| 【発明の名称】 |
金属水素錯化合物の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】須田 精二郎
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| 【要約】 |
【課題】入手が容易で、取り扱いやすい原料を用い、室温、大気圧下の温和な条件下で、しかも高い収率でテトラヒドロホウ酸又はテトラヒドリドアルミン酸のアルカリ金属塩を得る方法を提供する。
【解決手段】ホウ酸又はアルミン酸のアルカリ金属塩と金属水素化物とを微粉末状で接触させ、機械的エネルギーを加えながら反応させて、一般式M1[M2H4] |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ホウ酸又はアルミン酸のアルカリ金属塩と金属水素化物とを微粉末状で接触させ、機械的エネルギーを加えながら反応させることを特徴とする、一般式M1[M2H4] (式中のM1はアルカリ金属、M2はホウ素又はアルミニウムである)で表わされるテトラヒドロホウ酸塩又はテトラヒドリドアルミン酸塩の製造方法。 【請求項2】 ホウ酸のアルカリ金属塩として、メタホウ酸アルカリ金属塩又はテトラホウ酸アルカリ金属塩を用いる請求項1記載の製造方法。 【請求項3】 メタホウ酸アルカリ金属塩が結晶水1以下又は無水である請求項2記載の製造方法。 【請求項4】 金属水素化物としてアルカリ土類金属水素化物を用いる請求項1、2又は3記載の製造方法。 【請求項5】 機械的エネルギーをボールミリングによって加える請求項1ないし4のいずれかに記載の製造方法。 【請求項6】 粉砕エネルギーEが少なくとも4.0J/gになるように機械的エネルギーを加える請求項5記載の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、アルカリ金属水素錯化合物の新規な製造方法、さらに詳しくいえばテトラヒドロホウ酸又はテトラヒドリドアルミン酸のアルカリ金属塩を簡単な処理で、かつ高効率で製造する方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】テトラヒドロホウ酸アルカリ金属塩、例えばテトラヒドロホウ酸ナトリウムNa[BH4]やテトラヒドリドアルミン酸アルカリ金属塩、例えばテトラヒドリドアルミン酸リチウムLi[AlH4]は還元剤又は水素化剤として広く用いられている。 【0003】これまで、テトラヒドロホウ酸アルカリ金属塩の製造方法としては、アルカリ金属水素化物、例えば水素化ナトリウム2モルとテトラホウ酸アルカリ金属塩、例えばホウ砂1モルとを無水条件下、水素雰囲気中で400℃に加熱して反応させる方法(特公昭42−27256号公報)、無水のホウ砂と水素化ナトリウム又は金属ナトリウムとをアルミニウム又はその合金の存在下、200〜600℃の温度及び水素圧1〜50気圧において反応させる方法(特公昭43−2221号公報)、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のホウ酸塩とアルカリ金属水素化物又はアルカリ金属と水素との混合物を450〜500℃に加熱して反応させる方法(特公昭47−48117号公報)が知られている。また、テトラヒドリドアルミン酸アルカリ金属塩の製造方法としては、ジエチルエーテル中で塩化アルミニウム無水和物と過剰の水素化リチウムとを反応させる方法が最も一般的である。 【0004】しかしながら、これらの方法は、いずれも原料の調製に煩雑な操作を必要としたり、金属ナトリウムのような取り扱いにくい原料やジエチルエーテルのような有機溶剤を用いたり、さらに水素圧下、あるいは高温下で処理するために特定の装置を用いる必要があるなどの問題があり、工業的な製法としては必ずしも満足しうるものではなかった。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、入手が容易で、取り扱いやすい原料を用い、室温、大気圧下の温和な条件下で、しかも高い収率でテトラヒドロホウ酸又はテトラヒドリドアルミン酸のアルカリ金属塩を得る方法を提供することを目的としてなされたものである。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、テトラヒドロホウ酸又はテトラヒドリドアルミン酸のアルカリ金属塩に共通的に適用することができる、簡単で効率的な製造方法を開発するために鋭意研究を重ねた結果、メカノケミカル技術を利用することにより、その目的を達成しうることを見出し、その知見に基づいて本発明をなすに至った。 