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【発明の名称】 乗員センサ
【発明者】 【氏名】青木 洋

【氏名】吉岡 大輔

【要約】 【課題】チャイルドシートをシートベルトにより固定する場合においても、座席に乗っているものがチャイルドシートか大人かを確実に判別することが可能な乗員センサを提供する。

【解決手段】まず、ステップS11において、シートベルト引き出し量センサ(スイッチ)がオンであるかどうかを検出する。もし、オンである場合は、チャイルドシートが装着されているものと判断して、ステップS14に移行し、乗員の判断を子供又はチャイルドシートであるとする。シートベルト引き出し量センサがオンでない場合は、ステップS12に移行して、シート荷重センサの荷重検出値が30kg以上であるかどうか判断し、30kg以上である場合には、ステップS13に移行して乗員の判断を大人であるとする。30kg以上でない場合には、ステップS14に移行し、乗員の判断を子供又はチャイルドシートであるとする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 乗用車のシートに搭乗している乗員の種類とチャイルドシートを識別する乗員センサであって、シートに搭乗している乗員又はシート上に積載されている物の重量を検出するシート荷重センサと、シートベルトの引き出し量が所定以上であることを検出するシートベルト引き出し量センサとを有してなり、(1) シートベルト引き出し量センサの検出信号がオンとなっているときは、シート荷重センサの値にかかわらず、チャイルドシートが搭載されていると判断し、(2) シートベルト引き出し量センサの検出信号がオフとなっているときは、(a) シート荷重センサの値が所定値より小さいときに、チャイルドシートが搭載されているか、子供が搭乗していると判断し(b) シート荷重センサの値が前記所定値以上のときに、大人が搭乗していると判断することを特徴とする乗員センサ。
【請求項2】 乗用車のシートに搭乗している乗員の種類とチャイルドシートを識別する乗員センサであって、シートに搭乗している乗員又はシート上に積載されている物の重量を検出するシート荷重センサと、シートベルトの引き出し量が所定以上であることを検出するシートベルト引き出し量センサとを有してなり、(a) シート荷重センサの値が所定値より小さいときに、チャイルドシートが搭載されているか、子供が搭乗していると判断し(b) シート荷重センサの値が前記所定値以上のときに、大人が搭乗していると判断するものにおいて、シートベルト引き出し量センサの検出信号がオンとなっているときは、オフとなっているときより、前記所定値の値を大きくすることを特徴とする乗員センサ。
【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載の乗員センサであって、シートベルトのバックルとタングが係合したことを検知するバックルスイッチを有してなり、前記シートベルト引き出し量センサのオン信号を、バックルスイッチの信号がオンとなっているときのみ有効とすることを特徴とする乗員センサ。
【請求項4】 請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の乗員センサであって、前記シートベルト引き出し量センサが、ALRリトラクタ又は、ALR切替機能付きELRリトラクタのロック機構に結合されていることを特徴とする乗員センサ。
【請求項5】 請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の乗員センサであって、前記シートベルト引き出し量センサが、ALR切替機能付きELRリトラクタのALR切替センサであることを特徴とする乗員センサ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、乗用車のシートに搭乗している人間の種類とチャイルドシートを識別する乗員センサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】乗用車においては、衝突等の事故の発生時に乗員を保護するためにエアバッグ装置が設けられているのが普通である。このエアバッグは、乗員が子供であったあり、チャイルドシートに乗せられた幼児であったりする場合には、エアバッグをソフト展開させたり、展開させなかったりするような制御が行われるようになってきている。
【0003】このような制御を行うためには、座席に搭乗している人間が子供か大人かを判定すると共に、人間かチャイルドシートかを判定する必要がある。この目的のために、従来、シート上に乗っているものの重量を測定し、それから、乗員の種別とチャイルドシートの搭載を判断することが行われてきた。たとえば、シートの下部に荷重センサを設置し、それによりシート上に乗っているものの重量を測定し、その重量が所定値(たとえば30kg)以上であれば大人が乗っており、所定値未満であれば子供が乗っているかチャイルドシートが積載されていると判断する方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記の方法には、以下のような問題点があった。すなわち、チャイルドシートを座席に固定する方式のひとつとして、シートベルトを使用して固定する方法がある。この場合、シートベルトで強力にチャイルドシートを固定するので、シートベルトの張力がシート荷重センサに作用し、実際に搭載されているチャイルドシートの荷重よりも大きな荷重が検出されてしまう場合がある。この場合には、チャイルドシートに幼児が乗せられているにもかかわらず、大人が搭乗していると誤判断されてしまう可能性がある。
