| 【発明の名称】 |
ブレーキマスタシリンダ |
| 【発明者】 |
【氏名】三田 克宏
【氏名】榎本 直泰
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| 【要約】 |
【課題】ばね保持スリーブ内やピストンの内孔内のエアを確実に外部に放出可能なエア抜き性の高いブレーキマスタシリンダを提供すること。
【解決手段】一端に外向フランジ35a、38aを有し他端に内向フランジ35c、38cを有するばね保持スリーブ35、38と、内向フランジ35c、38cによって形成された挿通孔35d、38dに挿通された中央円筒部33b、36bと中央円筒部33b、36bの一端に設けられてばね保持スリーブ35、38の内径部35e、38e内に挿通されたフランジ33a、36aと中央円筒部33b、36bの他端に設けられたプレート34、37とを有するロッド33、36とから、ばね取付け高さセット機構を構成し、内径部35e、38eとフランジ33a、36aとの半径方向隙間は、挿通孔35d、38dと中央円筒部33b、36bとの半径方向隙間より小さくした。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 一端にて開口する内孔を有する少なくとも1個のピストンと、前記ピストンの内孔に配設されたばねと、前記ばねが前記内孔内に配設される際の取付け長さを所定値に保つとともに前記内孔内に配設されたばね取付け高さセット機構とを備えたブレーキマスタシリンダにおいて、前記ばね取付け高さセット機構は、一端に外向フランジを有し他端に内向フランジを有するばね保持スリーブと、前記内向フランジによって形成された挿通孔に挿通された中央円筒部と前記中央円筒部の一端に設けられて前記ばね保持スリーブの内径部内に挿通されたフランジと前記中央円筒部の他端に設けられたプレートとを有するロッドとからなり、前記ばね保持スリーブは、前記外向フランジ側にブレーキ液の出入り口を有するとともに、前記ばね保持スリーブの内径部と前記フランジとの半径方向隙間は、前記挿通孔と前記中央円筒部との半径方向隙間より小さいことを特徴とするブレーキマスタシリンダ。 【請求項2】 一端にて開口する内孔を有する少なくとも1個のピストンと、前記ピストンを摺動自在に支持するシリンダハウジングと、前記ピストンの内孔に配設されたばねとを備えたブレーキマスタシリンダにおいて、前記シリンダハウジング内に、前記ピストンのストロークに伴って前記ピストンの前記内孔内に進入し、前記ピストンの前記内孔内の容積を減少させる中実部材が設けられていることを特徴とするブレーキマスタシリンダ。 【請求項3】 請求項2において、前記中実部材は、前記シリンダハウジング内または前記ピストンの底部の後方において前記内孔に向かって設けられるとともに、前記ピストンのストローク量を所定値に規制するストッパであることを特徴とするブレーキマスタシリンダ。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、車両のブレーキ装置に使用されるマスタシリンダすなわちブレーキマスタシリンダに関する。 【0002】 【従来の技術】一端にて開口する内孔を有する少なくとも1個のピストンと、ピストンの内孔に配設されたばねと、ばねが内孔内に配設される際の取付け長さを所定値に保つとともに内孔内に配設されたばね取付け高さセット機構とを備えたブレーキマスタシリンダが既に知られており、例えば特許登録第2898378号公報(第1の従来技術)に記載されている。 【0003】上記公報に記載されたブレーキマスタシリンダにおいては、ばね保持スリーブとロッドとによってばね取付け高さセット機構が構成され、ブレーキマスタシリンダを傾斜させて車体に取り付けることによって、ばね保持スリーブ内のエア抜きが行われている。さらに、ばね保持スリーブの内径部内をロッドが移動することによるばね保持スリーブの内径部内の容積変化によって、ばね保持スリーブ内のエア抜きが行われている。すなわち、ロッドによって押し出されたブレーキ液中のエアが、ばね保持スリーブの外向フランジに設けられた溝を介して圧力室およびブレーキ配管に向けて抜けていくものである。 【0004】また、一端にて開口する内孔を有する少なくとも1個のピストンと、ピストンを摺動自在に支持するシリンダハウジングと、ピストンの内孔に配設されたばねとを備えたブレーキマスタシリンダが既に知られており、例えば特開平8−113129号公報(第2の従来技術)に記載されている。 