| 【発明の名称】 |
豆科植物からの高純度ペクチン質の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】星野 栄三
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| 【要約】 |
【課題】食品工業や医薬品工業などにおいて有用なペクチン質を、特に大豆資源の有効活用という観点から大豆種子から効率的かつ経済的に製造する新規な抽出製造法を提供する。
【解決手段】豆科植物から高純度ペクチン質を製造する方法が、(1).豆科種子及び/又は豆科種子の残渣物を水とともに加熱処理し、種皮部と子葉部の間を離脱させる工程、(2).ペクチン質が不溶の溶媒中で種皮部を破壊し、種皮部と子葉部の間に存在するペクチン質を前記溶媒中で不溶化させる工程、(3).ペクチン質を分離する工程、から成ることを特徴とする豆科植物からの高純度ペクチン質の製造方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 豆科植物から高純度ペクチン質を製造する方法が、(1).豆科種子及び/又は豆科種子の残渣物を水とともに加熱処理し、種皮部と子葉部の間を離脱させる工程、(2).ペクチン質が不溶の溶媒中で種皮部を破壊し、種皮部と子葉部の間に存在するペクチン質を前記溶媒中で不溶化させる工程、(3).ペクチン質を分離する工程、から成ることを特徴とする豆科植物からの高純度ペクチン質の製造方法。 【請求項2】 豆科種子が、大豆種子である請求項1に記載の高純度ペクチン質の製造方法。 【請求項3】 豆科種子の残渣物が、脱皮粕及び/又は搾油残渣物である請求項1に記載の高純度ペクチン質の製造方法。 【請求項4】 ペクチン質が不溶の溶媒が、アルコール、または含水アルコールである請求項1に記載の高純度ペクチン質の製造方法。 【請求項5】 アルコールが、エタノールである請求項3に記載の高純度ペクチン質の製造方1法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、食品産業や医薬品産業などにおいて用いられているペクチン質(ガラクツロナンを主体とする一群の多糖類の総称で、以下、単にペクチンということがある。)の効率的かつ経済的な製造方法に関する。 【0002】更に詳しくは、本発明は、従来においては経済的かつ工業的な抽出製造法が知られていない豆科植物の種子及び/又はその利用残渣物から高純度のペクチン質(pectic substances)を効率的かつ経済的に抽出することができる新規な高純度ペクチン質の製造方法を提供するものである。 【0003】 【従来の技術】ペクチン質は、ジャムやマーマレードの増粘剤として食品産業に古くから使用されている我々にとって馴染みの深い天然高分子多糖類である。その用途は拡大し、最近では、酸乳(酸性乳飲料)の安定剤や、化粧品のクリームの乳化剤などに応用されている。 【0004】ペクチン質は陸上のあらゆる高等植物に含有されている多糖類であり、含有率や組成は植物の種類によって異なるが、いずれもD−ガラクツロン酸およびそのメチルエステルがα−1、4グリコシド結合によって直鎖状に結合した高分子が主体であるとの基本的な点では一致している。D−ガラクツロン酸以外にアラビノース、ラムノース、キシロース、フコースなどの中性糖も含まれている。 【0005】従来より植物体からペクチンを抽出、製造する実験室的方法あるいは工業的方法としては、種々の方式のものが知られている。 【0006】例えば、実験室的製法としては、植物体を希塩酸、シュウ酸、ヘキサメタン酸、乳酸などの溶液で加温抽出し、次いで抽出液にアルコールを加えて沈殿させる。そして沈殿物(ペクチン質)の生成には透析、アルコールによる再沈殿、またはカルシウムやアルミニウムなどの塩にして沈殿させ、生成してから金属を除く方法などが知られている。 【0007】次に、工業的製法についてみてみる。