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【発明の名称】 ガス噴射弁及びガス注入に用いられる注入治具
【発明者】 【氏名】筒井 達雄

【要約】 【課題】ガス噴射弁において、ガス容器使用後に、容易にガスを再注入でき、より強度、剛性が高く、しかも安価に製作できる機構とする。

【解決手段】バルブピン104のガス通路孔111の端部を、バルブピン104が上昇位置にあるときに第2シールリング108よりも上方に開口し、バルブピン104の第1段押し込み時と第2段押し込み時に第2シールリング108の下方に開口するように配置する。バルブピン104が上昇位置にあるときにだけ第1シールリング106の内側でガス容器102内と定量室110を連通するガス供給孔118を配置する。バルブピン104の第2段押し込み時に、バルブピン小径部104aが第1シールリング106よりも下方に入り込み、ガス容器102内と定量室110およびガス通路孔111が連通するので、ガスの再注入ができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ガス容器の口部に固定設置したバルブケースにバルブピンが進退自在に保持されると共に、このバルブケース内に、バルブピンのガス容器内側寄りの大径の部分の外周面にガス容器の内側寄り位置で密接する第1シールリングとガス容器の外側寄りの小径の部分の位置で密接する第2シールリングが配置され、前記バルブケース内の第1シールリングと第2シールリングに挟まれた位置に、噴射前のガスを一定量捕獲するため定量室が形成され、バルブピンの大径部分と小径部分の径段差部をバルブピンの上昇限位置を定めるストッパとして利用したガス噴射弁において、前記バルブピンに、そのガス容器外側の先端部とその先端部から軸方向に所定距離離間した外周面とを連通するガス通路孔を形成して、このガス通路孔のバルブピン外周面側の端部を、バルブピンが上昇位置にあるときに第2シールリングよりも上方に開口し、かつバルブピンの第1段押し込み時と第2段押し込み時に第2シールリングよりも下方の定量室内に開口するように配置し、さらに前記バルブピンに、ガス容器内側の基端部とその基端部から軸方向に所定距離離間したバルブピン大径部分の外周面とを連通するガス供給孔を形成して、このガス供給孔のバルブピン外周面側の端部をバルブピンが上昇位置にあるときに、第1シールリングよりも上方の定量室内に開口する配置とし、バルブピンの第2段押し込み時にだけ第1シールリングの下方のガス容器内までバルブピンの小径の部分が入り込むことによりガス容器内と定量室を連通させるようにしたことを特徴するガス噴射弁。
【請求項2】 第1シールリングおよび第2シールリングを所定の位置に保持させるためのシールリング溝や定量室の構造を、バルブケースのバルブピンが入る穴に一体として溝加工を施すことなく、加工が容易な孔加工を施し、そこに簡易な形状の別体の部品を組み入れて、バルブケースの上端部、下端部をそれぞれカシメ加工を行うことことにより、シールリング溝等の溝構造を形成させることを特徴とする請求項2に記載のガス噴射弁。
【請求項3】 バルブピン大径部の供給孔を、バルブピン大径部の外周面の一部に形成した面取り形状の切欠きやキー溝形状の切欠き溝によって構成したことを特徴とする請求項1または2に記載のガス噴射弁。
【請求項4】 バルブピンの先端部に嵌着されるノズルボタンに、バルブピンの押し込み操作量を第1段押し込み量に規制するストッパ面を設けたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のガス噴射弁。
【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかに記載のガス噴射弁を通してガス容器内にガスを注入する際にバルブピンの先端部に嵌着される注入治具であって、バルブピンの押し込み操作量を第2段押し込み量に規制するストッパ面を設けたことを特徴とする注入治具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液化炭酸ガス等の高圧ガスをプロペラントとしてガス容器内に充填した内容物を噴射するガス噴射弁に関し、とりわけ、ガス容器のリサイクル使用を可能にする改良を施したガス噴射弁に関する。
【0002】
【従来の技術】薬剤等の内容物を高圧ガスと共にガス容器内に充填し、ガス容器の口部に固定設置したガス噴射弁から内容物をガス圧によって噴射する装置が従来から用いられている。この種の噴射装置は、従来は特定フロンをプロペラントとして用いていたが、現在では、環境保全の関心の高まりから特定フロンに代わる代替フロンHFC134aを使用するものが上市されつつある。
