| 【発明の名称】 |
可視光硬化性樹脂組成物 |
| 【発明者】 |
【氏名】柿沼 恵子
【氏名】小野寺 誠也
【氏名】横山 裕
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| 【要約】 |
【課題】紫外光は勿論、可視光によつても充分な硬化特性を有する耐硬化収縮性に優れた組成物が得られ、また、柔軟性、接着性、電気絶縁性、耐薬品性、耐熱性、耐水性、耐PCT性等に優れた硬化物が得られる可視光硬化性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】可視光硬化性樹脂組成物は、その基本的な第一の態様によれば、(A)感光性樹脂成分が、分子内に1つ以上のヒドロキシル基及び芳香族環を有するビニル化合物を含み、(B)光重合又は重合を促進する成分が、光重合開始剤、400〜600nmの波長領域に吸収をもつ増感色素、及び第3級チオフォスファイトからなることを特徴としており、第二の態様においては、上記成分に加えてさらに(C)エポキシ樹脂及び/又は(D)飽和ポリエステル樹脂を含むことを特徴としており、第三の態様においては、上記成分に加えてさらに(E)シランカップリング剤を含む。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 (A)感光性樹脂成分が、分子内に1つ以上のヒドロキシル基及び芳香族環を有するビニル化合物を含み、(B)光重合又は重合を促進する成分が、光重合開始剤、400〜600nmの波長領域に吸収をもつ増感色素、及び第3級チオフォスファイトからなることを特徴とする可視光硬化性樹脂組成物。 【請求項2】 (C)エポキシ樹脂及び/又は(D)ポリエステル樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の可視光硬化性樹脂組成物。 【請求項3】 (E)シランカップリング剤を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の可視光硬化性樹脂組成物。 【請求項4】 分子内に1つ以上のヒドロキシル基及び芳香族環を有するビニル化合物が、下記一般式(1)又は(2)で示される(メタ)アクリレ−ト化合物である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の可視光硬化性樹脂組成物。 【化1】
(式中、Xは水素原子又はメチル基を表わし、Yは−C(CH3)2−、−SO2−、−CH2−又は直接結合を表わし、R1及びR2は炭素数1〜12の直鎖状、環状もしくは分岐状のアルキル基を表わし、mは0〜4の整数、nは0〜5の整数を表わす。) 【請求項5】 第3級チオフォスファイトが、下記一般式(3)で示されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の可視光硬化性樹脂組成物。 【化2】
(式中、R3、R4及びR5は炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表わし、これらはハロゲン原子、炭素数1〜20のアルコキシ基、アルカノイル基、シアノ基、水酸基、又はアミノ基で置換されていてもよく、p、q及びrはそれぞれ0〜3の整数を表わし、但し、p+q+r=3である。) 【請求項6】 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の可視光硬化性樹脂組成物から得られる硬化物であって、そのガラス転移温度(Tg)が−30℃〜40℃であることを特徴とする硬化物。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、柔軟性、接着性、電気絶縁性、耐水性、耐熱性、耐PCT性(プレッシャー・クッカー耐性)及び耐硬化収縮性に優れた可視光硬化性樹脂組成物及びそれから得られる硬化物に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、フレキシブル配線回路を樹脂膜で保護する方法として、カバーレイフィルムを回路パターンに合わせ張り付ける方法や、可撓性を持たせた樹脂をオーバーコートする方法が採用されている。これらのオーバーコート樹脂としては、常温乾燥性、光硬化性、又は熱硬化性のアクリル樹脂、エポキシ樹脂、アミド樹脂、イミド樹脂、あるいはこれらの複合系が知られている。