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【発明の名称】 列車検知装置
【発明者】 【氏名】菅原 健

【氏名】高橋 伊知朗

【氏名】吉村 誠

【氏名】佐野 実

【要約】 【課題】本発明の課題は、高い検知精度を維持すると共に、回路構成を複雑化することなく単純な手法で、可聴周波数帯を使用した軌道回路における列車検知装置のコストパフォーマンスの向上を図ることである。

【解決手段】1台のCPU111と6台のAMP121〜126とにより、最大60区間分の軌道回路を一括制御できる構成となっている。AMP121〜126の各出力段には直列抵抗がそれぞれ接続される。上記構成を有する可聴周波軌道回路における列車検知装置100では、6つの異なる周波数f1〜f6の列車検知信号がそれぞれAMP121〜126から連続的に並列送信され、それら列車検知信号に基づいて列車の検知処理が行われる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】有絶縁起動回路或いは無絶縁軌道回路が複数連結して構成された軌道に対し、前記軌道回路毎に可聴周波信号を出力し、その出力した信号を前記軌道回路毎に受信して列車の有無を検知する列車検知装置において、可聴周波数帯に含まれる複数の異なる周波数信号を前記複数の軌道回路側に一括して出力すると共に、その出力した信号を前記軌道回路毎に一括して受信し、その受信した信号に基づいて前記軌道回路毎に列車の有無を検知する制御手段と、前記制御手段と前記複数の軌道回路との間を接続するケーブル上に各々挿入された直列抵抗と、を備え、前記制御手段は、前記ケーブル毎に異なる周波数信号を、前記直列抵抗を介して前記複数の軌道回路に同時に出力するようにしたことを特徴とする列車検知装置。
【請求項2】前記有絶縁回路が複数連結された有絶縁軌道上の列車を検知する場合、前記制御手段と前記有絶縁軌道との間の接続ケーブルは、前記制御手段から前記有絶縁軌道を構成する所定数の有絶縁軌道回路の近傍までは、前記接続ケーブルを一本化して敷設し、当該接続点から検出対象の前記所定数の有絶縁軌道回路までは、複数の接続ケーブルを並列に敷設し、前記直列抵抗は、前記並列に敷設された接続ケーブル上に各々挿入したことを特徴とする請求項1記載の列車検知装置。
【請求項3】前記制御手段は、前記複数の可聴周波信号を前記複数の軌道回路側に一括して出力し、その出力した信号を前記軌道回路毎に一括して受信し、その受信した信号に基づいて前記軌道回路毎に列車の有無を検知する処理機能を有することを特徴とする請求項1或いは2記載の列車検知装置。
【請求項4】前記制御手段は、前記軌道回路が列車の車軸により短絡された際、当該軌道回路におけるインピーダンスよりも小さい出力インピーダンスに設定したことを特徴とする請求項1乃至3記載の列車検知装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可聴周波数帯を使用した軌道回路における列車検知装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近時、鉄道の軌道回路としては、以下に示す理由により、商用周波数帯を使用した商用周波軌道回路に替って可聴周波数帯を使用した可聴周波軌道回路が広く普及している。
【0003】すなわち、商用周波軌道回路は、可聴周波軌道回路に比べて、短絡感度が低い上、消費電力が多く、無停電化が困難であると共に、列車の検知を安定して行う為に必要な、軌道電圧のレベル調整、及び局部電圧と軌道電圧との位相差の調整には熟練を要するので、保守性が悪くなる。更に、商用周波軌道回路は、可聴周波軌道回路に対して、信頼度向上の為に必要な冗長系の2重系化が困難であり、その結果、機器占有面積が大きくなると共に、商用電源の位相を全線で一致させる必要がある為、信号を全線の軌道回路周辺に敷設される信号高電圧線から供給するので、工事費が高くなる。
【0004】上記可聴周波軌道回路における従来の列車検知装置(TD;Train Detector)は、送信器から負荷に対して効率良く電力を供給するため、送信器の出力インピーダンスが負荷に整合するように設定されている。この為、軌道回路の送端付近のレール間を列車が短絡した場合には、送信出力が低下するので、軌道回路毎に送受信器が設けられた構成となっている。
【0005】図4、図5を参照して、上記従来の可聴周波軌道回路における列車検知装置について説明する。図4は、従来の列車検知装置300における中央送電式(1送信2受信)の可聴周波軌道回路を示す図であり、図5は、送受信器310の回路構成を示すブロック図である。
