トップ :: C 化学 冶金 :: C08 有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物




【発明の名称】 α−オレフィンの重合触媒およびこの触媒を用いる重合方法
【発明者】 【氏名】池内 博通

【氏名】佐藤 勝徳

【氏名】作田 良幸

【要約】 【課題】重合活性に優れ、柔軟性を大きく損なうことなく、粘着性の改善された軟質のα−オレフィン重合体を製造できる新規な触媒およびこの触媒を用いる重合方法を提供することを目的とする。

【解決手段】[A]マグネシウム、チタン、ハロゲン元素を必須とする触媒固体成分、[B]有機アルミニウム化合物成分、並びに[C]一般式(1)で表されるエーテル化合物成分とを含むα−オレフィンの重合触媒。
【特許請求の範囲】
【請求項1】[A]マグネシウム、チタン、ハロゲン元素を必須とする触媒固体成分、[B]有機アルミニウム化合物成分、並びに[C]一般式(1)で表されるエーテル化合物成分とを含むα−オレフィンの重合触媒。
【化1】

(但し、(1)において、Rは炭素数1〜8の炭化水素基を示し、Rは炭素数1〜24の炭化水素基を示す)
【請求項2】請求項1に記載のα−オレフィンの重合触媒を用いるα−オレフィンの重合方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定の構造を有するエーテル化合物を用いるα−オレフィンの重合触媒およびこの触媒を用いるα−オレフィンの重合方法に関する。さらにこの重合触媒により、柔軟性があり、且つ、粘着性のない軟質のα−オレフィン重合体を製造する重合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、軟質の重合体としては、軟質ポリ塩化ビニルが利用されている。しかし、軟質ポリ塩化ビニルは、環境ホルモン、ダイオキシンなどを発生する場合があり、今後はハロゲンおよびフタル酸ジエステルを含有しない軟質のオレフィン重合体の利用が望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年、オレフィンを重合するために、マグネシウム、チタン、ハロゲン元素、及び電子供与体を必須とする触媒固体成分、周期率表1〜3族金属の有機金属化合物、及び電子供与体からなる高活性担持型触媒系が、特開昭57−63310号公報、特開昭58−83016号公報、特開昭59−58010号公報、特開昭60−44507号公報などに数多く提案されている。さらに、特開昭62−11705号公報、特開昭63−259807号公報、特開平2−84404号公報、特開平4−202505号公報、特開平4−370103号公報などには、電子供与体として特定の有機ケイ素化合物を用いることを特徴とする重合触媒が開示され、一般に重合活性が高い。これらの重合触媒より得られるポリプロピレンは、結晶性の高い、柔軟性のない重合体が得られる。
【0004】一方、軟質ポリプロピレン製造用の触媒として、特開昭47−9342号公報、特開昭59−197409号公報、特開昭59−59708号公報、特開昭60−235812号公報、特開昭60−130605公報、特開平5−43621号公報、特開平11−228615号公報、特公昭32−10596号公報、特公昭42−10610号公報、特公昭53−46799号公報などが開示されている。
【0005】本発明は、重合活性に優れ、柔軟性を大きく損なうことなく、粘着性の改善された軟質のα−オレフィン重合体を製造できる新規な触媒およびこの触媒を用いる重合方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、[A]マグネシウム、チタン、ハロゲン元素を必須とする触媒固体成分、[B]有機アルミニウム化合物成分、並びに[C]一般式(1)で表されるエーテル化合物成分とを含むα−オレフィンの重合触媒に関する。(請求項1)
【化2】

(但し、(1)において、Rは炭素数1〜8の炭化水素基を示し、Rは炭素数1〜24の炭化水素基を示す)
【0007】上記α−オレフィンの重合触媒を用いるα−オレフィンの重合方法に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明のα−オレフィンの重合触媒は、[A]マグネシウム、チタン、ハロゲン元素を必須とする触媒固体成分、[B]有機アルミニウム化合物成分、並びに[C]一般式(1)で表されるエーテル化合物成分とを含むα−オレフィンの重合触媒である。
【化3】