ペクチンの工業的製法としては、大きく分けてHM(ハイメトキシル)ペクチン及びLM(ローメトキシル)ペクチンが製造され、原料して柑橘類や林檎が用いられ、実際にはレモン、ライム、オレンジ、グレープフルーツや林檎の果汁や精油生産の副産物である抽出残渣を原料として製造されている。なお、果汁残渣中のペクチン質含有量は柑橘類で20〜40%、林檎で10〜20%である。 【0008】より具体的に従来のペクチン質の工業的製法を説明すると、従来法ではペクチン質を含む果汁抽出残渣などから、ペクチン質のみを抽出するため、適当量の酸溶液(pH1.5〜4.0)を加え、60〜100℃で数時間加熱し、濾過後、得られた粗製ペクチン溶液(柑橘類、林檎などの果汁抽出残渣を原料としているため、遊離の糖等の不純物が多量に混入している。)を濃縮する。ペクチン質はエタノールに不溶性の性質を示すため、エタノールを加え沈殿させる。さらに不純物を除去するために沈殿物を酸性エタノール等を用いて洗浄する。その後、乾燥、粉砕、混合、標準化といった多くの工程を経て、HM(ハイメトキシル)ペクチンおよび、LM(ロウメトキシル)ペクチンを製造している。 【0009】しかしながら、従来のペクチン質抽出法は、抽出時に酸性環境下で過熱処理などハードな条件(pH1.5〜4.0、温度60℃〜100℃で数時間)での処理を行うため、ペクチン質が加水分解を受け、脱エステル化、低分子化してしまうという問題がある。そのため、例えば食品のゲル化剤として使用する場合、分子量が大きければゲル強度が強いため、ペクチン質の添加量を低く設定することが可能であるが、分子量が低いため希望のゲル強度を得るために、添加量を多く設定せざるをえなく、その結果、本来もつ嗜好性が低下するという問題と多量にペクチン質を添加するため、原料コストが高くなるという問題も合わせて生じる。 【0010】更に、現在、ペクチン質は酸乳飲料などのカゼイン沈降防止剤(安定化剤)として広く使用され、今後も広く各分野において利用されると予想される。このためHMペクチンを従来法に従って製造すると、酸性環境化での過熱抽出工程において、ペクチン質の骨格であるガラクツロン酸のカルボキシル基(COO-)が影響をうけ、メチル化されているもの(COOCH3)に関しては、容易にメチル基(CH3)が離脱してしまい、メチル基の多いHMペクチンが得られにくいという問題がある。そのため、酸乳飲料の安定剤として使用する場合においても、メチル基含量が低いため、カゼインを分散させるために必要な安定化力が得られにくいという問題がある。更にまた、従来法によるペクチン質の製造は、工程が複雑であることから高価であるという問題がある。 【0011】前記したように、従来のペクチン質抽出法は、基本的には原料を酸性溶液中に入れ、過熱しペクチン質を抽出するといった方法であるが、この方法では、前記のように脱メチル化と低分子化が回避できない。最近、脱メチル化を防止するため、原料を予め浸漬する方法などが試みられているが、完全な防止策にはなっていないのが現状である。このような点で、原料中には高分子、高メチル基ペクチン質が含有されているにもかかわらず、抽出工程によって低分子、低メチル基ペクチン質になってしまうのが従来の方法である。 【0012】 【発明が解決しようとする課題】前記したように、従来、ペクチン質は、柑橘類や林檎の果汁や精油生産の副産物である抽出残渣を原料として製造され、抽出工程も複雑である。そして、従来のペクチン質の製造技術は前記したように種々の欠点を有するものである。 【0013】本発明者は、従来のペクチン質の抽出製造法の限界に鑑み、ペクチン質の新たな製造技術について鋭意検討を加えた。もとより、本発明者は、原料中に含まれているペクチン質をクルードの状態で、簡便な方法で高純度で、かつ経済的に抽出が可能となれば、簡単に高分子、高メチル基ペクチンが得られ、ペクチン質の用途も従来とは比べものにならない程広がるという確信をもって研究開発を進めた。 