【0006】図4に示すように、従来の可聴周波軌道回路における列車検知装置300は、2つの軌道回路に対して一つの送受信器が配設される。例えば、軌道回路1T、2Tに対して送受信器310が設けられ、また軌道回路3T、4Tに対して送受信器320が設けられる。
【0007】なお、図4には、説明を簡略化する為、4軌道回路1T〜4Tに対する2つの送受信器310、320のみを示したが、例えば60軌道回路に対しては送受信器が30台必要となる。また、これら複数の送受信器は、送受信器310、320を含めて全て同一の構成によって成る。
【0008】図5に示すように、送受信器310は、CPU(Central Processing Unit)311、BUS―IF(BUS-InterFace)312a、312b、312c、MOD(MODulater)313、AMP(AMPlifier)314、A/D(Analog/Digitalconverter)315、BPF(Band Pass Filter)316a、316b、RYD(RelaY Drive)317等によって構成される。
【0009】CPU311は、発振判定、受信判定、故障検知等を行い、BUS―IF312a、312b、312cは、CPU311とその周辺回路との間でデータ交換を行い、MOD313は、発振及び変調を行う。AMP314は、作成した列車検知信号を所定レベルまで増幅し、A/D315は、アナログ信号をデジタル信号に変換し、BPF316a、316bは、雑音を除去して信号波だけを選別し、RYD317は、軌道リレー1TR、2TRを駆動する。
【0010】AMP314は、MT(Maching Trans)12a、12bを介して図中符号A2に示す接続部に接続され、BPF316aは、MT11a、11bを介して図中符号A1に示す接続部に接続され、BPF316bは、MT13a、13bを介して図中符号A3に示す接続部に接続される。
【0011】AMP314から出力された列車検知信号は、図中符号A2に示す接続部に入力され、その後、その列車検知信号は接続部A2において分岐されて軌道回路1T、2Tを伝播し、図中符号A1、A3に示す接続部を介してBPF316a、316bにそれぞれ入力される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の可聴周波軌道回路における列車検知装置300においては、以下に示す問題点があった。図4に示すように、2軌道回路毎に1送信2受信可能な送受信器(例えば、送受信器310)を設けていたが、軌道回路の数が多いとそれに応じて上記送受信器の数も多くなり、また機器の増加と共に機器設置スペースを多く必要とすると共に、コストの増大の回避が困難であった。
【0013】本発明の課題は、高い検知精度を維持すると共に、回路構成を複雑化することなく単純な手法で、可聴周波数帯を使用した軌道回路における列車検知装置のコストパフォーマンスの向上を図ることである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような課題を解決するために、次のような特徴を備えている。なお、次に示す手段の説明中、括弧書きにより実施の形態に対応する構成を一例として示す。符号等は、後述する図面参照符号等である。
【0015】請求項1記載の発明は、有絶縁起動回路或いは無絶縁軌道回路(例えば、図2に示す軌道回路1T〜30T)が複数連結して構成された軌道に対し、前記軌道回路毎に可聴周波信号を出力し、その出力した信号を前記軌道回路毎に受信して列車の有無を検知する列車検知装置(例えば、図1に示す列車検知装置100)において、可聴周波数帯に含まれる複数の異なる周波数信号(例えば、図2に示す信号f1〜f6)を前記複数の軌道回路側に一括して出力すると共に、その出力した信号を前記軌道回路毎に一括して受信し、その受信した信号に基づいて前記軌道回路毎に列車の有無を検知する制御手段(例えば、図1に示す処理部110、送信部120、及び受信部130)と、前記制御手段と前記複数の軌道回路との間を接続するケーブル上に各々挿入された直列抵抗(例えば、図2に示す直列抵抗1〜5)と、を備え、前記制御手段は、前記ケーブル毎に異なる周波数信号を、前記直列抵抗を介して前記複数の軌道回路に同時に出力するようにしたことを特徴とする。