【0005】本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、前述のようなシートベルト張力の影響による誤判断を防止できると共に、チャイルドシートをシートベルトにより固定する場合においても、座席に乗っているものがチャイルドシートか大人かを確実に判別することが可能な乗員センサを提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するための第1の手段は、乗用車のシートに搭乗している乗員の種類とチャイルドシートを識別する乗員センサであって、シートに搭乗している乗員又はシート上に積載されている物の重量を検出するシート荷重センサと、シートベルトの引き出し量が所定以上であることを検出するシートベルト引き出し量センサとを有してなり、(1) シートベルト引き出し量センサの検出信号がオンとなっているときは、シート荷重センサの値にかかわらず、チャイルドシートが搭載されていると判断し、(2) シートベルト引き出し量センサの検出信号がオフとなっているときは、(a) シート荷重センサの値が所定値より小さいときに、チャイルドシートが搭載されているか、子供が搭乗していると判断し(b) シート荷重センサの値が前記所定値以上のときに、大人が搭乗していると判断することを特徴とする乗員センサ(請求項1)である。
【0007】本手段においては、シートベルトが全量引き出されたときにオンとなるシートベルト引き出し量センサを設けておき、このセンサがオンとなったときには、シート荷重センサの出力にかかわらず、チャイルドシートが搭載されているものと判断することにより、大人が搭乗している状態とチャイルドシートが搭載されている状態を区別することができる。
【0008】シートベルト引き出し量センサの信号がオフの時には、従来と同じように、シート荷重センサの値が所定値より小さいときに、チャイルドシートが搭載されているか、子供が搭乗していると判断し、シート荷重センサの値が前記所定値以上のときに、大人が搭乗していると判断するようにすればよい。
【0009】シートベルト引き出し量センサとしては、たとえば、シートベルト巻き取り装置のスプールにロータリーエンコーダを取り付け、その出力に応じてシートベルトが所定量引き出されたことを判断する等の方法により、簡単に実現することができる。
【0010】この所定量として、シートベルトの全量を採用すること、すなわち、シートベルトが全量引き出されたときにセンサが作動するようにすれば、体格の大きな大人が搭乗しているときでも、チャイルドシートが搭載されていると誤判断してしまうことを防止できる。このことは、他の手段(他の請求項)に係るシートベルト引き出し量センサについて同じである。
【0011】前記課題を解決するための第2の手段は、乗用車のシートに搭乗している乗員の種類とチャイルドシートを識別する乗員センサであって、シートに搭乗している乗員又はシート上に積載されている物の重量を検出するシート荷重センサと、シートベルトの引き出し量が所定以上であることを検出するシートベルト引き出し量センサとを有してなり、(a) シート荷重センサの値が所定値より小さいときに、チャイルドシートが搭載されているか、子供が搭乗していると判断し(b) シート荷重センサの値が前記所定値以上のときに、大人が搭乗していると判断するものにおいて、シートベルト引き出し量センサの検出信号がオンとなっているときは、オフとなっているときより、前記所定値の値を大きくすることを特徴とする乗員センサ(請求項2)である。
【0012】前記第1の手段においては、異常に体格の大きな大人が搭乗した場合に、シートベルトが多く引き出されてシートベルト引き出し量センサの検出信号がオンとなり、チャイルドシートが搭載されていると誤判断する可能性がある。本手段においては、基本的な判断の手法は、従来と同じように、シート荷重センサの値が所定値より小さいときに、チャイルドシートが搭載されているか、子供が搭乗していると判断し、シート荷重センサの値が所定値以上のときに、大人が搭乗していると判断することとしている。そして、その閾値である所定値の値を、シートベルト引き出し量センサの検出信号がオンとなっているときには、オフとなっているときより大きな値とするようにしている。
【0013】この大きな値は、チャイルドシートをシートベルトでシートに固定し、それに幼児が乗せられたときにシート荷重センサで検出される値よりも大きな値に設定するようにすればよい。これにより、体格が異常に大きな大人が搭乗したときに、チャイルドシートが搭載されていると誤判断されることがなくなり、しかも、大人とチャイルドシートとを確実に区別することができるようになる。
