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【発明の名称】 インフレータ
【発明者】 【氏名】勝田 信行

【氏名】中安 雅之

【氏名】松田 直樹

【要約】 【課題】周囲温度の変化に影響されずにカーテン状エアバッグを膨張できるインフレータの提供。

【解決手段】カーテン用インフレータ10は、インフレータハウジング12内に音速400m/sec以上の不活性ガスからなる加圧媒質が充填されているので、常温以下の低い温度雰囲気においても、カーテン状エアバッグを瞬時に膨張できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 加圧媒質が充填され、一端側に開口部を持つインフレータハウジングと、インフレータハウジングの開口部側に固着され、作動時に開口部から流出する加圧媒質を外部に放出するためのガス排出口を備えたディフュザー部とを有しており、インフレータハウジングの開口部とディフュザー部との間の加圧媒質の流出経路が破裂板で閉塞され、更に前記破裂板の破壊手段が備えられているインフレータであり、下記の要件(a)、(b)及び(c)のうち1つを具備するインフレータ。
(a)インフレータハウジング内に充填された加圧媒質が、0℃、1013.25hPaにおける音速が400m/sec以上のものであること;
(b)インフレータハウジング内の加圧媒質の20℃の充填圧力が、40,000kPa以上であること;
(c)ガス排出口の総面積(A1)と開口部面積(A2)が、A1/A2≦1になるように設定されていること。
【請求項2】 加圧媒質が充填され、一端側に開口部を持つインフレータハウジングと、インフレータハウジングの開口部側に固着され、作動時に開口部から流出する加圧媒質を外部に放出するためのガス排出口を備えたディフュザー部とを有しており、インフレータハウジングの開口部とディフュザー部との間の加圧媒質の流出経路が破裂板で閉塞され、更に前記破裂板の破壊手段が備えられているインフレータであり、下記の要件(a)と(b)、要件(b)と(c)又は要件(a)と(c)を具備するインフレータ。
(a)インフレータハウジング内に充填された加圧媒質が、0℃、1013.25hPaにおける音速が400m/sec以上のものであること;
(b)インフレータハウジング内の加圧媒質の20℃の充填圧力が、40,000kPa以上であること;
(c)ガス排出口の総面積(A1)と開口部面積(A2)が、A1/A2≦1になるように設定されていること。
【請求項3】 加圧媒質が充填され、一端側に開口部を持つインフレータハウジングと、インフレータハウジングの開口部側に固着され、作動時に開口部から流出する加圧媒質を外部に放出するためのガス排出口を備えたディフュザー部とを有しており、インフレータハウジングの開口部とディフュザー部との間の加圧媒質の流出経路が破裂板で閉塞され、更に前記破裂板の破壊手段が備えられているインフレータであり、下記の要件(a)、(b)及び(c)の全てを具備するインフレータ。
(a)インフレータハウジング内に充填された加圧媒質が、0℃、1013.25hPaにおける音速が400m/sec以上のものであること;
(b)インフレータハウジング内の加圧媒質の20℃の充填圧力が、40,000kPa以上であること;
(c)ガス排出口の総面積(A1)と開口部面積(A2)が、A1/A2≦1になるように設定されていること。
【請求項4】 要件(a)の加圧媒質が、0℃、1013.25hPaにおける音速が900m/sec以上のものである請求項1〜3のいずれか1記載のインフレータ。
【請求項5】 要件(a)の加圧媒質が、不活性ガスのみから選ばれる1又は2以上の混合物である請求項1〜4のいずれか1記載のインフレータ。
【請求項6】 要件(a)の加圧媒質が、ヘリウム及び/又はネオンである請求項1〜5のいずれか1記載のインフレータ。
【請求項7】 加圧媒質を加熱するための燃焼手段を備えていない請求項1〜6のいずれか1記載のインフレータ。
【請求項8】 要件(c)が、A1/A2≦0.95である請求項1〜7のいずれか1記載のインフレータ。
【請求項9】 加圧媒質が充填され、一端側に開口部を持つインフレータハウジングと、インフレータハウジングの開口部側に固着され、作動時に開口部から流出する加圧媒質を外部に放出するためのガス排出口を備えたディフュザー部とを有しており、インフレータハウジングの開口部とディフュザー部との間の加圧媒質の流出経路が破裂板で閉塞され、更に前記破裂板の破壊手段が備えられているインフレータであり、ガス排出口が開放され、ディフュザー部内が常圧であるインフレータ。
