| 【発明の名称】 |
モノマー、ポリマー、それを用いた眼用レンズおよびコンタクトレンズ |
| 【発明者】 |
【氏名】藤澤 和彦
【氏名】下山 直樹
【氏名】横田 満
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| 【要約】 |
【課題】高酸素透過性で、かつ透明性を有する眼用レンズに適したポリマーが得られるモノマーを提供する。
【解決手段】下記一般式(a)または(a’)で表されるモノマー。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】重合性不飽和二重結合とシロキサニル基とを有し、かつ、側鎖にエステル基を有する置換基を有するモノマー。 【請求項2】エステル基を有する置換基が、エーテル結合および/またはポリアルキレングリコール鎖を有する請求項1に記載のモノマー。 【請求項3】下記一般式(a)または(a’)で表されるモノマー。 【化1】
[Aはシロキサニル基を表す。R1はHまたはメチル基を表す。R2は置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基および下記式(c) 【化2】
からなる群から選ばれた置換基を表す。式(c)中、R3はHまたはメチル基を表し、R4は置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基および置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基からなる群から選ばれた置換基を表し、kは0〜200の整数を表す。] 【請求項4】一般式(a)または(a’)において、シロキサニル基(A)が下記式(b)で表される置換基である、請求項3に記載のモノマー。 【化3】
[式(b)中、A1 〜A11はそれぞれが互いに独立にH、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基のいずれかを表す。nは0〜200の整数を表し、a、b、cはそれぞれが互いに独立に0〜20の整数を表す。ただしn=a=b=c=0の場合は除く。] 【請求項5】一般式(a)または(a’)において、シロキサニル基(A)がトリス(トリメチルシロキシ)シリル基、ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル基、トリメチルシロキシジメチルシリル基から選ばれた置換基である、請求項3に記載のモノマー。 【請求項6】請求項1〜5のいずれかに記載のモノマーを重合成分として含むポリマー。 【請求項7】エステル基を有する置換基数/シロキサニル基数比が0.1〜1の範囲内にある、請求項6に記載のポリマー。 【請求項8】請求項1〜5いずれかに記載のモノマーのホモポリマーであるポリマー。 【請求項9】請求項1〜5いずれかに記載のモノマーを重合成分として10%〜80%の範囲で含むポリマー。 【請求項10】請求項6〜9いずれかに記載のポリマーを用いてなる眼用レンズ。 【請求項11】請求項6〜9いずれかに記載のポリマーを用いてなるコンタクトレンズ。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はモノマーおよびポリマーに関するもので、該モノマーおよびポリマーはコンタクトレンズ、眼内レンズ、人工角膜などの眼用レンズとして特に好適に用いられる。 【0002】 【従来の技術】従来、眼用レンズ用モノマーとして、ケイ素基を有するモノマーが知られている。 【0003】例えば、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルメタクリレートが眼用レンズ用モノマーとして広く用いられている。この3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルメタクリレートと親水性モノマーであるN,N−ジメチルアクリルアミドを共重合して得られるポリマーは透明で高酸素透過性であるという特長を有する。しかし、さらに高い酸素透過性およびゴム弾性を得るために末端にメタクリル基を有するポリジメチルシロキサンなどのシリコーンマクロマーを加えた3成分系共重合体では十分な相溶性が得られないため、例えばコンタクトレンズとして使用した場合、得られたレンズが白濁してしまう場合があった。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、それを重合して得られるポリマーが高酸素透過性で、かつシリコーンマクロマー/親水性モノマーとの3成分系でも十分な相溶性を有するモノマーおよびそれを用いたポリマー、眼用レンズ、コンタクトレンズを提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を有する。 「(1)重合性不飽和二重結合とシロキサニル基とを有し、かつ、側鎖にエステル基を有する置換基を有するモノマー、(2)エステル基を有する置換基が、エーテル結合および/またはポリアルキレングリコール鎖を有する(1)に記載のモノマー、(3)下記一般式(a)または(a’)で表されるモノマー、【0006】 【化4】