これらは、柔軟性(フレキシブル性)を与えるためにブタジエン骨格の導入、シロキサン骨格の導入、又は長鎖脂肪族骨格の導入を行ない、あるいは接着性の向上のためにアミド骨格、ヒドロキシル基等の導入を計り、あるいはまた、硬化収縮を改善するために脂環式骨格を採用するなどの試みがなされてきた。 【0003】近年、電子機器の軽量、小型化がさらに進み、これに伴いオーバーコート層に対する要求も厳しくなり、柔軟性、接着性、絶縁性、耐薬品性、耐熱性、耐水性、耐PCT性などについてより厳しい特性が要求されるようになってきた。また、モバイル機器の隆盛に伴って回路基板とモニター基板との一体実装技術が進歩し、保護層としての樹脂にもフレキシブル基板、ソリッド基板の両方に適用できる材料が求められている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】前記のような要求に対して、本出願人は、分子内に1つのラジカル重合性のエチレン性不飽和二重結合と、1つ以上の水酸基及び芳香族環を有する新規な感光性樹脂を主成分とする感光性樹脂成分及び光ラジカル重合開始剤、あるいはさらにエポキシ樹脂やポリエステル樹脂を含む紫外線硬化性樹脂組成物が、柔軟性、接着性、電気絶縁性、耐薬品性、耐熱性、耐水性、耐PCT性等に優れた硬化物を提供することを見い出し、既に特許出願している(特願2000−54077号)。 【0005】さらに、本発明者らは上記の組成物について検討を進めた結果、これらの組成物が紫外領域だけでなく可視領域でも硬化できるならば、さらに利用分野が広がることが期待できることを見い出した。すなわち、レ−ザ−光による直接描画走査露光用レジスト、着色フィルムを介しての接着剤、ビルドアップ用絶縁樹脂組成物、導電インキ、歯科材料など、また、有機液晶パネル、有機ELパネルのような比較的紫外光に弱い材料を用いたパネルの保護材料、接着材料などの利用が考えられる。しかし、意外なことに、これまでに知られている可視光重合開始剤を用いた場合、上記組成物は充分な硬化特性が得られないことが分かった。 【0006】そこで本発明は、上述したような実情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、前記した分子内に1つのラジカル重合性のエチレン性不飽和二重結合と、1つ以上の水酸基及び芳香族環を有する感光性樹脂を主成分とする感光性樹脂成分を含む紫外線硬化性樹脂組成物が有する利点を具えつつ、可視光によつても充分な硬化特性を有する組成物を提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】前記目的を達成するために、本発明の可視光硬化性樹脂組成物は、その基本的な第一の態様によれば、(A)感光性樹脂成分が、分子内に1つ以上のヒドロキシル基及び芳香族環を有するビニル化合物、好ましくは後述する一般式(1)又は(2)で示される化合物を含み、(B)光重合又は重合を促進する成分が、光重合開始剤、400〜600nmの波長領域に吸収をもつ増感色素、及び第3級チオフォスファイトからなることを特徴としており、第二の態様においては、上記成分に加えてさらに(C)エポキシ樹脂及び/又は(D)飽和ポリエステル樹脂を含むことを特徴としており、第三の態様においては、上記成分に加えてさらに(E)シランカップリング剤を含むことを特徴としている。このような可視光硬化性樹脂組成物から得られる硬化物は、−30℃〜40℃のガラス転移温度(Tg)を有するため、フレキシブル基板、ソリッド基板の両方に適用可能である。 【0008】 【発明の実施の形態】本発明者らは、前記した紫外線硬化性樹脂組成物の問題点(不充分な可視光硬化性)を解決すべく鋭意研究した結果、従来から知られている可視光重合開始剤、例えば、有機ボロン化合物/カチオン染料、有機ボロン化合物/アクリジン、チタノセン/クマリン、チタノセン/アミン、オキシムエ−テル、あるいは、有機過酸化物/チオピリリウム塩、メロシアニン、キノリン系などと組み合わせて、さらに第3級チオフォスファイトを併用することにより、可視光によっても効果的に硬化反応が進行することを見い出し、本発明を完成するに至ったものである。すなわち、本発明は、分子内に1つ以上の水酸基及び芳香族環を有するビニル化合物を主成分として含む光硬化系において、重合又は重合を促進する成分が、光重合開始剤、増感色素、及び第3級チオフォスファイトの3成分からなることに特徴を有する。 【0009】以下、本発明の可視光硬化性樹脂組成物について詳しく説明すると、まず、(A)感光性樹脂成分は、分子内に1つ以上の水酸基及び芳香族環を有するビニル化合物を必須の構成成分として含有し、好ましくは(A)成分の50質量%以上含有する。