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【発明の名称】 熱可塑性樹脂用耐衝撃性改良剤及びそれを含む樹脂組成物
【発明者】 【氏名】宮武 信雄

【氏名】高木 彰

【要約】 【課題】耐衝撃性にすぐれた熱可塑性樹脂組成物を与える改質剤をえる。

【解決手段】改質剤として、アクリル系ゴム粒子の存在下にビニル系単量体を重合させ、その重合中に重合体粒子を凝集肥大化させて得られ、かつトルエン不溶分量が70重量%以上であるゴム変性樹脂を得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 アクリル系ゴム粒子の存在下にビニル系単量体を重合させ、該重合中に重合体粒子を凝集肥大化させて得られ、かつトルエン不溶分量が70重量%以上であるゴム変性樹脂からなる熱可塑性樹脂用耐衝撃性改良剤。
【請求項2】 アクリル系ゴム粒子70〜95重量部の存在下にビニル系単量体5〜30重量部(合計量が100重量部)を重合させてなる請求項1記載の熱可塑性樹脂用耐衝撃性改良剤。
【請求項3】 アクリル系ゴム粒子がラテックス状である、請求項1または2記載の熱可塑性樹脂用耐衝撃性改良剤。
【請求項4】 ビニル系単量体が、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、ハロゲン化ビニル単量体、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸エステル単量体よりなる群から選ばれた少なくとも1種の単量体である請求項1、2または3記載の熱可塑性樹脂用耐衝撃性改良剤。
【請求項5】 請求項1、2、3または4記載の熱可塑性樹脂用耐衝撃性改良剤0.1〜150重量部と熱可塑性樹脂100重量部とからなる熱可塑性樹脂組成物。
【請求項6】 熱可塑性樹脂が、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−N−フェニルマレイミド共重合体、α−メチルスチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエステル、 ABS樹脂、AAS樹脂、AES樹脂またはポリフェニレンエーテルである請求項5記載の熱可塑性樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂用耐衝撃性改良剤とそれを含有する熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ブタジエンゴムにメタクリル酸メチルやスチレンをグラフト重合したMBS樹脂は熱可塑性樹脂の耐衝撃性を改良させるために広く用いられている。しかしMBS樹脂は、ブタジエンゴムを使用しているために耐候性が悪いという欠点をもつ。このため、アクリル系ゴム、とくにアクリル酸ブチルゴムをゴム成分として利用することが提案され(特公昭51−28117号公報)、実際に使用されている。しかし、アクリル酸ブチルゴムは耐候性の点では十分であるが、耐衝撃性改良効果が不十分という欠点をもつ。そこで、ガラス転移温度(Tg)のより低いゴム成分を併用することがいくつか提案されている。たとえば、特開平4−100812号公報には、アクリル酸ブチルゴムとよりTgの低いシリコーンゴムとを複合させたゴムを用いることが提案されている。特開平8−100095号公報および特開2000−26552号公報には、アクリル酸ブチルと側鎖のアルキル成分が長く、よりTgの低い重合体を与えるアクリル系単量体を併用して耐衝撃性改良効果の向上をはかることが提案されている。
【0003】また、低いTgのゴム成分を併用せずに、製造法を工夫することにより、耐衝撃性改良効果をはかる試みもなされている。たとえば、特開平5−25227号公報には、ゴム粒子に少量のビニル系単量体をグラフト重合し、その後、重合体粒子を凝集肥大させ、さらにビニル系単量体をグラフト重合することで耐衝撃性改良効果の向上をはかることが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平4−100812号公報、特開平8−100095号公報および特開2000−26552号公報の技術では、耐衝撃性が向上するが、新たな原料を使用することに伴う原料費の上昇に見合う向上が見られない。
【0005】また、特開平5−25227号公報の技術は、該公報の実施例にも、従来のゴム粒子を肥大した、肥大化ゴムにビニル系単量体をグラフト重合したものよりも、衝撃強度が劣る結果が示されており、原料費の上昇などはないが、耐衝撃性改良効果の向上が見られない。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、コスト−耐衝撃性改良効果のバランスのより優れた熱可塑性樹脂用耐衝撃性改良剤の開発を課題として鋭意検討を重ねた結果、アクリル系ゴム粒子の存在下にビニル系単量体を重合させ、その重合中に、重合体粒子を凝集肥大化させたゴム変性樹脂であって、該ゴム変性樹脂が特定のトルエン不溶分量をもつ場合に、耐衝撃性改良効果に優れた熱可塑性樹脂用耐衝撃性改良剤として使用できること、また、該ゴム変性樹脂からなる熱可塑性樹脂用耐衝撃性改良剤を熱可塑性樹脂に配合するとにより耐衝撃性が極めて良好な熱可塑性樹脂組成物がえられることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明は、アクリル系ゴム粒子の存在下にビニル系単量体を重合させ、該重合中に重合体粒子を凝集肥大化させて得られ、かつトルエン不溶分量が70%(重量%を表す、以下同様)以上であるゴム変性樹脂からなる熱可塑性樹脂用耐衝撃性改良剤(請求項1)、アクリル系ゴム粒子70〜95部(重量部を表す。