【0016】請求項1記載の発明によれば、有絶縁起動回路或いは無絶縁軌道回路が複数連結して構成された軌道に対し、前記軌道回路毎に可聴周波信号を出力し、その出力した信号を前記軌道回路毎に受信して列車の有無を検知する列車検知装置において、制御手段は、可聴周波数帯に含まれる複数の異なる周波数信号を前記複数の軌道回路側に一括して出力すると共に、その出力した信号を前記軌道回路毎に一括して受信し、その受信した信号に基づいて前記軌道回路毎に列車の有無を検知し、直列抵抗は、前記制御手段と前記複数の軌道回路との間を接続するケーブル上に各々挿入し、前記制御手段は、前記ケーブル毎に異なる周波数信号を、前記直列抵抗を介して前記複数の軌道回路に同時に出力するようにしたことを特徴とする。
【0017】従って、上記制御手段と複数の軌道回路とを接続する各ケーブル上に直列抵抗を挿入して、各軌道回路における負荷変動が及ぼす影響を軽減したので、同一周波数を有する信号を上記複数の軌道回路に並列送信してもこれら各軌道回路における電圧の独立性の確保が可能になると共に、複数の軌道回路に対して制御手段の共有が可能になるので、機器数の削減とコストの抑制、及び機器設置スペースの縮小化が可能となる。
【0018】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記有絶縁回路が複数連結された有絶縁軌道(例えば、図3に示す有絶縁起動回路240)上の列車を検知する場合、前記制御手段と前記有絶縁軌道との間の接続ケーブルは、前記制御手段から前記有絶縁軌道を構成する所定数の有絶縁軌道回路の近傍までは、前記接続ケーブルを一本化して敷設し、当該接続点から検出対象の前記所定数の有絶縁軌道回路までは、複数の接続ケーブルを並列に敷設し、前記直列抵抗は、前記並列に敷設された接続ケーブル上に各々挿入したことを特徴とする。
【0019】請求項2記載の発明によれば、前記有絶縁回路が複数連結された有絶縁軌道上の列車を検知する場合、前記制御手段と前記有絶縁軌道との間の接続ケーブルは、前記制御手段から前記有絶縁軌道を構成する所定数の有絶縁軌道回路の近傍までは、前記接続ケーブルを一本化して敷設し、当該接続点から検出対象の前記所定数の有絶縁軌道回路までは、複数の接続ケーブルを並列に敷設し、前記直列抵抗は、前記並列に敷設された接続ケーブル上に各々挿入する。
【0020】従って、制御手段と所定数の有絶縁軌道回路とを接続するケーブルがこれら有絶縁軌道回路の近傍で分岐され、上記制御手段と上記所定数の有絶縁軌道回路との間の接続ケーブルの数が削減されるので、コストパフォーマンスが更に向上した列車検知装置を実現できる。
【0021】請求項3記載の発明は、請求項1或いは2記載の発明において、前記制御手段は、前記複数の可聴周波信号を前記複数の軌道回路側に一括して出力し、その出力した信号を前記軌道回路毎に一括して受信し、その受信した信号に基づいて前記軌道回路毎に列車の有無を検知する処理機能を有することを特徴とする。
【0022】従って、請求項3記載の発明によれば、制御手段が複数の軌道回路における列車の有無を検知できるので、列車検知装置における制御手段の数を削減することができ、機器設置面積の縮小化と共に、経済性の向上を図られる。
【0023】請求項4記載の発明は、請求項1乃至3記載の発明において、前記制御手段は、前記軌道回路が列車の車軸により短絡された際、当該軌道回路におけるインピーダンスよりも小さい出力インピーダンスに設定したことを特徴とする。
【0024】従って、請求項4記載の発明によれば、制御手段における出力インピーダンスを列車の車軸により短絡された軌道回路におけるインピーダンスよりも小さく設定したので、上記制御手段からの出力信号が定電圧特性に近づいて、各軌道回路における負荷変動が列車検知に及ぼす影響を更に軽減でき、列車検知装置の列車検知精度を向上できる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、図1〜図3を参照して本発明を適用した可聴周波軌道回路における列車検知装置について詳細に説明する。
【0026】[第1の実施の形態]第1の実施の形態において、本発明を適用した可聴周波軌道回路における列車検知装置100について説明する。図1は、本発明を適用した列車検知装置100の構成を示すブロック図であり、図2は、列車検知装置100における送信系の構成を示す図である。
【0027】図1に示すように、列車検知装置100は、処理部110、送信部120、受信部130等を備えて構成され、最大60区間の軌道回路の制御が可能となっている。なお、列車検知装置100は、可聴周波軌道回路1T〜60Tに対する列車検知装置であり、また、軌道回路1T〜60Tは、有絶縁軌道回路、或いは無絶縁軌道回路のうち何れでも良い(図2参照)。