【0007】[Aはシロキサニル基を表す。R1はHまたはメチル基を表す。R2は置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基および下記式(c) 【0008】 【化5】
【0009】からなる群から選ばれた置換基を表す。式(c)中、R3はHまたはメチル基を表し、R4は置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基および置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基からなる群から選ばれた置換基を表し、kは0〜200の整数を表す。]、(4)一般式(a)または(a’)において、シロキサニル基(A)が下記式(b)で表される置換基であることを特徴とする(3)に記載のモノマー、【0010】 【化6】
【0011】[式(b)中、A1 〜A11はそれぞれが互いに独立にH、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基のいずれかを表す。nは0〜200の整数を表し、a、b、cはそれぞれが互いに独立に0〜20の整数を表す。ただしn=a=b=c=0の場合は除く。]、(5)一般式(a)または(a’)において、シロキサニル基(A)がトリス(トリメチルシロキシ)シリル基、ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル基、トリメチルシロキシジメチルシリル基から選ばれた置換基であることを特徴とする(3)項記載のモノマー、(6) (1)〜(5)のいずれかに記載のモノマーを重合成分として含むポリマー、(7)エステル基を有する置換基数/シロキサニル基数比が0.1〜1である(6)記載のポリマー、(8)(1)〜(5)のいずれかに記載のモノマーのホモポリマーであるポリマー、(9)(1)〜(5)のいずれかに記載のモノマーを重合成分として10%〜80%の範囲で含むポリマー、(10)(6)〜(9)いずれかに記載のポリマーを用いてなる眼用レンズ。(11)(6)〜(9)いずれかに記載のポリマーを用いてなるコンタクトレンズ」である。 【0012】 【発明の実施の形態】まず本モノマーにおける各官能基について説明する。重合性不飽和二重結合とは、ラジカル重合によってポリマーを生ずることができる二重結合ならば何であってもよく、その例として(メタ)アクリロイル基、スチリル基、ベンゾイル基、ビニル基等を用いることができる。中でも合成の容易性や重合性の観点から、メタクリロイル基を好ましく用いることができる。 【0013】本明細書におけるシロキサニル基とは、少なくとも1つのSi−O−Si結合を有する基を表す。シロキサニル基としては下記式(b)で表される置換基が原料の入手しやすさや合成の容易さの点で好ましく使用される。 【0014】 【化7】
【0015】[式(b)中、A1 〜A11はそれぞれが互いに独立にH、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基のいずれかを表す。nは0〜200の整数を表し、a、b、cはそれぞれが互いに独立に0〜20の整数を表す。ただしn=a=b=c=0の場合は除く。]本発明のエステル基を有する置換基とは、本発明のモノマーの撥水性を緩和し親水性を高めるために導入されているものであり、単純なエステル基の他に、ポリアルキレングリコール鎖やエーテル結合を含有する置換基を好適に用いることができる。 【0016】本発明の内容を更にわかりやすく説明するために、以下に更に具体的に一般式(a)または(a’)における各置換基について説明する。 【0017】Aのシロキサニル基を説明した式(b)中、A1からA11はそれぞれが独立にH、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基などのアルキル基、フェニル基、ナフチル基などのアリール基を挙げることができる。また更に置換されたアルキル基やアリール基の例として、3−グリシドキシプロピル基、2−ヒドロキシエトキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−アミノプロピル基、フルオロフェニル基などをあげることができる。これらの中で最も好ましいのはメチル基である。 【0018】式(b)中、nは0〜200の整数であるが、好ましくは0〜50,さらに好ましくは0〜10である。