【請求項10】 更に、下記の要件(a)、(b)及び(c)から選ばれる1、2又は3つの要件を具備する請求項9記載のインフレータ。
(a)インフレータハウジング内に充填された加圧媒質が、0℃、1013.25hPaにおける音速が400m/sec以上のものであること;
(b)インフレータハウジング内の加圧媒質の20℃の充填圧力が、40,000kPa以上であること;
(c)ガス排出口の総面積(A1)と開口部面積(A2)が、A1/A2≦1になるように設定されていること。
【請求項11】 破裂板の破壊手段がディフュザー部に設けられている請求項1〜10のいずれか1記載のインフレータ。
【請求項12】 ディフュザー部がフィルタを有しており、加圧媒質がフィルタを通ってガス排出口から外部に放出される請求項1〜11のいずれか1記載のインフレータ。
【請求項13】 インフレータハウジングが、パイプの一端側が閉塞され、他端側にディフュザー部が接続されたものである請求項1〜12のいずれか1記載のインフレータ。
【請求項14】 破裂板が、インフレータハウジングの開口部側又はディフュザー部側に取り付けられている請求項1〜13のいずれか1記載のインフレータ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種車両等に搭載される、主として車両が横方向から衝撃を受けたときに乗員を保護するためのインフレータに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】自動車両の膨張式安全システム用のインフレータには、運転席、助手席等の車両内の座席位置等に応じて最適な乗員保護ができるよう、運転席のエアバッグ用インフレータ、助手席のエアバッグ用インフレータ、サイドエアバッグ用インフレータ、カーテン用インフレータ、ニーボルスター用インフレータ、インフレータブルシートベルト用インフレータ、チューブラーシステム用インフレータ、プリテンショナー用インフレータ等の各種インフレータが知られている。
【0003】これらのインフレータの中でカーテン用インフレータは、車両が横方向からの衝撃を受けたときに、瞬時に車両の窓側に厚さが数cm程度のカーテン状のエアバックを膨張展開させるものである。このカーテン状エアバッグは、車両の横方向からの衝撃、更に車両が横転したときの衝撃から乗員を保護することを目的とするものであるため、エアバッグが膨張するまでの時間は前方又は後方からの衝撃を受けた場合に比べて短くする必要があり、更に横転時間を考慮すると膨張持続時間を数秒程度に設定する必要がある。
【0004】このようにカーテン用インフレータは、エアバッグを膨張させるまでの時間を短くし、かつ膨張持続時間を長くする必要があるため、ガス発生剤を使用せずに、加圧媒質のみによってエアバッグを膨張させる方式を採用している。ガス発生剤の燃焼ガスを利用する場合、瞬時に膨張させることはできるが、膨張したエアバッグ内部は高温になっているため、周囲温度との温度差によって冷却され、直ちにしぼんでしまう。
【0005】一方、加圧媒質のみを利用する場合、圧力が開放されることで加圧媒質温度が低下するので、エアバッグ内部の温度も低下しており、周囲温度との温度差によって暖められ、膨張時間を数秒程度まで持続できる。しかし、加圧媒質のみによる膨張では、周囲の環境温度が低い場合には、膨張時間が遅れる恐れがあり、製品としての信頼性を高める上で改善の余地がある。更に、横方向からの衝撃に対する乗員の保護を確実にするため、より短時間でエアバッグを膨張させることも要望されている。このようなカーテン用インフレータは、例えば、後部座席のピロー部分に取り付けられるものであり、設置場所の制限から出来るだけ小型化することが要求され、更には車両自体の軽量化の観点からも小型軽量化が要求されている。
【0006】なお、関連する先行技術として、USP5,527,066号明細書には、ヘリウムと水素を併用し、フレキシブル容器を膨張させる装置が開示されており、同5,782,486号明細書には、加圧された不活性ガスを用いたエアバッグ用のガス流装置が開示されており、同3,680,886号明細書には、窒素又はヘリウムでエアバッグを膨張させるエアバッグ装置が開示されている。
【0007】本発明は、作動性能が向上され、周囲の環境温度に影響されることなく、最大圧力までの到達時間が短くかつ最大圧力の維持時間が長いため、エアバッグの膨張速度及び膨張時間を好適に維持できるインフレータを提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のインフレータは、側面衝突に対するカーテン用インフレータ及びサイドインフレータのいずれとしても適用できるものであるが、以下においては、カーテン用インフレータとして適用した場合に基づいて説明する。
