トップ :: B 処理操作 運輸 :: B65 運搬;包装;貯蔵;薄板状または線条材料の取扱い




【発明の名称】 微小穿孔シート
【発明者】 【氏名】藤村 英之

【要約】 【課題】通気性や雨滴の侵入をコントロール可能な形態の微小穿孔シートを提供する。

【解決手段】ポンチ、錐などによる孔の穿ち方にかえて、シート材料に単に切込みを入れるだけで、穿孔部のシート材料の欠如を伴わない「切込み穿孔形」の穿孔群による微小穿孔シートとその孔を穿つ方法。これによってシートを境界とした通気の流れにおいて、シートの裏側から表側への通気性と、表側から裏側への通気性について、前者より後者を小さくできる抑止弁のような機能のある微小穿孔シートを得た。また、これを農業土壌の覆いに用いる場合など、土中の空気と外気との交換作用を損なわずに、降雨の侵入を適度に抑制する機能がある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 シートの穿孔が切込み穿孔形であって、該切込み穿孔形周辺が両開き回転式ドアの扉の如くなっていて、開口状態では該扉部の開き端部がシート面に対して立体状に半開きドア形で、閉状態ではシート面に対し平面状になり該開き端部が閉じドア形の単線分状であり、かつ該穿孔部がシート材料の欠如を伴わない切込み穿孔形である微細穿孔群を有することを特徴とする微細穿孔シート。
【請求項2】 開口部の開き端部が、閉状態ではシート面に対し平面状になり該開き端部が閉じドア形の単線分状で、該単線分状の両端あるいは片端がY字形切込み穿孔形になっていることを特徴とする請求項1に記載する微細穿孔シート。
【請求項3】 開口部の開き端部が閉状態においてシート面に対し平面状になり該開き端部が、スター線分型、十字型線分型あるいはアスタリスク線分型を含む、単線分の組合せでなる複数線分型であることを特徴とする請求項1、2に記載する微細穿孔シート。
【請求項4】 シートを境界とした通気の流れにおいて、該シートの裏側から表側への通気性と、表側から裏側への通気性において、前者の方が後者より大きく、後者通気性に対する前者通気性の比が1.5より大であることを特徴とする請求項1、2、3に記載する微細穿孔シート。
【請求項5】 シート材料が、紙、不織布、合成樹脂フィルムあるいはメタライジングフィルムならびにそれらの複合シートであることを特徴とする請求項1、2、3、4に記載する微小穿孔シート。
【請求項6】 帯状貼刃をロールに捲くか、あるいは硬質ロールの表面に切を直接形成するかして得られるロール外周に切刃を有する切刃ロールと、軟質弾性アンビルロールとでシート材料を挟んで加圧走行させることによって、切込み穿孔形の微小穿孔群を有するシートを作る方法であって、切刃について該切刃の刃渡り方向が該切刃ロールの円周方向であって、該切刃の断面の頂角が40度以上で、刃渡りの両稜に囲まれた刃渡り部前後の二つの面が該ロール面に対して互いにやや内側に傾斜している切刃でシート材料を穿つことによって、切込み線分の両端あるいは片端が閉状態においてY字状穿孔形に穿つことを特徴とする微小穿孔シートの製造方法。
【請求項7】 帯状貼刃をロールに捲くか、あるいは硬質ロールの表面に直接形成するかして得られるロール外周に切刃を有する切刃ロールと、軟質弾性アンビルロールとでシート材料を挟んで加圧走行させることによって、切込み穿孔形の微小穿孔群を有するシートを作る方法であって、切刃が多角錐形の切刃でシート材料を穿つことによって、閉状態において複数線分型切込み穿孔形を得ることを特徴とする微小穿孔シートの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】通気性や透水性を必要とする資材、包装材料などにおいて、その通気性や透水性機能を微小穿孔群によって行う微小穿孔シートに属する。なお、本発明でいう「穿孔」とは「穿(うが)ってできた孔」の意(名詞)で用いている。
【0002】
【従来の技術】通気性や降雨時の雨滴の侵入抑制を必要とする農業土壌覆いシート、通気性やこれに伴う透水性を必要とする包装シート、ハウスラップなどの建材シートなどの分野で、紙、不織布、合成樹脂フィルムなどをシート材料とする微小穿孔群を有する微小穿孔シートが使われている。これらの微小穿孔シートは、紙、不織布、合成樹脂フィルムなどのシートに微小な穿孔群を形成するのにポンチ(punch)や錐(awl)などで孔を穿つ方法、あるいは熱溶融性シート材料にあっては加熱ピンなどで溶融して穿つ方法で得られる。
【0003】微小穿孔群を有する農業土壌覆いシートは、果実畑などで雑草の生育抑制につながる遮光性と、雨水を適度にカットし、太陽光線を上部に反射させて樹木などの光合成を助けるための農業土壌を覆うためのシートである。このシートの透水性や通気性の面に係わる機能は、土壌に侵入する雨水を適度に抑制する作用、ならびに土壌に含まれる空気と外気との交換機能のために、微小穿孔シートが使われている。
【0004】微小穿孔群を有する包装シートは、通気性や透水性を必要とする包装用シートとして多方面で使われている。例えば饅頭や生菓子などの水分を比較的多量に含む食品やフライ、中華饅頭など揚げたて、蒸したてなどの食品の直接包装用シートは、紙類の如くシート自体に吸放湿性がない合成樹脂製シートなどを使用する場合には、内部結露を防ぎ、包装保存中に外部と水分平行状態を維持し、食品を適度な水分状態に保つために微小穿孔シートが使われている。
【0005】また、籾、果物などの生の農産物は呼吸作用があるゆえ、通気性を与えるためにこれらの袋には微小穿孔群を有する合成樹脂フィルムやシートが使われている。乾燥状態を維持しなければならない合成樹脂フィルムなどによる密封パック食品における食品と共包する乾燥剤などの内包袋用シートがある。この内包袋は乾燥剤を内包している側の乾燥気体と、密封内部の食品側の湿分を含んだ気体とを交換するために、内包袋用シートには微小穿孔群を有する合成樹脂フィルムやシートが使われている。
