トップ :: C 化学 冶金 :: C08 有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物




【発明の名称】 活性エネルギー線硬化型樹脂シート形成剤
【発明者】 【氏名】佐内 康之

【氏名】五十嵐 一郎

【氏名】河原 保

【氏名】稲田 和正

【氏名】松田 豊

【氏名】田中 順二

【要約】 【課題】得られる樹脂シートが200℃以上の耐熱性を有し、透明性に優れる上、さらに吸水率が低く、着色の問題がない活性エネルギー線硬化型樹脂シート形成剤、特に、光エレクトロニクス素子に適した樹脂シート製造のための活性エネルギー線硬化型樹脂シート形成剤の提供。

【解決手段】下記一般式(1)で表されるジアクリレートを含有してなる樹脂シート形成剤であって、得られる樹脂シートの分解温度が200℃以上である活性エネルギー線硬化型樹脂シート形成剤。
【特許請求の範囲】
【請求項1】下記一般式(1)で表されるジアクリレートを含有してなる樹脂シート形成剤であって、得られる樹脂シートの分解温度が200℃以上である活性エネルギー線硬化型樹脂シート形成剤。
【化1】

〔式(1)において、R1はアルキレン基であり、nは0〜2の整数である。〕
【請求項2】上記一般式(1)で表されるジアクリレートに、さらに光重合開始剤を含有してなる請求項1記載の活性エネルギー線硬化型樹脂シート形成剤。
【請求項3】請求項1又請求項2記載の形成剤からなる活性エネルギー線硬化型TFT液晶用樹脂シート形成剤。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、活性エネルギー線硬化型樹脂シート形成剤に関するものであり、本発明により得られる樹脂シートは、光学用レンズ及び各種積層シート部材等の種々の用途に使用可能であり、特に光エレクトロニクスに応用される光学用樹脂シートに好適に使用され得る。
【0002】
【従来の技術】従来、種々の用途に使用される光エレクトロニクス素子は、透明電導層を有するガラス基板上に素子を形成して製造されていた。しかしながら、近年の急速なエレクトロニクス技術の進歩に伴い、携帯電話及びノート型パソコン等といった可搬型機器が広く普及するようになり、光エレクトロニクス素子を用いた表示部に対しても、携帯に有利な様に、軽量化、耐衝撃性の向上が求められるようになってきた。従って、これらの表示部では、従来のガラス基板が有する「割れやすい」、「比重が大きい」といった欠点が問題となり、従来のガラス基板に代え、樹脂シートを基板材料とすることが検討されるようになってきている。
【0003】ところで、光エレクトロニクス素子を形成させるプロセスでは、特にTFT液晶の製造においては、およそ200℃以上の耐熱性が求められている。耐熱性高分子としては、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂及びエポキシ樹脂等が広く知られているが、これらの樹脂は透明性に問題があり、前記用途には使用できないものであった。
【0004】一方、ジ(メタ)アクリレートをはじめとする多官能(メタ)アクリレートからなる組成物を、熱又は光によりラジカル重合して得られる硬化物は、上記耐熱性樹脂に比べ、透明性が高く、さらには耐溶剤性に優れており、光エレクトロニクス素子用の樹脂シートとして検討がなされている。しかしながら、従来の多官能(メタ)アクリレートからなる組成物は、これが活性エネルギー線硬化型組成物の場合、酸素共存下で光硬化する際、又は硬化後の熱処理のプロセスにおいて、硬化物が着色し易いといった問題があった。又、当該用途においては、寸法安定性が要求されるため、樹脂シートの吸水率が低いことも要求されているが、従来の多官能(メタ)アクリレート組成物では、吸水率が比較的高いものであった。又、得られる硬化物の着色がなく、吸水性が低い組成物としては、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレートを含む組成物があるが、この場合には、逆に耐熱性が低下してしまうという問題を有するものであった。
【0005】そこで本発明者らは、得られる樹脂シートが200℃以上の耐熱性を有し、透明性に優れる上、さらに吸水率が低く、着色の問題がない活性エネルギー線硬化型樹脂シート形成剤、特に、光エレクトロニクス素子に適した樹脂シート製造のための活性エネルギー線硬化型樹脂シート形成剤を見出すため鋭意検討を行なったのである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の課題を解決するために鋭意検討した結果、特定構造を有するジアクリレートを含有する形成剤が、耐熱性に優れ、透明かつ加熱処理後の色付きがなく、極めて吸水性が低い樹脂シートを形成し得ることを見出し、本発明を完成した。以下、本発明を詳細に説明する。尚、本明細書においては、アクリレート又はメタクリレートを(メタ)アクリレートと表す。
【0007】
【発明の実施の形態】(A)ジアクリレート本発明のシート形成剤は、下記一般式(1)で表されるジアクリレート〔以下(A)成分という〕を含有してなるものである。下記一般式(1)において、アクリロイル基がメタクリロイル基であるものは、得られる樹脂シートの耐熱性が不充分となる。
【0008】
【化2】

