| 【発明の名称】 |
変性ポリエステル樹脂及び該樹脂を用いた樹脂組成物 |
| 【発明者】 |
【氏名】内田 雅裕
【氏名】青木 順一
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| 【要約】 |
【課題】ポリエステル樹脂は、硬度、加工性に優れるという長所がある反面、加水分解し易いので、耐水性、耐酸性、耐アルカリ性、耐レトルト性に劣るという欠点がある。一方、アクリル樹脂は、加水分解し難いが、加工性が悪いという欠点がある。本発明の目的は、上記欠点を改良した樹脂を提供することにある。
【解決手段】エチレン性不飽和結合を有するポリエステル樹脂(A)と、N−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド(b1)を必須モノマーとして含有し、かつ水酸基を有するエチレン性不飽和結合を有するモノマー(b2)を含有しないエチレン性不飽和結合を有するモノマー(B)とを共重合してなることを特徴とするアクリル変性ポリエステル樹脂(C)。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エチレン性不飽和結合を有するポリエステル樹脂(A)と、N−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド(b1)を必須モノマーとして含有し、かつ水酸基を有するエチレン性不飽和結合を有するモノマー(b2)を含有しない、エチレン性不飽和結合を有するモノマー(B)とを共重合してなることを特徴とするアクリル変性ポリエステル樹脂(C)。 【請求項2】 ポリエステル樹脂(A)/モノマー(B)が、重量比で97/3〜5/95であることを特徴とする請求項1記載のアクリル変性ポリエステル樹脂(C)。 【請求項3】 N−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド(b1)が、モノマー(B)中に5〜100重量%であることを特徴とする請求項1又は2記載のアクリル変性ポリエステル樹脂(C)。 【請求項4】 ポリエステル樹脂(A)の数平均分子量が、3000〜30000であることを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載のアクリル変性ポリエステル樹脂(C)。 【請求項5】 ポリエステル樹脂(A)が、−COOH成分及び−OH成分の合計100モル%中、エチレン性不飽和結合を有する成分が1〜30モル%である原料から形成されることを特徴とする請求項1ないし4いずれか記載のアクリル変性ポリエステル樹脂(C)。 【請求項6】 エチレン性不飽和結合を有する成分が、マレイン酸又は無水マレイン酸であることを特徴とする請求項5記載のアクリル変性ポリエステル樹脂(C)。 【請求項7】ポリエステル樹脂(A)、又はモノマー(B)中のN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド(b1)以外のモノマー(b3)のうち少なくとも一つが−COOHを有することを特徴とする請求項1ないし6いずれか記載のアクリル変性ポリエステル(C)。 【請求項8】 請求項1ないし7いずれか記載のアクリル変性ポリエステル樹脂(C)を含有することを特徴とする樹脂組成物。 【請求項9】 塗料用又は接着剤用である請求項8記載の樹脂組成物。 【請求項10】 請求項7記載のアクリル変性ポリエステル樹脂(C)を塩基性化合物で中和してなるものを水性媒体に分散ないし溶解せしめてなるアクリル変性ポリエステル樹脂(C)の水性分散体ないし水溶液。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、塗料又は接着剤に好適に用いられるアクリル変性ポリエステル樹脂に関し、詳しくは金属被覆用の塗料に好適に用いられるアクリル変性ポリエステル樹脂に関する。より詳しくは飲料や食品を収容する缶を被覆するための塗料に好適なアクリル変性ポリエステル樹脂に関する【0002】 【従来の技術】従来、ポリエステル樹脂に対して、イソシアネート化合物、アミノ樹脂、エポキシ樹脂等が硬化剤として用いてなる組成物が広範囲な用途で使用されているが、これら従来の組成物は、加水分解し易いというポリエステル樹脂の欠点故に、得られる塗膜等は耐酸性、耐アルカリ性に劣るという欠点があった。これらの問題点を解決するため硬化剤を増量する試みがなされているが、加水分解性に関する問題は改良されるものの、その反面ポリエステル樹脂の長所である加工性が著しく損なわれる。