a、b、cはそれぞれが互いに独立に0〜20の整数であるが、好ましくはa、b、cがそれぞれ互いに独立に0〜5の整数である。n=0の場合、好ましいa、b、cの組み合わせはa=b=c=1、a=b=1かつc=0である。 【0019】式(b)で表される置換基の中で、工業的に比較的安価に入手できることから特に好適なものはトリス(トリメチルシロキシ)シリル基、ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル基、トリメチルシロキシジメチルシリル基、ポリジメチルシロキサン基、ポリメチルシロキサン基、ポリ−コ−メチルシロキサン−ジメチルシロキサン基などである。 【0020】式(a)または(a’)中、R2は置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基および下記式(c) 【0021】 【化8】
【0022】からなる群から選ばれた置換基を表すが、R2が置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基または置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基からなる群から選ばれた場合、その好適な例としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、フェニル基、ナフチル基などであり、中でも好ましいのはメチル基、エチル基、フェニル基であり、最も好ましいのはメチル基である。R2が式(c)の型の置換基からなる群から選ばれた場合、式(c)中、R4は置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基および置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基からなる群から選ばれた置換基を表すが、その好適な例としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、フェニル基、ナフチル基などであり、中でも好ましいのはメチル基、エチル基、フェニル基であり、最も好ましいのはメチル基である。 【0023】式(c)中、kは0〜200の整数を表すが、kが大きくなると親水性が強くなるが、高酸素透過性とのバランスが悪くなるため、良好な物性バランスを得るためには0〜50が好ましく、0〜20がより好ましい。 【0024】本発明のポリマーは本発明のモノマーを単独で重合して得ることも、他のモノマーと共重合して得ることも可能である。共重合する場合の他のモノマーとしては、共重合可能であれば特に制限はなく、(メタ)アクリロイル基、スチリル基、アリル基、ビニル基、および他の重合可能な炭素・炭素不飽和結合を有するモノマーを使用することができる。 【0025】以下、その例をいくつか挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。 【0026】その例のグループの一つは、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、ビニル安息香酸、N,N−ジメチルアクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類、N−ビニルピロリドン等のNービニルラクタム類からなる親水性モノマー群である。他の例のグループとしては、メチル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート類、スチレンなどの芳香族ビニルモノマーなどの疎水性モノマー群である。更に酸素透過性を有するモノマーとして、フルオロアルキル基含有(メタ)アクリレート類、末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリジメチルシロキサンなどのシリコーンマクロマー類、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルメタクリレートなどである。 【0027】本発明のポリマーにおける一般式(a)または(a’)で表されるモノマーの(共)重合比率は、他にケイ素基を含むモノマーを含有しない場合、高酸素透過性と高親水性を両立させるという点から30〜100重量%、より好ましくは40〜99重量%、最も好ましくは50〜95重量%である。また、酸素透過性モノマーとの共重合においては、本発明のモノマーと他の酸素透過性モノマーとの合計が上記の共重合比率の範囲にあることが好ましい。更にこの場合、シロキサニル基の割合が高くなりすぎると水濡れ性と酸素透過性のバランスを確保することが困難となるため、ポリマー中の、エステル基を有する置換基数/シロキサニル基数比を一定値以上にすることが重要である。すなわち0.1〜1の範囲内にあることが好ましいが、特に0.3〜0.7の範囲内であると好適に用いられる。 