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【発明の名称】 樹脂の製造方法
【発明者】 【氏名】佐々木 章亘

【氏名】永渕 慶秀

【氏名】廣本 泰夫

【氏名】好村 壽晃

【要約】 【課題】樹脂の分子量を低減させる方法の提供。

【解決手段】スチレン系単量体及び/又は(メタ)アクリル系単量体を構成成分とし重量平均分子量が2000〜3万の範囲である樹脂Aが溶解した状態で単量体Bを重合する樹脂の製造方法。単量体Bが、スチレン系単量体及び/又は(メタ)アクリル系単量体からなる樹脂の製造方法。単量体Bから得られる樹脂の重量平均分子量の増加率を0.8倍以下とする樹脂の製造方法。単量体Bから得られる樹脂の分子量ピーク値の増加率を0.8倍以下とする樹脂の製造方法。実質的に連鎖移動剤を使用しない樹脂の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 スチレン系単量体及び/又は(メタ)アクリル系単量体を構成成分とし重量平均分子量が2000〜3万の範囲である樹脂Aが溶解した状態で単量体Bを重合する、樹脂の製造方法。
【請求項2】 単量体Bが、スチレン系単量体及び/又は(メタ)アクリル系単量体からなる、請求項1記載の樹脂の製造方法。
【請求項3】 単量体Bから得られる樹脂の重量平均分子量の増加率を0.8倍以下とする、請求項1又は2記載の樹脂の製造方法。
【請求項4】 単量体Bから得られる樹脂の分子量ピーク値の増加率を0.8倍以下とする、請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂の製造方法。
【請求項5】 実質的に連鎖移動剤を使用しない、請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塗料、コーティング材料、樹脂添加剤、インキ、ワックス、バインダー剤、粘着剤、接着剤、成型材料、光学材料等に利用できる、樹脂の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】樹脂材料は、塗料、コーティング材料、樹脂添加剤、インキ、ワックス、バインダー剤、粘着剤、接着剤、成型材料、光学材料等と、広範囲な利用が可能である。そのため、樹脂の製造方法に関して多くの検討がなされてきた。
【0003】樹脂材料は、分子量が大きくなると耐衝撃性、粘弾性が増す等のメリットがある反面、溶融しにくくなる、成型性が悪くなる等のデメリットを生じる場合もあるので、用途に応じて分子量を低くする(調整する)必要がある。
【0004】樹脂材料を製造する際にも、分子量が大きくなると、粘性が高くなることで重合反応の自己促進効果が高まり、重合が暴走する危険性があるので、場合に応じて分子量を低くする必要がある。
【0005】樹脂材料の分子量の調整方法としては、例えば、スチレン系単量体や(メタ)アクリル系単量体等を原料とする場合は、ラジカルの連鎖移動作用のある連鎖移動剤を重合時に使用する方法が知られている。
【0006】この連鎖移動剤としては、n-オクチルメルカプタンや、t-ドデシルメルカプタンに代表されるメルカプタン系化合物が一般的に用いられている。また、特開昭60−166958号公報では、数平均分子量500〜1500であるポリα−メチルスチレンの使用が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、メルカプタン系化合物は一般に不快な匂いを有しており、樹脂材料の用途によっては、その使用が制限されることがあった。また、上述のようなポリα−メチルスチレンを使用すると、得られる樹脂材料中にいわゆるオリゴマー成分が多量に存在することになり、耐熱性や弾性等が損なわれやすかった。本発明の目的は、これら連鎖移動剤を使用しなくても樹脂の分子量を低減させる方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討した結果、特定の樹脂の存在下で単量体を重合することによって、上記課題を解決できることを見いだし、本発明を完成した。
【0009】すなわち、本発明は、スチレン系単量体及び/又は(メタ)アクリル系単量体を構成成分とし重量平均分子量が2000〜3万の範囲である樹脂Aが溶解した状態で単量体Bを重合する樹脂の製造方法に関するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明で使用する樹脂Aは、その重量平均分子量が2000〜3万の範囲である必要がある。これは、樹脂Aの重量平均分子量が2000未満であると、得られる樹脂の耐熱性や弾性などが損なわれる傾向にあるためである。好ましくは、2500以上である。また、3万を超えると単量体Bへの溶解性が低下するために、溶解に時間を要し、生産性が悪くなる傾向にある。好ましくは、2.5万以下である。