以下同様)の存在下にビニル系単量体5〜30部(合計量が100部)を重合させてなる請求項1記載の熱可塑性樹脂用耐衝撃性改良剤(請求項2)、アクリル系ゴム粒子がラテックス状である、請求項1または2記載の熱可塑性樹脂用耐衝撃性改良剤(請求項3)、ビニル系単量体が、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、ハロゲン化ビニル単量体、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸エステル単量体よりなる群から選ばれた少なくとも1種の単量体である請求項1、2または3記載の熱可塑性樹脂用耐衝撃性改良剤(請求項4)、請求項1、2、3または4記載の熱可塑性樹脂用耐衝撃性改良剤0.1〜150部と熱可塑性樹脂100部とからなる熱可塑性樹脂組成物(請求項5)、および前記熱可塑性樹脂が、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−N−フェニルマレイミド共重合体、α−メチルスチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエステル、 ABS樹脂、AAS樹脂、AES樹脂またはポリフェニレンエーテルである請求項5記載の熱可塑性樹脂組成物。(請求項6)、に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の熱可塑性樹脂用耐衝撃性改良剤は、アクリル系ゴム粒子の存在下にビニル系単量体を重合させ、その重合中に、重合体粒子を凝集肥大化させたゴム変性樹脂からなるものである。すなわち、該耐衝撃性改良剤は、アクリル系ゴムにビニル系単量体がグラフト重合したグラフト共重合体粒子が凝集肥大した粒子を含有したゴム変性樹脂である。凝集肥大は、グラフト重合の途中に一気に凝集肥大してもよく、また、グラフト重合の進行とともに少しずつ凝集肥大してもよい。
【0009】また、本発明の熱可塑性樹脂用耐衝撃性改良剤は、トルエン不溶分量が70%以上のものであり、好ましくは80%以上、さらに好ましく85%以上であり、上限は100%である。トルエン不溶分量が少なすぎると耐衝撃性改良効果が低くなる傾向にある。トルエン不溶分(ゲル含有量)はサンプルを室温でトルエンに24時間浸漬し、12000rpmで1時間遠心分離したときのトルエン不溶分の重量分率である。
【0010】本発明の耐衝撃性改良剤は、本発明のビニル系単量体を重合する途中に凝集肥大させずにえられたグラフト共重合体からなる耐衝撃性改良剤あるいはビニル系単量体の重合前に、アクリル系ゴム粒子を凝集肥大してえられた、すなわちアクリル系ゴム肥大化粒子にビニル系単量体がグラフト重合したグラフト共重合体からなる耐衝撃性改良剤よりも、耐衝撃性改良効果に優れるという特徴を有する。
【0011】なお、本発明におけるアクリル系ゴムとは、ゴムを構成する単位中において(メタ)アクリル系単量体単位の割合が50%以上、さらには60%以上であり、かつゴムのTgが0℃以下のものである。
【0012】本発明に使用されるアクリル系ゴム粒子とは、ゴムとしての性質を有するものの粒子であればとくに制限なく使用でき、たとえばアクリル酸ブチル重合体ゴム粒子、アクリル酸2エチルヘキシル重合体ゴム粒子、アクリル酸ブチル−アクリル酸2エチルヘキシル共重合体ゴム粒子などがあげられる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合単に混合し併用しても、物理的に関連させても、また化学的に結合させても、更にコアシェル構造にしてもよい。
【0013】アクリル系ゴム粒子の大きさとしては、平均粒子径10〜200nm、さらには20〜150nmであるのが、後述する肥大化操作によって肥大化させやすい点から好ましい。ゴム粒子の平均粒子径は光散乱法による体積平均として測定される。
【0014】また、アクリル系ゴム粒子に含まれるトルエン不溶分量(ゲル含有量)は、70%以上、さらには80%以上であるのが、衝撃強度の発現の点から好ましい。上限は100%である。
【0015】前記アクリル系ゴムの具体例としては、アクリル酸ブチル重合体ゴム、アクリル酸ブチル−(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体ゴム、アクリル酸ブチル重合体−(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル重合体が物理的に共存したゴム、アクリル酸ブチル重合体−(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル重合体が化学的に結合したゴム、アクリル酸ブチル−ブタジエン共重合体ゴム、アクリル酸ブチル−スチレン共重合体ゴムなどがあげられる。これらは単独で使用してもよく2種以上を使用してもよい。なお、ここでいう共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体およびグラフト共重合体を含み、さらにはこれらが組み合わさったものでもよい。