【0006】また、微小穿孔群を有するシートが木造住宅などのハウスラップ用に使われている。ハウスラップは壁内での断熱材の覆いであり、つまり壁内の空間において屋内側を覆っている断熱材から、壁空間の上昇気流による煙突効果を利用して、屋内などから侵入した断熱材の空隙に含まれる湿分を放出する機能をもつ断熱材の覆いである。覆っている断熱材から壁内の上昇気流に湿分を効率よく放出する必要性から微小穿孔シートが使われている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】かようなフィルムやシートの微小穿孔群の平面上の分布は、規則正しい配列のものと、不規則(ランダム)なものとがあるが、一つ一つの微小穿孔形状は円形、楕円形、矩形などいろいろな形状があり、何れの微小穿孔シートの穿孔部は「シート材料の一部を欠いて穿孔を形作っている」ものであった。つまり、孔を穿つ方法としてポンチ、錐などでシート材料の一部を取り除いた穿孔、あるいは加熱ピンなどで穿孔部を溶融除去するので、郵便切手シートの切離し用の穿孔列に用いられている如き穿孔形状のものであった。便宜上、この穿孔形態を「切手シート様穿孔形」と称する。「切手シート様穿孔形」の微小穿孔群は、「シート材料の一部を欠いた穿孔」であるので、シートを境とした周囲の状況にかかわらず穿孔形態が不変である「開き放し」の穿孔形であることがその特徴である。
【0008】農業土壌覆いシートとして穿孔シートを用いる目的は、土壌に侵入する雨水の適度なカットと土壌に含まれる空気と外気との交換作用である。かかるシートを用いると、雨水の侵入をカットして土壌に含まれる水分を適正に抑制し、果物や野菜の糖度などの養分向上に寄与する度合いを高めようとして、穿孔率を小さく定めると、土壌に含まれる空気と外気との交換作用の機能が不足して、土壌の炭酸ガスが増大し樹勢の低下を来す。逆に、交換作用の機能を十分にするために穿孔率を大きく定めると雨水のカット性が損なわれることになる。
【0009】なお、穿孔率S(%)とは次に示す定義による。
S=(D×a/A)×100 (%)
ただし、D;穿孔密度(単位面積当り穿孔数)、a;穿孔1個の面積、A;シート単位面積【0010】「切手シート様穿孔形」のかかる微小穿孔シートを、水分を比較的多量に含む食品やフライ、中華饅頭など揚げたて、蒸したてなどの食品の直接包装用シートに用いる場合、内部結露を防ぐ程度に高い穿孔率や穿孔形状を定めると、包んでいる食品が過乾燥状態になり易く当該食品として短期間で不具合になり、過乾燥状態にならない低い穿孔条件では内部結露のため、食品の外面が水分を含み過ぎ食品の風味を損なうことになる。
【0011】「切手シート様穿孔形」のかかる微小穿孔シートを籾、野菜あるいは果物などの保管袋として用い、袋内部の空気と外気との交換作用を十分に行うように高い穿孔率や穿孔形状を定めると、内部の呼吸機能は達成するけれども、外気の湿度が高い場合には外気の湿分が袋内部に侵入し、腐敗などの原因になることがある。
【0012】「切手シート様穿孔形」の微小穿孔シートを密封食品の乾燥剤内包袋用シートに用いる場合の作用は、乾燥剤側の低湿気体と食品側の高湿気体の交換であり、これを十分に行わせる為には高い穿孔率や穿孔形状を定めと、穿孔通路を介して薬剤そのものが食品に付着したり接触する恐れが高くなる。穿孔率を低めると気体交換作用が不足する。以上、「切手シート様穿孔形」の微小穿孔シートを通気性や透水性を必要とする包装シートに用いると、穿孔部が「シート材料を欠いた開き放しの穿孔形」であるので、一つの機能、例えば包装内部と外気の交換機能に力点を置いて穿孔率や穿孔形状を定めると、これによる他の種々な欠陥が生じるという問題がある。
【0013】「切手シート様穿孔形」の微小穿孔シートをハウスラップ用シートとして用いる場合、断熱材に含まれる湿分を放出する機能を十分に行うように高い穿孔率や穿孔形状を定めると、外気の湿度の方が、断熱材の空隙にある屋内などから侵入した空気の湿度よりも低い場合にはその機能を十分果たすことができるが、降雨時など外気の湿度が断熱材の空隙の空気湿度よりかなり高い場合にはその湿分が断熱材側の空隙に侵入し、逆に壁内結露の原因になる恐れがある。
【0014】このように、「シート材料の一部を欠いた穿孔形態」である「切手シート様穿孔形」は開き放しの微小穿孔群からなる微小穿孔シートであるので、シートを境にした環境や状況が変わっても常に一定の穿孔率であるがため、気体や液体の通過性が一定であることに伴う欠陥や、開き放しの穿孔形に係わる欠点が各分野において生起している。かかる欠陥や欠点のない微小穿孔シートの提供が望まれているところである。
【0015】
【課題を解決するための手段】発明者は開き放しの穿孔形に係わる欠点を克服すべく鋭意検討の結果、驚くべきことに、切込み穿孔形の微細穿孔群を有するシートにおいて、抑止弁の如き作用があることを見いだした。
【0016】しかして、シートの穿孔が図3に示す如き切込み穿孔形であって、図4に示すように該切込み穿孔形周辺が両開き回転式ドアの扉の如くなっていて、開口状態では該扉部の開き端部26がシート面に対して立体状になり半開きドア状で、閉状態ではシート面に対し平面状になり図4の該開き端部26が、図2の26の如く閉じドア形の単線分状で、かつ該穿孔部がシート材料の欠如を伴わない切込み穿孔形である微細穿孔群を有することを特徴とする微細穿孔シートの発明に至った。
【0017】また、開口部の開き端部が、閉状態ではシート面に対し平面状になり該開き端部が閉じドア形の単線分状で、該単線分状の両端あるいは片端が図2の25のようにY字形切込み穿孔形になっていることを特徴とする微細穿孔シートである。
【0018】さらに、開口部の開き端部が閉状態においてシート面に対し平面状になり該開き端部が図5に示すように、スター線分型30、十字線分型31あるいはアスタリスク線分型32を含む、単線分26の組合せでなる複数線分型切込み形であることを特徴とする微細穿孔シートである。
【0019】加えて、シートを境界とした通気の流れにおいて、該シートの裏側から表側への通気性と、表側から裏側への通気性において、前者の方が後者より大きく、後者通気性に対する前者通気性の比が1.5より大であることを特徴とする微細穿孔シートである。
【0020】そして、シート材料が、紙、不織布、合成樹脂フィルムあるいはメタライジングフィルムならびにそれらの複合シートであることを特徴とする微小穿孔シート。である。
