トップ :: C 化学 冶金 :: C04 セメント;コンクリ−ト;人造石;セラミツクス;耐火物




【発明の名称】 セメント混和材及びセメント組成物
【発明者】 【氏名】盛岡 実

【氏名】中島 康宏

【氏名】山本 賢司

【氏名】高橋 光男

【要約】 【課題】従来のアルカリフリーの凝結促進剤と比較して、凝結促進効果に優れるなどの効果を奏する、土木・建築分野において使用されるセメント混和材、それを用いたセメント組成物を提供すること。

【解決手段】4A族元素、例えば、チタニウム又はジルコニウムの溶解性化合物を含有するセメント混和材、4A族元素が4価である該セメント混和材、セメントと、該セメント混和材とを含有するセメント組成物を構成とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 4A族元素の溶解性化合物を含有してなるセメント混和材。
【請求項2】 4A族元素が、チタニウム又はジルコニウムであることを特徴とする請求項1記載のセメント混和材。
【請求項3】 4A族元素が、4価であることを特徴とする請求項1又は2記載のセメント混和材。
【請求項4】 セメントと、請求項1〜3のうちの一項記載のセメント混和材とを含有してなるセメント組成物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主に、土木・建築分野において使用されるセメント混和材及びセメント組成物に関する。なお、本発明における(部)や(%)は特に規定しない限り質量基準で示す。
【0002】
【従来の技術とその課題】これまでにセメント・コンクリートの凝結を促進するセメント混和材である凝結促進剤は数多く提案されている。その代表例としては、ケイ酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、及びアルミン酸ナトリウムなどのアルカリ金属化合物系が挙げられる(特開昭59-164659号公報、米国特許第1844663号等)。しかしながら、アルカリ金属はコンクリート中の骨材と反応して膨潤性のアルカリシリケートゲルを生成し、コンクリート構造物の早期劣化を招くために有害であるという課題があった。
【0003】このような背景を受けて、最近では、効果の大きいアルカリフリーの凝結促進剤の開発が待たれている。従来、アルカリフリーの凝結促進剤としては、硫酸アルミニウムなどが挙げられている(特開昭52-141837号公報、特開平08-048553号公報等)。しかしながら、硫酸アルミニウムは凝結促進効果がアルカリ金属化合物系と比較して著しく劣るという課題があった。
【0004】本発明者は、アルカリフリーでありながら、硫酸アルミニウムよりも凝結促進効果に優れる凝結促進剤を見出すために種々検討した結果、特定のセメント混和材を使用することにより、前記課題を解決できることを知見し、本発明を完成するに至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、4A族元素の溶解性化合物を含有してなるセメント混和材であり、4A族元素が、チタニウム又はジルコニウムである該セメント混和材であり、4A族元素が、4価である該セメント混和材であり、セメントと、該セメント混和材とを含有してなるセメント組成物である。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0007】本発明で使用する4A族元素の溶解性化合物とは、チタニウム、ジルコニウム、及びハフニウムなどの溶解性化合物が挙げられ、固形物でも液状でも使用可能である。その具体例としては、硫酸チタニウム、塩化チタニウム、臭化チタニウム、ヨウ化チタニウム、及びホウ酸チタニウムなどのチタニウム化合物、硫酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、フッ化ジルコニウム、臭化ジルコニウム、ヨウ化ジルコニウム、及び二塩化酸化ジルコニウムなどのジルコニウム化合物、並びに、二塩化酸化ハフニウムやフッ化ハフニウムなどのハフニウム化合物等が挙げられ、これらのうちの一種又は二種以上が使用可能である。一方、4A族元素の化合物であっても、二酸化チタニウムや二酸化ジルコニウムなどの酸化物、窒化チタニウムや窒化ジルコニウムなどの窒化物、あるいは、炭化チタニウムや炭化ジルコニウムなどの炭化物に代表される不溶性化合物では、凝結促進効果は得られない。4A族元素は、主に、3価と4価の化合物を形成するが、凝結促進効果が優れることから、4価の化合物が好ましい。その具体例としては、4価の硫酸チタニウム、4価の塩化チタニウム、4価の硫酸ジルコニウム、及び4価の塩化ジルコニウムなどが挙げられ、これらのうちの一種又は二種以上を使用することが好ましく、入手のしやすさから、また、塩素を含まず、鉄筋コンクリートへの利用も可能であるなどの利点があることから、4価の硫酸チタニウムを使用することがより好ましい。4価の硫酸チタニウムには、一般に、TiOSO4・nH2Oで表され、硫酸チタニルとも呼ばれる白色結晶の化合物や、Ti(SO4)2・nH2Oで表され、単に硫酸チタンとも呼ばれる化合物等がある。工業製品としての一般的な硫酸チタニウムは結晶質であって、その組成は、例えば、TiO2分が25〜35%、全H2SO4分が47〜53%、付着硫酸が約10%、付着水分が約10%である。