(但し、(1)において、Rは炭素数1〜8の炭化水素基を示し、Rは炭素数1〜24の炭化水素基を示す)
【0009】本発明のα−オレフィンの重合触媒は、[A]マグネシウム、チタン、ハロゲン元素を必須とする触媒固体成分、[B]有機アルミニウム化合物成分、並びに[C]一般式(1)で表されるエーテル化合物成分とからなるα−オレフィンの重合触媒が好ましい。
【化4】

(但し、(1)において、Rは炭素数1〜8の炭化水素基を示し、Rは炭素数1〜24の炭化水素基を示す)
【0010】本発明において、[A]触媒固体成分としてマグネシウム、チタン、ハロゲン元素を必須とする触媒固体成分を用いることができ、好ましくは[A]触媒固体成分としてマグネシウム、チタン、ハロゲン元素を含むまたはマグネシウム、チタン、ハロゲン元素からなるマグネシウム化合物およびハロゲン化チタンを必須とする触媒固体成分を用いることが好ましい。マグネシウム、チタンおよびハロゲン元素は、マグネシウム化合物とハロゲン化チタン化合物として用いることができ、[A]触媒固体成分としてマグネシウム化合物とハロゲン化チタン化合物とを必須とする触媒固体成分を用いることが好ましい。
【0011】[A]触媒固体成分の製造方法は特に限定されないが、[A]触媒固体成分の代表的な製造方法として、(1)マグネシウム化合物と四塩化チタンなどのハロゲン化チタン化合物とを共粉砕する方法、(2)マグネシウム化合物と四塩化チタンなどのハロゲン化チタン化合物とを共粉砕した後、トルエンなどの溶媒中でさらに四塩化チタンと接触処理する方法、(3)溶媒にマグネシウム化合物を溶解し、この溶液にハロゲン化チタン化合物を添加して触媒固体を析出させる方法など公知の方法用いることが出来る。
【0012】[A]触媒固体成分としてマグネシウム、またはマグネシウム化合物の具体例としては、エチルマグネシウムクロライド、プロピルマグネシウムクロライド、ブチルマグネシウムクロライド、ヘキシルマグネシウムクロライド、オクチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムブロマイド、プロピルマグネシウムブロマイド、ブチルマグネシウムブロマイド、エチルマグネシウムアイオダイドなどのグリニャール化合物が挙げられる。また、塩化マグネシウム、ジメトキシマグネシウム、ジエトキシマグネシウム、ジプロポキシマグネシウム、ジブトキシマグネシウム、エトキシ(メトキシ)マグネシウム、エトキシ(プロポキシ)マグネシウム、ブトキシ(エトキシ)マグネシウムなどが挙げられ、中でも塩化マグネシウム、ジエトキシマグネシウム、ジプロポキシマグネシウムが好ましい。これらのマグネシウム化合物は2種類以上併用して用いることもできる。
【0013】マグネシウム、またはマグネシウム化合物の溶媒としては、例えば、ジエチルエ−テル、ジブチルエ−テル、ジイソプロピルエ−テル、ジイソアミルエ−テル等の脂肪族エ−テル、テトラヒドロフランなどの脂肪族環状エ−テルを使用することができる。
【0014】チタンおよびハロゲン元素は、ハロゲン化チタン化合物として用いることができる。チタン、ハロゲン元素、またはハロゲン化チタン化合物の具体例としては、テトラクロロチタン、テトラブロモチタン、トリクロロモノブトキシチタン、トリブロモモノエトキシチタン、トリクロロモノイソプロポキシチタン、ジクロロジエトキシチタン、ジクロロジブトキシチタン、モノクロロトリエトキシチタン、モノクロロトリブトキシチタンなどを挙げることができる。特に、テトラクロロチタン、トリクロロモノブトキシチタンが好ましい。
【0015】本発明の有機アルミニウム化合物成分[B]としては、アルキルアルミニウム、アルキルアルミニウムハライドなどが使用できるが、アルキルアルミニウムが好ましく、特に好ましいのはトリアルキルアルミニウムである。有機アルミニウム化合物成分[B]の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリn−プロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウムなどが挙げられる。前記有機アルミニウム化合物成分は、単独で使用することもできるが、2種類以上混合させて使用することもできる。また、アルキルアルミニウムと水との反応によって得られるポリアルミノキサンも使用することができる。
【0016】本発明のエーテル化合物成分[C]は、一般式(1)で表されるエーテル化合物成分である。
【化5】