【0005】上記公報に記載されたブレーキマスタシリンダにおいては、ブレーキマスタシリンダを傾斜させて車体に取り付けることによって、ピストンの内孔内のエア抜きが行われている。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、第1の従来技術にかかるブレーキマスタシリンダの構成では、ばね保持スリーブの外向フランジに設けられた溝の開口方向が、常に上方を向くとは限らず、たとえブレーキマスタシリンダを傾斜させて車体に取り付けたとしても、ばね保持スリーブ内にエアが残留する可能性が大きい。また、ばね保持スリーブの内径部とロッドとの半径方向隙間が大きく、ロッドによるブレーキ液の押し出しが十分に行なわれずばね保持スリーブ内にエアが残留する可能性が大きい。そして、ばね保持スリーブ内ひいては圧力室内でのエアの残留は、エアの圧縮によるブレーキペダルストロークの増大や制動力不足につながる。 【0007】また、第2の従来技術にかかるブレーキマスタシリンダの構成では、ブレーキ液の流動がほとんど発生しないピストンの内孔内にエアが残留する可能性が大きい。 【0008】本発明は、以上の事情を背景に為されたものであり、ばね保持スリーブ内やピストンの内孔内のエアを確実に外部に放出可能なエア抜き性の高いブレーキマスタシリンダを提供することをその技術的課題とするものである。 【0009】 【課題を解決する手段】上記技術的課題を解決するために、請求項1に記載のように、一端にて開口する内孔を有する少なくとも1個のピストンと、前記ピストンの内孔に配設されたばねと、前記ばねが前記内孔内に配設される際の取付け長さを所定値に保つとともに前記内孔内に配設されたばね取付け高さセット機構とを備えたブレーキマスタシリンダにおいて、前記ばね取付け高さセット機構は、一端に外向フランジを有し他端に内向フランジを有するばね保持スリーブと、前記内向フランジによって形成された挿通孔に挿通された中央円筒部と前記中央円筒部の一端に設けられて前記ばね保持スリーブの内径部内に挿通されたフランジと前記中央円筒部の他端に設けられたプレートとを有するロッドとからなり、前記ばね保持スリーブは、前記外向フランジ側にブレーキ液の出入り口を有するとともに、前記ばね保持スリーブの内径部と前記フランジとの半径方向隙間は、前記挿通孔と前記中央円筒部との半径方向隙間より小さいことを特徴とするブレーキマスタシリンダを構成した。 【0010】請求項1にかかる発明によれば、ばね保持スリーブの内径部とフランジとの半径方向隙間が、挿通孔と中央円筒部との半径方向隙間より小さいため、中央円筒部が進入することによるばね保持スリーブの内径部内の容積減少と、フランジによるブレーキ液の押出しとによって、エアを含むブレーキ液が出入り口を介して確実にばね保持スリーブの内径部内から排出され、ばね保持スリーブの内径部内でのエアの残留が防止される。また、ブレーキマスタシリンダを傾斜させて車体に取り付ける必要がなく、ブレーキマスタシリンダおよび車体の設計自由度が向上する。 【0011】次に、請求項2に記載のように、一端にて開口する内孔を有する少なくとも1個のピストンと、前記ピストンを摺動自在に支持するシリンダハウジングと、前記ピストンの内孔に配設されたばねとを備えたブレーキマスタシリンダにおいて、前記シリンダハウジング内に、前記ピストンのストロークに伴って前記ピストンの前記内孔内に進入し、前記ピストンの前記内孔内の容積を減少させる中実部材が設けられていることを特徴とするブレーキマスタシリンダを構成した。 【0012】請求項2にかかる発明によれば、シリンダハウジング内に、ピストンのストロークに伴ってピストンの内孔内に進入し、ピストンの内孔の容積を減少させる中実部材が設けられているため、ピストンの前進に伴ってエアを含むブレーキ液が確実に内孔内から排出され、内孔内でのエアの残留が防止される。また、ブレーキマスタシリンダを傾斜させて車体に取り付ける必要がなく、ブレーキマスタシリンダおよび車体の設計自由度が向上する。 【0013】次に、請求項3に記載のように、前記中実部材は、前記シリンダハウジング内または前記ピストンの底部の後方において前記内孔に向かって設けられるとともに、前記ピストンのストローク量を所定値に規制するストッパであることを特徴とするブレーキマスタシリンダを構成した。 