【0003】しかしながらこのHFC134aは、オゾン層への影響は無いものの、地球温暖化への影響はCOの1000倍以上あり、今後使用が増加すると新たな問題の提起が予測される。そこで、今日では、オゾン層の破壊や地球温暖化への影響の少ない炭酸ガスや窒素ガス、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、ラドン等の不活性ガスを噴射装置のプロペラントとして使用することが考えられている。
【0004】ところで、このようなガスを噴射装置のプロペラントとして用いる場合、現行のフロンのように液化してガス容器を小型化することが望まれているが、例えば、液化炭酸ガスであれば、その蒸気圧は20℃で60kgf/cmあり、また、不活性ガスについても容積効率を上げるには、高圧縮したものや液化したものが良く、やはり50kgf/cm以上の圧力での使用が望まれている。
【0005】このような高圧ガスを扱うためのガス噴射弁としては、例えば、特開平8−141450号公報に示されるようなものが従来から案出されている。
【0006】このガス噴射弁は、図9に示すように、ガス容器1の口部1aに固定設置されたバルブケース2にバルブピン3が摺動自在に保持されており、このバルブケース2内には、第1シールリング4と第2シールリング5が軸方向に離間して配置されると共に、この両シールリング4,5に挟まれた部分に、噴射前のガスを一定量捕獲するための定量室6が形成されている。そして、バルブピン3の下端部には、バルブピン3が外部から押し込み操作されたときに第1シールリング4内に嵌合密接する第1弁部7が設けられ、バルブピン3の上端部には、バルブピン3が上昇位置にあるときに第2シールリング5内に嵌合密接する大径部8aと、バルブピン3が外部から押し込み操作されたときに第2シールリング5との間に隙間を作る小径部8bとから成る第2弁部8が設けられている。なお、定量室内にはスプリング9が収容され、このスプリング9によってバルブピン3を常時上方に付勢するようになっている。
【0007】このガス噴射弁は以上のような構成であるため、バルブピン3が外部から押し込み操作されない定常状態においては、第2弁部8の大径部8aが第2シールリング5に密接した状態で第1弁部7が第1シールリング4から離間して、ガス容器1の内部と定量室6を連通しており、この状態からバルブピン3が外部から押し込み操作されると、第1弁部7が第1シールリング4に嵌合密接した後に第2弁部8の小径部8bが第2シールリング5との間に隙間を作り、この隙間を通してガス容器1外部にガスと共に内容物を噴射する。このとき、第2弁部8が第2シールリング5との間に隙間を作る直前に、第1弁部7が第1シールリング4に嵌合密接して定量室6とガス容器1内部との連通を遮断するため、ガス噴射弁からは定量室6で捕獲された一定量のガスと内容物だけが噴射される。
【0008】また、ガス容器やガス噴射弁をリサイクル使用する考案としては、特開平11−301759がある。このガス噴射弁は、図10に示すように、ガス容器11の口部11aに固定設置したバルブケース12にバルブピン13が進退自在に保持されると共に、このバルブケース12内に、バルブピン13外周面にガス容器11の内側寄り位置で密接する第1シールリング18とガス容器11の外側寄り位置で密接する第2シールリング19が配置され、前記バルブケース12内の第1シールリング18と第2シールリング19に挟まれた位置に、噴射前のガスを一定量捕獲するための定量室21が形成されたガス噴射弁10において、前記バルブピン13に、そのガス容器11外側の先端部とその先端部から軸方向に所定距離離間した外周面とを連通するガス通路孔22を形成して、このガス通路孔22のバルブピン13外周面側の端部を、バルブピン13が上昇位置にあるときに第2シールリング19よりも上方に開口し、かつバルブピン13の第1段押し込み時と第2段押し込み時に第2シールリング19よりも下方の定量室21内に開口するように配置し、さらに前記バルブピン13に、バルブピン13が上昇位置にあるときにだけ第1シールリング18の内側でガス容器11内と定量室21を連通する第1バイパス部と、バルブピン13の第2段押し込み時にだけ第1シールリング18の内側でガス容器11内と定量室21を連通する第2バイパス部を形成するようにしたものである。
