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【発明の名称】 コンクリート腐食防止剤およびコンクリート腐食防止用コーティング材
【発明者】 【氏名】渡辺 直樹

【氏名】西田 浩和

【要約】 【課題】下水道施設の沈殿地、下水管、マンホール等に使用されているコンクリートが、自然界に広く存在する好気性細菌により腐食されているために、従来ではこれを防止するためにコンクリートにニッケルまたは銅化合物等の添加剤を導入することが試みられている。しかし、これらの添加剤は、一般的に高価でまた重金属による環境汚染の恐れがある。本発明はこの課題の解決が目的である。

【解決手段】ギ酸カルシウムおよび石灰石微粉末を腐食防止剤としてモルタルまたはコンクリートに配合した。モルタルはコーティング材として使用した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ギ酸化合物に石灰石微粉末を配合してなるコンクリート腐食防止剤。
【請求項2】 ギ酸化合物が、ギ酸、ギ酸ナトリウムおよびギ酸カルシウムからなる群から選択された少なくとも1種である請求項1に記載のコンクリート腐食防止剤。
【請求項3】 ギ酸化合物1重量部に対し、石灰石微粉末を0.3〜10重量部配合してなる請求項1または2に記載のコンクリート腐食防止剤。
【請求項4】 石灰石微粉末の水分含量が1.0重量%以下であり、かつ下記表1の条件を満足するものである請求項1ないし3のいずれか1項に記載のコンクリート腐食防止剤。
【表1】
ふるいの呼び寸法(μm) ふるいの通過質量百分率(%) 600 100 150 90以上 75 70以上 【請求項5】 セメントモルタルに請求項1ないし4のいずれか1項に記載のコンクリート腐食防止剤を配合してなるコンクリート腐食防止用コーティング材。
【請求項6】 請求項5に記載のコンクリート腐食防止用コーティグ材をコンクリート構造物表面にコーティングすることを特徴とするコンクリート腐食防止方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンクリート腐食防止剤に関するものであり、さらに詳しくは、低コストで簡便で環境汚染の心配がなく且つ有効にコンクリートの腐食を防止することのできるコンクリート腐食防止剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、コンクリート製の各種施設の腐食、とくに例えば下水道施設の沈殿地、下水管、マンホール等の腐食が問題となっている。この腐食は、T.neapolitanusのような自然界に広く存在する好気性細菌が、イオウを栄養源として硫酸生成することにより生じることが知られている。そこで、コンクリートの腐食を防止するために、イオウ酸化細菌の増殖の抑制を目的として、コンクリートに金属系、例えばニッケルまたは銅化合物等の添加剤を導入することが試みられ、このような添加剤はまた市販されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の従来の金属系のコンクリート腐食防止剤は、一般的に高価でまた重金属による環境汚染のおそれがあるため、実用上利用しにくいという欠点がある。本発明の目的は、このような従来の課題を解決し、低コストで簡便で環境汚染の心配がなく且つ有効にコンクリートの腐食を防止することのできるコンクリート腐食防止剤を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、上記のような従来の課題を解決することができた。すなわち本発明は、ギ酸化合物に石灰石微粉末を配合してなるコンクリート腐食防止剤を提供するものである。また本発明は、ギ酸化合物が、ギ酸、ギ酸ナトリウムおよびギ酸カルシウムからなる群から選択された少なくとも1種である前記のコンクリート腐食防止剤を提供するものである。また本発明は、ギ酸化合物1重量部に対し、石灰石微粉末を0.3〜10重量部配合してなる前記のコンクリート腐食防止剤を提供するものである。また本発明は、石灰石微粉末の水分含量が1.0重量%以下であり、かつ下記表2の条件を満足するものである前記のコンクリート腐食防止剤を提供するものである。すなわち、本発明で用いる石灰石微粉末の大きさは、JIS Z 8801で規定するふるいの呼び寸法600(μm)に対して100%通過し、かつ、ふるいの呼び寸法150(μm)に対して90%以上通過し、かつ、ふるいの呼び寸法75(μm)に対して75%以上通過するものである。
【0005】
【表2】
ふるいの呼び寸法(μm) ふるいの通過質量百分率(%) 600 100 150 90以上 75 70以上 【0006】また本発明は、セメントモルタルに前記のコンクリート腐食防止剤を配合してなるコンクリート腐食防止用コーティング材を提供するものである。また本発明は、前記のコンクリート腐食防止用コーティグ材をコンクリート構造物表面にコーティングすることを特徴とするコンクリート腐食防止方法を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明者らは、従来の高価格で且つ重金属による環境汚染の心配のあるニッケルまたは銅化合物等の金属系のコンクリート腐食防止剤の代替となり得、しかも従来のコンクリート腐食防止剤の効果と同等あるいはそれ以上の材料を求めて検討を重ねた結果、意外にもコスト的に有利なギ酸化合物と石灰石微粉末の組み合わせが有効であることを見いだし、本発明を完成することができた。