は炭素数1〜8の炭化水素基であり、炭素数1〜8の不飽和あるいは飽和脂肪族炭化水素基などが挙げられる。Rの具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、ter−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基などが挙げられる。特に好ましくはメチル基である。また、2個のRは互いに同じであっても良いし、異なっていても良い。
【0017】Rは炭素数1〜24の炭化水素基であり、炭素数1〜24の不飽和あるいは飽和脂肪族炭化水素基などが挙げられる。Rの具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、ter−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基などが挙げられる。特に好ましくはメチル基、エチル基である。2個のRは互いに同じであっても良いし異なっていても良い。
【0018】エーテル化合物成分[C]の具体的な化合物としては、2,2−ジメトキシプロパン、2−エトキシ−2−メトキシプロパン、2,2−ジエトキシプロパン、2−エトキシ−2−プロポキシジメトキシシラン、2,2−ジプロポキシプロパン、2−プロポキシ−2−ブトキシプロパン、2,2−ジブトキシプロパン、2,2−ジメトキシブタン、2−エトキシ−2−メトキシブタン、2,2−ジエトキシブタン、2−エトキシ−2−プロポキシブタン、2,2−ジプロポキシブタン、2−プロポキシ−2−ブトキシブタン、2,2−ジブトキシブタン、3,3−ジメトキシペンタン、3−エトキシ−3−メトキシペンタン、3,3−ジエトキシペンタン、3−エトキシ−3−プロポキシペンタン、3,3−ジプロポキシペンタン、3−プロポキシ−3−ブトキシペンタン、3,3−ジブトキシペンタン、3,3−ジメトキシヘキサン、3−エトキシ−3−メトキシヘキサン、3,3−ジエトキシヘキサン、3−エトキシ−3−プロポキシヘキサン、3,3−ジプロポキシヘキサン、3−プロポキシ−3−ブトキシヘキサン、3,3−ジブトキシヘキサン、4,4−ジメトキシヘプタン、4−エトキシ−4−メトキシヘプタン、4,4−ジエトキシヘプタン、4−エトキシ−4−プロポキシヘプタン、4,4−ジプロポキシヘプタン、4−プロポキシ−4−ブトキシヘプタン、4,4−ジブトキシヘプタンなどが挙げられ、特に2,2−ジメトキシプロパンが好ましい。
【0019】一般式(1)で表されるエーテル化合物成分[C]は、たとえば、アルコールとケトンの当量反応により得られるものを用いることが出来る。
【0020】本発明のα−オレフィンの重合触媒において、触媒固体成分[A]、有機アルミニウム化合物成分[B]およびエーテル化合物成分[C]の各成分の使用量は、α−オレフィンが重合可能であれば、どのような配合割合でもよい。触媒固体成分[A]と有機アルミニウム化合物成分[B]との使用量は、例えば、触媒固体成分[A]中のチタンと有機アルミニウム化合物とのモル比([有機アルミニウム化合物]/[チタン])は、好ましくは1〜10000の範囲、、さらに好ましくは2〜8000の範囲、より好ましくは5〜5000の範囲、特に好ましくは10〜1000の範囲が好ましい。エーテル化合物成分[C]と有機アルミニウム化合物成分[B]との使用量は、エーテル化合物量と有機アルミニウム化合物成分[B]とのモル比([エーテル化合物]/[有機アルミニウム化合物])が、好ましくは0.001〜1の範囲が好ましく、特に0.01〜0.3の範囲が好ましい。
【0021】本発明の触媒においては、α−オレフィンを重合する場合、水素などの連鎖移動剤を併せて使用することができる。所望の分子量を有する軟質オレフィン重合体を製造するための水素の使用量は、重合方法及び重合条件によって、適宜決定することができるが、通常、水素/α−オレフィン分圧比が0.001〜0.5の範囲が好ましい。
【0022】本発明の触媒の製造方法として、触媒の各成分の接触順序について特に制限はないが、触媒固体成分[A]と有機アルミニウム化合物成分[B]をあらかじめ接触してから、エーテル化合物成分[C]を接触させることが好ましく、または有機アルミニウム化合物成分[B]とエーテル化合物成分[C]をあらかじめ接触してから、触媒固体成分[A]を接触させることが好ましい。