【0009】本発明は、上記課題の解決手段として、加圧媒質が充填され、一端側に開口部を持つインフレータハウジングと、インフレータハウジングの開口部側に固着され、作動時に開口部から流出する加圧媒質を外部に放出するためのガス排出口を備えたディフュザー部とを有しており、インフレータハウジングの開口部とディフュザー部との間の加圧媒質の流出経路が破裂板で閉塞され、更に前記破裂板の破壊手段が備えられているインフレータであり、下記の要件(a)、(b)及び(c)のうち1、2又は3つを具備するインフレータを提供する。
【0010】要件(a):インフレータハウジング内に充填された加圧媒質が、0℃、1013.25hPaにおける音速が400m/sec以上のものであること;車両は、夏季から冬季までの幅広い温度範囲で使用されるため、各種インフレータも幅広い温度範囲で確実に作動できることが重要となる。加圧媒質の音速が小さいと、常温以下では加圧媒質の放出速度が小さくなって、カーテン状エアバッグの膨張が遅れるような事態も考えられるが、要件(a)を具備することで、周囲の環境温度に関係なく、カーテン状エアバッグを瞬時にかつ確実に膨張させ、しかも数秒程度の膨張時間を確保でき、更にエアバッグの膨張時間をより短くすることができる。
【0011】加圧媒質は、0℃、1013.25hPa(1atm)における音速が700m/sec以上のものが好ましく、900m/sec以上のものがより好ましい。
【0012】加圧媒質は、0℃、1013.25hPaにおける音速を400m/sec以上にできるものであれば特に限定されないが、安全性等の観点から、ヘリウム(970m/sec)、ネオン(435m/sec)、アルゴン(319m/sec)、窒素ガス(337m/sec)等の不活性ガスのみから選ばれる単独のもの又は2以上の混合物が好ましく、ヘリウム及び/又はネオンがより好ましいが、それ以外にも、例えばヘリウムに窒素ガス及び/又は二酸化炭素を加えた組成の混合ガスでもよい。なお、加圧媒質の20℃の充填圧力は、最大圧で35,000kPa程度にすることができる。
【0013】加圧媒質がアルゴン単独のようなものの場合には、圧力が急激に開放されることに伴ってインフレータハウジング内部が冷却状態になって、圧力の上昇時間が長くなるという問題があり、この問題を解消するには、火薬等の燃焼手段を燃焼させることで内圧を高める必要があるが、要件(a)は、このような加圧媒質を加熱するための燃焼手段を不要にすることができる。
【0014】要件(b):インフレータハウジング内の加圧媒質の20℃の充填圧力が、40,000kPa以上であること;従来のインフレータの場合、加圧媒質の充填圧は最大でも35,000kPaであるが、長さ方向への寸法を縮めて充填圧を40,000kPa以上にまで高めることで、インフレータハウジング部分の軽量小型化が達成できる。加圧媒質の充填圧は、好ましくは50,000kPa以上であり、上限値は最大で200,000kPaにすることができる。
【0015】要件(c):ガス排出口の総面積(A1)と開口部面積(A2)が、A1/A2≦1になるように設定されていること;要件(c)をA1/A2≦1にすることによって、作動時における加圧媒質の放出圧力を適切な圧力に制御している。ここでA1/A2が1以上であると、A2によってのみ膨張速度が決定されるため、膨張速度を容易に調整できないが、膨張速度の調整が不要な場合はA1/A2が1以上であってもよい。要件(c)は、A1/A2<1が好ましく、A1/A2≦0.95がより好ましく、A1/A2≦0.85が更に好ましく、A1/A2の下限値は最小で0.015にすることができる。なお、A2はできるだけ大きい方が加圧媒質の放出が円滑になされるので好ましく、最大でインフレータハウジングの幅方向への断面積と同程度にまですることが望ましい。
【0016】また本発明は、上記課題の他の解決手段として、加圧媒質が充填され、一端側に開口部を持つインフレータハウジングと、インフレータハウジングの開口部側に固着され、作動時に開口部から流出する加圧媒質を外部に放出するためのガス排出口を備えたディフュザー部とを有しており、インフレータハウジングの開口部とディフュザー部との間の加圧媒質の流出経路が破裂板で閉塞され、更に前記破裂板の破壊手段が備えられているインフレータであり、ガス排出口が開放され、ディフュザー部内が常圧であるインフレータを提供する。
【0017】この発明においても、上記した要件(a)、(b)及び(c)から選ばれる1、2又は3つを具備することが好ましい。
【0018】上記各発明においては、破裂板の破壊手段がディフュザー部に設けられている構造にすることができ、そのほか破裂板、破壊手段とディフュザー部とがインフレータハウジングの長さ方向両端付近に配置された構造にすることもできる。
