは本質的にその高分子ミクロ構造が異なることが明白である。 【0072】 【実施例5】5L高圧反応器を乾燥窒素で十分に乾燥、脱酸素を実施した。次いで反応溶媒としてシクロヘキサン1811g、テトラヒドロフラン575gを加え、攪拌を実施しながら内部温度を5℃まで冷却した。0.8規定1,3−ビス[1−リチウオ−1,3,3−トリメチル−ブチル]ベンゼン/トリエチルアミン等モル混合物のシクロヘキサン溶液19.75gを加え、α−MS151g、CHD454gを順に添加した。反応中の温度は5℃から15℃で制御した。11時間後メタノール0.7gで反応を停止した。反応後のCHDの転化率は94.8%、α−MSは77.8%、全転化率は89.8%、Tgは160℃であった。 【0073】次いで乾燥窒素下にてこの重合液1355gにシクロヘキサン1367gを加えて希釈し、エヌ・イ−・ケムキャット社製5%パラジウム担持アルミナ粉体550g(平均粒子径40μm)と混合後、5L高圧反応器に再度加えた。高純度窒素、次いで高純度水素で十分に内部ガスを置換し、反応器内部を80kgf/cm2にした。その後、水素圧を保ちながら、徐々に反応器内部温度を上昇させ180℃に到達後4時間反応を継続した。内部温度を室温まで冷却後、窒素下にて0.2μmPTFEメンブランフィルターを使用した加圧濾過器を用いて、5%パラジウムアルミナ粉体を除去した。濾過後の高分子溶液を全容積の4倍のアセトンに注ぎ込み、析出回収を実施した。回収高分子は真空乾燥器で乾燥し、残留溶媒を除去した。得られた高分子の各種キャラクタリゼーションを実施し、結果を表4に示した。また溶媒溶解性試験は実施例1同様の評価方法に基づき実施した。結果を表5に示した。 【0074】 【実施例6】5L高圧反応器を乾燥窒素で十分に乾燥、脱酸素を実施した。次いで反応溶媒としてシクロヘキサン1755g、テトラヒドロフラン21.3g、1,3−ブタジエン(以後BDと表記)148.5gを加え、攪拌を実施しながら内部温度を40℃に昇温した。0.8規定1,3−ビス[1−リチウオ−1,3,3−トリメチル−ブチル]ベンゼン/トリエチルアミン等モル混合物のシクロヘキサン溶液18.36gを加え重合を開始した。重合温度を40℃から45℃で制御し、1時間攪拌を続けた。1時間後冷却を開始し、反応器内部温度を5℃まで急冷却した。この時点で反応液の一部をサンプリングした。 【0075】次いで絶乾状態のテトラヒドロフラン608.6gを加え、α−MS110g、CHD341gを順に添加した。反応中の温度は5℃から15℃で制御した。12時間後メタノール1.6gで反応を停止した。途中サンプリングしたブタジエン部高分子の転化率は100%であった。サンプリングブタジエン高分子は反応溶液を20倍容量のメタノールに加え再沈回収を実施し、減圧乾燥により高分子を得、Tg、ブタジエン部高分子ミクロ構造を測定した。CHDの転化率は93.1%、α−MSは83.3%であった。Tgは2点測定され、低温側が−44℃、高温側が157℃であった。 【0076】次いで乾燥窒素下にてこの重合液1350gにシクロヘキサン1365gを加えて希釈し、エヌ・イ−・ケムキャット社製5%パラジウムアルミナ粉体550g(平均粒子径40μm)と混合後、5L高圧反応器に再度加えた。高純度窒素、次いで高純度水素で十分に内部ガスを置換し、反応器内部を80kgf/cm2にした。その後、水素圧を保ちながら、徐々に反応器内部温度を上昇させ180℃に到達後4時間反応を継続した。内部温度を室温まで冷却後、窒素下にて0.2μmPTFEメンブランフィルターを使用した加圧濾過器を用いて、5%パラジウムアルミナ粉体を除去した。濾過後の高分子溶液を全容積の4倍のアセトンに注ぎ込み、析出回収を実施した。回収高分子は真空乾燥器で乾燥し、残留溶媒を除去した。得られた高分子の各種キャラクタリゼーションを実施し、結果を表4に示した。また溶媒溶解性試験は実施例1同様の評価方法に基づき実施した。結果を表5に示した。 【0077】 【比較例2】まず5L高圧反応器を乾燥窒素で十分に乾燥、脱酸素を実施した。反応溶媒としてデカリン3150g、N,N,N,,N,−テトラメチルエチレンジアミン2.54gを反応器に加えた。次いで室温下にて0.8規定1,3−ビス[1−リチウオ−1,3,3−トリメチル−ブチル]ベンゼン/トリエチルアミン等モル混合物のシクロヘキサン溶液を16.66g加えた。反応器内部温度を40℃に昇温し、CHD350gを加え、重合を開始した。6時間後、メタノール2mLを加えて重合を停止させた。反応後のCHDの転化率は94.9%、Tgは140℃であった。 【0078】次いで乾燥窒素下にてこの重合液1300gと、デカリン1350gに分散させた日興リカ(株)製スポンジニッケル触媒(R−100相当品)とを混合し、5L高圧反応器に再度加えた。