| 【発明の名称】 |
エポキシ化重合体の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】岩崎 秀治
【氏名】▲つる▼田 拓大
【氏名】奥野 壮敏
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| 【要約】 |
【課題】触媒成分の残存量が少なく、熱安定性に優れるエポキシ化重合体、およびかかるエポキシ化重合体を安全に、効率的に、工業的に有利に製造する方法を提供すること。
【解決手段】オレフィン性二重結合を有する重合体を、(1)タングステン化合物、(2)リン酸化合物および(3)相間移動触媒の存在下に過酸化水素水溶液を用いてエポキシ化反応させ、得られる反応混合液を水洗し、次いで塩基性物質に接触させた後、エポキシ化重合体を回収することを特徴とするエポキシ化重合体の製造方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 オレフィン性二重結合を有する重合体を、(1)タングステン化合物、(2)リン酸化合物および(3)相間移動触媒の存在下に過酸化水素水溶液を用いてエポキシ化反応させ、得られる反応混合液を水洗し、次いで塩基性物質に接触させた後、エポキシ化重合体を回収することを特徴とするエポキシ化重合体の製造方法。 【請求項2】 リン酸化合物がリン酸であり、相間移動触媒が第4級アンモニウム塩である請求項1記載の製造方法。 【請求項3】 請求項1または2の製造方法で得られるエポキシ化重合体。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、シーラントおよびコーティング用途の紫外線硬化樹脂原料、接着剤などとして有用なエポキシ化重合体の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】オレフィン性二重結合を有する低分子化合物または重合体をエポキシ化する方法として、タングステンまたはモリブデンを触媒とする酸化反応系が近年検討されており、例えば、(イ)タングステン酸ナトリウム、リン酸および過酸化水素水溶液の混合溶液に、第4級アンモニウム塩と1−オクテンなどのオレフィン化合物を加えてエポキシ化する方法[ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー(Journal of Organic Chemistry)、第48巻、3831−3833頁(1983年)参照]、(ロ)タングステン酸と過酸化水素水溶液の混合溶液にリン酸および第4級アンモニウム塩を加えて反応させてタングステンのオキソ錯体を一旦合成して単離し、この錯体を触媒として用いて過酸化水素でエポキシ化する方法[ジャーナル オブ ポリマー サイエンスパートA ポリマー ケミストリー(Journal of PolymerScience Part A Polymer Chemistry)、第29巻、1183−1189頁(1991年)参照]、(ハ)(a)タングステン酸またはその金属塩;(b)リン酸またはその金属塩および(c)相間移動触媒の存在下に、ポリブタジエンを過酸化水素でエポキシ化する方法(米国特許第5,789,512号明細書参照)などが知られている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】オレフィン性二重結合を有する低分子化合物を上記のエポキシ化反応に付した場合は、エポキシ化生成物を単離する際に、例えば溶媒を除去した後に直接蒸留するか、またはシリカゲルカラムクロマトグラフィーなどの単離精製手段によって、上記した触媒成分を除去することができる。しかしながら、オレフィン性二重結合を有する重合体をエポキシ化反応に付した場合においては、蒸留、カラムクロマトグラフィーなどの通常の精製手段を適用することができないので、生成物であるエポキシ化重合体から、エポキシ化反応に用いた触媒成分を除去することが困難である。例えば、上記したジャーナル オブ ポリマー サイエンスパートA ポリマー ケミストリー(Journal of PolymerScience Part A Polymer Chemistry)、第29巻、1183−1189頁(1991年)では、反応終了後の生成物から触媒を除去する方法に関しては何ら記載がなく、用いた触媒成分は、得られたエポキシ化重合体からは分離されていない。そのため、触媒成分の残存によって、得られたエポキシ化重合体の耐熱性が損なわれ、耐候性なども著しく低下するなどの問題点を有していた。 