また、ポリエステル樹脂の分子量を大きくすると、末端の反応点が少なくなり却って硬化性が損なわれてしまうので、上記の欠点が更に増幅される。他の方法としては、多官能アルコールや多官能の酸成分を用い、ポリエステル樹脂に分岐構造を入れる試みがなされているが、分岐構造を多く入れようとすると合成中にゲル化を起こす事があり、一方少ないと加水分解性の抑制効果がほとんど見られない。また、ポリエステル樹脂は一般に顔料分散性が悪く、これを用いてなる塗料は、経時で顔料の沈降、色別れ等が発生するという問題も有している。 【0003】一方、エチレン性不飽和結合を有するモノマーを重合した樹脂、例えば、アクリル樹脂は加水分解性、耐薬品性、顔料分散性に優れているが、加工性との両立は不可能であった。 【0004】そこでポリエステル樹脂とアクリル樹脂とを混合したり、あるいは両樹脂をエステル化反応せしめたり、もしくはエステル交換せしめたりしてなるアクリル変性ポリエステルを合成したりして、両樹脂の性能を引き出す試みが行われてきている。しかし、前者は樹脂同士の相溶性が悪い。後者はポリエステル樹脂とアクリル樹脂とが十分に反応せず、特にポリエステル樹脂の分子量が高くなるとアクリル樹脂との反応が更に困難になり、いずれの場合も両樹脂の特性を十分に引き出すことが出来なかった。また特開平5−279621号公報には、エチレン性不飽和結合を有するポリエステル樹脂にエチレン性不飽和結合を有するモノマーを直接重合させてなるアクリル変性ポリエステルを含有する塗料が開示されてはいる。この塗料は、N−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミドの自己架橋性の利用によりアクリル変性ポリエステルの分子間架橋が生じるため、常態に於いては加工性や硬度のバランスに優れた塗膜が得られる。ところで、該公報に記載されるアクリル変性ポリエステルは、N−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミドとエチレン性不飽和結合とを有するモノマー、水酸基とエチレン性不飽和結合とを有するモノマーの両モノマーを必須成分として合成せしめたものであり、このアクリル変性ポリエステルを熱硬化性塗料用樹脂として供した場合には、硬化過程においてアクリルモノマーに由来する水酸基とアルコキシメチル基との反応が他の官能基間の反応に比べて速やかに行われる。しかし、該反応によって形成される結合は、熱水及び酸の存在下において極めて分解され易いので、硬化塗膜が高温の水や酸性液体に対して溶出しやすい。飲料や食品等の内容物が直接接触する缶の内面塗膜の場合、このように塗膜成分が抽出され易いということは致命的な欠点となる。一方、外面塗膜の場合、内容物と直接接触することはないが、外面を洗浄する水中に塗膜成分が抽出され場合、水質を汚染しないようにするためには排水処理が必要になる。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、耐水性、耐酸性、耐アルカリ性、レトルト性、加工性に優れると共に硬度にも優れる塗膜を形成し得る塗料組成物であって、顔料の分散性にも優れる塗料組成物を提供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】そこで以上の課題を解消するために鋭意検討した結果、エチレン性不飽和結合を有するポリエステルと、特定のアクリル系モノマーとを反応せしめることによって上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。第1の発明は、エチレン性不飽和結合を有するポリエステル樹脂(A)と、N−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド(b1)を必須モノマーとして含有し、かつ水酸基を有するエチレン性不飽和結合を有するモノマー(b2)を含有しないエチレン性不飽和結合を有するモノマー(B)(以下、アクリル系モノマー(B)ともいう)とを共重合してなることを特徴とするアクリル変性ポリエステル樹脂(C)である。第2の発明は、ポリエステル樹脂(A)/アクリル系モノマー(B)が、重量比で97/3 〜 5/95であることを特徴とする第1の発明記載のアクリル変性ポリエステル樹脂(C)である。第3の発明は N−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド(b1)が、アクリル系モノマー(B)中に5〜100重量%であることを特徴とする第1又は第2の発明に記載のアクリル変性ポリエステル樹脂(C)である。 