【0008】本発明のセメント混和材の使用量は、通常、セメントとセメント混和材からなるセメント組成物100部中、固形分換算で0.5〜10部が好ましく、1〜5部がより好ましい。0.5部未満では凝結促進効果が充分でなく、10部を超えて使用してもさらなる効果の増進が期待できない。
【0009】ここでセメントとしては、普通、早強、超早強、低熱、及び中庸熱等の各種ポルトランドセメント、これらポルトランドセメントに、高炉スラグ、フライアッシュ、又はシリカを混合した各種混合セメント、並びに、石灰石粉末等を混合したフィラーセメントなどがある。
【0010】本発明では、本発明のセメント混和材の他に、従来より知られる凝結促進剤、減水剤、高性能減水剤、AE減水剤、高性能AE減水剤、流動化剤、消泡剤、増粘剤、防錆剤、防凍剤、収縮低減剤、高分子エマルジョン、セメント膨張材、セメント急硬材、ベントナイトなどの粘土鉱物、並びに、ハイドロタルサイトなどのアニオン交換体等のうちの一種又は二種以上を、本発明の目的を実質的に阻害しない範囲で使用することが可能である。
【0011】本発明では、各材料の混合方法は特に限定されるものではなく、それぞれの材料を施工時に混合しても良いし、あらかじめその一部、あるいは全部を混合しておいても差し支えない。
【0012】混合装置としては、既存のいかなる装置も使用可能であり、例えば、傾胴ミキサ、オムニミキサ、ヘンシェルミキサ、V型ミキサ、及びナウタミキサなどが挙げられる。
【0013】
【実施例】以下、実験例により本発明を詳細に説明する。
【0014】実験例1各種のセメント混和材を用いて凝結試験をモルタルにより実施した。セメント組成物100部中、セメント混和材を固形物換算で3部使用し、水/セメント組成物比50%、セメント組成物/砂比=1/3のモルタルを調製した。このモルタルを用いて、凝結時間を測定した。結果を表1に示す。なお、比較のため、セメント混和材として、硫酸アルミニウム、塩化カルシウム、及び二酸化チタンを使用して同様の実験を行った。結果を表1に併記する。
【0015】<使用材料>セメント混和材イ:硫酸チタニル、TiOSO4、市販品セメント混和材ロ:硫酸チタニウム、Ti(SO4)2換算で25%水溶液、試薬1級セメント混和材ハ:四塩化チタニウム、試薬1級セメント混和材ニ:三塩化チタニウム、試薬1級セメント混和材ホ:硫酸ジルコニウム4水和物、Zr(SO4)2・4H2O、試薬1級セメント混和材ヘ:四塩化ジルコニウム、試薬1級セメント混和材ト:二塩化酸化ジルコニウム8水和物、試薬1級セメント混和材チ:三塩化ジルコニウム、試薬1級セメント混和材リ:セメント混和材イ50部とセメント混和材ロ50部の混合物セメント混和材ヌ:セメント混和材イ50部とセメント混和材ホ50部の混合物セメント混和材ル:硫酸アルミニウム18水和物、市販品セメント混和材ヲ:塩化カルシウム、市販品セメント混和材ワ:二酸化チタン、市販品セメント :電気化学工業社製、普通ポルトランドセメント砂 :JIS標準砂、ISO 679準拠【0016】<測定方法>凝結時間 :ASTM C 403に準じてプロクター貫入抵抗値を測定し、プロクター貫入抵抗値が500psiに達した時間【0017】
【表1】

【0018】実験例2セメント組成物100部中、表2に示す量のセメント混和材リを使用したこと以外は実験例1と同様に行った。結果を表2に併記する。
【0019】
【表2】

【0020】
【発明の効果】本発明のセメント混和材はアルカリフリーであり、従来のアルカリフリーの凝結促進剤と比較して、凝結促進効果に優れるなどの効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】000003296
【氏名又は名称】電気化学工業株式会社
【出願日】 平成13年2月16日(2001.2.16)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−249353(P2002−249353A)
【公開日】 平成14年9月6日(2002.9.6)
【出願番号】 特願2001−39735(P2001−39735)