【0021】製法においては、帯状貼刃をロールに捲くか、あるいは硬質ロールの表面に直接形成するかして得られるところのロール外周に図7に示すような切刃群を有する切刃ロールと、軟質弾性アンビルロールとでシート材料を挟んで加圧走行させることによって、切込み穿孔形の微小穿孔群を有するシートを作る方法であって、その切刃については刃渡り方向が該切刃ロールの円周方向であって、該切刃の断面の図7の33に示す頂角が40度以上で、図7の42に示す刃渡りの両稜37−1および37−2に囲まれた刃渡り部前後の二つの面が、図7の43に描くように該ロール面に対して互いにやや内側に傾斜している切刃でシート材料を穿つことによって、切込み線分の両端あるいは片端がY字状穿孔形に穿つことを特徴とする微小穿孔シートの製造方法の発明である。
【0022】さらに、帯状貼刃をロールに捲くか、あるいは硬質金属などのロールの表面に切刃を直接形成するかして得られるところのロール外周に切刃を有する切刃ロールと、軟質弾性アンビルロールとでシート材料を挟んで加圧走行させることによって、切込み穿孔形の微小穿孔群を有するシートを作る方法であって、切刃が図8に描くような多角錐形の切刃でシート材料を穿つことによって、閉状態において図5の如き複数線分型切込み穿孔形を得ることを特徴とする微小穿孔シートの製造方法である。
【0023】
【発明の実施の形態】図1は微小穿孔シートの従来の穿孔形態を示すの模型略図である。図1の1と3は平面図で、破線囲みはそのシートの一部であることを示し、図1の5、6はシート材料である。破線囲み中の円形7と8は穿孔を形作る端縁部を示し中はうつろである。図1の2と4はおのおの平面図a−a、b−b断面を示す。図1の7の穿孔形はシート材料5の一部10が矢印9方向などへシート材料を離れ、その穿孔部分の欠如を伴ってできた穿孔である。
【0024】図1の8は錐、ピンなどの先の尖ったもので突いて穿った穿孔を示し、穿孔面積分のシート材料が破壊されて形成される穿孔形である。穿孔の形成に当たってはシート材料の穿孔部の一部がポンチ孔を穿つときのようにシート材料から分離するが、紙、不織布、合成樹脂フィルムなどの場合には粘り、もつれなどがあるので、欠如分の一部は破壊片11となって穿孔周辺にささくれた状態で付着するのが普通であるが、何れにしても実質的にシート材料の欠如を伴ってできた穿孔形といえる。シート材料が熱溶融性のシートである場合、加熱ピンなどで孔を穿つ方法もあり、これもシート材料の欠如を伴ってできた穿孔形といえる。
【0025】かように、図1に示す如き従来の微小穿孔シートは、シート材料の欠如を実質的に伴う微小穿孔群を有する微小穿孔シートである。従って、「切手シート様穿孔形」をもつ従来の微小穿孔シートは、シートを境とした表側と裏側の環境状態に係わりなく、常に「開き放し」の穿孔形態であることがその特徴である。
【0026】図2は本発明の微細穿孔シートが完全な平面状になったときの穿孔形の概念としての平面略図で、破線囲みはシート材料の一部分であることを示している。かようにシート材料の欠如を伴わない割れ目の線分、Y形の割れ目の線分だけの穿孔形である。すなわち本発明では、「閉」状態に於いてかような概念形態を形作る穿孔形を「切込み穿孔形」と称する。図2の14は単線分(line segment)26のみの穿孔形、図2の15は単線分26の両端にY形線分25を有する単線分の穿孔形、図2の16は単線分26の片側にY形線分25を有する単線分の穿孔形をおのおの示す。
【0027】図3は、本発明を構成する穿孔形である「切込み穿孔形」の「開」状態と「閉」状態の平面拡大略図である。破線囲みはシート材料の一部であることを示している。図3の17、19、21、23は平面拡大略図で、各平面略図に対応した断面拡大略図として、C−C断面18、d−d断面20、e−e断面22、f−f断面24をおのおの示す。
【0028】図4は、図3の21、22に示す両端にY形切込みがある切込み穿孔形の開口状態のときの凸状側(下側)から見た斜視略図であり、破線囲みはシート材料の一部分であることを示している。穿孔の周辺が回転式ドアの扉部の如き作用をして、図4に描くような開口状態ではこの扉部の開き端部26がシート面に対して立体状になり半開きドアのように開いている。閉状態ではシート面に対して平面状になり、開き端部が閉じたドアのように単線分状になって、図3の23、24のように概念的に描くことができる。なお、図4に描くように「開」状態ではY形切り込み部25も起き上がって開いている。
【0029】本発明を構成する「切込み穿孔形」は、このように、穿孔が「シート材料の欠如を伴わない」微小穿孔形状であることを特徴とする。従って、単に切込みが入っているだけの穿孔形態ゆえ、「閉」状態では図2に示す如く概ね閉じた状態の穿孔形態で、切込み部が単なる線分形として見える。本発明においては、図2の14、15、16に示す如き「切込み穿孔形」を、その中の「単線分型穿孔形」と称する。
【0030】本発明を構成する穿孔形である切込み穿孔形は、所定のシートを後述する一対の、切刃ロールとアンビル(anvil;台座)ロールで夾んで加圧走行させて、切刃ロール側の外周の切刃によって切込み孔を穿って作る。図2の14に示す単純な単線分型穿孔形は、例えば表面が金属などの切刃が食い込まない硬いアンビルロールを用いるか、あるいは軟質弾性アンビルロールを用いても、切刃が繰出しカッターや片刃の安全剃刀などのような断面が薄くその断面頂角が小さな、例えば角度が30度以下というような切刃による場合にできる穿孔形である。
【0031】図2の15あるいは図2の16は両端あるいは片端にY字形切込みがある単線分型穿孔形は、切刃の断面頂角が大きい、例えば角度が90度とか60度のような大凡40度以上切刃を用い、表層がゴム系あるいはポリウレタン系樹脂の如き軟質合成樹脂の弾性体のアンビルロールを用いる場合にできる穿孔形である。図2の15は切刃ロールと軟質弾性アンビルロールとの周速が完全にシンクロナイズ(合致)した場合にできる穿孔形態である。この両ロールの周速のシンクロナイズに僅かの差をつけると図2の16に示す如き片端にのみY形のある単線分型穿孔形となる場合がある。
【0032】このように本発明の微小穿孔シートは、穿孔形態が「シート材料の欠如を伴わない」微小穿孔形状群であることを特徴とする。「切込み穿孔形」においては、穿孔形が「閉」状態にも、開口形である「開」状態にもなることがその穿孔機能上の特徴であり、この微小穿孔シートの表側と裏側の状況、例えば圧力差などによって穿孔形が「閉」状態にも「開」状態にもなり、一種の抑止弁の如き機能を有することである。