【0016】アクリル系ゴム粒子としては、ラテックス状のもの、すなわちアクリル系ゴムラテックスを使用することが、ゴム変性樹脂の製造のし易さの点から好ましい。
【0017】アクリル系ゴムラテックスとしては、通常、固形分(120℃、1時間の乾燥後測定)濃度10〜50%のものが使用され、20〜40%のものが後述する肥大化操作で、粒子径が制御し易いという点から好ましい。
【0018】アクリル系ゴムラテックスは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体、分子内に重合性不飽和結合を2つ以上含む多官能性単量体およびその他の共重合可能な単量体などの単量体混合物をラジカル重合開始剤および要すれば連鎖移動剤も用いて通常の乳化重合法(たとえば特開昭50−88169号公報や特開昭61−141746号公報に記載された方法など)により重合させることにより得ることができる。
【0019】前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体とはアクリル系ゴムの主骨格を形成する成分である。その具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどの炭素数1〜12のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリルなどの炭素数4〜12のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルがあげられる。これらの単量体は単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでは、えられる重合体のガラス転移温度の低さおよび経済性の点から、アクリル酸ブチルを40〜100%、さらには60〜100%含むものが好ましく、また、のこりの共重合成分としては、たとえばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどがあげられる。
【0020】前記分子内に重合性不飽和結合を2つ以上含む多官能性単量体は、アクリル系ゴム粒子に架橋構造を導入し、ネットワーク構造を形成してゴム弾性を発現させるとともに、後述するビニル系単量体とのグラフト活性点を提供するために使用される成分である。その具体例としては、フタル酸ジアリル、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル、メタクリル酸アリル、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコール、ジビニルベンゼンなどがあげられる。これらは単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでは架橋効率およびグラフト効率がよいという点からメタクリル酸アリル、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル、フタル酸ジアリルが好ましい。
【0021】前記その他の共重合可能な単量体は、えられるアクリル系ゴムの屈折率などを調整するための単量体である。その具体例としては、たとえばメタクリ酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ヒドロキシルエチル、メタクリル酸ベンジルなどのメタクリル酸エステル単量体、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル単量体、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、トリメチルビニルシランなどのケイ素含有ビニル単量体などがあげられる。これらは単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0022】前記アクリル系ゴムラテックスを製造するばあいの好ましい単量体の使用割合は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体が66.5〜99.8%、さらには85〜99.8%、分子内に重合性不飽和結合を2つ以上含む多官能性単量体が0.2〜10%、さらには0.2〜5%およびその他の共重合可能な単量体が0〜23.4%、さらには0〜14.9%であり、これらの合計が100%となるように使用される。前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体の使用割合が少なすぎるばあいには、ゴムとしての性質に欠け、耐衝撃性の発現効果が低下することとなり、多すぎるばあいには、分子内に重合性不飽和結合を2つ以上含む多官能性単量体の割合が少なくなりすぎ、用いた効果が発揮できず、耐衝撃性が低くなる傾向が生じる。また、分子内に重合性不飽和結合を2つ以上含む多官能性単量体の使用割合が少なすぎるばあいには、架橋密度が低すぎて、最終的にえられるゴム変性樹脂のトルエン不溶分量が70%より少なくなり、耐衝撃性の発現効果が低下し、多すぎるばあいには逆に架橋密度が高くなりすぎてやはり耐衝撃性が低下する傾向が生じる。なお、その他の共重合可能な単量体は、屈折率や耐衝撃性の調整などのために使用される成分であるが、使用することによる効果をうるためには0.1%以上使用するのが好ましい。