【0009】式(1)において、R1はアルキレン基であり、nは0〜2の整数である。R1のアルキレン基としては、低級アルキレン基が好ましく、エチレン基及びプロピレン基がより好ましい。
【0010】(A)成分としては、単独で使用しても、2種以上を併用しても良い。
【0011】(B)光重合開始剤本発明のシート形成剤は、電子線、可視光線及び紫外線等の活性エネルギー線の照射により硬化するものであるが、膜厚の大きい樹脂シートを得るためには、可視光線又は紫外線硬化型とする方が好ましい。可視光線又は紫外線硬化型形成剤とする場合、形成剤に、光重合開始剤〔以下(B)成分という〕を配合する。尚、電子線硬化型形成剤とする場合は、(B)成分を必ずしも配合する必要はない。(B)成分の具体例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル及びベンゾインプロピルエーテル等のベンゾイン;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン及びN,N−ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン;2−メチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン及び2−アミルアントラキノン等のアントラキノン;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン及び2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン;アセトフェノンジメチルケタール及びベンジルジメチルケタール等のケタール;ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーズケトン及び4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン;並びに2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。(B)成分は単独で使用しても、2種以上を併用しても良い。(B)成分には、必要に応じて光増感剤を併用することができる。光増感剤としては、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、トリエチルアミン及びトリエタノールアミン等が挙げられる。
【0012】(C)その他の成分本発明のシート形成剤には、(A)成分を必須成分とするものであるが、必要に応じて、(A)成分以外のラジカル重合性単量体(以下その他単量体という)を配合することができる。その他単量体としては、1個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート〔以下単官能(メタ)アクリレートという〕、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート〔以下多官能(メタ)アクリレートという〕、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート及びポリブタジエン(メタ)アクリレート等が挙げられる。単官能(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンモノ(メタ)アクリレート及びイソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。多官能(メタ)アクリレートとしては、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、これら(メタ)アクリレートの原料アルコールのアルキレンオキサイド付加物のポリ(メタ)アクリレート、並びにイソシアヌル酸のアルキレンオキサイド付加物のポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。前記、アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。エポキシ(メタ)アクリレートとしては、グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル及びトリグリシジルイソシアヌレート等のグリシジルエーテルの(メタ)アクリレート、並びにビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂の(メタ)アクリレート等が挙げられる。その他単量体の使用量は、形成剤中に0〜50質量%が好ましく、より好ましくは15質量%以下である。これらの使用割合が高くなると、得られる液晶基板用シートの吸水率が極端に上昇したり、耐溶剤性が低下する場合がある。
【0013】本発明において硬化物の反応率を向上させる目的で、熱重合開始剤を配合することができる。熱重合開始剤としては、有機過酸化物及びアゾ系化合物等が挙げられる。有機過酸化物の具体例としては、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジーメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、α、α‘−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド及びt−ブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。アゾ系化合物の具体例としては、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾジ−t−オクタン及びアゾジ−t−ブタン等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。又、有機過酸化物は、還元剤と組み合わせることによりレドックス触媒とすることも可能である。熱重合開始剤としては、得られる樹脂シートに気泡が発生することがないため、有機過酸化物が好ましい。
【0014】又、得られる樹脂シートの複屈折を低減する目的で、形成剤中に分子内に2個以上のチオール基を有するメルカプト化合物を添加しても良い。当該メルカプト化合物の具体例としては、ペンタエリスリトールテトラキス(β−チオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)、トリメチロールプロパントリス(β−チオプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート)、ジエチレングリコールビス(β−チオプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(チオグリコレート)、トリエチレングリコールビス(チオグリコレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(β−チオプロピオネート)及びジペンタエリスリトールヘキサキス(チオグリコレート)等が挙げられる。メルカプト化合物は単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。メルカプト化合物の配合割合としては、5質量%以下が好ましい。5質量%を超えると、得られる樹脂シートの耐熱性が低下する場合がある。