【0009】この発明の場合、バルブピン13が上昇位置にあるときには、ガス通路孔22のバルブピン13外周面の端部が第2シールリング19の上方に位置されているために、ガス通路孔22は定量室21と非連通となっており、また、定量室21はバルブピン13の第1バイパス部を通してガス容器11内と連通している。この状態からバルブピン13を第1段押し込み位置まで押し込み操作すると、ガス容器11内と定量室21の間が第1シールリング18によって閉塞されると共に、ガス通路孔22のバルブピン13外周面側の端部が定量室21内に開口して定量室21内の一定量のガスがガス通路孔22を通してガス容器11外部に噴射される。また、ガス容器11内にガスを注入する場合には、バルブピン13をガス注入装置に接続し、その状態でバルブピン13を第2段押し込み位置まで押し込み操作する。すると、ガス通路孔22のバルブピン13外周面側の端部が定量室21内に開口すると共に、定量室21がバルブピン13の第2バイバス部を通してガス容器11内と連通し、このときにガスがガス注入装置から定量室21と第2バイパス部を通してガス容器11内に注入される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、液化炭酸ガスのような高圧ガスを噴射装置のプロペラントとして使用する場合には、安全性を考慮してガス容器やガス噴射弁を強固な構造とする要求があり、特定フロン等をプロペラントとして使用する現行の噴射装置に比較してガス容器やガス噴射弁を製造するために多量の材料を必要とする。このため、噴射装置を現行のように使い捨てにすることは資源活用上で好ましくない。しかしながら、上記従来の特開平8−141450号公報に示されるガス噴射弁にあっては、一度使用したガス容器の内部にガスと内容物を再注入するための構造を持たないため、ガス容器1やガス噴射弁をそのままリサイクル使用することが出来ない。
【0011】そこで本発明は、より簡単で強度、剛性があり、工業生産に適した構造によって使用後にガス容器内に容易にガスを再注入できるようにして、製造コストの増大を招くことなく地球資源の有効活用を図ることのできるガス噴射弁とそのガス噴射弁に嵌合して用いられるガス注入のための注入治具の技術を提供しようとするものである。
【0012】ところで、このようなガス噴射弁の操作は、通常は人が手指で操作できる様に、ノズルの押し込み力は3kgf程度以下が望ましい。液化炭酸ガスのような高圧ガスを噴射装置のプロペラントとして使用する場合、ノズルの押し込み力は、高圧ガスの圧力を受けるバルブピンの断面積に比例するものであり、したがって、バルブピンの直径も、液化炭酸ガスをプロペラントとした際には、その直径は、Φφ2.5程度以下が望ましい。スプリング等を用いて、押し込み力を緩和させる場合は、バルブピンの直径はさらに太くできるが、スプリング等の付加は、噴射弁の構造を複雑化させ製造コストの増大を招く。
【0013】Φ2.5程度以下の直径のバルブピンであって、特開平11−301759に開示されるように、定量室へガス等を充填するためやガス容器にガスと内容物を再注入するためのバイパス経路としてV溝を設けた構造では、バルブピンの強度や剛性が下がり、操作力によっては、バルブピンの曲がりや折れの発生による不具合や事故が懸念される。
【0014】また、このバルブピンは、ガスと内容物を外部に噴射させるための経路として穴加工によるガス通路孔を持つが、これに加えてV溝加工を2カ所行う必要があり、さらに、バルブピンの外部への飛び出し防止や、ガス容器から定量室へガス等の内容物充填のためのバルブピンの上昇位置を定めるために、バルブピンのガス容器の内側寄り端部にストッパフランジを設けており、これらの大きな段差加工のため、加工の工程が複雑であり、多数の工具を必要とするし、加工時間も多くかかり、ストッパフランジを必要とすることにより、材料も多く必要となる。
【0015】さらに、このガス噴射弁については、バルブピンが入る側に、シールリング用の溝が2カ所と定量室の溝部が設けられてあるが、バルブピンの直径がΦ2.5程度以下であり、このバルブピンが入る穴径もこれと同様の寸法となり、この比較的小さな穴を通じて溝部の加工を行うことは、実際には困難であり、工業生産上適さない構造となっている。