【0014】その結果、豆科植物がペクチン質を多く含有することに注目し、豆科種子及び豆科種子から得られる残渣物(脱皮粕、搾油残渣物など)からペクチン質を抽出する方法が極めて有効であることを見い出した。即ち、本発明者は、これら出発原料においては、抽出溶媒を基本的には水とすることができるため、抽出時にほとんど加水分解が起らず、従って、従来から問題となっていた抽出操作時に生じる脱メチル化や低分子量化が起らず、豆科植物体に含まれているクルードの状態(ネイティブの状態、自然な状態)のペクチン質が得られること、また、原料の選択によりLMペクチンやHMペクチンの製造が容易になる、という有用な知見を見い出した。 【0015】本発明は前記知見をベースにして完成されたものである。本発明により、食品工業や医薬品工業などにおいて有用な高純度ペクチンを効率よくかつ、経済的に製造することができる新規な高純度ペクチン質の製造方法が提供される。 【0016】 【課題を解決するための手段】本発明を概説すれば、本発明は、豆科植物から高純度ペクチン質を製造する方法が、(1).豆科種子及び/又は豆科種子の残渣物を水とともに加熱処理し、種皮部と子葉部の間を離脱させる工程、(2).ペクチン質が不溶の溶媒中で種皮部を破壊し、種皮部と子葉部の間に存在するペクチン質を前記溶媒中で不溶化させる工程、(3).ペクチン質を分離する工程、から成ることを特徴とする豆科植物からの高純度ペクチン質の製造方法に関するものである。 【0017】以下、本発明の技術的構成及び実施態様について詳しく説明する。 【0018】図1は、大豆種子の断片(断面)を示すものであり、かつ、本発明が立脚する重要な知見を図示したものである。即ち、図1は大豆種子(1)が、種皮部(11)と子葉部(12)の間にペクチン質を多量に含有するペクチン質含有層(13)が存在することを示している。本発明は前記知見をベースにするものであり、大豆種子からペクチン質を製造するための従来技術において、前記知見を利用したものは存在しない。前記したペクチン質含有層(13)の存在は、大豆切片をルテニウムレッドにより処理するとペクチン性多糖類は赤く染色するため、容易にその存在を確認することができる。 【0019】前記したことから明らかのように、本発明の高純度ペクチン質の抽出製造法は、各種の豆科種子からペクチン質を抽出製造する際、種皮部と子葉部の間に存在するペクチン質を高濃度に含有するペクチン質含有層を利用するため、抽出操作後に残る子葉部は本来の応用製品、例えば、大豆種子の場合は豆腐や大豆油などの応用製品に有効活用することができるという特徴がある。即ち、本発明の高純度ペクチン質の抽出製造法は、各種豆科種子の種皮部と子葉部の間に存在するペクチン質含有層を利用するだけであり、抽出操作後に残る子葉部は本来の応用製品に有効活用することができるため、極めて経済的なものである。 【0020】本発明は、前記したように出発材料として大豆種子を用いるものであるが、従来、大豆種子からペクチン性多糖類を抽出した報告はない。なお、大豆加工食品の副産物であるオカラ(生オカラ)から温水、シュウ酸アンモニウム、ヘキサメタン酸、塩酸などによる既知の抽出法でペクチン性多糖類を抽出する場合、タンパク質が主体でガラクツロン酸含有量が低いものが得られる。このような場合、タンパク質が多く含まれるため保存性が問題となる。また、大豆種子にペクチン質が多く含まれていることは知られているが、大豆種子から高純度で化学的変質を受けないペクチン質を抽出製造する方法は知られていない。 【0021】本発明の高純度ペクチン質の抽出製造法において、ペクチン質(pecticsubstances)は、ガラクツロン酸(ガラクチュロン酸)の重合体の全ての誘導体を指すことから最広義に解釈されるべきである。即ち、ペクチン質はガラクツロナンを主体とする一群の多糖類を総称するものであり、より具体的には、D−ガラクツロン酸及びそのメチルエステルがα−1、4グリコシド結合によって直鎖状に結合した酸性多糖類を主体とし、D−ガラクツロン酸以外にアラビノース、ガラクトース、グルコース、キシロース、フコース、ラムノースなどの中性糖を随伴するものである。