【0015】(D)シート形成剤の製造方法本発明のシート形成剤において、電子線で硬化させる場合には、(A)成分のみで良く、又(B)成分やその他の成分を使用する場合は、常法に従い、各成分を混合することにより得ることができる。本発明のシート形成剤において、(A)成分の割合としては、前記その他単量体を併用する場合には、形成剤中に(A)成分が30質量%以上であることが好ましく、より好ましくは30〜99.98質量%、特に好ましくは50〜99.95質量%である。(B)成分を配合する場合は、(A)成分が90〜99.95質量%が好ましく、より好ましくは98〜99質量%であり、(B)成分が0.05〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜2質量%である。この場合において、その他単量体を併用する場合は、(A)成分が50〜99.95質量%が好ましい。
【0016】本発明のシート形成剤は、得られる樹脂シートの分解温度が200℃以上である必要がある。分解温度が200℃未満のものは、TFT液晶用樹脂シートの製造工程において、樹脂シートが分解してしまうため、この様な用途には使用することができない。尚、本発明における分解温度とは、示差走査熱量測定(以下DSCと略す)において、吸熱ピークが認められる温度を意味する。
【0017】(E)樹脂シートの製造方法本発明のシート形成剤を使用する樹脂シートの製造方法としては、常法に従えば良い。例えば、活性エネルギー線を透過可能な2枚の平板を用い、当該平板の四方を樹脂板等により囲って空間部を形成させ、必要に応じて周辺部をシールした後に、空間部分に形成剤を満たし、活性エネルギー線を前記平板を透過させて照射することにより硬化させる。硬化後、2枚の平板を取り除き、樹脂シートが得られる。
【0018】活性エネルギー線としては、電子線、可視光線及び紫外線が挙げられる。可視光線及び紫外線を照射する場合の光源としては、使用する光重合開始剤に応じて適宜選択すれば良く、高圧水銀ランプ及びメタルハライドランプ等を挙げることができる。平板としては、光の透過を阻害せず、ランプから発生する熱や重合熱による変形を生じないものが好ましい。好適なものとしては硬質ガラスを挙げることができ、硬質ガラスと同等の上記性能を有するものあれば、樹脂板等を使用することもできる。必要に応じ、空間部で得られた樹脂シートを容易に取り外すため、平板に種々の剥離剤を塗布したり、剥離層を設けても良い。これらについては、光の透過を阻害せず、さらに光照射時の熱による変形・変質をもたらさないものであれば、特に制限しない。
【0019】組成物に熱重合開始剤を配合する場合には、活性エネルギー線を照射した後、加熱することが好ましい。活性エネルギー線照射の後の加熱工程は、活性エネルギー線照射による硬化物を2枚の平板を取り除いた後加熱しても良く、又平板を取り除かずそのまま引き続き加熱しても良い。加熱には従来使用されている乾燥機を使用することができる。乾燥機としては窒素やアルゴン等の不活性ガスを通気可能なものが好ましく、形状や仕様は限定されない。又、乾燥機中が十分に不活性ガスで置換されていればガスの流量は特に限定されない。加熱温度としては、60〜250℃が好ましく、より好ましくは180〜230℃である。加熱温度が60℃に満たない場合は、(B)成分が十分に分解しなかったり、活性エネルギー線照射後の硬化物の加熱硬化速度が不充分になる場合があり、他方250℃を超えると、樹脂シートの主鎖骨格の分解やエステル部分の分解が生じる場合がある。加熱時間は短すぎると十分な効果が得られない場合があり、逆に長すぎると生産性・作業効率を著しく低下させてしまう。通常は10分〜2時間が好ましく、30分〜1時間がより好ましい。ただし、所望の反応率が100%近くでなくても良い場合は時間を短縮することは可能であるし、硬化物のひずみを緩和したいという目的もある場合は時間を長くしても良い。加熱硬化後の冷却は、特に硬化物のガラス転移温度(Tg)が高いものほど急激な冷却によりシートが割れやすくなる傾向があるため、徐々に室温まで下げるようにすることが好ましい。
【0020】本発明により得られる樹脂シートは、光学用レンズ及び各種積層シート部材等の種々の用途に使用可能であり、特に光エレクトロニクスに応用される光学用樹脂シートに好適に使用され得る。より具体的には、液晶ディスプレイ等の表示素子があり、本発明の樹脂シートは、熱分解温度が200℃以上で優れた耐熱性を有するため、製造プロセスで200℃以上の耐熱性が必要とされるTFT液晶用樹脂シートの製造において特に有用に使用することができる。
【0021】
【実施例】以下、実施例及び比較例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。
【0022】◎実施例1〜同8○シート形成剤の製造下記表1に示す成分を混合し、シート形成剤を製造した。
【0023】○樹脂シートの製造ガラス平板の四方に、樹脂板を置き、厚さ0.4mmの空間部を形成した。該空間部に得られた形成剤を満たした後、その上にガラス平板を置いた。これに、コンベアスピード5m/分、出力160W/cmの高圧水銀ランプで0.8J/cm2の条件で紫外線照射を、ガラス平板の表裏両面を各5回づつ行なった。硬化後、ガラス平板を取り除き、厚さ0.4mmの樹脂シートを得た。得られた樹脂シートを使用し、以下に示す方法に従い評価を行なった。得られた結果を表1に示す。
【0024】○評価・着色得られた樹脂シートについて、JIS K 5400に準じて促進黄色度を測定して評価した。色差計は日本電色工業(株)製、SZ optical sensorを用いた。
【0025】・耐熱性得られた樹脂シートの耐熱性を、熱分析により評価した。熱分析は、熱重量測定−示差熱測定(以下TG−DTAという)及びDSCにより行なった。TG−DTAは、窒素雰囲気下、温度範囲30〜380℃、昇温速度20℃/分の条件で行なった。DSCは、窒素雰囲気下、温度範囲30〜380℃、昇温速度10℃/分の条件で行なった。
【0026】・吸水率得られた樹脂シートを5cm×5cmに切り出し、これを試験片とした。この試験片を窒素中、210℃で1時間加熱し、硬化物を完全に乾燥させた後に、デシケーター中で放冷し、試験片を秤量した(W1)。ついで試験片を80℃の蒸留水に20時間浸漬し、取り出した後に試験片表面の水を軽く拭き取り秤量し(W2)、次式より吸水率を算出した。
【0027】
【式1】
吸水率(%)=100×(W2−W1)/W1【0028】
【表1】