【0014】請求項3にかかる発明によれば、ピストンの内孔の底部とストッパたる中実部材とが当接してピストンストロークを規制する構成のため、ピストンの筒状部分に必要以上の強度が要求されず、ピストンの筒状部分の肉厚を薄くすることが可能となって軽量化につながる。なお、上記においては、シリンダハウジング内に設けられたストッパが、前方(車両の前方向)に位置する第2ピストンの内孔内に進入する場合であるが、第2ピストンの底部に第1ピストンに向かってストッパを設けることも可能である。 【0015】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面に基いて説明する。 【0016】図1、図2および図3は、本発明の第1の実施例にかかるブレーキマスタシリンダの断面図であり、図3は、第1の実施例にかかるばね保持スリーブの断面図である。 【0017】ブレーキマスタシリンダは、ボディ11とキャップ12(カバーということもある)によって構成されるシリンダハウジング10と、このシリンダハウジング10に組付けられたシールカップ21、スペーサ22、ピストンスリーブ23、シールカップ24、スペーサ25、ガイド26と、第1ピストン31、第2ピストン32とを備えている。 【0018】ボディ11は、金属製で一端(図1において右端)にて開口する段付の内孔11aを有するとともに、リザーバ(図示せず)にコネクタ19を介して接続されるリザーバ接続ポート11b、11cと、ブレーキ配管(図示せず)を介してホイールシリンダ(図示せず)に接続される送出ポート11d、11eを有していて、内孔11aの開口端部にはめねじ部11fが形成されている。また、ボディ11の内孔11aには、ボディ11と第2ピストン32との間に形成されて送出ポート11eが連通する第2圧力室R2を液密的にシールするシールカップ21がスペーサ22とともに組付けられている。スペーサ22は、環状に形成されていて、シールカップ21とピストンスリーブ23との間に介装されており、内外周にて軸方向の液流通を許容するとともに、第2圧力室R2に圧力が発生した時にシールカップ21の一部が後述するピストンスリーブ23のリザーバ連通路23aに食い込むことを抑制する。 【0019】キャップ12は、金属製でボディ11のめねじ部11fに螺合するおねじ部12aを中間部外周に有するとともに、ボディ11の内孔11aに嵌合してピストンスリーブ23の小径部を収容する筒部12bを有している。また、キャップ12は、Oリング13、14を介してボディ11に液密的に組付けられていて、シールカップ21、スペーサ22及びピストンスリーブ23を筒部12bの端面にて抜け止めするとともに、シールカップ24、スペーサ25及びガイド26を段付内孔12cの右端段部12c1にて抜け止めしている。 【0020】スペーサ25は、環状に形成されていて、シールカップ24とガイド26との間に介装されており、内外周にて軸方向の液流通を許容するとともに、第1圧力室R1に圧力が発生したときにシールカップ24の一部がガイド26の連通溝26aに食い込むことを抑制する。 【0021】また、キャップ12の右端部内周にはシールカップ15が組付けられ、キャップ12の右端部外周にはOリング16が組付けられている。Oリング13は、キャップ12の左端部外周に組付けられてボディ11とキャップ12との間を液密的にシールしており、Oリング14は、Oリング13より右方にてボディ11の内周に組付けられてボディ11とキャップ12との間を液密的にシールしている。シールカップ15は、キャップ12と第1ピストン31との間を液密的にシールしており、Oリング16は、ブレーキブースタ(図示せず)とキャップ12との間を気密的にシールするものである。なお、キャップ12の右端外周は、六角形状に形成されていて、この部位を工具にて回転させることにより、キャップ12がボディ11に脱着される。 【0022】ピストンスリーブ23は、外周に段部を有する円筒状の樹脂成形品であって、左端部内周にはシールカップ27が組付けられ、左端部外周にはOリング28が組付けられており、ボディ11の内孔段部とキャップ12の筒部12bの端面によって挟持されている。シールカップ27は、ピストンスリーブ23と第2ピストン32との間を液密的にシールしており、Oリング28は、ピストンスリーブ23とボディ11との間を液密的にシールしている。 