【0011】また、単量体Bへの溶解性や分子量低減効果の点から、樹脂Aの構成成分としては、スチレン系単量体及び/又は(メタ)アクリル系単量体を使用する必要がある。
【0012】樹脂Aの構成成分であるスチレン系単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デンシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−フェニルスチレン、3,4−ジクロロスチレンを挙げることができる。これらは、必要に応じて一種以上を適宜選択して使用することができる。
【0013】また、樹脂Aの構成成分である(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル等を挙げることができる。これらは、必要に応じて一種以上を適宜選択して使用することができる。
【0014】樹脂Aの構成成分としては、本発明の効果を損ねない範囲で、スチレン系単量体や(メタ)アクリル系単量体以外の化合物を使用しても良い。樹脂Aの構成成分としては、スチレン系単量体と(メタ)アクリル系単量体の合計が、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることが特に好ましい。
【0015】樹脂Aの製造方法は特に限定されるものではないが、その生産性の高さ、生産の容易性の観点から、以下の方法で行うのが好ましい。すなわち、(1)スチレン系単量体や(メタ)アクリル系単量体を含有する単量体、及び必要に応じて重合開始剤、溶剤を(2)攪拌されている重合器に連続的に供給し、150〜300℃の条件で連続的に重合し、(3)必要に応じて、多段重合する方法である。
【0016】(3)の多段重合を行う場合は、攪拌されている重合器や、管型重合器や駆動部のないミキシング部(いわゆる、スタティックミキサー)を備えた重合器等を使用することができる。
【0017】樹脂Aの製造時には、低分子量化の促進や生産速度の増加等を目的として、重合開始剤を使用することができる。重合開始剤の使用量は、単量体100質量部に対して20質量部以下が好ましい。これは、重合開始剤の使用量を20質量部以下とすることによって、重合開始剤に起因する副生成物の増加を抑えることができ、製造コストも低減できる傾向にあるためである。より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは0.05質量部〜5質量部の範囲である。
【0018】使用できる重合開始剤としては特に限定されるものではなく、例えば、アゾビスイソブチルニトリル、アゾビスバレロニトリル等のアゾ系化合物や、ベンソイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエ−ト等の有機過酸化物系化合物を必要に応じて適宜選択して使用することができる。
【0019】また、樹脂Aの製造時には、樹脂粘度の低下、重合発熱による温度上昇の抑制、溶剤への連鎖移動効果による低分子量化の促進等を目的として、溶剤を使用することができる。溶剤の使用量は、単量体100質量部に対して25質量部以下が好ましい。これは、溶剤の使用量を25質量部以下とすることによって、高重合温度(例えば150℃〜300℃の範囲)を維持し、樹脂を低分子量化させることが容易となる傾向にあるためである。
【0020】使用できる溶剤としては特に限定されるものではなく、例えば、へキサン、ヘプタン、石油エーテル等の脂肪族炭化水素、シク口へキサン等のシクロアルカン炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン、ジエチルベンセン等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクレン、クロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素、酢後−n−プロピル、酢酸−n−ブチル等のエステル化合物を必要に応じて適宜選択して使用することができる。
【0021】なお、樹脂Aの製造時において、必要であればさらに連鎖移動剤を用いることが可能であるが、特に連鎖移動剤としてメルカプタン系化合物やポリα−メチルスチレンを用いるのは、本発明の目的が損なわれる可能性があるので好ましくない。
【0022】上述のようにして得られる樹脂Aは、そのまま本発明に使用することができる。また、必要に応じて、残存単量体や溶剤を除去してから使用しても良いし、再沈操作などにより樹脂を精製してから使用しても良い。
【0023】本発明で使用する単量体Bは、樹脂Aを溶解する化合物であれば特に限定されるものではないが、樹脂Aとの溶解性が良好である傾向にある点から、スチレン系単量体や(メタ)アクリル系単量体が好ましい。
【0024】単量体Bとして使用されるスチレン系単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デンシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−フェニルスチレン、3,4−ジクロロスチレンを挙げることができる。これらは、必要に応じて一種以上を適宜選択して使用することができる。