従って、本発明のペクチン質は、ペクチン質はもとより、プロトペクチン、ペクチニン酸、ペクチン酸、ペクチンを指すとともに、これらに含まれる中性糖などを意味するものである。 【0022】本発明の高純度ペクチン質の抽出製造法において、出発原料である豆科種子としては、ダイズ、ヤブマメ、メタマメ、タヌキマメ、フジマメ、インゲンマメ、ツルマメ、エンドウ、ウマゴヤシ、クズ、トキリマメ、ソラマメ、アズキ、スナジマメ、ヘウチマメ、エンジュササゲ、などが例示される。前記大豆種子の典型例は、大豆種子である。 【0023】本発明において、豆科種子の残渣物は、前記した豆科種子から得られる脱皮粕、脱胚軸粕、搾油残渣物など豆科種子を他の主用途に利用するときに得られる副産物が対象となる。前記残渣物の一例としては、大豆等から加工製品を製造する際、種皮中に含まれる成分が苦味を呈することなどから、予め大豆から種皮部が除去されるが、このようにして得られた脱皮粕を例示することができる。 【0024】本発明の高純度ペクチン質の抽出製造法は、例えば、大豆種子から別途の方法によりペクチン質含有層を有する種皮部が得られる場合、あるいは、ペクチン質含有層を有する子葉部が得られる場合、これらを出発原料として利用することができるものであり、この場合、前記(1)〜(2)工程は、これら出発原料を水で処理してペクチン質を可溶化し、次いでペクチン質の不溶化溶媒で処理する工程であると理解すべきである。 【0025】本発明の高純度ペクチン質の抽出製造法において、第一工程の豆科種子などの出発原料を水とともに加熱処理し、種皮部と子葉部の間に存在するペクチン質を膨潤、あるいは可溶化させることにより離脱させる工程は、所望に行えばよい。即ち、豆科種子に対する水の使用割合、及び、加温条件は所望に設定すればよい。例えば豆科種子1容積に対し水を1〜10倍量、加熱温度も20〜200℃にして行えばよい。 【0026】本発明の高純度ペクチン質の抽出製造法において、第二工程で用いるペクチン質が不溶の溶媒としては、所望のものを用いればよい。例えば、アルコール、含水アルコール、酸性溶液、アルカリ溶液、金属イオン含有溶液、炭化水素系、塩化炭化水素系、フッ化炭化水素系などを用いればよい。なお、含水アルコールの場合、アルコール濃度は例えば70%に設定すればよい。 【0027】本発明において、第二工程における種皮部の破壊方法(種皮部の脱皮方法)としては、所望の方式を採用すればよい。例えば、種皮部と子葉部を離脱させた大豆(膨潤大豆)に対し弱い剪断力を印加し種皮部を脱皮させる方式、主として種皮部にキズをつけてペクチン質溶液を取出す方式などを採用すればよい。また、種皮部と子葉部を離脱させた大豆(膨潤大豆)から種皮部を脱皮させる方法として、以下の方法を採用してもよい。膨潤大豆を完全排出型バケットエレベータなどのホッパーにセットし、エレベータ内を移動するベルトコンベアーの針状の爪に膨潤大豆を引掛け、上方へ運搬すると同時に種皮部のみを破壊し、内部のペクチン質溶液を流出させる。流出させた溶液はバケットエレベーターの下部に配設した回収受け皿に集め、ここでペクチン質を不溶化させる溶液によりペクチン質を不溶化させる。なお、前記した方法において、ベルトコンベアーにセットする針状の爪は、種皮部のみを傷つける大きさのものが好ましいことはいうまでもないことである。 【0028】本発明の高純度ペクチン質の抽出方法において、第三工程のペクチン質の分離は所望の方式で行えばよい。例えば、遠心分離法、沈殿法などを採用すればよく、特段に制約を受けるものではない。 【0029】 【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳しく説明する。なお、いうまでもないことであるが、本発明は実施態様のものに限定されない。 