【0007】第4の発明は ポリエステル樹脂(A)の数平均分子量が、3000〜30000であることを特徴とする第1ないし第3の発明のいずれか記載のアクリル変性ポリエステル樹脂(C)である。第5の発明は、ポリエステル樹脂(A)が、−COOH成分及び−OH成分の合計100モル%中、エチレン性不飽和結合を有する成分が1〜30モル%である原料から形成されることを特徴とする第1ないし第4の発明いずれか記載のアクリル変性ポリエステル樹脂(C)である第6の発明は、エチレン性不飽和結合を有する成分が、マレイン酸又は無水マレイン酸であることを特徴とする第5の発明記載のアクリル変性ポリエステル樹脂(C)である。第7の発明は、ポリエステル樹脂(A)、又はアクリル系モノマー(B)中のN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド(b1)以外のモノマー(b3)のうち少なくとも一つが−COOHを有することを特徴とする第1ないし第6の発明いずれか記載のアクリル変性ポリエステル樹脂(C)である。 【0008】第8の発明は、第1ないし第7の発明いずれか記載のアクリル変性ポリエステル樹脂(C)を含有することを特徴とする樹脂組成物である。第9の発明は、塗料用又は接着剤用であることを特徴とする第8発の明記載の樹脂組成物である。第10の発明は、第7の発明記載のアクリル変性ポリエステル樹脂(C)を塩基性化合物で中和してなるものを水性媒体に分散ないし溶解せしめてなるアクリル変性ポリエステル樹脂(C)の水性分散体ないし水溶液である。 【0009】 【発明の実施の形態】本発明は、エチレン性不飽和結合を含有するポリエステル樹脂(A)と、N−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド(b1)を必須モノマーとして含有し、かつ水酸基を有するエチレン性不飽和結合を有するモノマー(b2)を含有しないエチレン性不飽和結合を有するアクリル系モノマー(B)とを重合せしめることによって、ポリエステル樹脂系塗料から形成される塗膜の長所である硬度と加工性の良さを活かしつつ、ポリエステル樹脂に由来するの耐酸性、耐アルカリ性、顔料分散性の悪さを改良し、従来両立が困難であった特性を共に満足できるようになったものである。 【0010】本発明に用いられるポリエステル樹脂(A)は、エチレン性不飽和結合を有する酸成分またはエチレン性不飽和結合を有するアルコール成分と、その他の酸成分とアルコール成分とを従来公知の方法に従って縮合反応(エステル化反応又はエステル交換反応)せしめることにより得られる。 【0011】ポリエステル樹脂(A)の原料となるエチレン性不飽和結合を有する酸成分及びアルコール成分の量は、全酸成分、全アルコール成分それぞれ100モル%に対して0.5モル%以上20モル%以下が望ましく、両者のトータル100モル%中に1モル%以上、30モル%以下が好ましい。特に両者のトータル100モル%中に好ましくは1モル%以上、10モル%以下である。エチレン性不飽和結合を有する酸成分及びアルコール成分の量が1モル%未満では、ポリエステル樹脂(A)とアクリル系モノマー(B)とをラジカル重合する時、ポリエステル樹脂(A)とエチレン性不飽和モノマー(B)との反応が十分に行われないことがあり、一方エチレン性不飽和結合を有する酸成分及びアルコール成分の量が30モル%以上では、ポリエステル樹脂(A)を合成する際にゲル化を生じることがある。 【0012】エチレン性不飽和結合を有する酸成分としては、(無水)マレイン酸、フマル酸、(無水)イタコン酸が挙げられ、(無水)マレイン酸、フマル酸が好ましい。通常、ポリエステル樹脂を合成する際には反応温度が200℃を越える場合が多く、合成時にエチレン性不飽和結合が反応しゲル化を生じることがあるが、(無水)マレイン酸、フマル酸はポリエステル合成時に安定である一方、ポリエステル樹脂(A)とエチレン性不飽和結合モノマー(B)とラジカル重合反応する際には有効に反応する。また、エチレン性不飽和結合を有するアルコール成分としては2−ブテン−1,4ジオール等が用いられる。これらエチレン性不飽和結合を有する酸成分、エチレン性不飽和結合を有するアルコール成分は、それぞれ単独で用いても良く、複数使用しても良い。 【0013】その他の酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、安息香酸等であり、単独あるいは2種以上を使用出来る。