高純度窒素、次いで高純度水素で十分に内部ガスを置換し、反応器内部を80kgf/cm2にした。その後、水素圧を保ちながら、徐々に反応器内部温度を上昇させ160℃に到達後8時間反応を継続した。内部温度を室温まで冷却後、窒素下にて0.2μmPTFEメンブランを使用した加圧濾過器でスポンジニッケル触媒を除去し、透明な高分子溶液を得た。濾過後の高分子溶液を全容積の4倍のアセトンに注ぎ込み、析出回収を実施した。回収高分子は真空乾燥器で乾燥し、残留溶媒を除去した。得られた高分子の各種キャラクタリゼーションを実施し、結果を表4に示した。また溶媒溶解性試験は実施例1同様の評価方法に基づき実施した。結果を表5に示した。 【0079】 【比較例3】10L高圧反応器を乾燥窒素で十分に乾燥、脱酸素を実施した。反応溶媒としてデカリン6007g、N,N,N,,N,−テトラメチルエチレンジアミン2.2mLを反応器に加えた。次いで室温下にて0.8規定1,3−ビス[1−リチウオ−1,3,3−トリメチル−ブチル]ベンゼン/トリエチルアミン等モル混合物のシクロヘキサン溶液を79.3mL加えた。反応器内部温度60℃に昇温してBDを270g加え重合を開始した。開始後直ちに反応器の冷却を始め内部温度を60℃保った。25分後にブタジエン部のサンプリングを実施し、次いで反応器内部温度を40℃にした。更にN,N,N,,N,−テトラメチルエチレンジアミン9.0mLを加え、次いで5分後にCHD632gを加えた。重合開始から4時間後、ヘプタノール9.5mLを加えて重合を停止させた。反応後のCHDの転化率は95.7%であった。Tgは2点測定され、低温側が−46℃、高温側が132℃であった。 【0080】次いで乾燥窒素下にてこの重合液1300gと、デカリン1350gに分散させた日興リカ株式会社製スポンジニッケル触媒(R−100相当品)とを混合し、5L高圧反応器に加えた。高純度窒素、次いで高純度水素で十分に内部ガスを置換し、反応器内部を80kgf/cm2にした。その後、水素圧を保ちながら、じょじょに反応器内部温度を上昇させ160℃に到達後8時間反応を継続した。内部温度を室温まで冷却後、窒素下にて0.2μmPTFEメンブランでスポンジニッケル触媒を除去し、透明な高分子溶液を得た。濾過後の高分子溶液を全容積の4倍のアセトンに注ぎ込み、析出回収を実施した。回収高分子は真空乾燥器で乾燥し、残留溶媒を除去した。 【0081】得られた高分子の各種キャラクタリゼーションを実施し、結果を表4に示した。また溶媒溶解性試験は実施例1同様の評価方法に基づき実施した。結果を表5に示した。表4、表5より明かであるように実施例5、6は、それぞれ比較例2、3に比べて水素化前、水素化後いずれの場合も溶媒への溶解性が格段に改善されている。また水素化後は200℃以上のガラス転位温度を示し、要求されている耐熱性を十分に満たしている。 【0082】 【実施例7】5L高圧反応器を乾燥窒素で十分に乾燥、脱酸素を実施した。次いで反応溶媒としてシクロヘキサン1500g、テトラヒドロフラン900g、α−MS365gを加え、攪拌を実施しながら内部温度を20℃にした。次いで0.8規定1,3−ビス[1−リチウオ−1,3,3−トリメチル−ブチル]ベンゼン/トリエチルアミン等モル混合物のシクロヘキサン溶液20.1gを加え重合を開始した。その後CHD243gを1時間かけ徐々に反応系に加えた。反応中の温度は18℃から23℃で制御した。重合開始から7.5時間後メタノール0.7gで反応を停止した。反応後のCHDの転化率は97.7%、α−MSは95.7%、トータルの転化率は96.5%であった。 【0083】この高分子溶液を全容積の4倍のアセトンに注ぎ込み、析出回収を実施した。回収高分子は真空乾燥器で乾燥し、残留溶媒を除去した。回収後の高分子のTgは173℃、数平均分子量は42000であった。回収高分子10g(高分子中の2重結合モル数:50mmol)を500mLのフラスコに加え、十分に窒素置換後、クロロホルム50mLを加え、溶解した。次いでm−クロロ過安息香酸15.1g(吸湿品、純度69〜75%、純品としてのモル数60〜66mmol)をクロロホルム50mLに溶解し、室温下で高分子溶液に滴下した。滴下と同時に反応系の発熱が生じ、内部温度は上昇した。発熱がほぼ終了した時点で50℃に昇温した。6時間後に反応系を冷却後、1200mLのアセトンに注ぎ高分子を析出させた後、吸引濾過で高分子を濾別した。その後、濾別高分子全量を100mLのクロロホルムに再溶解し、再び1200mLのアセトンに注ぎ、高分子を析出させた。再度高分子を濾別回収し、室温下で減圧乾燥した。 【0084】乾燥後、高分子のガラス転位温度、GPC測定、NMRによるエポキシ化率の測定を実施した。