【0028】本発明のポリマーにおいては、良好な機械物性が得られ、消毒液や洗浄液に対する良好な耐性が得られるという意味で、1分子中に2個以上の共重合可能な炭素炭素不飽和結合を有するモノマーを共重合成分として用いることが好ましい。1分子中に2個以上の共重合可能な炭素炭素不飽和結合を有するモノマーの共重合比率は0.1重量%以上が好ましく、0.3重量%以上がより好ましく、0.5重量%以上がさらに好ましい。 【0029】本発明のポリマーは、紫外線吸収剤や色素、着色剤などを含むものでもよい。また重合性基を有する紫外線吸収剤や色素、着色剤を共重合した形で含有してもよい。 【0030】本発明のポリマーを重合により得る際は、重合をしやすくするために過酸化物やアゾ化合物に代表される熱重合開始剤や、光重合開始剤を添加することが好ましい。熱重合を行う場合は、所望の反応温度に対して最適な分解特性を有するものを選択して使用する。一般的には10時間半減期温度が40℃〜120℃のアゾ系開始剤および過酸化物系開始剤が好適である。光重合開始剤としてはカルボニル化合物、過酸化物、アゾ化合物、硫黄化合物、ハロゲン化合物、および金属塩などを挙げることができる。これらの重合開始剤は単独または混合して用いられ、およそ1重量%くらいまでの量で使用される。 【0031】本発明のポリマーを重合により得る際は、重合溶媒を使用することができる。溶媒としては有機系、無機系の各種溶媒が適用可能であり特に制限はない。例を挙げれば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、tert−ブタノールなどの各種アルコール系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの各種芳香族炭化水素系溶剤、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、石油エーテル、ケロシン、リグロイン、パラフィンなどの各種脂肪族炭化水素系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどの各種ケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、フタル酸ジオクチル、二酢酸エチレングリコールなどの各種エステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、テトラエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテルなどの各種グリコールエーテル系溶剤であり、これらは単独あるいは混合して使用することができる。 【0032】本発明のポリマーの重合方法、成形方法としては通常の方法を使用することができる。たとえば一旦、丸棒や板状に成形し、これを切削加工等によって所望の形状に加工する方法、モールド重合法、およびスピンキャスト法などである。一例として本発明のポリマーをモールド重合法により得る場合について、次に説明する。 【0033】モノマー組成物を一定の形状を有する2枚のモールドの空隙に充填する。そして光重合あるいは熱重合を行ってモールドの形状に賦型する。モールドは樹脂、ガラス、セラミックス、金属等で製作されているが、光重合の場合は光学的に透明な素材が用いられ、通常は樹脂またはガラスが使用される。ポリマーを製造する場合には、多くの場合、2枚の対向するモールドにより空隙が形成されており、その空隙にモノマー組成物が充填されるが、モールドの形状やモノマーの性状によってはポリマーに一定の厚みを与え、かつ、充填したモノマー組成物の液もれを防止する目的を有するガスケットを併用してもよい。続いて、空隙にモノマー組成物を充填したモールドは、紫外線のような活性光線を照射されるか、オーブンや液槽に入れて加熱されて、モノマーを重合する。光重合の後に加熱重合したり、逆に加熱重合後に光重合するなど、両者を併用する方法もあり得る。光重合の場合は、例えば水銀ランプや捕虫灯を光源とする紫外線を多く含む光を短時間(通常は1時間以下)照射するのが一般的である。熱重合を行う場合には、室温付近から徐々に昇温し、数時間ないし数十時間かけて60℃〜200℃の温度まで高めていく条件が、ポリマーの光学的な均一性、品位を保持し、かつ再現性を高めるために好まれる。 【0034】本発明のポリマーを用いてなる成型品は、種々の方法で改質処理を行うことができる。表面の水濡れ性を向上させる改質処理を行うことが好ましい。 【0035】具体的な改質方法としては、電磁波(光を含む)照射、プラズマ照射、蒸着およびスパッタリングなどのケミカルベーパーデポジション処理、加熱、塩基処理、酸処理、その他適当な表面処理剤の使用、およびこれらの組み合わせを挙げることができる。これらの改質手段の中で、簡便であり好ましいのは塩基および酸処理である。 