【0033】孔を穿つときには、シート材料にラジアル方向(シート面と直角方向)に切込み孔を穿つときの切刃の圧力がかかるので、孔を穿った直後では微小穿孔シートの穿孔形態は刃の入る反対側が図3の18あるいは22の如く凸状になって「開」状態になるが、穿孔シートを硬く巻き上げたり、プレス(加圧)ローラー装置などでプレス処理するなどでほぼ「閉」状態になる。しかしながら、「閉」状態になってもシート材料が、紙、不織布、合成樹脂フィルムあるいはメタライジングフィルム、ならびにそれらの複合シートなどの、弾性物と塑性物両者の性質を合わせ持つ材料であるので、孔を穿ったときの塑性変形分が残っているため、開口しやすさに方向性がある。本発明では、シート材料に孔を穿つときの刃の入った側の面を「裏側」、その反対側の面を「表側」と称する。
【0034】本発明の微小穿孔シートは、シートを境にした環境状態の差で開閉が行われる抑止弁の如き作用をもつ。気体の場合を例にすれば、表側の気圧が高く、裏側の気圧が低くなると、切込み穿孔形は両側の圧力差によって「閉」状態になり、表側からの気体の流れは抑止される方向になる。また、表側の気圧が低く、裏側の気圧が高くなると、切込み穿孔形は両側の圧力差によって「開」状態になり裏側からの気体は流れ易い方向となる。このように抑止弁の如き作用が認められるが、抑止弁そのものではないゆえ「閉」状態でも抑止は完全なものではない。
【0035】例えば通気性において、本発明の微細穿孔シートを境界に使用したとき、「閉」状態でも気体通過性は存在し、穿孔の機能は失われない。本発明の微細穿孔シートを境界に使用し、圧力差のある状態で矢印方向側を低圧力側とし、(f);「裏側」→「表側」(低圧力側)、(b);「表側」→「裏側」(低圧力側)として、「JIS L1096:1999付属書17(規定)繊維製品−生地の通気性の測定」による工業用の生地に適用する圧力差200Pa(1.5mmHg)のもとで、通気性R(mm/s)が、R>Rただし、R;(f)のときの通気性、R;(b)のときの通気性なることである。「切込み穿孔形」の穿孔群を有する本発明の微小穿孔シートの特長は、通気性比(R/R)>1になることであり、R/Rの値が大きければ大きいほど弁の如き作用が大きい。なお、「切手シート様穿孔形」の穿孔群を有する従来のシートの場合は、大凡の通気性比(R/R)=1であり、弁の如き作用は認められない。
【0036】両端にY形のある線分型形「切込み穿孔形」は、図4に示すように「開」状態では、シートの表側において線分の端部のY形25も起き上がった状態になる。切込み穿孔形の端にY形切込み穿孔を有するシートにおいては、端部Y形の切込み部25と開口端部26が動きやすいので、双方がシート表側と裏側の状況によって「閉」状態にも「開」状態にもなり、Y形切り込みのない図2の14、あるいは図3の17、18、19、20に示すような単純な単線分型に比較して、Y形切り込みのある図2の25、また図3の21、22、23、24、あるいは図4の25に示すような、Y形切込み部の弁の如き機能が付加されるので、抑止弁の如き作用がさらに大きくなる。
【0037】図5に、本発明を構成する穿孔形である「切込み形穿孔形」のバリエーションの例を「閉」状態の平面拡大略図で示す。スター形線分型30、十字形線分型31、あるいはアスタリスク形線分型32など、単線分26の組み合せによる「複数線分型穿孔形」を示している。本発明を構成する穿孔形である「切込み穿孔形」は、かような「複数線分型穿孔形」も含み、穿孔がシート材料の欠如を伴わない微小な線分型であれば如何なる線分型穿孔形も含まれる。
【0038】次に本発明の「切込み穿孔形」を得るための方法について記載する。本発明を構成する穿孔形を得る一つの方法であるところの、切刃を外周に備えたロールを貼刃法で作る場合はについて説明する。貼刃は帯状鋼の表面の長手方向の中央部に切削などの方法で山形を作り、これに転造法やレーザー加工(laser machining)などで切刃部を形成して貼刃とする。図6に拡大略図で描くような貼刃を、ロールに螺旋状などに捲きつけて切刃ロールとする。図6の38は貼刃の平面図で、その帯状貼刃の長手方向の一部を示す。39は正面図、40は側面図で、図法は正投象図法(三角法)により、縮尺は約1/20である。幅5mmの鋼製帯状薄板35上に切刃34が備えられていて、その長手方向の刃間距離は4mm程度である。
【0039】かような切刃ロールの製法のほか、鋼製などのロールに直接切刃を形成してもよい。この場合の例を掲げれば、あらかじめ切削法などで外周にネジ山螺旋状など切刃形成のための突起のあるロールを用意しておき、一方、超硬合金やセラミック材料などを用いて、これに放電加工やレーザー加工などで転造ダイを製作して、このダイによって先のロールを冷間加工または熱間加工で精密転造法、またカット成型法などで切刃部を形成し、必要によって高周波誘導式あるいはレーザー式などで焼き入れを行って切刃ロールとする方法がある。何れにしても、当該分野で知られている方法によって切刃ロールが得られれば如何なる方法でもよい。
【0040】図7はかような方法によって得た切刃ロールの、一個の切刃部の拡大図で縮尺は約1/100である。図7の41における横方向である刃幅(断面の峯幅)は0.7mm程度、縦方向である刃長は0.55mm程度、図7の42、図7の43における切刃の高さは0.4mm程度、図7の41、図7の43における刃渡り36の長さは大凡0.35〜0.40mmである。図7の42における切刃断面の頂角33は40〜100度程度、図7における37−1と37−2は切刃のそれぞれ前部と後部の稜部である。図7の41と42に示す前部の両稜37−1で囲まれる面と、後部の両稜37−2で囲まれる面は、図7の43に描くように37−1と37−2がロール面44に対してやや内向き相い対している。これは刃体である稜37−1、37−2でシート材料を切込み易くするために、軟質弾性アンビルロールが沿い易い形状としているものである。