【0028】処理部110は、CPU111、BUS―IF112a、112b、112c、MOD113、A/D114、RYD115等を備えて構成される。
【0029】CPU111は、32bitのフェールセーフRISC―CPUであり、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を備える(何れも図示略)。CPU111は、従来では軌道回路毎に処理していた信号発生、変調、受信判定、故障検知機能等を1台のCPUに集約したものであり、これにより1台のCPUで複数軌道の列車検出が可能となる。特に、CPU111は、図2に示す10区間分の軌道回路1T〜60Tに対する制御を一括して行う。
【0030】BUS―IF112a、112b、112cは、CPU111と周辺回路との間のデータ交換を行う。また、MOD113は、発振及び変調を行い、6つの異なる周波数f1〜f6で変調した6パターンの列車検知信号を送信部120に出力する。
【0031】ここで、MOD113は、狭帯域FSK波受信検定方式、すなわち、低周波(1.6Hz)で変調したFSK方式に基づいた列車検知信号を出力する。上記狭帯域FSK波受信検定方式では、2つの搬送波fH(f0+20Hz)、fL(f0−20Hz)を312.5ms毎に繰返し出力し、受信側ではそれぞれの搬送波周波数を狭帯域で選別すると共に、変調周期および相補性(周期的に交互に信号が受信されること)の検定により、高い雑音性能が実現される。
【0032】A/D114は、受信部130から入力された60個のアナログ信号をデジタル信号にそれぞれ変換し、RYD115は、軌道リレー1TR〜60TRを駆動する。
【0033】送信部120は、6台のAMP121〜126を備えて構成される。これらAMP121〜126は全て同一の構成を有する2重系増幅器である。なお、説明を簡略化する為、図1には、AMP121,126のみ示して他のAMP122〜125の図示を省略した。
【0034】これら6台のAMP121〜126は、1台で最大10区間分の軌道回路の列車検知信号を増幅可能であり、MOD113から出力された6つの異なる周波数f1〜f6の列車検知信号を所定レベルまで増幅して軌道回路側に送信する。ここで、AMP121〜126の出力インピーダンスは短絡時における共有軌道回路の負荷総数よりも小さな値に設定されている為、送信出力の定電圧化が図られる。
【0035】受信部130は、60台のBPF101〜160を備えて構成される。これらBPF101〜160は、雑音を除去し信号波のみを選別してA/D114に出力する。なお、説明を簡略化する為、図1には、BPF101、102、及びBPF159、160のみ示して他のBPF103〜158の図示を省略した。これら60台のBPF101〜160は、それぞれ2つのMT(図示略)を介して軌道回路1T〜60Tに接続される。
【0036】次いで、列車検知装置100における送信系について説明する。図2に示すように、AMP121〜AMP126は、それぞれ2台のMTを介して軌道回路1T〜60Tにおける各軌道回路間の接続部に順次接続される。なお、説明の簡略化の為、図2には、軌道回路の一部、及びAMP121に係る接続関係のみを示して他の軌道回路およびAMP122〜AMP126に係る接続関係の図示を省略した。
【0037】AMP121は、直列抵抗1及びMT1a、1bを介して軌道回路1Tと2Tとの接続部に接続され、直列抵抗2及びMT2a、2bを介して軌道回路13Tと14Tとの接続部に接続され、直列抵抗3及びMT3a、3bを介して軌道回路25Tと26Tとの接続部に接続され、直列抵抗4及びMT4a、4bを介して軌道回路37Tと38Tとの接続部に接続され、直列抵抗5及びMT5a、5bを介して軌道回路49Tと50Tとの接続部に接続される。
【0038】AMP122〜126は、何れも上記AMP121と同様に、それぞれ軌道回路1T〜60Tにおける各軌道回路間の接続部に順次接続される。例えば、AMP122は、一つの直列抵抗と、その後段に設けられた2台のMT(図示略)とを介して、軌道回路3Tと4Tとの接続部に接続される。以下同様に、AMP122は、15Tと16Tとの接続部、27Tと28Tとの接続部、39Tと40Tとの接続部、及び51Tと52Tとの接続部に対して、それぞれ一つの直列抵抗と2台のMT(図示略)とを介して接続される。例えばまた、AMP126は、一つの直列抵抗と、その後段に設けられた2台のMT(図示略)とを介して、11Tと12Tとの接続部に接続される。以下同様に、AMP126は、23Tと24Tとの接続部、35Tと36Tとの接続部、47Tと48Tとの接続部、及び59Tと60Tとの接続部に対し、それぞれ一つの直列抵抗と2台のMT(図示略)とを介して接続される。