【0036】塩基処理または酸処理の一例としては、成型品を塩基性または酸性溶液に接触させる方法、成型品を塩基性または酸性ガスに接触させる方法等が挙げられる。そのより具体的な方法としては、例えば塩基性または酸性溶液に成型品を浸漬する方法、成型品に塩基性または酸性溶液または塩基性または酸性ガスを噴霧する方法、成型品に塩基性または酸性溶液をヘラ、刷毛等で塗布する方法、成型品に塩基性または酸性溶液をスピンコート法やディップコート法などを挙げることができる。最も簡便に大きな改質効果が得られる方法は、成型品を塩基性または酸性溶液に浸漬する方法である。 【0037】成型品を塩基性または酸性溶液に浸漬する際の温度は特に限定されないが、通常−50℃〜300℃程度の温度範囲内で行われる。作業性を考えれば−10℃〜150℃の温度範囲がより好ましく、−5℃〜60℃が最も好ましい。成型品を塩基性または酸性溶液に浸漬する時間については、温度によっても最適時間は変化するが、一般には100時間以内が好ましく、24時間以内がより好ましく、12時間以内が最も好ましい。接触時間が長すぎると、作業性および生産性が悪くなるばかりでなく、酸素透過性の低下や機械物性の低下などの悪影響が出る場合がある。 【0038】塩基としてはアルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、各種炭酸塩、各種ホウ酸塩、各種リン酸塩、アンモニア、各種アンモニウム塩、各種アミン類およびポリエチレンイミン、ポリビニルアミン等の高分子量塩基などが使用可能である。これらの中では、低価格であることおよび処理効果が大きいことからアルカリ金属水酸化物が最も好ましい。 【0039】酸としては硫酸、リン酸、塩酸、硝酸等の各種無機酸、酢酸、ギ酸、安息香酸、フェノール等の各種有機酸、およびポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸などの各種高分子量酸が使用可能である。これらの中では、処理効果が大きく他の物性への悪影響が少ないことから高分子量酸が最も好ましい。 【0040】塩基性または酸性溶液の溶媒としては、無機、有機の各種溶媒が使用できる。例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンなどの各種アルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの各種芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、石油エーテル、ケロシン、リグロイン、パラフィンなどの各種脂肪族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどの各種ケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、フタル酸ジオクチルなどの各種エステル類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、テトラエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテルなどの各種エーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、ジメチルスルホキシドなどの各種非プロトン性極性溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレンなどのハロゲン系溶媒、およびフロン系溶媒などである。中でも経済性、取り扱いの簡便さ、および化学的安定性などの点で水が最も好ましい。溶媒としては、2種類以上の物質の混合物も使用可能である。 【0041】本発明において使用される塩基性または酸性溶液は、塩基性または酸性物質および溶媒以外の成分を含んでいてもよい。 【0042】成型品は、塩基処理または酸処理の後、洗浄により塩基性または酸性物質を除くことができる。 【0043】洗浄溶媒としては、無機、有機の各種溶媒が使用できる。例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンなどの各種アルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの各種芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、石油エーテル、ケロシン、リグロイン、パラフィンなどの各種脂肪族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどの各種ケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、フタル酸ジオクチルなどの各種エステル類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、テトラエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテルなどの各種エーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、ジメチルスルホキシドなどの各種非プロトン性極性溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレンなどのハロゲン系溶媒、およびフロン系溶媒などである。 