【0008】本発明に用いられるギ酸化合物は、ギ酸単体、ギ酸塩類、ギ酸誘導体のようなギ酸化合物であり、例えばギ酸、ギ酸ナトリウム、ギ酸カルシウム、ギ酸バリウム、ギ酸アンモニウム、ギ酸マグネシウム、ギ酸カリウム等が好適であり、中でも好ましくはギ酸、ギ酸ナトリウムおよびギ酸カルシウムであり、最適にはギ酸カルシウムである。これらは必要に応じて混合して用いることができる。
【0009】本発明に用いられる石灰石微粉末は、水分含量が1.0重量%以下であり、かつ下記表3の条件を満足するものが、ギ酸化合物の団粒化を防止し、なおかつコンクリート腐食防止用コーティング材とした場合においてギ酸化合物の分散性および施工性を改善することができ好ましい。
【0010】
【表3】
ふるいの呼び寸法(μm) ふるいの通過質量百分率(%) 600 100 150 90以上 75 70以上 【0011】また、ギ酸化合物1重量部に対し、石灰石微粉末を0.3〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部配合すれば、ギ酸化合物の団粒化を防止し、なおかつコンクリート腐食防止用コーティング材とした場合においてコンクリート腐食防止剤におけるギ酸化合物の分散性および施工性を改善することができ好ましい。
【0012】また本発明のコンクリート腐食防止用コーティング材は、例えば、該コーティング材を配合調製後、硬化するよりも前に、これを目的とするコンクリート構造物の表面に塗布、スプレー吹付け等の公知の手段を用いてコーティングすることができる。コーティングの厚さは、使用状況等により異なるものではあるが、一般的には0.3〜5.0cm程度の厚さがあれば、腐食防止効果が十分に発現される。なお、本発明のコンクリート腐食防止用コーティング材に使用されるセメントモルタルには特に制限なく、セメント、細骨材および水を含む各種セメントモルタルの中から適宜選択することができる。本発明のコンクリート腐食防止用コーティング材において、ギ酸化合物の配合割合は、セメントモルタル(水を含む)1kgに対し、0.5〜500g、好ましくは5〜250gがよい。また本発明のコンクリート腐食防止用コーティング材には、従来から公知の各種添加材(剤)を必要に応じて使用することができる。
【0013】なお本発明のコンクリート腐食防止剤は、上記のようなコンクリート腐食防止用コーティング材に配合する以外にも、これそのものをコンクリートに配合することにより、コンクリートの腐食防止効果を発現させることができる。配合できるコンクリートはとくに制限されず、従来のコンクリートのいずれであってもよい。例えば、従来から使用されているセメント、粗骨材、細骨材、各種の添加材(剤)および水を含む各種コンクリートを使用でき、例えば細骨材率30〜100%、水/セメント比20〜70、スランプ値0〜27cm等であることができる。ギ酸化合物の配合割合は、コンクリート(水を含む)1kgに対し、0.1〜500g、好ましくは0.5〜100gがよい。なお、ギ酸化合物としてギ酸単体を使用する場合は、配合割合によってセメントのpHが所望の範囲からずれることがあるので、その場合は適当な薬剤(例えば水酸化カルシウム等)で中和するのがよい。
【0014】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに説明する。
(実施例1)市販既調合モルタル25kgに、ギ酸カルシウム200g、下記表4の条件を具備した水分含量0.5重量%の石灰石微粉末100gを配合し、さらに施工に適量の水およびアクリル系エマルジョンを加え十分混練した。得られた本発明のコンクリート腐食防止用コーティング材を、構造物の壁面、天井面にコテ塗りまたはローラー仕上げによりコーティングしたところ、肌落ちもなく、3〜5mm厚に仕上がりよく施工することができた。
【0015】
【表4】
ふるいの呼び寸法(μm) ふるいの通過質量百分率(%) 600 100 150 96 75 83 【0016】また上記の構造物において、コーティングした部分としなかった部分を60日間にわたり観察比較したところ、前者は腐食が全く見られなかったのに対し、後者は表面が変色し、白色の析出物が見られ、前者にコンクリートの腐食防止効果が認められた。
【0017】
【発明の効果】本発明によれば、低コストで簡便で環境汚染の心配がなく且つ有効にコンクリートの腐食を防止することのできるコンクリート腐食防止剤およびコンクリート腐食防止用コーティング材を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000112668
【氏名又は名称】株式会社フジタ
【出願日】 平成12年7月28日(2000.7.28)
【代理人】 【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
【公開番号】 特開2002−37652(P2002−37652A)
【公開日】 平成14年2月6日(2002.2.6)
【出願番号】 特願2000−228074(P2000−228074)