【0023】前記アクリル系ゴムラテックスの乳化重合で使用されうる、前記ラジカル重合開始剤や、要すれば使用される連鎖移動剤は通常ラジカル重合で用いられるものであれば特に限定されない。
【0024】ラジカル重合開始剤の具体例としては、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシラウレイト、ラウロイルパーオキサイド、コハク酸パーオキサイド、シクロヘキサンノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイドなどの有機過酸化物、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの無機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリルなどのアゾ化合物などがあげられる。このうち、反応性の高さから有機過酸化物または無機過酸化物が特に好ましい。
【0025】前記有機過酸化物または無機過酸化物を用いる場合、硫酸第一鉄/グルコース/ピロリン酸ナトリウム、硫酸第一鉄/デキストロース/ピロリン酸ナトリウム、または硫酸第一鉄/ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート/エチレンジエアミン酢酸塩など混合物を還元剤として併用することができる。還元剤の併用は、重合温度を低くできることから特に好ましい。
【0026】これらのラジカル重合開始剤の使用量は、用いられる単量体混合物100部に対して、通常、0.005〜10部、好ましくは0.01〜5部であり、さらに好ましくは0.02〜2部である。
【0027】ラジカル重合開始剤の量があまりにも少ないばあい、重合速度が低くなり、生産効率が悪くなる傾向にあり、また、あまりにも多いばあいには、えられる重合体の分子量が低下し、耐衝撃性が低くなる傾向にある。
【0028】連鎖移動剤の具体例としては、t−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタンなどがあげられる。
【0029】連鎖移動剤は任意成分であるが、使用するばあいの使用量は、耐衝撃性の発現の点から単量体混合物100部に対して0.001〜5部であることが好ましいまた前記乳化重合を行う際に用いられる乳化剤は、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸、アルキルスルホン酸ナトリウム、(ジ)アルキルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、オレイン酸ナトリウム、ロジン酸カリウム、ロジン酸ナトリウム、パルミチン酸カリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウムなどを使用できる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0030】本発明のゴム変性樹脂は、前記アクリル系ゴムラテックスの存在下にビニル系単量体を重合させ、その重合中に凝集肥大化させることにより得ることができる。
【0031】前記ゴム変性樹脂は、アクリル系ゴム粒子にビニル系単量体がグラフト重合したグラフト共重合体粒子が凝集肥大化した粒子を含有した樹脂粒子からなり、該樹脂粒子の平均粒子径としては100nm以上、さらには120nm以上のものが好ましく、また1000nm以下、さらには800nm以下のものが好ましい。100nm未満のばあい、および1000nmをこえるばあいは、いずれも耐衝撃性が低下する傾向にある。
【0032】前記凝集肥大化は、たとえばアクリル系ゴムラテックスの存在下にビニル系単量体を重合する工程の前または工程の途中で、ラテックスに硫酸ナトリウムなどの無機塩、塩酸などの無機酸、酢酸などの有機酸、特開昭50−25655公報、特開平8−12703号公報、特開平8−12704号公報などに記載された不飽和酸単量体と(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体などとの共重合によってえられる非架橋の酸基含有共重合体ラテックスなどを添加するなどの一般的な方法により行なうことができる。とくに、無機塩を用いることが凝集肥大化終了後に系のpHを調整する手間が省けることから好ましい。
【0033】前記無機塩、無機酸、有機酸を使用するばあい、その使用量はアクリル系ゴムラテックス100部(固形分)に対して、0.1〜5部、さらには0.2〜4部、とくには0.3〜3部であることが好ましい。使用量が少なすぎるばあい、凝集肥大化しにくい傾向にあり、多すぎるばあいには凝塊物の生成が起こりやすくなるため、工業的な生産に適さなくなる傾向にある。
【0034】前記酸基含有共重合体ラテックスを使用するばあい、その使用量は混合ラテックス100部(固形分)に対して、0.1〜10部、さらには0.2〜5部であることが好ましい。使用量が少なすぎるばあいには実質的に凝集肥大が起こりにくくなる傾向にあり、使用量が多すぎるばあいには耐衝撃性が低下するなど好ましくない現象が生じやすくなる。