【0016】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決するための手段として、請求項1に記載の本発明は、ガス容器の口部に固定設置したバルブケースに、ガス容器の外側寄りのある一定の長さの部分が、内側寄りの部分よりも少し小径のバルブピンが進退自在に保持されると共に、このバルブケース内に、バルブピンの外周面にガス容器の内側寄り位置で密接する第1シールリングとガス容器の外側寄り位置で密接する第2シールリングが配置され、前記バルブケース内の第1シールリングと第2シールリングに挟まれた位置に、噴射前のガスを一定量捕獲するため定量室が形成されたガス噴射弁において、前記バルブピンに、そのガス容器外側の先端部とその先端部から軸方向に所定距離離間した外周面とを連通するガス通路孔を形成して、このガス通路孔のバルブピン外周面の端部を、バルブピンが上昇位置にあるときに第2シールリングよりも上方に開口し、かつバルブピンの第1段押し込み時と第2段押し込み時に第2シールリングよりも下方の定量室内に開口するように配置し、さらに前記バルブピンに、ガス容器内側の基端部とその基端部から軸方向に所定距離離間したバルブピン大径部分の外周面とを連通するガス供給孔を形成して、このガス供給孔のバルブピン外周面側の端部をバルブピンが上昇位置にあるときに、第1シールリングよりも上方の定量室内に開口する配置とし、バルブピンの第2段押し込み時にだけ第1シールリングの下方のガス容器内側までバルブピンの小径部分が入り込むことによりガス容器内と定量室を連通させるようにしたガス噴射弁である。
【0017】この発明の場合、バルブピンが上昇位置にあるときには、ガス通路孔のバルブピン外周面側の端部が第2シールリングの上方に位置されているために、ガス通路は定量室と非連通となっており、また、定量室はバルブピンの大径部に設けたガス供給孔のバルブピン外周面側の端部が第1シールリングよりも上方の定量室内に位置されているために、ガス容器内と連通している。この状態からバルブピンを第1段押し込み位置まで押し込み操作すると、ガス容器内と定量室の間が第1シールリングによって閉塞されると共に、ガス通路孔のバルブピン外周面側の端部が定量室内に開口して定量室内の一定量のガスがガス通路孔を通してガス容器外部に噴射される。また、ガス容器内にガスを注入する場合には、バルブピンをガス注入装置に接続し、その状態でバルブピンを第2段押し込み位置まで押し込み操作する。すると、ガス通路孔のバルブピン外周面側の端部が定量室内に開口すると共に、バルブピンの小径の部分が第1シールリングの下方のガス容器内まで入り込むことにより、第1シールリングの閉塞が解かれて、定量室がガス容器内と連通し、このときにガスがガス注入装置から定量室を通してガス容器内に注入されることとなる。そして、本発明のバルブピンについては、特開平11−301759に開示されるような定量室へガス等を充填するためや、ガス容器にガス等を再注入するためのバイパス経路としてのV溝は、2ヶ所とも不要となる。
【0018】また請求項2に記載の本発明は、請求項1の発明において、第1シールリングおよび第2シールリングを所定の位置に保持させるためのシールリング溝や定量室の構造を、技術的に困難なバルブケースのバルブピンが入るガイド孔に一体として溝加工を施すことなく、加工が容易な孔加工を施し、そこに簡易な形状の別体の部品を組み入れて、バルブケースの上端部、下端部をそれぞれカシメ加工することにより溝構造を形成させることを特徴とするガス噴射弁である。
【0019】請求項3に記載の本発明は、請求項1または2の発明において、バルブピン大径部の横穴と供給口を、バルブピンの外周面の一部に形成した面取りや切欠き溝に置き換えることによって構成するようにしたものである。
【0020】また、請求項4に記載の本発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明において、バルブピンの先端部に嵌着されるノズルボタンに、バルブピンの押し込み操作量を第1段押し込み量に規制するストッパ面を設けるようにしたものである。したがって、この場合、ストッパ面によって変位を規制されるまでノズルボタンを押し込むことにより、ガス容器内のガスを一定量だけ噴射することができることとなる。
【0021】さらに請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかの発明のガス噴射弁を通してガス容器内にガスを収入する際にバルブピンの先端部に嵌着される注入治具に関するものであり、かかる注入治具に対し、バルブピンの押し込み操作量を第2段押し込み量に規制するストッパ面を設けるようにした。したがってこの場合、ストッパ面で変位を規制されるまで注入治具を押しつけることにより、ガス容器内にガスを注入することができることとなる。
【0022】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施例を図1ないし図9に基づいて説明する。
【0023】まず、第1実施例を図1〜図3によって説明する。
【0024】図1〜図3は、本発明にかかるガス噴射弁101を用いた噴射装置を示し、この噴射装置は、液化炭酸ガス等の高圧ガスと薬剤等の内容物を注入充填したガス容器102の口部102aにガス噴射弁101が密閉状態で取り付けられている。