【0030】(実施例1)(出発原料:乾燥大豆) (1).乾燥大豆(品種:鶴の子大豆)400g(約1000粒)に水を5l(リットル)加え、60℃で50分間過熱処理し、大豆種子を膨潤させ、大豆種子の種皮部と子葉部を離脱させた。 (2).次いで、種皮部と子葉部の間に存在する可溶化したペクチン質を回収するために、70%エタノール中に移すとともに、ステンレス製の針により種皮部のみを破壊し、ペクチン質をエタノール中に放出させた。可溶化ペクチン質はエタノールに接触した瞬間に不溶化した。 (3).不溶化したペクチン質を回収し乾燥した。これによりペクチン質が収率3%で得られた。 前記実験例において使用した大豆1粒の乾燥重量は0.4〜0.5gであり、大豆1粒からペクチン質が0.012〜0.015g採れたことになる。 【0031】このようにして抽出製造されたペクチン質の一般成分分析の結果を、下記の表1に示す。なお、表1の注釈は次の通りである。また、この注釈は他の表2〜表4に共通するものである。 1): 分子量は、ゲル濾過クロマトグラフィーにより測定した。 2): ガラクツロン酸含量(%)は、カルバゾール硫酸法により測定した。 3): エステル化度は、アルコールオキシダーゼを用いたklavonsの方法により測定した。 4): タンパク質含量(%)は、セミ・ミクロケルダール法にて測定し、窒素係数5.71を乗じて算出した。 5): 中性糖含量(%)と成分は、高速液体クロマトグラフィーにより測定した。 【0032】 【表1】
【0033】表1のデータを踏まえて本発明の特徴点を説明すると、次の通りである。 <1> 得られたペクチン質の平均分子量は約600,000という高分子量のものであり、ガラクツロン酸純度は90%以上、エステル化度は80%で高いエステル化度(高いメチル基残基)を示し、含有中性糖としてアラビノース、ガラクトース、グルコース、キシロース、フコース、ラムノースを含有していた。また、タンパク質含量は1%以下という高純度ペクチン質であった。 <2> 大豆等の豆科種子からペクチン質を抽出した報告が数例あるが、いずれの場合も原料中にタンパク質が多く含まれているため(大豆の場合は30〜50%)、タンパク質の混入が避けられず、かつ、過熱によるアミノカルボニル反応による品質の劣化などの欠点があるが、本発明の方法によりタンパク質の混入は回避可能となった。 <3> 前記したタンパク質の混入回避は、本発明の方式においては大豆種子で最もタンパク質含有量が多い子葉部を破壊しないことに起因するものである。子葉部を破壊すると、水溶性のタンパク質が流出してしまい、ペクチン質の純度を低下させる原因となる。現在の技術レベルにおいては、一度タンパク質が混入したペクチン質からタンパク質のみを完全に分離除去することは極めて困難である。 【0034】(実施例2)(出発原料:大豆の種皮部) 大豆等の加工品を製造する際、種皮中に含まれる成分が苦味を呈することなどから、予め大豆から種皮部を除去して使用する場合がある。そして、これらの脱皮粕は有効に利用されることなく廃棄されている。 【0035】次の実施例として、前記した脱皮粕を出発原料として本発明が有効かどうかを調べた。種皮部400gに水を5l(リットル)加え、60℃で50分間過熱処理し、得られた煮汁をエタノール中で不溶化し、ペクチン質を得た。 【0036】前記方法により収率20〜30%で純度の高いペクチン質が得られた。得られたペクチン質を前記実施例1と同様に一般成分分析を行なった。結果を下記の表2に示す。表2に示されるように、実施例1と同様に高純度のペクチン質が得られたことがわかる。 【0037】 【表2】
【0038】(実施例3)(出発原料:豆腐製造工場から廃棄された脱皮粕) 前記実施例2と同様にして出発原料として豆腐製造工場から廃棄された脱皮粕を用いてペクチン質の抽出製造を行なった。結果を下記の表3に示す。表3に示されるように、本実施例の場合、他の実施例のものと比較してエステル化度が低いペクチン質が得られる。これは、原料中に含まれていたペクチン質がもともとエステル化度の低いペクチン質であったものと考えられる。 【0039】 【表3】