【0019】上記各発明においては、ディフュザー部がフィルタを有しており、加圧媒質がフィルタを通ってガス排出口から外部に放出される構造にすることができる。
【0020】インフレータはガス発生剤の燃焼を伴わないので、高温の燃焼ガスが発生したりすることはないが、破裂板の破壊手段として点火薬を含む点火器を使用した場合、上記のとおりフィルタを備えていると、燃焼残差等がガス排出口から外部に放出されることを防止でき、更に破裂板の破片がガス排出口から外部に放出されることを防止できる。
【0021】上記各発明においては、インフレータハウジングとして、パイプの一端側が閉塞され、他端側にディフュザー部が接続されたものを使用することができる。
【0022】このようにインフレータハウジングを1本のパイプで製造することで、1枚の板材を加工したものに比べると、長さ方向への継ぎ目がないので、耐圧性、耐久性を高めることができる。
【0023】上記各発明においては、破裂板はインフレータハウジングの開口部側又はディフュザー部側に取り付けることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の一実施形態を説明する。図1は、本発明のカーテン用インフレータ10の長さ方向への断面図である。
【0025】まず、第1の実施形態について説明する。インフレータハウジング12は、一端側には開口部14を有し、他端側は閉塞されており、内部空間16には、0℃、1013.25hPaにおける音速が400m/sec以上の不活性ガスのみからなる加圧媒質が充填されている。加圧媒質は、インフレータハウジング12端部の細孔から充填し、前記細孔にはシールピンを嵌入した後、溶接等により閉塞する。40は細孔が溶接によって閉塞された状態を示す。なお、インフレータハウジング12は幅方向の断面が円形であり、開口部14も同様に円形である。
【0026】インフレータハウジング12の開口部14側には、接合部18において、ディフュザー部20が溶接によって固着されている。ディフュザー部20はディフュザーハウジング28により外殻が形成され、作動時に開口部14から流出する加圧媒質を外部に放出するためのガス排出口22と、ガス排出口22を内側から覆うように設けられた金網製のフィルタ24を有している。よって、加圧媒質は、必ずフィルタ24を通ってガス排出口22から外部に放出される。
【0027】ガス排出口22の総面積(A1)とインフレータハウジング12の開口部14の面積(A2)は、A1/A2≦1、好ましくはA1/A2<1、より好ましくはA1/A2≦0.95、更に好ましくはA1/A2≦0.85になるように設定されており、A1/A2の下限値は0.015であることが望ましい。
【0028】インフレータハウジング12の開口部14は、ディフュザー部20に取り付けた破裂板19で閉塞されており、作動前においては、インフレータハウジング12の内部空間16は高圧の気密状態に維持されており、ディフュザー部20側は常圧である。このようなインフレータハウジング12は、均一径のパイプを用い、鍛造法(スエージ加工)を適用して製造できる。
【0029】ディフュザー部20には、破裂板19の破壊手段として、点火薬を備えた点火器26が設けられている。この点火器26は、ディフュザーハウジング28に嵌め込まれてディフュザー部20に取り付けられ、ディフュザーハウジング28の端部29をかしめることで固定されている。30は点火器26に通電するための導電性ピン、31はOリング、破線で示した32は、車両搭載時に電源と接続するためのコネクタである。
【0030】次に、カーテン用インフレータ10の作動時の動作について説明する。車両搭載時、カーテン用インフレータ10は、衝撃センサ及びコントロールユニットからなる作動信号出力手段と、ケース内に前記のカーテン用インフレータ10とカーテン状のエアバッグが収容されたモジュールケース等と組み合わせたシステムとして設置される。そして、車両が衝撃を受けた場合、前記システムの衝撃センサからの信号を受け、点火器26が作動し、点火薬が着火燃焼することで破裂板19が破壊される。
【0031】破裂板19の破壊によって開口部14が開放されるため、内部空欄16内の加圧媒質は、フィルタ24を通ってガス排出口22から排出され、カーテン状エアバッグを膨張させる。このとき、加圧媒質の放出圧はガス排出口22により制御され、点火薬の燃焼残差、破裂板19の破裂片は、フィルタ24の存在により、カーテン状エアバッグ内部への放出が防止される。