【0044】洗浄溶媒としては、2種類以上の溶媒の混合物を使用することもできる。洗浄溶媒は、溶媒以外の成分、例えば無機塩類、界面活性剤、および洗浄剤を含有してもよい。 【0045】該改質処理は、成型品全体に対して行ってもよく、例えば表面のみに行うなど成型品の一部のみに行ってもよい。表面のみに改質処理を行った場合には成型品全体の性質を大きく変えることなく表面の水濡れ性のみを向上させることができる。 【0046】本発明のポリマーの酸素透過性は、酸素透過係数70×10-11(cm2/sec)mLO2/(mL・hPa)以上が好ましい。 【0047】本発明のポリマーは、コンタクトレンズ、眼内レンズ、人工角膜などの眼用レンズとして特に好適である。 【0048】 【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。 <測定方法>本実施例における各種測定は、以下に示す方法で行った。 (1)プロトン核磁気共鳴スペクトル日本電子社製のEX270型を用いて測定した。溶媒にクロロホルム−dを使用した。 (2)ガスクロマトグラフィー(GC) 島津製作所製のGC−18A型(検出器:水素炎イオン化検出器)にジーエルサイエンス社製のキャピラリーカラム(TC−5HT)を用い、100℃で1分間保持した後、10℃/分の割合で340℃まで昇温し、340℃で5分間保持するという昇温プログラム(注入口温度340℃、検出器温度360℃)で測定した。キャリアガスはヘリウムを使用した。 (3)酸素透過係数理化精機工業社製の製科研式フィルム酸素透過率計を用いて35℃の水中にてコンタクトレンズ状サンプルの酸素透過係数を測定した。 【0049】実施例1200mLのナスフラスコに特開昭56−22325号公報記載のメタクリル酸ナトリウムを触媒として用いてメタクリル酸と3−グリシドキシプロピルメチルビス(トリメチルシロキシ)シランを反応させる方法により合成した下式(d)および(d’) 【0050】 【化9】
【0051】で表されるシロキサニルモノマー混合物40g(95mmol)、トリエチルアミン14.36g(142mmol)、酢酸エチル80mlを加え、0℃で撹拌しながら塩化アセチル10.1ml(142mmol)を滴下した。反応溶液を室温で2時間撹拌した後、ろ過して沈殿を除去し、酢酸エチルを加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、飽和食塩水で1回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥、エバポレータで溶媒を留去した。得られた液体を減圧蒸留で精製して透明の液体を得た。得られた液体のGCでは2本のピーク(ピーク面積比82/18)がみられた。これらのピークに含まれる化合物の分子量をGC−MSにより求めたところ、いずれのピークに含まれる化合物も同じ分子量を示したことから、これらのピークに含まれる化合物は互いに異性体であることが確認できた。この液体のプロトン核磁気共鳴スペクトルを測定し分析した結果、0ppm付近(3H)、0.1ppm付近(18H)、0.4ppm付近(2H)、1.5ppm付近(2H)、1.9ppm付近(3H)、2.1ppm付近(3H)、3.4ppm付近(1H)、3.6ppm付近(2H)、4.2ppm付近(1H)、4.4ppm付近(1H)、5.2ppm付近(1H)、5.6ppm付近(1H)、6.1ppm付近(1H)にピークが検出されたことから下式(M1)および(M1’)で表される化合物の混合物であると考えられる。 【0052】 【化10】
【0053】実施例2シロキサニルモノマー混合物(d)および(d’)の代わりに特開昭56−22325号公報記載のメタクリル酸ナトリウムを触媒として用いてメタクリル酸と3−グリシドキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シランを反応させる方法で合成した下記式(e)および(e’) 【0054】 【化11】