このビニル化合物は、光硬化反応に関与する官能基(エチレン性不飽和二重結合)の数を1分子中に1つと限定したことで、光ラジカル重合する際の硬化収縮の影響を最小限に抑え、密着性低下の防止に寄与しており、また、水酸基の存在は基材との密着性に大きく寄与し、さらに芳香族環の存在は耐水性に寄与していると考えられる。なお、組成物の特性に悪影響を及ぼさない範囲内、即ち(A)成分全体の50質量%未満の範囲内であれば、分子内に2つ以上のエチレン性不飽和二重結合を有する感光性樹脂、及び/又は水酸基や芳香族環を有していない感光性樹脂など、他の感光性化合物を配合することができる。 【0010】上記感光性樹脂成分の主成分として用いるビニル化合物としては、工業的に容易に入手できる単官能エポキシ(メタ)アクリレート類を用いることができ、一般的な製法により単官能エポキシ樹脂のグリシジル基を(メタ)アクリレート化したものである。具体的には、フェニルグリシジルエーテル、o−ビフェニルグリシジルエーテル、ナフチルグリシジルエーテルなどの(メタ)アクリレート化物が挙げられる。特に、新規な感光性樹脂である、下記一般式(1)又は(2)で示される(メタ)アクリレート化合物、具体的にはo−ビフェニルグリシジルエーテル、ナフチルグリシジルエーテル等の(メタ)アクリレート化物が疎水性の点で優れている。 【化3】
(式中、Xは水素原子又はメチル基を表わし、Yは−C(CH3)2−、−SO2−、−CH2−又は直接結合を表わし、R1及びR2は炭素数1〜12の直鎖状、環状もしくは分岐状のアルキル基を表わし、mは0〜4の整数、nは0〜5の整数を表わす。) 【0011】なお、上記ビニル化合物と共に用いることができる他の感光性化合物としては、一価又は二価の(メタ)アクリレート系化合物が特に好ましいが、アクリロイル基(メタクリロイル基)以外の官能基を有していてもよい。さらに、単官能で樹脂骨格中に芳香環やシクロ環を有していると疎水性の点で有利である。具体的には、4−(メタ)アクリロキシトリシクロ[5.2.1.02.6]デカン、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノールEO変性(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールEO変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールEO変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールPO変性(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートなどの単官能(メタ)アクリレート類などを挙げることができる。その他、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルピリジン、ビニルアセテ−ト、ビニルピロリドンなどを用いることもできる。これらの感光性成分は、2種類以上を混合して用いることができる。但し、本発明の効果を充分に発揮させるためには、(A)感光性樹脂成分中、前記一般式(1)又は(2)で示される化合物が50質量%以上を占めることが望ましい。 【0012】(B)光重合又は重合を促進する成分のうち、光重合開始剤としては、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン等のアントラキノン類;4,4′−ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のα−ヒドロキシケトン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等の(ビス)アシルホスフィンオキサイド類;ビス(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム等のチタノセン類;2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン等のアミノアセトフェノン類;1−(4−フェニルスルファニル−フェニル)−オクタン−1−オンオキシム−o−ベンゾアート等のオキシムエステル類;ベンジル、4,4′−ジメトキシベンジル、カンファーキノン等のα−ジケトン類などが挙げられる。