【0025】ガス噴射弁101は、ガス容器102の口部102aにかしめ固定されるバルブケース103と、このバルブケース103に摺動自在に保持されるバルブピン104を備え、バルブケース103から上方に突出したバルブピン104の先端部にノズル機能と押しボタン機能を併せ持ったノズルボタン112が嵌着固定されている。
【0026】バルブケース103は、その中心部にバルブピン104が嵌入されているガイド孔113が軸方向に沿って形成されており、このガイド孔113内のガス容器102の内側寄り位置と外側寄り位置とにそれぞれ環状溝114、115が形成され、この各環状溝114、115に弾性体から成る第1シールリング106と第2シールリング108がそれぞれ嵌合保持されている。また、ガイド孔113の略中央部には環状凹部116が設けられており、この環状凹部116を含む前記両シールリング106、108間に位置される空間部が、噴射前のガスを一定量捕獲するための定量室110とされている。
【0027】一方、バルブピン104は、バルブケース103から上方に突出する先端部側に、先端面とその先端面から軸方向に所定距離離間したバルブピン104の外周面とを連通するガス通路孔111が形成されている。このガス通路孔111は、具体的には、バルブピン104の先端面から軸方向に沿って形成された軸穴111aと、この軸穴111aの底部とバルブピン104の外周面を連通するように径方向に沿って形成されたオリフィス孔111bとによって構成されている。軸穴111aは比較的大径に形成され、オリフィス孔111bはこの軸穴111aの径よりも小さい所定径に形成されている。このオリフィス孔111bはガス噴射弁101の単位時間当たりのガス噴射量を決定する部分で、必要とする単位時間当たりのガス噴射量に応じてその径が適宜設定されている。そして、オリフィス孔111bは、バルブピン104が上昇位置にあるときに第2シールリング108よりも上方に開口し、かつ、バルブピン104の後述する第1段押し込み時と第2段押し込み時に第2シールリング108よりも下方の定量室110内に開口するようにバルブピン104の設定軸方向位置に形成されている。
【0028】また、ガス容器102内側に位置されるバルブピン104の基端部からある一定長さの部分は、外側寄りの部分よりも少し大径となっており、この大径が始まるバルブピン・テーパ面117によってバルブピン104の上方変位を規制するようになっている。また、バルブピン104はガス容器外側の少し小径の部分の断面積によりガス容器102内のガス圧を受け、そのガス圧によって常時上方に付勢されるようになっている。
【0029】さらに、バルブピン104は、ガス容器102内側の基端部とその基端部から軸方向に所定距離離間したバルブピン大径部104bの外周面とを連通するガス供給孔118が形成されている。このガス供給孔118は、バルブピン104の基端部から軸方向に沿って形成された軸穴118aと、この軸穴118aの底部とバルブピン大径部104bの外周面とを連通するように径方向に沿って形成された横穴118bによって構成されている。この横穴118bは、バルブピン104が上昇位置にあるときに第1シールリング106よりも上方の定量室110内に開口するようにバルブピン大径部104bの設定軸方向位置に形成されており、軸穴118aと共に、ガス容器102の内部と定量室110を第1シールリング106の内側で連通するようになっている。バルブピン104の第2段押し込み時には、バルブピン104のガス容器102外側の小径部分104aが第1シールリング106の下方のガス容器102の内側まで入り込むことにより、第1シールリング106の閉塞が解かれ、定量室110がガス容器102と連通するようになっている。
【0030】ここで、バルブピン104の第1段押し込みとは、ノズルボタン112の押し込み操作によってガス噴射する場合の比較的浅いバルブピン104の押し込みのことをいい、第1段押し込み量は、ノズルボタン112の下面に設けられたストッパ面120が、バルブケース103の上面103aに当接することによって規制されるようになっている。また、バルブピン104の第2段押し込みとは、バルブピン104の先端部からガス容器102の内部にガスを注入する場合の比較的深いバルブピン104の押し込みのことをいい、第2段押し込み量は、図3に示すように、バルブピン104の先端部にノズルボタン112に代えて嵌着固定するガス注入装置の注入治具121によって規制されるようになっている。すなわち、注入治具121はバルブピン104の外周面に密接嵌合されるシールリング122が内装されると共に、下端面がストッパ面123とされており、注入治具121をバルブピン104の先端部に嵌着した状態でバルブピン104を第2段押し込み位置まで押し込んだときに、ストッパ面123がバルブケース103の上面103aに当接してバルブピン104のそれ以上の押し込みを規制するようになっている。