Tgは238℃、数平均分子量は51000、エポキシ化率は99%であった。溶媒溶解性試験は実施例1同様の評価方法で実施した。結果を表5に示す。エポキシ化高分子はトルエン、キシレン、シクロヘキサノン、クロロホルムに易溶解であった。溶解させた高分子からキャスト法でフィルムを製造した結果、透明で、表面平滑性に優れたフィルムを得ることが出来た。 【0085】 【比較例4】実施例1同様に乾燥アルゴン置換した2000mL丸底フラスコ用意し、シクロヘキサン936g、テトラヒドロフラン2.40g(テトラヒドロフラン重量/全単量体重量=0.02)、スチレン72.0g、CHD48.0gを加えた。室温下で攪拌しながら1.06規定のセカンダリーブチルリチウムシクロヘキサン溶液3.40mLを室温下(20℃)で加え、重合を開始した。反応系は直ちにスチレン末端アニオンの赤紫色に呈色した。開始後、反応系を25℃のウオーターバスに浸け重合を行った。 【0086】重合開始後4分でスチレン末端アニオンの赤紫色の呈色が急激にCHD末端アニオンのレモンイエローに変化した。その後、反応系は、徐々に濁度が増すと同時にレモンイエローの呈色が薄くなった。40分後、反応系が白濁したあと、0.2mLのメタノールで反応を停止させた。停止後すぐ反応液の一部をサンプリングしスチレンとCHDの転化率を求めた。スチレンの転化率は100%、CHDの転化率は69.7%であった。約2mLの反応液採取し、シクロへキサンで倍量に希釈し、50mLのイソプロピルアルコール中に注ぎ、激しく攪拌することで、高分子沈殿物を得た。 【0087】この高分子沈殿物を濾別し、更にイソプロピルアルコールで再度洗浄後、真空乾燥器で十分乾燥させ、高分子粉体を得た。この高分子粉体のGPC測定を実施したところ、数平均分子量39100、重量平均分子量分布1.27の単一ピークであった。溶解性試験は実施例1同様に実施した。結果は表5に示したとおり、実施例に比較して明らかに溶解性が悪いことが明かであり、表面平滑性に優れるフィルムを作成することが困難であることが判る。 【0088】これは、反応系の呈色がスチレン末端の赤紫からCHD末端のレモンイエローに急激に変化したことからも判るように、重合初期にスチレンが優先的に重合し、その後CHDが重合したため、ポリスチレンとポリCHDのブロックを有しているためである。また反応系の濁度が急激に増したことからもシクロヘキサンに溶解し難いCHDブロックを有していることが裏付けられている。以上の事実から、スチレンとCHDの重合をテトラヒドロフラン重量/全単量体重量=0.02の条件下で実施した場合、スチレンとCHDのランダム構造高分子を得ることは出来ない。これはスチレンの重合活性末端が、CHDよりも圧倒的にスチレンと反応し易いためである。またテトラヒドロフランの使用量が増加した場合、スチレンの重合速度は、CHDの重合速度が増加する以上に速くなるため、よりブロック重合が進行し易い。 【0089】一方、本発明の場合、α−MSの重合活性末端は立体的に嵩高く、室温近辺に天井温度を有しているため、エーテル量を増加させてもα−MS末端からα−MSへの重合反応は抑制される。このためα−MS末端からは同種のα−MSよりもCHDが優先して反応し易い。従って適切なエーテルの使用量、重合条件を選択することでCHDの重合速度をα−MSの重合速度に合わせることが可能である。このため溶解性に優れるランダム共重合体の重合が可能になった。 【0090】 【表1】
【0091】 【表2】
【0092】 【表3】
【0093】 【表4】
【0094】 【表5】
【0095】 【発明の効果】本発明の環状共役ジエン系共重合体は、高度な耐熱性と透明性、非吸湿性、耐薬品性と、優れたキャスト加工性を兼ね備えたオレフィン系樹脂であり、産業上、大いに有用である。また、本発明の重合方法は、アニオン重合を使用して共役ジエン系環状オレフィン単量体と、α−置換ビニル芳香族系単量体とから目的であるランダム共重合体を得ることを可能としたものである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000033 【氏名又は名称】旭化成株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年6月13日(2001.6.13) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2002−371117(P2002−371117A) |
| 【公開日】 |
平成14年12月26日(2002.12.26) |
| 【出願番号】 |
特願2001−178850(P2001−178850) |
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