さらには、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレ−ト、3,3,4,4−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等の有機過酸化物、ジフェニルヨードニウムブロマイド、ジフェニルヨードニウムクロライド等のジフェニルハロニウム塩、四塩化炭素、クロロフォルム、ヨードフォルム、等の有機ハロゲン化物、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等のアゾ化合物、3,5−トリアジンベンズアントロン、9−フェニルアクリジン等の複素環式及び多環式化合物、鉄−アレン錯体、等が挙げられる。 【0013】また、上記光重合開始剤は、使用する光源等に応じて数種を併用することも可能であり、例えば、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン等のアミノアセトフェノン類とチオキサントン類又はアミノベンゾフェノンとの組み合わせ;ベンゾフェノン類とアミノベンゾフェノン類との組み合わせ;1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン等のα−ヒドロキシケトン類と2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等の(ビス)アシルホスフィンオキサイド類との組み合わせ等が挙げられる。さらにこれら公知慣用の光ラジカル重合開始剤には、トリエタノールアミンなどの第3アミン、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジメチルアミノエチルメタクリレートなどの光開始助剤を加えることができる。 【0014】前記したような光重合開始剤の中でも、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1などのフェニルケトン系化合物、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシドなどの(ビス)アシルホスフィンオキサイド類やチタノセン化合物が好ましい。 【0015】これら光重合開始剤の配合量は、前記感光性樹脂成分100質量部に対して0.5質量部以上、20質量部以下が適当であり、好ましくは0.5〜5質量部である。光重合開始剤の配合量が0.5質量部未満では、可視光による光硬化が充分に進行せず、一方、20質量部を超えて大量に配合してもその硬化が飽和状態となるため経済的でなく、また逆に組成物の光硬化後に残存して硬化物の特性を低下させるおそれがあるからである。 【0016】次に、400〜600nmの波長領域に吸収をもつ増感色素としては、3,3′,4,4′−カルボニルビス−7−(ジエチルアミノ)クマリン等のケトクマリン色素、3,3′−カルボニルビス−7−(ジエチルアミノ)クマリン、3−(2′−ベンゾチアゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン等のクマリン色素、チオピリリウム塩系色素、シクロヘキサノン系色素、ピラン系色素、さらには、チオキサンテン系色素、キサンテン系色素等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。上記増感色素は、感光性樹脂成分100質量部に対して0.01〜20質量部の範囲で使用するのが好ましく、特に0.1〜10質量部の範囲が好ましい。 【0017】さらに、第3級チオフォスファイトとしては、次の一般式(3)で示されるものが用いられる。 【化4】
(式中、R3、R4及びR5は炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表わし、これらはハロゲン原子、炭素数1〜20のアルコキシ基、アルカノイル基、シアノ基、水酸基、又はアミノ基で置換されていてもよく、p、q及びrはそれぞれ0〜3の整数を表わし、但し、p+q+r=3である。) 具体的には、トリブチルトリチオフォスファイト、トリオクチルトリチオフォスファイト、トリフェニルトリチオフォスファイト、トリベンジルトリチオフォスファイト、トリ(2−エチルヘキシル−3−チオプロピル)フォスファイト等が挙げられ、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。上記第3級チオフォスファイトは、感光性樹脂成分100質量部に対し0.1〜10質量部の範囲で使用するのが望ましく、特に0.1〜3質量部の範囲が好ましい。なお、前記増感色素及び第3級チオフォスファイトの配合量は、共に、前記した範囲より少ないと硬化物の充分な特性が得られないし、逆に前記範囲を超えて多量に配合すれば、膜質が悪くなり、また、経済的にも好ましくない。 