その他のアルコール成分としては、2−エチルヘキシルアルコール、ラウリルアルコール等の一価のアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6ヘキサンジオール等のグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールであり、単独、あるいは2種以上を使用できる。 【0014】前記原料より得られたポリエステル樹脂(A)の数平均分子量は3000〜30000の範囲が好ましく、特に折り曲げ加工性の必要な分野に適用される場合には5000〜25000の範囲が望ましい。数平均分子量が3000未満だと、硬化塗膜の耐溶剤性が低下する場合がある。塗料用のポリエステル樹脂(A)としてはガラス転移温度(Tg)は50〜100℃程度であることが好ましく、このようなTgの場合、数平均分子量が30000を越えるようなポリエステル樹脂は、堅すぎて合成自体が困難となるばかりでなく、合成できたとしても塗料とした場合に粘度が高くなり取り扱いが困難となる場合がある。尚、数平均分子量が1000以上3000未満の範囲のポリエステル樹脂(A)は、比較的加工性が厳しくない分野に適することができる。また、数平均分子量が1000未満の場合は、加水分解性がやや低下する場合がある。 【0015】本発明において用いられるエチレン性不飽和結合を有するモノマー(B)のうち必須のN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド(b1)としては、例えばN−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミドが用いられる。N−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド(b1)は、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマー(B)100重量%中、例えば得られるアクリル変性ポリエステル樹脂(C)を塗料、接着剤に利用する場合には通常5〜100%の範囲であり、好ましくは40〜100%である。5%以下では短時間硬化を要求される用途の場合、分子間架橋が不足し十分な硬化が得られない場合がある。 【0016】本発明において用いられるエチレン性不飽和結合を有するモノマー(B)のうち上記N−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド(b1)以外のモノマー(b3)としては、スチレン、アルキル(メタ)アクリレート、シクロへキシルメタアクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が用いられる。特に塗膜の光沢及びインキウェット性を付与するにはアルキル基の炭素数が8以上である2エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレートを使用することが好ましい。また、水酸基以外の官能基を有するモノマーとしては、カルボキシル基を有するモノマー、ケトン基を有するモノマー等が用いられる。カルボキシル基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、(無水)マレイン酸、イタコン酸等が挙げられ、ケトン基を有するモノマーとしては、ダイアセトンアクリルアミド、アセトアセトキシエチルメタクリレート等が挙げられる。 【0017】本発明においては、エチレン性不飽和結合を有するモノマーの1つとして、水酸基を有するエチレン性不飽和結合を有するモノマー(b2)を使用しないことが極めて重要である。即ち、モノマー(b2)を使用してなるアクリル変性ポリエステル樹脂を含有する組成物から塗膜等を得る際には、アクリル変性ポリエステル樹脂に含まれるN−アルコキシメチル基が、N−アルコキシメチル基と反応する(自己架橋)と共に水酸基とも競争反応することとなるが、N−アルコキシメチル基と水酸基との反応によって生じる結合は、N−アルコキシメチル基同士の自己架橋反応によって生じる結合に比してに、加水分解し易い。従って、本発明においては水酸基を有するエチレン性不飽和結合を有するモノマー(b2)を使用しないことが極めて重要である。 【0018】本発明のアクリル変性ポリエステル樹脂(C)は、ポリエステル樹脂(A)とエチレン性不飽和結合を有するモノマー(B)とを通常有機溶剤中でラジカル重合することによって得られる。