【0035】前記凝集肥大化するために、無機塩、無機酸、有機酸または酸基含有共重合体ラテックスを添加する時期は、前記ビニル系単量体を重合する工程中に凝集肥大化が起こればとくに限定されないが、重合前ないし重合に使用するビニル系単量体の90%が重合するまで、さらには重合に使用するビニル系単量体の10%以上が重合した時点ないし重合に使用するビニル系単量体の70%が重合するまで、とくには重合に使用するビニル系単量体の10%以上が重合した時点ないし重合に使用するビニル系単量体の50%が重合するまでであることが、耐衝撃性の発現という点で好ましい。
【0036】凝集肥大化の処理温度は、30〜90℃、さらには40〜80℃が、凝集肥大化粒子の粒子径を制御しやすい点で好ましい。
【0037】前記アクリル系ゴム粒子の存在下に重合せしめられるビニル系単量体は、ゴム変性樹脂が熱可塑性樹脂と配合され成形されたばあいに熱可塑性樹脂との相溶性を高め、熱可塑性樹脂中にゴム変性樹脂を均一に分散させるために使用される成分である。
【0038】前記ビニル系単量体の具体例としては、たとえばスチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、ジビニルベンゼンのような芳香族ビニル単量体、アクリロニトリルやメタクリロニトリルのようなシアン化ビニル単量体、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデンのようなハロゲン化ビニル系単量体、メタクリル酸単量体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸1,3ブチレングリコールなどのメタクリル酸エステル単量体、アクリル酸単量体、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸ヒドロキシブチルなどのアクリル酸エステル単量体などがあげられる。これらは単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。また、多段階で1種、2種以上のビニル系単量体を重合してもよい。これらのなかでは、凝集肥大させやすさの点から、メタクリル酸エステル単量体および(または)アクリル酸エステル単量体を50〜100%さらには70〜100%含むものが好ましく、またのこりの成分は上述した芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体、ハロゲン化ビニル系単量体などがあげられる。
【0039】前記ビニル系単量体の使用量は、アクリル系ゴム粒子70〜95部、さらには80〜92部、とくに85〜90部に対して、5〜30部、さらには8〜20部、とくに10〜15部を合計量が100部になるように使用することが好ましい。前記ビニル系単量体の使用量が多すぎるばあいには、得られるゴム変性樹脂のトルエン不溶分量が70%より少なくなり、充分な耐衝撃性が発現されなくなる傾向が生じ、少なすぎるばあいには得られるゴム変性樹脂の粉体状態が悪くなり取り扱いが困難になる傾向がある。
【0040】前記ビニル系単量体の重合は、アクリル系ゴムラテックスの存在下に乳化重合法を用いて行うことが好ましく、該乳化重合に使用されるラジカル重合開始剤、要すれば用いられる連鎖移動剤、さらには要すれば添加される乳化剤は、前記アクリル系ゴムラテックスの製造で使用されうるものでよく、使用量の制限も同じ制限が適用されうる。なお、ラジカル重合開始剤については、前述したもののなかで、コハク酸パーオキサイド、シクロヘキサンノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、過硫酸カリウムあるいは過硫酸アンモニウムは、アクリル系ゴム内部にビニル系単量体の重合体成分が入り込みにくく、耐衝撃性に有利なグラフト共重合体粒子を得ることができる点から好ましい前記乳化重合で得られたゴム変性樹脂は、ラテックスからポリマーを分離して使用してもよく、ラテックスのまま使用してもよい。ポリマーを分離する方法としては、通常の方法、たとえばラテックスに塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムなどの金属塩、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸などの無機酸および有機酸を添加することによりラテックスを凝固、分離、水洗、脱水、乾燥する方法があげられる。また、スプレー乾燥法も使用できる。
【0041】このようにしてえられたゴム変性樹脂(ポリマーを分離したものまたはラテックスのままのもの)は、熱可塑性樹脂用耐衝撃性改良剤として、各種の熱可塑性樹脂に配合され、耐衝撃性が改善された熱可塑性樹脂組成物がえられる。