【0025】また、単量体Bとして使用される(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル等を挙げることができる。これらは、必要に応じて一種以上を適宜選択して使用することができる。
【0026】単量体Bとしては、本発明の効果を損ねない範囲で、スチレン系単量体や(メタ)アクリル系単量体以外の化合物を使用しても良い。単量体Bの比率としては、スチレン系単量体と(メタ)アクリル系単量体の合計が、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることが特に好ましい。
【0027】本発明では、樹脂Aが溶解した状態で単量体Bを重合するが、樹脂Aを単量体Bに溶解する方法は特に限定されるものではなく、例えば、単量体Bを攪拌しながら樹脂Aを供給して溶解する方法や、単量体Bに樹脂Aを供給して静置のまま溶解する方法を採用することができる。
【0028】重合時における樹脂Aと単量体Bとの配合比は、特に限定されるものではないが、質量比の関係を0.0001≦A/B≦9とするのが好ましい。これは、A/Bを0.0001以上とすることによって、本発明による樹脂の低分子量化の効果が顕著となる傾向にあるためである。より好ましくは0.001以上である。また、A/Bを9以下とすることによって、樹脂Aの単量体Bへの溶解性が良好となるために、均一な樹脂が得られる傾向にある。より好ましくは5以下である。
【0029】単量体Bの重合時には、重合速度向上等を目的として、重合開始剤を使用することができる。重合開始剤の使用量は、単量体B100質量部に対して1質量部以下が好ましい。これは、重合開始剤の使用量を1質量部以下とすることによって、重合安定性に優れる傾向にあるためである。より好ましくは、0.5%以下である。また、重合開始剤を0.005質量部以上使用することによって、上述の重合速度向上の効果が得られる傾向にあり好ましい。重合開始剤の添加方法は特に限定されるものではなく、単量体Bにあらかじめ配合する方法、樹脂Aと単量体Bを溶解した後に添加する方法等を採用することができる。
【0030】使用できる重合開始剤としては特に限定されるものではなく、例えば、アゾビスイソブチルニトリル、アゾビスバレロニトリル等のアゾ系化合物、ベンソイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエ−ト等の有機過酸化物系化合物、過硫酸カリウム等の過硫酸塩化合物、レドックス系開始剤が例示される。
【0031】なお、重合温度を充分に高くすることによって、重合開始剤を用いなくても重合を進行させることができ、重合開始剤に由来する不純物を含有しない樹脂を製造することができる。本発明で得られる樹脂の用途によっては、重合時に重合開始剤を使用しないほうが好ましい場合がある。
【0032】単量体Bの重合時には、さらに必要に応じて、樹脂改質剤や添加剤等を添加することができる。
【0033】本発明における、樹脂の重合方法は特に限定されるものではなく、例えば、樹脂Aと単量体Bからなる溶液をそのまま重合する塊状重合、樹脂Aと単量体Bからなる溶液を水に分散させて重合する懸濁重合、界面活性剤を利用して重合する乳化重合、界面活性剤を使用しないで重合するソープフリー重合、あらかじめ溶液を水中に分散した後重合する強制乳化重合、溶剤存在下で重合する溶液重合等を挙げることができるが、中でも不純物が少ないという点で塊状重合が好ましい。
【0034】本発明によって、実質的に連鎖移動剤を使用しなくても単量体Bから得られる樹脂の分子量を下げることができ、具体的には、単量体Bから得られる樹脂の重量平均分子量の増加率を0.8倍以下とすることができる。
【0035】この重量平均分子量の増加率は、樹脂Aなしで単量体Bを重合した時の重量平均分子量Mw1、及び、樹脂Aが溶解した状態で単量体Bを重合した時の単量体Bの重合物に相当する部分の重量平均分子量Mw2を測定し、Mw2/Mw1から求められる値である。
【0036】また、本発明によって、単量体Bから得られる樹脂の分子量ピーク値の増加率を0.8倍以下とすることができる。
【0037】この分子量ピーク値の増加率は、樹脂Aなしで単量体Bを重合した時の分子量ピーク値Mp1、及び、樹脂Aが溶解した状態で単量体Bを重合した時の単量体Bの重合物に相当する部分の分子量ピーク値Mp2を測定し、Mp2/Mp1から求められる値である。ここで分子量ピークとは、分子量分布曲線において、山となっている部分の分子量のことである。
【0038】以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。
【0039】
【実施例】以下の実施例においては、以下の測定方法を用いた。