【0040】(比較例)(出発材料:種皮部) 次に、鶴の子大豆の種皮部を用いて従来法によりペクチン質を抽出製造した。即ち、種皮部400gに酸性溶液(pH2.0)を5l(リットル)加え、100℃で2時間過熱し、濾過後、濾液にエタノールを3.5l(エタノール濃度:70%)を加え、ペクチン質を沈殿させ、沈殿物を集めてペクチン質を得た。得られたペクチン質の一般成分分析の結果を下記の表4に示す。 【0041】 【表4】
【0042】表4から次の点が判明する。 <1> 従来法においては、同じ原料であるにもかかわらず、分子量は100,000まで低分子量化される。 <2> エステル化度においても、本発明方法(実施例2)が80%であったのに対し、従来法では12%まで減少し、脱メチル化の程度が非常に高くなる。 <3> 従来法ではガラクツロン酸含量が大きく低下する。これは、酸性下での過熱処理というハードな処理条件により、種皮に含まれる酸性可溶性分が抽出してしまい、結果としてガラクツロン酸純度が低下したものと考えられる。 <4> 本発明の方法により、原料中に存在するペクチン質をクルードの状態で抽出可能となり、これによって従来から問題となっていた抽出の際に起る低分子量化と脱メチル化を効果的に回避することが可能となった。 【0043】 【発明の効果】ペクチン質は、ジャム、マーマレード、ゼリー、ペニクチン酸塩の食べられる包装材、カプセル材、微生物培地、ゼラチンの代用、胃腸の調整剤、ラテックスの濃化剤、紙のサイジング剤など食品工業や医薬品工学などにおいて広く用いられている重要な素材である。 【0044】本発明は、各種の豆科種子の種皮部と子葉部の中間に豊富に存在するペクチン質含有層に注目し、効率的かつ経済的な高純度ペクチン質の抽出製造法を提供するものであり、その産業的工業的な意義は大きい。 【0045】また、本発明の高純度ペクチン質の抽出製造法は、各種種子の種皮部と子葉部の間に存在するペクチン質を高濃度に含有するペクチン質含有層を利用するため、抽出操作後に残る子葉部は本来の応用製品、例えば、大豆種子の場合は豆腐や大豆油などの応用製品に有効活用されるという大きな特徴を有するものであり、その産業的工業的な意義は大きい。 【0046】更にまた、本発明の高純度ペクチン質の抽出製造法に適用する抽出装置を極めてコンパクトかつ経済的に(安価に)構成することができるため、また、出発原料として豆科種子そのものに限らずその残渣物(種皮部、脱皮粕、脱胚軸粕、搾油残渣)を有効利用することができるため、本発明の高純度ペクチン質の抽出製造法は、豆科種子から所定の応用製品を製造する際の前処理工程または後処理工程として容易に受け入れやすいものである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】500340185 【氏名又は名称】星野 栄三
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| 【出願日】 |
平成12年7月19日(2000.7.19) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100092222 【弁理士】 【氏名又は名称】水野 喜夫
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| 【公開番号】 |
特開2002−30102(P2002−30102A) |
| 【公開日】 |
平成14年1月31日(2002.1.31) |
| 【出願番号】 |
特願2000−218684(P2000−218684) |
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