【0041】図8の44は、図5に描く「複数線分型穿孔形」をつくる場合の切刃部の例であり、45、47、49は平面図、46、44、50は正面図である。おのおの、図5におけるスター線分型30を穿つ三角錐形の切刃45と46、図5における十字線分型31を穿つ四角錐形の切刃47と48、図5におけるアスタリスク線分型32を穿つ切刃49と50であり、「複数線分型穿孔形」をつくる切刃部の例である。これらはあくまでも例であり、「複数線分型穿孔形」をつくる切刃であれば如何なる形状の切刃も本発明に含まれる。
【0042】相対するアンビルロールの外周表層は、ショア硬度(Shore hardness)で大凡50〜90度のゴム系あるいはポリウレタン系などの合成樹脂の軟質弾性ロールとする。図7の刃渡り部36の稜部37−1、37−2は、切刃部を軟質弾性アンビルロール外周に孔を穿つべきシートと共に押しつけて切込みを入れる刃体であるゆえ、鋭利であることが必要である。欲する穿孔形態によっては、切刃の刃渡り部36のみを作用させた方がよい場合があり、かかる場合はアンビルロールとして金属などの硬質ロールを採用してもよい。
【0043】図9は切刃ロール55と軟質弾性アンビルロール56とで、シート材料57を夾んで51方向から52方向に加圧走行させる状態の部分断面略図である。図9では両ロール55、56のニップゾーン(ニップ点近傍の部分)を示し、切刃ロール55とこれに相対する軟質弾性アンビルロール56において、互いに周速がシンクロナイズして、加圧状態で53、54方向に回転し、シート材料57が51方向から両ロールのニップゾーンに入り切刃で孔を穿って52方向に出て行く状態を示している。
【0044】両ロールのニップゾーンの断面である図9において、両ロールの断面の加圧開始点(ニップ開始点)を点線g−g上の点gで示すと、ロールの幅方向ではこれが加圧開始点の連続線として表現できる。最大加圧点(ニップ最大歪点)を破線h−h上に点hで示すと、同じくロールの幅方向ではこれが最大加圧点の連続線で表現でき、軟質弾性アンビルロールはこの点で最大に歪み最大加圧部となり、この歪量を図7の切刃正面図42で示すとして、ここでは図の三角形の切刃高さに相当する歪量という前提で説明する。
【0045】図10は、図2の15あるいは図3の21、22、23、24に示す、両端Y形の「切込み穿孔形」の切刃一個分の形成過程を模型的に描いている。図10の点線g−gと破線h−hは、図9における加圧開始点(ニップ開始点)のロール幅方向の「加圧開始線」を、最大加圧点(ニップ最大歪点)のロール幅方向の「最大加圧線」をおのおの示している。図10には、図9におけるシート材料57が切刃ロール55の切刃と軟質弾性アンビルロール56の外周の軟質弾性体によって「切込み穿孔形」が形成される過程をシート材料の進行位置との関係で描いている。図9においてはシート材料57は右側51方向から左側52方向に進行するが、図10においてはシート材料が59方向、つまり図で上側から下側に進行し、ロール幅方向の「加圧開始線」の点線g−gから「最大加圧線」の破線h−hを経て、両ロールのニップゾーンを離れるまでを描いている。なお、切刃とシート材料はずれることなく同時に走行して行く。
【0046】図10の上段図68は、シート材料の進行位置に従って図において左から右に、つまり位置60−1〜67−1まで順に切刃を平面図で細線で描いていて、この切刃によってシート材を切った線分は、軟質弾性アンビルロールで押しつけられるなどして歪んだ形状を単純化して太線で描いている。シート材は弾性的な部分をもつ塑性物であり、ニップゾーンを通過中の切刃上の進行位置に伴う切り形状は、実際にはシート材のその部分が切刃や軟質弾性アンビルロールで押し退けられたり、シート材の組成や物性などのため、かなり歪んだ瞬間的切り形状を示すが、図10の上段図68の各進行位置の図では模型的に単純化して太線で示しているものである。
【0047】シート材は「閉」状態の切込み形態とは異なる形の歪をニップゾーンで受けるが、瞬間的な微小な歪であるのでシート材がニップゾーンを通過後にフリー状態に開放されれば、シート材の弾性によってある程度回復する。ニップゾーンから開放された「切込み穿孔形」が「閉」状態となるシートの完全平面状のときに示す両端Y形の単線分型穿孔形の形成過程を、図10の下段図69に、上図68の切刃の位置に対応して、60−2〜67−2として描いている。
【0048】切刃とシート材料が点線g−gを通過するときからシート材料の切込みが開始され、つまり位置60−1では点58−1、「閉」状態の60−2では点58−2(実際には図のような点は現れない)からシート材料の切込みが開始される。位置61−1では切込み先端のY形部が切れはじめ、位置62−1で先端のY形部が「閉」状態では62−2の如く形成される。何故なら、位置61−1では最大加圧線h−h部に切刃の刃渡り部が存在しないので、アンビルロール表面の軟質弾性体により図7の42に示す刃であるところの両稜37−1部に、シート材料が押しつけられてY形に切込みが入るわけでる。
【0049】さらに位置62−1、63−1と進行して「閉」状態での先端Y形25と直線部26が形成され、位置64−1に進むと、図7の41に示す刃であるところの両稜37−2部に、シート材料が押しつけられて後方のY形が切れだし、位置64−1、65−1を経て位置66−1で後方のY形の切込みが完了し、位置67−1で両ロールのニップゾーンから離れ、切刃に沿った切込みが完了して、「閉」状態で描けば67−2の「切込み穿孔形」が形成される。もし、繰り出しカッターの切刃のように刃の断面頂角が小さく、図7の42で云えば両稜37−1で囲まれた面が極めて小さいときは、両稜のうちどちらかの稜部しか作用しないので端部のY形は形成されない。アンビルロール表面が金属の如き硬い場合もアンビルロールの稜部への食い込みがなく、切刃の刃渡り部だけの切込みしか受けないので端部Y形は形成されない。
【0050】本発明に適用するシート材料は、紙、不織布、合成樹脂フィルムあるいはメタライジングフィルムならびにそれらの複合シートの何れにも適用できる。シート材料の厚さは可撓性のある範囲で表1などより大凡10〜250μm程度の範囲である。