【0014】前記課題を解決するための第3の手段は、前記第1の手段又は第2の手段であって、シートベルトのバックルとタングが係合したことを検知するバックルスイッチを有してなり、前記シートベルト引き出し量センサのオン信号を、バックルスイッチの信号がオンとなっているときのみ有効とすることを特徴とする乗員センサ(請求項3)である。
【0015】シートベルトは、通常、シートベルトを挿通したタングを、バックルアンカに固定されたバックルに係合させることにより装着状態となる。このとき、タングがバックルに係合しているかどうかを検出し、係合しているときオンとなる信号を発するのがバックルスイッチであり、周知のものである。
【0016】本手段においては、前記シートベルト引き出し量センサのオン信号を、バックルスイッチの信号がオンとなっているときのみ有効とするようにしているので、装着が行われていない状態でシートベルトが引き出されたときに、チャイルドシートが装着されていると判断されることがない。
【0017】前記課題を解決するための第4の手段は、前記第1の手段から第3の手段のいずれかであって、前記シートベルト引き出し量センサが、ALRリトラクタ又は、ALR切替機能付きELRリトラクタのロック機構に結合されていることを特徴とする乗員センサ(請求項4)である。
【0018】ALRリトラクタとは、シートベルト巻き取り装置の1種であって、自動ロック式安全ベルトリトラクタとも呼ばれている。これは、シートベルトの引き出しを一旦止めると、巻き取り機構がシートベルトの引き出し方向への回転をロックされ、それ以上の引き出しができなくなり、巻き取りのみが可能となるようにしたものである。ALR切替機能付きELRリトラクタとは、たとえば実公平4−15557号公報に記載されているようなものであり、シートベルトが所定量引き出されるまでは、通常の緊急ロック式安全ベルトリトラクタ(ELR)として作動し、シートベルトが所定量引き出されるとALRリトラクタの機能に切り替わり、切り替わり後はシートベルトの巻き取りのみが可能となるようにしたものである。
【0019】いずれの方式のものも、シートベルトが所定量(通常は全量又は全量近く)引き出されたときには、それ以上の引き出しをロックする機構を有している。よって、たとえばこのロック機構のメカニズムにリミットスイッチを取り付け、それをシートベルト引き出し量センサとして使用することにより、シートベルト引き出し量センサの機構を簡単なものとすることができる。
【0020】前記課題を解決するための第5の手段は、前記第1の手段から第3の手段のいずれかであって、前記シートベルト引き出し量センサが、ALR切替機能付きELRリトラクタのALR切替センサであることを特徴とする乗員センサ(請求項5)である。
【0021】ALR切替機能付きELRリトラクタは、シートベルトが所定量(全量又は全量に近い量)引き出されるまでは、通常の緊急ロック式安全ベルトリトラクタ(ELR)として作動し、シートベルトが前記所定量引き出されたときに、それ以上の引き出しをロックし、巻取のみ可能となる自動ロック式ベルトリトラクタ(ALR)に切り替わる。シートベルトが前記所定量引き出されたことを検知するALR切替センサを有している場合は、それをシートベルト引き出し量センサとして使用すれば、他に特別のシートベルト引き出し量センサを設ける必要が無くなる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の例を、図を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態の1例を示す図である。シートクッション1とシートバック2は、サイドフレーム3を介してシートレールに支えられており、シートレールの下にはシート荷重センサ4が設けられている。サイドフレーム3には、バックルアンカ5が取り付けられており、バックルアンカ5にはバックル6が取り付けられている。
【0023】一方、車体のピラー7内には、シートベルト巻き取り装置8が取り付けられており、そこから延出するシートベルト9が、ピラー7の開口部7aから車内に出され、ショルダーアンカ10を通して、アウタアンカ11に固定されている。シートベルト9の、ショルダーアンカ10とアウタアンカ11の中間部分は、タング12の穴に挿通されている。
【0024】シートベルトを装着する場合は、タング12を持ってシートベルト9を引き出し、タング12をバックル6に係合させる。その状態で手を離すと、シートベルト巻き取り装置8によりシートベルト9が巻き取られて適当なテンションが与えられ、乗員やチャイルドシート13をシートに拘束する。
【0025】シートベルト巻き取り装置8には、シートベルト引き出し量センサ14が設けられており、その信号は、シートベルト9が所定量引き出されるとオンとなるようになっている。この実施の形態では、シートベルト巻き取り装置8のスプールにロータリーエンコーダを取り付け、その出力によりシートベルト9の引き出し量を検出するようにしている。そして、検出されたシートベルトの引き出し量が所定値以上となるとオン信号を発するようにしている。シートベルト引き出し量センサ14としては、たとえば、実公平4−15557号公報の第4図に示されている制動レバー30にリミットスイッチを取り付け、シートベルトが所定量引き出されて制動レバー30が働いたとき、リミットスイッチがオンとなるようにしてもよい。バックル6内にはバックルスイッチ15が取り付けられており、バックル6とタング12が係合したときオンとなるようになっている。