【0018】本発明の可視光硬化性樹脂組成物は、(C)エポキシ樹脂を加えることでさらに特性の向上が達成される。このエポキシ樹脂は、光硬化反応に関与しないため、硬化収縮の低減(密着性の改善)に効果がある。エポキシ樹脂としては、公知慣用の各種エポキシ樹脂、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのノボラック型エポキシ樹脂などのグリシジルエーテル化合物、テレフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸ジグリシジルエステルなどのグリシジルエステル化合物、トリグリシジルイソシアヌレート、N,N,N′,N′−テトラグリシジルメタキシレンジアミン、N,N,N′,N′−テトラグリシジルビスアミノメチルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジルアニリンなどのグリシジルアミン化合物などの公知慣用のエポキシ化合物が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。 【0019】本発明の可視光硬化性樹脂組成物では、これらのエポキシ樹脂の中でも特に、軟化点が40℃以上の、室温で半固形もしくは固形状態にあるエポキシ樹脂を使用することが好ましい。これにより、樹脂組成物の表面硬化性(指触乾燥性)、耐水性が向上する。さらに、疎水性骨格を有するエポキシ樹脂を選択することにより、樹脂組成物の疎水性を向上させ、マイグレーションを効果的に防止することができる。 【0020】本発明者らは、耐マイグレーション(マイグレーションによる電極間のショートに耐え得る性能のことをいう。)に寄与する樹脂として、エポキシ樹脂を含む数々の疎水性樹脂の中から上記の如き室温で半固形もしくは固形状態にあるエポキシ樹脂を選定したが、さらに検討を重ねた結果、これらのエポキシ樹脂の中でも、エピクロルヒドリンの誘導体よりは、アリル基を過酢酸でエポキシ化した下記構造を有するもの、即ち、分子中に下記一般式(4)で示される部分構造を有するエポキシ化合物、あるいは下記式(5)又は(6)で示されるいずれかの構造を有する脂環式エポキシ化合物が、耐マイグレーション性に優れていることが明らかとなった。これはエピクロルヒドリン誘導体に比べ、下記構造を有するエポキシ化合物は不純物イオン濃度が低いため、電気特性に優れていると考えられる。 【化5】
(式中、Zはエポキシ基又は/及びビニル基を表わし、tは1〜100の整数を表わす。但し、分子中に少なくとも1個のエポキシ基を含む。) 【0021】特に、耐マイグレーション性の点では、分子中に上記一般式(4)で示される部分構造を有するエポキシ化合物において、下記式(a)及び(b)で表わされる官能基の数の比(a)/(b)が平均1.0〜4.0であることが好ましい。 【化6】
このようなエポキシ樹脂としては、ダイセル化学工業(株)製のセロキサイド3150、セロキサイド2085などを挙げることができる。上記一般式(4)で示される官能基を有するポリエーテル型のエポキシ樹脂は、特公平7−25864号に詳しく説明されているので、詳細については上記公報を参照されたい。 【0022】これらエポキシ樹脂の配合量は、前記感光性樹脂成分100質量部に対して5質量部以上、60質量部以下が適当であり、好ましくは5〜40質量部である。この理由は、エポキシ樹脂の配合量が5質量部未満では、前記したような効果が得られ難く、一方、60質量部を超えて大量に配合しても期待される効果が飽和状態となるために経済的でなく、また逆に組成物の光硬化性を妨げるおそれがあるからである。 【0023】本発明の可視光硬化性樹脂組成物は、上述した各成分に加えてさらに(D)飽和ポリエステル樹脂を配合することが好ましい。この飽和ポリエステル樹脂は、被着体との密着性を向上させる効果があるものであれば特に限定されない。具体的には東洋紡バイロンシリーズ(東洋紡績(株)製)のバイロン200、220、240、245、270、280、290、296、300、500、530、550、560、600、630、650、BX1001、GK110、130、140、150、180、190、250、330、590、640、680、780、810、880、890等が挙げられる。さらに、このような飽和ポリエステル樹脂は、密着性を向上させる効果の他に、硬化物を基材から剥がす行為が容易になるというリペア性に優れる特性を有する。 【0024】上記飽和ポリエステル樹脂の配合量は、前記感光性樹脂成分100質量部に対して5質量部以上、50質量部以下が適当であり、好ましくは5〜30質量部である。