【0023】本発明において、α−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、4−メチルペンテン−1、1−オクテンなど鎖状α−オレフィン、シクロヘキセン−1などの環状α−オレフィンなどを挙げることができる。特に、エチレン、プロピレン、1−ブテンなどが好ましい。α−オレフィンは、単独の使用、2種類以上を用いることができ、α−オレフィン単独では、ホモ重合体が得られ、2種類以上のα−オレフィンを用いる場合は共重合体が得られる。本発明のα−オレフィンの重合触媒は、低結晶性α−オレフィン重合体、非晶性α−オレフィン重合体を製造することが出来る。本発明において、α−オレフィン重合体は、α−オレフィンのホモ重合体および2種以上のα−オレフィンより製造されるブロック共重合体、ランダム共重合体などの共重合体を意味する。
【0024】本発明のα−オレフィンの重合触媒は、好ましくはプロピレン、1−ブテンから選ばれるα−オレフィン30〜100重量%とプロピレンおよび1−ブテンを除く他のα−オレフィン70〜0重量%との重合、さらに好ましくはプロピレン、1−ブテンから選ばれるα−オレフィン40〜100重量%とプロピレンおよび1−ブテンを除く他のα−オレフィン60〜0重量%との重合、特に好ましくはプロピレン、1−ブテンから選ばれるα−オレフィン51〜100重量%とプロピレンおよび1−ブテンを除く他のα−オレフィン49〜0重量%との重合に好ましく用いることが出来る。
【0025】本発明のα−オレフィンの重合触媒は、好ましくはプロピレン、1−ブテンから選ばれるα−オレフィンの(共)重合に好ましく用いることが出来る。本発明のα−オレフィンの重合触媒は、好ましくはプロピレン50〜100重量%と1−ブテン50〜0重量%との重合、さらに好ましくはプロピレン55〜100重量%と1−ブテン45〜0重量%との重合、特に好ましくはプロピレン60〜100重量%と1−ブテン40〜0重量%との重合に好ましく用いることが出来る。特に、本発明のα−オレフィンの重合触媒は、好ましくはプロピレン70〜90重量%と1−ブテン30〜10重量%との重合に好ましく用いることが出来る。
【0026】本発明のα−オレフィンの重合触媒は、好ましくは1−ブテン50〜100重量%とプロピレン50〜0重量%との重合、さらに好ましくは1−ブテン55〜100重量%とプロピレン45〜0重量%との重合、特に好ましくは1−ブテン60〜100重量%とプロピレン40〜0重量%との重合に好ましく用いることが出来る。
【0027】本発明の触媒を用いる重合方法としては、エチレン、プロピレンなどの公知の重合方法に用いることができる。重合方法の具体例として、ブタンペンタンヘキサン、ヘプタンオクタンなどの無極性溶媒を使用するスラリ−重合法、モノマ−を気体状態で触媒と接触して重合を行う気相重合法、あるいは液化状態のモノマ−を溶媒としてその中で重合させるバルク重合法などを挙げることが出来、特にバルク重合が好ましい。また、上記重合方法で、1段重合、2段重合などの多段重合、連続重合、バッチ重合のいずれを行ってもよい。重合圧力は、重合可能であればどのような圧力でもよく、好ましくは0.1〜10MPa、さらに好ましくは1〜6MPaの範囲が好ましい。重合温度は、重合可能であればどのような温度でもよく、好ましくは10〜150℃、さらに好ましくは30〜100℃、特に好ましくは50〜90℃の範囲が好ましい。重合時間は、重合可能であればどのような時間でもよく、好ましくは0.1〜10時間、さらに好ましくは0.5〜7時間の範囲が好ましい。
【0028】本発明のα−オレフィンの重合触媒は、重合活性が好ましくは5000g/(g・hr)以上、さらに好ましくは7000g/(g・hr)以上、より好ましくは12000g/(g・hr)以上、特に好ましくは15000g/(g・hr)以上が好ましい。