【0051】本発明の微細穿孔シートのシート材料の種類、孔の穿ち条件(刃種、切込み穿孔形の場合の切刃の断面頂角)などと、その結果としての穿孔形状、穿孔率、通気性との関係の知見を得るため基礎的検討を行った。「切込み穿孔形」の切刃は、「単線分型切込み形」を得る試料については図6に示す如き幅5mmの鋼製帯状薄板の長手方向に、図7に示すような切刃を、ピッチ4.0mm間隔に有する帯状貼刃を用意した。なお切刃部は、刃高が0.4mm、刃渡りが0.4mmとした。
【0052】また、「複数線分型切込み形」を得る試料については、同様に鋼製帯状薄板の長手方向に図8の45と46に示す如き三角錐形、図8の47と48に示す如き四角錐形、図8の49と50に示す如き六角錐形の三種の切刃を用い、刃高を0.4mm、刃の根元幅を0.7mmとした。穿孔部分のシート材料を除去する開き放し穿孔、つまり「切手シート様穿孔形」の切刃については、同じくピッチ4.0mm間隔にポンチ状突起を有する帯状貼刃を用意した。なおポンチ状突起は直径0.3mmの円形ピン状で、高さを0.4mmとした。
【0053】20cm角の平らで平滑な厚い鋼板を台として、貼刃の切刃を上向きに並べて置く方法で切刃ロール側の役とした。アンビルロールの役は、アンビル板として、硬いアンビルの場合としては20cm角の厚い鋼板そのもの、軟質弾性体のアンビルの場合としては厚さ4mmのゴム板を先の鋼板に夾んで用いた。このゴム板の鋼板上のショア硬度は67度であった。「切込み穿孔形」の場合は、前者の硬いアンビル板使用の場合は、「閉」状態で図2の14に示す単直線線分型穿孔形になり、後者ゴム板挿入アンビル板使用の場合は図2の15に示す両端Y形の直線線分型穿孔形になる。「切手シート様穿孔形」の場合はどちらでも同じ穿孔形になるが、本検討では後者のゴム板挿入法を用いた。
【0054】孔を穿つ方法は、下側から台としての鋼板、上向き貼刃、テストするシート材料、ゴム板(不要のときは使わない)、アンビル鋼板の順に重ね、100kPa(1.1kg/cm)の荷重を10秒間かけて一回の孔の穿ちとした。穿孔率の調整は、予備試験で拡大投影機で測った穿孔一個の面積から穿孔数を定め、穿孔数は貼刃の置き方と穿ち回数で調整し、得られた試料シートは平面状の「閉」状態にするためにプレス処理した。なお、穿孔率を求める切込み穿孔面積は、プレス後のほぼ「閉」状態の値であり、したがって穿孔率も「閉」状態の値である。
【0055】検討したシート材料は、ポリエステル・メタライジング・フィルム(略称;PET・M・F)、ポリエチレン・フラッシュボンド・不織布(略称;PE・Fl・NW、PEを溶融して気体流と共に噴射してプレスした紙に似た不織布)、ゴム・フィルム(Rub・F)の三種類とした。測定項目は穿孔率と通気性で、通気性の測定はISO9237対応のJIS L1096:1999付属書17(規定)により、圧力差は工業用生地に適用する200Pa(1.5mmHg)とした。この結果を表1に掲げる。
【0056】
【表1】

【0057】表1の孔の穿ち方種別欄の「打抜き」とは、シート材料の欠如を伴った穿孔である「切手シート様穿孔形」の穿ち方を表し、「切込み」とは「切込み穿孔形」の穿ち方を表す。評価結果欄の「R;裏→表」は「裏側→表側(低圧力側)」の通気性、「R;表→裏」は「表側→裏側(低圧力側」の通気性で、通気性測定機への試料の微小穿孔シートのセット方法である。データの数値は通気性(mm/s)で、Rは前者の通気性、Rは後者の通気性で、通気性比R/Rは後者に対する前者の比である。この比が大きいほど微小穿孔シートを境界としたときに方向性が大きいことを意味し、本発明の微小穿孔シートの逆止弁的作用が大きいことを意味する。
【0058】表1によると、ポンチ抜き法の穿孔部の材料を欠く開き放しの穿孔である「切手シート様穿孔形」は、試料No.1、14、17に示されるように通気性比R/Rが何れの試料も低く、方向性は殆ど認められない。シート材料においては、ポリエステル・メタライジング・フィルムと、ポリエチレン・フラッシュボンド・不織布は、「切込み穿孔形」において通気性にかなり方向性が認められるのに対し、ゴム・フィルムについては、試料No.18、19に示されるように方向性が殆ど認められないことが分かった。この理由はゴムは完全に近い弾性体なので、孔を穿ったときの塑性変形分が殆どが残っていないため、開口しやすさに方向性が殆どないからであると考えられる。
【0059】単線分型切込み形では、試料No.2〜10に示されるように、穿孔率がある大きさ以上では、通気性の方向性が減少して行くことが分かった。試料No.11〜13に示される複数線分型切込み形においては、スター線分型、十字線分型、アスタリスク線分型とも穿孔率が大きいのにも係わらず通気性比も大きいことが分かった。これは、両端Y形単線分型切込み形が、Y形のない単なる単線分型よりも通気性の方向性が高いのと同様に、図5に示すように切込み部が弁の如き形態になっているのでこの部分が動きやすいためである。以上、表1から本作用である抑止弁の如き機能は、通気性比(R/R)>1.5程度以上と推定される。
【0060】
【実施例】作用幅1600mm、直径200mmの金属ロールに、図6に示す如き帯状貼刃を捲きつけて貼刃ロールを製作した。図6に示す如き幅5mmの鋼製帯状薄板の長手方向に切刃をピッチ4.0mm間隔に有する帯状貼刃を使用した。切刃は刃高が0.4mm、刃渡りが0.4mm、刃の根元幅が0.7mm、刃の断面頂角が83度とした。この帯状貼刃を先述の金属ロールに、外周方向、幅方向とも切刃が交互の千鳥状配列になるようにして、また切刃の幅方向のピッチが5mmになるように螺旋状に捲いて製作した。
【0061】アンビルロールは表面層がゴム製の弾性ロールを用い、そのショア硬度を70度とした。寸法は作用幅1600mm、直径280mmとした。貼刃ロールとアンビルロールとを駆動装置にセットし、両ロールとも周速を独立して調整可能な積極的回転方式とした。両ロールのニップ状態は図9の如く、切刃ロール55がアンビルロール56の弾性表面層に食い込むようにセットし、最大加圧点(ニップ最大歪点)を図7の42あるいは43に示す切刃の刃高、つまり0.4mmとして固定セットして穿孔切込み機とした。この穿孔切込み機の切刃ロールとアンビルロールの周速は、駆動装置の速度調整機構によって完全にシンクロナイズさせた。