(1)分子量測定ゲルパーミエ−ションクロマトグラフィー(GPC)により測定し、重量平均分子量Mwや、分子量ピークMpを算出した。下記の測定系を使用し、ポリスチレン換算により求めた。この際、ポリスチレン標準試料としては、下記の分子量:6200000〜500のもの(合計12種類;いずれも東ソ−社製)を用いた。
商品名 分子量F−700 6200000F−228 2800000F−128 1100000F−80 707000F−40 354000F−20 189000F−10 98900F−4F 37200F−1 9830A−5000 5870A−1000 870A−500 500<GPC>GPC装置:東ソ−社製、HCL−8020カラム:TSKGel GMHXL(東ソ−社製、内径7.8mm×長さ30cm)2本TSKguardculmn HXL−H(東ソ−社製、内径6.0mm×長さ4.0cm)1本移動相:テトラヒドロフランサンプル注入量:0.1mlサンプル濃度:1mg/ml流速:1.0ml/min検出器はRI(示差屈折率計)を使用【0040】(2)残存単量体、重合率の測定ガスクロマトグラフィー装置:島津社製、GC−14B溶媒:N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)
サンプル:DMF約10gに、樹脂(残存単量体を含む)約0.5gを溶解内標:イソプロピルアルコール注入量:1μLインジエクション温度:200℃カラム温度:120℃【0041】(製造例1):樹脂Aなしで単量体Bを重合スチレン100gとt-ブチルパーオキシベンゾエート(日本油脂社製、パーブチルZ)0.05gを混合し、窒素バブリング3分、真空引き1kPa(絶対圧力)3分を3回繰り返した。この混合液約0.5gを内径2mm、外径4mmのガラス管に入れて密栓した。この管を130℃に保たれた熱媒装置の中に入れて、130℃で6時間重合した。重合率は93.7%であった。また、重量平均分子量(Mw)34.5万(=Mw1)、数平均分子量(Mn)15.3万、分子量ピーク(Mp)29.3万(=Mp1)、Mw/Mn=2.3であった。
【0042】(製造例2):樹脂Aの製造図1に示す装置を用いて実施した。槽型重合器3(東洋高圧社製)の全容積は5Lのものを使用し、攪拌機4には、ヘリカルリボン翼を使用した。槽型重合器には、1000kPaの窒素を予め充填しておいた。まず、槽型重合器3下部のバルブ(図示せず)を閉めた状態で、槽型重合器3のジャケットに205℃に加熱された熱媒を循環させながら、スチレン100質量部とジ−t−ブチルパーオキサイド(日本油脂社製、パーブチルD)0.5質量部とからなる混合液を20℃に保って、0.105kg/minの流量で30分送り、10分間保持した。その後、槽型重合器下部のバルブを開けると同時に、混合液の供給を同流量で再開し、ポンプ5を稼働し、0.105kg/minでポリスチレンを連続的に取り出した。連続重合中、実容積が3Lとなる液面より5mm上、及び5mm下に熱電対を設置し、2点の温度を測定することにより液面を感知した。液面より下の温度(重合温度)は235℃、液面より上の温度は202℃であり、この2点の間に液面が存在することが確認された。製造されるポリスチレンの比重は約1050kg/mであり、槽型重合器内の平均滞在時間は30分と計算された。ポンプ5の後に、内径25mm、長さ500mm管型重合器6(容積245cm)を設置し、そのジャケットには240℃に加熱された熱媒を循環した。滞在時間は約2.5分と計算された。製造された樹脂の重合率97.2%、Mw=6100、Mn=2400、Mp=4600、Mw/Mn=2.5、分子量が500以下のオリゴマーは、2.8%であった。この樹脂を真空乾燥機(ヤマト科学社製、DP61)で、1kPa(絶対圧)、170℃で2時間乾燥することにより、残存スチレン量を200ppmとした。
【0043】(製造例3):樹脂Aなしで単量体Bを重合単量体Bとしてスチレン90g、アクリル酸n−ブチル10gを使用し、重合開始剤としてジ−t−ブチルパーオキサイド(日本油脂社製、パーブチルD)を0.05g使用した以外は製造例1と同様な操作を実施した。重合率は91.5%であった。また、Mw=39.8万(=Mw1)、Mn=17.2万、Mp=38.3万(Mp1)、Mw/Mn=2.3であった。
【0044】(製造例4):樹脂Aの製造樹脂Aの構成成分として、スチレン90質量部、メタクリル酸n−ブチル(三菱レイヨン社製)10質量部使用した以外は、製造例2と同様な操作を実施した。製造された樹脂の重合率は96.1%、Mw=6200、Mn=2700、Mp=4700、Mw/Mn=2.3、分子量が500以下のオリゴマーは、2.8%であった。乾燥により、残存スチレン量を210ppm、残存メタクリル酸n−ブチル量を30ppmとした。