具体的はエチレン性不飽和結合を有するポリエステル樹脂(A)を有機溶剤に溶解し、その溶液中にラジカル開始剤とエチレン性不飽和結合を有するモノマー(B)とを滴下して、重合反応する方法が通常用いられるが、エチレン性不飽和結合を有するポリエステル樹脂(A)をエチレン性不飽和結合を有するモノマー(B)単独または有機溶剤を併用して溶解し、この溶液にラジカル開始剤を添加し、上記混合物を有機溶剤中に滴下し反応することも可能である。また分子量の調整、ゲル化の防止のためメルカプタン等のラジカル連鎖移動剤を用いても良い。 【0019】ここで用いられるラジカル開始剤としては、過酸化ベンゾイルなどの過酸化物、アゾビスイソブチルニトリルなどのアゾビス系の化合物がある。これらの化合物と還元剤を組み合わせたレドックス系も使用出来る。ラジカル開始剤の量としては、通常エチレン性不飽和結合を有するモノマー(B)100重量部に対して、0.5〜50重量部用いられ、好ましくは1〜20重量部である。0.5重量部未満ではポリエステル樹脂(A)との反応が不十分となり、一方50重量部を越えるとゲル化を生じる事がある。 【0020】重合に用いられる溶剤としては、一般的な有機溶剤でよく、単独もしくは2種以上の溶剤を併用して用いる事も可能である。例えば、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン等のケトン系溶剤、アジピン酸ジメチルエステル、酢酸ブチル、酢酸エチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルグリコール等のエステル系溶剤、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル系溶剤、プロパノール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のアルコール系溶剤を単独、併用して用いることが出来る。尚、ポリエステル樹脂(A)を溶解する溶剤としては、必ずしも室温で溶解する溶剤を用いる必要はない、熱時重合温度で溶解するものであれば良い。エチレン性不飽和結合を有するモノマーを重合させる事により、重合体の有機溶剤分散体を得ることも可能である。 【0021】アクリル変性ポリエステル樹脂(C)は、上記したような溶液重合の他、水性媒体中で重合して得ることもできる。例えば、ポリエステル樹脂(A)中に,5‐スルホイソフタル酸ナトリウム及び/またはカルボン酸を含有させ,この樹脂(A)を必要に応じて塩基で中和し,水性化し,別途エチレン性不飽和結合を有するモノマー(B)を単独または乳化剤で水分散体としたもの,及び開始剤を、前記ポリエステル樹脂(A)の水溶液ないしは水分散体に滴下し、反応することも可能である。ここで用いられる乳化剤としては,通常のエマルジョン重合に用いられるノニオン系,アニオン系の乳化剤が用いられる。開始剤としては,過硫酸塩,アゾアミド化合物等が用いられ,量的にはモノマー(B)100重量部に対して0.01〜10重量部用いられる。また,有機系のラジカル開始剤を使用してもよい。 【0022】エチレン性不飽和結合を有するポリエステル樹脂(A)とエチレン性不飽和結合を有するモノマー(B)との重量比は用途によって適宜変更可能である、通常(A)/(B)=97/3〜5/95であり、好ましくは80/20〜20/80である。ポリエステル樹脂(A)が、97重量%より多くなると相対的にエチレン性不飽和結合を有するモノマー(B)が少なくなり、モノマー(B)に由来する性能、即ち顔料分散性に優れる塗料が得られ、しかも得られる塗膜が加水分解し難く、という性能が十分に発揮されない場合がある。一方、ポリエステル樹脂(A)が、5重量%未満ではポリエステル樹脂(A)に由来する性能、即ち得られる塗膜が加工性に優れるという性能が発揮出来ない場合がある。エチレン性不飽和結合を有するポリエステル樹脂(A)とエチレン性不飽和結合を有するモノマー(B)との反応により得られるアクリル変性ポリエステル樹脂(C)の数平均分子量は、3500〜40000程度であることが好ましい。数平均分子量が3500未満の場合、得られる塗膜の加工性が低下することがあり、一方数平均分子量が40000を越えると粘度が高くなり取り扱いが困難となり易い。尚、共重合に供する(b1)(b2)以外の他のモノマー(b3)の種類によっては、変性前のポリエステル樹脂(A)よりも変性後のアクリル変性ポリエステル(C)を柔らかくすることもできる。従って、変性後のアクリル変性ポリエステル(C)は、変性前のポリエステル樹脂(A)より大きな数平均分子量を呈しても塗料として使用し得る。 