【0062】厚さ12μmのアルミ蒸着・メタライジングPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂フィルムを用い、アルミ蒸着側にPE(ポリエチレン)樹脂によって溶融ラミネート法で質量40g/mのPET繊維のスパンボンド不織布をPE樹脂でラミネート(厚さ14μm)法で貼付してシート材料とした。このシート材料の厚さは120μmであった。このシート材料をPETフィルム面を切刃の切込み面とし、先の切刃ロールとアンビルロールからなる穿孔切込み機で、両ロールの周速を60m/分として切込み加工して微細穿孔シートを得た。
【0063】切込み加工直後のこの微細穿孔シートの穿孔形状の形状は、図4に示す如き形状で、直線状の切込み両端にY形の弁を有するような切込み穿孔形であり、その直線状部の断面拡大略図を図11の70に掲げ、切り込み穿孔形状は図11の穿孔部27のような「開」状態であった。この微細穿孔シートをロール状に硬く巻き取り、24時間程度放置した同位置の断面形状は図11の28に示す如く、穿孔部はほぼ「閉」状態であった。なお、図11において、72はPETフィルム層、73はアルミ蒸着層、74はPEラミネート層、75は不織布層である。この微細穿孔シートの穿孔密度は50,000個/mであった。穿孔部のほぼ「閉」状態の拡大投影法での測定の結果、穿孔1個当りの平均切込み長は0.45mmで、平均面積は0.063mmであり、穿孔率はS=0.32%で、R=52で、通気性比(R/R)=3.0であった。
【0064】この微細穿孔シートを農業土壌覆いシートに使用して、この用途としての効果を検討した。農業土壌覆いシートの使用目的は、遮光機能、雨水の適度なカットおよび土壌を覆うことを前提として土壌側の空気と外気との交換である。遮光作用はアルミ蒸着フィルムの採用で基本的に果たしている。一方、降雨実験により、落下雨滴によってシートの表側が加圧され、切込み穿孔形態がほぼ「閉」状態になって雨滴の侵入を適度にカットし、降雨時以外は覆われている土壌の温度上昇による僅かな圧力が上昇で、「開」状態になって空気の交換がスムースに行われることが分かった。
【0065】先のRと通気性が同道程度の、120mm/sのポンチ穿ちの従来の「切手シート様穿孔形」の微小穿孔シートでは、本発明の微小穿孔シートのかような抑止弁の如き作用はなく、雨水のカット性が不十分であった。人工的に1時間にわたって10mmの雨量相当のシャワーで実験した結果、シート下の土壌の水分率(乾燥土壌質量に対する水の質量%)は、本発明の微小穿孔シートでは90%程度であったが、比較の従来の後者シートでは140%程度であった。また、従来の穿孔シートにおいては雨滴の侵入抑制のために穿孔率を小とすると空気交換が不足し、土壌側の炭酸ガスなどの濃度が上がって樹勢を損なうというような問題が生じるが、本発明の微細穿孔シートの使用によって大きく改善された。
【0066】饅頭やフライなどの湿分食品の直接包装紙について検討した。先の実施例の切刃のピッチ4.0mm間隔に有する帯状貼刃を、ピッチ2.0mm間隔に変更した以外は同じ穿孔切込み機を使用し、シート材料としては坪量70g/m晒クラフト紙に、厚さ0.2μmでポリエチレンをラミネートした加工紙を用いた。切り込み面はラミネート面とし、得られた微細穿孔加工紙のロール状に巻き上げ後の切込み穿孔形は、「閉」状態で図3の23に描いている形状で、穿孔率はS=0.76%であった。通気性はR=118mm/sで、通気性比(R/R)=2.1であった。
【0067】この微細穿孔加工紙で、饅頭を包んで検討したところ、作りたての湿分が大のときは包装内部の気圧がやや高まって「開」状態となって外部空気との交換が十分行われ内部結露は殆ど発生せず、饅頭の湿分の低下に伴って内外の圧力が平衡状態になってくると「閉」状態の方向となって、過乾燥を防ぐ効果のあることが分かった。これに対し試作したRと同程度の通気性250mm/sの「切手シート様穿孔形」シートでは、本発明の微小穿孔シートの抑止弁の如き作用はなく、内部結露は同様な効果があったが、過乾燥状態に至る時間が明らかに速かった。本発明の加工紙はかような食品の直接包装加工紙として効果があることが分かった。
【0068】前述の本発明の微細穿孔加工紙を乾燥密封食品の乾燥剤内包シートとして用いた場合の検討を行った。乾燥密封食品は外部から僅かに侵入する湿分を除去するために乾燥剤を封入した乾燥剤内包パックを食品と共に封入している。微細穿孔加工紙の表側を内側として乾燥剤を入れ、四周をラミネートして乾燥剤内包パックとし、乾燥食品と共に封入して評価した。乾燥剤側つまり乾燥剤内包パック内部は乾燥剤のために常に過乾燥状態になっているが、食品側は外部から僅かに侵入する湿分のために、乾燥剤内包パック内よりは高湿状態になるになることがあり、かような場合に気温の変化などにも助けられ圧力のバランスを欠くと「開」状態の方向になって乾燥剤内包パック内と食品側との気体の交換が行われる。穿孔部はシート材料の欠如がなく切り込みが入っているだけなので、切込み穿孔形であるので乾燥剤が接触する恐れは全く生じなかった。
【0069】籾、米、野菜、果物などの呼吸性農産物の袋は、従前は通気性が必要なことから、通気性のある織り放し状態で使われてきたが、スリップ(織り目ずれ)や中身の露出を防ぐため、糸密度を高くしなければならなかったのでコスト的に問題があった。糸密度を下げて織り目の粗い織物の使用で、スリップや中身の露出を防ぐため、PEなどの樹脂ラミネートを行うと通気性がなくなるので微細穿孔シートとする必要がある。
【0070】PEテープ織物に両面PEラミネートした「切手シート様穿孔形」による微細穿孔シートの比較用に、この穿孔前のシート材料を用意し、貼刃の切刃ピッチを2.0mm間隔に変更した先の実施例の穿孔切込み機を使用して微細穿孔を穿って加工した。この切込み穿孔形による微細穿孔PEテープ織物のPEラミネートシートの穿孔率はS=0.75%であった。通気性はR=124mm/sで、通気性比(R/R)=2.3であった。