【0031】このガス噴射弁101は以上のような構成であるため、ノズルボタン112が押し込み操作されない定常状態においては、バルブピン104がガス容器102内のガス圧を受けて図1に示すような上昇位置にあり、バルブピン104のオリフィス孔111bが第2シールリング108の上方に位置され、ガス通路孔111が定量室110と非連通となっている。また、このときバルブピン104の下方のバルブピン大径部104bの横穴108bが第1シールリング106の上方に位置されているため、定量室110はこの横穴118bを含むガス供給孔118を介してガス容器102の内部と連通している。
【0032】この状態からノズルボタン112が押し込み操作されると、図2に示すように、バルブピン104の下方の横穴118bが第1シールリング106の下方に変位してガス容器102内と定量室110の間が第1シールリング106によって閉塞され、続いて、バルブピン104のオリフィス孔111bが第2シールリング108の下方の定量室110内に開口して、定量室110内の一定量のガスと内容物がバルブピン104のガス通路孔111を通してガス容器102の外部に噴射される。そして、このときのバルブピン104の下方変位量は、ノズルボタン112のストッパ面120がバルブケース103の上面103aに当接することにより第1段押し込み量に規制される。
【0033】また、このような使用によってガス容器102内のガスと内容物が空になった場合には、バルブピン104の先端部のノズルボタン112を取り去り、そのノズルボタン112に代えてバルブピン104の先端部にガス注入装置の注入治具121を嵌着固定する。そして、この状態で図3に示すように注入治具121をストッパ面123がバルブケース103の上面103aに当接するまで押し込み、その状態のままガス注入装置から高圧ガスと内容物を供給する。バルブピン104は、この注入治具121の押し込み操作によって第2段押し込み位置まで下方に変位するため、このときオリフィス孔111bが第2シールリング108よりも下方の定量室110内に開口すると共に、バルブピン104の上方の小径部分104aが第1シールリング106の下方のガス容器102内まで入り込むことにより、第1シールリング106の閉塞が解かれ定量室110とガス容器102内が連通する。したがって、このときバルブピン104のガス通路孔111が定量室110を介してガス容器102内と連通し、ガス注入装置から供給されたガスと内容物がガス容器102内に注入充填される。
【0034】そして、このようにしてガス容器102内へのガスと内容物の注入を終えて注入治具121の押し込みを解除すると、バルブピン104がガス容器102内のガス圧を受けて上昇位置に復帰し、オリフィス孔111bが第2シールリング108の上方に位置されてガス通路孔111と定量室110が非連通となる。この後、バルブピン104の先端部から注入治具121を外し、バルブピン104の先端部に再度ノズルボタン112を嵌着固定することにより、ガスと内容物の詰め替えを完了する。
【0035】このように本発明にかかるガス噴射弁101においては、極めて簡単な構造でありながら、ガスと内容物を容易にガス容器102内に再注入してガス容器102とガス噴射弁101をそのままリサイクル使用することができるため、製造コストの大幅な増加を招くことなく、地球資源の有効を図ることができる。また、例えば、特開平11−301759に開示されるように、バルブピンに定量室へガス等を充填するためやガス容器にガスと内容物を再注入するためのバイパス経路としてV溝を設けた構造では、バルブの操作を容易に行うためにバルブピンの直径はΦ2.5程度以下が望ましいとされることにより、バルブピンの強度や剛性が下がり、操作力によるバルブピンの曲がりや折れの発生による不具合や事故が懸念されるが、本発明にかかるガス噴射弁101においては、バルブピンにV溝を必要としないことにより、バルブピン104の強度や剛性が確保でき、確実にしかも安全に使用することができる。
【0036】さらに、特開平11−301759に開示されるガス噴射弁においては、バルブピンの外部への飛び出し防止や、ガス容器から定量室へガス等の内容物充填のためのバルブピンの上昇位置を定めるために、バルブピンのガス容器内側寄り端部にストッパフランジを設けており、これらの大きな段差加工や上記2ヶ所のV溝加工を必要としているが、本発明のガス噴射弁101では、ストッパフランジやV溝加工を全く必要としないことにより、製造する際に、加工工程が短縮でき、工具類も少なくできることや、また材料も少なくて済むことにより、より安価なガス噴射弁が提供できる。