【0045】(製造例5):樹脂Aなしで単量体Bを重合スチレン100gを計量し、窒素バブリング3分、真空引き1kPa(絶対圧力)3分を3回繰り返した。この混合液約0.5gを内径2mm、外径4mmのガラス管に入れて密栓した。この管を130℃に保たれた熱媒装置の中に入れて、130℃で2時間重合した。重合率は33.4%であった。また、Mw=35.9万(=Mw1)、Mn=19.4万、Mp=35.4万(Mp1)、Mw/Mn=1.8であった。
【0046】(製造例6):樹脂Aの製造樹脂Aの構成成分として、スチレン100質量部とジ−t−ヘキシルパーオキサイド(日本油脂社製、パーヘキシルD)1.0質量部とからなる混合液を使用し、槽型重合器3のジャケットに260℃に加熱された熱媒を循環させた以外は、製造例2と同様な操作を実施した。製造された樹脂の重合率は96.6%、Mw=2800、Mn=1300、Mp=2300、Mw/Mn=2.1、分子量が500以下のオリゴマーは、3.5%であった。乾燥により、残存スチレン量を200pmとした。
【0047】(実施例1)スチレン100gに製造例2で製造した樹脂A100gを加え、25℃で12hr放置して溶解した後、t−ブチルパーオキシベンゾエート(日本油脂社製、パーブチルZ)0.05gを混合した。この混合液に製造例1と同様な操作を行い、樹脂を製造した。得られた樹脂の重合率は92.5%であり、分子量ピークは、4.2万(=Mp2)、及び5100に存在した。得られた樹脂に不快な臭気はなかった。また、これら2つのピーク間の谷で区切った場合、高分子量側のMwは6.0万(Mw2)、Mnは4.1万、Mw/Mn=1.5であった。また、低分子量側のMwは5700、Mnは1800、Mw/Mn=3.2であった。製造例1と比較すると、Mw2/Mw1=6.0万/34.5万=0.17、Mp2/Mp1=4.2万/29.3万=0.14と計算された。
【0048】(実施例2)スチレン90gとアクリル酸n−ブチル10gに、製造例4で製造した樹脂A100gを加え、25℃で12時間放置して溶解した後、ジ−t−ブチルパーオキサイド(日本油脂社製、パーブチルD)を0.05gを混合した。この混合液に製造例3と同様な操作を行い、樹脂を製造した。得られた樹脂の重合率は91.0%であり、分子量ピークは、4.5万(=Mp2)、及び5300に存在した。得られた樹脂に不快な臭気はなかった。また、これら2つのピーク間の谷で区切った場合、高分子量側のMwは6.6万(=Mw2)、Mnは4.5万、Mw/Mn=1.5であった。また、低分子量側のMwは6200、Mnは1900、Mw/Mn=3.3であった。製造例3と比較すると、Mw2/Mw1=6.6万/39.8万=0.17、Mp2/Mp1=4.5万/38.3万=0.12と計算された。
【0049】(実施例3)スチレン100gに、製造例6で製造した樹脂A10gを加え、25℃で12時間放置して溶解し、窒素バブリング3分、真空引き1kPa(絶対圧力)3分を3回繰り返した。この混合液約0.5gを内径2mm、外径4mmのガラス管に入れて密栓した。この管を130℃に保たれた熱媒装置の中に入れて、130℃で2時間重合した。得られた樹脂の重合率は34.7%であり、分子量ピークは、20.2万(=Mp2)、及び2100に存在した。得られた樹脂に不快な臭気はなかった。また、これら2つのピーク間の谷で区切った場合、高分子量側のMwは21.0万(=Mw2)、Mnは9.1万、Mw/Mn=2.3であった。また、低分子量側のMwは3600、Mnは1600、Mw/Mn=2.3であった。製造例5と比較すると、Mw2/Mw1=21.0万/35.9万=0.58、Mp2/Mp1=20.2万/35.4万=0.57と計算された。
【0050】(実施例4)スチレン100gに、製造例6で製造した樹脂A5gを加えた以外は実施例3と同様な操作を実施した。得られた樹脂の重合率は34.3%であり、分子量ピークは、24.8万(=Mp2)、及び2200に存在した。得られた樹脂に不快な臭気はなかった。また、これら2つのピーク間の谷で区切った場合、高分子量側のMwは24.5万(=Mw2)、Mnは9.5万、Mw/Mn=2.6であった。また、低分子量側のMwは3400、Mnは1500、Mw/Mn=2.3であった。製造例5と比較すると、Mw2/Mw1=24.5万/35.9万=0.68、Mp2/Mp1=24.8万/35.4万=0.70と計算された【0051】
【発明の効果】本発明によって、メルカプタン系化合物等の連鎖移動剤を使用しなくても樹脂の分子量を低減させることができ、不快な匂いのない樹脂を製造することができ、工業上非常に有益である。
【0052】
【出願人】 【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱レイヨン株式会社
【出願日】 平成13年6月14日(2001.6.14)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−371104(P2002−371104A)
【公開日】 平成14年12月26日(2002.12.26)
【出願番号】 特願2001−179789(P2001−179789)