【0055】で表されるシロキサニルモノマー混合物を用いて実施例1と同様の合成を行った。得られた液体のプロトン核磁気共鳴スペクトルを測定し分析した結果、0.1ppm付近(27H)、0.4ppm付近(2H)、1.5ppm付近(2H)、1.9ppm付近(3H)、2.1ppm付近(3H)、3.4ppm付近(1H)、3.6ppm付近(2H)、4.2ppm付近(1H)、4.4ppm付近(1H)、5.2ppm付近(1H)、5.6ppm付近(1H)、6.1ppm付近(1H)にピークが検出されたことから下式(M2)および(M2’)で表される化合物の混合物であると考えられる。この混合物のGCのピーク面積比は87/13であった。 【0056】 【化12】
【0057】実施例3塩化アセチルの代わりに塩化プロピオニルを用いて実施例1と同様の合成を行った。得られた液体のプロトン核磁気共鳴スペクトルを測定し分析した結果、0ppm付近(3H)、0.1ppm付近(18H)、0.4ppm付近(2H)、1.1ppm付近(3H)、1.5ppm付近(2H)、1.9ppm付近(3H)、2.3ppm付近 (2H)、3.4ppm付近(1H)、3.6ppm付近(2H)、4.2ppm付近(1H)、4.4ppm付近(1H)、5.2ppm付近(1H)、5.6ppm付近(1H)、6.1ppm付近(1H)にピークが検出されたことから下式(M3)および(M3’)で表される化合物の混合物であると考えられる。この混合物のGCのピーク面積比は84/16であった。 【0058】 【化13】
【0059】実施例4塩化アセチルの代わりに塩化プロピオニルを用いて実施例2と同様の合成を行った。得られた液体のプロトン核磁気共鳴スペクトルを測定し分析した結果、0.1ppm付近(27H)、0.4ppm付近(2H)、1.1ppm付近(3H)、1.5ppm付近(2H)、1.9ppm付近(3H)、2.3ppm付近(2H)、3.4ppm付近(1H)、3.6ppm付近(2H)、4.2ppm付近(1H)、4.4ppm付近(1H)、5.2ppm付近(1H)、5.6ppm付近(1H)、6.1ppm付近(1H)にピークが検出されたことから下式(M4)および(M4’)で表される化合物の混合物であると考えられる。この混合物のGCのピーク面積比は86/14であった。 【0060】 【化14】
【0061】実施例5塩化アセチルの代わりに塩化ブチリルを用いて実施例1と同様の合成を行った。得られた液体のプロトン核磁気共鳴スペクトルを測定し分析した結果、0ppm付近(3H)、0.1ppm付近(18H)、0.4ppm付近(2H)、0.9ppm付近(3H)、1.5ppm付近(2H)、1.7ppm付近(2H)、1.9ppm付近(3H)、2.3ppm付近(2H)、3.4ppm付近(1H)、3.6ppm付近(2H)、4.2ppm付近(1H)、4.4ppm付近(1H)、5.2ppm付近(1H)、5.6ppm付近(1H)、6.1ppm付近(1H)にピークが検出されたことから下式(M5)および(M5’)で表される化合物の混合物であると考えられる。この混合物のGCのピーク面積比は85/15であった。 【0062】 【化15】
【0063】実施例6塩化アセチルの代わりに塩化ブチリルを用いて実施例2と同様の合成を行った。得られた液体のプロトン核磁気共鳴スペクトルを測定し分析した結果、0.1ppm付近(27H)、0.4ppm付近(2H)、0.9ppm付近(3H)、1.5ppm付近(2H)、1.7ppm付近(2H)、1.9ppm付近(3H)、2.3ppm付近(2H)、3.4ppm付近(1H)、3.6ppm付近(2H)、4.2ppm付近(1H)、4.4ppm付近(1H)、5.2ppm付近(1H)、5.6ppm付近(1H)、6.1ppm付近(1H)にピークが検出されたことから下式(M6)および(M6’)で表される化合物の混合物であると考えられる。この混合物のGCのピーク面積比は85/15であった。 【0064】 【化16】
【0065】実施例7塩化アセチルの代わりに塩化メトキシアセチルを用いて実施例1と同様の合成を行った。得られた液体のプロトン核磁気共鳴スペクトルを測定し分析した結果、0ppm付近(3H)、0.1ppm付近(18H)、0.4ppm付近(2H)、1.5ppm付近(2H)、1.9ppm付近(3H)、3.4ppm付近(4H)、3.6ppm付近(2H)、4.0ppm付近(2H)、4.2ppm付近(1H)、4.4ppm付近(1H)、5.2ppm付近(1H)、5.6ppm付近(1H)、6.1ppm付近(1H)にピークが検出されたことから下式(M7)および(M7’)で表される化合物の混合物であると考えられる。この混合物のGCのピーク面積比は83/17であった。 【0066】 【化17】
【0067】実施例8塩化アセチルの代わりに塩化メトキシアセチルを用いて実施例2と同様の合成を行った。得られた液体のプロトン核磁気共鳴スペクトルを測定し分析した結果、0.1ppm付近(27H)、0.4ppm付近(2H)、1.5ppm付近(2H)、1.9ppm付近(3H)、3.4ppm付近(4H)、3.6ppm付近(2H)、4.0ppm付近(2H)、4.2ppm付近(1H)、4.4ppm付近(1H)、5.2ppm付近(1H)、5.6ppm付近(1H)、6.1ppm付近(1H)にピークが検出されたことから下式(M8)および(M8’)で表される化合物の混合物であると考えられる。この混合物のGCのピーク面積比は87/13であった。 【0068】 【化18】