【0004】しかして、本発明の目的は、エポキシ化触媒成分の残存量が極めて少なく、その結果、熱的に安定であり、耐熱性、耐候性などの物性に優れるエポキシ化重合体、およびかかるエポキシ化重合体を製造し得る方法を提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明によれば、上記の目的は、■オレフィン性二重結合を有する重合体を、(1)タングステン化合物、(2)リン酸化合物および(3)相間移動触媒の存在下に過酸化水素水溶液を用いてエポキシ化反応させ、得られる反応混合液を水洗し、次いで塩基性物質に接触させた後、エポキシ化重合体を回収することを特徴とするエポキシ化重合体の製造方法、および■上記した製造方法で得られるエポキシ化重合体、を提供することによって達成される。 【0006】 【発明の実施の形態】本発明で原料として用いるオレフィン性二重結合を有する重合体は、オレフィン性二重結合を、該重合体を構成する全単量体単位に基づいて1〜100モル%含有しているものを用いることができる。 【0007】オレフィン性二重結合を有する重合体のオレフィン性二重結合は、シスまたはトランスのいずれの構造でもよく、また両者が混在していてもよい。オレフィン性二重結合の該重合体中における分布にも特に制限はなく、例えば規則的な分布、ブロック状の分布、ランダム状の分布、テーパー状の分布、これらの全部または一部が混在している分布などが挙げられる。オレフィン性二重結合を有する重合体が側鎖を持つ場合、オレフィン性二重結合は、該重合体の主鎖または側鎖のいずれに含有されていてもよいが、得られるエポキシ化重合体の安定性の観点から、該重合体の全てのオレフィン性二重結合の50モル%以上が主鎖に含有されていることが好ましい。 【0008】オレフィン性二重結合を有する重合体は、ラジカル重合、イオン重合、配位重合、メタセシス重合などいかなる重合方法によって製造されたものであってもよい。オレフィン性二重結合を有する重合体としては、例えばポリブタジエン、ポリイソプレンなどのポリジエン;シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテンなどのシクロアルケンを開環メタセシス重合して得られるポリアルケン;イソプレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−(イソプレン/ブタジエン)−スチレンブロック共重合体などのポリジエンブロックを含有するブロック共重合体;スチレン−ブタジエンランダム共重合体、スチレン−イソプレンランダム共重合体などのジエンと他の重合性単量体からなるランダム共重合体;スチレン−ブタジエンテーパー共重合体などのジエンと他の重合性単量体からなるテーパー共重合体;これらの部分水素添加物などが挙げられる。これらのオレフィン性二重結合を有する重合体は、その分子鎖内または分子末端に、水酸基、アルコキシル基、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、ハロゲン原子などの官能基をさらに有していてもよい。 【0009】オレフィン性二重結合を有する重合体の分子量に特に制限はないが、通常、数平均分子量(Mn)として1,000〜1,000,000の範囲であることが好ましい。 【0010】エポキシ化反応の際に用いるタングステン化合物は、例えばタングステン酸;タングステン酸ナトリウム、タングステン酸カリウム、タングステン酸アンモニウムなどのタングステン酸の塩;リンタングステン酸;リンタングステン酸ナトリウム、リンタングステン酸カリウム、リンタングステン酸アンモニウムなどのリンタングステン酸の塩などが挙げられる。タングステン化合物の使用量は特に限定されないが、通常、オレフィン性二重結合を有する重合体が有するオレフィン性二重結合の1モルに対して0.0001〜0.05モルの範囲で使用することが好ましく、0.0001〜0.02モルの範囲で使用することがより好ましい。 【0011】エポキシ化反応の際に用いるリン酸化合物としては、リン酸、ポリリン酸、ピロリン酸またはこれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。これらの中でもリン酸が好ましい。リン酸化合物の使用量は特に限定されないが、反応速度、反応終了後の反応液の分液性を考慮すると、通常、タングステン金属原子1グラム原子に対してリン酸化合物に含まれるリン原子として0.25〜100モルの範囲で使用することが好ましく、0.25〜10モルの範囲で使用することがより好ましい。 