【0023】本発明のアクリル変性ポリエステル樹脂(C)は、塗料、接着剤等に様々な用途に適用することができる。特に金属を被覆する塗料に好適に使用され、中でも飲料や食品を収容する金属缶の内面や外面の被覆用塗料に好適に使用される。接着剤としては、金属とプラスチックフィルムとを貼着する際に好適に使用される。塗料、接着剤等に適用する場合、アクリル変性ポリエステル樹脂を(C)を含有する組成物を塗布し、加熱することによって、N−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド(b1)に由来するN−アルコキシメチル基が、自己架橋し、アクリル変性ポリエステル樹脂(C)の分子間に架橋構造が導入され、塗膜の物性の確保されることとなる。 【0024】本発明のアクリル変性ポリエステル樹脂(C)は、水性化、即ち水性媒体に分散ないしは溶解せしめることもでき、その場合には、アクリル変性ポリエステル樹脂(C)の酸価は、10〜200(mgKOH/g)の範囲が好ましく、20〜100(mgKOH/g)の範囲がより好ましい。アクリル変性ポリエステル樹脂(C)を水性化するためには、ポリエステル樹脂(A)としてカルボキシル基を有するものを用いたり、あるいはモノマー(B)の1つとしてカルボキシル基及びエチレン性不飽和結合を有するモノマー(b3)を使用すればよい。具体的は、ポリエステル樹脂(A)又はカルボキシル基及びエチレン性不飽和結合を有するモノマー(b3)に由来するカルボキシル基を塩基性化合物で中和すればよい。水性化に用いる塩基としては、例えばアンモニアおよびトリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、ジアザビシクロウンデセン等のアミン化合物である。 【0025】本発明のアクリル変性ポリエステル樹脂(C)に、さらにアミノ樹脂類、フェノール樹脂類、ポリイソシアネート類、尿素樹脂、エポキシ樹脂等の硬化剤を併用し、硬化塗膜の架橋密度の最適化を図ることもできる。硬化剤の量は種類、用途により幅があるが、アクリル変性ポリエステル樹脂(C)100重量部に対して、通常1〜50重量部用いられる。1重量部未満では添加した効果が乏しく、50重量部より多いと得られる塗膜の加工性が低下する場合がある。 【0026】本発明の樹脂組成物には、それぞれの用途に応じて顔料、充填剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、消泡剤等を用いることが可能である。 【0027】 【実施例】本発明における樹脂組成物は塗料及び接着剤用途として広く利用されるものであるが、その一例として塗料用に供した場合について、以下に実施例、比較例を示し、本発明を説明する。例中、部とは重量部、%とは重量%をそれぞれ表す。 【0028】製造例1[エチレン性不飽和結合を有するポリエステル樹脂(A1)の合成]ジメチルテレフタレート50モル、エチレングリコール90モル、ネオペンチルグリコール40モル、イソフタル酸34モル、セバシン酸10モル、無水マレイン酸6モルの比率で原料をそれぞれ計量、準備する。別途酸及びグリコールの総仕込み重量に対して酢酸亜鉛0.01%、テトラブチルオルソチタネート0.0025%をそれぞれ計量、準備する。分留装置付きフラスコに既に計量済みのジメチルテレフタレート、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、酢酸亜鉛、テトラブチルオルソチタネート仕込み、窒素気流下にて撹拌しながら160〜220℃でエステル交換反応を行った。理論量のメタノールが留出した後既に計量済みのイソフタル酸、セバシン酸、無水マレイン酸を仕込み180〜240℃でエステル化反応を行い、酸価が20以下になったら反応容器を徐々に減圧し、1〜3トール、240℃で5時間反応を行い、エチレン性不飽和結合を含有する数平均分子量8000、水酸基価8、酸価1のポリエステル樹脂(A1)を得た。 【0029】製造例2〜3[エチレン性不飽和二重結合含有ポリエステル樹脂(A2)〜(A3)の合成]製造例1と同様の方法で、表1に示す組成にてエチレン性不飽和結合を有するポリエステル樹脂(A2)〜(A3)を得た。 【0030】製造例4[エチレン性不飽和二重結合含有ポリエステル樹脂(A4)の合成]製造例1のエチレン性不飽和二重結合含有ポリエステル樹脂(A1)の合成と同様にして酸価が20以下になるまでエステル化反応せしめた後、減圧下で2時間反応せしめ、エチレン性不飽和結合を含有する数平均分子量2500、水酸基価50、酸価5のポリエステル樹脂(A4)を得た【0031】比較製造例1[飽和ポリエステル樹脂(A5)の合成]ジメチルテレフタレート50モル、エチレングリコール90モル、ネオペンチルグリコール40モル、イソフタル酸40モル、セバシン酸10モルの比率で原料をそれぞれ計量、準備する。