【0029】表1における略号は、以下の意味を示す。
1)TCDDMDA:トリシクロデカンジメチロールジアクリレート〔(A)成分〕
2)HCPK:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン〔(B)成分〕
3)TCDEODA:トリシクロデカンジメチロールエチレンオキサイド2モル付加物のジアクリレート(n=1)〔(A)成分〕
4)BDMK:ベンジルジメチルケタール〔(B)成分〕
5)TCDDMDMA:トリシクロデカンジメチロールジメタクリレート6)M−315:東亞合成(株)製、イソシアヌル酸エチレンオキサイド3モル変性トリアクリレート【0030】実施例の結果から、本発明のシート形成剤は、得られる樹脂シートが耐熱性に優れ、透明かつ色付きがなく、さらに吸水率が極めて低い。一方、式(1)においてアクリロイル基をメタクリロイル基に変えた化合物を使用した比較例1の組成物では、耐熱性試験において180℃近辺から急激に分解が起こり、十分な耐熱性を得ることができなかった。又、アクリレートであっても構造が本発明のものと異なる化合物を使用した比較例2の組成物では、吸水率に問題があり、使用に耐え得るものではなかった。
【0031】
【発明の効果】本発明のシート形成剤は、得られる樹脂シートが耐熱性に優れ、透明でかつ色付きがなく、吸水率が極めて低い。又、得られる樹脂シートは、ガラス基板よりも軽量かつ耐衝撃性も優れており、液晶ディスプレイ等のガラス基板の代替えシート部品、液晶ディスプレイ用偏光フィルム及びタッチパネル用積層シート等の光学用樹脂シートとして特に有用であり、産業上の利用価値が極めて大きいものである。
【出願人】 【識別番号】000003034
【氏名又は名称】東亞合成株式会社
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
【出願日】 平成13年6月15日(2001.6.15)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−371115(P2002−371115A)
【公開日】 平成14年12月26日(2002.12.26)
【出願番号】 特願2001−182492(P2001−182492)