【0012】エポキシ化反応の際に用いる相間移動触媒としては、例えば塩化テトラペンチルアンモニウム、塩化テトラヘキシルアンモニウム、塩化テトラヘプチルアンモニウム、塩化トリオクチルメチルアンモニウム、臭化テトラペンチルアンモニウム、臭化テトラヘキシルアンモニウム、臭化テトラヘプチルアンモニウム、臭化トリオクチルメチルアンモニウム、ヨウ化テトラペンチルアンモニウム、ヨウ化テトラヘキシルアンモニウム、ヨウ化テトラヘプチルアンモニウム、ヨウ化トリオクチルメチルアンモニウム、硫酸水素テトラヘプチルアンモニム、硫酸水素トリオクチルメチルアンモニウム、硫酸水素トリエチルベンジルアンモニウムなどの第4級アンモニウム塩;塩化テトラブチルホスホニウム、塩化テトラペンチルホスホニウム、塩化トリオクチルメチルホスホニウム、塩化ペンチルトリフェニルホスホニウム、塩化ヘプチルトリフェニルホスホニウム、塩化オクチルトリフェニルホスホニウム、臭化テトラブチルホスホニウム、臭化テトラペンチルホスホニウム、臭化トリオクチルメチルホスホニウム、臭化ペンチルトリフェニルホスホニウム、臭化ヘプチルトリフェニルホスホニウム、臭化オクチルトリフェニルホスホニウム、ヨウ化テトラブチルホスホニウム、ヨウ化テトラペンチルホスホニウム、ヨウ化トリオクチルメチルホスホニウム、ヨウ化ペンチルトリフェニルホスホニウム、ヨウ化ヘプチルトリフェニルホスホニウム、ヨウ化オクチルトリフェニルホスホニウムなどの第4級ホスホニウム塩などが挙げられる。これらの中でも第4級アンモニウム塩が好ましく、塩化トリオクチルメチルアンモニウム、臭化トリオクチルメチルアンモニウム、ヨウ化トリオクチルメチルアンモニウム、硫酸水素トリオクチルメチルアンモニウムがより好ましい。相間移動触媒の使用量に特に制限はないが、操作性、経済性、反応終了時の反応液の分液性の観点からは、通常、使用するタングステン化合物中に含まれるタングステン金属1グラム原子に対して0.01〜10モルの範囲であることが好ましく、0.01〜5モルの範囲であることがより好ましく、0.1〜3モルの範囲であることが特に好ましい。 【0013】エポキシ化反応は、溶媒の存在下に行うことが好ましい。使用できる溶媒は反応を阻害しない限り特に限定されず、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロオクタン、2,6−ジメチルシクロオクタンなどの脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、クメンなどの芳香族炭化水素などが挙げられる。これらの中でも、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、トルエン、キシレンが好ましい。溶媒の使用量は、反応に供するオレフィン性二重結合を有する重合体の溶媒への溶解度によっても異なるが、通常、オレフィン性二重結合を有する重合体に対して0.1〜200重量倍の範囲であることが好ましく、反応性、操作性の観点からは1〜100重量倍の範囲であることがより好ましく、1〜20重量倍の範囲であることが特に好ましい。 【0014】エポキシ化反応の際に用いる過酸化水素水溶液は、一般に市販されている水溶液としての形態のものをそのまままたは水で希釈して用いることができ、例えば10〜60重量%過酸化水素水溶液を工業的に容易に入手することができる。過酸化水素の濃度は特に制限されないが、反応効率、容積効率および安全性の観点から、通常0.01〜60重量%の範囲であることが好ましく、0.1〜50重量%の範囲であることがより好ましい。過酸化水素の使用量は、目的とするエポキシ基の導入量によって異なるが、通常、オレフィン性二重結合を有する重合体中に含まれるオレフィン性二重結合の1モルに対して0.001〜10モルの範囲であることが好ましく、0.03〜1.2モルの範囲であることがより好ましい。例えば、オレフィン性二重結合を有する重合体中に含まれるオレフィン性二重結合の大部分をエポキシ化したい場合は、過酸化水素の使用量を、該重合体中に含まれるオレフィン性二重結合の1モルに対して1〜10モルの範囲、好ましくは1〜2モルの範囲、より好ましくは1〜1.2モルの範囲で適宜選択することができる。 【0015】エポキシ化反応の際の反応圧力は特に制限されないが、溶媒の揮散を防止する観点から、通常80kPa〜1MPaの範囲であることが好ましい。また、本発明の方法は、安全性の観点から、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。 【0016】エポキシ化反応の際の反応温度は特に制限されないが、反応速度および安全性の観点からは、通常0〜140℃の範囲であり、40〜100℃の範囲であることが好ましく、50〜100℃の範囲であることがより好ましい。 【0017】エポキシ化反応は、例えば次のようにして実施できる。