【0071】このシートと、別に試作したRと同程度の通気性280mm/sの「切手シート様穿孔形」シートとを籾袋として用いて評価した。前者「切込み穿孔形」シートについては、籾の温度が僅か高くなると袋内の圧力が高まって「開」状態になって外気との空気交換が容易に行われ、外気の湿度が高い場合には外部から湿分が侵入する度合いが少なくなった。これに対し後者「切手シート様穿孔形」シートを籾袋として用いた場合は、空気交換性については同様であったが、外部が高湿の場合は湿分の侵入が多いことが分かった。外部湿度が90%RHの環境をつくり、両者袋を10時間放置後に温湿度計((株)ケット科学研究所製HS−700型)の湿度検知ロッドを袋に挿入して袋内の間隙の湿度を測定した結果、前者が大凡86%RHであったのに対し、後者が大凡72%RH程度であった。
【0072】次の実施例として、図8の47と48に描く四角錐の切刃を外周に有する切刃ロールを直接法で製作して検討したケースを記す。切刃ロールとしては、先の貼刃法と同サイズの鋼製のロールに直接切刃を形成する方法によって製作した。まず、切刃ロールの方に切削法で外周にネジ状山形の螺旋突起を作った。一方、超硬合金材料によって放電加工とレーザー加工で転造ダイロールを製作して、この転造ダイロールと先のロールを、熱間加工による精密転造法、およびダイカッターによって切刃部を成型した。この切刃部にレーザー加工方式の焼き入れを行い、外周に図8の47と48に示すような四角錐形切刃を有する切刃ロールを製作した。
【0073】この切刃ロールでハウスラップ用シートの適用性の検討を行った。高密度PEの二軸延伸フィルムの両面に、PEラミネートを行って得た厚さ0.08mmの合成樹脂製のシート材料にした。この切込み穿孔形による微細穿孔PEテープ織物PEラミネートシートの穿孔率はS=0.88%で、通気性はR=98mm/sで、(R/R)=3.33であった。
【0074】これを木造建築の壁内の断熱材を覆うハウスラップとして用いた場合の検討を行った。天候が晴などの定常状態では、外気側より断熱材側が湿度が高く、断熱材は屋内側に接触させるものであるゆえ、一般的に温度が外気より高く気圧が僅かに高いので、切込み穿孔形態は「開」状態になり、湿り空気を壁内の上昇気流に放出される。降雨時など外部の湿度が高くなると、外気が湿度の低い断熱材側に侵入しはじめると、「閉」状態になって外気の湿分の侵入を抑制する効果があることが分かった。
【0075】ほぼ同様なシート材料をベースとした市販品で、通気性が328mm/sの「切手シート様穿孔形」シートと共にモデルを実験を行った結果、外部湿度が90%RHの場合の1時間後、先の温湿度計で両ハウスラップ内のグラスウール断熱材の間隙の湿度を測定した結果、前者が大凡78%RH程度であったのに対し、後者「切手シート様穿孔形」の微小穿孔シートの場合には大凡外部湿度と同じ状態であった。気温と湿度の高い梅雨から夏季にかけて屋内の温度の方が外気より低い場合に、外から湿分の侵入を抑制する効果が大きいものと思われる。
【0076】本発明微小穿孔シートを農業土壌覆いシートに適用する場合、雨滴侵入性や通気性は、本発明を適用する地方、地域、地勢、気候、気象の年間予測、土壌構成や成分など、また適用する栽培果物や農作物種類によって異なるので一概には定めらない。むしろ、穿孔形状、穿孔密数度ならびに穿孔率などが任意に容易に作り得ることの方が重要である。包装用シート、ハウスラップ用シートについても同様なことがいえる。
【0077】穿孔群の密度の調整については貼刃法を採用で、帯状貼刃の仕様が定まれば、これをロールに捲く螺旋ピッチを変えることによって微小穿孔群の任意の密度がとれ、極めて合理的である。大量に加工する場合には貼刃法によらなくても、精密転造法などでロール表面に直に切刃を設けても良く、この方法による切刃ロールは耐久性がある。穿孔形状、穿孔数密度ならびに穿孔率は透水性や通気性あるいはこれの伴う透湿性に深く関係するが、穿孔数密度と穿孔率の目安としては、前者が320,000個/m程度から1,600個/m程度、後者は1.05〜0.005%程度であるが、これはあくまで目安としての値である。
【0078】
【発明の効果】本考案はかように構成されているので、次に記載する如き効果を奏する。
【0079】(1)本発明の微小穿孔シートは、シートを境界にして通気性に方向性があり、裏側から表側への通気性が大きいのに対し、表側から裏側への通気性が小さく、湿分の通過性もこれに伴うので抑止弁のような作用がある。また、表側からの降雨などの雨滴の通過に対する抑制機能がある。これらの機能を利用することによって、農業土壌覆いシート、包装シート、ハウスラップシートなどの建材用シートに、方向性を踏まえて用いると、従来の微小穿孔シートにはなかった雨水侵入のコントロール、湿分の侵入防止などの特性を付与することができるようになった。
(2)このような基本作用があるので本発明の微小穿孔シートを農業土壌覆いシートに適用すれば、樹勢に関係する空気の交換機能を損なわずに、雨水の土壌への侵入をコントロールでき、果物や野菜などの糖度や養分の増加に寄与できる。
(3)包装用シート用シートに適用すれば、例えば、外部からの湿分は嫌うが内部と外部の空気の交換は必要な被包装物の包装に当たって、シート表側を被包装材の表面になるように包むと、外気の湿度が高いときには湿分が侵入し難くなる。
(4)本発明の微小穿孔シートをハウスラップに適用すれば、屋内などから侵入した湿分が屋内側を覆うグラスウールなどの断熱材に至り、この湿分がハウスラップを通って壁内空間の上昇気流に放出する機能があるが、特に外気温と湿度の高い梅雨から夏季にかけて、屋内の温度の方が外気より低いときに、外から湿分の侵入を抑制する効果がある。
(5)本発明の微小穿孔シートは、従来の開き放しの穿孔形と異なり、単にに切り込みが入っているだけの穿孔形ゆえに、気体の通過は容易であるが、粉体、顆粒などの固体は通過しにくく、また方向性も有するので、密閉食品などの乾燥剤の内包シートなど、かかる機能の必要な包装用シートとして効果的に適用できる。
以上、本発明は一つの基本機能の発明であるので、応用範囲は非常に大きく、産業界への貢献が極めて大きい。
【出願人】 【識別番号】597073014
【氏名又は名称】ロータリー株式会社
【出願日】 平成13年5月8日(2001.5.8)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−332073(P2002−332073A)
【公開日】 平成14年11月22日(2002.11.22)
【出願番号】 特願2001−176301(P2001−176301)