この理由は、飽和ポリエステル樹脂の配合量が5質量部未満では、前記したような効果が得られ難く、一方、50質量部を超えて大量に配合しても期待される効果が飽和状態になるために経済的でなく、また逆に組成物の光硬化性を阻害したり、硬化物の特性を低下させるおそれがあるからである。 【0025】本発明の可視光硬化性樹脂組成物は、所望により(E)シランカップリング剤を加えてもよい。シランカップリング剤を加える目的は、基材、特にガラスとの密着性を向上させるためである。シランカップリング剤としては、基材との密着性が向上するものであれば特に限定されない。具体的には日本ユニカー(株)製のA−143、A−150、A−151、A−171、A−172、A−174、A−186、A−187、A−189、A−1100、A−1120及びA−1160、東芝シリコーン(株)製のTSL−8310、TSL−8311、TSL−8320、TSL−8395、TSL−8325、TSL−8331、TSL−8340、TSL−8345、TSL−8380、TSL−8350、TSL−8355、TSL−8370及びTSL−8375等が挙げられる。 【0026】以上説明したような本発明の可視光硬化性樹脂組成物には、前記したような成分の他に添加剤を適宜配合することが可能である。例えば、硬化収縮率低減、熱膨張率低減、寸法安定性向上、弾性率向上、粘度調整、熱伝導率向上、強度向上、靭性向上等の観点から有機又は無機の充填剤を配合できる。このような充填剤としては、ポリマー、セラミックス、金属、金属酸化物、金属塩等を用いることができ、形状については粒子状、繊維状等特に限定されない。なお、上記ポリマーの配合に当っては、充填剤としてではなくポリマーブレンド、ポリマーアロイとして、可視光硬化性樹脂組成物中に溶解、半溶解又はミクロ分散させることも可能である。 【0027】また、本発明の可視光硬化性樹脂組成物は、添加剤として有機又は無機の顔料、染料等の着色剤を配合せしめ、塗料、インク等の用途に供することもできる。さらに、本発明の可視光硬化性組成物では、その他の添加剤として柔軟性付与剤、可塑剤、難燃化剤、保存安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、チクソトロピー付与剤、分散安定剤、流動性付与剤等を適宜配合することができる。 【0028】本発明の可視光硬化性樹脂組成物は、公知慣用の方法により基材上に塗布し、形成された塗布層に可視光〜紫外光を照射し、エチレン性不飽和結合を有する化合物を光ラジカル重合させることにより硬化する。照射光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプなどの他、白色光光源、アルゴンレーザー、YAGレーザーなどを利用できる。なお、本発明の樹脂組成物は、液状、ペースト状及びフィルム状のいずれの形態でも使用することができる。液状で用いる場合、樹脂組成物の粘度を調整するために適宜、有機溶剤等の公知の粘度調整剤を用いて粘度を調整することができる。 【0029】 【実施例】以下、実施例及び比較例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものでないことはもとよりである。 【0030】実施例1〜4及び比較例1〜7表1に示す各成分を所定の割合になるように撹拌装置で混合し、各種成分組成の可視光硬化性樹脂組成物を調製した。なお、各実施例及び比較例で用いた各成分は以下のとおりである。 NKエステル#401: 2−フェニルフェノールオキシラン付加物モノアクリレート(新中村化学(株)製) M−110: パラクミルフェノールEO変性アクリレートA−DCP: トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(新中村化学(株)製) イルガキュア784: ビス(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ(株)製) クマリンBC: 3,3′−カルボニルビス−7−(ジエチルアミノ)クマリンLT−3: トリラウリルチオフォスファイト(堺化学工業(株)製) A−174: γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(日本ユニカー(株)製) 【0031】こうして調製した各樹脂組成物について、硬化性、密着性、及び硬化物のガラス転移温度を測定した。測定方法は、以下のとおりである。 (1)硬化性:図1に示すように、27mmφ×55mmのガラス製容器(日電理化硝子(株)製、ねじ口ビンSV−20)1の底部に黒色のリング状樹脂シール剤(外形15mm、内径5mm)2及びポリイミドフィルム(25μm厚)3を貼る。これに試料Sの適当量を入れる。次いで、容器底部のポリイミドフィルム3に高圧水銀灯(ウシオ電機(株)製USHIO スポットキュア UIS−25102)の光ファイバ4先端の照射スポット5を密着させ、120秒間照射した。得られた硬化物をアセトンで洗浄した後、硬化物の高さを測定した。 【0032】(2)密着性:密着性試験1:厚さ0.7mmのITOガラスのITO面に試料を0.1ml滴下する。その試料の上から、厚さ0.7mmのITOガラスのITO面を試料と接するように重ね、試料が約100μm厚になるまで上から押さえつける。このようにしてできたサンプルの片側に厚さ25μmのポリイミドフィルムを貼り付け、ポリイミドフィルム側から高圧水銀灯2000mJを照射して試験片を作製した。こうして作製した試験片を100℃の熱湯に入れ、60分間煮沸した。煮沸後の外観及び手で引き剥がしたときの剥離性を評価した。評価基準は以下の通りである。 ◎:煮沸後にペーストの浮き、剥がれは見られなかった。 ○:煮沸後にガラス面から若干の浮きが見られた。 △:煮沸中にガラス面から剥離した。 ×:硬化直後にガラス面から剥離した。 【0033】密着性試験2:厚さ25μmのポリイミドフィルムに試料を0.1ml滴下する。その試料の上に、同様に厚さ25μmの別のポリイミドフィルムを重ね、試料が約100μm厚になるまで上から押さえつけ、これに高圧水銀灯2000mJを照射して試験片を作製した。こうして作製した試験片を100℃の熱湯に入れ、60分間煮沸した。煮沸後の外観及び手で引き剥がしたときの剥離性を評価した。評価基準は以下の通りである。 ◎:煮沸後にペーストの浮き、剥がれは見られなかった。 ○:煮沸後にフィルムから若干の浮きが見られた。 △:煮沸中にフィルムから剥離した。 ×:硬化直後にフィルムから剥離した。 【0034】(3)硬化物のガラス転移温度:剛体振り子型粘弾性測定装置により測定した。 【0035】前記各試験の結果を表1に併せて示す。 【表1】
表1に示す結果から明らかなように、本発明の可視光硬化性樹脂組成物は、硬化性に優れると共に、密着性に優れ、また、得られる硬化物のガラス転移温度も充分に低く、フレキシブル性に優れているため、フレキシブル基板に充分に適用できることがわかる。 【0036】 【発明の効果】以上説明した如く、本発明によると、開始剤系として、光重合開始剤、400〜600nmの波長領域に吸収を持つ増感色素、第3級チオフォスファイトを必須成分として用いるため、前記した分子内に1つ以上の水酸基及び芳香族環を有する感光性樹脂、特に前記した一般式(1)又は(2)で示される化合物を主成分とする感光性樹脂成分を含む光硬化系において、紫外光は勿論、可視光によつても充分な硬化特性を有する耐硬化収縮性に優れた組成物が得られ、また、上記感光性樹脂成分使用による利点を具え、柔軟性、接着性、電気絶縁性、耐薬品性、耐熱性、耐水性、耐PCT性等に優れた硬化物が得られる。その結果、本発明の樹脂組成物は、オーバーコート層としてフレキシブル基板、ソリッド基板の両方に適用できると共に、可視光光源で硬化できるため、レ−ザ−光による直接描画走査露光用レジスト、着色フィルムを介しての接着剤、ビルドアップ用絶縁樹脂組成物、導電インキ、歯科材料など、また、有機液晶パネル、有機ELパネルのような比較的紫外光に弱い材料を用いたパネルの保護材料、接着材料など、種々の新しい用途に対し、適応性の広い硬化物を提供することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】591021305 【氏名又は名称】太陽インキ製造株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年7月18日(2000.7.18) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100097135 【弁理士】 【氏名又は名称】▲吉▼田 繁喜
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| 【公開番号】 |
特開2002−30105(P2002−30105A) |
| 【公開日】 |
平成14年1月31日(2002.1.31) |
| 【出願番号】 |
特願2000−217088(P2000−217088) |
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