すなわち、タングステン化合物とリン酸化合物を水に溶解させた水溶液を調製し、この水溶液をオレフィン性二重結合を有する重合体と相間移動触媒を溶媒に溶解させた溶液に加えた後、二層となっている混合液を激しく攪拌しながら過酸化水素水溶液を添加して反応させる。または、オレフィン性二重結合を有する重合体と相間移動触媒を溶媒に溶解させた溶液に、タングステン化合物とリン酸化合物を水に溶解させた水溶液と過酸化水素水溶液を同時に添加して反応させることもできる。タングステン化合物とリン酸化合物を水に溶解させて水溶液を調製する際の水の使用量に特に制限はなく、反応時における容積効率、タングステン化合物の溶解度の観点からは、通常、タングステン化合物に対して1〜1000重量倍の範囲であることが好ましく、10〜500重量倍の範囲であることがより好ましい。なお、相間移動触媒は、オレフィン性二重結合を有する重合体と共に溶媒に溶解させてもよく、予め使用する溶媒に別途溶解させた後、オレフィン性二重結合を有する重合体を溶媒に溶解させた溶液に加えてもよい。 【0018】本発明の方法は、上記のエポキシ化反応で得られた反応液を、好ましくは静置して水層を分離させて除去した後に、まず水洗し、次いで塩基性物質と接触させることに特徴を有する。反応液を水洗することによって、残留している未反応または過剰の過酸化水素およびリン酸化合物を除去することができる。 【0019】上記のエポキシ化反応で得られた反応液は、そのまま水洗に付してもよいが、かかる反応液は、反応終了後に静置することで容易に有機層(生成物であるエポキシ化重合体と溶媒を主に含む層)と水層に分離するため、静置して水層を分離させた後、かかる有機層のみを取得して水洗に付すことが特に好ましい。水洗に使用する水の量に特に制限はないが、操作性の観点から、通常、原料として仕込んだオレフィン性二重結合を有する重合体と使用した溶媒の総量に対して0.1〜50重量倍の範囲が好ましく、0.2〜5重量倍の範囲がより好ましい。エポキシ化反応で得られた反応混合液の水洗を行う際の温度としては、10〜70℃の範囲が好ましく、抽出効率、分液性の観点からは40〜60℃の範囲がより好ましい。 【0020】また、かかる水洗を行う際に、必要に応じて、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウムなどの還元剤を水に溶解させた溶液を用いて、反応液をさらに洗浄することが好ましい。この操作を行うことにより、有機層(生成物であるエポキシ化重合体と溶媒を主に含む層)に微量に残留する過酸化物を除去できる。 【0021】このようにして得られた水洗後の反応液を、引き続いて塩基性物質と接触させる。 【0022】塩基性物質としては、例えば塩基性イオン交換樹脂;ナトリウム交換Y型ゼオライト、カリウム交換Y型ゼオライトなどのイオン交換されたゼオライト;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどのアルカリ金属の炭酸水素塩;酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カリウムなどの有機酸のアルカリ金属塩;アンモニア;メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミンなどの有機塩基等が挙げられる。これらの中でも、塩基性イオン交換樹脂、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属の炭酸水素塩を使用することが好ましく、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩を使用することがより好ましい。 【0023】水洗後の反応液と接触させる塩基性物質の使用量に特に制限はなく、使用形態によっても異なるが、通常、使用するタングステン化合物に対し1〜100重量倍の範囲で使用することが好ましく、経済性、操作性を考慮して、5〜50重量倍を使用することがより好ましい。 【0024】また、上記した塩基性物質のうち水に可溶な塩基性物質は、水に溶解させ、水溶液の形態として水洗後の反応液と接触させることもできる。塩基性物質を水溶液として使用する場合の濃度に特に制限はないが、通常0.01〜20重量%の範囲であることが好ましく、0.1〜10重量%の範囲であることがより好ましい。 【0025】水洗後の反応液を塩基性物質に接触させる方法としては、例えば、攪拌型反応器中の反応液に粉末状の塩基性物質を投入して攪拌した後、かかる粉末状の塩基性物質を濾材を用いて反応液から除去する方法;粉末状、粒状、成型体の塩基性物質をカラムなどに充填するなどして固定した装置に水洗後の反応液を流通させる方法などが挙げられる。 