【0032】加圧媒質は音速が400m/secであるため、車両内の温度に影響されることなく、10〜20msec程度でエアバッグを膨張展開させることができる。そして、加圧媒質は高圧状態から一気に圧力が開放されるため、膨張したエアバッグ内の温度は低下しているが、周囲温度との差によって暖められるため、数秒間程度はエアバッグの膨張が持続される。
【0033】次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態と第1の実施形態のカーテン用インフレータ10の構成はほぼ同一であるため、異なる構成についてのみ説明する。
【0034】インフレータハウジング12の内部空間16には、不活性ガスからなる加圧媒質が40,000kPa以上の圧力で充填されており、上限値は最大で200,000kPaにすることができる。そして、充填圧力を高めるため、この実施形態では、加圧媒質の充填圧が35,000kPaの場合に比べて、インフレータハウジングは同一直径で、長さを70%程度短くしている。
【0035】第2の実施形態のカーテン用インフレータ10は、第1の実施形態のものと同様の動作をなすものである。
【0036】なお、本発明のインフレータをサイドインフレータとして適用する場合は、ガス排出口22の部分に直接又は適当なアダプターを介してエアバッグを接続する。
【0037】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0038】実施例1図1で示すインフレータを使用し、加圧媒質としてヘリウム(音速970m/sec)を充填圧50,000kPaで充填した。このインフレータを常用されるエアバッグシステム(エアバッグの最大膨張容積が25L)に組み込み、温度20℃の雰囲気で作動させたところ、エアバッグは約10msecで最大膨張し、最大膨張の状態は約10秒間持続された。
【0039】比較例1ヘリウムに替えてアルゴン(319m/sec)を使用した他は実施例1と同様にして、温度20℃の雰囲気で作動させたところ、エアバッグは約80msecで最大膨張し、最大膨張の状態は約10秒間持続された実施例2、3、比較例2、3図1で示すインフレータで、加圧媒質及び充填圧力を下記のとおりにしたものを使用し、温度23℃で60Lタンクを用いたタンク内圧力試験を行った。インフレータハウジングの容量は、実施例2が104.5ml(直径30×長さ232mm)、実施例3は142.2ml(直径30×長さ294mm)、比較例1は104.5ml(直径30×長さ232mm)、比較例2は142.2ml(直径30×長さ294mm)であった。得られた圧力カーブの経時変化を図2に示す。
【0040】
加圧媒質 充填圧力(kPa)
実施例2 ヘリウム100% 50,000 実施例3 ヘリウム100% 32,000 比較例2 アルゴン96%、残部へリウム 50,000 比較例3 アルゴン96%、残部ヘリウム 32,000図2から明らかなとおり、実施例2、実施例3は、比較例2、3と比べると最大圧力までの到達時間が短くなっていた。
【0041】実施例4、5、比較例4図1で示すインフレータで、A1/A2を下記のとおり調整したものを使用し、いずれも充填圧力50,000kPaでヘリウムを充填した。これらのインフレータを使用し、温度23℃で60Lタンクを用いたタンク内圧力試験を行った。得られた圧力カーブの経時変化を図3に示す。
【0042】
実施例4 A1/A2=33mm2/33mm2=1.0 実施例5 A1/A2=15.7mm2/33mm2=0.47 比較例4 A1/A2=63.5mm2/33mm2=1.9図3から明らかなとおり、実施例4、5は、A1の面積を変化させてA1/A2を1以下に調整することにより、加圧媒質の放出速度を変化させることができ、一方、比較例4は、A1/A2が1を超えているため、A1の面積を大きくしたにも拘わらず、加圧媒質の放出速度は上昇しなかった。
【0043】
【発明の効果】本発明のインフレータは、周囲温度の変化に影響されることなく、瞬時にかつ確実にエアバッグを膨張させることができる。しかも、最大圧力までの到達時間を短く、かつ最大圧力の維持時間を長くできる。更に、加圧媒質の放出速度を調整することができる。
【出願人】 【識別番号】000002901
【氏名又は名称】ダイセル化学工業株式会社
【出願日】 平成13年4月9日(2001.4.9)
【代理人】 【識別番号】100063897
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 馨 (外4名)
【公開番号】 特開2002−145004(P2002−145004A)
【公開日】 平成14年5月22日(2002.5.22)
【出願番号】 特願2001−109473(P2001−109473)