別途酸及びグリコールの総仕込み重量に対して酢酸亜鉛0.01%、テトラブチルオルソチタネート0.0025%をそれぞれ計量、準備する。分留装置付きフラスコに既に計量済みのジメチルテレフタレート、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、酢酸亜鉛、テトラブチルオルソチタネート仕込み、窒素気流下にて撹拌しながら160〜220℃でエステル交換反応を行った。理論量のメタノールが留出した後既に計量済みのイソフタル酸、セバシン酸を仕込み180〜240℃でエステル化反応を行い、酸価が20以下になったら反応容器を徐々に減圧し、1〜3トール、240℃で5時間反応を行い、数平均分子量8000、水酸基価8、酸価1のポリエステル樹脂(A5)を得た。 【0032】実施例1[アクリル変性ポリエステル(C1)の合成]次に得られたエチレン性不飽和結合を有するポリエステル樹脂(A1)50部とシクロヘキサノン50部を反応容器に仕込み、加熱溶解を行った。この溶液を120℃にし、スチレン15部、エチルアクリレート15部、N−ブトキシメチルアクリルアミド20部、ベンゾイルパーオキサイド0.5部とシクロヘキサノン50部の溶液を2時間かけて滴下し反応を行った。滴下終了1時間後、更にベンゾイルパーオキサイド0.05部を追加し、更に1時間反応し、アクリル変性ポリエステルの樹脂(C1)溶液を得た。 【0033】[塗料の調製]得られたアクリル変性ポリエステルの樹脂(C1)溶液の樹脂固形100部に対して硬化剤としてマイコート106(商品名 マイコート106(三井サイテック(株)製ベンゾグアナミン樹脂、固形分77%)を10部加え、更に、触媒としてp−トルエンスルホン酸を0.1phr、溶剤としてシクロヘキサノンを加え固形分30%の塗料(T−1)を調製した。 【0034】実施例2〜6、8〜10、比較例1〜6表2に示す組成比で実施例1と同様の方法で、得られたポリエステル樹脂(A1)〜(A5)とエチレン性不飽和結合を有するモノマーとを重合せしめ、アクリル変成ポリエステル樹脂溶液(C2)〜(C6)、(C8)〜(C16)を得た。さらに実施例1と同様にして表2に示す配合比にてアクリル変成ポリエステル樹脂溶液に硬化剤としてマイコート106、又はPR−401(商品名 フェノデュアPR401(ヘキスト社製レゾール型フェノール樹脂)、及びP−トルエンスルホン酸、更に溶剤を加え固形分30%の塗料(T−2)〜(T−6)、(T−8)〜(T−16)を調製した。尚、比較例1,2の場合、ポリエステル樹脂(A5)とエチレン性不飽和結合を有するモノマーとは重合していないことがNMRから確認された。 【0035】実施例7実施例1と同様にして、アクリル変性ポリエステル樹脂(C7)溶液を得た。次に得られたアクリル変性ポリエステル樹脂(C7)溶液100部中のメタクリル酸に由来するカルボキシル基を80℃で、ジメチルアミノエタノールで100モル%中和し、更に水100部を徐々に加え水系に転相し、次いでこの水性分散体を減圧し、溶剤を除去したのち、再び水を加えて固形分30%のアクリル変性ポリエステル樹脂(C7)の水性分散体を得た。この水性分散体の樹脂固形分100部に対して、硬化剤としてマイコート106を10部加え、更に触媒としてp−トルエンスルホン酸を0.1phr、ブチルセロソルブ及び水を1:1の比率で加え、固形分30%の塗料T−7を作成した。 【0036】[評価]実施例及び比較例により得られた塗料の安定性及び顔料分散性、並びに各塗料を用い、テストパネルを作成し、得られた塗膜の物性を以下のようにして評価した。 【0037】<塗料安定性>実施例1〜10、及び比較例1〜6得たクリア塗料について、JIS K 5400 加温貯蔵性安定性における試験方法に従い、以下の評点で塗料状態を目視評価した。 ◎:全く変化なし○:僅かに濃淡が見られる。 △:僅かに分離×:分離・沈降【0038】<顔料分散性>各実施例、比較例で得たアクリル変性ポリエステル樹脂に酸化チタンを酸化チタン/樹脂を1.2(重量比)の割合で混合し、サンドミルでペースト化しその後、硬化剤、溶剤を加え塗料化した。この塗料を225CCマヨネーズ瓶に200gを入れ、室温保存1ヶ月で顔料の沈降、分離を目視評価。 ◎:分離無し○:分離1mm以下△:1〜5mm分離×:5mm以上分離【0039】[テストパネルの作成]実施例1〜10、及び比較例1〜6で得られたクリア塗料を板厚0.23mmの電気亜鉛メッキブリキにロールコート塗装により乾燥後塗膜厚7μmになるように塗装し、ガスオーブンにて雰囲気温度200℃において10分間焼き付け、テストパネルを作成、評価に供した。 【0040】〔塗膜物性試験〕 <耐熱水性外観>耐熱水性について、JIS K 5400 耐沸水性に関する試験法に従い処理した後、以下の評点で塗膜の状態を目視評価した。 ◎:全く異常無し○:僅かにウオタースポット△:ウオタースポットが目立つ×:ブリスター発生【0041】<耐熱水性・溶出量>塗膜面積(cm2)/容量(ml)=1/1になるようにテストパネル及びイオン交換水をビーカーに入れ加圧殺菌装置で130℃−60分間レトルト処理を行った後、抽出液中の有機物をJIS K 0102 100℃における過マンガン酸カリウムによる酸素消費量の試験方法に従い測定、以下の評点で塗膜の溶出量を評価した。 ◎ND○0.1PPM未満△0.1以上1PPM以下×1PPM以上【0042】<耐酸、耐アルカリ性・外観>塗膜外観における耐酸、耐アルカリ性についてJIS 5400 耐酸性、及び耐アルカリ性試験方法に従い処理した後、以下の評点で塗膜の状態を評価した。 ◎:全く異常無し○:僅かに跡が残る△:膨れ、はがれ、さびが発生×:塗膜溶解【0043】<耐酸性・溶出量>塗膜面積(cm2)/容量(ml)=1/1になるようにテストパネル及び1N酢酸水溶液をビーカーに入れ加圧殺菌装置で130℃−60分間レトルト処理を行った後、抽出液中の有機物をJIS K 0102 100℃における過マンガン酸カリウムによる酸素消費量の試験方法に従い測定、以下の評点で塗膜の溶出量を評価した。 ◎ND○0.1PPM未満△0.1PPM以上1PPM未満×1PPM以上【0044】<加工性試験>加工性についてJIS K 5400 エリクセン値(破断距離法)試験法に従い加工、以下の評点にて評価した。 ◎:10mm以上○:8mm以上10mm未満△:5mm以上8mm未満×:5mm未満【0045】<塗膜硬度>塗膜硬度についてJIS K 5400 鉛筆引っかき値(手かき法エリクセン値(破断距離法)試験法に従い測定、以下の評点にて評価した 鉛筆の芯部分にて塗膜表面を削り硬度測定◎:3H以上△:F〜2H×:B以下【0046】<耐溶剤性>2ポンドハンマーにガーゼを巻きMEKを含浸させ塗膜上を往復させその状態を観察する。 ◎:100回以上○:50回以上100回未満△:20回以上50回未満×:20回以下【0047】 【表1】
【0048】 【表2】
【0049】*ST:スチレン、MMA:メチルメタアクリレート、EA:エチルアクリレート、2−HEMA:2−ヒドロキシエチルメタアクリレート、NBM:ブトキシメチルアクリルアミド、MAA:メタアクリル酸、M−106:マイコート106(三井サイテック社製ベンゾグアナミン樹脂)、PR−401:フェノデュアPR401(ヘキスト社製レゾール型フェノール樹脂) 【0050】 【表3】
【0051】 【発明の効果】本発明は,エチレン性不飽和結合を有するポリエステル樹脂(A)と、N−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド(b1)を必須モノマーとして含有し、かつ水酸基を有するエチレン性不飽和結合を有するモノマー(b2)を含有しないエチレン性不飽和結合を有するアクリル系モノマー(B)とを共重合してなることを特徴とするアクリル変性ポリエステル樹脂(C)に関する発明であり、該アクリル変性ポリエステル樹脂(C)は顔料分散性に優れると共に、耐水性、耐酸、アルカリ性、レトルト性、加工性に優れる塗膜を形成し得、塗料、接着剤等に広く用いられる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000222118 【氏名又は名称】東洋インキ製造株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年12月10日(2001.12.10) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2002−322225(P2002−322225A) |
| 【公開日】 |
平成14年11月8日(2002.11.8) |
| 【出願番号】 |
特願2001−375169(P2001−375169) |
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