【0026】また、上記した塩基性物質のうち水に可溶な塩基性物質を用いる場合には、予め水に溶解させて、水溶液の状態で水洗後の反応液と混合して攪拌することにより接触させた後、かかる混合液を静置して分液する方法を採用することもできる。塩基性物質を水溶液として使用する場合の濃度に特に制限はないが、通常0.01〜20重量%の範囲であることが好ましく、0.1〜10重量%の範囲であることがより好ましい。 【0027】水洗後の反応液と塩基性物質との接触時間には厳密な意味での制限はなく、水洗後の反応液と塩基性物質とを接触させる方法、塩基性物質の使用量によっても異なるが、エポキシ化重合体の生産性、エポキシ化反応に用いた触媒成分の除去効率を高める観点からは、通常、1秒〜10時間の範囲であることが好ましく、10秒〜1時間の範囲であることがより好ましい。 【0028】水洗後の反応液に塩基性物質を接触させる温度に特に制限はないが、通常、0〜100℃の範囲であることが好ましく、操作性の観点からは30〜80℃の範囲で行なうことが好ましい。 【0029】水洗後の反応液に塩基性物質を接触させる際の圧力は特に制限されるものではなく、通常、大気圧下で行うことが好ましいが、必要に応じて加圧条件下で行なうこともできる。 【0030】塩基性物質と接触させた後、かかる塩基性物質から分離して得られた反応液からのエポキシ化重合体の分離は、重合体を溶液から単離する際に通常行われる単離精製操作によって行うことができる。例えば、再沈澱、加熱下での溶媒除去、減圧下での溶媒除去、水蒸気による溶媒の除去(スチームストリッピング)などの、重合体を溶液から単離する際の公知の操作によって行う。 【0031】なお、水洗後の反応液と塩基性物質との接触を行った後には、かかる塩基性物質から分離して得られた反応液からエポキシ化重合体を分離するに先だって、かかる反応液をさらに水洗することが好ましい。水の使用量に特に制限はないが、操作性の観点から、通常、かかる反応液に対して0.1〜50重量倍の範囲が好ましく、0.2〜5重量倍の範囲がより好ましい。 【0032】本発明の方法で得られるエポキシ化重合体は、エポキシ基の含有量が該重合体を構成する全単量体単位に基づいて1〜100モル%である。本発明の方法で得られるエポキシ化重合体に含有されるエポキシ基の分布に特に制限はなく、エポキシ基の分布は、例えば規則的な分布、ブロック状の分布、ランダム状の分布、テーパー状の分布、これらの全部または一部が混在している分布などである。これらの中でも、規則的な分布であるものが好ましい。エポキシ基は、エポキシ化重合体の主鎖または側鎖のいずれに含有されていてもよいが、エポキシ化重合体の安定性の観点から、エポキシ化重合体のすべてのエポキシ基の70モル%以上が主鎖に含有されているものが好ましく、80モル%以上が主鎖に含有されていることがより好ましい。 【0033】本発明の方法で得られるエポキシ化重合体としては、例えばエポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化ポリイソプレンなどのエポキシ化ポリジエン;シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテンなどのシクロアルケンを開環メタセシス重合して得られるポリアルケンのエポキシ化重合体;イソプレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−(イソプレン/ブタジエン)−スチレンブロック上重合体などのポリジエンブロックを含有するブロック共重合体のエポキシ化重合体;スチレン−ブタジエンランダム共重合体、スチレン−イソプレンランダム共重合体などのジエンと他の重合性単量体からなるランダム共重合体のエポキシ化重合体;スチレン−ブタジエンテーパー共重合体などのジエンと他の重合単量体から得られるテーパー共重合体のエポキシ化重合体;これらの部分水素添加物などのエポキシ化重合体;テレフタル酸などの二塩基酸と2−ブテン−1,4−ジオールなどのジオール類または、テトラヒドロフタル酸などの二塩基酸と1,4−ブタンジオールなどのジオール類から得られる不飽和ポリエステル類のエポキシ化ポリエステル類;テレフタル酸などの二塩基酸と2−ブテン−1,4−ジアミンなどのジアミン類、または、テトラヒドロフタル酸などの二塩基酸と1,4−ブタンジアミンなどのジアミン類から得られる不飽和ポリアミド類のエポキシ化ポリアミド等が挙げられる。 【0034】本発明の方法で得られるエポキシ化重合体は、エポキシ化反応に使用した触媒成分の重合体への残留量が極めて少なく、熱的に安定であるので、耐熱性、耐候性などの物性に優れる。 