【0042】前記熱可塑性樹脂の好ましい具体例としては、耐衝撃性が発現しやすい点から、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−N−フェニルマレイミド共重合体、α−メチルスチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、1,4−シクロヘキサンジメタノール変性ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、 ブタジエンゴム/スチレン/アクリロニトリル共重合体(ABS樹脂)、アクリル系ゴム/スチレン/アクリロニトリル共重合体(AAS樹脂)、エチレン−プロピレン共重合体ゴム/スチレン/アクリロニトリル共重合体(AES樹脂)、ポリフェニレンエーテルなどがあげられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。2種以上併用する場合の具体例としては、ポリカーボネート5〜95%とABS樹脂またはAAS樹脂またはAES樹脂5〜95%とを合計量が100%になるように混合した樹脂、ポリカーボネート5〜95%とポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレート5〜95%とを合計量が100%になるように混合した樹脂があげられる。
【0043】熱可塑性樹脂100部に対する前記ゴム変性樹脂の添加量は0.1〜150部であり、好ましくは0.5〜120部が物性バランスの点から好ましい。前記添加量が少なすぎるばあいには、熱可塑性樹脂の耐衝撃性が充分向上せず、多すぎるばあいには、熱可塑性樹脂の剛性や表面硬度などの特性を維持することが難しくなる。
【0044】前記ラテックスからポリマーが分離されたゴム変性樹脂粉末と熱可塑性樹脂との混合は、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダーなどで混合したのち、ロール、押出機、ニーダーなどで熔融混練することにより行うことができる。
【0045】このとき、通常使用される配合剤、すなわち可塑剤、安定剤、滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤、顔料、ガラス繊維、充填剤、高分子加工助剤、高分子滑剤、滴下防止剤などを配合することができる。たとえば、難燃剤の好ましい具体例は、トリフェニルホスフェート、縮合リン酸エステル、安定化赤リンなどのリン系化合物やフェニル基含有ポリオルガノシロキサン系共重合体などのシリコーン系化合物などがあげられ、高分子加工助剤の好ましい具体例は、メタクリル酸メチル−アクリル酸ブチル共重合体などのメタクリレート系(共)重合体があげられ、滴下防止剤の好ましい具体例は、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂があげられる。これらの配合剤の好ましい使用量は、効果−コストのバランスの点から熱可塑性樹脂100部に対して、0.1〜30部、さらには0.2〜20部、とくには0.5〜10部である。
【0046】前記熱可塑性樹脂が乳化重合法で製造されるばあいには、該熱可塑性樹脂のラテックスとゴム変性樹脂のラテックスとをいずれもラテックスの状態でブレンドしたのち、共凝固させることにより熱可塑性樹脂組成物をうることも可能である。
【0047】えられた熱可塑性樹脂組成物の成形法としては、通常の熱可塑性樹脂組成物の成形に用いられる成形法、たとえば、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、カレンダー成形法などを適用することができる。
【0048】えられた成形品は従来のアクリル系ゴム耐衝撃改質剤を使用したものに比べて、耐衝撃性にすぐれたものになる。
【0049】
【実施例】つぎに本発明を実施例にもとづき具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものでない。
【0050】なお、以下の実施例および比較例における評価は、つぎの方法にしたがって行った。
[ラテックスの固形分濃度(加熱乾燥残分)および重合転化率]反応後のラテックスのサンプルを120℃の熱風乾燥器で1時間乾燥して固形分濃度(加熱乾燥残分)を求めて、(固形量/仕込み単量体量)×100(%)で算出した。
[平均粒子径]測定装置として、リード&ノースラップインスツルメント(LEED&NORTHRUP INSTRUMENTS)社製のマイクロトラック UPAを用いて、光散乱法により体積平均粒子径(nm)および粒子径分布の変動係数(標準偏差/体積平均粒子径(%))を測定した。
[トルエン不溶分量]
アクリルゴム:ラテックスを50℃で75時間乾燥させ、そののち、室温で減圧乾燥を8時間して測定用試料をえた。試料を室温でトルエンに24時間浸漬し、12000rpmで60分間遠心分離し、試料中のトルエン不溶分の重量分率を算定した。
【0051】ゴム変性樹脂:実施例中記載の方法で粉末化したものを、アクリルゴムと同様にしてトルエン不溶分量を算出した。
[アイゾット衝撃強度]ASTM D−256に準じて、23℃または−30℃でノッチつき1/4インチバーまたは1/8インチバーを用いて測定した。
【0052】(製造例1)
[アクリルゴムラテックス(Ac−1)の製造]撹拌機、還流冷却器、チッ素吹込口、単量体追加口、温度計を備えた5口フラスコに、純水200部、オレイン酸ナトリウム1.3部を一括して仕込んだ。