【0037】つづいて、本発明の第2および第3実施例を図4〜図8によって説明する。これらの実施例は、すべて基本的な構成は図1〜図3に示した第1実施例のものと同様であるが、バルブケース103に形成する環状溝114(第1シールリング部)と環状溝115(第2シールリング部)および定量室110である環状凹部116の構成やバルブピン104の大径部104bに形成される横孔118bを含むガス供給孔118の構成だけが異なっている。以下、第1実施例のものと同一部分に同一符号を付し、重複する部分の説明は省略するものとする。
【0038】図4〜図6は第2実施例を示すものであり、この実施例の環状溝114(第1シールリング部)は、第1シールリング106を挟み、下方に第1シールリング・ガイドA105が、上方には第1シールリング・ガイドB107を設け、第1シールリング・ガイドA105をバルブケース103の下端部103bの部分をカシメ加工することで構成し、環状溝115(第2シールリング部)は、第2シールリング108を挟んで、下方にバルブケース103の環状凸部119と、上方に第2シールリング・ガイド109を設け、第2シールリング・ガイド109をバルブケース103の上端部103aの部分をカシメ加工することで構成している。また、定量室である環状凹部116についても、バルブケース103の環状凸部119と第1シールリングガイドB107により構成されている。
【0039】この第2の実施例のガス噴射弁においては、第1実施例のように、第1シールリング106および第2シールリング108を所定の位置に保持させるための環状溝114、115や定量室110である環状凹部116の構造において、バルブケース103のバルブピン104が入るガイド孔113に一体として困難な溝加工を施すことなく、バルブケース103の両端から孔加工を施し、簡易な形状の別体の第1シールリング・ガイドA105や第1シールリング・ガイドB107、第2シールリング・ガイド109および第1シールリング106、第2シールリング108を組み入れて、バルブケース103の上端部103aと下端部103bの部分をカシメ加工することで同様の構成とすることができ、容易な加工により製造時の生産性向上やコスト削減が可能になるという利点がある。
【0040】さらに、図7は第3の実施例を示すものであり、この実施例は、第1、第2実施例のバルブピン104の大径部分104bに設けた横孔118bを含むガス供給孔118の機能が、バルブピン104の大径部分104bの所定位置の外周面に形成した面取り形状の切欠き124によって構成されている。
【0041】また、図8は第4の実施例を示すものであり、この実施例は、第1、第2実施例のバルブピン104の大径部分104bに設けた横孔118bを含むガス供給孔118の機能が、バルブピン104の大径部分104bの所定位置の外周面に形成したキー溝状の切欠き125によって構成されている。
【0042】この第3および第4の実施例のガス噴射弁は、いずれも第1、第2実施例のバルブピン104の大径部分104bに設けた横孔118bを含むガス供給孔118の機能を、バルブピン104の大径部分104bの所定位置の外周面に形成した面取り形状やキー溝形状の切欠きによって構成しているため、第1、第2実施例のように加工に比較的時間のかかる細孔加工を行うことがなく、しかもバルブピン104の強度、剛性も保持でき、製造時の生産性向上やコストの削減が可能になるという利点がある。
【0043】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明は、ガス容器の外側よりにある一定の長さの部分が、内側寄りの部分よりも少し小径のバルブピンに、そのガス容器外側の先端部とその先端部から軸方向に所定距離離間した外周面とを連通するガス通路孔を形成して、このガス通路孔のバルブピン外周面側の端部を、バルブピンが上昇位置にあるときに第2シールリングよりも上方に開口し、かつバルブピンの第1段押し込み時と第2段押し込み時に第2シールリングよりも下方の定量室内に開口するように配置し、さらに前記バルブピンに、ガス容器内側の基端部とその基端部から軸方向に所定距離離間したバルブピン大径部の外周面とを連通するガス供給孔を形成して、このガス供給孔のバルブピン外周面側の端部をバルブピンが上昇位置にあるときに、第1シールリングよりも上方の定量室内に開口する配置とし、バルブピンの第2段押し込み時にだけ第1シールリングと密接していたバルブピンの大径部分が第1シールリングの下方に位置するようになり、バルブピンの小径部分が第1シールリング下方のガス容器内にまで入り込むことにより、第1シールリングの閉塞から解かれて、ガス容器内と定量室を連通するようにしたため、バルブピンの第1段押し込み操作によって定量室で一定量捕獲したガスをバルブピンのガス通路孔を通してガス容器外側に噴射することができると共に、バルブピンの先端部にガス注入装置を接続した状態でバルブピンを第2段押し込み位置まで押し込み操作することによってガス通路孔を定量室とガス容器内と連通させてガス容器内にガスを確実に注入することができる。