【0026】以下、このようなシートにおける乗員センサの動作について説明する。乗員センサはマイクロコンピュータを中心に構成されているので、動作は、フローチャートにより説明する。
【0027】図2は、乗員センサの動作の第1の例を示すフローチャートである。このフローチャートは、所定時間毎に起動される。まず、ステップS11において、シートベルト引き出し量センサ(スイッチ)がオンであるかどうかを検出する。
【0028】もし、オンである場合、すなわち、シートベルト9が所定量以上引き出されている場合は、チャイルドシートが装着されているものと判断して、ステップS14に移行し、乗員の判断を子供又はチャイルドシートであるとする。
【0029】シートベルト引き出し量センサがオンでない場合は、ステップS12に移行して、シート荷重センサの荷重検出値が30kg以上であるかどうか判断し、30kg以上である場合には、ステップS13に移行して乗員の判断を大人であるとする。30kg以上でない場合には、ステップS14に移行し、乗員の判断を子供又はチャイルドシートであるとする。
【0030】図3は、乗員センサの動作の第2の例を示すフローチャートである。このフローチャートは、所定時間毎に起動される。まず、ステップS21において、シートベルト引き出し量センサ(スイッチ)がオンであるかどうかを検出する。
【0031】もし、オンである場合、すなわち、シートベルト9が所定量以上引き出されている場合は、ステップS23に移行し、判断の基準に使用する閾値Nを大きな値である45kgとする。シートベルト引き出し量センサがオンでない場合には、ステップS22に移行し、判断の基準に使用する閾値Nを通常値である30kgとする。
【0032】いずれの場合も、その後ステップS24に移行し、シート荷重センサの荷重検出値が、ステップS22、S23で定めた閾値N以上であるかどうかを判断する。そして、N以上であればステップS25に移行して大人と判断する。N未満であればステップS26に移行して、子供又はチャイルドシートであると判断する。
【0033】図4は、乗員センサの動作の第3の例を示すフローチャートである。このフローチャートは、所定時間毎に起動される。まず、ステップS31において、シートベルト引き出し量センサ(スイッチ)がオンであるかどうかを検出する。
【0034】もし、オンである場合、すなわち、シートベルト9が所定量以上引き出されている場合は、ステップS32に移行して、バックルスイッチ15がオンとなっているか、すなわち、バックル6とタング12が係合しているかどうかを判断する。
【0035】バックルスイッチ15がオンとなっている場合は、チャイルドシートが装着されているものと判断して、ステップS35に移行し、乗員の判断を子供又はチャイルドシートであるとする。バックルスイッチ15がオンとなっていない場合は、ステップS33に移行する。
【0036】ステップS31でシートベルト引き出し量センサがオンでないと判断された場合は、直接ステップS33に移行する。ステップS33においては、シート荷重センサの荷重検出値が30kg以上であるかどうか判断し、30kg以上である場合には、ステップS34に移行して乗員の判断を大人であるとする。30kg以上でない場合には、ステップS35に移行し、乗員の判断を子供又はチャイルドシートであるとする。
【0037】なお、図3に示したフローチャートと図4に示したフローチャートを併せた動作をさせることもできる。即ち、ステップS31でYESのときN=45としてステップS33へ移行し、ステップS32でNOのときに、N=30としてステップS33へ移行するような動作である。
【0038】この実施の形態においては、特別なシートベルト引き出し量センサを設けているが、シートベルト巻き取り装置がALR切替機能付きELRリトラクタの場合で、ALR切替検知センサを有している場合は、それをシートベルト引き出し量センサとして用いれば、特別なシートベルト引き出し量センサを設ける必要が無くなる。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のうち請求項1に係る発明、請求項2に係る発明においては、チャイルドシートをシートベルトにより固定する場合においても、座席に乗っているものがチャイルドシートか大人かを確実に判別することができる。
【0040】請求項3に係る発明においては、これに加え、装着が行われていない状態でシートベルトが引き出されたときに、チャイルドシートが装着されていると判断されることがなくなる。
【0041】請求項4に係る発明においては、これらに加え、シートベルト引き出し量センサの機構を簡単なものとすることができる。
【0042】請求項5に係る発明においては、特別のシートベルト引き出し量センサを設ける必要が無くなる。
【出願人】 【識別番号】000108591
【氏名又は名称】タカタ株式会社
【出願日】 平成13年11月20日(2001.11.20)
【代理人】 【識別番号】100094846
【弁理士】
【氏名又は名称】細江 利昭
【公開番号】 特開2002−274326(P2002−274326A)
【公開日】 平成14年9月25日(2002.9.25)
【出願番号】 特願2001−354732(P2001−354732)