【0023】また、ピストンスリーブ23には、リザーバ連通路23a、連通溝23bが設けられるとともに、溝23cと突起23dが設けられている。リザーバ連通路23aは、ピストンスリーブ23の大径左端部に傾斜して形成されていて、周方向にて所定の間隔で複数個設けられており、ボディ11とピストンスリーブ23との間に形成される環状通路P1を通してリザーバ接続ポート11cに常に連通するとともに、スペーサ22と第2ピストン32との間の隙間を通して第2ピストン32に設けられたピストンポート32aに連通している。 【0024】連通溝23bは、ピストンスリーブ23の内周に軸方向に沿って直線状に設けられていて、周方向にて所定の間隔で複数個設けられており、第1ピストン31と第2ピストン32との間に形成される第1圧力室R1とシールカップ24、27のカップ凹部を常に連通させている。 【0025】溝23cは、ピストンスリーブ23の小径部と大径部にわたって形成されていて、軸方向に延びており、径方向にて開口して第1圧力室R1を送出ポート11dに常に連通させる。 【0026】突起23dは、ピストンスリーブ23の小径右端部に形成されていて、軸方向に突出しており、シールカップ24のカップ凹部に突入している。 【0027】ガイド26は、樹脂製で円筒状に形成されていて、キャップ12の内孔12cに組付けられており、外周から両端にまで延びる連通溝26aが設けられている。連通溝26aは、ガイド26の外周に軸方向に沿って形成されるとともにガイド26の両端部に径方向に沿って形成されてコ字状となっていて、周方向にて所定の間隔で複数個設けられており、シールカップ24の背面に近接してスペーサ25とにより第1連通路を形成している。 【0028】また、連通溝26aは、前端部分にてキャップ12に設けられた環状みぞ12d及び連通孔12eからなる第2連通路と、ボディ11とキャップ12との間に形成される環状通路P3とを通して、リザーバ接続ポート11bに常に連通するとともに、スペーサ25と第1ピストン31との間の隙間を通して、第1ピストン31に設けたピストンポート31aに連通し、ガイド26の後端部にてキャップ12と第1ピストン31との間を通してシールカップ15のカップ凹部に常に連通している。 【0029】キャップ12に設けた環状溝12dは、シールカップ24の外径より大径で、シールカップ24の背面に近接して形成されていて、その外周壁が前方に向けて大径となるテーパ形状に形成されており、キャップ12の内周に向けて開口してガイド26の連通溝26aに連通している。また、連通孔12eは、キャップ12の外周から環状溝12dの前方外周部位に向けて穿設されていて、環状溝12dと環状通路P3とを連通させており、環状通路P3に向けて上方に傾斜している。なお、連通孔12eは、リザーバ接続ポート11bをガイド26より前方に配置させるために有効な構成であり、かかる構成によれば当該ブレーキマスタシリンダの車両への搭載性が良好となる。 【0030】第1ピストン31(ピストン)は、キャップ12を通してシリンダハウジング10内に嵌挿されていて、スリーブ23とガイド26とによって軸方向へ摺動可能に支持されている。第1ピストン31の内孔31b内には、後述する第1スプリングS1(ばね)、第1ばね保持スリーブ35(ばね保持スリーブ)、第1ロッド33(ロッド)が収容されている。 【0031】第1ロッド33は、中央部分の中央円筒部33bと左端部に設けられたフランジ33aと右端部に設けられた第1リテーナ34(プレート)から構成され、第1リテーナ34を介して第1ピストン31に一体的に組付けられていて、第1ピストン31と一体的に軸方向へ移動する。第1リテーナ34は、第1スプリングS1のスプリングリテーナをかねていて、第1ロッド33の右端部に嵌着固定されるとともに、第1ピストン31の内孔31bの底部31cに圧入によって嵌合固定されている。 【0032】第1ばね保持スリーブ35は、第1スプリングS1と第2ピストン32(ピストン)との間に介装されていて、右端部の内向フランジ35cにて第1ロッド33のフランジ33aと左方に向けて離脱可能に係合している。また、第1ばね保持スリーブ35は、左端に外向フランジ35aが設けられていて、外向フランジ35aには半径方向外方に向けて延びる半径方向突出部35aを有している。さらに、外向フランジ35aには、第1ばね保持スリーブ35の内径部35eと第1圧力室R1とを連通する連通溝35fが設けられている。 