【0029】本発明のα−オレフィンの重合触媒より製造されるα−オレフィン(共)重合体は、溶融粘度が好ましくは50000cps以下、さらに好ましくは25000cps以下、さらに好ましくは20000cps以下、さらに好ましくは15000cps以下、さらに好ましくは12000cps以下、より好ましくは10000cps以下、特に好ましくは9000cps以下が好ましい。また、本発明のα−オレフィンの重合触媒より製造されるα−オレフィン(共)重合体は、溶融粘度が好ましくは130〜50000cpsの範囲、さらに好ましくは150〜25000cpsの範囲、さらに好ましくは160〜20000cpsの範囲、さらに好ましくは170〜15000cpsの範囲、さらに好ましくは200〜12000cpsの範囲、より好ましくは220〜10000cpsの範囲、特に好ましくは250〜9000cpsの範囲が好ましい。
【0030】本発明のα−オレフィンの重合触媒より製造されるα−オレフィン重合体は、引張弾性率が好ましくは200MPa以下、さらに好ましくは150MPa以下、さらに好ましくは120MPa以下、より好ましくは100MPa以下、より好ましくは80MPa以下、より好ましくは60MPa以下、特に好ましくは50MPa以下が好ましい。
【0031】本発明のα−オレフィンの重合触媒より製造されるα−オレフィン重合体は、沸騰n−ヘプタン不溶分が好ましくは60%以下、さらに好ましくは40%以下、さらに好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下、特に好ましくは8%以下が好ましい。
【0032】本発明のα−オレフィンの重合触媒より製造されるα−オレフィン重合体は、数平均分子量(Mn)が好ましくは1000〜25000の範囲、さらに好ましくは1100〜22000の範囲、さらに好ましくは1200〜20000の範囲、より好ましくは1500〜18000の範囲、より好ましくは1600〜15000の範囲、より好ましくは1800〜12000の範囲、特に好ましくは2000〜10000の範囲が好ましい。
【0033】本発明の触媒より得られるα−オレフィン重合体は単独で製品として使用することもできるし、他のオレフィン重合体、ポリアミド、ポリエステル、エラストマーなどとブレンドして使用することもできる。
【0034】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明する。但し、本発明は下記実施例により制限されるものでない。
【0035】以下に本発明の実施例を説明する。実施例において、■重合活性: 触媒固体1g当たり、1時間重合を行う時のα−オレフィン重合体の収量(g/g.hr)であらわす。
■溶融粘度: α−オレフィン重合体(8g)を採取し、ブルックフィールドRVT粘度計ModelDV−IIを用い、ASTM・D3236に準拠して190℃における粘度を測定した。
【0036】■α−オレフィン重合体のブテン含量[wt%]: ホットプレスにて100μm厚のフィルムを作成し、パーキンエルマー製FT−IR1600シリーズを用いて4500〜400cm−1を走査し、ブテンに帰属する766cm−1のピーク面積とプロピレンに帰属する4320cm−1のピーク面積比から求めた。
【0037】■機械的特性の評価:ホットプレスにて1mm厚のシートを作成し、23℃の恒温室に48時間放置した後、ダンベル状1号形の打ち抜き型を用いて打ち抜き、試験片とした。引張り試験は、テンシロン万能試験機を用い、23℃で引張り速度5mm/minで測定した。引張り弾性率は、応力−ひずみ曲線の最初の直線部分を用いて計算し求めた。
【0038】■ブリードアウト: ブリードアウトは粘着性の評価である。その方法は、α−オレフィン重合体をホットプレスにて1mm厚のシートを作成し、23℃で1ヶ月放置した後、シートの表面状態を目視で観察した。評価は、○:シート表面にブリードアウト成分が見られない状態、×:シート表面にブリードアウト成分が見られる状態、の2段階で行った。
【0039】■沸騰n−ヘプタン不溶分の測定:α−オレフィン重合体約2gを乾燥した筒状ろ紙に入れて、その重量を測定した後、二重管式ソックスレー抽出器にセットした。n−ヘプタン150gをこのソックスレー容器に入れ、加熱して、10時間、沸騰還流させ、非晶性ポリオレフィン中の溶解成分を抽出した。その後、沸騰n−ヘプタン不溶分の残った筒状ろ紙を取出し、恒量になるまで減圧乾燥し、その重量を測定した。沸騰n−ヘプタン抽出前後の重量比から数式(1)により沸騰n−ヘプタン不溶分を算出した。
【数1】