【0039】これにより、軌道回路1Tと2Tとの接続部にはAMP121から出力された周波数f1の列車検知信号が入力され、3Tと4Tとの接続部にはAMP122から出力された周波数f2の列車検知信号が入力され、5Tと6Tとの接続部にはAMP123から出力された周波数f3の列車検知信号が入力される。更に、軌道回路7Tと8Tとの接続部にはAMP124から出力された周波数f4の列車検知信号が入力され、9Tと10Tとの接続部にはAMP125から出力された周波数f5の列車検知信号が入力され、11Tと12Tとの接続部にはAMP126から出力された周波数f6の列車検知信号が入力される。
【0040】更に、軌道回路13Tと14Tとの接続部から23Tと24Tとの接続部までの列車検知信号の入力順は、上記した軌道回路1Tと2Tとの接続部から11Tと12Tとの接続部までの列車検知信号の入力順と同一であり、以降、この入力順が繰り返される。
【0041】以上説明したように、本発明を適用した可聴周波軌道回路における列車検知装置100は、1台のCPU111と6台のAMP121〜126とにより、最大60区間分の軌道回路を一括制御できる構成となっている。更に、AMP121〜126の各出力段には直列抵抗がそれぞれ接続される。上記構成を有する可聴周波軌道回路における列車検知装置100では、6つの異なる周波数f1〜f6の列車検知信号がそれぞれAMP121〜126から連続的に並列送信され、列車の検知処理が行われる。
【0042】従って、AMP121〜126の出力インピーダンスが小さいので出力信号を定電圧特性に近づけることが可能になると共に、AMP121〜126の各出力段に直列抵抗(図2に示す直列抵抗1〜5を含む)を挿入したので負荷インピーダンス変動の下限を一定以上に保つことができ、各接続部(例えば、軌道回路1Tと2Tとの接続部)における負荷変動が及ぼす影響を軽減化できる。この為、増幅器、例えばAMP121から出力された周波数f1の列車検知信号を10区間分の軌道回路に並列送信しても軌道回路の各接続部における電圧の独立性が確保されると共に、10区間分の軌道回路に対する増幅器(AMP121)の共用が可能となり、増幅器数の削減とコストの抑制、及び機器設置スペースの縮小化が可能となる。
【0043】更に、一台のCPU111により最大60区間分の軌道回路の管理が可能となり、1台のCPU111に6台のAMP121が接続可能となるので、CPU等を含む制御機器数の削減が図られ、コストパフォーマンスを向上できる。
【0044】また、列車検知信号を複数軌道に並列送信する為、各軌道回路への伝送損失が増えるが、電源周波数の高調波を避けた搬送波周波数を選定すること、及び狭帯域FSK波受信検定方式を採用することにより、耐雑音特性、受信感度の向上が図られると共に、送信電力の確保が図れる。
【0045】[第2の実施の形態]次に、図3を参照して第2の実施の形態における列車検知装置200について説明する。図3は、本発明を適用した列車検知装置200における送信系の構成を示す図である。
【0046】第1の実施の形態では、有絶縁軌道回路だけでなく無絶縁軌道回路でも有効とする為、異なる周波数f1〜f6で変調した6パターンの列車検知信号により列車検知処理を行うものであった。この場合、上記周波数f1〜f6の列車検知信号はAMP121〜126からそれぞれ出力され、これら各AMP(例えば、AMP121)からの出力信号は機器室内でそれぞれ5つに分岐されて軌道回路側に出力された。
【0047】しかし、特に有絶縁軌道回路のみを対象とした場合、軌条絶縁破壊等により隣接軌道回路に信号が漏洩した場合でも、異なる4周波数の列車検知信号を用意すれば列車検知が可能となる。従って図3に示す列車検知装置200のように、AMP121〜124から現場機器までをそれぞれ1本のケーブルで接続し、現場において複数軌道に並列化(今の場合、5本に並列化)する構成が可能となる。
【0048】なお、列車検知装置200の送受信側にある処理部、及び受信部は、列車検知装置100の処理部110、及び受信部130と同一の構成によって成るものであり、図示及び説明を省略する。また、図3に示すように、列車検知装置200の送信部220は、列車検知装置100のAMP121〜124から構成されており、それぞれ4つの周波数f1〜f4の列車検知信号を増幅して軌道回路側へ出力する。特に、信号方式は、列車検知装置100の場合と同一であり、低周波(1.6Hz)で変調したFSK方式とする。