【0033】第1スプリングS1は,第1ピストン31に嵌合固定された第1リテーナ34と第1リテーナ34に嵌着固定された第1ロッド33と第1ロッド33に係合された第1ばね保持スリーブ35とによって、所定の取付け高さになるように縮設されている。 【0034】第2ピストン32(ピストン)は、第1ピストン31に対して同軸的に配置されていて、シリンダハウジング10内にてスリーブ23によって軸方向へ摺動可能に支持されている。第2ピストン32の内孔32b内には、後述する第2スプリングS2(ばね)、第2ばね保持スリーブ38(ばね保持スリーブ)、第2ロッド36(ロッド)が収容されている。 【0035】第2ロッド36は、中央部分の中央円筒部36bと左端部に設けられたフランジ36aと右端部に設けられた第2リテーナ37(プレート)から構成され、第2リテーナ37を介して第2ピストン32に一体的に組付けられていて、第2ピストン32と一体的に軸方向へ移動する。第2リテーナ37は、第2スプリングS2のスプリングリテーナをかねていて、第2ロッド36の右端部に嵌着固定されるとともに、第2ピストン32の内孔32bの底部32cに圧入によって嵌合固定されている。 【0036】第2ばね保持スリーブ38は、シリンダハウジング10と第2ピストン32との間に介装されていて、右端部の内向フランジ38cにて第2ロッド36のフランジ36aと左方に向けて離脱可能に係合している。また、第2ばね保持スリーブ38は、左端に外向フランジ38aが設けられていて、この外向フランジ38aには、第2ばね保持スリーブ38の内径部38eと第2圧力室R2とを連通する連通溝38fが設けられている。 【0037】ここで、第2ばね保持スリーブ38の内径部38eと第2ロッド36のフランジ36aとの半径方向の隙間Aは、第2ばね保持スリーブ38の挿通孔38dと第2ロッド36の中央円筒部36bとの半径方向の隙間Bよりも小さく設定されている。なお、第1ピストン31側においても、上記と同様な寸法関係となっている。 【0038】第2スプリングS1は,第2ピストン32に嵌合固定された第2リテーナ37と第2リテーナ37に嵌着固定された第2ロッド36と第2ロッド36に係合された第2ばね保持スリーブ38とによって、所定の取付け高さになるように縮設されている。 【0039】上記のようにに構成した第1の実施例においては、当該ブレーキマスタシリンダが車両に組付けられ、シリンダハウジング10内にブレーキ液が充填された状態にて、第1ピストン31が図1の左方に押し込まれて軸方向移動すると、第1ピストン31のピストンポート31aがシールカップ24を通過することにより、第1圧力室R1とリザーバ接続ポート11bとの連通が遮断されて第1圧力室R1内に圧力が生じる。 【0040】また、このときには、第2ピストン32が図1の左方に押し込まれて軸方向移動し、第2ピストン32のピストンポート32aがシールカップ21を通過することにより、第2圧力室R2とリザーバ接続ポート11cとの連通が遮断されて第2圧力室R2内に圧力が生じる。このため、第1圧力室R1から送出ポート11d(ホイールシリンダに接続されるポート)に向けて圧液が押し出されるとともに、第2圧力室R2から送出ポート11e(ホイールシリンダに接続されるポート)に向けて圧液が押し出されて制動作用が得られる。 【0041】ところで、ブレーキマスタシリンダが車両に組付けられ、シリンダハウジング10内にブレーキ液が充填される際に、通常はブレーキ液中に含まれるエアを抜くいわゆるエア抜き作業が行なわれる。この作業は、マスタシリンダリザーバにブレーキ液を注入しつつブレーキペダルを所要回強く踏み込んでは解放し、ブレーキ液中に含まれる気泡状のエアを、送出ポート、ホイールシリンダ、ホイールシリンダに設けられたブリーダを介して大気に放出させる、いわゆるポンピングと呼ばれる動作を行なうものである。この作業においてエアが完全に抜けきらないと、ブレーキペダルの踏込み動作によって気泡状のエアが収縮させられ、レーキペダルストロークの増大や制動力不足につながる虞があった。特に、スプリングの取付けをばね保持スリーブとロッドとによる挟込みで行なうタイプのブレーキマスタシリンダにおいては、ばね保持スリーブ内のエアが圧力室に抜け難いという問題があった。 