【0007】すなわち、本発明は、ホウ酸又はアルミン酸のアルカリ金属塩と金属水素化物とを微粉末状で接触させ、機械的エネルギーを加えながら反応させることを特徴とする、一般式M1[M2H4] (式中のM1はアルカリ金属、M2はホウ素又はアルミニウムである)で表わされるテトラヒドロホウ酸塩又はテトラヒドリドアルミン酸塩の製造方法を提供するものである。 【0008】 【発明の実施の形態】本発明方法においては、原料としてホウ酸アルカリ金属塩又はアルミン酸アルカリ金属塩と金属水素化物とを用いる。このホウ酸アルカリ金属塩には、メタホウ酸、テトラホウ酸、ペンタホウ酸のアルカリ金属塩があるが、これらのうちのいずれのものも用いることができる。このようなアルカリ金属塩の例としては、NaBO2、KBO2、LiBO2、Na2B4O7、K2B4O7、Li2B4O7、NaB5O8、KB5O8、LiB5O8などを挙げることができる。また、アルミン酸アルカリ金属塩の例としては、NaAlO2、KAlO2、LiAlO2などを挙げることができる。 【0009】これらのホウ酸アルカリ金属塩及びアルミン酸アルカリ金属塩は、加熱乾燥して結晶水を1以下にしたもの、特に無水のものを粉砕して微粉状にしたものが好ましい。この平均粒径としては、100μm以下、好ましくは100nm以下の範囲が選ばれる。 【0010】テトラヒドロホウ酸アルカリ金属塩M1[BH4]やテトラヒドリドアルミン酸アルカリ金属塩M1[AlH4](式中のM1は前記と同じ意味をもつ)は、水と接触すると水素を発生してメタホウ酸アルカリ金属塩又はメタアルミン酸アルカリ金属塩になるが、このようにして得られたものを脱水、加熱乾燥し、結晶水1以下、好ましくは結晶水0にして用いることもできる。 【0011】本発明方法においては、ホウ酸又はアルミン酸のアルカリ金属塩は、結晶水1以下に脱水して用いるのが好ましい。結晶水が2以上のものを用いた場合は、目的とするテトラヒドロホウ酸塩やテトラヒドリドアルミン酸塩を高収率で得ることができない。これらの原料の中で、特にホウ砂(Na2B4O7・10H2O)及びカーナイト(Na2B4O7・4H2O)が容易に入手できるので好ましい。これらは加熱乾燥し、結晶水1以下、好ましくは無水物として用いられる。 【0012】次に、上記のホウ酸又はアルミン酸のアルカリ金属塩とともに用いる金属水素化物としては、還元剤として作用するものであって、例えばLiH、NaH、KH、RbH、CsHのようなアルカリ金属水素化物、MgH2、MgNiH4、CaH2、SrH2のようなアルカリ土類金属水素化物又はその複合水素化物、あるいは公知の水素吸蔵合金の水素化物を用いることができる。これらの中で、取り扱いやすく、危険性が少ない点で特にMgH2及びMgNiH4が好ましい。これらの金属水素化物は粉砕して、平均粒径100μm以下、好ましくは100nm以下、特に10〜100nmに微粉化して用いられる。本発明方法においては、金属水素化物をホウ酸又はアルミン酸のアルカリ金属塩に対し、化学量論的割合又はやや過剰量で用いる。例えば、KBO2とMgH2とを反応させる場合は、前者1モル当り、後者2モル、好ましくは2.5〜3.0モルの範囲で用いる。 【0013】本発明方法においては、上記のホウ酸又はアルミン酸のアルカリ金属塩と金属水素化物をそれぞれ微粉状に粉砕して混合し、室温、大気圧下において機械的エネルギーを加えながら反応させる。この際の機械的エネルギーは、粉砕エネルギー、摩砕エネルギー、衝撃エネルギーなどとして加えられる。これらの機械的エネルギーは、ボールミル、チューブミル、ロッドミル、アトリションミル、振動ミル、衝撃粉砕機、ジェットミル、マイクロナイザーなどを用いて印加されるが、特に遊星型ボールミルのような高効率の粉砕混合機能をもつボールミルを用いるのが有利である。この機械的エネルギーの印加は、印加方法に応じて目的とするテトラヒドロホウ酸塩又はテトラヒドリドアルミン酸塩の生成率を勘案しながら決定すればよいが、通常は粉砕エネルギーEとして少なくとも4.0J/g、好ましくは10.0J/g以上になるように行うのがよい。これは、例えばボールミルを用いた場合、ボール加速度100m/s2で60分間以上印加することにより達成される。 【0014】本発明方法においては、特に加圧、加熱する必要はなく、室温、大気圧下で反応は円滑に進行するが、所望ならば加熱して反応を促進させることもできる。また、雰囲気としても空気中で行うことができるので、特に考慮する必要はないが、所望ならば窒素、水素などの雰囲気を用いることもできる。 【0015】本発明方法における反応は、例えばメタホウ酸カリウムと水素化マグネシウムを用いた場合、次の反応式に従って進行し、テトラヒドロホウ酸カリウムと酸化マグネシウムを生成する。 