【0035】 【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。 【0036】実施例1メカニカルスターラー、還流管、温度計、および滴下漏斗を装着した容量1000mlの三つ口セパラブルフラスコに、ポリオクテニレン110g(ヒュルス・アメリカ製、数平均分子量:60000)、トルエン500gおよび塩化トリオクチルメチルアンモニウム0.40gを加えて溶解させた。一方、タングステン酸アンモニウム0.30g、40%リン酸水溶液0.56gおよび水20gを混合して溶解させた水溶液を調製し、上記の溶液に添加した後、内温を60℃まで昇温した。この混合液に、30%過酸化水素水溶液152g(1.2mol;ポリオクテニレン中に含有する炭素−炭素二重結合の量に対して1.2モル倍)を60分かけて添加し、添加終了後、60℃で6時間攪拌した。なお、添加終了時の反応液のpHは4.5であった。過酸化物試験紙で過酸化水素の消費を確認し、反応液を室温まで冷却して水層と有機層を分液した。有機層をまず水100gで洗浄し、次いで5重量%亜硫酸ナトリウム水溶液50gで洗浄した。この有機層に5重量%炭酸ナトリウム水溶液100gを加えて30℃で30分攪拌した後、静置して有機層と水層を分液した。有機層を水100gで洗浄した後、減圧下で濃縮し、さらに80℃、666Pa(5mmHg)にて8時間乾燥することで、エポキシ化ポリオクテニレン126gを得た(収率:97%)。1H−NMR(270MHz)測定によって求めたエポキシ化率は100%であった。 【0037】なお、得られたエポキシ化ポリオクテニレン中のタングステン残存量を次のようにして分析した。すなわち、得られたエポキシ化ポリオクテニレン2gを白金るつぼに精秤し、電熱器にて500℃で3時間加熱し、さらに600℃に昇温して灰化させた。白金るつぼを一旦室温まで冷却して炭酸ナトリウム2gを加え、この混合物を再び空気下にて400℃で30分、次いで600℃で30分、さらに800℃で1時間、最後に900℃で1時間の条件で加熱した。加熱終了後、室温まで冷却し、残留物に水を加えて全量を100mlに調整した後、この溶液をICP発光分析法で分析してタングステンの残存量を測定した。得られたエポキシ化ポリオクテニレン中のタングステン残存量は11ppmであった。 【0038】比較例1実施例1において、得られた反応液を水洗せず、かつ5重量%炭酸ナトリウム水溶液を添加して攪拌する操作を行うことなく濃縮したこと以外は実施例1と同様の操作を行い、エポキシ化ポリオクテニレンを得た。得られたエポキシ化ポリオクテニレン中のタングステンの残存量を実施例1と同様の方法で分析したところ、667ppmであった。 【0039】実施例2メカニカルスターラー、還流管、温度計、および滴下漏斗を装着した容量1000mlの三つ口セパラブルフラスコに、ポリイソプレン68g〔LIR50(商品名)、(株)クラレ製、数平均分子量:50000〕およびトルエン500gを加えて溶解させた。一方、タングステン酸アンモニウム0.30g、40%リン酸水溶液0.56gおよび水20gを混合して溶解させた水溶液、並びに、塩化トリオクチルメチルアンモニウム0.40gおよびトルエン4gを混合して溶解させた溶液を調製し、上記のポリイソプレンのトルエン溶液に順次添加した後、内温を60℃まで昇温した。この混合液に、30%過酸化水素水溶液152g(1.2mol;ポリイソプレン中に含有する炭素−炭素二重結合の量に対して1.2モル倍)を60分かけて添加し、添加終了後、60℃で7時間攪拌した。なお、添加終了時の反応液のpHは4.5であった。過酸化物試験紙で過酸化水素の消費を確認し、反応液を室温まで冷却して水層と有機層を分液した。有機層をまず水100gで洗浄し、次いで5重量%亜硫酸ナトリウム水溶液50gで洗浄し、さらに水100gで洗浄した。この有機層に5重量%炭酸カリウム水溶液100gを加えて60℃で1時間攪拌した後、静置して有機層と水層を分液した。有機層を水100gで洗浄した後、減圧下で濃縮し、さらに80℃、800Pa(6mmHg)にて8時間乾燥することで、エポキシ化ポリイソプレン81gを得た(収率:97%)。1H−NMR(270MHz)測定によって求めたエポキシ化率は100%であった。得られたエポキシ化ポリイソプレン中のタングステンの残存量を実施例1と同様の方法で調べたところ、18ppmであった。 【0040】比較例2実施例2において、得られた反応液を水洗せず、かつ5重量%炭酸カリウム水溶液を添加して攪拌する操作を行うことなく濃縮したこと以外は実施例2と同様の操作を行い、エポキシ化ポリイソプレンを得た。