【0053】系を撹拌しながらチッ素気流下に70℃まで昇温させ、70℃到達後、アクリル酸ブチル(BA)4部、メタクリル酸アリル(AlMA)0.02部からなる混合物を一括添加して、そののち過硫酸カリウム(KPS)0.05部を添加して70℃で1時間撹拌をつづけた。そののち、BA96部、AlMA0.48部からなる混合物を5時間かけて滴下し、滴下後1時間撹拌をして重合を終了し、アクリルゴムラテックス(Ac−1)をえた。重合転化率は99%であった。えられたラテックスは、固形分濃度33%、平均粒子径80nm、粒子径分布の変動係数28%、トルエン不溶分量96%であった。
【0054】(製造例2)
[アクリルゴムラテックス(Ac−2)の製造]撹拌機、還流冷却器、チッ素吹込口、単量体追加口、温度計を備えた5口フラスコに、純水200部、ロジン酸ナトリウム1.2部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(SFS)0.4部、エチレンジアミン4酢酸2ナトリウム(EDTA)0.01部、硫酸第一鉄0.0025部を一括して仕込んだ。
【0055】系を撹拌しながらチッ素気流下に40℃まで昇温させ、40℃到達後、BA70部、AlMA0.14部、クメンハイドロパーオキサイド(CHP)0.1部からなる混合物を4時間かけて滴下し、滴下後1時間撹拌をつづけた。そののち、BA30部、AlMA0.36部、CHP0.06部からなる混合物を2時間かけて滴下して、滴下後1時間撹拌をして重合を終了し、アクリルゴムラテックス(Ac−2)をえた。重合転化率は99%であった。えられたラテックスは、固形分濃度33%、平均粒子径85nm、粒子径分布の変動係数25%、トルエン不溶分量96%であった。
【0056】(製造例3)
[アクリルゴムラテックス(Ac−3)の製造]撹拌機、還流冷却器、チッ素吹込口、単量体追加口、温度計を備えた5口フラスコに、純水200部、ロジン酸ナトリウム1.2部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(SFS)0.4部、エチレンジアミン4酢酸2ナトリウム(EDTA)0.01部、硫酸第一鉄0.0025部を一括して仕込んだ。
【0057】系を撹拌しながらチッ素気流下に40℃まで昇温させ、40℃到達後、アクリル酸2エチエルヘキシル12部、AlMA0.06部、クメンハイドロパーオキサイド(CHP)0.01部からなる混合物を一括添加し、1時間撹拌をつづけた。そののち、BA88部、AlMA0.44部、CHP0.07部からなる混合物を5時間かけて滴下して、滴下後1時間撹拌をして重合を終了し、アクリルゴムラテックス(Ac−3)をえた。重合転化率は99%であった。えられたラテックスは、固形分濃度33%、平均粒子径90nm、粒子径分布の変動係数25%、トルエン不溶分量96%であった。
【0058】(製造例4)
[アクリルゴムラテックス(Ac−4)の製造]実施例1において、2回目に仕込むBAとAlMAの使用量をBA96部、AlMA0.05部にしたほかは、実施例1と同様にしてアクリルゴムラテックス(Ac−4)をえた。重合転化率は99%であった。えられたラテックスは、固形分濃度33%、平均粒子径85nm、粒子径分布の変動係数29%、トルエン不溶分量56%であった。
【0059】(実施例1〜3)撹拌機、還流冷却器、チッ素吹込口、単量体追加口、温度計を備えた5口フラスコに、純水240部および表1に示すアクリルゴムラテックス(固形分)85部を一括して仕込んだ。系を撹拌しながらチッ素気流下に70℃まで昇温し、70℃到達後、KPS0.03部を加えた。ついで、メタクリル酸メチル(MMA)13.5部、BA1.5部からなる混合物を1時間かけて滴下した。但し、3部滴下したところで、凝集肥大化のため硫酸ナトリウム(SS)1.0部添加した。滴下終了後、さらに1時間撹拌を続けて重合を終了し、ゴム変性樹脂(I)〜(III)のそれぞれのラテックスえた。重合転化率及び平均粒子径の測定結果を表1に示す。
【0060】つぎに、えられたラテックスを純水で固形分が15%になるように希釈したのち、塩化カルシウム2部を加えて凝固させ、さらに凝固スラリーを一旦50℃まで加温して冷却後、脱水して乾燥し、ゴム変性樹脂(I)〜(III)のそれぞれの粉末を得た。トルエン不溶分量の測定結果を表1に示す。
【0061】重合度800の塩化ビニル樹脂100部にゴム変性樹脂(I)8.5部、オクチルスズメルカプタイド3.0部、ステアリルアルコール1.0部、ステアリン酸アミド0.5部、モンタン酸ジオールエステル0.5部、酸化チタン0.5部、高分子加工助剤(鐘淵化学工業株式会社製:カネエースPA20)1.0部とをブレンドし、50mm単軸押出機(田辺プラスチック機械株式会社製:VS50−26型)で溶融混錬しペレットを製造した。えられたペレットをシリンダー温度195℃に設定した射出成形機(東芝製:IS−170G)を用いて1/4インチアイゾット試験片を作製した。アイゾット試験結果を表1に示す。
【0062】(比較例1)
[凝集肥大化しないゴム変性樹脂]実施例1において、SSを添加しないほかは、実施例1と同様にしてゴム変性樹脂(I’)からなる粉末をえた。ゴム変性樹脂(I)の代わりにゴム変性樹脂(I’)を用いたほかは実施例1と同様にしてアイゾット試験をした。結果を表1に示す。
【0063】(比較例2)