【0042】しかしながら、図1、図2及び図3に示される第1の実施例によれば、第2ばね保持スリーブ38の内径部38eと第2ロッド36のフランジ36aとの半径方向の隙間Aは、第2ばね保持スリーブ38の挿通孔38dと第2ロッド36の中央円筒部36bとの半径方向の隙間Bよりも小さく設定されているため、中央円筒部36bが進入することによる第2ばね保持スリーブ38の内径部38e内の容積減少と、フランジ36aによるブレーキ液の押出しとによって、エアを含むブレーキ液が出入り口38fを介して確実に第2ばね保持スリーブ38の内径部38e内から排出され、第2ばね保持スリーブ38の内径部38e内でのエアの残留が防止される。また、ブレーキマスタシリンダを傾斜させて車体に取り付ける必要がなく、ブレーキマスタシリンダおよび車体の設計自由度が向上することになる。 【0043】図4は、本発明の第2の実施例にかかるブレーキマスタシリンダの断面図である。 【0044】図4に示される第2の実施例は、第1の実施例に対して、第2ばね保持スリーブ38と第2ロッド36の取付け方向を逆転させたものであり、シリンダハウジング10の内部形状等にあわせて、適宜第2の実施例の構成をとることが可能であり、ブレーキマスタシリンダの設計自由度の向上につながる。 【0045】図5は、本発明の第3の実施例にかかるブレーキマスタシリンダの断面図である。 【0046】第3の実施例は、第1スプリングS1と第2スプリングS2双方の取付け高さをばね保持スリーブとロッドとによる挟込みで行なう第1および第2の実施例とは異なり、第1ピストン31の後退量をシリンダハウジン10に設けられた後退量制限機構によって規制し、その結果としてシリンダハウジン10と第2ピストン32のみによって第2スプリングS2を所定の取付け高さとするものである。 【0047】第3の実施例においては、シリンダハウジン10と第2ピストン32との間に、第2スプリングS2とストッパ138(中実部材)が配設され、ストッパ138の端面138cと第2ピストン32の底面32dとの当接によって、第2ピストン32のストロークを所定値Cに規制するものである。 【0048】第2ピストン32の前進に伴い、第2ピストン32の内孔32b内にストッパ138が進入し、内孔32b内の容積が減少することによって、エアを含むブレーキ液が確実に内孔32b内から排出され、内孔32b内でのエアの残留が防止される。また、ストッパ138の端面138cと第2ピストン32の底面32dとの当接によって第2ピストン32のストロークを規制する構成のため、第2ピストン32の筒状部分38eに必要以上の強度が要求されず、第2ピストン32の筒状部分38eの肉厚を薄くすることが可能となって軽量化につながる。 【0049】図6は、本発明の第4の実施例にかかるブレーキマスタシリンダに用いられる第2ピストンの断面図である。 【0050】第4の実施例も第3の実施例と同様、第1スプリングS1と第2スプリングS2双方の取付け高さをばね保持スリーブとロッドとによる挟込みで行なう第1および第2の実施例とは異なり、第1ピストン31の後退量をシリンダハウジン10に設けられた後退量制限機構によって規制し、その結果としてシリンダハウジン10と第2ピストン201のみによって第2スプリングS2を所定の取付け高さとするものである。 【0051】第4の実施例においては、ピストン部232の底部に第1ピストン31の内孔に向かって一体的にストッパ部238(中実部材)を設けたものであり、部品点数が削減されて低コスト化が図られる。なお、製造上あるいは組付け上の都合により、ピストン部232とストッパ部238とを別体としてもよい。 【0052】 【発明の効果】本発明によれば、ばね保持スリーブ内やピストンの内孔内のエアを確実に外部に放出可能なエア抜き性の高いブレーキマスタシリンダを提供することが可能となる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000011 【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年7月26日(2000.7.26) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2002−37049(P2002−37049A) |
| 【公開日】 |
平成14年2月6日(2002.2.6) |
| 【出願番号】 |
特願2000−225709(P2000−225709) |
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