得られたエポキシ化ポリイソプレン中のタングステンの残存量を実施例1と同様の方法で分析したところ、712ppmであった。 【0041】実施例3(熱安定性試験) 温度計を装着した容量50mlの三つ口フラスコに、実施例1で得られたエポキシ化ポリオクテニレン20gを取り、系内を窒素で置換し、攪拌しながら140℃まで昇温し、140℃到達後に10時間加熱した後、室温まで冷却した(加熱処理)。上記で加熱処理したエポキシ化ポリオクテニレンのエポキシ価を以下のようにして測定した。すなわち、加熱処理したエポキシ化ポリオクテニレン0.5gをメチルイソプロピルケトン90mlに溶解させた後、臭化セチルトリメチルアンモニウム1g、0.1重量%クリスタルバイオレット酢酸溶液0.1mlを加えて、0.1規定過塩素酸/酢酸溶液で滴定し、指示色が青紫から青緑色に変化し、1分間持続する点を終点として求めた。得られたサンプルのエポキシ価は7.29(meq/g)であった。また、実施例1で得られたエポキシ化ポリオクテニレンの加熱前のエポキシ価は7.89(meq/g)であった。このことから、実施例1で得られたエポキシ化ポリオクテニレン、すなわち、エポキシ化反応後、反応液を水洗し、次いで5重量%炭酸ナトリウム水溶液と接触させて触媒成分を除去した後に得られたエポキシ化ポリオクテニレンの140℃、10時間熱処理後のエポキシ基残存率は92%と算出される。 【0042】比較例3比較例1で得られたエポキシ化ポリオクテニレンを用いた以外は実施例3と同様にして加熱処理及びその後のエポキシ価測定を行ったところ、6.43(meq/g)であった。比較例1で得られたエポキシ化ポリオクテニレンの加熱前のエポキシ価は7.84(meq/g)であったことから、比較例1で得られたエポキシ化ポリオクテニレン、すなわち、エポキシ化反応後、反応液を水洗せず、かつ5重量%炭酸ナトリウム水溶液と接触させずに得られたエポキシ化ポリオクテニレンの140℃、10時間熱処理後のエポキシ基残存率は82%と算出される。 【0043】実施例3と比較例3との結果より、実施例1で得られたエポキシ化ポリオクテニレンは、比較例1で得られたエポキシ化ポリオクテニレンと比べて熱安定性が向上していることが分かる。 【0044】実施例4実施例2で得られたエポキシ化ポリイソプレンを用いた以外は実施例3と同様にして加熱処理及びその後のエポキシ価測定を行ったところ、11.26(meq/g)であった。なお、加熱処理前のエポキシ価は12.01(meq/g)であった。このことから、実施例2で得られたエポキシ化ポリイソプレン、すなわち、エポキシ化反応後、反応液を水洗し、次いで5重量%炭酸カリウム水溶液と接触させて触媒成分を除去した後に得られたエポキシ化ポリイソプレンの140℃、10時間熱処理後のエポキシ基残存率は94%と算出される。 【0045】比較例4比較例2で得られたエポキシ化ポリイソプレンを用いた以外は実施例3と同様にして加熱処理及びその後のエポキシ価測定を行ったところ、9.44(meq/g)であった。比較例2で得られたエポキシ化ポリイソプレンの加熱前のエポキシ価は12.11(meq/g)であったことから、比較例2で得られたエポキシ化ポリイソプレン、すなわち、エポキシ化反応後、反応液を水洗せず、かつ5重量%炭酸カリウム水溶液と接触させずに得られたエポキシ化ポリイソプレンの140℃、10時間熱処理後のエポキシ基残存率は78%と算出される。 【0046】実施例4と比較例4との結果より、実施例2で得られたエポキシ化ポリイソプレンは、比較例2で得られたエポキシ化ポリイソプレンと比べて熱安定性が向上していることが分かる。 【0047】 【発明の効果】本発明によれば、エポキシ化反応に使用した触媒成分の重合体への残留量が極めて少なく、熱的に安定であるエポキシ化重合体を、安全に、効率的に、工業的に有利に製造することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001085 【氏名又は名称】株式会社クラレ
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| 【出願日】 |
平成14年3月27日(2002.3.27) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2002−371113(P2002−371113A) |
| 【公開日】 |
平成14年12月26日(2002.12.26) |
| 【出願番号】 |
特願2002−88158(P2002−88158) |
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