【0069】実施例9シロキサニルモノマー混合物(d)および(d’)の代わりに、特開昭56−22325記載のメタクリル酸ナトリウムを触媒として用いてメタクリル酸と3−グリシドキシプロピルメチルビス(トリメチルシロキシ)シランを反応させる方法で、メタクリル酸およびメタクリル酸ナトリウムの代わりにアクリル酸およびアクリル酸ナトリウムを用いて合成した下記式(f)および(f’) 【0070】 【化19】
【0071】で表されるシロキサニルモノマー混合物を用いて実施例1と同様の合成を行った。得られた液体のプロトン核磁気共鳴スペクトルを測定し分析した結果、0.1ppm付近(27H)、0.4ppm付近(2H)、1.5ppm付近(2H)、1.9ppm付近(3H)、2.1ppm付近(3H)、3.4ppm付近(1H)、3.6ppm付近(2H)、4.2ppm付近(1H)、4.4ppm付近(1H)、5.2ppm付近(1H)、5.6ppm付近(1H)、6.1ppm付近(1H)、6.4ppm付近(1H)にピークが検出されたことから下式(M9)および(M9’)で表される化合物の混合物であると考えられる。この混合物のGCのピーク面積比は85/15であった。 【0072】 【化20】
【0073】実施例10実施例1で得た式(M1)および(M1’)の化合物の混合物(30重量部)、N,N−ジメチルアクリルアミド(40重量部)、末端がメタクリル化されたポリジメチルシロキサン(分子量約1000、30重量部)、トリエチレングリコールジメタクリレート(1重量部)、ダロキュア1173(CIBA社、0.2重量部)を混合し撹拌した。均一で透明なモノマー混合物が得られた。このモノマー混合物をアルゴン雰囲気下で脱気した。窒素雰囲気下のグローブボックス中で透明樹脂(ポリ4−メチルペンテン−1)製のコンタクトレンズ用モールドに注入し、捕虫灯を用いて光照射(1mW/cm2、10分間)して重合し、コンタクトレンズ状サンプルを得た。 【0074】得られたレンズ状サンプルを水和処理した後、5重量%ポリアクリル酸(分子量約15万)水溶液に浸漬し、40℃で8時間改質処理を行った。改質処理後、精製水で十分洗浄し、バイアル瓶中のホウ酸緩衝液(pH7.1〜7.3)に浸漬しバイアル瓶を密封した。該バイアル瓶をオートクレーブに入れ、120℃で30分間煮沸処理を行った。放冷後、レンズ状サンプルをバイアル瓶から取り出し、ホウ酸緩衝液(pH7.1〜7.3)に浸漬した。 【0075】得られたサンプルは透明で濁りがなかった。このサンプルを水和処理したときの酸素透過係数は79×10-11(cm2/sec)mLO2/(mL・hPa)であり、高い透明性および高酸素透過性を有していた。 【0076】実施例11〜18実施例2〜9で得たモノマーの混合物を用いて、実施例10と同様の方法でコンタクトレンズ状サンプルを得た。得られたサンプルはいずれも透明で濁りがなかった。これらのサンプルを水和処理したときの酸素透過係数[×10-11(cm2/sec)mLO2/(mL・hPa)]は下表の通りであり、どのポリマーも高い透明性および酸素透過性を有していた。 【0077】 【表1】
【0078】比較例メタクリル酸3−トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルを用い、実施例10と同様のモル比でモノマー混合物を調製したところ、十分に混ざり合わず相分離した。このモノマー混合物を実施例10と同様に光照射して重合させたが、透明なコンタクトレンズ状サンプルは得られなかった。 【0079】 【発明の効果】本発明により、それを重合して得られるポリマーが高酸素透過性で、かつ透明性を有するモノマーが提供される。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003159 【氏名又は名称】東レ株式会社
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| 【出願日】 |
平成14年3月20日(2002.3.20) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2002−371116(P2002−371116A) |
| 【公開日】 |
平成14年12月26日(2002.12.26) |
| 【出願番号】 |
特願2002−78587(P2002−78587) |
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