したがって、この発明によれば、極めて簡単な構造でありながら、一度使用した噴射装置のガス容器内にガス噴射弁を通してガスを再注入してガス容器やガス噴射弁をそのままリサイクル使用することができ、大幅な製造コスト増大を招くことなく、地球資源の有効活用を図ることが可能である。
【0044】また、例えば、特開平11−301759に開示されるように、バルブピンに定量室へガス等を充填するためやガス容器にガスと内容物を再注入するためのバイパス経路としてV溝を設けた構造では、バルブの操作を容易に行うためにバルブピンの直径はΦ2.5程度以下が望ましいとされることにより、バルブピンの強度や剛性が下がり、操作力によるバルブピンの曲がりや折れの発生による不具合や事故が懸念されるが、本発明にかかるガス噴射弁においては、バルブピンにV溝を必要としないことにより、バルブピンの強度や剛性が確保でき、確実にしかも安全に使用することができる。
【0045】さらに、特開平11−301759に開示されるガス噴射弁においては、バルブピンの外部への飛び出し防止や、ガス容器から定量室へガス等の内容物充填のためのバルブピンの上昇位置を定めるために、バルブピンのガス容器内側寄り端部にストッパフランジを設けており、これらの大きな段差加工や上記2ヶ所のV溝加工を必要としているが、本発明のガス噴射弁では、ストッパフランジやV溝加工を全く必要としないことにより、製造する際に、加工工程が短縮でき、工具類も少なくできることや、また材料も少なくて済むことにより、より安価なガス噴射弁が提供できる。
【0046】請求項2の発明は、請求項1の発明において、第1シールリングおよび第2シールリングを所定の位置に保持させるためのシールリング溝や定量室の構造を、技術的に困難であるバルブケースのバルブピンが入るガイド孔に一体として溝加工を施すことなく、加工が容易な孔加工を施し、そこに簡易な形状の別体の部品を組み入れて、バルブケースの上端部、下端部をそれぞれカシメ加工することにより、溝構造を容易にしかも比較的強固に形成させることができ、製造時の生産性の向上やコストの削減を図ることが可能である。
【0047】請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、バルブピン大径部の横孔と供給口を、バルブピン大径部の外周部の一部に形成した面取り形状の切欠きやキー溝形状の切欠き溝によって構成するようにしたため、第1、第2実施例のように、加工に時間のかかる細孔加工を行うことなく、しかもバルブピンの強度、剛性も保持でき、製造時の生産性向上やコスト削減が可能になる。
【0048】請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明において、バルブピンの先端部に嵌着されるノズルボタンに、バルブピンの押し込み操作量を第1段押し込み量に規制するストッパ面を設けるようにしたため、通常使用時には、ストッパ面による規制があるまでノズルボタンを押し込むだけでガス容器内のガスを一定量だけ確実に噴射することができる。
【0049】請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかの発明のガス噴射弁を通してガス容器内にガスを注入する際にバルブピンの先端部に嵌着される注入治具に対し、バルブピンの押し込み操作量を第2段押し込み量に規制するストッパ面を設けるようにしたため、ガス容器内にガスを注入する場合には、バルブピンの先端部に注入治具を嵌合してストッパ面による規制があるまで注入治具を押し込み操作するだけで、ガス容器内に確実にガスを注入することができる。
【出願人】 【識別番号】501186449
【氏名又は名称】有限会社 バイオアクティス
【出願日】 平成13年5月10日(2001.5.10)
【代理人】 【識別番号】100083301
【弁理士】
【氏名又は名称】草間 攻
【公開番号】 特開2002−332081(P2002−332081A)
【公開日】 平成14年11月22日(2002.11.22)
【出願番号】 特願2001−139518(P2001−139518)