[トルエン不溶分量が70%未満のゴム変性樹脂]実施例1において、アクリルゴムラテックス(Ac−1)の代わりにアクリルゴムラテックス(Ac−4)を用いるほかは、実施例1と同様にしてゴム変性樹脂(II’)からなる粉末をえた。ゴム変性樹脂(I)の代わりにゴム変性樹脂(II’)を用いたほかは実施例1と同様にしてアイゾット試験をした。結果を表1に示す。
【0064】(比較例3)
[凝集肥大化ゴムを使用したゴム変性樹脂]実施例1において、アクリルゴムラテックスに70℃チッ素気流下で酢酸0.7部を加え、さらにNaOH0.5部加えて凝集肥大化ゴムをえた。凝集肥大化ゴム粒子の平均粒子径は175nmであった。
【0065】さらに、えられた凝集肥大化ゴム存在下に、実施例1と同様に、MMA13.5部、BA1.5部の混合物を重合し、ゴム変性樹脂(II’)からなる粉末をえた。実施例1において、ゴム変性樹脂(I)の代わりにゴム変性樹脂(II’)を用いたほかは実施例1と同様にしてアイゾット試験をした。結果を表1に示す。
【0066】
【表1】

表1に示された結果から、本発明のゴム変性樹脂を塩化ビニル樹脂の耐衝撃改質剤として用いたばあいに高い耐衝撃性改良効果が発現されることがわかる。
【0067】(実施例4)重量平均分子量23000の2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンをビスフェノール成分とするポリカーボネート樹脂100部に対して、実施例1でえられたゴム変性樹脂(I)を4部、フェノール系安定剤(ゼネカ製トパノールCA)0.3部、リン系安定剤(旭電化工業株式会社製アデカスタブPEP36)0.3部を配合し、40mm単軸押出機(田畑機械株式会社製HW−40−28)で溶融混錬してペレットを得た。得られたペレットを110℃にて5時間以上乾燥後、シリンダー温度290℃に設定した射出成形機(株式会社ファナック製FAS100B )で1/4インチアイゾット試験片を作製して、アイゾット試験をした。結果を表2に示す。
【0068】(比較例4)実施例4において、ゴム変性樹脂(I)の代わりに比較例2でえられたゴム変性樹脂(II’)を用いたほかは実施例4と同様にしてアイゾット試験をした。結果を表2に示す。
【0069】
【表2】

表2に示された結果から、本発明のゴム変性樹脂をポリカーボネート樹脂の耐衝撃改質剤として用いたばあいに高い耐衝撃性改良効果を発現することがわかる。
【0070】(実施例5)重量平均分子量23000の2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンをビスフェノール成分とするポリカーボネート樹脂70部、対数粘度0.75のポリエチレンテレフタレート樹脂30部、実施例1でえられたゴム変性樹脂(I)5部、フェノール系安定剤(ゼネカ製トパノールCA)0.3部、リン系安定剤(旭電化工業株式会社製アデカスタブPEP36)0.3部を配合し、2軸押出機(日本製鋼所株式会社製TEX44S)で溶融混錬してペレットを得た。得られたペレットを110℃にて5時間以上乾燥後、シリンダー温度280℃に設定した射出成形機(株式会社ファナック製FAS100B)で1/8インチアイゾット試験片を作製して、アイゾット試験した。結果を表3に示す。
【0071】(比較例5)比較例4として、実施例5において、ゴム変性樹脂(I)を用いないほかは実施例5と同様にした。アイゾット試験の結果を表3に示す。
【0072】
【表3】

表3に示された結果から、本発明のゴム変性樹脂は、ポリカーボネート/ポリエチレンテレフタレート混合樹脂の耐衝撃性の改良も可能なことがわかる。
【0073】(実施例6)ポリカーボネート樹脂(日本ジーイープラスチック株式会社製レキサン121)70部、ABS樹脂(三井化学株式会社製サンタックAT05)30部、実施例1でえられたゴム変性樹脂(I)を5部、フェノール系安定剤(ゼネカ製トパノールCA)0.3部、リン系安定剤(旭電化工業株式会社製アデカスタブPEP36)0.3部を配合し、40mm単軸押出機(田畑機械株式会社製HW−40−28)で溶融混錬してペレットを得た。得られたペレットを110℃にて5時間以上乾燥後、シリンダー温度260℃に設定した射出成形機(株式会社ファナック製FAS100B )で1/4インチアイゾット試験片を作製して、アイゾット試験をした。結果を表4に示す。
【0074】(比較例6)実施例6において、ゴム変性樹脂(I)を用いないほかは実施例6と同様にしてアイゾット試験をした。結果を表4に示す。
【0075】
【表4】

表4の結果から、本発明のゴム変性樹脂はポリカーボネート/ABS混合樹脂も耐衝撃性の改良が可能なことがわかる。
【0076】
【発明の効果】本発明によれば、アクリル系ゴム粒子の存在下にビニル系単量体を重合し、その重合中に重合体粒子を凝集肥大化させて得られ、かつトルエン不溶分量が70%以上であるゴム変性樹脂は、熱可塑性樹脂用耐衝撃性改良剤に利用できる。また、該ゴム変性樹脂と熱可塑性樹脂との配合物からなる熱可塑性樹脂組成物は耐衝撃性にすぐれたものである。
【出願人】 【識別番号】000000941
【氏名又は名称】鐘淵化学工業株式会社
【出願日】 平成13年2月9日(2001.2.9)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−234920(P2002−234920A)
【公開日】 平成14年8月23日(2002.8.23)
【出願番号】 特願2001−33952(P2001−33952)