【0040】[実施例1]
(1)触媒固体成分[A]の調製直径16mmのステンレスボール60個の入った内容積450mlの粉砕用ポットに窒素雰囲気下で、無水塩化マグネシウム10gおよび四塩化チタン2mlを入れ、振動ボールミルに装着して30時間粉砕した。粉砕終了後、粉砕物2gを窒素雰囲気下でスターラーピースおよびG4のガラスフィルターを備えた容量200mlの2連球に入れ、蒸留・脱水トルエン30ml、四塩化チタン20mlを順次導入し、90℃で2時間攪拌反応させた。その後、熱時ろ過し、蒸留・脱水ヘプタン50mlで5回、固形成分を洗浄した。その後、蒸留・脱水へプタン50mlでスラリー化した。得られた固形成分はTiを2.0wt%含有していた。
【0041】(2)α−オレフィンの重合攪拌機付の内容積2Lのステンレス製オ−トクレ−ブ内を窒素で充分置換した後、蒸留・脱水へプタン10mlを入れ、触媒固体成分[A]のn−ヘプタンスラリ−を触媒固体成分として10mg(Ti=0.004mmol)、有機アルミニウム化合物成分[B]としてトリエチルアルミニウム2.2mmol、エーテル化合物成分[C]として2,2−ジメトキシプロパン0.04mmolを仕込んだ。続いて、ゲージ圧で水素2.7kg/cm導入後、液化1−ブテン200ml、液化プロピレン1000mlを順次導入してオ−トクレ−ブを振とうした。オ−トクレ−ブを68℃に昇温し、68℃で1時間重合を行った。重合終了後、未反応モノマーを放出し、酸化防止剤(イルガノックス1010)0.5gおよびエタノール2mlを溶解したn−ヘプタン500mlをオートクレーブ内に注入し、引き続き68℃で30分攪拌を行った。その後オートクレーブを開放し、アルミニウム製のバットに溶解した重合体を取り出し、真空乾燥した。重合活性および得られた重合体の特性を表1にまとめた。得られた重合体の沸騰n−ヘプタン不溶分は、0%であった。
【0042】[比較例1]オレフィン重合において、エーテル化合物成分[C]を用いず、水素圧をゲージ圧で1.4kg/cm、液化1−ブテンを300ml、液化プロピレンを900ml仕込んだ以外は実施例1と同様に重合を行った。重合活性および得られた重合体の特性を表1にまとめた。
【0043】
【表1】

【0044】
【発明の効果】本発明の触媒は、α−オレフィンの重合活性が高く、柔軟性を有するα−オレフィン重合体を得ることが出来る。本発明の触媒は、粘着成分のブリードアウトのないα−オレフィン重合体を製造することができる。さらに本発明の触媒は、粘着成分のブリードアウトのない低結晶性または非晶性のα−オレフィン重合体を製造することができる。
【出願人】 【識別番号】000000206
【氏名又は名称】宇部興産株式会社
【出願日】 平成13年2月8日(2001.2.8)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−234908(P2002−234908A)
【公開日】 平成14年8月23日(2002.8.23)
【出願番号】 特願2001−32355(P2001−32355)