KBO2 + 2MgH2 → KBH4 + 2MgOこの際、KBO2・2H2Oを用いると、以下に示すように、KBO2・2H2O + 2MgH2 → KBO2 + 2Mg(OH)2 + 2H2MgH2がメタホウ酸カリウムの結晶水と反応して消費され、KBH4を生成しない。本発明方法における反応に要する時間は、使用する原料及び機械的エネルギーの印加方法及び条件により変化するが、通常20〜120分間の範囲である。 【0016】 【実施例】次に実施例により本発明をさらに詳細に説明する。 【0017】参考例体積500mlの遊星型ボールミル微粉砕機[フリッチュ(Fritsch)社製,P−5型]に、結晶水が0、0.5、1、1.5及び2のメタホウ酸カリウム微粉末(平均粒径75nm)0.3gと水素化マグネシウム微粉末(平均粒径100nm)0.2g(モル比1:2)とを投入し、室温(20℃)、大気圧のもとで、ボール加速度86.5m/s2の条件により60分間反応させた。次いで、反応生成物を無水のエチレンジアミンにより抽出し、BH4-の濃度を測定してKBH4の生成量を求めた。この結果を表1に示す。 【0018】 【表1】
【0019】この表から明らかなように、メタホウ酸カリウムの結晶水が1分子よりも多くなるとKBH4は生成しない。 【0020】実施例1参考例と同じ反応器を用い、同じ反応条件で無水のメタホウ酸カリウム微粉末(平均粒径75nm)と水素化マグネシウム微粉末(平均粒径100nm)とを、反応時間を変えて反応させた。このようにして得られた反応生成物中のBH4-の濃度を測定し、KBH4の生成率(%)を求め、その結果を図1に黒丸印で示した。 【0021】実施例2実施例1における無水のメタホウ酸カリウム微粉末0.3gの代りに無水ホウ砂(Na2B4O7)の微粉末(平均粒径75nm)0.6gを用い、また水素化マグネシウムの量を0.72gに変えた以外は、実施例1と同じ条件下で反応させ、KBH4の生成率(%)を求め、その結果を図1に黒三角印で示した。 【0022】実施例3実施例1における無水のメタホウ酸カリウム微粉末の代りに無水のメタホウ酸ナトリウム微粉末(平均粒径75nm)0.2gを用い、同じ実験を行ったところ、NaBO2の転化率47%でNaBH4が得られた。 【0023】実施例4実施例1と同じ反応器を用い、モータ回転速度以外の反応条件は変えずに、無水のメタホウ酸カリウム微粉末(平均粒径75nm)と水素化マグネシウム微粉末(平均粒径100nm)とを、モータ回転速度によりボール加速度を変化させて、それぞれ1時間反応させた。このようにして得られたKBH4の生成率を図2に黒丸印で示した。また、同様にして実施例2についてボール加速度を変えた実験を行い、その結果を図2に黒三角印で示した。この図から分るように、いずれの場合もボール加速度100m/s2以上においてKBH4の生成率が増加する。 【0024】実施例5無水のメタホウ酸カリウム1モルに対する水素化マグネシウムの使用モル数を0から3モルまで変え、1時間反応させること以外は、実施例1と同じ条件で実験を繰り返した。このようにして得られたKBH4の生成率を図3に示した。この図から分るように、メタホウ酸カリウム1モルに対する水素化マグネシウムの使用モル数が2モル以上になるとKBH4の生成率は急激に上昇し、2.5モルにおいてほぼ100%に達する。 【0025】 【発明の効果】本発明によると、テトラヒドロホウ酸塩又はテトラヒドリドアルミン酸塩のような金属複合水素化物を、入手容易な原料から非常に簡単な操作で、しかも高い変換率で得ることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000193221 【氏名又は名称】須田 精二郎
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| 【出願日】 |
平成12年12月6日(2000.12.6) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100071825 【弁理士】 【氏名又は名称】阿形 明 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−173306(P2002−173306A) |
| 【公開日】 |
平成14年6月21日(2002.6.21) |
| 【出願番号】 |
特願2000−372093(P2000−372093) |
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