【0049】更に、説明簡略化の為、図3には、AMP122〜124に係る接続ケーブルの図示を省略したが、AMP122〜124に係るケーブルの構成は、AMP121の場合と同一であると共に、これら各ケーブルは、各軌道回路に対してf1〜f4の順序でサイクリックに繰り返すように軌道回路に接続される。
【0050】図3に示すように、AMP121は、MT210aを介してMT210bと直列接続される。MT210bの出力段には、5つの直列抵抗220a〜220eが並列に接続され、各直列抵抗220a〜220eは、それぞれZB(インピーダンスボンド)230a〜230eを介して有絶縁軌道回路240にそれぞれ接続される。ここで、現場のMT210bの出力インピーダンスは小さく設定され、その為、MT210bからの出力を定電圧特性に近づけることが可能となる。
【0051】この場合、AMP121から出力された周波数f1の列車検知信号は、MT210a、MT210bを介して直列抵抗220a〜220eにそれぞれ並列的に出力され、ZB230a〜230eを介してそれぞれ有絶縁軌道回路240に出力される。
【0052】以上説明したように、第2の実施の形態における列車検知装置200は、AMP121〜124からの送信ケーブルが現場内MT(例えば、MT210b)の出力段において5つに分岐して有絶縁軌道回路240にそれぞれ接続されると共に、その各分岐路には直列抵抗(例えば、直列抵抗220a〜220e)がそれぞれ直列に挿入された構成となっている。更に、現場内MTの出力インピーダンスは小さな値に設定されている。
【0053】従って、AMP121〜124からの送信ケーブルを現場で分岐することにより、機器室と現場機器との間のケーブル数の削減が可能となり、コストパフォーマンスの向上が図られる。
【0054】更に、現場内MTの低出力インピーダンスにより現場送信出力の定圧化、及び、これら現場内MTからの各分岐路に直列抵抗を挿入したことにより負荷変動の軽減化が図られる。これによって、有絶縁軌道回路240上の任意の送信点において、列車の車軸による短絡があった際、他の軌道回路における列車検知性能に及ぼす影響が緩和される。
【0055】更に、列車検知信号を複数軌道に並列送信する為、各軌道回路への伝送損失が増えるが、電源周波数の高調波を避けた搬送波周波数を選定すること、及び狭帯域FSK波受信検定方式を採用することにより、耐雑音特性、受信感度の向上が図られると共に、送信電力の確保が図れる。
【0056】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、制御手段と複数の軌道回路とを接続する各ケーブル上に直列抵抗を挿入して、各軌道回路における負荷変動が及ぼす影響を軽減したので、同一周波数を有する信号を上記複数の軌道回路に並列送信してもこれら各軌道回路における電圧の独立性の確保が可能になると共に、複数の軌道回路に対して制御手段の共有が可能になるので、機器数の削減とコストの抑制、及び機器設置スペースの縮小化が可能となる。
【0057】請求項2記載の発明によれば、制御部と所定数の有絶縁軌道回路とを接続するケーブルがこれら有絶縁軌道回路の近傍で分岐され、上記制御部と上記所定数の有絶縁軌道回路との間の接続ケーブルの数が削減されるので、コストパフォーマンスが更に向上した列車検知装置を実現できる。
【0058】請求項3記載の発明によれば、制御手段が複数の軌道回路における列車の有無を検知できるので、列車検知装置における制御手段の数を削減することができ、機器設置面積の縮小化と共に、経済性の向上が図られる。
【0059】請求項4記載の発明によれば、制御手段における出力インピーダンスを列車の車軸により短絡された軌道回路におけるインピーダンスよりも小さく設定したので、上記制御手段からの出力信号が定電圧特性に近づいて、各軌道回路における負荷変動が列車検知に及ぼす影響を更に軽減化でき、列車検知装置の列車検知精度を向上できる。
【出願人】 【識別番号】000001292
【氏名又は名称】株式会社京三製作所
【出願日】 平成13年3月22日(2001.3.22)
【代理人】 【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司 (外1名)
【公開番号】 特開2002−274376(P2002−274376A)
【公開日】 平成14年9月25日(2002.9.25)
【出願番号】 特願2001−83196(P2001−83196)